秋吉ブログ

ゲーム大好き人間「秋吉」が、ゲーム情報を沢山出していくブログです。ゲーム以外の情報も時々…

【英雄伝説 界の軌跡】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー、評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「英雄伝説 界の軌跡」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

なお、若干ながらネタバレが入るため、「少しでもネタバレしたくない!」という人は総評だけ見るようにしてほしい。

(本記事の情報は2025/11/24時点を元にしている)

総評

戦闘、育成システムやUIは変わらず良好。新たに追加されたZ.O.Cなどのシステムも、戦闘に駆け引きを生んで面白い。やり込み要素も多数存在している。「ゲームシステム面」で見ると、コマンドRPGとしてはこれ以上無いほどの造り込みがされていると感じる。

 

ただ、ストーリー面は悪い。これのせいで評価をかなり落とさざるを得ない。

  • 登場人物が多い上、抱える思惑が皆異なり、伏線も多すぎて理解が追い付かない
  • セリフ回しに含みを持たせ過ぎて理解がしにくい
  • その割に回収しない伏線も多いうえ、エンディングに活かせていない
  • 過去作の話を知っている前提の場面が多く、「黎の軌跡」からの新規勢は置いてけぼり
  • 戦闘背景に納得感が得にくい
  • やり込み要素クリアで真相が明かされそうに見えて、大したことを明かさない

など、ストーリー関連で感じた不満要素が山のようにあった。また、登場人物が多過ぎるせいか会話パートがあまりに多く、ゲームプレイしてる時間より見てる時間が長くなり、プレイ時間を無理やり水増しされているように感じてしまった。

 

戦闘、育成で大幅プラス、ストーリーで大幅マイナスで、合わせて凡ゲーといった印象。完全に「軌跡シリーズ」とは何かを理解している往年のファン向けの作品で、戦闘システム面が非常に優れているだけに、残念な作品だった。

(「黎の軌跡」は全体的に面白くやれてたのにな…「黎の軌跡Ⅱ」からどんどん印象が悪くなっていく…)

 

こんな人にオススメ!

  • 「軌跡シリーズ」の長年のファンである
  • 壮大なストーリーを味わいたい!
  • コマンドRPGもアクションRPGもやりたい!
  • 様々な成長システムや多くのやり込み要素が欲しい!
  • 長編小説を読むのが好き!

という人にはオススメできる。逆に

  • 軌跡シリーズの過去作をやってない
  • ストーリーはすっきりわかりやすく完結して欲しい
  • ストーリー進行はテンポ良く行きたい
  • ゲームシステムが大量に用意されていると理解が追い付かない

という人はあまりオススメできない。

 

このゲームの特徴

コマンドとアクションを組み合わせた新たなRPG

「軌跡シリーズ」は、ドラクエやFFにあるような、街で装備を整え、ダンジョンを順繰りに踏破し、奥にいるボスを撃破して次の街に向かう、という往年のコマンドRPG作品。ただし、本作はただのコマンドRPGではなく、コマンド選択中にキャラの立ち位置を動かして、

  • 敵の側面や背後を取ったり
  • 攻撃範囲内に敵を収めるように調整したり
  • 敵から物理的に距離を離してヘイトを買わないようにしたり

といった、ちょっとしたシミュレーションバトル要素も入ってるのが特徴だ。

小規模のフィールドを舞台に探索

様々は様相を呈した街中も冒険の舞台

コマンドバトルでは、通常攻撃、クラフト(特技)、アーツ(魔法)、アイテムといった選択肢の中から、実行したい行動を決定する。各攻撃には攻撃範囲や属性を持っていたり、側面や背面を攻撃するとボーナスがついたり、といった要素があるので、敵の弱点や死角を突く戦い方をすれば、格上の敵とも対等に戦える。

戦闘はコマンド形式にシミュレーション要素が入り、敵は不利に、味方は有利になるよう移動しながら戦う

クラフトやアーツには効果範囲や追加効果がある。多くの敵を巻き込むようにキャラを配置し、攻撃していくのが大事

各キャラの行動順は、画面上部にアイコン表示される。強力な行動をとるほど、次に同じキャラが行動するまでにかかる時間が長くなるため、時間をかけてでも強力な技を出していくか、素早い技を連続して出していくか、という選択をしていくことになる。

赤枠の個所にある「CAST」が、各キャラの行動順を示す

「黎の軌跡」シリーズから始まった、コマンドRPGにとっての革新的なシステムとして、フィールド上で敵とリアルタイムで戦うアクションバトル「フィールドバトル」を、本作でも採用している。弱攻撃、強攻撃、魔法攻撃、回避などを駆使し、コマンドバトルせずとも敵を倒すことができるようになっている。

アクションパートでは、弱攻撃、溜め攻撃、簡易アーツ攻撃、回避を駆使して敵を攻撃する

更に本作からは、「Z.O.C」及び「覚醒」という新要素が搭載された。使用には一定のリキャスト時間を要するが、発動することで操作キャラの火力を上げたり、周囲の時間を止めて一方的に攻撃したりできるため、雑魚戦処理が非常に手軽になった。

「Z.O.C」はコマンドバトル時も発動できる。発動したキャラは強制的に2回連続行動が取れるので、ピンチの場合の立て直しもしやすくなる。

フィールドバトルで「Z.O.C」を発動すると、一定時間敵がスローモーションとなり、一方的に攻撃できる

「ヴァン」が覚醒すると「グレンデル」化し、一定時間、高い攻撃力を得たまま戦うことが可能に

また、コマンドバトルでは、「シャードコマンド」という戦術も利用できるようになった。ブーストゲージというゲージを消費し、一定ターンの間、与えるダメージを増やしたり、受けるダメージを減らしたり、といったバフを得られるため、敵の行動に合わせて適切な対処を切り替えていく深みが増した。

「シャードコマンド」を駆使することで、戦況を自分たちに有利な状況へと作り変えられる

 

Xiphaを活用したカスタマイズ性のある強化システム

キャラ強化の基本は、経験値獲得によるレベルアップと、高性能な武具を身に着けることによるステータスアップというRPGらしい方法。

敵を倒し、経験値を溜め、レベルアップしてステータスを上げる、往年のRPG的育成要素は健在

その他に、「黎の軌跡」シリーズ特有の強化システムが大きく4つ存在している。

 

Xipha(ザイファ)上での各種パーツ導入

各キャラは「ザイファ」という高性能スマートウォンを持っており、それを経由して

  • アーツドライバ
  • ホロウコア
  • クォーツ

という各種キットを埋め込むことで、キャラの能力強化や使用可能アーツの体得をしていく。

アーツドライバは、戦闘中に使えるアーツを一定数まとめた装備品。アーツドライバの種類によって使えるアーツが変わるため、必要に応じて使用するアーツドライバを切り替えていくことで、難しいステージでもよりクリアしやすくなっていく。

アーツをカスタマイズする「アーツドライバ」。ベースとなるアーツと、好きなアーツを自由にセッティングできるスロットがある

ホロウコアは、戦闘時や装備編集時に喋りかけてくる音声AIのこと。ただ喋ってくれるだけでなく、ホロウコア毎に異なるステータス上昇効果や「シャードコマンド」を持っているため、キャラの特徴を考慮し、最適なホロウコアを選ぶことになる。更に、同じホロウコアを使い込むほど、ホロウコアのレベルが上昇し、より性能の高い追加効果を獲得できるようになる。

ホロウコアを変更すると、音声が変わる以外にも、ステータスの増加内容や、使用できる「シャードコマンド」も変わる

最後にクオーツ。キャラの体力や攻撃力、特定状況における戦闘能力向上等の様々なステータスを、レベルアップとは別に細かい単位で増加させるアイテムだ。手に入れたクオーツは、専用スロットにセットして効果を発揮する

上昇する能力や上昇量はクオーツの種類によって異なり、どのクオーツをどこに埋め込むか、によって、体力を大きく増加したタンクキャラにしたり、素早さと回避力を上げた忍者スタイルにしたりと、キャラの性能が変わってくる。

クオーツをセットして、ステータスを向上。セットする位置によって、様々な追加効果も獲得できる

 

様々な人の悩みを解決するサイドクエスト「4spg」

「4spg」は、各街の掲示板を経て、人々からのお悩みを解決する、いわゆる「サイドクエスト」に当たる。受注後は、マップを転々としながら、指定の人物と会話したり、指定のボスを倒したりし、クリアを目指す。

クリアすると、お金である「ミラ」を入手することができる。

様々な悩みを抱えた人物から依頼を受領し、クリアを目指すサイドクエスト「4spg」

人々は様々な悩みを抱えている。会話するだけで終わるものから、尾行するもの、戦闘するものなど、クリアまでの流れも様々だ

4spgによっては、最後に選択肢が現れることがある。選んだ選択肢によって、「LGCアライメント」という3種類の行動属性値が変動する。

4spg任務中に時折現れる選択肢。選んだ内容によって、4spgの終わり方も若干変更される

選択内容によって、増加するパラメータが変わる

 

大規模なやり込みダンジョン「黑の庭城」

「黑の庭城」は、本編のストーリーとは切り離されたやり込み向けダンジョン。前作「黎の軌跡2」で「お伽の庭城」という名称で存在していたダンジョンが姿を変えたものである。

新やり込みダンジョン「黑の庭城」

敵のレベルにより階層分けされたダンジョンの中から、挑みたいダンジョンを選択すると、マス目状の小さなマップに遷移する。各マスは

  • 専用のステージに移行し、敵を倒しながらマップを探索して脱出を目指す「扉マス」
  • ランダムな宝を入手できる「宝箱マス」
  • ダンジョン探索中のみ、指定の能力を強化できる「能力強化マス」

などさまざまな種類のマスがある。プレイヤーは進みたいマスを自分で選びながら1歩ずつ先へ進み、最奥にいるボスの討伐を目指す。

ボスの討伐すればゲームクリア。クリア報酬を獲得できる。更に、ダンジョン毎に決められたクリア条件を満たすと追加報酬も獲得できる。

進みたいマスを選び、そのマス毎のイベントをこなして、最奥のボスを撃破するとクリア

ゲーム中に手に入れた「グリムトークン」は、「黑の庭城」のメニュー画面から選択できる「グリモワール解読」というメニューにて、ゲーム内ガチャを回すために使用できる。戦闘に役立つアイテムだけでなく、キャラの服装やBGMの素材や、各キャラのクラフトスキル性能を強化できる専用アイテムが手に入る。

集めたシャードトークンで「グリモワール解析」を実施

ランダムで様々なアイテムを入手可能。「グリモワール解析」でしか手に入らないアイテムも

その他、各種ショップの活用や、ミニゲームのプレイ、BGMやキャラ衣装の変更など、ゲームをより深く楽しむためのショップにも立ち寄ることができる。

 

「宇宙計画」の裏で蠢く陰謀から、ゼムリア大陸の未来を紡ぐ物語

物語の舞台は、ゼムリア大陸中心に位置する国「カルバード共和国」。優秀な政治手腕を持った大統領の元で、かつてない好景気を迎えている大きな国だ。

本作の主人公は、そんな「カルバード共和国」にて、「裏解決屋(スプリガン)」という、表の世界にも裏の世界にも属さない曖昧な立場で仕事を請け負う青年「ヴァン」。町の治安維持活動に始まり、警察やギルドにも相談できない悩みの解決、裏社会に生きる人間からの依頼など、彼の流儀に沿った依頼であればなんでも受け付ける、正に「何でも屋」だ。

「黎の軌跡」シリーズからの主人公で、カルバード共和国にて裏解決屋を営む「ヴァン」

そんなある日、「カルバート共和国」で開かれた大統領会見にて、ゼムリア大陸初の有人宇宙飛行を行う国家プロジェクト「宇宙計画」が発表され、世間に大きな衝撃を与える。

大統領の会見にて、世界初の有人宇宙飛行を実現するという報道が行われ、大陸中に衝撃を与えた

本計画の発表を受けて、裏社会に大きな動きが生じると考えた「ヴァン」。そんなある時、住民が突如失踪したり、誰かに操られたような状態になっている様を見つけた「ヴァン」は、裏で暗躍する謎の組織の正体を追いかけることとなる。

また、「宇宙計画」で使用する新型アサルトフレームのテスト要員としてカルバード共和国に招待された「リィン」や、教会から秘密裏の指令を受けてカルバード共和国にやってきた「ケビン」も、それぞれの目的を果たすため行動する中で、「宇宙計画」に秘められた真相を知ることとなる。

果たして「宇宙計画」に隠された真実とは何なのか…ゼムリア大陸を巻き込んだ壮大な物語が幕を開ける。

 

このゲームの良い点

「アクション&コマンドRPG」というシステムは革新的!

「黎の軌跡」シリーズが始まってから投入された「アクションバトルとコマンドバトルが両方できるRPG」は、やはり何度プレイしても斬新で素晴らしいシステムだ。本作は更なるブラッシュアップとして「ZOC」や「覚醒」という要素の追加により、プレイヤー側の火力が単純に増加したため、コマンドRPGの欠点でもある面倒な雑魚戦がすぐ終わり、快適なレベルアップが実現しやすくなった。

できるアクションが増えたので、アクションゲームをあまりやらない人にはとっつきにくそうなシステムではあるが、何かしらのアクションゲームをやったことがあるプレイヤーであれば、少し遊べばすぐに慣れるレベルの難しさだと感じる。本作をプレイした後、他のコマンドRPGをプレイすると、戦闘テンポの悪さにやきもきしてしまったほどだ。

 

コマンドバトルも使いやすく強化されているのもよい。フィールドバトルコマンドバトルで、与えるダメージは体感2倍~3倍の違いがある。中ボス的な強さの敵を相手にした場合は、アクションバトルだけではなかなか倒せないので、アクションバトルである程度体力を減らし、その後にコマンドバトルへと切り替えて一気に倒す、という流れが主軸になってくる。アクション一辺倒にならず、必要に応じて両者を切りかえて戦うバランス感も実に見事であった。

 

多彩なやり込み要素!

前作にも存在した「お伽の庭城」もかなりのボリュームがあったが、「黑の庭城」もそれに負けず劣らずのボリュームを持っており、やりごたえ抜群だった。

全てのステージをクリアするだけでも、15時間ほどは要求される。クリアしていくと、「黑の庭城」でしか手に入らない専用アイテムや強化素材を沢山入手でき、ストーリーを進めるうえでも非常に役に立った。

各階層に登場するボスも非常にやりごたえがあるし、ゲームを進めることで解放される「チャレンジバトル」では、強敵と連戦する力試しもできるようになっていた。

 

その他にも、「釣り」や「料理」などの収集要素も、前作に引き続きしっかり用意されている。これらの収集をするほど、キャラのステータスが底上げされていくため、ユーザに対する見返りがある点もよかった。

街の各地で釣りを楽しめる。釣った魚は図鑑に記録可能だ

 

バグもなく、快適なユーザビリティ性!

本ゲームの操作性は全体的に良好。ボタン一つでファストトラベルポイントを選べたり、装備画面やオーブメント画面への遷移もできたりと、

また、ストーリーの目的地とサイドクエストの目的地とが、マップ上できちんと色分け表示されるため、「不便」と感じる点は無いように設計されていた。

 

また、戦闘や移動、ムービーなどの動きを早くできる「ハイスピードモード」もよい。マップ間の移動、戦闘が全て高速で行われるため、「コマンド選択して攻撃エフェクトを見て…」みたいな戦闘時間の長時間化に悩まされない。

ハイスピードモードと通常モードの切り替えは、ボタン一つでいつでも切り替えられるので、「ここは通常の速度でしっかり見たい」という時にもすぐ対応できるのはありがたいところだ。また、「コマンドバトルは早くしたいけど、フィールドバトルはアクション苦手だからゆっくり目にしたい」という場合でも、各バトルの速度を細かく設定できる点もよかった。

戦闘や移動を高速にできる「ハイスピードモード」。センターパッドボタンを押すだけでモード切替が可能

 

軌跡シリーズ用語を即座に調べられる「Timely Words」が便利!

本作には、過去の軌跡シリーズに登場した人物名や、起きた出来事などのゲーム内用語が当たり前のように出てくる。その度にいちいち「この事件ってなんだっけ?」「この人ってどんな人だっけ?」といった疑問が生じ、話の流れを理解できない、といったことにもなりかねない。

そのような人に向け、本作ではムービー中に出てきた用語の内容を、ボタン一つですぐに確認できる「Timely Words」というシステムが搭載された(FF16にもあったシステムと同じだ)。これにより、リアルタイムで不明点の確認ができる。ゲーム終盤になると、登場する用語の数が多くなりすぎる上、検索モードを用意してくれてないので、不明用語の意味をすぐに見つけることができないのは勿体無いが、それでも、本システムの登場により物語の理解度をより増してくれているので、シリーズ未経験ユーザへの配慮がよく出来ていると感じた。

ムービー中に十字キー左を押すと、会話で出てきた単語の意味をすぐに確認できる機能を搭載

単語の簡単な概要をまとめているので、過去作未経験者でもある程度は背景を理解しやすい

 

昔ながらのアニメ調をベースにした美麗グラフィック!

フォトグラフィックなリアル志向グラフィック作品が多い中、本作はJRPGらしいアニメ調グラフィックをそのまま採用している。

アニメ調だから、と言って手を抜いているわけではなく、建物1つ1つの質感や、遠くまで見える風景など、実際にアニメの中に入ってキャラクターを操作しているかのような、没入感がある美麗グラフィックになっており、非常に見応えがあった。

「ヴァン」専用のホロウコア「メア」の姿。アニメ調を活かした綺麗なグラフィックで描かれている

戦闘中の描写も非常に綺麗。キャラクターが放つ技それぞれにしっかりとエフェクトが付けられ、カクツキも無くヌルヌルと動いてくれるため、戦闘画面にのめり込める臨場感があった。ハイスピードモードで流していてもテクスチャずれは起きず、常に迫力ある戦闘を楽しむことができた。

派手なエフェクトを駆使して発動するアーツも見ごたえ十分!威力も申し分なし!

「エレイン」の必殺技。A級遊撃手の華麗な戦いは、非常に見ごたえがある

ムービー中に描かれる「シズナ」の圧倒的剣裁き。かっこよすぎる…

 

このゲームの悪い点

ストーリーが完全解決しない…

筆者はハイスピードモードを常に駆使し、4spgなどのサイドクエスト要素を9割以上、「黑の庭園」を全て消化した上で、ストーリークリアに62時間ほどかかった。前作、全然策で合計約100時間ほど遊んでいるので、総合で160時間超えの超大作ストーリーだ。そこまでかけてゲームをしても、なんと本作のストーリーは完全解決しない。

「軌跡シリーズはこんなものだ」といっても、さすがに長すぎだ。前作も含めて多くの時間をかけてプレイしてきた筆者にとって、「まだ終わらないのか…」という感覚にはなってしまった。

 

ストーリー進行にイケてない要素が多い…

壮大な物語が描かれているのだが、内容はかなり残念。一応、大筋のストーリーは理解できるが、それを補完する要素があまりにイケてないのだ。

 

登場人物多すぎ、思惑多すぎ、伏線多過ぎ、思わせぶり発言…

「黎の軌跡」に登場するキャラはもちろん、本作では過去作に登場したキャラが多く登場するので、理解すべきキャラ名や関係性があまりに多い。ゲーム終盤になっても、会話を聞いていて「その人誰だっけ?」となったキャラもいるほどだ。

更に、登場キャラ1人1人に異なる「思惑」を持って動いているので、「この人は何を狙っているんだっけ?」「この人、少し前は味方だったけど、何で今回敵対しているんだっけ?」と、キャラの狙いがわからなくなる場面が多く発生する。

「思惑」が多いということは、その分伏線も多いということ。「黎の軌跡」はもちろん、それよりも前の作品から出てきている伏線も存在し、伏線だらけで本線が何なのか、もわからなくなるほど(ちょっと言い過ぎだが)。物語中盤終わりくらいまでは、多くの場面で伏線を薄く出し続けるだけだし、背景を知っているキャラがやたら思わせぶりな発言を沢山するしで、頭に「?」が沢山浮かんだ。

せめてゲームテンポがよければ、過去場面の記憶を手繰り寄せて理解できるかもだが、後述する「水増し要素の多さ」のせいでゲームテンポが非常に悪く、忘れやすい構造になっている。

小説であれば、描かれたストーリーを「読む」だけなので、伏線量が多かったとしても記憶が保持されやすいが、育成、戦闘、サブクエなど、ストーリー以外の要素に時間を多く使うゲームで、ここまで複雑な構図をするのはおかしいと感じる。もっと関連する人を絞り、すっきりさせないと、多くのプレイヤーが話を理解できないと思う。

 

回収されない伏線に、重要事項は説明なしでいきなり明かされる…

過去作から続く思惑、伏線が大量に存在するのに、全ては回収されない。風呂敷を広げただけで全然畳めていない。それでは伏線の意味がない。

また、思惑や伏線というのはエンディングに繋げてこそ、驚きや感動に繋がるはずなのに、肝心のエンディングに繋がるものはほとんどない。感動的なエンディングなはずなのに、「は?」というコメントしか出なかった。

本作のエンディングのカギを握る「とある人物」が抱えている思惑や背景、その人物を支援するキャラたちに関する伏線は殆ど開示されず、エンディング辺りになって突然次々と出てくる。もっとストーリー中でその人の背景や迷い、支援者との繋がりなどを描いておけば、エンディングにもっと感動的にできたはずだ。そこではない、大して回収もされない部分に伏線を使い過ぎているのがもったいない。

 

プレイ時間の水増し要素が多い…

様々な場面で「水増し」を感じさせる要因が多いのは気になった。

まずは時限要素だらけのサブクエ要素だ。「4spg」などの多くのサブクエが、非常に短い期間しか受領できず、後でまとめて解決できない時限要素になっている。クリア必須ではないが、クリアすることで手に入るステータスや技があるので、長い目で見るとクリアは必須になる。

会話シーンはスキップできるが、会話内容から適切な選択を求められる場面があるので、全スキップするとそういった時に解答が解らない。この選択を誤ると、手に入るはずだったボーナスポイントが手に入らないので、会話を見るが必須となっている。過去作からこの仕様だったが、本作は大量に存在する細かいストーリーパート毎に4spgが少しづつ用意されている感じだったので、尚のこと目立った。

というか、そもそも「4spg」は裏解決屋である「ヴァン」向けの要素なので、「リィン」や「ケビン」などの裏解決屋ではない人たちが受けているのがそもそも理解できない。「ヴァン」達のストーリーなのだから、他のメンバーのストーリーはもっとコンパクトにし、伏線回収に全力を注ぐべきだと感じた。

 

また、会話パートがやたら多いのも気になる。ストーリー、サブクエの多くの場面でキャラ同士の会話シーンが多く、しかも多くのパートにボイスが無い。キャラを動かしたり、戦闘したりする場面があまりなく、コントローラーを置いている時間が長く感じる。実際にはわからないが、体感はプレイ時間の半分を会話パートに費やしていると感じたほど。で、その会話で何か重要な話を得られるのか、というと…そんなことはほとんどない。

このせいで、ゲームテンポはかなり悪く感じた。必要メンバーや会話パートの中で絞れる場所は大量に存在したので、明らかに水増し感を感じられた。

 

無駄な戦闘が多く、そもそも主人公勢の行動の方が悪な気が…

本作では「純粋悪」がおらず、個々人が自分の目的のために協力したり、敵対したりするので、どこかで仲間として共闘したキャラが、別の場面では「立場的に譲れないので戦う」という部分が多すぎる。また、「ヴァン」に敵対する勢力も、戦う背景がちゃんと説明されないまま何度も戦うので、戦闘意義が感じられない。

というか、主人公勢力が無駄に政府と敵対するせいで戦闘が起きているのが実態。政府の隠し事を追求中に政府の人間に見つかったら、普通は手を引くべきところ、なぜか毎回歯向かう。ストーリー終盤では、反抗する理由をいかにもらしく説明しているが、冷静に考えるとそんな理由で政府に敵対してたら逮捕ものだ。まったく意味が解らない。

また、戦闘理由に「あなたに資格があるのか戦う」という場面がいくつもあり、「そんなことしてないで話し合いすればいいじゃないか」と突っ込みたくなる部分も多々あった。

 

「黑の庭城」のクリアの意味合いが薄い…

やり込み要素の1つである「黑の庭城」は、ストーリー中盤までは攻略必須となっている。その中で、「黑の庭城」には、作品を通して謎に包まれていた専用ホロウ「メア」の真相や、その他いくつかの伏線が回収されそうなことが開示される。

しかし、実際に最後までクリアしてみても、明かされる内容は、メインキャラでもないとある人物データのみで、あまりにもチンケ。一応重要な事項ではあるらしいが、「黎の軌跡」シリーズしかやってない筆者からすると「は?」でしかなかった。

こんな感じにするなら、ただの純粋なやり込みダンジョンで終わらせるべきだと思う。

 

戦闘、育成、ストーリー等のあらゆる点で専門用語が多い…

長い間続いてきた「軌跡シリーズ」。その反動か、多くの場面で専門用語が溢れかえっており、覚えることが非常に多い。ゲームシステム面だけでも、

  • アーツ
  • クラフト
  • アーツドライバ
  • ホロウコア
  • クオーツ
  • LGCアライメント
  • Sブースト
  • Sクラフト
  • シャードスキル
  • ATボーナス
  • オーブメント

など大量に存在。ストーリー面では、

  • CID
  • 結社
  • 執行者
  • ガーデン
  • 黒月
  • 守護騎士

といった各種国家や施設、組織の意味合いを理解しておく必要がある。前述した「Timely Words」でもカバーしきれているか、というと微妙な気がした。

 

バグ?仕様?…若干気になる問題点がチラホラ…

前作に引き続き、バグなのか仕様なのかわからないが、ちょいちょい気になる要素がある点が気になった。

 

キャラクターのボイス消失

本作は完全フルボイスではない。それだけなら問題は無いが、なぜか会話中で、特定のキャラは音声有りなのに、他のキャラは音声が無い、という場面が頻発する。その発生条件に一貫性は無い。

  • 主人公だけボイスが無く、新キャラおよび仲良くなった既存キャラだけ声が付いたり
  • 主人公一行は全くボイスが無く、ぽっと出のキャラにボイスが付いていたり
  • もともとボイス付きで話してたのに、何故か会話の途中で急にボイスが消えたり

と、どういう仕切りで音声有無のすみ分けがされているのか全く分からず、かなり気になった。

また、過去作と比べても、メインストーリー中の会話がボイスなしになる場面が多い印象。今はハーフプライスゲームでもフルボイスの作品があるので、せめてメインストーリーくらいは全ボイスありにしてほしかった。

 

キャラクターが目を瞑ったまま喋る

本作では、キャラが話し始める時、目を閉じた状態から喋り始めるように作られている。しかも、そのキャラが1センテンス読み終わるまで、ずっと目を閉じたまま喋り続ける。

慣れてくればそこまで気にならないが、シリアスな場面でも、陽気な場面でも、キャラの表情が必ずこのように組まれるため、しばらくはかなり気になった。

 

まとめ

せっかくゲームシステム面は優れているのに、ストーリー面が残念過ぎる。完全に「軌跡シリーズ」信者に向けた作品といってもいいような作品だった「英雄伝説 界の軌跡」。新規勢のことはあまり気にしないのかな…

本作にストーリーを期待して購入するのであれば、筆者みたいに「黎の軌跡」からやるのではなく、「軌跡シリーズ」全てを遊んでからやる事をおススメする。

 

では! 

 

 

【CoD BO7】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版「Call of Duty Black Ops 7」をプレイした感想をまとめていこう。

なお、マルチプレイのみの感想をまとめている。

(本記事は2025/11/16時点の情報をもとにしている)

前作「CoD BO6」に続けて更に登場したBOシリーズである本作。CoD大好きプレイヤーである筆者はβ版を遊び、比較的楽しめたことから、発売初日から購入してプレイした!

最大レベルである55まで到達し、プレステージ1に突入するところまでやり込んだうえで、本作に感じた感想をまとめていく。「本作は買いなのか?」と気になっている人はぜひ参考にして欲しい。

総評

近年発売のCODマルチの中でクオリティは高い方で、面白い。ここ暫くの作品でストレスに繋がる要素だった部分をとり除き、欲しかった要素を詰め込んでくれているため、「筆者は」一度遊び始めると、やめ時がわからずいつまでも遊んでしまった。

ただ、撃ち合い難易度は初心者お断りどこか、経験者をもふるいにかけるレベルで高い。経験者ですら敵を倒しにくく、デスがかさんだりする場面が多い。また、PS5プレイヤーにとっては不利と言える要素が多く、なおのこと戦いにくい。反射神経に優れているキーマウプレイヤー向けのゲームに大きく舵を切った作品になっている印象だ。

筆者は面白いと感じているが、どんな人にもお勧めするか、と言われると首を縦には触れない。YouTubeなどでプレイ動画を眺めてみて、スピード感についていけそうだな、と思ったのであれば、買ってみると良いと思う。

 

どんな人におすすめ?

  • スピーディFPSが好き
  • FPS経験豊富
  • キャラコン、反射神経に自信がある

という人にはおすすめできる。逆に

  • クリアリング重視なFPSが好き
  • FPS完全初心者

という人には、相当な根性が無い限り、本作は向かないと感じた。

本作の特徴

近未来を舞台にしたチームシューターFPS

本作は、2035年という近未来を舞台に、メイン武器、サブ武器、投げ物など、FPS作品には揃っている一通りの装備を身につけて走り回る、6vs6のチームシューターFPSゲームだ。スキルやアルティメットなどを駆使して戦うようなスペシャリスト系FPSではなく、エイムとキャラコンの腕前で勝負が決まる、地に足突いたタイプの作品だ。

様々なマップ、武器、装備を手に、チーデスやドミネ、ハーポといったルールを楽しめる、地に足ついたFPS

CoDマルチの王道ルールである「チーデス」、「キルコンファーム」、「ドミネ」、「ハーポ」、「フリーフォーオール」「サーチ&デストロイ」はもちろん搭載。キルを重視した戦いがしたいなら「チーデス」や「フリーフォーオール」、競技性の高い旗取り合戦がしたいのであれば「ドミネ」や「ハーポ」を選ぶなどし、自分がやりたいゲームモードを自由に選んでマルチプレイを楽しめる。

また本作から、新たな競技ルールとして「オーバーロード」が追加された。マップに配置されるEMPボムを回収し、指定のポイントまで運ぶと、運んだチームに対して1点が加算され、先に8ポイントを先取したチームの勝利となる。EMPボムを保有したプレイヤーの居場所は敵チーム全員に共有され、一方的に狙われるため、いかにボムキャリアーを護りながらポイントまで移動するのか、を考えながら戦うこととなる。

競技性の高い陣取りルール「ハードポイント」。激しい撃ち合いが頻繁にできるのが醍醐味

EMPボムを保有し、指定の地点まで運ぶ新ルール「オーバーロード」が追加された

 

武器、パーク、ワイルドカード等を組み合わせるロードアウトシステム

本作は、「CoD BOCW」時代に採用されたロードアウトとほぼ同じシステムが採用されている。

これが本作のロードアウト画面

 

武器

武器にはそれぞれレベルが存在する。敵をキルしたり、オブジェクトに絡んだりすることで手に入るスコアを貯めるとレベルが上がり、アタッチメントが解放されていく。アタッチメントは「サイト」、「マズル」、「バレル」などの様々なパーツが用意され、同じパーツジャンルの中でも、射程距離を上げるものや、弾速をあげるものなど、様々な特長がある。

これらのアタッチメントを、最大5個まで装備し、自分の手に馴染むオリジナル武器を作っていく。

マズルやバレルなどのアタッチメントを好きなに当てはめていくガンスミスシステム

バレル1つをとっても、多彩な効果を持ったアタッチメントが揃う。つけるアタッチメントを変えれば、同じ武器でも異なる特徴が生まれる

 

パーク

パークとは、装備すると特別な効果が付与されるシステムのこと。爆破物から受けるダメージを減らしたり、マップの表示範囲が拡大したり、特定の妨害効果を受けなくなったりと、どれも試合を有利に運ぶものが揃っている。

本作では、パーク1、パーク2、パーク3の3つのセクションの中から、装備したいパークを1つ選んで装備する。後述する「ワイルドカード」の一つ「PEAKグリード」を使用しない限り、同一パークジャンルからは一つしか装備できない。

パークは「エンフォーサー」「リーコン」「ストラテジスト」という3種類に分類わけされており、最低2種類のパークを組み合わせると、新たな4つ目のパーク「コンバットスペシャル」を自動装備できる。

用意された一覧から、自分が使いたいパークを選んで装備。試合中は選んだパークの効果が常に発揮される

同じ色のパークを最低2種類装備すると、色にあった特殊パーク「コンバットスペシャル」が自動装備される

 

ワイルドカード

パークとは別に装備できる特殊性能で、メイン武器を2つ保持できたり、付けられるアタッチメント数を5個から8個まで拡大できたり、投げ物を複数保持できたりできる。全部で9種類あり、装備できるのはどれか一つのみだ。

ロードアウト上の制約を1つ撤廃できる強力な能力「ワイルドカード」

 

ストリーク

デスすることなく連続スコアを獲得することで利用できるサポートアイテム。最大3つまで設定が可能。敵の位置をミニマップに表示する「UAV」や、ミサイルを操作して上空から敵をキルする「ヘルストーム」など、どれも強力な性能で、高性能なものほど、必要とされるスコアが多くなる。

スコアストリークを採用。支援系、攻撃系の様々なストリークが用意されている

ミサイルを操作しながら敵を爆撃するストリークも

 

使い込むと追加効果を付与できる「オーバークロック」

リーサル、タクティカル、フィールドアップグレード、スコアストリークは、使い込んでいくことで、追加の能力を付与することができるようになった。どの追加能力を付与するかはプレイヤーの好きに決められるため、同じものでも、自分のプレイングに合わせた機能拡張が可能だ。

スコアストリーク「UAV」のオーバークロックでは、必要スコア数を減らすか、撃墜耐性を得るか、選ぶことができる

 

スピーディなキャラコン各種

前作から採用された「オムニムーブメント」は本作でも続行。ダッシュ、スライディング、ダイブといった全キャラコンを前後左右自由に切り替えられる上、伏せたまま前後左右の好きな方向へ素早く体を切り替えられるので、非常にスピーディな戦闘を楽しめる。

横方向にスライディングし、そのまま敵を急襲できるスピード感あるキャラコン「オムニムーブメント」

更に、本作から壁ジャンプも追加された。壁に面した状態でジャンプすると、スーパーマリオの要領が如く、壁を蹴り上げて更に高い場所まで移動出来たり、位置取りを急激に変更できる。高所に対しても素早く移動できるので、立体的な立ち回りがやりやすくなった。

壁に面してジャンプをすると、壁を蹴り上げて移動できる

 

やり込み要素である「プレステージ制度」

「CoD BO6」から久々に復活したプレステージ制度は、本作でも踏襲している。

プレステージ制度とは、プレイヤーレベルが最大である55を迎えた段階で利用できる制度で、再度プレイヤーレベルを1に戻し、特別なバナーやプレイヤーアイコンを入手できる、完全なやり込み要素だ。最大で10まで存在し、10以降はプレイヤーレベルの上限が55から1000まで上がる。

レベル1に戻ることで、これまで解放していた全ての武器やパークなどに再度ロックがかかってしまう点は注意が必要だ。ただし、プレステージを回すと永久アンロックトークンを一つもらうことができ、これを武器、パーク、スコアストリークなどのいずれかに使うことで、レベル1に戻ってもそれだけは初めから使えるようになる。

プレステージを回すと全てのロードアウトが消えてしまうが、代わりに手に入る専用アイテムも盛り沢山のやり込み要素

また、本作からは武器にもプレステージ制度が導入された(WW2以来…かな?)。

武器レベルを最大にすると、レベルを1に戻す代わりに特別なスキンなどが手に入る。また、プレステージを回さないと手に入らないアタッチメントもあるので、それらの解放目掛けて武器レベルを上げていくやり込みもできる。

 

プレイして良かった点

良マップの数が多い!過去作のマップも復活!

ゲーム開始直後から、16種類という非常に多くのマップが用意されているが、そのどれも良マップなのはよかった。

基本的な3レーン構造はそのままに、各レーンをつなぐ細道がいくつか構成されたシンプルが構造がメイン。無駄に開放的な場所や、幾重にも斜線が存在するような場所は少なく、「敵のいる場所がわからず移動できない」となることがほぼない。特定の場所を陣取れば、近距離から長距離までの幅広いレンジ、かつ広範囲をカバーできることもなく、必然的に動き回ることを推奨される。

どのマップも、比較的シンプルな3レーン構造をしていて戦いやすい

近接戦闘が多くなるような構図のマップも多く、キャラコンを駆使した撃ち合いがやりやすい

過去作で人気であった「レイド」「ハイジャック」といったマップも復刻実装されているため、過去作マップで遊びたいと思っているプレイヤーも楽しめる。

マップ投票システムも引き続き実装され、「自分はここはやりたくないな」というマップを避けて遊ぶこともやりやすい。

ちょっと近距離戦闘レンジが多すぎる気がするのは気になったが、それでもよく考えこまれた、遊んでいて楽しいマップだらけなのは非常に良かった。

 

過去最高に爽快感のあるCoD!

実際に測定したわけではないが、本作は過去のCOD作品の中で、1番機動力が高い。過去作よりもダッシュ速度が速く、それが爽快感にダイレクトにつながっていると感じる。本作から登場した壁ジャンプにより、高所にある窓にもさっと入り込め、戦闘回避、急襲といった行為も素早くできるので、なおさら爽快感を感じやすい。

また、前述した良マップのおかげもあり、接敵機会が多く形成され、走ってはキルし、走ってはキルし…を繰り返すプレイがやりやすい。前述のスピード感ある動きと合わせ、芋るよりも動いた方が、数多くのキルを取れるようになっている。特に、小さいポイントを敵味方で取り合う「ハードポイント」では、ひっきりなしに戦闘が続くので、「自分、今、めっちゃ爽快なFPSをしてる!」という楽しみを味わうことができた。

TTKが短めなのも爽快感を感じる要素。ARで見ると、平均TTKは大体0.3秒、ヘッドショットを1発でも入れればTTKが大体0.25秒くらいまで下がってくれるので、背後から敵の虚をつくことができれば、一気に複数の敵を仕留めることも可能で、こちらも爽快感を感じられた。

 

ロードアウトの組み合わせが充実!

過去作でも多くのパークやフィールドアップグレード、ワイルドカードがあったものの、「強い組み合わせはこれ」というのがだいたい決まっていた印象。特にワイルドカードは顕著で、9割のプレイヤーが「PEAKグリード」しか使ってない、といっても過言ではないだろう。増えたパーク欄には、「ゴースト」「ニンジャ」といった隠密系を載せる、というのが鉄板ではないだろうか。

しかし本作ではそこが見直しされ、強いロードアウトがいろいろ組めるようになっていたのはよかった。個人的には、「ゴースト」「ニンジャ」「コールドブラッド」がまとめて発動するフィールドアップグレード「ミュートフィールド」が嬉しい。発動中はパークが合計6個発動している状態になり、制限時間内に敵をキルすれば効果時間を延長できるので、「ゴースト」や「ニンジャ」といったパークを常設する必要が無くなっている。その分、デフォルトパークは他のパークを試せるし、ワイルドカードを「PEAKグリード」ではないものを使って楽しむこともしやすくなった。

 

SBMMの削除による素早いマッチング!

SBMM(スキルベースマッチメイキング)とは、直近数試合のプレイヤーの戦績をシステム側で「スキル」として独自に採点し、近いスキルのプレイヤー同士をマッチングさせるシステムである。初心者は初心者と、上級者は上級者とでマッチングするため、多くのプレイヤーが満足できる試合が実現できる…はずなのだが、これがいろいろ問題があり、不評なシステムだった。不評な理由はいくつかあるが、一番言われているのは、毎試合スキル値を計算して同スキルのプレイヤーを集めてくることとなるため、マッチングに時間がかかる、という点であった。

ここ5,6年のCODシリーズには、SBMMがデフォルト実装されていたので、全プレイヤーが避けられなかったのだが、本作ではSBMMを大きく緩和した「オープンマッチ」が用意されているため、SBMMの弊害である「マッチングの長時間化」が起きなくなっている。個人的にはこれが非常にうれしかった。

 

アシストキルの導入で初心者も安心!

本作では、自分がダメージを与えた敵を味方がキルした場合に、自分にもキルカウントが入るアシストキル制度を導入している。これにより、まだFPSに慣れてない初心者でも、キル数が少な過ぎてゲンナリしたり、他プレイヤーに戦犯扱いされてしまうのでは…という恐怖感に苛まれることが少なくなる為、初心者救済要素として非常に良い制度だと感じた。

 

プレイして残念な点

PS5にとって、撃ち合い難易度は過去一高い…

本作の撃ち合い難易度は、過去のCODシリーズと比べてもトップクラスに高い。FPS経験のあるプレイヤー向けで、初心者お断り感が出ているのは気になったところ。

 

まず、良い点にも上げたスピードの速さだが、逆に言うと「敵の姿をとらえる」→「狙いをつける」→「撃つ」という一連の行為に求められる反射神経の高さが上がったといえる。自分自身の移動速度も上がっているので、せっかく敵に狙いをつけたのに、自分の操作で勝手に狙いを外してしまう、ということも発生しやすい。筆者のようなおじさんプレイヤーになってくると、FPS経験が長くても、「ついていくのが手一杯」という状態になりつつあった…

また、エイムアシストが大きく弱体化されたことで、パッドプレイヤーはそもそもエイムが難しい。細かい説明は省くが、パッドプレイヤーの多くがやっているであろう「左スティックで移動しながらエイムを補正する」という動きが抑制されてしまったため、右スティックで繊細なエイムを行わないと、近距離でもエイムを外してしまうことが多い印象だ。

それでも、せめてフレームレートが高ければ抗えるのだが、PS5ではどう頑張っても120FPSまでしか出ない(筆者が使っている初期PS5だと120FPSも出ない、という話もある…)ので、100超えのFPSが安定して出せるハイスペックPCのキーマウプレイヤーと比べると、ハードスペックが多くの面で負けている…筆者のような、反射神経の優れていないPS5プレイヤーは、立ち回りで何とか対抗するように頑張るしかなく、撃ち勝つのが大変だった。

 

武器レベル上げがしんどい…

ここ2年間のCoD作品は、武器レベル上げがやりやすく、3,4時間も遊んでいれば1本の武器のレベルを最大にすることができた。が、本作は「CoDBOCW」や「CoDV」の時と同様、武器レベルの上限が大きく上がり、その分武器レベルを最大にするのにかかる時間が非常に長くなった。

1,2時間も使えば最低限のアタッチメントは揃うので、ストレス少なく遊べるようになるまでの必要時間は短めではあるものの、いろんなアタッチメントも組み合わせてみたい、と思った際に、異常なまでに時間がかかってしまうのは残念だった。

 

武器バランスが悪め…

多数の武器が用意されているが、「強い武器」というとかなり限定されている印象だ。かれこれ15時間ほどプレイしてみたものの、多くのプレイヤーが一部ARやSGしか使っていないのが現状だった。また、とあるマークスマンライフルは、チートといっても過言ではないバランスブレイカーな強さを誇っており、運営側のバランス調整の粗さが目立っている(強すぎるので多分修正されるだろう…)

筆者が好きな武器種であるSMGは…本作はちょっと弱い印象だ。連射時のブレが大きい武器が多いだけでなく、エイムアシストの弱さ、キャラスピードの速さから、至近距離戦闘が避けられないSMGは、扱う難易度が非常に高くなっていた。

 

 

まとめ

スピーディさに特化した作品となっている「CoD BO7」。操作難易度が非常に高く、思ったよりキルが取れなくてイライラする場面も多いが、それも一興として受け止め、本作特有の爽快感のあるFPSを楽しんで見て欲しい。

 

では!

 

 

【BF6】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「Battle Field 6」をプレイした感想や、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

なお、マルチプレイに限った感想である。

(本記事の情報は2025/10/19時点を元にしている)

2025/10/11に発売した「BF6」。前作「BF2042」は史上稀にみる大爆死ともいえる散々な結果を出しており、「BFは発売日に買うものではない」という烙印を押されてしまうきっかけを作ってしまった。

それを受けてか、企画元である「EA」は、「本作は原点回帰を重要視する」と発言し、派手なスキンも採用せず、ミリタリーオタクが好みそうな現代銃をモチーフにした現代戦となるように作り上げた。その甲斐あってか、β版の評価は非常に好評であった。

筆者はBF2042の経験から発売直後の購入を見送るつもりでいたが、β版の配信動画をみて非常に面白そうだったので、本作の出来を信用し発売日に購入。約1週間ほど遊びこんでみたので、「本作は買いなのか?」と気になっている人はぜひ参考にして欲しい。

総評

「BF2042の悪評からよくぞここまで持ち返した!」と評価できるほどの素晴らしい現代戦に仕上がっている。やればできるじゃないかEA!

多くの歩兵や戦車、戦闘機が入り乱れ、良質なマップが次々に破壊されて形を変える様子や、各兵科の役割を遂行しながら勝利を目指すさまは、正にBFの黄金期とも言われた「BF3」や「BF4」あたりの感覚を呼び戻させてくれた。

ただ、戦績やチャレンジが飾りとなり過ぎていたり、レベル上げが苦行だったり、弾抜け感が強かったりと、気になる点も勿論ある。そこは考えものだ。

全体的に「カジュアルなFPS」という感じ。BFが好きな人は勿論だが、FPSをやったことが無い人にも、是非ともオススメしたい作品だと思った。

 

どんな人にオススメ?

  • 戦績や勝敗に拘らずに楽しめるFPSがやりたい
  • BF3やBF4時代のBFがやりたい
  • ミリタリーオタクである
  • FPS初心者

といった人にはオススメできる。逆に

  • FPSにはランクマッチなどによる順位付けを求める
  • ゲームをやる時間がそこまで取れない

という人には、ちょっとおすすめしにくい部分はあるので注意してほしい。

 

このゲームの特徴

最大64人のプレイヤーが入り乱れる大規模戦闘FPS

「バトルフィールド」は、今作で15作品目となる非常に歴史の長いFPS作品。他のFPS作品との大きな違いは、

  • 超強大なフィールドに最大64人のプレイヤーが集まって行うバトル
  • 歩兵以外にも戦車やヘリなどの軍用兵器も多数登場し、自由に操作が可能
  • スキルなどの特殊能力はなく、壁ジャンプや長距離スライディングなども無い、重厚なプレイ性

という点にある。中でも大人数かつ兵器が入り乱れる中で戦う要素は、他のFPSにはない独特の要素で、これこそが長い間ファンに親しまれて来たゲーム性でもある。

プレイヤーはただの一兵士であり、スキルやアルティメットといったヒーローシューター要素は一切ない。スローテンポ気味に、ジリジリと戦況を切り開いていくような、地に足ついたプレイが遊びの中心となる。

戦場は、開けた大地から山岳地帯、市街地までと多岐にわたる。各マップで得意な武器種や登場する兵器の数も異なるため、戦場や戦況に合わせて、使う装備やプレイングが変わっていく。

広大な戦場を、1人の歩兵として駆け抜けていくFPS

市街地を舞台にしたCQC中心マップも存在

輸送ヘリを誤り、味方を戦場へと送り出すタクシープレイも可能

また、マップに立ち並ぶ建物の多くは、戦車の砲撃や対戦車砲の爆撃などで破壊することができる。新たな通路の形成や、敵の隠れる場所を無くすなどのプレイングが可能となる。

目の前の建物の壁が、戦車の砲撃を受けて崩れ、中が丸裸に…このマップ破壊表現もBFの特徴だ

 

兵科制の復帰と、武器やガジェットを組み合わせたロードアウト

BFといえば、「突撃兵」「工兵」などの兵科制が大きな特徴だ。各兵科で出来ることに差があるため、分隊内で兵科構成を検討し、状況に応じて適切な兵科が自らの仕事をこなすことで、戦況を有利に変えていけるのだ。

本作では

  1. ARを得意とし、グレネードランチャーなどの攻撃ガジェットと組み合わせ、前線で道を切く「突撃兵」
  2. SMGを得意とし、兵器の修理や対兵器用装備の使用など、兵器に特化した性能性能を持った「工兵」
  3. LMGを得意とし、回復や弾薬補給、バリケード設置など、歩兵に対する支援を中心に行う「援護兵」
  4. SRを得意とし、敵のスポットやミニマップへの可視化などの索敵能力を有した「偵察兵」

の4つの兵科が存在。プレイヤーは4つの中から1つの兵科を選択し、戦場に赴くこととなる。1チームや1分隊の中で兵科の選択可能数に制限はなく、試合中に兵科を好きに変えることもできる。

兵器の修理と、対兵器装備を持つ工兵

戦車に張り付き、修理を行って、戦車に道を切り開いてもらう

味方の回復や蘇生、弾薬補給などの支援が得意な援護兵

倒れた仲間を即蘇生し、全然復帰させるガジェット「除細動器」を持つ

各兵科で、メイン武器、サブ武器、ガジェットを決めたロードアウトを構成する。兵科によって得意な武器はあるが、特に縛りなく、自由に使用武器を決められる。例えば、突撃兵はARが得意だが、SMGやSRなどを持つことも可能だ。

武器にはマズルやバレル、サイトなど様々なアタッチメントを装着でき、アタッチメントによって反動軽減や取り回しの強化など、武器そのものがより扱いやすくなっていく。アタッチメントごとにコストが存在しており、武器の許容コスト内で自由にアタッチメント付け替えが可能だ。

兵科毎のロードアウト画面。メイン、サブ武器と、持ち込むガジェットを決めていく

武器のアタッチメントは、コストが許す限り自由に付与することができる

 

大規模戦~少人数戦まで含めた数々のゲームモード

BFといえばでお馴染みの大規模陣取り合戦「コンクエスト」は勿論、攻撃と防衛に分かれて陣地を奪取しあう「ブレークスルー」、歩兵のみの少人数戦で、指定ポイントを獲得しきると勝利できる「チームデスマッチ」など、往年のゲームモードはもちろん搭載。

 

BFお馴染みの大人数陣取りルール「コンクエスト」

 

それ以外にも、本作で新たに2つのモードが追加された。コンクエストに近いものの、試合を進めるうちに戦場サイズが縮小していく大人数戦ルール「エスカレーション」と、CoDでいうところの「ハードポイント」と同じ、点々と変わる拠点を確保し続けて規定ポイント到達を目指す少人数戦ルール「キング・オブ・ザ・ヒル」だ。

コンクエストと似た陣取り合戦である「エスカレーション」。拠点数が多く、細かく配置されているのが特徴

拠点を制圧し続けているとポイントを入手し、段々と占領可能拠点の数が少なくなっていく

少人数戦では、狭いマップを舞台に、時間ごとに切り替わる拠点の確保時間を競う新ルール「キング・オブ・ザ・ヒル」

 

独自でマップやルールを作成して公開、利用できる「ポータル」

前作「BF2042」から存在している「ポータル」。自分でサーバをたて、マップレイアウトを構築したり、ルールを決めたりして公開することで、他プレイヤーに遊んでもらえるモードだ。

利用者として使うことも可能。ポータルの検索窓口から、自分が望むルールを持ったサーバを検索して入ろう。

検索フォームから、自分がやりたい設定を持つサーバを選択。人気のあるサーバを順番に表示させることも可能

 

 

このゲームの良い点

良マップの数々!洗練された破壊表現!

個人的に本作で一番良かった点は、良マップの数が多いこと!前作「BF2042」はとにかくクソマップのオンパレードであり、遊ばなくなった一番の理由がこれだった。

  • 遮蔽物がないだだっ広いマップをひたすらに走り続ける
  • 拠点同士が離れすぎて、敵になかなか出会わず、数分間走っているだけのこともある
  • 敵拠点に向かっていると、遠くで構えているSRに撃ちぬかれて、また1から走り直しになる
  • 全プレイヤーが室内エリアに集まり、そこでしか陣取り合戦が行われず、コンクエストのルールが無視されている
  • 1か所にプレイヤーが集まり過ぎて戦況が理解できない

といったことばかりで、プレイしていてまったく面白くなかった(筆者が遊んでいたシーズン1までの感想なので、その後に追加されたマップの中にはいいマップもあったのかもしれないが)。

BF2042に対する感想記事はこちら

www.akiyoshiblog.work

が、本作に登場するマップは、拠点間隔がコンパクトなうえ、無駄に広い空間もなく、良い感じに遮蔽物が形成されている。そのため、近中距離での接敵機会が多く、裏どり行為もしやすい。また、拠点同士が近いので、「自拠点の確保を優先してから敵拠点に向かう」という勝利を目指すプレイ意欲にも繋がる。特に市街地が舞台のマップは、兵器もあまり出てこず、歩兵同士での近距離戦が多いため、「あ、今自分はFPSをしている」という感覚をしっかり持つことができた。

モードとマップの組み合わせによってはクソマップが無いわけでない。ブレークスルーの「ミラクバレー」マップは、攻撃側に第1フェーズを突破させる気が無いようなクソマップだ。しかし、同じマップでも、コンクエストやエスカレーションといった別モードでは、兵器と歩兵の双方が激しく入り乱れる熱い陣取り合戦ができる面白いマップになっている。運営側がBF3やBF4のマップを研究し、かなり綿密にマップレイアウトを考えたのだろうことが伝わった。

開けていながらもプレハブや土嚢が点在して遮蔽物もあるマップ。このようなマップ構造が多く、戦いやすい

コンクエストマップでの拠点同士の間隔もコンパクトに作られ、陣取り合戦が発生しやすい

マップ破壊表現も素晴らしい。建物の壁を壊すことで芋っている敵を露わにし、拠点侵攻の道筋を形成しやすい。また、地面を爆発物で爆撃すると、簡易的な塹壕が形成されるので、遮蔽物が無い場面で、正面に待ち構える敵と戦う時の戦術にもできる。試合が進むにつれ、戦場の姿が刻一刻と変わる様は、BF特有の「戦場で戦っている」感をしっかり提供してくれていた。

 

「どんなプレイもOK」な自由度と、初心者でも遊べるゲーム設計はすごい!

「Battle Field」と言えば、

  • 空では戦闘機同士がドッグファイト
  • 戦闘ヘリが歩兵を空から蹂躙
  • 暴れる戦闘ヘリを、地上から複数の対空ミサイルで攻撃
  • 戦車が砲弾と機関銃でビルの壁を破壊
  • 超長距離から、敵の進行を食い止めるためにスナイピング

などなど、他のFPSでは見ないどんちゃん騒ぎ感や、どんなプレイをしてもOKな自由度が特徴だ。

FPSが得意ではなくても、戦闘機や戦闘ヘリの扱いが得意なら、航空兵器専門として空から地上を蹂躙し続けるプレイもOK、味方戦車の修理と、対戦車ミサイルによる敵戦車破壊をずっとやり続けるプレイもOK、敵を一切キルせず、負傷した味方プレイヤーの回復や救援をやり続けてスコアトップを目指す衛生兵プレイもOKだ。ネタプレイをしたい人にとって、本作程自由に色々できるFPSもそうはないだろう。

 

また、本作はFPS初心者にも優しいのもうれしいポイント。

昨今人気のヒーローシューターや、BFシリーズ同様人気のFPSである「CODシリーズ」は、FPSの基礎だけでなく、スキルやストリークの効果や使い所まで理解しないといけず、初心者参入の敷居が高い。しかし本作は、ガジェットの効果を理解しておくくらいで、他は泥臭いFPSの基礎知識しか要求されないので、初心者でもFPS慣れがしやすいのだ。

また大人数戦が主力コンテンツなのも初心者にはありがたい。1チームの人数が多くなれば、1人が戦況に与える影響は少なくなる。どんなにFPSが上手いプレイヤーでも、物量や兵器の暴力には叶わない。逆に言えば、FPSがへたくそでも、味方陣営の足を引っ張る度合いは少ないともいえる。FPS初心者で味方に迷惑をかけてしまうのが怖い、と感じるプレイヤーでも気軽に楽しめるので、FPS初心者にこそオススメしたい作品となっている。

 

プレイして残念な点

レベル上げやチャレンジ達成が苦行…

用意されている多くの武器やガジェット、武器アタッチメントを解放するには、プレイヤーランクや武器レベル(ゲーム内でいうとマスタリー)を上げる必要があるが、これが非常につらい。1回約20分ちょっとのコンクエスト1戦を行い、スコアTop3に入ったとしても、プレイヤーランクは2~3ほど、武器レベルは3~4ほどしか上がらない。上限がどこまであるのか明確には見えてないが、約25時間プレイしても、プレイヤーランクや使い続けている武器が最大レベルまで到達しなかったので、とんでもない量が要求されるのは間違いない。長く遊び続けてもらうためのシステムなのだろうが、さすがにこれはやりすぎだ。1日に1時間くらいしかゲームができない、というプレイヤーは、特定の兵科や武器に絞って遊び続けないと、まともな量のコンテンツが解放されないので注意しよう。

一応、公式もこの問題は認識しているようで、即座にレベル上げしやすくなるように調整が行われている。ここは気長に待ちながら遊び続ける他ないだろう。

 

また、「特定武器でヘッドショットを何回実施」や「特定兵科でスコアを何点獲得」というような、いわゆるやり込み要素である「チャレンジ」が存在するが、これもつらい。1つのチャレンジの達成条件をとっても、1000キル到達、とか、100回達成、とか、どれもかなりの時間を要求されるものが多い。中には運営に「あなた達はこれを達成できるのか?」と聞いてみたいほど、到達不可能に近いやり過ぎチャレンジまである。チャレンジを達成しないと解放されない武器やガジェットもあるので、全てを手に入れようと思うとチャレンジ実施は避けられず、苦行を強いられるのは何とかしてほしいところだ。

試合での実績によって武器やガジェット、スキンなどが入手できる「チャレンジ」。内容には多くの時間を有するものが多い

 

戦績やチャレンジが飾りとなり過ぎ…

昨今のFPSでは、ランクマッチによる階級の明確化や、KD率やSPM、勝率などの成績表の一覧化表示など、自分の実力を可視化して他プレイヤーと比較できる要素が多く揃っている。多くのプレイヤーが、自らの戦績を引き上げようと熱中してやりこむことで、そのゲームの人気が成り立っている、といっても過言ではない。

しかし、本作にはランクマッチなんてものはないし、成績表も累積KD率がプロフィールから見れるくらいだ。このKD率は歩兵だけでなく、兵器によるキルや、botをキルした数も加算されているので、兵器ばかり使ったり、レンタルサーバーでbotをたくさん入れてプレイし続ければ、あっという間にものすごい戦績を出せてしまう。BF Trukerというボランティア?の戦績比較サイトでは、KD率以外にSPMやKPMが確認できるが、これも兵器やbot相手の戦績が加算されるので、正確な実力がわからない。

他の人と比較して強さを決めるようなランキング要素が無いので、どこまで行っても自己満でしかない。2020年辺りの、FPSが日本で大きく人気になりはじめた際にハマった新参兵にとっては、「何が面白いのかわからない」と感じてしまうかも…とちょっと心配である。

 

銃撃時のヒット判定がおかしい…

BFにしてはかなり頑張って品質確保している方ではあるが、それでもバグがちらほらあるのは否めない。

一番気になったのは弾抜けだ。レティクルの中心に敵を捕らえて撃っても、なぜかヒット判定が出ない場面が見られたのは気になった。弾速と弾の拡散というシステムのせいで、動き回る敵に出してフルオートで撃ち続けるとあまり当たらないようになっているのだが、それでも流石に抜けすぎているように感じた。

運営によると、連射時の拡散値がバグっているらしく、修正目指して奮闘中とのこと。そこが直れば、もう少し納得できる撃ち合いができるかもしれないので、気長に待とうと思う。

この距離では、フルオートはおろか、タップ撃ちでも弾が抜ける。弾の拡散値の酷さと弾速の遅さはもう少し何とかしてほしい

 

まとめ

BF2042の失敗を払拭し、古風ながらも手堅く面白い作品へと昇華された良FPS「BF6」。

過去のBFが好きだった人や、地に足ついたプレイがしたい人にとっては、非常にオススメできる作品になっていることは間違いない。

前作の大失態を受けて買うのを渋っているプレイヤーもいるかもしれないが、少なくとも前作のような問題は起きておらず、人気作だったBF3や BF4のようなゲームができることは保証する。気になっているのであれば、是非とも購入してみてほしい。

 

では!

 

 

【サイレントヒルf】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「SILENT HILL f」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事の情報は2025/10/2時点である)

2025/9/25に発売された「SILENT HILL f」。2000年前後に絶大な人気を誇っていた「サイレントヒルシリーズ」の正当続編だ。これまではアメリカの架空の街「サイレントヒル」が舞台だったが、本作では一転、日本を舞台にした作品に仕上がっている。

筆者は「サイレントヒルシリーズ」は、リメイク版の「サイレントヒル2」を遊んだことがあるのみ。そんな筆者だが、発売前の宣伝内容に物凄く惹かれ、デラックスエディションを購入して48時間の先行プレイ権まで駆使して遊んだ。全エンディング到達まで遊んでみたため、本作に関する感想をまとめていきたい。

 

総評

細かな部分で思うところはあるが、個人的には神ゲーだった。

  • 暗闇やジャンプスケアに頼らずとも醸し出せる恐怖感
  • 考察要素は残しつつも、綿密に描き込まれたストーリー展開
  • 探索しがいのあるマップ
  • 洗練された周回要素の数々

と、多くの要素が実に優れており、プレイしていて常に楽しかった。ここまで作りこまれた作品は、ホラーゲームの垣根を越えて比べてみても、そうそう出会えるものではないと思う。

「サイレントヒルシリーズ」としてみると、本作はちょっと異質な毛色の作品ではあるが、だからと言って毛嫌いしてプレイしないのは非常にもったいない。ホラーゲームファンや考察マニアなどをはじめとした多くのプレイヤーに、是非とも遊んでみてほしいと思える作品だった。

 

どんな人におすすめ?

  • 謎解き型サイコホラーゲームが好き!
  • 考察し甲斐のある作品が好き!
  • やりごたえのあるアクションゲームがやりたい!
  • 周回要素が欲しい!

といった人にはオススメできる。逆に、

  • 周回要素は遊ばない
  • 考察要素は少なめで、わかりやすいストーリーが見たい
  • 「サイレントヒルシリーズとはこういうもの」という拘りがある
  • 近接主体アクションを遊んだことがない

といった人には合わない可能性があるため、注意してほしい。

 

このゲームの特徴

霧に包まれた田舎町と無機質で暗い神社を探索する謎解き×ホラーアクション

本作は、奇妙なクリーチャーからの襲撃を切り抜けながら、各地に散らばった謎を解いて物語を進めていく謎解き×ホラーアクションのゲームである。

本作の舞台は、田んぼや無造作に作られた建物が立ち並んだ田舎町である「戎ヶ丘」と、暗闇に包まれた日本庭園や神社のような施設の2つを切り替えながら探索する。「戎ヶ丘」は町中が深い霧に包まれており、人の姿も見当たらず、不気味な雰囲気が醸し出されており、寺院では全体的に暗く、無機質な空間が続くため、美しくもどこか不安な感覚を覚える。

深い霧に覆われた古い田舎街「戎ヶ丘」が本作の舞台

暗く、無機質な空間が広がる謎めいた神社も物語の舞台だ

各地には、鍵のかかった部屋や、道を塞ぐ謎めいたオブジェクトなどが散りばめられており、いわゆる「謎解き」が必要な場面が登場する。謎を解くためのヒントを片手に、プレイヤー自身で突破する方法を模索していく。

道中で手に入れる鍵で、これまで入れなかった場所に入ることができる

各所で用意される謎解きパートを攻略することで、キーアイテムを入手していく

 

近接武器を振り回し、敵の攻撃を回避して戦うアクション

町中には異形の怪物が徘徊しており、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくるので、近接武器を使って戦闘をしていく。武器は鉄パイプ、包丁、斧など複数種類が存在し、武器によって火力やリーチ、攻撃モーションなどが異なる。どの武器にも耐久力が設定されており、敵を攻撃すると耐久値が減って、ゼロになると武器が壊れてしまうので、戦うのか、逃げるのか、といった選択が重要になってくる。武器は道中に落ちており、最大3つまでストックが可能で、臨機応変に持ち替え可能だ。

様々なクリーチャーが徘徊し、襲い掛かってくるため、近接武器を使用して戦う

攻撃は弱攻撃、強攻撃という大きく二つの手段が存在する。また、「精神力」という専用ゲージを消費したチャージ攻撃も可能で、発動には時間がかかるものの、非常に高い火力で攻撃ができる。

また、戦闘時のあらゆる行動にはスタミナを消費し、0になると一定時間行動不能となるため、スタミナ残量を確認しながら戦っていく管理要素も存在する。

近接武器を振り回して攻撃。弱攻撃、強攻撃などのコンボをつなげていく

敵の攻撃の直前に体が赤く光る時がある。その際に強攻撃を行うと「見切り反撃」ができる。高火力、かつ確実に敵の攻撃を止めることができるため、リスクに見合った非常に有効な攻撃手段だ。

敵の体が赤く光った時に強攻撃をすると、強力な「見切り反撃」が実施できる

◯ボタンを押すと、任意のタイミングで回避行動が出せる。スティックを倒した方向に素早くステップ回避できるため、ホラーゲームとは思えないスタイリッシュなアクションを繰り出せる。敵の攻撃が当たるタイミングに回避するとジャスト回避が発生し、消費したスタミナを全回復できる。

敵の攻撃に合わせて回避するとジャスト回避が発生。スローモーションになるのと合わせ、スタミナが全回復する

 

功徳をやり繰りする強化要素

フィールド上では、ようかんや干菓子といったアイテムを入手できる。これらを使うと体力や精神力が回復できるが、それだけでなく、セーブポイントで奉納することで「功徳(くどく)」を一定数入手できる。手に入れた功徳は、プレイヤーを強化するための様々な要素に利用していく。

探索中に入手したアイテムを奉納することで「功徳」を入手できる

まずはプレイヤーのステータス強化だ。功徳と専用アイテム「祈願絵馬」を消費し、体力、精神力、スタミナ、お守り保持数のいずれかのステータスを増加できる。ステータスは複数回強化が可能で、複数回強化することでより強化されていくが、必要な功徳の量も上がってくる。1周で入手できる功徳や祈願絵馬の量には限りがあるので、どのステータスを主体にしてあげていくか、考えながら強化していくこととなる。

「功徳」を消費して、プレイヤーのステータスをアップできる

もう一つは、新お守りの入手だ。功徳を消費して「おみくじ」を引くことで入手できるお守りには「最大体力増加」「特定条件下での攻撃力増加」「敵に気付かれにくくなる」など、戦闘や探索に役立つ効果を持っている。

入手したお守りは、装備画面で適宜付け替えが可能だ。前述の「功徳」消費によるステータス強化で、所持できるお守りの量を増やすこともできる。

「功徳」を消費して、新たなお守りを入手できる

お守りごとに特殊なバフ効果を得ることが可能だ

お守りは装備画面で適宜付け替えることが可能

また、特定の難易度では「精神力」を回復させるために「功徳」を使用することもある。「精神力」はチャージ攻撃に使用したり、見切り反撃を行いやすくするために使用したりするため、戦闘では使用機会が多いので、「功徳」で回復することも立派な戦術である。

 

ユーザに合ったゲームプレイ設定

本作では、敵の強さを全3段階から選ぶことができる。一番下の難易度「物語重視」は、過去のサイレントヒルシリーズ相当のアクション難易度に収まるため、多くのプレイヤーが遊びやすい難易度となる。戦闘難易度はゲーム中いつでも変えることができるため、ゲームを遊んでいる中で「勝てないな」と思うなら、難易度を下げてゲームを楽しむことができる。

 

また、謎解きにも全3段階の難易度設定が可能。謎解きはノーマル難易度である「困難」でも、結構考えないとわからないような歯ごたえがあるため、「謎解きが苦手だな」と思う人は、謎解き難易度を一番下である「物語重視」に下げることで、手軽に遊べるようになる。

 

1960年代の田舎町で、「女性」としての葛藤を描く物語

本作の主人公「深水雛子(しみずひなこ)」は、高圧的な父親と、それに対して従順に従う母親とともに暮らす女子高校生。「雛子」には唯一の理解ある姉もいたのだが、結婚と同時に家を去ってしまい、その後は嫌々ながら生活をしていた。

本作の主人公である女子高校生「深水雛子」

ある日、父親と喧嘩した「雛子」は家を飛び出し、友達とだべろうと駄菓子屋「千鶴屋」へ向かう。「千鶴屋」にて、「修」や「凛子」、「咲子」といった友達と談笑をしていると、突如として街に霧が立ち込め、それと同時に正体不明の怪物に追いかけまわされることとなる。その後「雛子」は、人の気配が消え、奇怪な怪物が蠢く「戎ヶ丘」を探索するうちに、自身の内面に湧き出る謎の気持ちを相手に葛藤していくこととなる。

友達と千鶴屋で談笑する「雛子」だったが…

突如として街が深い霧に包まれ、怪物に襲われるように

果たして「戎ヶ丘」はどうなってしまったのか、突如現れた、「雛子」を気遣う謎の狐面の男は何者なのか、そして「雛子」が抱えている心の闇とは何なのか…1960年代という古い時代に「女性」として向き合わなければならない選択に対する「雛子」の結論を見届ける、美しくも恐ろしい物語が幕を開ける。

ゲーム序盤から、「雛子」を常に気遣う狐面の男性。彼は一体何者なのか…

本作はストーリー道中でプレイヤーがとった行動によりエンディングが変化するマルチエンディングを採用している。また、周回プレイ前提のストーリーにもなっており、1周目は全プレイヤーが同じエンディングに到達するが、2周目以降はプレイヤーのとった選択によってストーリーが分岐するように作られている。

 

このゲームの良い点

精神をえぐってくる恐怖演出が素晴らしい!

筆者は本作を遊ぶ直前に「サイレントヒル2リメイク」を遊んだが、この作品は真っ暗な閉所をライト1つで探索する場面が非常に多く、ただ暗闇の押し付けによるホラーに頼り切っている印象で、「暗闇による恐怖」ではなく「暗闇による疲労」が色濃く残った印象だった。

(サイレントヒル2リメイクのレビュー記事は以下を参照してほしい)

www.akiyoshiblog.work

本作では、真っ暗なシーンは一切なく、必ず画面全体を照らす光が何かしらあるため、「暗闇による恐怖」は少ない。その代わり、精神を抉ってくるホラー描写が至る所に散りばめられており、「サイレントヒル2リメイク」よりもかなり怖い印象を受けた。暗闇演出に頼らず、ここまでホラー要素をしっかりと突き詰められるのはすごいな、と感心してしまった。

 

精神を追い詰めてくる音響

個人的に1番きつかった要素。探索中は常に不穏な音楽が鳴り続けており、不安感や、何か不吉なイベントが起こりそうな予感を掻き立ててくる。また、敢えてなのか敵の足音が非常に大きくなっており、突如として「ガシャガシャ」「ドタドタ」という音を立てて敵の走る音が背後から聞こえた時には、「やべ、バレた!?」という焦りが一気に押し寄せた。ヘッドホンをつけると、音の恐怖感がダイレクトに伝わり、背筋がゾッとするような恐ろしさを共にしながらプレイできるのでおすすめだ。

 

不気味なステージと敵の造形の数々
  • 日本人形が大量に並ぶ部屋
  • 子供が書いた可愛らしくも不気味な人物絵で覆われた部屋
  • 人気がなく薄暗い学校の廊下

など、日本人であれば誰もが聞いたり見たりしたホラー演出が散りばめられており、それらのそばを通るだけでもゾクっとする。また、イベント後に急に風景が赤黒い世界へ切り替わるなどの演出もあるので、サイコホラーとしての特徴をしっかり備えている点も良い。死体かと思わせておいて、イベント後に戻ってくると姿が消えている、と言ったゾンビゲームあるあるな展開も忘れてはいなかった。

何もなかった壁を振り返ると、急に首のない日本絵画と「奴を信じるな」という文字…急に現れる恐怖演出で「ヒヤッ」とさせられる

敵の造形はどれも恐ろしいが、特に一番戦闘機会が多い「カカシ」が怖い。人間に似た見た目ながら、顔は能面のようであり、動きも人形のようなカタカタとした動きなので、「不気味の谷」に落ちているような感覚がダイレクトに伝わってくる。演出の一環として、「カカシ」をじっと見ないといけないような場面もあり、その時は思わず画面から目をそむけたくなった。

「カカシ」のまじまじと見るような場面…思わず目をそむけたくなる…

 

敵の奇襲によるびっくり演出

敵の中には、天井や曲がり角などの様々な死角に、全く音を発さずに潜んでいる者もいる。側を通りかかると、急に怪しげな声を発して襲いかかってくるため、その度に非常にびっくりさせられた。また、部屋の襖を開けると目の前で敵が待っていた、という場面や、演出を見届けた直後に急に目の前に敵が現れた、というような要素も存在しており、常に気が抜けなかった。

「ジャンプスケア」という、爆音&恐怖映像を突如出して驚かす演出はなく、お化け屋敷でのびっくり演出に近い感じなので、ジャンプスケアが苦手なプレイヤーでも遊べるびっくり演出な点もよかった。

 

恐怖症、不快感を抉ってくるような演出

重合体恐怖症の人は見ていられなくなる演出やグロテスクな描写などを包み隠さず出してくるので、人によってはプレイ自体に大きなストレスがかかる可能性がある。ゲーム開始時に、本作の注意事項として「性差別」や「児童虐待」「いじめ」「薬物による幻覚」「拷問」「強い暴力表現」がある、と表記されるが、正にその通りの描写が容赦なく描かれているので、人の根本にある恐怖感、不快感をダイレクトに来るような演出はすごいと感じた。特にとある儀式のシーンは…これ以上はネタバレにもなるのでやめておこう。

 

「主人公がパワフルなので怖さを感じない」というレビューもあるが、それはホラー耐性のある人間のコメントだと思った方がいい。それでも気になるなら、筆者と同じく、ゲーム開始時の戦闘難易度を「困難」にして遊んでみることをオススメする。一気に緊張感が増し、その分ホラー演出による抉られ度合いが引き上がるはずだ。

 

考察し甲斐がある見事なストーリーテリング!

1周プレイするだけでは、本作のストーリーはよくわからない。そのため多くのプレイヤーが2周目をプレイすることになるのだが、周回時にどのルートを迎えるかによって、1周目での不明点に対する答えをそれぞれ用意してくれる。

  • 謎の狐面の男の正体
  • 「雛子」が服用している薬の正体
  • 「雛子」本人が持つ悩みと考え

など、明確に提示されていなかった謎がどんどんと明かされ、1周目に提示された謎解きの答え合わせをしているような達成感、気持ちよさが癖になった。そして、一番最後にトゥルーエンドを迎えた際、本作のストーリーのまとめ方に、大きな感動を覚えるまでになった。周回前提ゲームの中で、ここまで感動できるストーリーを描いた作品は、「ニーアオートマタ」と本作くらいだろう。

また、道中に拾える文書を読み込んでいくと、そこでもストーリーの裏を説明するような内容が書かれている。これを読み込むのも、ストーリー理解がよりでき、ストーリーの面白さを実感できた。

文書を読み込むことで、物語の裏までしっかりと理解でき、より本作への理解が進む

これから遊ぶ人は、ぜひ順番にストーリーを攻略し、4周分プレイして、トゥルーエンドを迎えてほしい。本作のストーリーの作り込みの高さに感動できること間違いなしだ。1周クリアに約10時間あればクリアできるし、4周クリアにかかる時間は約30時間と、ボリュームとしてもちょうど良い。そのあとは文書を集めたり読み込んだり、マップを隅々まで見てみて考察したりして、よりストーリーへの没入感が増すことこの上なしだ。

 

洗練された周回プレイ向け要素!

周回前提のデザインをしている為か、周回プレイ時にストレスや不満がたまらないような要素がいくつも用意されているのは好印象だった。

 

ストーリーでの会話や文書の変化

本作では、1周目と周回時で各所で見られるムービーの一部が変わっており、これらを含めて見てストーリーの全容がわかるように作られている。また、手に入れる文書も、1周目と周回時で内容が異なっているし、1周目では入る事のできなかった部屋が解放されていたりもする。周回プレイ前提のゲームにあるような、「エンディング辺りの演出が変わるだけで、ストーリーの大部分は変わらず、同じ場面を繰り返し見るだけでなのでつまらない」といった既知感が生じにくくなっているのは素晴らしかった。

 

手軽な謎解き要素

本作の謎解きは、リニア形式でステージをクリアし、順番に手に入れたキーアイテムを使って、最後のエリアで謎解きをする、というシンプルな構造をしている。各ステージのサイズも、一部エリアを除いて小さめなうえ、答えが解っていれば途中過程をすっ飛ばして先に進める場面もあるので、慣れればサッと突破できる量だ。

他の謎解き型ゲームにあるような、中規模サイズのマップを、答えがわかっていたとしてもキーアイテムを入手すべく右往左往して、という要素は極力削られているので、周回プレイ時のだるさを感じにくくなっているのは見事だった。

 

各種能力やお守りの継続

周回する際には、前回までに強化していたステータスや、手に入れていたお守りは続投されるので、1周目よりも戦闘がやりやすくなり、よりサクサクと進められるようになる点はよかった。戦闘難易度を上げてプレイする際も、事前に能力強化できた状態で遊べるので、いきなりプレイする際よりも圧倒的に遊びやすくなった。

 

他エンディングの到達条件の提示

本作はマルチエンディングなので、周回プレイ時には他のエンディングを見るように務めると思うが、どうすれば他のエンディングに到達できるのか分からず困る場面が多い。

本作では、ゲーム機動画面からストーリー文化の起点となる出来事をまとめてくれているので、攻略情報を見ずともある程度は分岐方法を理解して進められるようになっているのは良い点だった。

 

ユーザーフレンドリーなゲーム設計!

複雑なマップを探索することになるので、プレイ中は頻繁にマップを開き、自分がいる位置や目的地を比較していくのだが、その際のマップ表現が実に優れている。

  • 鍵がかかったドア、開通しているドアはどこか
  • 謎解きが必要なオブジェクトがあった場所がどこか
  • 謎解きのヒントとなるワードは何か

など、探索し続けていると忘れてしまう要素を勝手にマップに書き込んでくれるので、後になって見直しがしやすい。これは探索メインの他のゲームでも積極採用してほしい要素だと感じた。

また、周回プレイ時に見るムービーはいつでもスキップができるが、新しい要素が取り入れられたムービーは、スキップしようとした際に「新規内容をスキップする」と画面表示されるので、変更点があるのかどうか一目でわかりやすい点もよかった。

 

このゲームの悪い点

戦闘バランス設計がイマイチ…

ソウルライク作品経験者かどうかで、本作の戦闘難易度に対する感じ方が違う上、どっちにも寄り添い切れていないイマイチなバランス設計なのは気になった。

登場する敵の多くの攻撃には予備動作がほぼないので、今は回避すべきか、攻撃してよいのかがわかりにくい。また、見切り反撃ができる攻撃とできない攻撃の予備動作にも違いがあまりないので、全攻撃に対してとりあえず回避してしまい、見切り攻撃の機会を逃すことが多い。更に、連続攻撃や長距離を移動する攻撃も持っており、距離をとっり回避したりしたつもりでも、一気に詰められてダメージを受ける場面も多い。

明らかにソウルライク作品に慣れた人向けの戦闘設計であり、これで「本作をソウルライクと言うな」は無理がある。少なくとも、近接主体のアクションゲーム経験がないプレイヤーは、最低難易度でも苦戦する可能性があるので注意してほしい。

ではソウルライク作品経験者にはどうかというと、最低難易度では敵の火力が少な目なうえ、セーブポイントに行けば無償で一定量の体力を回復できるので、簡単に感じる戦闘バランスなのは気になる。かといって1つ上の難易度である「困難」にすると、敵の火力が2倍ほど増加し、他ソウルライク作品と同等かそれ以上に難しいので、「これはホラーゲームなのか?」と疑問に感じる場面が目立つ。筆者は1周目から難易度「困難」で挑み、途中で難易度を下げず何とかクリアしたが、ゲームオーバー回数はホラーゲームとは思えない程にあった。

「物語重視」と「困難」の間に収まる難易度があると、ちょうどいい緊張感で遊べた気がするだけに、難易度設計の悪さは残念でならなかった。

まあ、戦闘難易度「困難」で遊ぶと、敵の足音が聞こえる度にとてつもない恐怖感が襲ってくるので、逆にちょうどいいのかもしれないが…

 

一部謎解きの理不尽さは異常…

謎解きは全体的にコンパクトで遊びやすく、それでいて頭を捻る必要のある謎解きが多いので、基本的には好印象だった。しかし、特定の謎解きは理不尽とも思える難しさなのは気になった。特に物語終盤で挑む謎解きは、謎解き難易度最低の「物語重視」であっても、突破するのに30分は時間を要した。

謎解きのヒントがわかりにくいだけでなく、そもそもヒントにすらなっていないものまであるので、それが攻略難易度を跳ね上げている。正解がわかってもイマイチ釈然としなかった。謎解きに対して爽快さを求める人は、ちょっと首をかしげる要素があるのは気に留めておいてほしい。

 

男性声優の演技力には疑問が残る…

本作に登場する主要な男性キャラ3人について、日本語版声優の演技力は少々気になった。鼻にかかった、少し濁った声質をしており、そのせいか棒読みに感じてしまうのだ。女性キャラの演技は全員非常に良かったため、より男性陣の演技力の残念さが目立ってしまっていた。筆者は演技に対して非常に思いがあるような人ではないが、そんな筆者でも気になったレベルなので、おそらく多くのプレイヤーが引っかかる部分だと思われる。

それでも、「修」と「狐面の男」の2名は、遊んでいる内に慣れてくる。しかし主人公「雛子」の父親の演技は結構どうしようもない。「亭主関白で、家族に怒鳴りかかってくるひどい父親」というキャラ設定なのだが、声優の演技を聞いた感じ、「大人しい人が『怒っている演技をして』という指示を受けて頑張って怒っている」という感じで、正直全然恐くない。一応、本作を進めていくと、その理由も少し説明されるパートはあるが、それでもなんか違うと感じた。ここだけでももう少しマシな演技をしてほしかった。

 

まとめ

サイコホラーとして、これ以上ないほどの見事なホラー演出とストーリーテリングを兼ね備えた、正に神ゲーといっても良い作品だった「SILENT HILL f」。とにかく本作の考え抜かれたストーリーとホラーを是非とも多くのプレイヤーに体感してほしいので、「ホラーが苦手」という人でも本作をあそんでほしいところだ。

 

では!

 

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【Withering Rooms】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版「Withering Rooms」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

(本記事の情報は2025/9/19時点である)

2024/4/5にリリースされた「Withering Rooms」。商品紹介ページにはソウルライクとローグライクを掛け合わせたゲームと称され、多方面での評価も高い、隠れた名作的な扱いをされている作品だ。

「何か面白そうなゲームはないかな」とPS Storeを散策している中で本作を見つけ、評価が高いので気になって購入。一通りゲームを遊び、Aエンディングをクリアしたので、本作はどういうゲームなのか、良い点、悪い点はどこなのか、まとめていきたい。

 

総評

きつい言い方になるが、評価の理由が全く理解できない程に残念なゲームだった。これまでいくつかの2Dソウルライク系作品を遊んできたが、そのどれよりもひどい。個人的にはクソゲーであり、周回プレイが用意されているものの、1周クリアするだけでこれ以上はやりたくないと感じた。

とにかく戦闘システム周りが劣悪。かつソウルライクのような難易度をしていながら、下手にローグライク要素が入っているせいで、優れた装備が手に入ってもゲームオーバーで全ロストし、その回収にまた膨大な時間がかかり、噛み合いが悪い。

やり込み要素は結構充実しているので、戦闘システム周りが優れていれば、非常に面白いゲームになったであろうに、あまりにも勿体ない。「ソウルライク×ローグライクって面白そう」という安直な考えで購入すると、筆者のように痛い目を見る可能性がある。基本的にはおすすめしない作品だが、それでも買うのであれば、しっかりと本作のゲーム性を理解して購入してほしい。

 

これから先には、劣悪ポイントをかなりいろいろ書き込んでいるので、本作を気に入っている人が見ると嫌な気持ちになる可能性がある。注意してほしい。

 

どんな人にオススメ?

  • 強いメンタルを持ってゲームをプレイできる
  • 良いアイテムが手に入った際に、逐一拠点へ帰る行為をしても気にならない
  • 周回要素ややり込み要素が入っているゲームがやりたい
  • ビルドを色々試すゲームが好き

という人には買っても良いかもしれない。逆に

  • ソウルシリーズのゲーム性を想像している
  • ストレスない戦闘をやりたい
  • 目に映る敵を全て倒して進みたい

という人にはオススメできない。

 

このゲームの特徴

ソウルライクとローグライクを掛け合わせた2Dアクション

本作は、ソウルライクとローグライクを掛け合わせた、2D探索型のオフライン専用アクションゲームである。

マップはいくつかのエリアに分けられており、それらが地続きで繋がる構造をしている。マップの各所には小部屋が用意され、小部屋の中でゲームを進めるためのアイテムや回復強化アイテムがあるので、探索しながらこれらを入手していく。

マップは照明がたかれた大部屋から、電気の無い真っ暗な空間、毒の状態異常になってしまうような毒沼など、様々なバリエーションが存在している。

怪しげな建物内を移動して探索する横スクロールアクション

真っ暗な通路を、ランタン片手に移動するような場面も

道中には、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくる敵が闊歩している。それらを倒し、奥にいるボスを倒して、また次のステージへ進み、またボスを倒して…ということを繰り返していくこととなる。

武器を持ち、襲い来る敵を時に撃退、時に逃げながら目的地を目指す

マップの各地では、謎解きを求められる場面もある。謎解きのヒントはフィールドのどこかにちりばめられており、ヒントを経て自分で考えて謎を解くこととなる。

ヒントをもとに、3桁のダイヤルの内容を決めるような謎解き要素も

また、本作では一度ゲームオーバーになると、所持しているアイテムやお金を全てロストしてしまうローグライク要素が存在する。1回のゲームオーバーのデメリットがかなり多いため、他のソウルライク作品よりも更に慎重なプレイが求められる作品である。

 

近距離、遠距離武器や魔法を駆使して戦う戦闘

本作の敵は雑魚敵から大ボスまで、全員の攻撃力が非常に高く、1発くらっただけで体力の1/3を削られるような場面も珍しくない。中には怒涛の連続攻撃と高速移動をしてくる厄介な敵も。そういった敵を相手に、各種武器や魔法、アイテムを駆使して戦ったり、物陰に隠れてその場をやり過ごしたり、ひたすらに走って逃げたり、といった行動の中で、最適な戦術を見極めていく必要がある。

右上の赤いバーが、敵の攻撃を1発受けただけで減少したHP。このレベルの火力を持った敵と戦闘を繰り返す

攻撃用の武器には、近接武器、遠距離武器が用意されている。

近接武器はナイフ、斧、パイプなど、いくつかの種類が存在しており、各武器によって火力やリーチ、敵に与える状態異常の内容などが異なる。

炎攻撃ができる「たいまつ」を片手に敵と殴り合う。他にも「ナイフ」や「斧」といった武器も存在

遠距離武器は、投げナイフや各種ビンなどの使い捨てアイテムと、ハンドガンやショットガンのような重火器が存在する。近接武器ほど近づいて戦う必要はなく、かつ火力も高めな手段が揃うが、使用回数に限りがあるので乱発はできず、どこで使うか見定めながら戦う武器種となる。

ダメージを与えるビンを放ち、敵にダメージを与える

投擲物は作業台で素材を消費して作成可能

重火器を手に入れれば、遠距離から高火力の攻撃が可能になる

魔法は、使い捨ての魔法書を消費して発動できる特殊な技。

  • 自身にシールドを展開したり、一定時間体力を回復したりできる防御系
  • 火球を放ったり、地面から槍を突き出すような攻撃系
  • 鎧や魔法の本を召喚して、プレイヤーとともに戦ってくれる支援系

という、ユニークで強力な効力を持つものが多い。しかし、魔法を使用すると「呪いゲージ」が蓄積し、一定値まで到達すると「呪いの腐敗」という状態異常となって急速に体力が下がっていくため、注意が必要だ。

強力な火球を発射する火炎呪文

魔法の発動には消費アイテムである呪文を作る必要がある。魔法台で素材を消費して作成可能だ

戦闘を避けたい場合は、家具などに「隠れる」ことで、敵に見つからずにやり過ごすことが可能。隠れた上で背後からバックアタックを仕掛けるのも戦術の一手である。

家具に隠れ、敵の目を欺くのもプレイングの一種

戦闘中、敵から攻撃を受けそうになった時は、×ボタンで回避が可能。ただ×ボタンを押せばバックステップに、スティックを任意の方向に倒せばローリング回避ができる。

敵の攻撃を、ローリングで回避。バックステップ回避も可能

 

レベルアップや装備収集による育成要素

敵を倒すと、「奉納の儀」というアイテムを入手することがある。このアイテムは大きく2つの使い道がある。

一つは「記憶の祭壇」でアイテムを記憶させる時に使用する。「記憶の祭壇」で記憶したアイテムは、ゲームオーバーとなってもロストしなくなるため、「この装備品だけは絶対持っておきたい」という時に役に立つ。「記憶の祭壇」はマップの各地にあり、全て解放していけば、多くのアイテムをロスト対象から外すことができる。

「記憶の祭壇」でアイテムを記憶することで、ゲームオーバー時のロストを防ぐことが可能

もう1つはキャラのレベルアップだ。レベルアップすると専用のポイントを獲得でき、複数用意されたレベルアップ項目から、アップさせたいものを選んでいく。ここで強化したステータスは、ゲームオーバーになっても消えることはない。

レベルアップで手に入るポイントを好きに割り振り、キャラの強化を行う

冒険中に見つけた宝箱を開けたり、拠点にいる商人にお金を支払うことで、

  • かぶりものと胴装備
  • アーティファクト
  • お守り
  • 指輪

といった様々な装備品を入手できる。手に入れたこれらの装備品を組み合わせ、能力強化を図ることとなる。

純粋に防御力を上げられる装備から、近接攻撃や魔法攻撃の火力をアップさせる装備、特定状態異常に耐性を持つ装備など、様々な効果を持った装備品があるので、自分のプレイスタイルや、相対する敵の特徴を加味して、最適な装備品を選択する。

宝箱や商人などから入手した装備品を自由に組み合わせ、ステータス増加を行う

武器や装備、魔法などは、専用の強化アイテムを使用することで、基礎ステータスをアップできる。

アイテムを使用して、任意の武器をアップグレード可能

 

何度やられても復活する「夢」の世界でもがく少女の物語

本作の舞台は「夢」の中。ここでは何度やられようとも死ぬことはなく、しばらくすれば意識を戻すことになる不思議な世界だ。中にはこの「夢」に囚われ続け、現実世界に存在している自分が生きているのか、死んでいるのか分からなくなっているような人間もいる。

主人公である「ナイチンゲール」もまた、「夢」の世界に取りこまれた住民の一人である。道中に出会う人間から様々な依頼をもらいながら、「夢」の中を探索していく。果たしてこの「夢」の世界は何なのか、「ナイチンゲール」はなぜ「夢」の中にいるのか、そして最終的に「ナイチンゲール」が取ることになる選択とは…

 

なお、本作はマルチエンディングを採用しており、プレイヤーが道中に取った行動によって、最後の結末が変わる作りとなっている。

 

このゲームの良い点

脇道要素や攻略ルートが複数存在している!

ゲーム前半は一辺倒なマップが舞台のため、探索要素は薄いものの、後半では探索できる範囲が大きく増える。入り組んだダンジョンの先にしかいないボスもおり、探索の楽しさは十分あった。

また、ゲームクリアルートが複数あるのも面白い。最短クリアを目指し、数体のボスを撃破して終わり、とすることもできるし、ボスを倒して入手した専用アイテムを使い、別のエリアを解放してその先にいるボスを倒したり、といった遊び方ができる。何度プレイしてもある程度新鮮なゲーム体験を提供してくれるのは良い点だと感じた。

 

豊富なビルドが楽しめる!

本作のビルドは、大きく「近接型」「投擲型」「魔法型」に分かれる。各ビルドで必要となる装備品や、レベルアップ時に鍛えるべき要素が違うので、自分のやりたいプレイングに沿った育成をすると、それなりに戦闘しやすくなっていく。レベルアップによる育成プランを変えたい場合は、指定の場所でコストである「古代の血」を一定数消費すれば、何回でも組み替えられるのもよい。

また、同じ「近接型」でも、

  • ひたすらに火力だけを求めた「脳筋ビルド」
  • 出血や呪いなどの状態異常を組み合わせた「デバフビルド」
  • 投擲攻撃も兼用できる「万能ビルド」

といった様々なバリエーションが存在する。特に「デバフビルド」は、ボスによってはこれがあるとなしとで攻略難易度が激変する程だったので、ビルドを考える利点が多くあった。

更に、ゲーム中盤以降になると、ランダムなバフ、デバフ効果がついたユニーク装備を道中で拾うことができる(ゲーム中に名言はされないが、やり直すたびに効果が微妙に違うので、恐らくランダムなはずだ)。自分の望む効果を持ったユニーク装備を手に入れるまで、何度もステージをやり直していくようなハクスラ的要素もあるのも非常に良かった。

 

意外と豊富なゲームボリューム!

筆者はある程度気ままに探索を行ってラスボス討伐まで至り、クリアにかかった時間は約16時間であった。マルチエンディングを採用しているため、全部のエンディングを見ようとしたら、単純に考えると約50時間ほどかかると思われ、意外としっかりとしたボリュームがあるのは良い。

また、闘技場というメインストーリーとは関係ない戦闘要素や、2週目になると手に入るようになる特別武器の収集など、やり込み要素がしっかりと存在しているのもよい要素だと感じた。

 

難易度を大きく下げた「ナラティブ」が快適!

標準難易度である「ノーマル」は、敵の火力も体力も多く、かなり難しいゲーム性をしている。しかし、難易度を下げた「ナラティブ」にすると、正面からただ殴り合えるレベルまで、敵の強さが大きく下がってくれる。難易度を下げたことによるデメリットもなく、ゲーム中の任意のタイミングで変更ができる点も良い。ノーマル難易度でアイテムをロストし、どうしようもなくなった時に、「ナラティブ」にすれば安定してお金やアイテムを収集できるのはありがたかった。

…まあ、「ノーマル」と「ナラティブ」の差がありすぎるので、両者の真ん中くらいの難易度が欲しい、というのが実態だが…

 

このゲームの悪い点

戦闘システムがあまりにも悪い…

本作の戦闘システムはあまりにも劣悪。これが評価を大きく下げる要因となっていた。それでもゲームの折り返し地点までは耐えられたが、それ以降は敵の強さもインフレしてくるので、ただただイライラしか募らず、本作をまったくもって楽しむことができなかった。

 

主人公の攻撃速度が遅く、リーチも短い

本作の攻撃手段の多くは近接武器を使った近距離攻撃だが、そのモーションがとにかくトロい。他ソウルライク作品でいう大剣や斧のような、火力が大きいが大振りで隙があるモーションが、本作でのデフォルト速度だ。一応、振りの速い武器もあるが、その攻撃力は非常に小さい。

また、槍や鞭などの特定武器を除いてリーチが非常に短く、敵に密着しないと当たらない。大きな隙をさらして攻撃したのに空振りする機会があまりにも多いので、非常にストレスだった。槍や鞭も、リーチも若干伸びるくらいで劇的に変わるわけではないし、鞭にいたっては周囲に大きな音を立てるため、他の敵を引き寄せる効果まである始末。

ここだけでももっと快適になれば、本作の印象がだいぶ変わり、良いゲームにだいぶ近づいたと思うのだが…

 

フレーム回避ができず、謎の入力先行受付あり。ガードにも制限あり…

本作の回避モーションにはフレーム回避判定がないため、敵の攻撃に合わせて回避しても結局ダメージを受ける。ジャンプアクションもないので、敵の攻撃をジャンプして回避する手法もとれない。実は、とある装備品を手に入れると、回避行動に無敵判定がついてくれるらしい…筆者はその装備品を入手できず、最後までちゃんとした「回避」ができないままだった。最終的には、

  1. 踏み込み攻撃ができるチャージ技を行い
  2. ダメージを受けつつバックステップで後退し
  3. 回復薬で体力回復して
  4. またチャージ技を放つ…

という、被弾覚悟のしょうもない戦いを強いられた。

更に、×ボタンを二回以上押してしまうと、一度回避した後に連続して回避行動をする、という謎の入力先行受付が存在。無駄な行動でせっかくの攻撃チャンスを逃したり、逆に回避後に敵がいる場所にまた突っ込んだり、といった行動が多発した。

 

「盾」によるガードもあるが、これも残念仕様。ガードしても少しだがダメージを受けるし、中にはガードを無視する高火力技を使ってくる敵もいる。また、盾は左手装備用のアイテムなのだが、周囲を照らす「ランタン」も左手装備なので、暗いエリアを探索する際は、

  • 真っ暗な中で盾を装備して手探り戦闘するか
  • 盾は持たずに被弾前提で戦うか

という謎の選択を迫られる。そもそも盾自体が消耗品で、しばらくガードしているとすぐ壊れるので、ガードの乱用もできない。ガード中は移動できないので、逆に敵にフルボッコにされやすくなるおまけつき。

 

ここまで紹介してきた回避やガードに、「ジャスト回避」や「ジャストパリィ」的な要素もないので、「タイミング合わせたら強い効果を発揮する」とかもない。回避もガードも満足にできないとは、アクションゲームとしてなかなか終わっていると感じた。

 

遠距離技は全て使い捨てで、様々なデメリットまで有り

近距離だめなら、投擲攻撃や魔法攻撃などの遠距離攻撃は…というと、こちらもかなり残念な仕様。

投擲攻撃手段の1つである使い捨てアイテムは、近接攻撃に毛が生えたレベルの射程しかなく、敵からの被弾機会は近接攻撃と同様に多い。唯一「花火」は遠距離まで飛んでくれる高火力武器だが、入手数が非常に限られ、雑魚戦では乱用できない。

もう1つの手段である重火器はまだ使いやすいが、周囲に大音量を放つため、他のエリアから敵がやってきやすく、複数戦を余儀なくされる。また、持ち運べる弾数に制限がある上、敵1体を倒すにはハンドガンの弾を4,5発使う必要があり、襲い来る敵全員を倒す余裕などない。ある程度倒したら、弾薬を販売している商人の場所まで移動し、弾を手に入れてまた元の場所まで戻る、という不毛な移動が必要になる。

それでも、銃火器ビルドはかなり強く、唯一の救済要素なのはありがたかった(ただし、このビルドに頼ったまま周回を開始すると詰む可能性があるので注意。筆者はこのせいで、難易度ノーマルでは、周回プレイ後の初期ステージが突破できなくなった)。

 

魔法攻撃は、大量のストックは用意できず、せいぜい6,7体前後の雑魚敵を倒せるくらい。それよりも多くの敵と戦うなら、拠点に帰って魔法をクラフトしないといけない。また、魔法を使うことによる呪いゲージ蓄積のせいで、魔法の連発もできない。

また、多くの魔法の攻撃軌道が癖の強い動きをするうえ、魔法発動までに1秒ほどの硬直が発生するので、その間に敵に詰められ、殴られる場面も頻発。魔法使いなのに魔法使用に限度があり、かつ遠距離からの攻撃ができないというのは…一体どういうことなのか…

 

使いにくく、効果の得にくいアイテムばかり

魔法使用や敵の攻撃により蓄積した呪いゲージを下げる方法として1番使う「守りのろうそく」は、ろうそくを床に設置後、その側にずっと待機することで呪いゲージが回復する仕様のため、使用中はその場から動けず、その間に敵からフルボッコにされる機会が頻発。体力と同じく、呪いゲージもその場ですぐに回復できるアイテムを用意すべきだ(一応、一気に呪いゲージを回復するアイテムもあるが、大ダメージを受けてしまうので、利用機会はほぼない)。

足元に光るものが「守りのろうそく」。呪いゲージの減少には、このろうそくのそばに居続けないといけず、ぼったち状態になる

また、おとりを設定し、しばらくの間敵を引き付けることができるアイテムや魔法もあるが、これもゲーム中盤以降はすぐにおとり自体が壊されてしまうし、近接攻撃をしようと近づくとそもそもおとりを無視してプレイヤー側に向かってくる場合がある。おとりの意味がない。音を出して敵を引き寄せるアイテムもあるが、投げられる範囲が限られるので、投げたとてその後敵に気付かれてしまって意味がない。

このよう使いにくいアイテムが沢山あるが、何故か回復アイテムだけはやたらバリエーションがある…開発リソース分配間違ってないか…?

 

隠れるコマンドの恩恵がほぼ得られない

敵に見つかった後では、相当離れてから隠れないと、隠れた場所を覗き込んできて見つかってしまうし、そもそも距離を離した時点で敵はこちらを見失ってくれるので、隠れる必要がない。隠れてやり過ごした後、背後から奇襲を仕掛けることもできるが、その時に与える火力もたかが知れている。

また、キャラの育成には敵を倒して手に入れる専用アイテムが必要なため、隠れて戦闘を避け続けると、弱い状態でボスに挑むこととなってしまう。更に、強力な装備品が入った宝箱は、周囲の敵を倒さないと開封できないので、結局戦闘を強いられる。

筆者はゲーム最序盤にちょっと使っただけで、それ以外は隠れるコマンドなど全く使わなかった。何のためにあったのだろうか…

 

高難易度とローグライクが嚙み合ってなく、そもそもローグライクではない…

高難易度×ローグライクというゲームとして「エルデンリング ナイトレイン」がある。あちらはゲーム開始からエンディングまでが40分程度と短く、かつフィールドを縦横無尽に動けるので、装備収集が比較的やりやすい。よって、ゲームオーバーとなっても、「無駄になった」と感じる徒労感が出にくい仕様となっており、何度もプレイしたくなる中毒性を生み出していた。

が、本作は一度アイテムをロストすると、また広いフィールドを駆け回って、棚などを一個ずつ調べて回復、クラフトアイテムを回収し、雑魚敵を倒して強化アイテムなどを回収し…と言った行動をやり直す。強力な装備品をロストしようものなら、同じ強さの装備がいつどこで再入手できるのかわからなず、その後の攻略難易度が上がる。1時間遊んだ後にゲームオーバーになると、同等レベルのアイテムや装備品を集めきるために30分~1時間を浪費するので、かなりのストレスだった。「昔のローグライクゲームもそんな感じだったよ」と言ってしまえばそれまでだが、令和になってこのようなロスト仕様は時代に合っていない。

 

また、「ローグライク」を謳っているが、ローグライクの特徴である「挑むたびに形を変えるマップ」要素が殆どない。マップの基本骨格は変わらず、大通りに面した小部屋の配置やアイテムの配置場所が違う位なので、本作をローグライクと言っていいのか微妙。他ローグライク作品とは全然違う仕様なので、ローグライクを期待して本作を買うのは避けた方が無難だろう。

 

ホラー要素は対してない…

「サバイバルホラー」といっておきながら、たまーに謎の幽霊が一瞬画面に現れることがあるくらいで、ホラー的要素は皆無。モンスターの見た目がグロい、真っ暗なステージを進む場面がある、というのがホラー要素なのだろうか…?ホラーゲームを期待して本作を買うのはよくないだろう。

まあ、逆に言えば、ホラーゲームが苦手な人でも遊びやすいゲームになっている、というのは良い点なのかもしれないが…

 

まとめ

ただストレスをためるだけになってしまった作品である「Withering Rooms」。世間の評価は高いので、筆者だけが特別に低印象なだけかもしれない。

ただ、ストーリー中盤辺りのボス討伐のトロフィー取得率が30%弱であることを見ると、本作を購入したプレイヤーのうちの70%以上は、ゲーム中盤までにプレイを止めていることになる。筆者の感じた思いは、実は多くの人に当てはまっているのではないかな…と思う。

本作を購入したい、というのであれば、ここに書いた特徴をしっかり理解し、その上で購入するようにしてほしい。

 

では! 

 

 

【サイレントヒル2リメイク】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、「SILENT HILL 2」のリメイク版について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事の情報は2025/9/10時点である)

2001年に発売された傑作ホラーゲーム「SILENT HILL 2」をリメイクした本作。複数出ている「サイレントヒル」シリーズの中でも特に人気で、熱烈なファンが多くいる作品だといわれている。

筆者は原作を遊んだことはないが、リメイク版の評判が非常に高いのを見て、かなり時間が経ってから購入。一通り遊んでみたため、本作に関する感想をまとめていきたい。

 

なお、筆者は本作の発売が発表される前に、Youtubeでストーリー解説動画を見ていたため、ストーリーをおおむね知っている状態で遊んでいる。その前提で書いた記事であることを念頭においてほしい。

総評

原作の良い点を純粋に膨らました作品なのは間違いなく、高評価なのも納得できる。ただ筆者個人としては…普通ゲーだなぁという印象を受けた。ゲームではなく、映画として作った方がよかったのでは…というのが正直な感想だ。手放しに「おススメするよ」とは言い辛い作品だった。

サイコホラーの恐怖感演出は素晴らしい。崩壊した暗闇空間を小さなライトで照らしながら先へ進むのは、ジトっとした、他ゲームでは味わえない恐怖を展開しており、ホラーゲームとしての楽しみを全面に押し出していた。また、結末を知っていても魅了されるストーリーテリングはさすがの一言だ。

ただし、昨今のゲームレベルの育成や戦闘システムは存在しておらず、あくまで原作のシステムを踏襲したものなので、ゲームとしての目新しさが薄い。また、真っ暗な中を探索する描写の乱用により、プレイしていると恐怖より疲労が目立ってしまうのは残念だった。更に、舞台背景の理解には、一生懸命考察するか、Youtubeなどで解説情報を読むかしないといけないのも、若干マイナスポイントだった。

 

どんな人におすすめ?

  • 謎解き型サイコホラーゲームが好き!
  • 考察し甲斐のある作品が好き!
  • びっくり演出の少な目なホラーゲームがやりたい!
  • 2001年発売の原作が大好き!

といった人にはオススメできる。逆に、

  • 周回要素は遊ばない
  • 考察要素は少なめで、わかりやすいストーリーが見たい
  • 戦闘や育成システムが充実したゲームがやりたい

といった人には合わない可能性があるため、注意してほしい。

 

このゲームの特徴

不気味な閉鎖空間を探索する謎解き×ホラーアクション

本作は、奇妙なクリーチャーからの襲撃を切り抜けながら、各地に散らばった謎を解きいて物語を進めていく謎解き×ホラーアクションのゲームである。

本作の舞台「サイレントヒル」は、深い霧に包まれ、人が誰もいない奇妙な街。また、道中に訪れる施設である「アパート」や「病院」などは、いずれも閉鎖的で真っ暗な場所が多い。プレイヤーは小さな懐中電灯を片手に、うっすらとしか照らされない道を進みながら、先へと進んでいくこととなる。

深い霧に包まれた「サイレントヒル」を舞台に探索

光が限られた閉鎖空間を探索する場面も…

各エリアには、異形の形をしたクリーチャーが徘徊している。中にはただのオブジェクトに見えて、近くを通ると攻撃してくる厄介なクリーチャーもいる。

クリーチャーの撃退には、近接攻撃で殴り倒すか、銃で遠距離から倒す方法が存在する。銃はハンドガンだけでなく、ショットガンやライフルなどが存在し、いずれも火力が高く、遠距離から安全に攻撃できる手法だが、銃の使用には弾薬が必要になるので、弾薬の残数と相談しながら使うことになる。

  • どの敵にはどういった武器で戦うのか
  • そもそも戦わず逃げるのか

などの選択を適宜行い、最適な対処法を持って切り抜けていく必要がある。

クリーチャーから攻撃を受けた際は、タイミングを合わせて回避することができる。クリーチャーの動きをよく見て、しっかりと回避していけば、重火器を使わずとも撃退することは十分可能だ。

襲い掛かる敵を近接武器で殴り倒す

銃を駆使すれば遠距離から高火力で攻撃できるが、弾数には制限がある

施設には、鍵のかかった部屋や、謎めいたオブジェクトなどが散りばめられている。ストーリーを進めるには、これらの謎を解いていかないといけない。

謎を解くためのヒントは、大量に存在する小部屋に点在しているので、プレイヤー自身でマップを隅々まで探索していくこととなる。ダイレクトに答えを表示してくれるものもあれば、ちょっとしたコメントしかなく、プレイヤー自身で頭をひねって回答を導き出すようなものもあるので、そのような謎に直面した場合は一筋縄ではいかない。

マップの各地にはヒントとなる文章が点在している

そのヒントをもとに、謎を解き、道を切り開いていく

 

ユーザに合ったゲームプレイ設定

本作では、敵の強さを全3段階から選ぶことができる。一番下の難易度にすれば、アクションゲームが苦手な人でも戦いやすいゲーム性となる。戦闘難易度はゲーム中いつでも変えることができるため、ゲームを遊んでいる中で「勝てないな」と思うなら、難易度を下げてゲームを楽しむことができる。

 

また、謎解きにも全3段階の難易度設定が可能。謎解きは難易度ノーマルでも、一部は考えこまないといけないような歯ごたえがあるため、「謎解きが苦手だな」と思う人は、謎解き難易度を一番下に下げることで、手軽に遊べるようになる。

 

霧に包まれた街で、亡き妻「メアリー」を探す男の物語

本作の主人公「ジェイムス・サンダーランド」は、3年前に亡くなったはずの妻「メアリー」から、「サイレントヒル」という街で待っている旨の手紙を受けとる。亡くなったはずの妻から来た手紙を不信に思いながらも、もう一度妻に会えるかもしれない、という希望を旨に、「ジェイムス」は「サイレントヒル」を訪れる。

亡き妻「メアリー」を探しに「サイレントヒル」を訪れた「ジェイムス・サンダーランド」

しかし、訪れた「サイレントヒル」は深い霧に包まれ、住民の姿は見えず、果ては異形の怪物がうろつく怪しい街となっていた。それでも「ジェイムス」は、ここに妻がいるかもしれないという思いを胸に、「サイレントヒル」の街を探索すべく足を進める。

果たして「ジェイムス」は妻である「メアリー」に会うことができるのか…「ジェイムス」の心理を描いた、まったく新しいホラーストーリーが幕を開ける。

 

このゲームの良い点

超一級のサイコホラーTPSゲーム!

本作のホラー要素の大きな特徴は、ジャンプスケア(びっくり要素)をあまり使用せず、プレイヤーの心理に対して「不安」「恐怖」「憎悪」といったような負の感情をじわじわと迫るような表現手法を使っている点にある。

探索するマップは、

  • 綺麗に整頓されていながらも無機質味が溢れる病棟
  • 血や鯖がそこらじゅうに散らばったリビング
  • 狂気的な出来事があったことを感じるような悲惨な独房

といった舞台が多く、「サイレントヒル」という不可思議な街の気味の悪さを全面に押し出してくる。施設の多くは電気が通っておらず真っ暗なため、プレイヤーは小さなライトを使って探索を進めていくのだが、周囲が暗いと段々環境音に対して敏感になっていく。そういった中で急にすすり泣く声や、ドアを叩くような音が聞こえてきたり、敵が近くにいることを知らせるラジオのノイズ音が聞こえてくると、「ウッ」となるような、ひやりとした恐怖感が襲い掛かってくる。

  • 変な音が横から鳴ったんだけど、横の部屋に入ると何か出てくるのかな…
  • キーアイテムが目の前にあるけど、これを拾った瞬間に後ろから敵が襲ってこないかな…

というような、「周囲の環境から想像してしまう恐怖」は、ただの恐怖体験ではない、上質な恐怖体験をプレイヤーに提供してくれていたと感じた。

事件が起きた後のような病院での探索

無機質なアパートでの探索

 

登場人物を取り巻く、暗くも考えさせれるストーリーは良い!

前述のとおり、筆者は本作のストーリーをあらかじめ知った上でプレイしている。しかし、結末を知っていても圧巻されるストーリーはやはり凄い。ネタバレになるので細かくは書けないが、「現実でも、こういう悩みを抱えている人は数多くいて、個々人が悩みながらも正解を模索して生きているんだろうな…」といった感傷に浸れるようなストーリーは見事。

本作はマルチエンディングシステムを採用しており、道中にプレイヤーが取った行動や集めたアイテムによって結末が変わる。悲しくも感動的なエンディングから、少しハッピー寄りなエンディング、中には闇を感じさせるようなエンディングまで存在。そのどれもがある意味「正解」であり、「自分が『ジェイムズ』だったら、どういう決断を下したのだろうか…」と色々悩まされた。

また、本作では「ジェイムス」以外にも、同じく「サイレントヒル」に迷い込んだ他キャラも存在しており、各キャラにも個別のストーリーが設けられている。特に、自信なさげな女性「アンジェラ」は、かなりグサッと来るストーリーであり、人によっては受け入れられないかもしれない…(「アンジェラ」のストーリー関連で戦うボスのえげつなさと言ったら…)

ゲームを起動すると、

本作では家庭内暴力、精神的虐待…(中略)…等の成人向けのテーマが含まれています。これらの内容に不快感を覚える場合、またはメンタルヘルスに関する情報が必要となる場合は…

という注意書きがなされる。本作を遊んでいると、その意味が非常にわかるものとなっていた…

暗い影が付きまとう「アンジェラ」。彼女の物語はなかなかに壮絶だった…

「サイレントヒル」に迷い込んだもう1人の人物「エディ」。何か秘密を抱えていそうだが…

 

ユーザーフレンドリーなゲーム設計!

複雑で広大なマップを探索することになるので、プレイ中は頻繁にマップを開き、自分がいる位置や目的地を比較していくのだが、その際のマップ表現が実に優れている。

  • 鍵がかかった部屋がどこか
  • 謎解きが必要なオブジェクトがあった場所がどこか
  • 意味深な落書きが書かれていた場所はどこか
  • 開通されているドアの場所はどこか
  • 謎解きの結果わかった暗証番号が何なのか

など、一度訪れたものの探索し続けていると忘れてしまう要素を勝手にマップに書き込んでくれるので、見直しがしやすい。これは探索メインの他のゲームでも積極採用してほしい要素だと感じた。

通過できるドア、鍵のかかったドア、謎解きポイント、ヒントとなる言葉などを逐一マップにメモしてくれる

オプション設定も充実している。見落としにくくするため、オブジェクトやキャラに色をはっきり付けるオプション設定がある。更に、画面見えを90年代風のテイストにしたり、モノクロにしたり、といったゲーム体験の多様性も提供している。

多少ゲーム性は薄れるが、周囲の状況を明確に可視化してくれる設定もあるので、遊びやすさも追及されている

キーバインドの設定変更も完備。筆者は、回避ボタンがデフォルトで○ボタンだったところをR1ボタンにし、逆にR1ボタンに割り当てられていたクイックターンを○ボタンにすると操作がしっくり来た。

 

周回要素によるやり込みプレイ!

筆者は、全ての難易度をノーマルとして、クリアにかかった時間は約15時間だった。「バイオハザードRE4」や「サイコブレイク」などの育成要素も含んだアクションホラーを除き、探索や謎解き要素が充実しているタイプのホラーゲームでここまで長めなプレイ時間を持つのはあまり見ない印象で、長すぎず、短すぎずで非常によりボリュームだった。

前述のとおり、本作はマルチエンディングを採用しているので、周回プレイをして別のエンディングを見るような遊びが前提となる。クリア後に解放されるNew game+でしか手に入らない強武器もあるので、それを駆使すれば周回も比較的やりやすいのもよい。

 

このゲームの悪い点

全体通して流石に暗すぎる…

個人的には、恐怖感の演出には、明暗の違いをはっきり出す必要があると思う。基本は周囲をそれなりに明るく照らして、探索や戦闘も負荷なく遊べるようにした上で、所々で真っ暗な空間を用意することで、「怖いな」「この先には行きたくないな」という恐怖感が出てくる。まさに「暗闇が緊張感に繋がる」状態だ。バイオハザード7やサイコブレイクあたりは使い方が上手かったと感じる。

今作はゲーム全体を通して、探索するあらゆる場所が「非常に暗く、かつ小さな部屋が入り乱れている空間」であり、そういった場所で弾薬や回復薬の収集、謎解き対応、敵との戦闘をこなしていかないといけない。始終画面が暗いと、暗闇による恐怖に次第に慣れるため、敵が現れても「はいはい」という手慣れた感覚になってしまう。更に、真っ暗な中で無数の探索をさせられると、無意識に画面全体をじっと凝らしてみる機会が増え、非常に疲れる。「暗闇が疲労感に繋がる」状態となり、良い印象が持てなかった。最後に訪れたマップ(綺麗な方)の感じがずっと続くのが、個人的には一番いいと思った。

常にこれ位の暗い部屋で、探索や謎解き、戦闘を迫られ続けるので、段々と怖さよりも疲れが勝ってくる

一応、オプションで輝度を細かく変えられるようにはなっている。これをいじれば多少は遊びやすくなったが、それでも暗すぎることは変わらない。下手に明るくすると、マップを開いた時の白飛びが激しく、目が痛くなるのも残念。マップの背景色を暗めにする設定なども欲しかった(実はあるのかな…だとするとその辺りの説明も不足していると感じる)。

一応、明るさを細かく変更することはできる

 

育成要素がなく、戦闘要素は淡白…

本作には、昨今のホラーアクションにあるような「キャラや武器の育成要素」は一切ない。原作にこの要素がなかったらしいので、リメイク版でも踏襲したのだろう。ただ、銃や打撃武器を使ったアクション要素を多分に入れるなら、武器のアタッチメント追加とか、近接武器種類を増やすとか、何かしらの育成要素はあってもよかったのでは、とは思った。

また、戦闘も結構淡白なのが残念。序盤は少し苦戦するものの、敵の種類も攻撃モーションも少ないので、しばらくすると敵の攻撃にすぐに対処できるようになり、「歯ごたえ」があまり感じられなかった(これは、筆者が高難易度ゲームを色々やった経験値を持っているせいもあるかもだが)。回避だけでなくガードも用意し、ガードで対応できる技、回避で対応できる技を区別するとか、ジャスト回避すると敵の姿勢を崩せるとか、そういう要素もあると、もっとアクションに対する印象を強く残せたので勿体ない。

…まあ、一般人である「ジェイムス」がそこまでできると世界観が壊れるし、バチバチなアクションゲームに寄っていってしまうので、これはこれで賛否別れそうな気はするが…

 

考察前提の要素が多すぎる…

ここは人によってはプラスな場合もあるが、筆者の好みとしてはマイナスだったので、マイナス点として紹介する。

本作の舞台背景は、プレイヤー側に「解釈」を求める構造になっているのが特徴だ。ただ遊ぶだけでは、

  • 敵対するクリーチャーの大半は女性の格好に近いのだが、それが何故なのか
  • 「メアリー」と瓜二つの「マリア」は一体なんだったのか
  • 他の登場人物と「ジェイムス」とで、見えている世界が違うような反応をするのはなぜなのか

といった多くの謎が明かされない。謎を解く情報は、フィールド上に断片的に提示されるのみなので、プレイヤー自身で情報を繋ぎ合わせ、解釈していくこととなる。中には初代「サイレントヒル」を遊び、サイレントヒルがどういう街なのか、という事前知識を知らないと、どう頑張っても理解できないものもある。

筆者は前述のとおり、事前に解説動画をYoutubeで見て、大体の知識を持った上で本作をプレイしたため、そもそも謎ポイント自体が存在しなかったが、もし本作に関する予備知識なくプレイした場合は、「…で、なんでそうなるの?」という疑問点が大量に残って終わったのは間違いなかった。

伏線の散りばめ方や考察できるポイントの多さは物凄い。解説動画を見ながら本作をプレイすると、「確かにそういう描写がゲーム中にあったわ!」とか、「そう考えると辻褄が合う!」と驚嘆するのは間違いなく、本作の舞台表現に対する制作陣の作り込み熱は伝わってくる。が、考察が大好きなプレイヤー以外は、解説動画ありきのデザインなのはちょっとマイナスに感じた。

道中で手に入る大量のドキュメントを読み、考察していく必要がある

 

フレームレートが安定しない…

ムービー中、時々だが、フレームレートが低下し、少しガクガクとした描写が行われたのは気になった。幸い、戦闘中にそのような描写になることはなかったので、プレイする上で不満につながることはなかったものの、PS5版ですら最適化が上手くいっていないのかな?というような疑念を抱いてしまった。

 

スタックやバグが時折発生…

  • ゲームがPS5本体のソフトウェアにトラブルを起こし、PS5本体が落ちたことが1回
  • 階段や崖の近くでスタックし、まったく動けなくなってしまったことが2回

というような不具合に遭遇した。回数的には多くはないものの、ゲームの進行に影響するようなトラブルのため、もう少し何とかしてほしいと感じた。

 

スパイダーマネキンの動きはやりすぎ…

本作の敵の一つ「スパイダーマネキン」は、動きが非常に早いうえ、地面や壁を自由に動き回る能力を持つ。本作は周囲が常に暗いので、「スパイダーマネキン」の居場所がつ掴みにくく、位置がわかってもロックオンやターゲットエイムアシスト(敵の近くまでエイムを持ってくるとスローダウンがかかり、照準を動かしながらのエイム合わせがしやすくなる技術)がないので、動き回る「スパイダーマネキン」に狙いを合わせにくい。そんな敵が、物語中盤を過ぎると複数出てくるものだから、たまったものではない。

筆者はシューティングゲームを頻繁にやるのでそこまで苦戦しなかったが、シューティングゲームをあまりやらない人にとってはクソ敵と思われても仕方がなく、ゲーム進行を大きく阻害する異常なストレス要因になってしまわないかな、と心配になった。

 

まとめ

原作の良さをしっかり活かした作品であった「サイレントヒル2」。原作自体が古く、できるゲームシステムに限りがあるので、昨今のゲームとしてみると少し物足りない印象を受けてしまった。

しかし、ストーリーや恐怖体験という分野ではここまで作りこまれているゲームはそうそうないと思う。本作のゲーム性をしっかり理解した上で購入すれば、良質な心理描写とサイコホラーを味わえる、忘れられない神ゲーになると思うので、特徴を抑えたうえで本作を購入してみてほしい、

 

では!

 

SILENT HILL 2(サイレントヒル2)

SILENT HILL 2(サイレントヒル2)

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【ファンタジアン ネオ ディメンジョンズ】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「FANTASIAN:Neo Dimensions」をプレイした感想をまとめていこう。

(本記事の情報は2025/8/30時点を元にしている)

ファイナルファンタジーシリーズの産みの親である坂口博信氏と植松伸夫氏がタッグを組んで新たに作成したゲームである「FANTASIAN:Neo Dimensions」。もとはApple ArcadeというAppleのサブスクリプションサービスで展開されていた「FANTASIAN」という作品に対し、いくつかの新要素を追加させたのが本作だ。発売当時は様々なゲームメディアで取り上げられていた印象だったが、販売実績としてはいまいちパッとしなかった印象の作品である。

発売からだいぶ時間が経ち、セール作品として本作が並べられていたため、気になって購入。1週目クリアと、やり込みダンジョンを少しばかし遊んでみたため、本作の感想やレビューをまとめていこう。

 

総評

終盤までは、気になる点はありつつも、やりごたえよし、音楽よし、ほぼフルボイスで物語への没入度良し、と良いゲーム。しかし終盤になるにつれ、近代化されていないUIによるストレスポイントが目立ち始め、段々と不満が募る。そうなると熱中度が下がっていき、1時間程遊んでその日は止める、を繰り返し、最終的には「凡ゲー」という評価に落ち着いてしまった…(物事の終わりの印象ってやはり大事だ)

総じて「2010年前後という古めな時代に出た、人を選ぶ傑作ゲーム」といった感じな作品。良い点は沢山あったので、ゲームプレイをもう少し快適にすれば、古き良きコマンドRPGとして非常に面白いゲームになってたと思うだけに、勿体ない作品だった。

 

どんな人におすすめ?

  • 歯ごたえあるRPGがやりたい
  • ボリュームの多いゲームがやりたい
  • ファイナルファンタジーの音楽が好き
  • 多少UIが古くても、のんびり楽しむことができる

といった人にはオススメできる。逆に、

  • PS5発売以降のAAAタイトルからゲームを始めたような若い世代である
  • レベルや装備を鍛えれば突破できる単純RPGがやりたい
  • 細かなロードでも発生すると気になる
  • 高グラフィックなゲームを求める

といった人には、合わない部分が出てくる可能性があるため、注意して欲しい。

 

このゲームの特徴

昔ながらのコマンドバトルRPG

本作は、3人パーティを組み、各地で起こるイベントを達成しながら、世界の救済を目指していく、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのような往年のターン性コマンドバトルRPGである。

フィールドを探索して目的地へ移動し、クエストクリアを目指す

戦闘は往年のコマンドRPGとなり、襲い来る敵の殲滅を目指す

戦闘は、ワールドマップやダンジョンを歩いているとランダムでエンカウントする「ランダムエンカウント」形式を採用。ただし、本作の特徴である「ディメンジョンシステム」を活用すると、エンカウントしてもその場では戦闘とならず、一定量のモンスターを貯め込んで、後でまとめて戦うことができる。

敵と遭遇しても、「ディメンジョンマシン」を起動しておけばその場で戦闘にならない

貯め込んだモンスターとは、任意のタイミングでまとめて戦闘が可能

本作の戦闘は、キャラの素早さやとった行動に応じ、行動順が変化する往年のターン制のコマンドバトルを採用している。戦闘時に取れる行動は、

  1. 威力は低いがコストもない「通常攻撃」
  2. MPを消費し、高火力技や回復、支援技が行える「スキル攻撃」
  3. 回復やバフを行える「アイテム使用」
  4. 控えキャラと操作キャラを変更する「キャラチェンジ」
  5. 雑魚戦を強制終了させる「逃げる」

と、こちらもコマンドRPGによくあるものが並ぶ。敵味方で攻撃を繰り返し、敵の殲滅ができれば勝利となる。

 

「エイミング」による複数攻撃が可能な戦闘システム

本作での戦闘では、敵は戦闘フィールド上の様々な場所に点在する形で存在する。奥にいる敵には、手前の敵を倒さないと攻撃できない、という、軽いシミュレーションゲームのような戦闘システムを採用している。また、「ディメンジョンバトル」では、非常に多くの雑魚敵との戦闘を行うため、1体ずつの撃破では、敵の猛攻に耐えられない場面も出てくる。

 

それに対する攻撃手段として、本作には「エイミング」という攻撃手段が用意されている。主に魔法攻撃で利用できる手段であり、攻撃を飛ばす弾道をある程度自分で操作できるシステムだ。攻撃の軌道は軽いカーブを描き、手前の敵を回避し、奥にいる敵にのみ攻撃を与えられるだけでなく、軌道上の敵全てにダメージが与えられるため、効率的な攻撃手段となる。

魔法攻撃は、自分である程度軌道を変更できる

設定した軌道上の敵全員にダメージを与えられる

敵には、弱点となる属性や、逆に得意な属性が存在する。炎属性の敵に炎攻撃を当てると、ダメージが通りにくいだけでなく、最悪敵の体力を回復させることにもなりかねない。先述の「エイミング」を駆使し、弱点属性のみを適切な敵に当てる戦いが重要となる。

敵の弱点属性を効率よく突くように、「エイミング」のルートを決めて攻撃するのが大事

 

レベルを上げ、装備品を整え、スキルで強化する育成システム

戦闘に勝利すると、敵の強さに応じて経験値を入手できる。経験値が一定値まで到達するとレベルアップし、最大体力や火力などの各種ステータスが増加する。自分よりもレベルの低い敵を倒した場合は、手に入る経験値が少なくなるため、常に自分たちより同等か、それ以上に強い敵との戦闘を繰り返し、育成していくこととなる。

戦闘後に経験値が手に入り、一定数まで到達するとレベルアップ。各種ステータスが増加する

装備品は、武器と防具、装飾品という3ジャンルから構成される。強い装備は、その分攻撃力や防御の増加に直結する。武器や防具には、攻撃力や防御力以外にも、行動速度増加や最大HP増加、特定の敵に対して与えるダメージ量の増加などの付随効果がついているものもある。

装備品はショップでの購入や、フィールドの各地に存在する宝箱、及びサブクエストのクリア報酬などで入手できる。

手に入れた装備品を好きに組み合わせ、キャラを強化していく

ゲーム中盤以降になるとスキルボードが解放され、レベルアップに合わせて入手できるSPを割り振りながら、プレイヤーの好きに強化が可能となる。攻撃力や防御力などのステータスアップだけでなく、特定行動に付随能力が付与されたり、新たなスキルを入手したりと、育成の上で非常に重要な要素である。

SPを消費し、スキルボードから自分の開発したいスキルを好きに手に入れていく

 

前後半で分かれるストーリー進行と、多くのサブクエスト

本作では、ストーリーの前半とそれ以降とで、物語の展開方法が異なってくる。

前半では、固定化されたメンバーで、用意された道筋をひたすらに進めていく、古めかしいRPG展開が行われる。それを突破し、中盤に差し掛かると、途端に広大なフィールドが展開され、世界で様々なストーリークエストが発生する。また、同伴キャラの人数が増え、状況に応じてパーティメンバーを切り替えながら戦えるようになる。そのため、プレイヤーは自分の攻略したい順番でクリアを目指していく、半オープンワールドゲームのようなゲーム性へと変わる。

 

世界各地には、何かしらの悩みを持った住民が数多く存在する。彼らからサブクエストを受注し、解決することで、宝箱解除のカギや、そのクエストでしか手に入らない装備品などを入手できる。

世界各地で受領できるサブクエスト

クリアすると、様々な報酬を獲得できる

 

記憶喪失の少年が、崩壊に向かう世界を救う物語

本作の主人公は、記憶を失った青年「レオア」。とある機械だらけの街を訪れていた「レオア」は、突如として発生した大爆発に巻き込まれ、自身の名前と、頭の片隅にここっている少女の姿以外は全て忘れ、記憶喪失となってしまう。

本作の主人公である記憶喪失の青年「レオア」

「レオア」の記憶の断片に移る謎の少女

自分の名前を「レオア様」と慕う、感情を持ったロボットに助けられ、何とかワープ装置を起動して、どこかの地方都市へと転送されたレオアは、そこで世界が「死械球」と呼ばれる、人々の感情や生命力を吸い取ってしまう謎の物体に浸蝕され、徐々に人々の住処が奪われていることを知る。

突如できた謎の穴から降りてくる「死械球」に世界は覆いつくされはじめ、静かに滅亡の一途をたどっていた

 

果たして、「レオア」が機械の世界にいた理由は何なのか、「死械球」とは何なのか、そして「レオア」自身、及び彼の記憶に唯一残る少女は何者なのか…真相を探るにつれ、世界を巻き込む大きな陰謀に巻き込まれていくこととなる。

謎の存在である「邪神ヴァム」。死壊球と何か関わりがあるようだ

 

このゲームの良い点

硬派な高難易度戦闘がやりごたえ抜群!

本作では、ゲーム中盤以降になると、ボスの強さが飛躍的に上がる。状態異常やステータスダウンといったデバフ行為は当たり前で、1発の攻撃で体力の6割を削ってくるので、対策せずに戦えば、推奨レベルでもすぐに負けてしまう。また、各キャラで得意とする属性攻撃や攻撃範囲が異なるうえ、キャラのレベルを上げていくと、自身よりも弱い敵から手に入る経験値が少なくなるため、特定キャラを集中強化して力技で切り抜けることもできない。

よって、ボスを撃破するには、

  • 土属性のボスだから、弱点属性である雷攻撃ができるキャラに土耐性を持った装飾品を装備させて出撃させよう
  • 眠りの状態異常を行ってくるから、回復役キャラには眠り耐性の装飾品を装備しよう
  • 強力な攻撃に向けたチャージ時は、大量火力を出せば体勢を崩せるので、その時は火力高めなキャラに切り替えて攻撃しよう

といった、ボスの攻撃属性や行動を理解し、それに合わせたキャラ編成やスキル獲得、装備構成をとる必要が出てくる。

「対策装備が取れれば簡単」というわけでもない。対策しても受けるダメージは半端ではないうえ、対応できない数のデバフを与えてきたりするためだ。ここでは攻撃するのか、回復するのか、バフをかけるのか、他キャラにチェンジするのか…各ターンに取る行動ひとつで、試合展開が良い方にも悪い方向にも転ぶ。

このようなハラハラな戦いを続け、ギリギリで勝利できた時は、まるで高難易度アクションゲームをやっているかのような爽快さが得られて気持ちよかった。昨今の易化気味なゲームバランスとは真反対なゲーム性のため、手軽に遊ぶには難しいものの、それでも攻略サイトを見てクリアするようなことはせず、是非自分で突破方法を見つけていってほしい。

 

また、本作の移植元であるApple Arcade版では、あまりの難易度の高さに、ゲーム終盤が突破できずに辞めてしまったプレイヤーが多いと聞く。本作では、原作難易度をハードとし、それよりも難易度を緩和させたノーマルモードを実装しているため、原作よりもクリアはしやすくなっている。ただし、難易度ノーマルでも、通常のRPGのハード以上の難易度はあるので、やりごたえ抜群なゲームプレイを楽しめるようになっていた。

ちなみに筆者は全て難易度ノーマルでクリアまで挑んだが、それでもゲームオーバーした数は15回は超えていると思う。

 

超ボリュームでやりごたえ抜群!

筆者は本作を難易度「ノーマル」でプレイし、サブクエストも9割ほど達成して、ラスボス討伐にかかった時間は約55時間だった。終盤はレベル上げや装備、スキル強化などで10時間ほど時間を使ったので、それらが無ければ45時間程のボリューム、と言ったところ。これだけでも、RPGとしては十分なボリュームだ。「最後のレベル上げを除き」、プレイ時間の傘増しといった部分も見られない。常に新たなイベントやマップ探索、ボス戦闘をこなし、クリアして強化要素を解放する、という楽しみを得られるのは素晴らしい要素だった。

また、ラスボスよりも強いボス達が集結するやり込みダンジョンや、レベルや装備を引き継いで最初からゲームをプレイできる「強くてニューゲーム」も実装している。2週目からしか出てこないダンジョンや強化要素もあり、それら全てをやり尽くそうと思うなら、100時間は優に超えるボリュームを持っていた。

 

全編フルボイスで入り込める良ストーリー!

本作のストーリーは、ぶっちゃけると深みはなく、お決まりといっていいファンタジーRPGの展開だ。それでも、最近のAAAゲームにありがちな、伏線を張り巡らせまくって回収できなくなったり、設定矛盾が出たり、専門用語が多すぎて訳がわからなくなったり、まるで続きがあるような終わり方をしたり、と言った良くないストーリーテリングではなく、誰にでも理解でき、すっきり終わってくれたのは、まとまりがあって非常によかった。

また、味方キャラの過去や思惑だけでなく、敵キャラに対しても、「何故このような行動を取ったのか」といった背景が描かれ、単純な勧善懲悪ではない描き方をしているのも良い。

この良ストーリーを全編フルボイスで送り出してくれているため、物語への没入感は中々に高く、多くのRPG好きプレイヤーが楽しめるものに出来上がっていると感じた。

 

魅力的なキャラたちと、クスっとするユーモアが面白い!

本作には数多くのキャラが登場するが、

  • やけにセキュリティが好きで、約束もすっぽかす主人公である「レオア」
  • 凛としている態度の中に、「レオア」に対する恋心が見える「シャルル」
  • 適当で豪快な船乗りの「ジニクル」

など、全キャラがちゃんと立っているのは素晴らしい。各キャラは何かしらの秘めた背景を持っているため、ストーリーの良さも含め、感情移入しやすい。

 

また、ゲーム中に出てくる色んな場面でユーモアが散りばめられている。しかもその多くが、どこかで見たことあるような展開やセリフを持っており、思わずクスっと笑ってしまった。

「世界の滅亡」という重い要素を取り扱ったストーリーでありながら、全体的にポップなセリフ回しが目立つ。このようなユーモアがあるだけで、プレイヤーが操作をしないムービー場面でも、画面に思わず見入ってしまう魅力があった。

ちょくちょく戦うことになる「シンデレラ三連星」。毎回行う登場シーンはまるで某ロ○ット団のよう(笑)

明らかに某カ○ジの有名セリフをパロッた発言…このような小さなユーモアが沢山散りばめられている

 

FFの有名戦闘曲に包まれながら戦える!

戦闘時は、FF7リメイクやFF16、FFピクセルリマスターなど、直近に発売されたFFゲームの戦闘音楽を流すことができる。これが非常に良い。FF作品で流れる音楽はどれもかっこいいものが揃っているので、それらに包まれながら戦うだけでテンションが上がった。

ボス戦で「ビッグブリッジの死闘」や「片翼の天使」が流れてきたときは、「おお〜」という驚嘆の言葉が思わず出てしまった。

直近発売されたFFの戦闘曲を聴きながら戦える

どのシリーズの音楽を流したいかは、設定画面で自由に設定できる点も良かった。

 

このゲームの悪い点

時代遅れ感の強いUIの数々…

遊んでいると、多くの場面で本作のUIが時代遅れであることを感じる。特にこれは、ゲーム終盤になると強く目立つため、本作を「凡ゲー」と下さざるを得ない要因を作っていた。

 

倍速戦闘無し、全体攻撃手段が限られる

昨今のコマンドRPGには必須の倍速戦闘がなく、敵味方の攻撃モーションを毎回見る必要がある。それでも、全体攻撃ができる魔法なり技なりがあれば、全員を一気に撃破してすぐに戦闘を終えられるが、全体攻撃の使用機会が非常に限られているため、それまでは律儀に最適な攻撃導線を決め、攻撃ボタンを押す行動を繰り返すこととなる。

そのせいで、「ディメンジョンバトル」で大量の敵を相手にすると、雑魚戦1試合に5分前後かかる場面が頻発する。終盤のボスに勝つには推奨レベルまで上げないと難しく、「レベル上げ」という行為が必要になるが、この仕様のせいで、レベル上げの実施すら億劫になってくることもあった。

 

ムービースキップ機能無し

ゲーム後半のボス戦は、対策装備や戦術検討のために、何度かリトライを繰り返すこととなるが、その度に毎回ムービーを見ないといけないのがかったるい。一応、×ボタンを長押ししておけば高速再生してくれたり、戦闘前ムービーは比較的短めなのが唯一の救いだが、そういうことでもないんだな…

 

ロードアウトの登録や戦闘中の切り替え機能無し

ボスの行ってくる状態異常や攻撃属性に合わせた対策装備を身につけないと負けるため、ボスの特徴を理解したら、対策装備に瞬時に切り替えられるよう、ロードアウトのプリセットを用意しておきたいのだが、本作にはそれがない。それでも、戦闘中に装備品を付け替えられれば、戦いながら臨機応変に対応することができるが、戦闘中は装備品を切り替えられない。

よって、毎回ボスに挑んで特徴を掴んだら一度ゲームオーバーになり、対策装備を装備画面から各キャラに一つずつ付け替え直して挑む、といった行為を繰り返す。あまりにも前時代的で、繰り返すごとに付け替え作業が面倒になった。

 

ショートカットコマンドが一つしか登録できない…

パーティ編成、装備付け替え、アイテム使用、スキル獲得、ワープ地点選定…これらはゲーム後半になると頻繁に使用する。が、これらの画面に行くには、毎回メニュー画面を開き、やりたい項目を選ぶ、という行為を繰り返す必要がある。一応、R1ボタンを押すことで1発で画面遷移できるようショートカット登録できるが、たった1画面だ。他に使ってないボタンが沢山あるのだから、全メニューに対応するショートカットを設定し、1発で飛ばせるようにできたはずだ。せっかくPS5版に移植したのだから、こういう部分も拡張して欲しかった。

 

固定カメラ形式で誤操作が頻発…

本作のカメラは、PS時代のバイオハザードのような固定カメラ方針をとっている。とある場面では右方向へスティックを倒していたのに、画面が切り替わると下方向に倒さないといけない、といったことが大量に発生し、誤操作が頻発してイライラした。また、画面方向が急激に切り替わるため、画面酔いしやすい人はもはやゲームプレイ自体が困難な可能性すらある。ジオラマを見せたいから敢えてこうしたのだろうが、それによってゲームの快適性が損なわれていてはしょうもない…

操作キャラを斜め上から見下ろすように捉えた画角。このまま右側の通路へ行こうとすると…

急にキャラを真上から捉えるように画角が切り替わり、かつ右下へスティックを倒さないとうまく先に進めなくなる…

 

PS5の割には頻繁に発生する細かなロード…

フィールドが切り替わる時、ファストトラベルする時、戦闘開始する時など、ゲーム中頻繁に実施する行動の多くに、PS5版でも約1秒~2秒のロードが入り、最適化不足が疑われるのは気になった。発生頻度が多いため、たった1~2秒でも、体感もっと多くの時間をロードに費やしているように感じた。リアル調の高グラフィックや、オープンワールドで読み込み量が多いわけでもないのにここまでロードが起きるのはなぜなのか…

(PS5版でこれなので、Switch版ではかなり長いロードが発生しているのではないか…)

 

まとめ

いい点がいっぱいあり、面白かったのだが、どこか時代に合っていない古いシステムのせいで、最終的には評価を下さざるを得なかった「FANTASIAN:Neo Dimensions」。UI周りがもう少し現代化できていれば、良ゲー以上の評価を得られたはずのもったいない作品だった。

決して悪いゲームではない。ゲームの特徴をちゃんと理解し、その上で「自分には合っている」と思ってプレイすれば、楽しめる作品に仕上がっている。本記事を参考にして、「これくらいなら自分は楽しめると思う」と思ったのであれば、是非とも購入してみてほしい。

 

では!

 

FANTASIAN Neo Dimension -Switch

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FANTASIAN Neo Dimension -PS5

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【ロスト イン ファンタランド】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、iOS版の「Lost In Fantaland」について、このゲームの特徴と、私の感じたよい点、悪い点を述べていく。

なお、クリア後のネタバレ要素が若干あるので、ネタバレ一切したくない、という人は、総評やゲームの特徴まで読んで終わりにしてほしい。

(本記事の情報は2025/8/23時点である)

いつも据え置きタイプのゲームをやっている筆者だが、たまにはスマホの有料ゲームをやってみようかな、と思い立ち、App Storeを物色。その中で、安価ながら評価が高い本作を発見した。

一目見て気になり、購入。約20時間超遊んでみたので、本作がどういうゲームなのか、まとめていきたいと思う。

 

総評

手軽に遊べる良ゲーだ。自分で組んだビルドでボスを突破できた時の爽快感は、まるでアクションゲームをクリアしたかのような体験を与えてくれる。「止め時が分からなくなるほど熱中する」まではないが、細く長く遊び続けられるゲーム性だった。

「ローグライク」という、人を大きく選ぶゲーム性な上、チュートリアルの薄さや敵の強化曲線が雑な作りなため、ゲーム理解度の高いプレイヤーでないと厳しく、「他の人に勧めますか?」と言われると首を縦に振りにくいところだが、安価で、手軽に、長く遊べるスマホゲームを探しているなら、購入を考えてみてもいいと思う。

 

どんな人におすすめ?

  • ローグライクゲームが好き
  • やり込み豊富なゲームがやりたい
  • 難しめなゲーム、不親切なゲームでも遊べる
  • ワンプレイが手軽に遊べるゲームがやりたい

という人にはオススメできる。逆に、

  • ちゃんとしたチュートリアルが欲しい
  • 各キャラの成長曲線が丁寧に導線付けられてほしい
  • 小さい画面を見続けるとつらい
  • そもそもローグライクゲームが合わない

という人には合わないだろう。

 

本ゲームの特徴

デッキ構築型の一人用ローグライクシミュレーションゲーム

ローグライクゲームとは、ゲーム開始時にプレイヤーの装備やレベルが初期状態に戻され、どんどん強くなる敵を倒したり、アイテムを集めたりして成長を重ね、ステージクリアを目指しつつも、ゲームオーバーになればその冒険で手に入れたアイテムや経験値は全てロストする、という、高難易度ジャンルに当てはまるゲームである。本作はこのローグライク要素を中心に、カードゲーム×シミュレーション×ボードゲームといった3つの要素を掛け合わせたローグライクRPGとなっている。

 

ゲームを始めると、ランダムに構成されたマス目のフィールドが展開される。プレイヤーは自分でどのマスへ進みたいか選び、フィールドのどこかにいるボスの討伐を目指す。登場するマスには、

  • 敵と戦闘になる「戦闘マス」
  • 何かしらのイベントが発生する「イベントマス」
  • カードやアイテムを購入できる「買い物マス」

など複数種類があるが、どのマスに何が配置されるか、各マスがどのように接続されるか、は完全ランダムだ。

マスの構造は毎回ランダム。同じ面でも、同じフィールド構造は2度と出て来ない

各マスでは戦闘やランダムなイベントが発生する。イベントでは選択次第でプレイヤーが有利にも不利にもなる

戦闘マスに触れると、ターン制のシミュレーションバトルとなる。事前に準備したデッキの中からランダムにカードをドローし、プレイするカードを自分で選択して、襲い来る敵を攻撃する。8×8マスの戦闘フィールドの各場所には、通過不能な岩や木、踏むとデメリットが生じる罠などがランダムに配置される。それらを回避し、時には利用して戦っていく。

自キャラを移動し、隣接した敵を攻撃したら自分のターンは終了。続いて敵が動いて攻撃をしてくるのでそれを受ける、ということを繰り返し、敵を殲滅すれば戦闘終了。新たなカードやお金、アイテムなどを獲得する。

バトルはシミュレーション形式。引いたカードを駆使して、敵の殲滅を目指す

本作はローグライクゲームのため、プレイヤーの体力が0になるとゲームオーバー。これまで手に入れたカードやアイテム、お金は全てロストし、また1から冒険を始めることとなる。

ゲームオーバーとなると、手に入れたカードやアイテムは全てロストしてしまう

 

数々の職業と、カード強化やソウルによる育成要素

ゲーム開始時、プレイヤーは7種類の職業の中からどれで挑むかを選ぶ。

  • 攻撃、防御のカードを駆使し、オールラウンドな戦いができる「戦士」
  • 体力が少ないものの、遠くから魔法攻撃ができる「ウィザード」
  • 木や岩などの環境物や罠などを利用する「トリックスター」

などが存在。職業によって、初期ステータスや機動力、手に入るカードなどが異なるので、戦い方が大きく変わってくる。

近接型、遠距離型、特殊型の職業が存在

同じ戦士職の中でも、勇者や星盾騎士など、細かな違いがある

ゲーム開始直後のカードの性能は控えめなものが多い。強力なカードは、戦闘に勝利して手に入れたり、カードショップでお金を支払って入手したりしていく。特に、「エリート」という強化個体やフィールドボスは、攻略が難しい分、強力なカードが手に入りやすい。

戦闘に勝利すると、お金やカードなど、その後の冒険に役立つものを入手できる

戦闘に勝利後、3択の中から欲しいカードをデッキに加える

カードショップマスに訪れれば、お金を払って新たなカードを購入できる。不要なカードをデッキから破棄することも可能だ

手に入れたカードは、カード強化マスに訪れ、お金を支払うことで強化が可能。火力や防御力が上がり、より戦いやすくなる。

カード強化を行い、戦闘をより楽に突破できる

ゲームオーバーとなると、全てのステータスがロストするものの、そのゲーム内で手に入れた「ソウルオーブ」は持ち帰ることができる。ソウルオーブは、ソウルショップで様々なステータス強化に交換が可能。特定職業の体力上限を上げたり、回復ポイントでの回復量を上げたりと、1個1個の強化度合いは大きくはないものの、手に入れているのと入れていないのとでは、ゲームクリア可否に大きく変わってくる重要なものが揃う。ここで交換した強化能力は、以降何度ゲームオーバーとなろうとも消えることがない。

手に入れた「ソウルオーブ」はロストしない。「ソウルショップ」で様々なステータス強化に活用できる

なお、RPGにはよくある「経験値」システムは本作にはない。下手にモンスターと戦っても、レベルアップして体力や攻撃力が上がるようなことはないので、計画的な戦闘や育成が重要になる。

 

カード、秘宝、アイテムを駆使したシミュレーションバトル

戦闘で使用するカードには、実に様々なバリエーションが存在する。

  • 敵へダメージを与える攻撃カード
  • 自分にアーマーを付与したり、体力を回復したりする防御カード
  • 使用した戦闘中は、特別な効果を発揮する永続効果カード

などだ。また、攻撃カードを中心に、

  • 隣り合った敵にしか攻撃ができないカード
  • 2、3マス離れた敵にも攻撃ができるカード
  • 射線上の複数の敵にまとめてダメージを与えられるカード

など、攻撃範囲が異なったり、手札を捨てたり、プレイヤーの体力を削ったりすることで強力な効果を発揮するハイリスクハイリターンなカードもある。

敵にダメージを与えるカード、自身にアーマーを付与してダメージを軽減するカードなど、様々なカードが登場

遠距離攻撃が可能なカードも。職業によっては、遠距離攻撃カードの方が多い場合もある

自身の体力を犠牲に、強力なダメージを相手に与えるカードも

カードプレイにはAP、ないしはMPというコストを一定数支払う必要がある。また、カードはAP/MPが許す限り、複数枚をまとめてプレイ可能なため、このターンではどのカードをプレイするのか、その時のカードの引き運とAP/MPの残量、敵の配置、自分の体力などから適切に見極めていくことが重要となる。

火力の低い遠距離カード「フライスラッシュ」に、近距離カード「ストライク」の火力を乗せて、高火力の遠距離攻撃が可能に

カードだけでなく、秘宝によるバフ効果を加味したプレイングも重要だ。ゲーム中に手に入る「秘宝」は、

  • 特定条件を満たすとAP/MPが1増えるもの
  • 特定攻撃の火力を増加させるもの
  • 自動でアーマーを付与させるもの

など、それぞれ固有のバフ効果を持っている。自分が持っている秘宝がどういう効果を持っているのか把握し、効果を活かしたカードの組み合わせや立ち回りを考慮することが大事だ。

「秘宝」は強力なバフ効果を持つ。秘宝の効果を把握し、その効果を最大限活かすプレイングが重要だ

 

本作の良かった点

ビルドを構築していく楽しさは一級品!

同じ職業でも、入手したカードや秘宝の組み合わせで、戦い方が大きく変わる。このビルド要素が非常に面白いと感じた。例えば、近接攻撃が得意な「勇者」という職業1つでも、

  • 純粋に攻撃カードを多く入手して、近接攻撃で正面から殴り合うシンプルビルド
  • 特殊スタック「勇気」を駆使して、大ダメージや超防御力を得られる勇気ビルド

という大きく2つのビルドが存在する。更にシンプルビルドの中でも、遠距離攻撃ができる「投げナイフ」と、投げナイフを当てた敵に追加ダメージを与えられる「ロープ」を組み合わせる投げナイフビルドも存在する(これが強いか、というと結構微妙だったが…)。

このような複数種類のビルド要素は、「ウィザード」や「トリックスター」といった他職業にもしっかり存在する。ランダムで入手したカードや秘宝から、最適なビルドを考え、フィールドの全敵を一発で殲滅したり、ボスからダメージをほとんど受けずに蹂躙できた時は、なかなか気持ちよかった。

 

中毒味のあるリプレイ性の高さが良い!

本作は運要素が大きく、同じカードや秘宝、アイテム、敵の組み合わせが展開されることは2度とない。そのため、同じ職業でも、毎回新鮮な気持ちでゲームをプレイすることができた。

また、ゲームに慣れると、一周が約1時間半で終わるスピード感も魅力。1回がすぐ終わるのに、繰り返しプレイしても同じ経験がない、という点が掛け合わさり、中毒性の高いリプレイ性を持っているのは素晴らしかった。

 

安価ながらも非常にボリューミー!

iOS版の本作は1000円すらしない安価な価格だが、そのゲームボリュームは、ハーフプライスゲーム以上、突き詰めていけばフルプライスゲーム以上まで遊んでいけるほどだった。

1週目をクリアすると、更に強い敵が登場する「上級者モード」が解放される。上級者モードの数もかなり多く、上級者モード1週目ですら難易度が高いため、かなりのやりごたえを持って遊び続けられる。更に、この周回要素は職業ごとに用意されているため、「勇者」で上級者モードを全てクリアしたとしても、次は「トリックスター」で再度挑んでみる等、非常に長時間にわたってゲームを楽しむことができる。

1週目クリア後に解放される上級者モード。強い敵が待っているうえ、全部で10段階の階層が存在と、ボリューム抜群

更に、これまで入手したカードや秘宝、倒した敵などが図鑑にリストアップされるため、これらの図鑑を全て埋めていくようなやり込みプレイもできる。持っていないカードや戦っていない敵のデータを狙って集めることはできないため、何度もプレイして見つけていく必要があるため、収集要素が好きなプレイヤーにも十分なやりごたえを提供してくれる。

収集したカードや、戦った敵が記帳されるやり込み要素も健在

筆者は1週目のラスボス討伐には6時間ほどのプレイ時間を要しており、その後は他職業で1週目をプレイするように楽しんでいる。今までのゲームプレイの感覚から見て、おそらく全部クリアしようとしたら、どれだけ順当に行っても50時間はかかるのではないか。

 

本作の悪かった点

スマホプレイは避けるべき…

筆者はiPhoneで本作品をプレイしたが、タッチ項目の大きさが非常に小さく、誤タップがとても多かった。誤タップしても、多くの操作がやり直しできるため、取返しのつかないような事態にはならなかったものの、いちいちやり直しになるのは面倒だった。

また、小さい画面に細かく様々な文字が書かれるため、1時間も遊んでいるとかなり目が疲れる。筆者は結構長い時間ゲームをやっても、眼精疲労にそこまで悩まないタイプなのだが、このゲームだけはずっと遊び続けることはできなかった。

iOS版で本作を快適に遊びたいなら、少なくともiPadを利用した方がよいだろう。または、本作はSteamやNintendo Switchでも展開されているとのことなので、そちらで遊ぶようにした方がよいかもしれない。

 

丁寧な説明や強化導線は無く、ハードゲーマー向け…

ゲームを始めると、少しのイントロを経て、すぐにゲームプレイ場面に至る。その後は、簡単な操作方法やルールが説明されるだけで、以降はフォローが一切行われない。いきなり「さあどうぞ遊んでください」と放り込まられるので、ゲームシステムを理解するのがひと苦労だった。

それでいて、カードの効果、秘宝の意味、各マス目で何ができるか、など、ゲームを遊ぶ上で理解すべき項目がかなり多く、最初のフィールドですらこれらを理解していないと突破できない難易度設計で、高いゲーム理解度が求められる。

 

また、戦闘を繰り返すごとに敵が強くなっていくのだが、敵の強化曲線がずいぶんとバランス悪いのも気になる。キャラ強化が自分の思ったようにできない、難しいゲームシステムで作られていることも有るが、それだけではないと感じる。

初期ステージの時点で、敵の火力が高めで、防御系の職業ですらプレイングを考えないと一気にHPがなくなる。更に、回復マスや回復アイテム、お金や強化アイテムなどに厳格な限りがあるため、プレイングをミスると、あっと言う間にその面のクリアが絶望的になる。一度戦闘に勝利すると、次の戦闘マスでは必ず、更に強い敵や数多くの敵と戦うことになるので、弱い敵でお金稼ぎして…といった育成もできない。頑張ってラスボスまで行っても、ラスボスは一気に強さが跳ね上がり、手に入れた秘宝やカード、己のプレイングの全てが噛み合わないと突破が困難な印象だ(決してクリアできなくはないが)。

 

全体通して、かなりハードゲーマー向けなシステム設計であり、ユーザへのフォローやクリアのしやすさをもう少し調整してもいいのではないかな、と思う。筆者はざっと2時間くらいは、あれこれと試しながら戦い、やっと最初のステージをクリアしたような感じだった。

一応、ライトゲーマーでもクリアしやすいよう、「イージーモード」というものも存在はしているので、

  • ゲームシステムや職業の特徴がちゃんとわかってないため勉強したい
  • 1週だけでもクリアできればいいからクリアしたい

というなら、「イージーモード」で遊んでみてほしい。

 

ストーリーはよくわからない…

一応、本作にはストーリーが存在はしている模様。主人公はゲームが大好きな現代に住む青年で、ある時突然、ファンタランドという謎の世界に飛ばされたうえ、フードを被った謎の人物から、この世界を救うことを依頼される、という展開。

一応、ラスボスをクリアしていくと、この世界の真相みたいなものを伝えてはくれるのだが、ちゃんとしたストーリー展開が用意されているわけではないので、唐突な終わり感があるし、そもそも語ってくれた世界の真相も意味不明だった。

ストーリーを期待して本ゲームを買うのはやめた方がよいのは間違いない。

一応ストーリーはあるものの、起承転結は非常に雑な作りだ

 

最後に

スマホで手軽にプレイできるうえ、中毒性の高いゲーム性を持った作品である「Lost In Fantaland」。人を大きく選ぶゲーム性であり、おすすめはしにくいものの、ゲーマーなら一度はやってみて損はない作品になっていると感じた。

iOS版であれば1000円を切る安価な作品のため、本記事を詠み、「遊んでみようかな」と少しでも思ったのなら、とりあえず買って遊んでみて良いだろう。

 

では!

 

【龍の国 ルーンファクトリー】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switchの「龍の国 ルーンファクトリー」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事は2025/8/10時点の情報をもとにしている)

2025/6/5に発売された「龍の国 ルーンファクトリー」。ルーンファクトリーのメインシリーズから外れた「外伝」作品であり、これまでのルーンファクトリーシリーズにはなかった要素を多く詰め込んだ意欲作である。また、Switch2とSwitchの両媒体で発売された作品でもあった。

そんな本作を、筆者はSwitch版でプレイ。ストーリークリアに加え、クリア後のやり込み要素まで実施してみたので、どんなゲームだったのかまとめてみたいと思う。

 

総評

アニメーションの作り込み、ほぼフルボイス、やりごたえのあるボリュームなど、様々なクオリティが外伝とは思えない程に高い。むしろこれがメインシリーズだ、といった方がよいのではないか、と思うほど。非常にやりごたえのある作品にも関わらず、これで値段が昨今のフルプライス作品よりも低いというのがびっくりだ。

ゲームをよくやる人、あまりやらない人、どんな人でも楽しめる、優等生的な作品になっており、迷っているなら買って後悔はしないだろう。

 

ただ、「何かに特化した」感じではない器用貧乏感は、ゲーマーである自分としてはちょっと残念。もう少し「やりがい」みたいなものが欲しく、「寝食忘れて熱中できる」というものではなかった。ここはルーンファクトリーというゲームシリーズから見たら仕方がないのかもしれないが...

 

どんな人におすすめ?

  • 生活シミュレーションも、恋愛も、戦闘育成も、いろんなことがやりたい
  • アニメーションがきれいなゲームがやりたい
  • クラフト系ゲームが好き

といった人にはオススメできる。逆に、

  • 何かに特化した作品をやりたい
  • スローライフゲームが非常に好き

といった人には、一部合わない部分が出てくる可能性があるため、注意して欲しい。

 

このゲームの特徴

農場経営、戦闘、恋愛を自由に楽しめるスローライフ&アクションRPG

「ルーンファクトリー」は、「牧場物語」に代表される農場経営系のスローライフ要素に、アクションRPGの要素を加えた、少し特殊なゲームシリーズである。

 

拠点となる村には、プレイヤーが自由に開拓できる農地が用意されている。農具を使って畑を耕し、春夏秋冬の季節に沿った作物を育てて様々な食材や花を入手し、それらを用いて料理を作成したり、納品してお金を稼いで新たな設備や作物の種を購入したり、誰かにプレゼントしたり、という繰り返しが基本のゲームとなる。

畑を耕し、作物の種を植え、水を撒いて作物を育てるスローライフゲーム

できた作物は、そのまま食べたり、料理に使ったり、納品してお金に換えることができる

街の外に出ると、中規模なフィールドが広がっている。中には、特別なダンジョンに入れる入り口もある。フィールドには木材や石材といった素材が手に入る木々や岩、アイテムが手に入る宝箱、各種クラフトに必要なレシピが入手できるカエル石などが点在しており、それらにアクセスして必要アイテムを入手していく。

街の外では、広大なマップを自由に探索

街の外には、鉱石や木材が取れる場所があるため、そこにアクセスして素材を集める

また、上空には様々な浮島が存在し、白竜の背に乗って自由に探索できる。浮島には、そこにしかいない人物やイベントもあるため、隅々まで探索していこう。

上空には多くの浮島が立ち並ぶ。浮島でしか起きないイベントや、手に入らないアイテムがある

フィールドでは魔物がうろついており、プレイヤーを見つけると襲い掛かってくる。武具で身を固め、襲い来る敵を倒し、キャラを育成しながら目的達成を目指す、アクションRPG要素も含んだゲームとなっている。

フィールドを彷徨く魔物を倒すアクションRPG要素も

 

自分好みの里を作り上げる里山つくり

本作では、広大な敷地に、畑のみならず様々な建物を建築し、自分好みの里を作り上げることができる。

里づくりができる開拓エリアは、複数のパネルで構築されている。各パネルに何を配置したいかは、プレイヤーの好きに決めることができる。プレイヤーが持っている建築物毎に、配置時に必要となるパネルサイズが異なるため、自分の持っている建築物と、配置の順番、パネル残量などをもとに、里を作成していく。

 

「農業」をするには、用意されたパネルの中から好きな場所に「畑パネル」を設置する。その後、畑に種をまき、水やりをすることで作物が育つ。その後は作物を納品してお金を手に入れたり、料理の素材に使用したり、といったことで活用する。

まずは畑パネルを設置し、畑の場所を決める

次に畑に種をまく

そして水やり。これを繰り返すことで、作物が育っていく

作った作物を出荷して、その日の夜にお金を入手できる

鍛冶屋や花屋などの商業施設や、招き猫やベンチなどといった置物も設置することが可能。これらも、自分の好きに開拓パネルへ配置していく。これらの施設は、木材や石材などを消費して、工務店で作ってもらえる。

作成した各種施設を、開拓パネルの上に好きなように配置し、自分だけの里を作成可能

施設は大工で素材とお金を消費して入手可能

里が発展すると、その里に住む住民が増えていく。増えた住民には、作物の管理や商業施設の経営などのお願いをすることができる。農業はプレイヤーが面倒を見るよりも品質劣化しやすいが、プレイヤーの手を煩わずに栽培サイクルを回せるし、商業施設に配置すれば、実際に商品の売買ができたり、利益を生み出したりしてくれるため、オートであらゆる生活シミュレーション要素が回るように作り上げることができる。

里の住民に仕事を割り振ると、プレイヤーの代わりに農業やお店の経営を実施して、収穫やお金稼ぎをしてくれる

住民にはそれぞれ得意な作業や固有スキルがある。住民の得意不得意を見極め、適正にあった仕事をお願いすると、よりよい成果を発揮してくれる。

また、住民が生活していくには、食料を確保する必要がある。農業とは別に、住民たちが稼いだ収益がそのまま食料へと変換される仕組みのため、住民が満足して生活できるために、お金をしっかり稼いでいく必要がある。

1日の終わりに、各里に新しい住人が住み着いてくれる。住民はランダムな能力を持ち、得意不得意が存在する

1日の終わりには、各里の収益が一覧で発表される。ここで稼いだお金が、住民の食料となる

里に様々なアイテムを配置して里の景観度合いを高めていくと、里レベルを上昇させることができる。作成可能な建物が増えたり、その里で受け入れ可能な住人数が増えていく。これにより、その里の中でより様々なことができるようになっていく。

里レベルが上がると、その里でできることが増えていく

 

仲間と共闘するリアルタイムアクションバトル

本作に登場する武器は「片手剣」「両手剣」「双剣」「弓」「呪符」の全5種。それぞれ攻撃速度や攻撃範囲、回数などが異なるため、好みのスタイルに合わせて使い分けていく。攻撃は、Yボタンを複数回押すことでできる連続攻撃以外にも、ボタン長押しで出せるチャージ技や、連続攻撃の最後に派生して出せる奥義等がある。

素早い連続攻撃が得意な、癖の少ない武器「片手剣」

「呪符」は遠距離から敵を攻撃するのに長けており、高所にいる敵や空を飛ぶ敵との戦闘に役立つ

敵の攻撃が当たりそうになったら、回避ボタンを押して回避しよう。攻撃が当たるタイミングでジャスト回避すると、しばらくの間周囲がスローモーションとなり、敵を一方的に攻撃できるようになる。

敵の攻撃が当たりそうな場面で回避をすると…

周囲がスローモーションとなり、こちらから一方的に攻撃できる「ジャスト回避」システムを採用

プレイヤー以外にもメイン3名・サブ3名からなる最大6名のパーティを編成して冒険が可能。仲間たちは攻撃系や回復系、支援系などの様々なタイプを持っているため、敵を一気に殲滅したいのであれば攻撃寄りのパーティ、倒れないような防御系構築を行いたいなら回復や支援系のパーティを組んで、フィールドを冒険していく。

親密度を上げた住民をパーティにいれ、冒険をともにできる

 

生活やバトルを通じて成長する育成要素

本作では、プレイヤーのとった行動によって専用のスキルが獲得できるスキル制と、敵を倒してレベルアップしていくレベル制、装備品を身に着けステータスを上げる装備制、という3つの育成要素が用意されている。

 

まずはスキルによる成長要素。農業や料理、村人との交流に、特定武器種での戦闘といった様々な行動をとると、その行動項目ごとにスキルポイントを獲得できる。手に入れたポイントを、用意されたスキルツリー上で消費することで、最大HPや最大RP(所謂スタミナ)の増加や、新たな戦闘スキルや交流スキルを獲得できる。

スキルポイントをためてスキルを解放。戦闘だけでなく、交流、農業など様々なタイプのスキルが存在する

1日の終わりには、その日に取った行動内容に応じて、「汎用スキルポイント」を入手できる。このポイントは、どのスキルツリーでも共通して利用できるポイントのため、何か育成したい項目があった場合は、普段の行動によって獲得するスキルポイントと併用し、集中して育成していくことが可能だ。

1日の間に取った行動の内容と量によって汎用ポイントを取得できる。このポイントは、スキル獲得に自由に使うことが可能

続いてレベルアップによる育成要素。フィールドやダンジョンで敵を倒すと経験値を獲得し、一定量が貯まればレベルアップして各種ステータスが上がる、という往年のRPG的な育成要素だ。

敵を倒して経験値を獲得するとレベルアップ。各種ステータスが増加する

続いて装備による育成要素。「メイン武器」「サブ武器」「頭装備」「肩当て」「装飾品」の5つに装備品を割り当て、攻撃力や防御力を増加したり、特定属性に対する耐性をつけたりすることが可能。装備品は鍛冶屋でレシピと素材を使用して作成していく。

武器や防具を装備し、ステータスを上昇

装備品は鍛冶屋でクラフトしていく

プレイヤーと一緒に行動してくれる仲間キャラにもレベルが設けられており、戦闘する中でレベルアップしていく。また、余った武具を装着させ、より頼もしい味方にしていくことも可能だ。

 

街の人との交流イベント

里の住人と交流をはかると、その住人との間で絆レベルが上昇し、一緒に冒険に出かけたり、特別な交流ができるようになる。また、特定のキャラクターは、彼ら彼女らの背景や心情にフォーカスを当てたサブストーリーである「絆クエスト」を受けられるようにもなる。

選択肢の中から、住人と交流したい内容を決める。住人ごとに、交流内容の好みが分かれている

交流を続けて絆が深まると、プレイヤーに様々な協力をしてくれるようになる

絆レベルを上げることで、そのキャラをより深堀したサブストーリー「絆クエスト」を見ることができる

交流手段は、ただの会話から、一緒に出かけたり、プレゼントを渡したりなど、様々なバリエーションが存在。人によっては同じ交流手段でも好き嫌いがあり、仲良くなりやすさが変わる。中には絆レベルが高くないと行えない、より高い親密度が求められるイベントもある。

洞窟を一緒に探検しに行く交流。内容が相手の好みであれば、より親密度が上がっていく

特定のキャラクターは、絆クエストを進めていくと恋人同士になることができる。そこからさらに仲良くすると結婚し、子供を授かり家庭を持つことが可能だ。異性とだけではなく、同姓と結婚することもできる。

親密度を最高位まで上げた仲間とは結婚も…

特定の人物とだけでなく、里に住む住民とのイベントを介して交流することもできる。イベントは花火大会や七夕など、固定で決まっているイベントと、お弁当コンテストやカレーコンテストなど、プレイヤー自身が開催を決めることのできる大会がある。各イベントに積極的に参加することで、特別な報酬を獲得できる。

自作した料理を持ち込んで出来を競い合う「お弁当コンテスト」。腕によりをかけた料理でエントリーしよう

 

神器による戦闘、生活支援、探索

ゲームを進める中で、神の力の一部を利用できる神器を獲得する。この神器を利用すると、より強力な攻撃ができるようになったり、農業でより役立つ行為ができたり、より多くの範囲を探索できるようになる。

 

戦闘では、神器による支援や攻撃ができる。例えば、地属性の「鼓の神器」を利用すれば、味方の体力を回復できる。また、火属性の「剣の神器」をふるえば、周囲の広範囲を炎の剣で切りつけ、大ダメージを与えられる。

また、スキルで各種神器の能力を解放することで、強力な技を利用できるようになる。広範囲かつ高火力の技が揃っており、雑魚戦でもボス戦でも役立つ貴重な技だ。

「扇の神器」を振るうと竜巻が直線状に発生し、進路にいる敵に風属性のダメージを与える

「炎の神器」の技を使えば、広範囲を炎の剣裁きで攻撃できる

神器は農業でも利用できる。農作物の前で「鼓の神器」を利用すると、農作物の成長を促進できるし、「傘の神器」を活用することで、周囲の畑に一気に水をまくことができる。これらを活用して、より立派な農作物を、楽に栽培できるようになる。

「傘の神器」で、周囲の畑に一気に水をまくことができる

マップの各地には、特定の神器を使わないと解除できない穢れ地帯やギミックが存在している。対応した神器を活用することで、これらのギミックを解放し、先に進んでいく。

「傘の神器」を使うと、空をゆっくりと降りながら移動できるようになるため、空中の移動距離が増える

 

「龍星崩落」により崩壊した世界を救う舞手の物語

本作の舞台は、「東の国」と呼ばれる、四季がモチーフとなった里が存在する世界。「東の国」では、過去、突如として「龍星崩落」という災厄により大地が崩壊し、活力の源である「ルーン」が途絶えてしまう。これにより、各里の自然を司っていた神達も姿を見せなくなり、山や野は枯れ、人々は滅びの時を待つばかりとなっていた。

龍星崩落以降、世界から力の源であるルーンが消え、滅びの一途をたどるようになる

そんなある時、「春の里」に記憶を失った一人の若者が降り立つ。若者は「大地の舞手」としての役割を持っていることは確実なのだが、自分がなぜ「大地の舞手」となったのか、それによって何をするのか、などが全く分からないまま、春の里のお寺で暮らしていた。

ある日、夢の中で、春の神と呼ばれる人物から神器を授かる。神器を用いて木々へ力を与えると、なんと枯れた木々が青々しく復活する。それと同時に、ずっと行方知れずだった春の神が顕現した。春の神の依頼により、里へ力を取り戻すことを依頼される。果たして、主人公がなくした記憶に隠されたものは何なのか。「大地の舞手」として求められる責務を果たすことができるのか。そして、ルーンが枯渇し崩壊の一途をたどる「アズマの国」を救うことはできるのか。かくして、若者の神々を探す長い旅が始まったのである。

記憶を失った主人公。「大地の舞手」として、様々な神達と交流しながら、世界を救う壮大なストーリーの幕が開く

 

このゲームの良い点

男性、女性どちらでもプレイ可能!魅力的なキャラが豊富!

本作で登場する男女キャラは、

  • おしとやかな雰囲気がありながらも、どこか抜けたようなお姉さんキャラである「いろは」
  • 村の看板娘として、主人公を気にかけながら元気に振る舞う「ソフィア」
  • 基本無口で、ひたすらに剣の道を突き進む武士の「ムラサメ」

など、どれも癖の強いキャラが勢揃いしており、1人としてキャラ被りしているものはない。中には人間ではなく、半獣のようなキャラも存在している。

キャラとの親交を深めるとみることのできる絆クエストでは、メインストーリーで見ることのできない、各キャラたちの苦悩を垣間見ることができる。この

春の里の看板娘である「いろは」。いつも元気で明るい女の子だ

物静かで剣の道を生きる「ムラサメ」。隠された左目には、何か闇を抱えていそうだ…

 

やりごたえ抜群なボリューム!

筆者は、難易度ノーマルでプレイし、キャラとの有効度や穢れ浄化などのサブ要素や収集要素を6割ほど進めた状態でクリアし、クリアにかかった時間は約35時間であった。更に、クリア後にしかできない要素も存在しているため、その当たりの要素を楽しもうと思うと、50時間ほど楽しむことができた。

 

ただゲームクリアを目指す、というだけではなく、

  • 特定のイベントで優勝する
  • 各キャラクターと恋人関係になる

といった要素をクリアすることで手に入る、いわゆる称号的な要素「御朱印」も完備している。それ以外にも、各種図鑑を埋めたり、里レベルを最大まで上げたり、マップの各地に存在し、アイテムの作成レシピを教えてくれる「カエル石」の発見など、やりこもうと思うと非常に多量のやり込み要素を楽しむことが可能。

 

フルプライスまではいかない値段設定にも関わらず、かなり多くのゲームボリュームを持っているため、多くのプレイヤーが値段以上に楽しめる作品になっていると感じた。

 

やりたいようにできる街づくりが楽しい!

敷地内に用意されたパネルには、何をどのように配置してもよい。全て畑にしてもいいし、お店を敷き詰めてもよい。大量の置物を駆使して、博物館のようなエリアを作り上げてもよい。この街づくり要素が実に作りこまれており、「マインクラフト」や「ドラクエビルダーズ」のようなクラフトゲームが好きなプレイヤーであれば、それこそ止め時を失うほどはまれるに違いない。

街づくりに没頭していくと、街がきれいになるだけでなく、キャラのステータスや、街の農業力、商業力などに強化がかかるのもよい。戦闘や農業、経営などの様々な面に対して、街づくりを頑張った恩恵が報われるのはいい要素だと思った。

高台パネルを設置して高低差を出したり、水路を建設してみずみずしい雰囲気にしたり…かなり自由な街づくりが可能

自作で簡単な神社を作成。このほかにも様々なパーツが用意されており、自分好みの街を作り上げることができた

 

Switchでも比較的早めなロード!

本作は

  • フル3Dのアニメ調で作成
  • メインストーリーや絆クエストの大半はフルボイス仕様
  • 広大なマップがいくつも用意されている

など、かなりの読み込み量を要求するにもかかわらず、旧switch版でもロード速度は比較的早いのは驚いた。

別の里のエリアにファストトラベルする場合は5秒ほどの時間で済むし、同じ里の中でのファストトラベルには1秒もかからず移動できる。新たなムービーの開始にはスムーズに展開してくれる。フィールド上で出会った敵との戦闘にはシームレスに移行してくれる。

さすがに、ゲームを一度落としてから再度立ちあがるまでにかかる時間はかなり長いものの、そもそもそこまで多い頻度でゲームを落とすようなことはせず、大体のプレイヤーがスリープモードで中断するようなプレイングだろうから、この点はそこまで欠点ともいえない。

全体通して、この読み込み速度の速さは純粋に凄いと感じた。

 

スローライフゲームとは思えない魅力的なストーリー!

スローライフゲームのストーリーはほのぼのとしたものが多く、「惹き込まれるストーリー」とはならないもの。しかし本作は、「大地の崩壊」というかなり重いテーマを掲げ、その裏で暗躍する様々な人間の思惑を描きながらストーリーが進んでいくため、非常に見ごたえのあるストーリーへと仕上がっていた。

主人公は記憶喪失という設定で始まっていることから、

  • 何故自分が「大地の舞手」として力を持つことができるのか
  • 「龍星崩落」とは一体何なのか

といった事項がプレイヤー自身もわからないが、段々と「アズマの国」の真相や、主人公が背負っていた宿命などがわかっていくと、ゲーム中盤以降は、「長編のRPGかな?」と思うほど壮大なストーリーが展開されていく。進めるほどに、「この先はどうなっていくんだろう…」と気になる物語となっていた。

なぜゲームのタイトルに「龍の国」とついているのか…それはゲームを実際にやってみて、その目で見てみてほしい。

 

このゲームの悪い点

ゲームシステム1つ1つの深みはあまりない…

アクションもスローライフも、両方遊ぶことができる、というのが本作の魅力ではあるのだが、言い換えると何かの要素に特化した面白さがある訳ではない。アクション面は大半がただのボタン連打だし、スローライフ面は結婚相手が変わる位で、行動によってイベントが分岐するような要素はないのだ。日々の生活も、大半が同じ作業の繰り返しであることは否めない。

昨今のAAAタイトルだったり、何かに特化させたインディーズゲームなどと比べると、どの要素を取っても深みがなく、まさに「器用貧乏」と言った印象を抱いてしまう。熱中して止められない、といったゲームではなく、細々と長く遊ぶようなゲームだな…というのは避けられなかった。(逆に言えば、何かに特化しすぎてない分、いろんなゲーム経験のプレイヤーでも楽しめる、ということなのかもしれないが)

 

特に戦闘面は、アクションゲームとしてあるべきレスポンス面の作りが粗い印象を強く受けた。攻撃後の硬直が非常に長く、攻撃と回避を組み合わせた行為がやりにくいため、回避によるモーションキャンセルをしたり、攻撃の合間に敵の攻撃を回避したり、といったプレイングが非常にやりにくいのだ。

また、複数回の連続攻撃をしてくるボスは初見殺しもいいところ。連続攻撃全てに当たり判定が発生し、当たってしまうと僅かな怯みが発生してすぐに回避ができず、怯み後の無敵時間もないため、ダメージを受け続けることが多い。結果、一瞬にして体力が0となり、ゲームオーバーとなることが何度かあったのはかなり気になった。

 

酪農、経営などの農業以外の要素は薄い…

農業要素は、本作の完璧ではない自動化により、いいバランスで楽しめて良かった。住民に全部任せると、農作物の飼育をサボって育たなくしたり、種をまかずに放置したりして無駄が生じるし、良い作物の種を作りたいなら、プレイヤーが率先してお世話する必要がある。よって、欲しい食材の飼育だけ頑張り、残りの時間は探索や戦闘、里の民との交流に充てるといったことができるため、他の要素といい塩梅をもって進められた。

 

が、それ以外のスローライフゲーム要素は結構残念な作りになっていたと感じる。

まず、酪農要素はほぼ皆無。牧場を建設し、魔物を捕まえて飼育して、魔物からしか手に入らない素材を入手する、もいうただそれだけしかできない。ブラシできれいにしてあげたり、好きな食べ物を与えて有効度合いを上げたり、といった要素は一切ない。ここまで酪農要素を差っ引いたスローライフゲームは見たことがない…

また、魔物から入手した素材を消費して、服や帽子などのおしゃれアイテムを作ったり、プレゼントアイテムを作ることもできない。魔物素材は武具の作成や強化などに使うのみで、それ以外の利用点がないのだ。

また経営面も、経営スキルのある住民を1人配置するだけで充分であり、なにか経営指針をだして稼ぎを上げたり、事業拡張のための投資をしたり、といった要素は全く無い。

必要な設備を人員を配置すれば後は放置するだけ、と言えば楽といえば楽だし、1日の間にやる事が膨大なため、動物の飼育や経営に手間をかけてる余裕はそこまで無いため、これらの要素の削除はありがたくはあるのだが、スローライフゲーム要素を期待した筆者としてはちょっと残念な印象だった。

 

処理落ちが目立つ…

Switchのスペック限界なのか、処理落ち場面が目立ったのは残念。

操作すらできない程とはならないが、様々なエフェクトが飛び交ったり、人が多く集うようなイベントを開催した際に、「カクカク」とする描写が目立った。また、ムービーの切り替わりなどでは、キャラの服装が映像に反映され切るまでに時間がかかる場面が多いのも残念ポイントだ。

このあたりのポイントが気になって仕方がないプレイヤーは、Switch2版をプレイするほかないだろう。

 

恋人候補キャラが少な目…

本作では、恋人関係に慣れるキャラは全部で13人(課金DLCを含めると15人)だ。この数値だけ聞くと多いように見えるが、その半分は同姓であり、異性だけに絞ると8人のみだ。サブキャラクターとして登場する異性は結構多く存在するにも関わらず、恋人関係になることができないのは結構残念だった。

筆者は「ヤチヨ」さんと恋人関係になりたかったのだが…せっかく頑張って有効度を上げたのに、恋人同士になれなかったのは残念だったな…

 

 

まとめ

沢山の要素をふんだんに取り込み、非常に優れたゲームへと昇華している良作である「龍の国 ルーンファクトリー」。簡略化され過ぎていて、スローライフゲームとして微妙な部分はありはするものの、多くのプレイヤーが楽しんで遊べること間違いなしだ。

何かに特化した作品がよい、というプレイヤーでなければ、多くのプレイヤーが満足して楽しめる作品なので、是非とも子雲竜してみてほしい。

 

では!

 

 

【仁王3 体験版】神ゲー?クソゲー?α体験版のプレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「仁王3 体験版」について、このゲームの特徴と、私の感じたよい点、悪い点を述べていく。

(本記事の情報は2025/6/12時点である) 

2025/6/5から6/18までの期間限定で配信された、「仁王3 体験版」。筆者は仁王シリーズは全て遊んでおり、「仁王2」はDLC含め全てやり切るほどハマっていたシリーズであり、その最新作が出る、ということで、さっそく体験版をプレイしてみた。

一通り、体験版で振れることのできる範囲を遊んでみたので、今作がどういったゲームなのか、製品版で期待できるものかどうか、まとめていこう。

 

総評

同一会社が製作した「Rise of the Ronin」のシステムをもとに、うまく仁王シリーズの世界に落とし込んだ印象の作品。「Rise of the Ronin」自体が良作だっただけに、本作も高い完成度を感じた。

オープンフィールド化により探索の自由度が大幅に向上し、各地に配置されたフィールドボスやアイテム、サブクエスト関連が、プレイヤーの冒険心をくすぐる。体験版でこれなので、製品版でもっと広大なマップになった時が楽しみだった。

戦闘面では「サムライスタイル」と「ニンジャスタイル」の2スタイルを戦況に応じた切り替えながら戦う新要素が光っている。どちらのスタイルにも特徴や役割があり、無駄がない設計が好印象だった。

体験版の段階では、過去の「仁王シリーズ」はおろか、他の高難易度アクションよりも難易度が上がっている印象で、心が折れそうになる場面もありながらも、それでも挑戦したくなる魅力が確かにある作品だった。製品版の発売に期待したい。

 

どんな人におすすめ?

  • ダクソみたいな高難易度ゲー大好き
  • ハクスラゲームが好き
  • 爽快な剣術アクションができるゲームが欲しい
  • キャラクリ豊富なゲームが好き

という人にはオススメできる。逆に、

  • 簡単に、すらすら進みたい
  • 無双シリーズのような、大量の敵を一気に倒す爽快感が欲しい
  • アクションゲームには自信がない…

という人には合わないと思う。

 

本ゲームの特徴

広めのフィールドを舞台にした高難易度アクションゲーム

「仁王シリーズ」といえば「和製ダークソウル」とも呼ばれる高難易度ゲーム。理不尽とも思える強さを持った敵を相手に、何度もゲームオーバーになってはリトライしていって、攻略を目指していくゲームである。

ボス敵はおろか、雑魚敵ですら気を抜けない程強く、油断するとあっという間にゲームオーバーとなる。敵の攻撃バリエーションは、

  • ガードが可能な弱攻撃
  • カードは可能だが威力が高い大技
  • ガードが不可能な特殊攻撃

の3種類が存在し、雑魚敵でもこれらを使いこなしてくるため、敵の動きを見る観察力が非常に問われてくる。

敵の攻撃はガードや回避でいなしながら、こちらの攻撃を当てるアクションゲーム

赤い部分が受けたダメージ量。ボスの攻撃を1発受けるだけでもここまで体力が減るほど、被ダメージが大きいのがこのゲーム

これまでの「仁王シリーズ」は、拠点でクエストを受注し、専用フィールドに行って目的達成を目指す「クエスト受注型」であったが、本作はこれを一新。広めのオープンフィールドに点在している敵拠点やサブミッションを自分で見つけ、自由に攻略する「オープンワールド形式へと変わった。攻略の順番はおおむね自分で決めることができそうだった。

狭い箱庭プレイから、広大なフィールドを探索できるシステムへ変更

広大なフィールドの各地に、様々なイベントがちりばめられている

収集物やセーブポイントなども各地に点在。自分で足を運びながら探索していく

オープンフィールドとなり、探索が重要視されるようになったためか、新たな操作としてジャンプが追加された。これにより、屋根の上に登って奇襲したり、敵を避けるためにわざと岩壁の上に行って通りから身を隠す、といった戦法もとれるようになった。

 

正面戦闘のサムライスタイル、奇襲戦闘のニンジャスタイルの切り替え

弱攻撃、強攻撃などの攻撃パターンに加え、ガード、回避といった、過去の「仁王シリーズ」同様の戦闘システムを本作でも採用している。攻撃や回避、防御には「気力(スタミナ)」が必要な点も同様だ。

 

それらの既存アクションに加え、本作では「サムライスタイル」と「ニンジャスタイル」という2スタイルを切り替えながら戦う新システムが採用された。各スタイルはR2ボタンを押せばいつでも切り替えが可能だ。

「サムライスタイル」は、従来の「仁王」シリーズに近い操作感のスタイル。比較的大振りな武器を回し、敵に真正面から立ち向かい、高火力の技で打ち破るスタイルとなっている。

火力が高めの武器を振り、正面からの戦闘を得意とする「サムライスタイル」

それに加え、攻撃の威力をアップする「技研ぎ」や、敵の攻撃が当たるタイミングでガードすることでパリィできるようになる「捌き」など新アクションが追加された。これにより、パリィを駆使するソウルライク作品に近い戦い方ができる。

敵の攻撃が当たるタイミングでガードすると、パリィが発生し、敵に気力ダメージを与えられる

「ニンジャスタイル」は、素早い攻撃と回避をメインにした戦闘方法。使用できる武器は鎖鎌や双剣、火力は低いものの、素早く、手数が多い武器を使用できる。

火力は低いが、素早い連撃で敵を翻弄する「ニンジャスタイル」

攻撃の後に敵の背後に素早く移動できるアクション「霞」や、敵の攻撃が当たるタイミングで回避することで発生するジャスト回避を駆使して気力を回復し、連続攻撃を続ける、といった、スピード感のある立ち回りができる。さらに、手裏剣や起爆札などの忍術も活用して、遠距離から敵を攻撃するような方法もとれる。

攻撃が当たりそうなタイミングに回避をすると…

ジャスト回避が発生し、敵の攻撃を完全に避けたうえで、気力を回復できる

そのほか、過去作にもあった「陰陽術」や、スーパーアーマー状態&高火力で蹂躙できる「九十九化身」などのシステムは変わらず搭載されていた。

なお、「仁王2」にあった、敵妖怪の技を利用する「妖怪技」は廃止されたようだった。

 

サブクエや木霊集め、フィールドボス撃破などのやり込み

各地には何かしらの悩みを持ったキャラ(というか亡霊)が存在しており、彼らから依頼を受けることでサブクエストを受注できる。目的地に行って敵を倒したり、指定のアイテムを確保してきたりなど、オープンワールドゲームとしてよくある要素は保持していた。クリアすると報酬として様々なアイテムや強化素材などが入手できた。

フィールドにいる霊体と会話し、サブクエストを受注

クリアすると様々な報酬を獲得できる

また、各地域には「木霊」と呼ばれる精霊が隠れており、彼らを見つけると「木霊ポイント」という専用のポイントを入手できる。これを活用することで、仙薬使用時の回復性能を上げたり、使用後にバフをかけるなどの追加効果を発揮できる。前作同様、一種のやり込み要素となるだろう。

それ以外にも、「地蔵巡り」や「すねこすり」などの収集要素も各地に用意されており、達成するとその分追加の報酬が獲得できるようになっていた。

仁王シリーズおなじみのちびキャラ「木霊」。フィールドのどこかに点在している

一定数を集めると、プレイヤーのステータスへバフ効果を与えてくれるようになる

更に、敵に支配された占領地域を解放する拠点ミッションも存在。クリアすると木霊確保に加え、レアなアイテムが手に入る専用宝箱を解放できる。キャラの育成にも役立つイベントとなっていそうだ。

 

能力を上げ、武具を入手し、鍛えることで強くなる成長システム

敵を倒すと入手できる経験値「アムリタ」を使うことで、キャラのレベルを上げられる。レベルを上げるほど、レベルアップに必要な「アムリタ」の数が増えていくため、計画的な育成が求められる。

キャラのステータスは、「体」「心」「剛」「武」「技」「智」「呪」の7つに分けられており、レベルアップ時にどのステータスを上げたいか選択してレベルアップする。各項目で、体力や気力、攻撃力などの基礎パラメータを上げられる点も、「仁王シリーズ」おなじみだ。

「アムリタ」を使用してステータスを向上させ、レベルアップする

フィールドの宝箱を開けたり、特定ミッションを達成すると、「遺髪」と呼ばれる強化アイテムを入手できる。これを使うことで、武器種ごとに固有の戦闘アクションを入手できる。技の獲得はスキルツリー形式となっており、自分が手に入れたい順番に解放できる。

専用ポイントを消費して、解放したいスキルをしている強化システム

装備品は、「サムライスタイル」と「ニンジャスタイル」でそれぞれ武器と防具を用意し、装備する。

「サムライスタイル」「ニンジャスタイル」でそれぞれロードアウトを構築

武器は近距離武器と遠距離武器でそれぞれ存在する。近距離武器は、体験版の時点では刀、大太刀、槍、双剣、鎖鎌など全部で7種類、遠距離武器は弓、大砲等の2種類が確認できた。仁王シリーズではもう少し武器種が存在したので、製品版ではより多くの武器を利用できるかもしれない。武器は宝箱から入手したり、倒した敵からドロップしたり、商店から購入したりして入手する。

フィールドの各地には、大なり小なりの宝箱が配置されている

開ければ、多数のアイテムや武具を入手できる

同じ武具でもレベルが用意されており、高いレベルほど基礎ステータスが高い。また、「強攻撃のダメージ数増加」「気力回復量増加」等のバフ効果がランダムで付与されており、1つとして同じ武具は存在しない、ハクスラ要素が用意されている。

同じ大太刀でも、武器に付与されるバフ効果はランダム。お気に入り武器を見つけるハクスラ要素が備わっている

更に、フィールド探索で「秘伝書」を入手すると、スキルを入手できる。スキルは、

  • スタイルに依存しない「共通スキル」
  • 「サムライスタイル」に適用される「サムライスキル」
  • 「ニンジャスタイル」に適用される「ニンジャスキル」

が存在しており、手に入れたスキルを、各スキルボードに当てはめていくことで、バフをかけることができる。

保持できるスキル数には上限が存在し、強力な効果を持つスキルになるほどスキル枠を多く消費するため、状況やプレイスタイルに応じて、自分が使いたいスキルを付け替えていくことになりそうだ。

「共通スキル」「サムライスキル」「ニンジャスキル」それぞれに対し、装備可能コストの範囲内で、自分がつけたいスキルをつけていく

 

他プレイヤーとともに冒険する「協力」モード

オンライン上の他プレイヤー2名とともにミッションへ挑める要素。ここは過去作の仁王シリーズにも存在した要素だ。

オンライン上の他プレイヤーと、最大3人で協力してミッションクリアを目指せる

用意されているモードは、

  • 自分が挑戦しているミッションに他プレイヤーを呼び出す「まれびと招喚」
  • 他プレイヤーにミッションに自分が参加する「まれびとになる」
  • いわゆる「集会所」を作り、集まったメンバーでミッションを周回する「常世同行」

の3つがある。

他プレイヤーとともに戦うと、敵の体力は増え、雑魚敵であっても多量の攻撃を必要とする。アイテムやアムリタは全員共有で、誰かが拾ったら他の人が取れなくなる、ということはない。入手したアイテムは、シングルモードに持ってくることが可能だ。

 

本作の良かった点

難しいが、頑張ればクリアできる絶妙ラインがたまらない!

仁王シリーズは過去作から、何度もやられては挑み、ちょっとずつクリアを目指していくゲーム性が特徴。本作でもそれは活きており、難しいながらも「なんかクリアできそう」という感覚をプレイヤーに持たせるのが上手だった。

1発くらっただけでも体力を大きく削られる攻撃力、嫌らしいディレイや広範囲攻撃、気力残数による行動制限など、一見すると「無理ゲー」なのだが、よくよく敵の動きを見ていると、

  • この動きの時はこの攻撃が来るな
  • この攻撃のリーチは短いからガードしなくていいな

などの特徴がわかってくる。これを繰り返し、クリアできた時は、自分が成長できた実感を味わうことができ、気が付けば次のステージにまた挑んでいる、というようなのめりこみが実現できていた。

これを見れた時の達成感は最高だ!

 

探索要素の充実で冒険心がくすぐられる!

オープンフィールドで一番大事とも言えるのは探索要素だ。「ここには何があるのかな?」という冒険心をくすぐる探索要素は、ゲームへの没入感を高める重要要素だからだ。本作と似たようなゲームである「Rise of the Ronin」では、ただマップに示された場所に向かうだけ、という印象が強く、個人的には「探索」部分が薄く感じていた。本作ではそれを払しょくし、大人気ゲーム「エルデンリング」に近いようなゲーム性を用意していそうだった。

特に驚いたのはフィールドボスの存在だ。フィールドには、メインストーリーで訪れる場所以外にも、特別なランドマークがあり、そこには過去作に登場した大ボスがフィールドボスとして存在している。彼らを倒すと、高レアアイテムが入手できるようだ。体験版の時点では、ランドマークっぽい場所と名前が地図上にかかれているだけで、そこがどういう場所なのかはわからないので、行ってみたらフィールドボスとの戦闘が始まった際にはかなりわくわくした。

目の前に巨大な五重塔がある。気になっていってみると…

「仁王2」の第1ステージに登場したボス「馬頭鬼」がいた!戦闘になり、勝利すると報酬が獲得できる

そのほかにも、マップには明確に書かれていない小さな洞窟に行くと、大きめの宝箱が置かれていて、より良質な装備を手に入れることができたりと、キャラ育成の面でも探索要素が練りこまれている点も高評価ポイントだった。

フィールドを走っていると、意味深な小洞窟が…

中を進むと大きな宝箱!入手数の限られる育成アイテムが入手できた!

 

スタイルを駆使した多彩なアクションが気持ちいい!

「サムライスタイル」は、高い攻撃力で敵をなぎ倒し、パリィで敵の気力を削りながら戦う、正に「正面戦闘」な戦いができる。とりあえずは「サムライスタイル」で様子を見る、というプレイングをすれば、初見の敵でもなんとか戦っていけた。仁王シリーズをプレイしたことのある人であれば、すんなり入り込める戦闘スタイルだった。過去作にあった

  • 下段構え:火力は低いが、素早い攻撃と回避が特徴な構え
  • 中段構え:全てが平均的な使いやすい構え
  • 上段構え:隙が大きく、気力消費も激しいが、火力が大きい構え

の各構えも継続して用意されており、「サムライスタイル」だけでも、多彩な攻撃ができるようになっていた。

その反面、新要素である「ニンジャスタイル」は、正反対な戦い方ができる点が面白い。怒涛の連撃に加え、様々な回避アクションで敵の攻撃を巻きながら戦えるため、高難易度ゲームではあまり見ない爽快アクションが楽しめた。また、敵の背後から攻撃すると火力が飛躍的に上がるため、中ボスあたりであれば、攻撃をいなして背後に回り続けながら戦うと、「サムライスタイル」では到底出せない速度で敵を倒すことができた。

そのほか、陰陽術や忍術など、過去作に存在していたサブアクションも用意されているため、スタイル×戦術を加味した多彩なアクションができる点は、非常に面白かった。

 

キャラクリエイター要素が充実していそう(体験版では利用不可)

「仁王2」に引き続き、今作でも主人公の見た目を自分でクリエイトするキャラクリ要素があるようだ。ただ、体験版では固定の限られたプリセットの中からしか、キャラクターを選ぶことはできなかった。

並んでいるキャラクリ項目を見ると、「コーエーテクモ」シリーズ特有の豊富な要素が用意されているようなので、思い思いのキャラを作って仁王の世界を楽しむことができそうだった。

体験版ではキャラプリセットの中から選ぶしかなかったが、キャラクリ要素は充実していそうに見えたため、本編が楽しみだ

 

本作の悪かった点

敵の攻撃モーションの見切りが異常に難しい…

体験版で登場する敵は、異常なくらい強く感じた。特に、新規の中ボス、大ボスたちは、わかりにくいディレイ攻撃や、予備動作がほぼ見えない突進攻撃、止めたように見せかけて続けてくる連撃など、10分戦っただけではなかなか見切れない程に厄介な攻撃をしてくる敵ばかりだった。

何度も戦って何とか踏破できたものの、ゲームオーバーとなった回数はカウントできない程…筆者が過去の仁王シリーズをやった際は、一部ボスを除き、4,5回ほどリトライすれば突破できる敵ばかりだったため、本作の敵モーションの難しさはちょっとやりすぎにも感じた…これを「やりごたえ」と感じるか「理不尽」と感じるか、は人によるところがありそうだ。

製品版になると、初めは戦いやすく、段々難しくなっていく、という形になる可能性はあるため、製品版に期待したい。

 

「地獄」の最大体力低下システムは無くていいと思う…

「仁王2」にも登場した、プレイヤー不利なフィールド「常闇」は、「仁王3」ではさらに過酷な「地獄」というフィールドへと変わったが、これが中々な鬼畜仕様だった。

「地獄」の中では、これまでの「常闇」と同じく、プレイヤーの気力回復速度が下がることに加え、敵から受けたダメージ量に応じて最大体力が削られていくようになる。敵を攻撃すれば回復するものの、被弾の多い本作では不利に働きやすい。

また、体験版終盤のメインミッションでは、フィールド全体が「地獄」状態となり、常に最大体力が減少する緊張感の中で進まなければならない。しかも一度減った最大体力は、ゲームオーバー後も元に戻らず、リスタート時に半分の状態で再開することもあった。

赤黒いバーは、最大体力が下がっている部分。仙薬を飲んでもここは回復しない。リスタート時もこの状態が継続するのは微妙…

こうした要素が、特定のボス戦限定であればスパイスとして成立するが、恒常的に続いてしまうと、高難易度ゲームとしてのバランスを崩してしまっている印象を受ける。結果として「地獄」は理不尽さが強く、不要なシステムと感じた。

 

育成のUIはもう少しわかりやすくしてほしい…

本作には、装備やスキル、称号ポイントの振り分け、木霊集めや守護霊の切り替えなどの多彩な育成要素が用意されているのだが、それぞれの育成メニュー画面が異なっている。そのため、どこにいけば何が強化できるのか、かなり迷いやすい。実際、筆者は体験版の終盤まで存在に気づかない育成要素もあった。

筆者は他の高難易度アクションゲームを数多く遊んできたが、育成メニューへの導線はもっとシンプルだったため、本作のUIはなおさら気になった。慣れの問題でもあるだろうし、遊んでいるうちに理解していくのだろうが、もう少し育成関連メニューへのUIはわかりやすくしてほしかった。

(「仁王2」は結構やりこんでいたが、こんな感じだったかな…とすると、昨今のゲームは皆、UIが考え込まれているんだなと感心した…)

 

最後に

オープンフィールド化により探索要素が大幅に増えた「仁王3」。製品版のやりごたえがとんでもないことになりそうな予感がしており、今から発売が楽しみだ。筆者は発売したら購入しようと思う。

どういうゲーム性か体感するのであれば実際にプレイするのが一番だ。α体験版は期間限定のため、気になっているなら、早めに体験版を遊んでみてほしい。

 

では!

 

【魔女の泉R】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switch版の「魔女の泉R」について、このゲームの特徴と、私の感じたよい点、悪い点を述べていく。

(本記事の情報は2025/6/7時点である)

2024年8月29日にパッケージ版が発売された「魔女の泉R」。もともとモバイルゲームとして開発された「魔女の泉」シリーズの第1作目をベースに、グラフィックスの見直しやキャラクター、ストーリーなどの多くの要素を追加して、新しいゲームとして作り直したリメイク作である。価格が定価4950円と、昨今のゲームと比べてもかなりの低価格で発売された作品だ。

筆者は「魔女の泉」シリーズはやったことがなく、存在すら知らなかったが、Switchのオンラインストアでセールで売られており、ネットの評判も非常に高かったため、購入!ゲームクリアまで遊んでみたため、このゲームがどんなゲームか、まとめていきたい。

 

総評

ハーフプライスのインディーズゲームとは思えない程、ゲームの作り込み度が高い。ポップなキャラデザインとは裏腹に、その実は差別や孤児などの要素が物語のベースになっており、意外とグサっとくるストーリー性や、値段以上のボリューム、フルボイス等、様々な面から見て満足度が高い。

幾つかのユーザビリティ面が微妙だったり、処理落ちが気になったりはするため、若干の低評価はつきつつも、それでも全体として見ると文句なしに楽しめる、良ゲー~神ゲーに匹敵する作品。多くのゲーマーには、是非とも手に取って遊んでみてほしい一本だった。

 

どんな人におすすめ?

  • コマンドRPGが好き
  • ストーリーがいいRPGがやりたい!
  • 安価だけどやりごたえあるゲームがやりたい!

という人にはオススメできる。逆に、

  • リアル調グラフィックでないと楽しめない
  • 処理落ちや、少しの不便事項が積み重なると許せない

という人には合わないと思う。

 

本ゲームの特徴

ソロ専用のコマンドRPG

本作は、森や火山地域、氷雪地帯などのフィールドを舞台に、道中の敵を倒して、武器や防具を手に入れたり、育成したり、イベントをこなしたりしてボスの討伐を目指す、という、ドラクエシリーズのような往年のオフラインコマンドRPGだ。

様々なフィールドを歩き回り、ストーリーのクリアや探索を行う

中には謎解きをするような場面も

戦闘は往年のコマンドRPG

敵とのバトルはシンボルエンカウント形式だが、プレイヤーを見つけて追いかけてくるといったことはしない。同じ場所にずっと固定して居続けおり、プレイヤーが敵のそばまで近寄ると戦闘になる、珍しい形式をとっている。

敵は固定ポイントから動かず、テリトリーである赤い円に触れることで戦闘へ推移する

敵に近づいても、最初に戦闘するかどうかの確認画面がでるので、そこで「逃げる」を選べば戦闘を回避できる。また、戦ってみたら想定以上に敵が強かった場合も、逃げるを選択すれば、ノーコストで逃げることができる。

敵のテリトリー内に触れると戦闘確認画面が表示される。戦いたくなければここで撤退もできるし、戦闘中にも自由に撤退できる

 

コマンド×シミュレーション要素を組み合わせたバトル

本作のバトルは、基本的には王道のコマンドRPGだ。自分のターンになると、武器を使った物理攻撃か、魔力を使った魔法攻撃のどちらかを選択し、相対する敵の全滅を狙っていく。

魔法を駆使した戦いが戦闘のメイン。炎、雷、氷の魔法を駆使して敵を攻撃する

近接攻撃で敵を倒す方法も。強力な技ほど、再利用にはリチャージ時間が必要になる

各攻撃には攻撃範囲が設定されており、その範囲内にいる敵には、まとめてダメージが入る。例えば、初期から使える炎魔法「四球火炎魔法陣」は、円形に炎が広がる攻撃をするため、その炎の中にいる敵にもまとめてダメージが入る。戦闘時の敵の配置から、どの順にどの技で攻撃をしていった方が効果的か、考えながら戦うことが求められる。

更には、物理攻撃や魔法攻撃以外にも、一定のターンを経過することで、強力な特殊魔法が使用できたり、自分の行動ターンを消費せずにアイテムが使えたり、といった要素も存在。前述した技の攻撃範囲のポイントと合わせ、シミュレーションゲームのような要素も含んだ作品となっている。

魔法の中には、円形の攻撃範囲を持つ攻撃も存在

範囲内の敵にまとめてダメージを与えられる

魔物によっては、ゲーム序盤で入手できる精神支配の魔法を使うことで、「ペット」として使役できる。「ペット」にした魔物は、フィールドで呼び出してプレイヤーの行動のサポートをしてくれたり、戦闘中に呼び出してプレイヤーと一緒に戦ってくれたりする。

特定の魔物に対し、精神支配の魔法を使用して、ペットとして使役可能

ペットに乗って高速移動。ペットに乗らないと移動できない場所もある

戦闘にも参加し、プレイヤーと一緒に戦ってくれる

 

修練、戦闘、鍛冶、クラフト等の育成要素

本作の育成要素は、他のRPG作品とは一線を画す、独特なシステムが採用されている。

 

まずは「修練」。キャラクターの基礎能力であるHP、MP、魔力、力、防御、素早さの6種類の中から、どの方向を伸ばしていくか決めて、ミニゲームをこなすことで強化していく。伸ばし方は、

  • HPやMPの最大値に一点特化した鍛え方
  • HPや力、防御などの物理戦闘面をまんべんなく育てる鍛え方

など、全部で10個のメニューが存在しており、自分で好きなメニューを選択して鍛えていく。修練を行なうには「修練ポイント」が必要で、このポイントは一定時間ごとにたまり、最大5つまでスタックできる。

「修練」を始めると、選択したメニューに応じたミニゲームが始まる。目標値を達成すると修練成功となり、指定のステータスが上昇する。ノーミスクリアするとパーフェクトとなり、上昇量にボーナスが追加される。

10個の修練項目の中から、鍛えたいステータスが上がる修練を選択

修練を開始すると、ミニゲームが始まる。やらない設定も可能

修練の結果によって、ステータスの上昇量が変わる

敵との戦闘で経験値を獲得してレベルアップする、往年のRPG要素も健在。ただし、経験値が手に入るのは初見の敵のみ。一度戦ったことのある敵からは、どれだけ戦っても経験値は手に入らない。

一定値まで到達するとレベルアップし、基礎ステータスの他、新たな技の習得ができたり、装備可能なアイテム数の増加、といった恩恵が受けられる。

初見の敵を倒すと、経験値を入手

経験値が一定値まで達成すると、戦闘経験レベルが上昇し、各種能力が向上する

手に入れた杖や鎧、剣等の武具は、素材を使用して強化が可能。杖は強化素材を一定数注いだのち、専用アイテムを消費することで、更に強い杖へと進化できる。どの素材を注いだか、によって、進化先の杖のタイプが変わってくる。

 

素材を注入し、進化素材を消費して進化。どの素材を入れたかによって、進化先の特色が異なる

鎧や盾、剣などの金属武具は、鋳造所で鉄鉱石を使用し、鍛え上げをすることで強化ができる。

鉄鉱石を消費し、自分で鍛え上げることで、武具の能力を向上できる

最後にクラフト。冒険中に手に入れた素材を用いて、新たなアイテムをクラフトできる。クラフト可能なアイテムは、回復薬などの補助アイテムから、新たな魔法や武具、ステータス増加アイテム、魔法にプラスαの効力を付与できる魔法陣など様々だ。

クラフトには専用のレシピが必要。レシピは道中のイベントや宝箱から入手可能だ。

道中手に入れた素材を使用して、新たなアイテムや魔法、武具を作成

作成用のレシピは、ストーリーを進めたり、フィールドを探索することで入手可能

 

幼い魔女「パイベリー」の成長と冒険を描く物語

物語の舞台となる世界では、かつて多くの神々が、人間と共存し、人間の生活に恵みをもたらしながら過ごしていた。そんな神々を、人間は初めのうちは崇拝していたものの、次第に「その力を自分のものにしたい」という欲望が立ち始め、遂に神々から力を奪い、自身を新たな神として人々を支配するようになった。

かつての神々は「魔族」として虐げられ、見つかり次第殺害されるか森に捨てられるか、という迫害の対象となってしまっていた。本作の主人公「パイベリー」は、「魔族」の一端である「魔女」のひとりであり、人間たちから隠れるように、森の中でたったひとりで生活していた。

森で一人隠れながら生活する魔女の娘「パイベリー」が本作の主人公

彼女の過ごす森には、時折人間の兵士である「勇士」が入り込み、「パイベリー」を見つけ次第遅いかかってくる。「パイベリー」はそんな「勇士」を撃退し、彼らの力良であるパイを奪う生活を送っていたが、最近になって「勇士」が入ってくる頻度が増え、かつ強くなっていることを気にしていた。

常に勇士たちから命を狙われており、その度に魔法を駆使して撃退してはパイを集める生活を送っていた

森へ訪れる勇士の量や質が上がっていることを気にする「パイベリー」

そんなある日、「パイベリー」は生意気なしゃべる鳥である「ブラックジョー」に出会う。お互いに皮肉を言いあいながら共生するうちに、「パイベリー」は次第に人間の世界へと興味を持ち始める。果たして「パイベリー」にはどのような冒険が待ち受けているのか、幼い魔女の成長を描いた冒険劇が幕を開ける。

 

本作の良かった点

RPG初心者からガチ勢まで楽しめる難易度!

本作には4つのゲーム難易度が用意されている。標準難易度である「ふつう」までは、ゲームシステムを理解し、雑魚敵との戦闘や訓練などをサボらずにこなしていけば、大きな苦戦なくクリアできる。

しかし、「むずかしい」や「とてもむずかしい」にすると、途端に難易度が上がる。「むずかしい」だとボスの攻撃力が高く、攻略順や行動順に気をつけないと負けるし、「とてもむずかしい」では雑魚戦ですらコテンパンにされるほど。レベルを上げて力押ししようにも、本作は同じ敵といくら戦っても経験値が入らず、必ずどこかで頭打ちとなるため、計画的な育成が必要だ。筆者は、難易度「むずかしい」で所々遊んでいたが、ボス戦では何回かゲームオーバーになり、アイテムの使い所や技の選択順などを考えて、何度かリトライして突破できたほどだ。

難易度設定は、フィールド探索中であればいつでも変更できる点も良い。難しくてクリアできないなら、その場で難易度を下げてしまえば突破しやすくなる。

「ふつう」と「むずかしい」の間がちょっと開きすぎているような気もしなくはないが、ライト層からゲーマー層まで、幅広い範囲で十分楽しめる難易度設計なのはとてもよかった。

 

充実のやり込み度!

商人から受けられる納品依頼や、街中で困っている人と会話してサブクエストを受注できたりなど、メインストーリーとは異なる要素もちゃんと用意されている。これらをクリアすることで、お金や素材、別のクエスト関連につながっていくカギを入手出来たりするため、寄り道にも意義が生まれている。

また、マップのダンジョン奥地には大型のフィールドボスが存在しており、倒すことでボス戦用の素材を入手できたり、最奥に置かれた宝箱を入手出来たりする。強力な魔法を入手するには、フィールドボスを倒して手に入れる素材が必要になるため、魔法集めの一端にもなる。

 

筆者は、

  • 難易度を「ふつう」と「むずかしい」を行ったり来たり
  • いくつかのサブクエストとフィールドボスをクリア
  • 入手可能な魔法や武具を半分ほど入手

の状態でストーリーをクリアし、かかった時間は約25時間だった。これでもまだまだやり込み要素は残っていると思うので、全てやりこもうとすると、40時間近くは遊べると思う。5000円未満、フルボイスのゲームでここまでやれるのなら、ボリューム面では文句なしといえるだろう。

 

圧巻のフルボイス!簡易だがムービーもあり!

本作はハーフプライス作品以下の値段の作品にも関わらず、ストーリーパートはまさかのフルボイス!しかもどの声優陣も、丁寧に演技してくれており、物語への没入感が高い。(「パイベリー」の声優の声がかなり甲高く、ゲーム開始時からずっとその声を聞き続けるので、そこは少しばかし気になったが…)

また、基本的にはミニチュアサイズな3Dキャラ表示と立ち絵だけで進行する会話パートも、ゲーム中の重要なシーンでは動き回ってくれる点も良い。もちろん、AAA級のRPGと比べてしまったら劣るが、それでもPS2位に登場したゲームのムービーパート位には動いてくれる。

ストーリーの各所で、フルボイスムービーを用意してくれている。低価格なのにここまで用意してくれているのはありがたい!

安価な値段にも関わらず、ここまで作りこんでこれているのは非常にありがたい。昨今のゲームはグラフィックなどに力を入れるあまり、値段がやけに高いにも関わらず、「どこか残念…」と思える要素が点在している節があるため、「ゲームって本来こんな感じで十分なんだよなー」というような気持ちになった。

 

世界観やストーリーが魅力的!

ゲームの作画はかなりポップなアニメ調。主人公の「パイベリー」も幼い女の子であり、子供っぽい声で天真爛漫な場面が多く、初手は「子供向けゲームなのかな」という印象を受ける。

しかし、実際の世界観は実に残酷。ゲームを始めると至る場面で、魔女たちの迫害度合いの深刻さを突き付けられる。魔女は見つかり次第、女子供だろうと、有無を言わさず拘束されて連行されるか、その場で処刑されてしまう。「パイベリー」自身もそのことを知っているためか、「勇士」と出会った時には明るい声で「かかってきて!」とか、「勝った~!じゃあパイを回収しまーす」とか、まるで狩るものと狩られるものものような会話を繰り広げている。

更に、「パイベリー」の天真爛漫さは魅力な反面、世間知らずなうえ、善悪の考えがどこかぶっ飛んでいる側面もある。野生動物は精神支配の魔法で無理やりペットにしようとするし、しゃべる鳥である「ブラックジョー」に精神支配の魔法が効かないとわかると、力業で支配下に組み込んでしまうのだ。かといって常に横暴なわけではなく、優しく面倒見がいい側面もある。

笑顔でそんなことを言わないでくれよ…

精神支配で一生部下に…思ったことを素直にずばずば言ってしまう子供っぽさが、恐ろしくもあり魅力的

この世界観や、主人公のギャップ描写は、物語への没入感を非常に高め、「ここまで殺伐とした世界で、主人公はどう成長していくんだろう…」という気持ちを抑えられなかった。

 

そんな「パイベリー」が紡ぐストーリーも魅力的。母親のいない「パイベリー」の葛藤や、勇士達の中で渦巻く様々な善悪の判断、謎に包まれた「教皇」の思惑など、どれもこれも魅力的なストーリーを展開してくれる。登場キャラも無駄と思えるキャラはほとんどおらず、誰もかれもがストーリーを彩る重要なキャラになっていた点もよかった。

序盤の展開は少しスロースタート気味だが、中盤に差し掛かってくるにつれ、どんどんと先が気になり、止め時を失ってしまったほどだ。かといって、異常なまでの伏線や、専門用語のオンパレードになるようなこともなく、わかりやすくまとまっているのも素晴らしい。「すごく作りこまれた物語だな」と心底感心した。

「パイペリー」に対して皮肉を言い続ける「ブラックジョー」。なぜか様々な知識を持っている不思議な鳥。彼は一体何者なのか…

指揮官級勇士の一人「リビア」。魔女狩りを遂行する後輩勇士を育成する立場だが、どこか後ろめたさを感じている側面も…

 

本作の悪かった点

召喚獣周りの使い勝手がよくない…

動く床に乗る時や、ムービーを挟んで別場面に行く時など、ゲームプレイ中に頻繁に遭遇する切り替えを挟むと、呼び出していた召喚獣が消えてしまうことが頻繁にあり、これがかなり面倒だった。

召喚獣に乗りたいなら、再び召喚獣を呼び出すコマンドをする必要があるし、戦闘中に呼び出す際にも改めて呼び出し直す必要がある。特に戦闘時は、素早さの高い召喚獣を事前に呼び出せば先制攻撃できたはずが、シーン切り替えで召喚獣が消えたことに気づかずに戦闘開始すると、攻撃の機会損失が発生してしまうこともあった。

召喚獣呼び出しはかなり頻繁に使用することになるため、細かなストレスが積み重なり、かなり気になってしまった。このあたりの使い勝手はもっと良くしてほしいところだった。

 

場面が切り替わると、セリフのオート進行が消える…

セリフのオート進行はボタンひとつで切り替えられて便利なのだが、なぜか場面が変わるとこの設定が消えてしまうため、再度オート進行用のボタンを押す必要がある。頻度自体は多くはないが、それでも遊んでいると気になるポイントだった。

 

会話パートが多く、ゲームを置いてみている時間が長め…

本作のストーリーパートには会話パートがかなり多く用意されている。それらすべてがフルボイスのため、ゲーム機を置いて画面を見ている時間がかなり長い印象を受けた。まるで「ゲームもできる映画」とも揶揄された「FF16」をやっているかのような気持ちにもなる。ゲームの難易度を「ふつう」以下にしているとサクサクとゲームを進められるので、なおさら画面を眺めているだけとなる印象があった。

ここはフルボイス化したことの恩恵でもあるのだが、気になる人は気になるだろう。難易度を「むずかしい」以上にすれば、必然的に育成や探索をしていくことが求められてくるので、「ゲームプレイ時間とムービー時間の均等にとりたい」と思うのであれば、難易度を変えてみてほしい。

 

Switch版は処理落ちが目立つ…

会話のオート進行中、キャラが立ち絵ではなく、動きを持つようになった場面や、エフェクトが発生するような場面になると、ほぼ確実といっていいくらい処理落ちする。そうなると、会話のオート進行が非常に遅くなり、次のセリフが始まるまでに3秒~5秒ほど経たないと切り替わらなくなる。Aボタンを押せばすぐに次のセリフが始まるので、処理落ち気味になったらAボタンを押せば解消できるのだが、ムービー中に「今回はボタンを押さなきゃ」と意識を持っていかれてしまうため、少し気になる要素ではあった。

switch版だからこその処理性能の悪さによるものだと思っている。このような処理落ちが気になるプレイヤーは、PC版やPS5版などで遊ぼう。

 

最後に

ハーフプライスにも関わらず、丁寧な作り込みで、満足して遊ぶことができた「魔女の泉R」。もともと安価にも関わらず、発売から少し時間が経っているため、セールとして発売されることも有るので、非常におすすめできる。

多くのプレイヤーが楽しめる素晴らしい作品になっているので、ぜひ手に取って遊んでみてほしい。

 

では!

 

 

【ザ・ファーストバーサーカー・カザン】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「The First Berserker Khazan」について、このゲームの特徴と、私の感じたよい点、悪い点を述べていく。

(本記事の情報は2025/5/18時点である)

2025/3/28に発売された本作。ソウルライク作品、特に仁王シリーズやWo longのような、ハクスラ系作品を多く遊んできた筆者としては、同じようなハクスラ型のソウルライク作品が出た、ということで、気になって購入。

一通りプレイしてみたので、このゲームがどんな作品なのか、いい点やいまいちな点はどこだったのか、まとめていきたい。

 

総評

まさに「仁王」や「Wo Long」のゲームシステムをそのまま引っ張ってきたようなゲーム。それでも、ただのパクリではない秀逸なポイントが幾つか用意されている。武器の種類が乏しかったり、ビルド要素が薄いのは残念ポイントだが、逆にその要素を絞り、プレイヤーができるアクションの幅を広めるように作りこまれていたため、

  • 近距離に特化したビルド構築
  • 「sekiro」や「ブラッドボーン」のような弾きやジャスト回避プレイ
  • テイルズシリーズのような連続攻撃

をいい塩梅に複合させている。その分、敵の強さも跳ね上がっていて難易度が高めであり、身に着けたアクションやプレイスキルをフル活用し、ギリギリで討伐できた時の達成感は半端ではない。

高難易度ゲーム特有のヒット&アウェイプレイングによる緊張感に加え、スタイリッシュな戦いもでき、全体通して楽しんでプレイできる作品だった。ソロプレイ専用の近距離特化ソウルライクをやりたいなら、本作を是非とも手に取ってみてほしい。

 

どんな人におすすめ?

  • 超高難易度アクションゲームがやりたい
  • スタイリッシュアクションが好き
  • ボリュームのあるソロゲームがやりたい
  • ソウルライク作品でもストーリーの良さは欠かせない

という人にはオススメできる。逆に、

  • ハクスラゲーム本家が好き、及び仁王シリーズのようなハクスラゲームを期待したい
  • ソウルライクで雑魚敵が強いとイラつく

という人には合わないと思う。

 

本ゲームの特徴

高難易度なソロ向け高難易度アクションゲーム

本作は、中規模サイズのマップを探索し、最奥にいるボス撃破を目指していく、ソロ専用のアクションゲームである。

本作は、いわゆる「ソウルライク」に該当するアクションゲームであるため、雑魚敵からでも受けるダメージ量は高く、油断すると一瞬でゲームオーバーとなるほど難しい。あらゆる敵を相手に、ちゃんと動きの癖を見極め、回避やガードでいなし、隙をついて攻撃してまた引く、といった堅実な戦いが求められる。

ボス戦となると、急接近攻撃や広範囲攻撃をいくつも出してくるため、より難易度が上がる。敵の攻撃パターンを見分け、どこで攻撃すれば良いか、どのタイミングでどの方向に回避すれば良いか、などの試行錯誤を何度も繰り返してクリアを目指していく、正にプレイヤー自身の発見と成長をいくつも繋げながらクリアを目指すゲームだ。

雑魚敵の攻撃ですら、1発でここまでダメージを受けるのがこのゲーム

ボスから受ける攻撃は、体力の1/4以上のダメージを受けるものも

体力が0となりゲームオーバーになると、後述する育成ポイント「ラクリーマ」をその場に落とし、直前のチェックポイントである「鬼剣」からやり直しとなる点や、「鬼剣」にアクセスして体力を回復できる反面、道中で倒した雑魚敵が復活してしまう点は、既存のソウルライクシリーズと同じだ。

 

ゲーム進行は戦闘フィールドと拠点エリアを行き来するクエスト受領型。クエストを受領すると、クエスト用の専用エリアに移動し、クエスト目的を達成してまた拠点に帰還する、という行動を繰り返す。そのクエストのボスを倒しても、再度クエストを受注することで再戦が可能だ。こちらは仁王シリーズやWo longと同じシステムを採用している。

拠点から受注したいクエストを選んでいくスタイル

 

気力を意識し、複数の攻撃技を組み合わせた戦闘システム

攻撃では、火力は低いが隙が少ない弱攻撃と、隙は大きいが火力の出る強攻撃の2種類を使い分けて戦う。各攻撃は、指定の順番でコマンド入力することでコンボ攻撃ができるうえ、コマンド入力することでしか出せない特殊攻撃も存在する。これらを駆使し、敵にダメージを与えて倒していく。

 

敵の攻撃への対処方法には、ガードと回避の2つがある。

ガードは、L1ボタンを押し続けている間、敵の攻撃を防ぐことができる行為。ガードには一定量の気力を消費するうえ、ガード中は気力が回復しないため、ずっとガードし続けることはできない。そこで、敵の攻撃が当たるタイミングに合わせてガードすることで、気力消費量を大きく減らし、敵の気力へ反撃ダメージを与えられるジャストガードが存在する。ただし、ジャストガードをしても、毒攻撃や炎攻撃などの属性が付与された攻撃を受けた場合は、属性ダメージは受けてしまうため、万能ではない。

敵の攻撃が当たる!というまさにそのタイミングでガードを行うと…

赤い光を放つジャストガードが発動。気力消費も大きく減らし、逆に敵の気力を削っていく

回避は気力がある限り連続で使用できるステップ移動型。いわゆる「ヤーナムステップ」スタイルだ。ガードではダメージを受けてしまう属性攻撃をかわすことができる。また、敵の攻撃に合わせて回避をするとジャスト回避が発生し、回避後にできる専用攻撃の火力が上がる。

敵の攻撃が当たるタイミングで回避を行うと…

残像を残して回避。その後の攻撃の火力が上がる

攻撃や回避、ダッシュなどのあらゆるアクションには、一定数の気力を消費する。気力が0になると一定時間行動不能になってしまい、敵の攻撃をそのまま食らってしまう。スタミナ管理をしながら、攻撃、回避、ガードを駆使する戦いが必要となる。

赤く囲った白いバーが気力ゲージ。敵にも存在し、人型の敵は白、非人型の敵は紫いろとなる。このゲージが無くなると行動できなくなる

気力は敵にも存在しており、攻撃などの手段で削ることができる。敵の気力をゼロにすると、敵が一時行動不能になるだけでなく、大ダメージを与えられる致命攻撃ができる。

敵の気力を0にすると、一定時間行動不能になることに加え、大ダメージを与えられる専用技が使える

 

ハクスラ要素やスキル構成を基にしたビルド育成

本作に登場する武器は以下の3種類と数は少なめ。

  • 素早い連続攻撃が可能な「刀剣」
  • 大振りだが重い攻撃ができる「大剣」
  • リーチが長く、万能に戦える「槍」

ロードアウト決定時はこの中から1種類選び、装備する。

大振りだが火力の高さが特徴の「大剣」

刀と斧の二刀流を駆使し、素早い動きで敵を翻弄する「刀剣」

防具は頭や胴、アクセサリーなど合計7つを装備できる。防御力が高い防具は重量が大きく、着け過ぎると気力回復速度が下がる。反面、防御力は低いが身軽な防具をつければ、気力管理が楽になる。自分の所持可能重量や戦い方に応じて、どの防具を選ぶか決めていく。

こちらが装備品のロードアウト画面。武器、防具、アクセサリーなどを組み合わせてビルドを構築する

武器や防具にはレベルがあり、同じ武器でもレベルによって基礎ステータスが変わる。更には、「気力回復速度を増加」「特定タイプの敵に与える攻撃力増加」などの特別なバフ効果がランダムに付与されており、同じ武器、同じレベルでも、使用感に差が出る。自分のお気に入り装備を厳選し、装備構成を決めるハクスラ要素が実装されているのだ。

武具にはレベルやシリーズ、ランダム付与される特殊効果が用意され、自分で組み合わせを選んでいく

装備は宝箱を開けたり、倒した敵からドロップしたりして入手できる。それ以外にも、拠点で素材を使用して武具を作ったり、武具同士を結合させてより強い武具を作り出せたりすることが可能だ。

鍛冶屋が開設されれば、素材を消費して武具を作成することも可能

敵を倒すと「ラクリーマ」というポイントを入手できる。「ラクリーマ」を一定数消費すればレベルアップでき、体力や気力などの5種類のステータスの中から好きなステータスを増加できる。武器種によっては、このステータス割り振りによって火力が更に上がるため、自分の使いたい装備に合わせて、ステータス割り振りを考えていく。

「ラクリーマ」を消費し、ステータスを向上

戦闘を積み重ねていくと、「ラクリーマ」とは別に、「スキルポイント」というポイントを入手できる。スキルポイントを使い、武器種ごとに用意されたスキルを体得すれば、新技を使えるようになったり、既存技に派生攻撃がついたりなど、その武器を使ったアクションがより高性能なものになっていく。

戦っている中で自動で手に入るスキルポイントを使用し、武器種ごとのスキルを体得

槍のスキルを育てると、飛ぶ斬撃を放つ技を入手できる

その他にも、ストーリーを進めることで手に入る記憶ポイントを消費して火力を向上させる「カザンの記憶」や、特定のステータスだけを増加でき、使い込むことで性能が上がっていく「ファントム」など、多数のステータスアップ要素が用意されている。

クエストをクリアしていくと手に入る「記憶ポイント」を使用して、火力を上げていく「カザンの記憶」

特定のステータスを向上させ、使い込むことで育成が可能な「ファントム」

 

様々な収集要素やサブクエスト

本作はメインストーリー以外にも、いくつかのサブクエストが用意されている。サブクエストをクリアすると、ゲーム中に登場するキャラたちの背景を深ぼれたり、戦闘で役に立つアイテムが手に入ったりしていく。

作中に登場するサブキャラたちと会話することで、サブクエストが解禁。専用のステージへと挑戦できる

マップの各地には、赤く光る「鬼石」や、壺に隠れた「ダンジン」というキャラが散りばめられている。これらを全て入手するのも、やり込み要素の一端だ。

育成要素の1つでもある「鬼石」。マップのどこかにいるため、見つけて破壊していこう

壺の中に隠れている「ダンジン」を集める要素も。一定数集めると専用アイテムと交換できる

 

反逆の濡れ衣を着せられた「カザン」の復讐を描く物語

本作は、「アラド戦記」という別ゲームの舞台よりも過去の世界を描いた物語が展開される。

ペル・ロス帝国歴89年、大将軍である「カザン」は突如として反逆者の濡れ衣を着せられ、腕の神経を切られたうえで雪山へと追放されてしまう。その搬送中、突如発生した雪崩に巻き込まれ、奇跡的に生還した「カザン」だが、雪崩を発生させる原因を作った謎の存在「ブレードファントム」に体を乗っ取られてしまう。

無実の罪を着せられ、連行される「カザン」

連行途中の雪山で発生した雪崩に巻き込まれ、奇跡的に生還する

しかし、「カザン」本人の気力によって、「ブレードファントム」から自身の体を取り戻し、更にはその力を逆利用して、腕を再度利用できるようにしてしまう。その後「カザン」は、「ブレードファントム」の目的である「冥界のバランスが崩れている原因の特定」に協力する見返りに、自身の復讐へ協力することを取り付ける。

なぜ皇帝は急に「カザン」を反逆者として処罰したのか、その真相を確かめるべく、壮大な復讐劇の幕が上がる。

「カザン」の身体を乗っ取ろうとする「ブレードファントム」。彼なりの目的があるようだ

 

本作の良かった点

良ボスしかいない!ボス戦が本当に楽しい!

本作は、数多くあるソウルライク作品の中でもかなり高難易度な部類に入ると思う。筆者は本家ソウルシリーズでも、1,2回のリトライで倒せるボスが必ず数体はいたが、本作にはそんな生易しいボスは1体もいなかった。最低でも4回はリトライしたし、苦戦したボスは10回ほど挑んだりもした。

ボス戦の難しさの根源にあるのは、

  • 高い攻撃力と広範囲攻撃
  • ディレイ差の大きい多彩な攻撃パターン
  • 攻撃に状態異常が付与されることが多く、ただの防御ではスリップダメージを受ける

だった。特にディレイ差の大きい多彩な攻撃パターンは非常に厄介で、序盤のボスですら覚えて対処するのが難しかった。この攻撃を、自分の気力残量を気にしつつ、ジャストガードやジャスト回避を駆使してさばき、その上でこちらから攻撃しないと倒せないので、求められるプレイングスキルがかなり高い印象だった。

では難しすぎてクソゲーなのか、というとそんなことはない。難しいながらも「なんかクリアできそう」という感覚をプレイヤーに持たせるのが上手だった。

何度もボスと戦っていると、特定の行動前には必ず同じ予備動作をしていることがわかる。対処がしにくい素早い連撃攻撃は、受けるダメージが比較的低めに作られている。プレイヤー側が取れる行動も、ガードや回避に加え、防御寄りのスキルによる対処もできる。これらを組み合わせると、たとえボス相手でもプレイヤー側の一方的な攻撃ターンを作ることができ、理不尽さを感じにくい。この戦闘バランスは絶妙であり、自分がだんだん成長しているのがわかるのがよかった。

全ての回復薬を使い果たし、体力があとわずかになった状態でボスを倒し切ったときの達成感は半端ではなく、「このためにソウルライク作品をやっている…」と感じれた。

 

近接アクション要素がストレスフリーで楽しめる!

スキルを入手していくと、強攻撃と弱攻撃のコンボに加え、複数のスキルも組み合わせた戦い方が可能になる。これにより、テイルズシリーズにあるような、特技と秘技と奥義を組み合わせた連続攻撃をしていくような攻撃ができる。他のソウルライク作品では見ないような、スタイリッシュアクション的戦い方ができるため、なかなか爽快で面白い。

攻撃モーション後の硬直も短く、モーションの狭間にガードや回避を素早く差し込めるため、コンボの途中で敵の攻撃が襲ってきても、プレイヤーの思ったようにジャストガードやジャスト回避ができる点もよい。

ソウルライク作品ながらも、アクションRPGのような爽快プレイングができるように作られていて、この気持ちよさは他作品では味わえない要素だと感じた。

 

探索のやりごたえがあり、ボリューム充分!

本作は、様々な面で、値段相応かそれ以上のボリュームを提供してくれている。

マップは仁王シリーズに見られるような中規模レベルのサイズで、進んだ先に隠し宝箱や貴重なレシピ、収集アイテム等が落ちていることが多く、探索し甲斐が生まれている。

サブクエストは、クリアすることでキャラの深堀だけでなく、攻略に役立つ様々な強化アイテムが入手できる。サブクエスト上でしか入手できないアイテムも大量に存在してており、「メインストーリーを進める前にこのサブクエストを攻略してみようかな」という気分になれる。サブクエストに登場するマップやボスは、メインストーリーの使いまわしではあるのだが、メインストーリーでは通れなかった一部ルートに入れたり、初戦時はやってこなかった攻撃技をひっさげた、新たなボスとして立ちはだかってきたりと、少しでも水増し感が出ないように作られているのも高評価。

 

また、クリア後要素も豊富。まずは、育成状況や入手武器を引き継いだ状態で、より強化された敵を相手に再度初めからプレイできる、いわゆる「強くてニューゲーム」要素。この難易度でしか手に入らない高レアリティ武器もあるため、より強いビルドの探求が可能になる。また、メインストーリーに登場するボスをひたすらに連戦して戦っていくボスラッシュ的なモード「極限の挑戦」により、自身のプレイ技術を極限まで高めていくような遊び方もできる。

 

筆者はサブクエストの8割ほどをこなしてストーリーをクリアしたが、その際にかかった時間は約35時間だった。8000円ちょっとのフルプライスゲームだが、これだけ遊べれば十分ボリュームがある作品だったと感じた。

 

没入感の高い魅力的なストーリー!

あまりストーリーが大事にされない(気がしている)ことが多いソウルライク作品なのだが、本作のストーリーは作り込み方がかなり良かった印象だ。

ゲームを始めたばかりのころは、なぜ皇帝が急遽「カザン」たちを反逆者として追放したのか、まったくわからないが、ストーリーを進めるうちにその真相が少しずつ見えてきて、次第に思わぬ展開へと流れていく点は見事。また、フィールドの各地には世界の状況を示した文書が落ちており。ストーリー把握を更に深くできるようになっているのも、没入感を増してくれるよい点だと感じる。

世界観の背景をより体感できる文書が各地に落ちている。読むことで、よりストーリーへと入り込むことができた

ストーリーの終わり方はちょっと微妙だったが、それでもソウルライク作品にしては十分練りこまれたストーリーになっていて、プレイしていて続きが気になるほどだった。

 

ソウルライク作品初心者向けのシステムを搭載!

ボス戦限定にはなるが、体力が尽きた際に、ボスに与えていたダメージ量に応じてラクリーマをおまけ獲得できる。落としたラクリーマはボス戦の扉の前に落ちるため苦労せず回収できるため、たとえ負け続けたとしても、キャラステータスを少しずつではあるが増加でき、攻略につまり続けることがあまりないように作られているのは評価できた。

ボスに負けても、与えたダメージ量に応じてラクリーマを追加獲得できるため、負けを成長に繋げられる

また、本作では使い切り型の回復アイテムがかなり多く用意されている。標準装備の回復薬が切れてしまっても、それらのアイテムを使用して危機を脱しやすく、ここも初心者向けの救済要素といえる。使える回数に限りはあるが、どうにもクリアできそうにないボス戦で使えば、強敵相手でもクリアできる確率が比較的に増加してくれる。

 

更に、ボス戦ではAIが操作する味方キャラを1体呼び出し、ともに戦うことが可能。大した強さはないが、ボスのヘイトが分散し、安全に立ち回れる機会が増える。

仲間を呼び出してともに戦えば、強敵相手でもかなり戦いやすくなる

それでも難しいというプレイヤー向けに、登場する敵の強さを変更できる難易度設定も完備。アクションに自信がないのであれば、難易度を下げていけばある程度プレイしやすくなる点もありがたい。

「イージー」と「ノーマル」の2つの難易度が用意されている。自信がなければ「イージー」へ変更して対応できる

 

本作の悪かった点

敵がやたらと硬い…

ゲームの初めから終わりまで、雑魚敵がやたら硬いのが気になる。ステージの適正レベルまで強化しても、一連のコンボ攻撃すべてを当てないと倒せない程だ。しかも雑魚敵ですら、攻撃モーションに入るとスーパーアーマーを持って連続攻撃を仕掛けてくる。雑魚敵は複数戦となる場面が多いため、ジャストガードで敵の攻撃を的確にさばきながら、こちらの連続攻撃をいくつも入れないと、気力が持たずに押し負けてしまう戦闘バランスの悪さを感じた。

ボスの硬さも、序盤は少し硬すぎるうえ、序盤から第2形態まで変形するボスもいる点は、さすがにやり過ぎでは…?とは思った。序盤のボスは状態異常攻撃は駆使してこないし、攻撃モーションもまだわかりやすい方だが、それでもかなり難しい、初心者殺しな要素になっているのは気になった。

 

ビルドパターンが少なめ…

ハクスラゲームの要となるビルド要素だが、本作はなんだかんだ言って結構薄め。

確かに、ランダムなバフ効果がつく武具や、パラメータにスキル割り振り、ファントム育成など、プレイヤーごとに育成の差がでる要素はある。これらが満足に育ち切っていないゲーム中盤までは、「どんな構築で攻略しようかな」と考えたくなるビルド要素は存在していた。が、ゲーム終盤になると、大体必要なスキルやステータス割り振りは揃っているし、欲しい武具も好きに自作、改造できるだけの潤沢な素材が手に入るしで、大体みんな同じような構築になってくる印象だ。武器の種類が多ければまだよかったのだが、3種類しかないので、なお更少なく感じてしまう。

ランダムに付与されるバフ効果が、「特定のスキル技、特定のコンボを使った際に非常に高い火力が出せる」というような振り切った性能なら、もう少しビルド幅の楽しみがあったのだろうが、結局その辺りはシリーズ防具を揃えれば解決できてしまう。

 

一応、エンドコンテンツに手を出せば、多少ハクスラ要素の色が強くなり、ビルドを考える楽しみが増えはするが、それでも仁王シリーズの方が、ハクスラ×ソウルライクの作品としての作り込みは高かったのでは?と感じてしまう。

 

ハクスラのビルドシステムを期待して本作を買うと、ちょっと肩透かしになる印象なので注意が必要だった。

 

ビルドの登録ができない…

ハクスラゲームの場合、様々なビルドを組み、必要に応じて切り替えることが多い。これをストレスなくこなすには、一度作成したビルドを登録し、いつでも呼び出してすぐに切り替えられる仕組みが欲しいところ。

が、本作にはこのビルド登録システムがない。ビルド構築に必要なポイント構築要素が非常に多く、別ビルドを組もうとすると長時間かけてスキルポイントやステータスを振り分けしなおさないといけない。他の武器をやろうにも、この振り分けの面倒くささが足を引っ張り、別のビルドを作る気になれなかった。

ビルド登録システムを用意するだけで、かなりいろいろなプレイングを試せるので、アップデートで追加してほしいところだ。

 

 

最後に

近接アクションへ特化させ、多彩な連続攻撃を駆使して戦えるアクション性を有している「The First Berserker Khazan」。難易度はかなりのもので、クリアの難易度は非常に高いが、クリアした際の達成感は相当なものだし、ボス戦の理不尽感も感じにくい、非常によくできた戦闘バランスに仕上がっていると感じた。

ソウルライク作品をプレイしたことがあり、緊迫感のあるスタイリッシュゲームを求めている方は、購入して損はないはずだ。

 

では!

 

 

【エンダーマグノリア】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switch版「ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

(本記事の情報は2025/4/19時点である)

2025/1/23にリリースされた「ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist」。前作「エンダーリリーズ」は非常に好評なインディーズ作品で、神ゲーといわれていた。その世界観や荘厳な音楽、グラフィックなどをそのままに、新たな要素をひっさげた続編として、本ゲームは発売された。

筆者は前作をプレイしたことはないが、「神ゲー」という噂だけは見ていた。そのゲームの続編が出た、ということで、気になって購入。エンディングまで到達したうえで、本作はどういうゲームなのか、良い点、悪い点はどこなのか、まとめていきたい。

総評

とても4000円に満たない安価ゲームとは思えないほど、丁寧に、そしてやりごたえあるゲームに仕上がっている。神ゲーの名にふさわしく、是非ともこのゲームをプレイしてみてほしい。

高難易度な戦闘バランスは、手に汗握るバトルへの没入感を高めている。強敵を相手に、装備品やスキルレイアウトを「あーでもない、こーでもない」と考え、敵のモーションを覚えて隙をつき、攻略できた時の達成感はすさまじい。アクションが苦手な人には少し難しい作品ではあるが、そこはプレイヤー個人でゲーム難易度をいじってしまえば楽しめる配慮も素晴らしい。

探索に向けたUIも洗練され、Switch版でもレスポンスやロード速度も文句なし、音楽やグラフィックも十分だ。

ただ、ストーリーがなぁ…なんだかよくわからなかったんだよなぁ…これは筆者の理解力の問題なのかなぁ…ストーリーテリングの進め方が、物語の理解難易度を少し上げているような気がしており、ここだけは惜しいポイントと感じた。

 

どんな人にオススメ?

  • 高難易度アクションゲームがやりたい
  • 安価なインディーズでおすすめゲームがやりたい
  • ストレスフリーなゲームプレイがやりたい
  • 育成要素が充実しているゲームが好き

という人にはオススメできる。逆に

  • ゲームにはボイス必須
  • わかりやすいストーリー進行がよい

という人にはあまりオススメできない。

 

このゲームの特徴

美少女が主人公のメトロイドヴァニア×高難易度アクションゲーム

本作は、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるゲームジャンルに該当する、2D探索型のオフライン専用アクションRPGである。

マップはいくつかのエリアに分けられており、それらが地続きで繋がる構造をしている。マップの各所には、普通のジャンプでは届かない場所や、大きくそりたった壁などが点在しており、ゲーム開始直後はそのような場所を踏破できない。そのような時は、別のエリアで新たなアクションを手に入れれば通過できるようになり、新たなエリアへの探索ができる、という仕組みをとっている。この「一度訪れたマップに、新アクションを得て再度訪れることで、新たな探索エリアが増える」というのが、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるゲームの大きな特徴だ。

2Dのフィールドを舞台に、様々な場所を行ったり来たりして探索しながら進んでいくアクションゲーム

道中には様々な敵がプレイヤーの行く手を阻む。倒すか逃げるか、常に選択を求められる

複雑に入り組んだ巨大なマップを探索し、散りばめられた敵やトラップをかいくぐり、進んでいった先には、様々なボスが待ち構えている。ボスを倒し、新アクション、新武器を入手して次のステージへ進み、またボスを倒して…ということを繰り返すのが本作である。

ステージの各地に構える大ボスは、どれも苛烈で高火力な技を持った強敵だ

各ステージの大ボスを倒したり、特定のイベントをこなしたりすると、壁上りや水中ダッシュなど、様々な新能力を手に入れる。これを駆使することで、探索できる範囲が広がっていく。

目の前には反り立つ坂しかなく、先に進む道などなさそうに見えるが…

フックをひっかけられる能力を身に着けることで、通常では届かない場所まで移動できるようになる

 

スキルやパリィ、回避を駆使した戦闘システム

本作の敵は雑魚敵から大ボスまで、全員の攻撃力が非常に高く、1発くらっただけで体力の1/3を削られるような場面も珍しくない。いかなる場面でも、油断せず的確に攻撃をさばいていく必要がある。時には逃げるのも選択肢となる。

左上の体力ゲージにある赤いバーが、敵から受けたダメージ量。難易度ノーマルでも、大ボス相手では1発でここまで体力が削られることも

そのような強力な敵と戦うためには、スキルや回避、パリィを駆使していく必要がある。

スキルは本作での主な攻撃手段であり、ストーリー中で調律したホムンクルスの力を利用し、彼らの特徴を反映した攻撃を行っていく。

ホムンクルスごとに、

  • ボタンを押すことで任意の近接攻撃がいつでも実施できる「メインスキル」
  • 遠距離攻撃を放つ「リピートスキル」
  • 強力な反面、一度使用するとリチャージ時間を要する「リキャストスキル」
  • 回避や移動などの特定コマンドや、時間経過で勝手に敵を攻撃する「オートスキル」

といった特徴がある。同じスキルタイプの中にも、3種類の攻撃技が用意されており、プレイヤー自身でどのスキルを使いたいか選んでいく。中には、敵を燃やしたり凍らせたり、といった状態異常も付与するものも存在する。

手に入れたスキルの中から4つまで選んで装備可能

鎌を連続で振るうスキルや、遠距離の敵を狙撃するスキルなどの中から、自分が使いたいスキルを4種類装備

敵の攻撃が来た際には、回避コマンドで避けるのが非常に重要。それ以外にも、空中で回避をすることで、離れた場所へ移動するための手段にもなる。空中ジャンプと組み合わせて使うことで、かなり長い距離を移動できる。

回避コマンドで敵の攻撃を回避したり、空中を横方向に大きく移動したりなど、頻繁に利用することになる

ゲームを進めると、敵の攻撃が当たるタイミングでL1ボタンを明日ことで、反撃できるパリィを獲得する。回避とは違い、パリィには特定の追加効果を発生させられるうえ、実施後の硬直もなく、即座に別の攻撃に移行できる便利技であり、積極的に発動していきたい防御手段だ。

敵の攻撃が当たるタイミングにL1ボタンを押すと…

パリィを行い、適応した反撃技を出せる。パリィ後の硬直もなく、素早く別行動がとれる

 

レベルアップやスキル強化、装備、レリック等の育成要素

身体能力の強化には、

  • レベルアップ
  • アイテムによる体力上限アップ
  • スキルレベルアップ
  • 装備
  • レリック

といった選択肢が存在する。

 

敵を倒すと経験値を獲得し、一定数溜まるとレベルアップ。攻撃力と防御力が増加する。強力な敵との戦闘を、プレイングだけではどうにもさばけないのであれば、レベルアップして単純な身体強化を図ることも重要な選択手段となる。

敵を倒して経験値を溜め、レベルアップ可能。攻撃力や防御力が向上する

マップのどこかには、体力上限をアップさせる「お守りのかけら」が落ちており、集めることで体力上限をアップできる。特定イベントをクリアすると、大幅に体力上限を上げる「お守りの原石」を入手できることもある。

体力最大値をアップする「お守りのかけら」

攻撃アクションであるスキルは、専用アイテムを使用することで強化が可能。強化素材が同じスキルが複数あるので、どのスキルを優先して強化していくか、プレイヤー自身で考えて決めていく。強化素材は、ボスを倒したり、ショップで購入したりすることで入手できる。

スキルを強化し、火力を更に増加させる

「装備」は

  • シェル:パリィ性能を変更させる装備品
  • バングル:防御力、回復力などのステータスを変更する、2つまで装備可能な装備品
  • エイド:回復アイテム関連の性能を変更させる装備品

というジャンルの中から、自分が必要な装備品を選んで装備していく。

手に入れた装備品によって、増加するステータスや、パリィ時の追加アクションの変更などができる

「レリック」は、特定スキルの威力や、特定条件下での攻撃力や防御力の増加、敵を倒した時の経験値獲得量増加等、特殊な効果を付与するもの。「レリック」にはコストが設けられ、強力な効果を持つ 「レリック」ほどコストが重い。利用しているスキルや、自分の得意な立ち回りなどを鑑みて、どれを装備させるか選んでいく。火力を上げるレリックを多く積み、高火力で薙ぎ払うビルドにするも良し、回避や回復に重点を置いて生存特化とするビルドにするも良し、自分の思うままの構成を作ることができる。

また、敵を部位破壊した際に手に入るジャンクを消費することで、「レリック」の性能を向上できる。

「レリック」により、地上や空中攻撃の火力を上げたり、状態異常耐性をつけたりといった特殊な強化ができる

ジャンクを消費することで、「レリック」の性能を強化できる

「装備」と「レリック」は、道中の宝箱や、街中のショップから購入することで入手できる。

道中に落ちている宝箱を開けると…

特殊な装備やレリックなど、プレイヤーの能力を向上できるアイテムが入手できる

 

滅びゆく「煙の国」で、人とホムンクルスの救済を目指す物語

本作の舞台は、地下に眠る膨大な魔力資源によって栄えた魔法大国「煙の国」。この国では、人工生命体である「ホムンクルス」を作成し、共生することで、発展した生活を送っていた。

しかしある時、地下から吹き上がる穢れた煙に触れたホムンクルスが暴走し、人々を襲うようになる。これにより人々は、煙から逃げるように上層フロアへと逃げ始めるが、権力者以外の弱者は煙が溢れる下層から逃げ出せず、ホムンクルスから襲われる恐怖に苛まれながら生活するしかない、という階級社会が形成されていた。

ホムンクルスを救済する力を持つ調律師「ライラック」は、下層深くの地下の実験場で目覚めるものの、記憶がなく、途方に暮れていた。そんな時、同じく記憶喪失であるホムンクルス「ノラ」と出会う。「ノラ」の願いは下層からの脱出で、見返りとして「ライラック」を護る剣士となった。「ライラック」と「ノラ」は、失われた記憶と大切な仲間の行方を探して、広大な煙の国での旅を始める。

果たして「ライラック」は自らの記憶を取り戻し、この混乱した「煙の国」を救うことができるのか。終末の世界で描かれる破壊と再生の物語が、今始まる。

本作の主人公である少女「ライラック」。誰もいない下層で1人目を覚ますところからゲームが始まる

道中で出会ったホムンクルス「ノラ」は、上層に行くことを目的に、「ライラック」の身を守ることを約束する

記憶喪失になった「ライラック」と「ノラ」は、記憶を取り戻し、荒廃する世界を救うため、上層を目指す

 

このゲームの良い点

様々なプレイングで突破できる戦闘システムが見事!

いわゆる「ソウルライク」に近しい、非常に難しい戦闘難易度である本作。何度もゲームオーバーとなりながら敵の攻撃を覚え、隙を把握し、攻略の糸口を探っていくのは、アクションゲーマーにとって非常にやりごたえのあるものに仕上がっていた。

本家ソウルライク作品とは異なり、攻撃モーションはわかりやすいのだが、2Dゲームで上下左右の動きしかできないため、思ったよりも攻撃の回避がやりにくい。また、回避だけではよけきれなかったり、ホーミングしてくる遠距離攻撃と組み合わせて攻撃してきたりなど、対処のしにくい攻撃も使ってくる。そのような苛烈な攻撃の中にも、必ず隙が設けられており、そのタイミングを頭に入れていけば、確実にクリアできる難易度調整は、本家ソウルライク作品に負けず劣らずの品質を提供している。慣れてくると回避行動を一切取らず、攻撃、パリィ、攻撃、パリィとひたすら殴り続ける、ゴリゴリの攻めかたをするのが楽しくて仕方がない。とくに近接メインで戦ってくるボスとの戦いは、緊張感と爽快感が同時に押し寄せて最高に熱くなれた。

また、非常に強く感じたボスでも、スキルやレリックなどのビルドを変えてみると、嘘のように簡単に勝てるようになる点が面白い。例えば、状態異常でスリップダメージを与えるような敵相手では、状態異常耐性をつけたり、状態異常時の与ダメージを上げるようなビルドにすると戦いやすくなる。広い範囲攻撃をしてきて近づけない敵には、リピートスキルやオートスキルで遠距離攻撃メインにし、回避やパリィを駆使して戦うことで突破しやすくなる。

30種類以上用意されているスキルや、多彩な育成アイテムを駆使して突破できる試行錯誤は、このゲームへの没入感、のめりこみ感を増してくれていた。

 

「そんなに難しいなら買うのを止めようかな…」と悩んでしまうプレイヤーに向けてのケアもばっちりだ。難易度はイージー、ノーマル、ハードの3つが用意されており、イージーを選択すれば、比較的戦いやすくなり、アクションゲーム経験の少ない人でも遊びやすくなる。更には、プレイヤーが与えるダメージや敵の攻撃頻度などの細かな難しさを、ユーザ自身の手で変更できるカスタム設定もあるため、イージーよりもさらに簡単なゲームにすることも可能だ。ゲーム難易度を落としても、ゲーム中に手に入るアイテム品質に差が出る、というようなことはないのも高評価だ。ゲームオーバー時のデスペナルティがない点も、アクションゲームがあまり得意でない人が挫折せずにストーリークリアまでやり切れる要素にもなっていた。

 

価格以上のゲームボリューム!

本作は4000円未満という低価格ゲームにも関わらず、ボリュームは十分な量がある。筆者は難易度ノーマルで挑み、全エンディングまでクリアして、約40時間とかなりの時間を楽しむことができた。

ゲームクリアまでのボリュームもさることながら、おまけ要素も充実している点がすごい。まずはゲームクリア時のステータスを引き継ぎ、より強化された敵を相手にストーリーを再度遊ぶ「ニューゲーム+」や、ボスと連戦してどこまで戦えるか競うモード等のサブ要素だ。

これまでのステータスを引き継ぎ、より敵が強くなった状態でもう1週遊ぶことのできる「ニューゲーム+」を実装

また、各地で入手できる「フラグメント」を使用すると、コンセプトアートや「ライラック」の衣装、キャラ解説などを購入できる。これもかなりの数が用意されており、すべて集めようと思うとかなりのやり込みが必要になる。安価な作品でここまでのやり込みを用意してくれているのもうれしかった。

「フラグメント」を使用して「ライラック」の衣装を獲得可能。他にもコンセプトアートの入手等もできる

 

映像、音楽が実に心地よい!

本作は全ての画面が暖かな2Dグラフィックアニメーションで描かれている。一見すると昔からあるありきたりな映像に見えるが、キャラの動きを見ていくと、その1つ1つが作りこまれていることがわかる。キャラの回避時、攻撃時の動きは非常にヌルヌル動き、Nintendo Switchでも「120FPSが出ているのでは?」と思えるほどの滑らさだ。多数のキャラが混在する場面でも、テクスチャが乱れたり、カクツキが出ることはない。攻撃モーション1つ1つのエフェクトもしっかり作られており、見ごたえがあった。さすがに、AAAタイトルの3Dゲームほどのグラフィックは作られていないが、それでもこの値段でこのグラフィックに文句を言うようなプレイヤーはいないだろう。

操作シーンや会話シーンなど、あらゆる場面のグラフィックは、Switchでも十分魅力的

数少ないものの、しっかりとしたアニメ絵が描かれる場面もある。そのシーンの作り込みも非常にきれいだ

音楽も素晴らしい。別作品でいうと、音楽が素晴らしいとして有名な「ニーア オートマタ」のような、儚い中にも暖かな歌声が聞こえてくるサウンドは、ゲームを遊ばず、ただ聞いているだけでも、心地よくて良かった。

 

UI面が非常に洗練されている!

メトロイドヴァニアをやっていて困ってしまうのが、探索済みエリアがどこかわからなくなる点。広いエリアを何度も探索していると、取り逃がしているアイテムがあるのかないのか、わからなくなってしまいがちだ。

本作では、探索済みのエリアは青色に囲われ、パッと見てわかるようになっている。何もないエリアを無意味に探索する必要がなくなるため、探索が主要素であるメトロイドヴァニアでは非常にありがたい要素だった。他のメトロイドヴァニアゲームにも是非とも導入してほしい。

青いエリアは宝箱やロックされた道などをすべて探索したエリアであることを示す。無駄な探索時間が無くなるのがありがたい

また、ステージやボスごとに、スキル構成や各種装備品のビルドを都度入れ替えていくのは非常にめんどくさいところ、本作ではスキル、装備、レリックなどの各ビルド要素で、最大5つまでプリセット登録ができるようになっている。必要に応じてプリセットを切り替えることで簡単にビルド変更でき、ストレス要素が削減されているのはよい点だった。

 

更に、いつでもセーブポイントへファストトラベルできる要素もよい。ファストトラベルポイントの少なさは少し気になりはするが、「ここに行きたい」と思った時にすぐに近場のセーブポイントへファストトラベルして目的を果たせるため、ストレスが少ない。ファストトラベル時のロードも、Nintendo Switchであってもかなり早く、まったく気にならなかった。

 

このゲームの悪い点

ストーリーが少しわかりにくい…

これは筆者の理解力の低さや、本作を土日に遊ぶのみで、前回プレイまでのストーリー内容を一部忘れたりしながらプレイしていた、という背景もあるかもしれないが、少し気になったので触れておきたい。

本作は、記憶喪失になった主人公の記憶を、断片的に取り戻しながら物語が進行する構成をしている。主人公以外のキャラの名前や、そのキャラの物語上のポジション、世界の構成背景も、ストーリーを進める中で順不同で展開され、時系列や関係性の理解がしにくい。よって、ストーリーを理解するには、次々に現れる情報を自分で整理し、つなぎ合わせていく必要がある。よくあるRPGのように、世界の前提やキャラの関係性等を1つずつ説明しながら、少しずつ物語が広がっていくような展開になっていないため、ストーリー理解難易度が高めに感じた。

また、登場キャラそれぞれがどういう人物なのか、他キャラとの関係性がどのようにあるのか、という部分の説明がそもそも薄いし、物語の核となる存在である「調律師」がどういう存在で、どういう組織体系をしており、なぜ生まれたのか、だったりといった、RPGだったら大体どこかで説明される描写が割愛されているのも気になる。「そういうもの」と割り切って理解するしかないが、常に頭のどこかに「?」が浮かんでしまい、物語理解への阻害になっていたのは否めない。

物語展開も結構急に進む。途中描写を端折ったようなストーリー進行が散見され、「そんな話、どこで出てきてたっけ…?」となり続けていた。もう少し丁寧なストーリーテリングができていれば、ストーリーへのめり込めたような気がするので、少しもったいないな、と感じてしまった。

(何度も言うが、筆者のストーリーへの理解力問題な場合もある。あくまで「筆者はこう感じた」というのみにとどめて聞いてほしい)

 

リピートスキルの強さが頭一つ抜けすぎている…

遠距離攻撃ができる「リピートスキル」。ゲーム中盤あたりまで進み、様々なリピートスキルが手に入ってくると、その強さが頭一つ抜けており、戦闘難易度が下がるバランスブレイカー的要素になっているのは少し気になった。

「リピートスキル」は、スキル発動ボタンを押しっぱなしにしておけば、他の攻撃スキルを並走できる。また、手数が多かったり、敵に状態異常を付与できる「リピートスキル」も多い。「レリック」でスキル強化や状態異常時の火力増加等の装備をつけていけば、安全圏から敵を次々に倒せてしまう場面が増えた。

もちろん、「リピートスキル」を使えば1度もゲームオーバーにならなかった、というような極論にはなっていない。しかし、特にボス攻略においては、リピートスキル主体の戦闘とするか否かでかなり攻略難易度が変わってくる印象であったため、もう少し調整取れたものではないかな、とは気になってしまった。

 

ボイスがない…敵の色合いが大体一緒で飽きる…

ここまでインディーズゲームに求めるのは酷な気はするが、グラフィックや音楽等、色々な要素ががあまりによくできていることで、逆に気になってしまったので記載する。

本作にはあらゆるキャラがボイスを持っていない。ずっと無音だ。色んな性格のキャラが登場するし、会話シーンも多いので、ボイスが用意されているともっとストーリーへの没入感があげられたのだが…ボイスがないと嫌だ、という人は、この部分に気を付けて購入を検討してほしい。

また、登場する敵の色合いが、大多数が灰色や黒、白といった原色系の色味しか持っていない。色々なタイプの敵に出会っても、「なんかどこかで見たことあるな…」というような既知感に苛まれてしまうのも微妙だった。「アンドロイドの反逆」が背景なので、機械チックな色味の敵ばかりが相手なのはわかるけどね…もう少し、緑や青、赤といった色味がある敵とも戦えると、画面が映えて良かったかな…と感じた。

 

まとめ

緊張感と達成感が魅力の戦闘や、ビルドを試行錯誤する面白さ、アクションゲーム初心者向けの配慮に、操作性やUI、音楽、グラフィックも高水準と、価格以上の圧倒的な完成度を誇る「ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist」。
「安価だけど面白いゲームがないかな」と思っているなら、ぜひ遊んでほしい。このゲームの世界にはまること間違いなしだ。

 

では! 

 

 

【オーシャンズハート】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switch版「Ocean's Heart」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

(本記事の情報は2025/2/1時点である)

2024/10/24にリリースされた「Ocean's Heart」。ゲームボーイアドバンス辺りで発売されたようなゲームのグラフィックに凄く近く、やったこともないのに謎の懐かしさを覚え、思わず購入してしまった。ストーリークリアまでやり込んでみたため、本作がどういうゲームなのか、良い点、悪い点はどこなのか、まとめていきたい。

総評

2Dゼルダを彷彿とさせる、謎解き×戦闘のシンプルゲームさは、アクションが得意な人でも、苦手な人でも、どんなプレイヤーでも遊べる間口の広さがあった。値段の割にボリュームが比較的あるのもよい。

最近のゲームと比べると不親切なポイントが目立つうえ、戦闘バランスのアンマッチ感や、ゼルダライクな割に謎解きが簡単という作り込みが甘めなダンジョン構成は残念ポイント。特にユーザフレンドリーの粗さは、人によっては受け付けない恐れもあるかもしれない。

総じて「佳作」という評価。ただ、値段が2000円もしない手軽なゲームのため、気にせず購入し、プレイしても後悔はしないはずだ。

 

どんな人にオススメ?

  • レトロ感あふれるゲームがやりたい
  • 操作がシンプルなゲームがやりたい
  • 自分で探索していくゲームが好き
  • レトロ感あるゲームがやりたい

という人にはオススメできる。逆に

  • 親切設計なゲームでないと耐えられない
  • グラフィック大事、ボイス大事
  • 戦闘や謎解きにやりごたえが欲しい

という人にはあまりオススメできない。

 

このゲームの特徴

見下ろし方の2Dアクション×探索ゲーム

本作は、広大なフィールドを駆け回り、ダンジョンを攻略する見下ろし型2Dアクションゲームだ。スーパーファミコンやゲームボーイアドバンス辺りに発売されていた2D時代のゼルダである「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」といった作品に影響を受けていると思われる、「ゼルダライク」な作品である。

「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」の一場面

参考:https://www.gamespark.jp/article/2018/08/13/82970.html

マップは町やダンジョンが連なって構築されており、別のエリアに進むたびにロードが発生する昔ながらの形式。ダンジョン内には敵が闊歩しているため、持っている剣で攻撃したり、アイテムを使って遠距離から仕留めたり、撤退したり、といった選択を自分で選びながら、先へと進んでいく。敵の攻撃が当たるような場面では、ローリング回避をすれば攻撃を回避できる。近年のアクションゲーム要素を採用している点も特徴的だ。

広大なマップには、オブジェクトや敵が様々な場所にちりばめられている

剣を振って攻撃し、敵の攻撃はローリングで回避。他にも、遠距離攻撃する手段も存在する

訪れるダンジョンでは、様々な謎解き要素がちりばめられている。手に入れた道具や周囲のオブジェクトを活用し、どのようにすれば先に進むことができるのか、自ら考え、道を切り開いていく。

謎の四角い台座と、意味深な石像たち…このような謎解きが、多くの場所にちりばめられている

世界には様々な島と、人が住む街や村がある。そこでメインクエストを受注し、目的地であるダンジョンへ潜入して攻略することで、ストーリーが進んでいく。次に向かうべき場所は、村人や旅人との会話を通じて情報を集めて見つけ出す作りをしており、探索と情報収集、そして戦闘を組み合わせて、メインクエスト達成を目指していくゲーム性をしている。

 

シンプルなロードアウトや強化要素、クラフト要素

本作のロードアウトは、

  • 魔法や弓矢等の事前に設定できる装備品2つ

の合計3つしかない。防具は1種類のみで、他防具に付け替える要素はない。武器にバフ効果が付いている、というようなハクスラ要素もない。非常にシンプルだ。

ゲームのロードアウト画面

剣と弓矢、及び防具は、武器屋で「サンゴ鉱石」と呼ばれる素材と50クラウン(50円)を消費すれば強化できる。サンゴ鉱石は基本的にザコ敵からドロップせず、サブクエストをこなしたり探索を行ったりすることで手に入る。

鍛冶屋で武具を強化する事で、より快適な戦闘ができる

魔法は専用のサブクエストによって習得、強化が可能であり、強化すればするほど強力な魔法へと進化していく。魔法には遠距離攻撃を防ぐ魔法や、周囲へ雷を落とす魔法など、いくつかのバリエーションが存在し、戦術の幅を広げている。

序盤に入手できる反射魔法。タイミングよく使うと、敵の遠距離攻撃を跳ね返せる

道中の敵を倒したり、生えている草木を刈ったりすると、素材を落とすことがある。手に入れた素材を使うことで、攻撃力が上がったり、一回は負けても蘇生できたりなどの様々な効果を持った薬や、敵を追い続けて攻撃する攻撃アイテムなどの様々なアイテムをクラフトできる。

自身の攻撃力を強化するもの、スピードを強化するものなどが存在。ボスと戦う際には役に立つ

 

複数のサブクエストや探索要素

本作にはメインストーリー以外にも多くのサブクエストが用意されている。

世界各地にいる人に話しかけることで、サブクエストを受注できる。サブクエストの内容は特定の敵を倒したり、収集物を集めてきたり、犯人を見つけてきたりと様々だ。サブクエストでしか入れないエリアや、戦えない敵もいる。クリアすることで、お金や強化アイテム、爆弾等の冒険に役立つアイテムを獲得できる。

井戸を調べると奇妙な生き物が登場し、主人公に依頼する…このように、道中で出会うキャラと会話すると、サブクエストを受注できることがある

サブクエスト目標を達成することで、報酬を獲得できる。サブクエストでしか手に入らないアイテムもある

サブクエスト以外にも、世界を探索して収集物を集めたり、ストーリーとは関係しない、未知の強敵と戦える探索要素が存在する。島々を自由に巡ることで、体力上限を増やすアイテムや、防御力を上げる防具、武器や魔法を入手できる。

探索先の洞窟を攻略すると、防御力を上げるアイテムが入手できた!

 

親友と父親を探しに、大きな海原へと飛び出す少女の物語

物語の舞台は、広大な海の上に、様々な美しい群島が広がる世界。主人公の「ティリア」は、小さな漁村で暮らす少女である。「平和船団」という警備組織に所属する父親が経営する酒場のお手伝いをしながら、剣のけいこを父親から受けることを日常にして過ごしていた。

そんなある日、村に突如として海賊が押しかけ、彼女の親友「ヘイゼル」がさらわれてしまう。その姿を見た「ティリア」の父親も、海賊の後を追い、行方不明となってしまった。親友を救うため、そして父を見つけるため、旅立つことを決めた「ティリア」は、道中でこの世界に伝わる伝説の秘宝「オーシャンズ・ハート」にまつわる秘密を知ることとなる。

果たして「ティリア」は「ヘイゼル」と父を取り戻せるのか。そして「オーシャンズ・ハート」を取り巻くトラブルを解決できるのか。広大な海に隠された真実を巡る冒険が、今始まる。

 

このゲームの良い点

2Dゼルダの懐かしさが万歳!

横殴りの剣攻撃一回だけ、という、コンボもへったくれもない戦闘システムである本作。剣以外の攻撃も、弓矢や爆弾といった補助アイテムを駆使したシンプル戦闘だ。また、自分で次に行くべき場所がどこなのか探索して見つけて行ったり、訪れたダンジョンにある謎を解きながら道を切り開く要素など、全体的なゲームの流れは全て、昔のゼルダ作品を踏襲したような作品になっている。

さらに、ライフがゼロになると自動で回復を行ってくれる「妖精のビン」のようなアイテムもあり、ゼルダファンならどこかで見たことがある要素があちこちに存在する。「かなり昔に、2Dゼルダでこんなことをやったことあるな…」というなつかしさを感じながらプレイでき、楽しいとはまだ別の感覚でプレイできた。

 

広大なマップを探索する楽しさはピカイチ!

メインストーリーでは訪れる必要のないサブエリアやサブダンジョンが結構多く用意されている点は高評価。メインミッションの攻略時に、敵の火力の高さに悩んだ場合は、サブクエストを攻略して武具強化用のアイテムやお金を手に入れたり、体力上限や防御力をあげたり、といった育成を通して、ストーリーを攻略しやすくするRPG要素にも大きく貢献し、探索が無駄になってはない。時間をかけてでも探索してみて、メインストーリー攻略に役立つ様々なアイテムを入手した時は、「探索頑張ってよかったな」という恩恵を感じれた。

マップの全容も結構大きく、探索がすぐに終わってしまいあっけない、というようなこともない。安価がゲームにも関わらず、ここまで多くの探索要素があるのは、ただただ作り込みがすごいな、と感心した。

 

探索要素の多さはボリューム面にも寄与している。筆者はこのゲームを約10時間弱でクリアしたが、これは探索要素やサブクエストを残した状態でクリアした際のプレイ時間だ。まだやり残したサブクエストはいくつかあるし、探索しきれていないエリアも存在しているため、全部を埋めていったら20時間超は楽しめるはず。本作は1620円と安価なゲームなため、遊びつくそうとしたらここまで遊べるなら、値段以上のプレイボリュームを誇っているといってよい。

 

 

このゲームの悪い点

ボスが弱い…でも特定の雑魚敵は異常に厄介…

シンプル構造を突き詰めたような本作ては、敵の攻撃モーションも単調だ。特にボスは行動の単純さが顕著で、戦闘開始から20秒程観察していれば、相手の動きがわかり、どう対処すればよいか判断できてしまう。1番緊張感があるべきボス戦がこれだと、RPGとしての歯応えが薄れてしまった。

どちらかと言うと、道中の雑魚敵のほうが厄介。体力は少なく、数回攻撃すれば倒せるが、一度に現れる敵の数が多く、どこかで接触ダメージを受けたり、近距離タイプと遠距離タイプの敵の攻撃を捌ききれずにダメージを受けたりする場面が頻発した。特に厄介なのが、草木に擬態したマンドラゴラだ。かなり近くまで接近しないと敵かどうかがわからない上、火力がやたら高いので、マンドラゴラに頻繁にやられてゲームオーバーとなった。

このような戦闘バランスの悪さは、もう少し何とかしてほしい。せめてボス戦では、これまで手に入れたアイテムを駆使して、謎解き兼戦闘が必要になるような、まさしくゼルダらしい戦闘システムを採用してほしかった。

 

落下ポイント多過ぎ…

本作の主人公は泳げないので、水に落ちたら体力を削られて、特定の場所からリスタートとなる。これがかなりうざい。クリアまでに失った体力の半分近くは落下によるものだった記憶だ。

海をベースにした物語だからなのか、至る所に水辺がある。水辺に落ちたら毎回ダメージを受けるため、移動するのにもかなりヒヤヒヤさせられる。しかも、リスタートした際には水辺の際から始まるので、リスタート直後の操作をしくじるとまた落下…を繰り返したs際には、かなりのイライラが蓄積した。

3D操作ではなく、縦横斜めの8方向にしか移動できないため、水辺周りの細かな操作がかなりやりにくく、イライラポイントが目につきやすいのは残念ポイントだ。

画面に映る濃い青色の部分は全て落下ポイント。このような落下ポイントが多くあり、イライラポイントだ

 

グラフィックは悪い…ボイスもない…

安価なゲーム、かつ昔のゼルダ作品を元にしたようなところからわかるように、本作のグラフィックはかなり悪い。登場キャラの姿が、ピクセル単位で見えるほどに粗いため、最近の美麗グラフィックに慣れている人からすると、「ありえない」と感じてプレイできなくなってしまうかも。(それだけでプレイを止めてしまうのはもったいないゲームなので、あまり毛嫌いはしないでほしいが、一応念のため書いておく)

また、ありとあらゆる場面でボイスが用意されていない。最近は安価なゲームでもボイスがついていることが多いため、まったくないとなんとなく片手落ち感を感じてしまう。

安価なゲームなので仕方がない部分ではあるが、粗い画質、ボイスなし、というところから「ゲーム世界への没入感」というのを感じられる要素が薄く、ただただ「ゲームをやっている」という感覚になってしまうのは残念だった。

 

ユーザフレンドリーな設計じゃない…

最近のゲームは、様々なユーザフレンドリー要素を設けてくれていることが多い。が、今作はそんなことはない、前時代的なシステムになっている。

まず、クエスト攻略のキーパーソンや、目的のアイテムがある場所は、マップ上にピン配置されて一目でわかる、なんてことはない。自分で街の人に聞きまわったり、看板を呼んだりしながら、クエスト目的地を探していかないといけない。一応、クエスト一覧画面で、目的地の大まかなヒントは出るが、ちゃんとした正解を見つけるには聞き込みが必要になる。サブクエストの発生源となる人や、達成したサブクエストの報告先がどこか、というのも、ピンが刺されないのでわからないのは厳しい。

大まかな目的地はわかるが、詳細な場所は示されないため、自分で現地に向かい、探し当てる必要がある

人と会話しないと目的地がわからないものも。普段のRPGではやらない、街の人全員に話しかけるような行動が必要だ

また、用意されているマップがワールドマップのみで街やダンジョンなどの詳細マップが無いのがきつかった。自分が今どこにいるのか、どこを探索したのか、どこに道が続いているのか、把握できず、「こっち側が目的地のはずなのに、通路がないんだがなぜだ?」「帰り道ってどこだっけ…?」と悩むことが頻繁にあった。

更に、街から街や、ダンジョンから街へ、などといったファストトラベルが無く、全て自分の足で目的地まで行く必要がある点も不親切。移動速度も特別早いわけではないので、 道を間違えたならかなりのタイムロス。一応、限られた街であれば、隣接した港を経由してショートカットできるが、港に行けなければ効果がなく、ダンジョン探索した後や、道を間違えた場合に手軽に移動する、ということができないのは変わらない。

 

…思い返すと、1990年代のゲームはこういう設計が多かった記憶。最近の作品になるほど、目的地がわかりやすくなったり、移動の快適性を増したり等で、ストレスを軽減している印象だ。最近のゲームに慣れている人ほど、本作は遊び辛く感じるかもしれない。

 

ダンジョンの謎解きがかなり簡単…

ゼルダライク作品というと、ダンジョンの謎解きが醍醐味。本作にも、弓矢や爆弾などの道具や、道中に置かれているオブジェクトを利用し、謎を解く場面はたくさんちりばめられている。

が、すべての謎解きがかなり簡単で、攻略方法が分かりやすい。

  • 上部に矢の差し込み口が見えるな…そこに矢を放てばいいのか…
  • 誰かが乗っている間だけ効果があるスイッチがあるな…そばに持てる岩があるからそれを置いておくか…

のようなな、一見しただけで謎解きの正解がわかるようなものばかりだ。ゼルダ作品は頭をひねるような、パズル的な謎解きが多いのに…

「ゼルダライクの作品」といわれて、謎解きを期待して購入するのはあまりお勧めしない。フィールドの探索を主軸においた作品である、と理解しておこう。

 

まとめ

昔の2Dゼルダ作品をオマージュしている、といっても過言ではないほど似た作品である「Ocean's Heart」。あの頃のゲームを楽しんでやれていたなら、本作も楽しんでプレイできるはずだ。

作り込みが甘く、不満点が出るところもあるものの、ゲームプレイ画面を見て懐かしさを覚えたなら、あの頃を思い出し、広大な世界への探索に胸を躍らせ、本作をプレイしてみてほしい。

 

では! 

 

【モンハンワイルズ】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「Monster Hunter Wilds」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

(本記事の情報は2025/3/10時点である) 

2025/2/28に発売された「モンハンワイルズ」。過去にモンハン作品はいくつかやってきた来たが、年々やりこみ度合いが下がっていた筆者だが、発売が近づくにつれてお祭りのような雰囲気がインターネットを漂っており、「もう一度、ちゃんとやってみようかな」と思い購入!

ストーリーは全てクリアし、HRは65まで上げ、ソロでラスボス強化個体を約10分で討伐できるくらいにはやりこんでみたため、本作がどんなゲームなのか、よい点、悪い点がどこか、まとめていきたいと思う。

個人的感想

総評

神ゲーには届かない。良ゲー前後レベルの作品だと思う。

アクションは新システムの導入で過去最高に快適で、ストレスなくカッコよく動けるのが最高だ。また、天候や時間の変化、ストーリーの強化により、世界への没入感はシリーズ随一だと感じた。

しかし、

  • UIの使いづらさ
  • 装備作成の楽しさを損なうシステム
  • 価格に見合わないボリューム感

など、やればやるほど気になる点も多く、発売時点でこの価格に見合う完成度が欲しかったのも正直なところだ。

今後のアップデート次第では、「神ゲー」になる布石は感じられる作品だったため、値段面で気になる要素がないのであれば、購入して問題はないだろう。

 

どんな人にオススメ?

  • ゲーム世界への没入感が大事
  • アクションゲーム大好き
  • キャラクリにこだわりたい
  • 一緒に遊べるフレンドがいる

という人は楽しめる。逆に

  • 膨大なボリュームのモンハンをやりたい
  • 高難易度ゲームをやりたい
  • 近代モンハンをやったことがない、かつ一緒に遊ぶフレンドもいない
  • モンハンにストーリーや演出はいらない

という人には向かないだろう。

 

このゲームの特徴

「生きた世界の冒険」が舞台のハンティングアクション

モンスターハンター、通称「モンハン」は、2004年から続く大ヒットシリーズ。

プレイヤーはモンスターを討伐するハンターとなり、巨体かつ強力な攻撃を仕掛けてくるモンスターを相手に、剣や槍、弓矢やボウガンなど、14種類にも及ぶ武器種から好きなものを選び、戦いを挑む。倒したモンスターからはぎ取った素材を用い、新たな武器や防具を作ってステータスを強化し、より強いモンスターの討伐を目指す、ということを繰り返すゲームだ。

ソロでプレイもできるし、オンラインでつなげば最大4人まで同時プレイが可能。友達4人で集まってプレイすれば盛り上がること間違いなしな良作である。

大きく強力なモンスターを攻撃し、撃破することを目的にしたアクションゲーム

倒したモンスターからは素材を入手でき、工房で新たな武具作成に利用して、より強くなっていく

オンラインを用いれば、最大4人まで同時プレイが可能。フレンドとも、見知らぬ人とも、わいわい狩りができる

本作は過去作のモンハンシリーズの特徴を踏襲しつつも、探索や狩猟の自由度を格段に向上させた新たな体験を提供している。

マップはオープンワールド形式で、拠点とフィールドがシームレスにつながる構成をしている。砂漠地帯や密林、火山などの色とりどりなエリアも、すべてシームレスにつながっている。また、豪雨や砂嵐、晴天といった様々な天候が廻りまわる地域になっており、季節な時間帯によって、登場するモンスターも変わっていく、正に「生きた世界」である。

この世界では、モンスターは「生き物」であり、周囲の生物と時には共存し、時には戦っている。そんなモンスターたちを見ながら、プレイヤーは広大なフィールドを縦横無尽に駆け巡り、モンスターを討伐していくこととなる。

 

新アクション「集中モード」「鍔迫り合い」「相殺」

従来のコンボやアイテムを活用した戦闘システムはそのままに、本作から新たな共通アクションとして、「集中モード」「鍔迫り合い」「相殺」が追加された。

集中モード

本作の戦闘システムにおける最大の新要素が「集中モード」である。PSコントローラーであればL2ボタンを押すと利用できるモードで、攻撃中だろうと防御中だろうと、ありとあらゆる方向へ向きを変えることができるようになる。これにより、より正確な攻撃や防御が可能になり、効率的な狩猟を実現させている。

「集中モード」を起動すると、画面中央に円形の的が表示される。これが向いている方向にキャラクターが必ず向くように動く

モンスターを攻撃し続けると、「傷口」が体に刻まれる。この部分を攻撃すると、通常よりも大きなダメージを与えられる。「傷口」は体のあらゆる場所に発生し、前述の「集中モード」を利用すると赤く強調表示される。「集中モード」で狙いを定めながら「傷口」を徹底的に攻撃することで、より効率的な狩りが行える。

赤丸で囲った部分が「傷口」。「集中モード」時は赤く表示され、この部分を攻撃すると与えるダメージが増加する

さらに、「傷口」を狙うことで大ダメージや怯みを与える特殊攻撃「集中弱点攻撃」が登場。通常攻撃と組み合わせながら、「傷口」を活用した効率的な狩りを行える。

「傷口」を集中弱点攻撃することで、特別な攻撃モーションが発生し、大ダメージ&怯みを与えられる

 

鍔迫り合い

ガード可能武器でガード中にモンスターの攻撃を受けるとランダムで発動するアクションで、△ボタンを連打することで敵の攻撃を跳ね返し、大きな隙を作りだすことができる。これにより、防御がただの防御ではなく、新たな攻撃の起点を作り出す要素へと変化している。

モンスターの攻撃と、プレイヤーのガードがぶつかり合い、押し返すことでダメージと怯みが与えられる

 

相殺

特定武器の特定攻撃にのみ存在するアクションで、モンスターの攻撃タイミングに合わせて使うと、攻撃を無効化しつつ反撃に転じれるアクションだ。「相殺」を成功させると、敵がひるむだけでなく、専用の攻撃モーションが発生して大ダメージを与えることができる。

リオレウスの攻撃が当たる!そんなときに相殺攻撃を当てると…

攻撃を打ち消し、逆にダウンを奪うことができる

 

新クラフト要素「アーティア武器」

モンスターを狩猟して得た素材を使い、武器や防具を作成、強化する従来の仕組みは、本作でも健在だ。

モンスターを狩猟すると、モンスターの骨や鱗、爪といった素材を得ることができる。モンスターの狩猟以外にも、フィールドに点在する探索ポイントからの採取によって入手できる素材もある。これらとゼニー(お金)消費して、新たな武器や防具を作成できる。作成した防具は、専用の強化素材でステータス強化も可能だ。

手に入れた素材とお金を消費して武器や防具の作成や強化をする、昔からお決まりのクラフトシステム

また、武器や防具には、「攻撃力強化」「会心率向上」「耐性向上」などの固有の「スキル」が割り当てられている。装備の組み合わせ次第でスキルが発動し、複数の同名スキルを掛け合わせることで、同じスキルでもより強力な効果を発揮できる。例えば、「攻撃」スキルを複数の装備で組み合わせることで、攻撃力が段階的に上昇していく。

武器や防具にはスキルが用意されている。クエスト中はスキルに応じた特殊効果を得られる

上記のような従来の武具作成システムに加え、本作では新たに「アーティア武器」という要素が加わっている。これは本作のエンドコンテンツの1つであり、正に「終わりのない」ゲームを実現した要素になっている。

「アーティア武器」は、高難易度クエストクリア時にもらえる「アーティアパーツ」を3つ組み合わせ、新たな武器を作るシステム。使用するパーツの種類により、火力特化から会心攻撃発生率特化、特定の属性攻撃付与など、プレイヤー毎に多彩なスキルや属性を付与した武器を作れる。また、一度作った「アーティア武器」へ専用素材を使うことで、ランダムな効果が追加付与されていき、より強い武器へ進化するという、ハクスラゲーム的システムも採用している。これを繰り返し、自分にしかない「最強の武器」の作成を目指していく。

「アーティアパーツ」を組み合わせ、オリジナリティあふれる「アーティア武器」を作成でいる

 

新オトモ「セクレト」による新サポートシステム

本作から、新たなオトモとして「セクレト」と呼ばれる生物が追加された。

「セクレト」でできることは大きく3つ。

1つ目は、広大なフィールドを高速で駆け抜けられる点だ。険しい地形や急斜面も難なく乗り越えて移動できるし、目的地を設定しておけば、最短ルートを探して勝手に移動してくれる。目的地設定をしなければ、プレイヤーの手で思うままに操作することも可能だ。プレイヤーが呼びたいときに呼びだせるため、戦闘中のとっさの回避手段としても利用できる。また、「セクレト」に乗りながら回復したり、武器を研いだりといった、戦闘準備もできる。

「セクレト」にまたがり、広大なフィールドを高速で移動できる

2つ目は、支給品へのアクセスができる点だ。本作から支給品ボックスが排除され、セクレトの持つポーチに支給品が配布されるようになった。これにより、支給品が追加された際にわざわざ拠点に戻らなくても補給を受けられる。

「セクレト」に乗れば、いつでも支給品ボックスにアクセスできるようになった

3つ目は、メイン武器、サブ武器の切り替えができる点だ。本作では2つの武器を同時携帯できるようになり、戦闘中に「セクレト」へアクセスすることで、利用する武器を切り替えられるようになっている。これにより、戦況に応じた武器選択がその場ででき、戦術の幅が広がる。

赤く囲った武器欄を見ると、メイン武器とサブ武器の表記がある。2つの武器を持ち込み、「セクレト」に乗って適宜切り替えられる

 

少年「ナタ」を中心とした壮大なストーリー

本作のストーリーは、約1000年間に立ち入りが禁じられ、人が生存していないとされていた「禁足地」を舞台に展開する。ギルドのメンバーが現地に向かい、現地の生態系調査を進める中で、本来人がいないはずの「禁足地」に、1人の少年「ナタ」が倒れているのを目撃し、救助する。彼の口からは、この地にもまだ人が存在して生活していること、彼の故郷は謎のモンスターである「白の巨影」に襲われたことが語られた。

誰もいないはずの「禁足地」に、少年が倒れているところから、物語が始まる

少年「ナタ」の故郷は、謎の巨大生物「白の巨影」に襲撃されてしまい、彼は命かながら逃げ出していた

「白の巨影」とは一体何者なのか、「ナタ」の故郷は今どうなっているのか、「ナタ」は無事、家族に会うことができるのか…過去作のモンハンのような、「ただハンターがモンスターを狩って終わり」ではない、「ナタ」の成長と、事件の真相究明を求める物語が始まる。

「ナタ」と、主人公たち「鳥の隊」のメンバーを通した成長物語が描かれる

 

 

このゲームの良い点

アクション性の高さはピカイチ!

本作で追加された「集中モード」は、シリーズの中でも特に優れた快適さと使いやすさを誇るシステムで、今後の作品でも必須レベルの要素だと感じた。

モンハンアクションの悩みである「攻撃中の向き合わせ」を自在に変更でき、狙いたい部位に正確に攻撃を当てられる。これにより弱点へ的確に攻撃ができるため、DPS(1秒間に与えるダメージの数)の向上へつながり、素早い討伐が可能となった。それだけでなく、特定部位の破壊も容易になっており、「集中モードなしの狩りは考えられない」と思わせるほどの重要な機能になっていた。

また、集中モード時の「集中弱点攻撃」もよかった。「集中弱点攻撃」による大ダメージと怯みや転倒を、通常の攻撃コンボと組み合わせて、プレイヤーが一方的に攻撃し続けられるため、「俺つえー」感を大きく感じられた。

新アクションの「鍔迫り合い」や「相殺」も、相手の攻撃を防ぐという実用性もさることながら、成功時にプレイヤーとモンスターにズームが入り、激しい戦いをしているようなかっこいい演出が魅力的だった。特に「相殺」は発動の難易度が高い分、成功時の達成感や強力な反撃が楽しめ、狙うことのメリットが感じられた点はよかった。

 

快適なショートカットシステム!

「モンハンワールド」から、

  • アイテム使用時はスロットから選ぶのではなく、あらかじめ登録されたショットカット機能ですぐに使える
  • 複数ある拠点やマップの中から、ファストトラベルポイントを選べる
  • 乗り物に乗り、目的地までの自動移動に加え、移動しながらのアイテム利用ができる

等の様々なショートカット機能が実装され、非常に便利だった。本作はこれを踏襲するだけでなく、

  • 乗り物に乗りながら周囲の素材採取ポイントから素材をとれる
  • 支給品ボックスにアクセスしなくても、「セクレト」に乗って移動しながら支給品を受け取れる
  • メイン武器以外にサブ武器を1本持てるようになり、任意のタイミングで使う武器を交換できる

等のさらなる機能拡張がされていて、かなり便利だった。1個1個は細かな要素だが、これらが積み重なると、ストレスなく狩りに集中できるようになり、よりアクションゲームとしての楽しさを享受したゲーム体験ができた。

 

武器バランスは非常に良好!

全部で14種類ある本作の武器は、どれも武器バランスがとれており、産廃武器が「ほぼ」存在しない。多くの武器が、過去作のモーションにプラスアルファされた派生攻撃を持っており、それが実に優秀なためだ。

例えば、玄人向けと言われていた片手剣は、ガード状態で使える「ガード切り」にジャストガード判定がついたことで、相手の攻撃をどんなタイミングでもジャストガードして凌げる力を手に入れたし、一部の熱狂的なファンしか使っていなかったガンランスも、砲撃を中心とした新たな強力コンボが実装されたことで、より火力に特化した使いやすい武器へと変貌している。

筆者は過去作をずっと大剣しか使っていなかった「大剣大好きマン」だったのだが、本作で初めて片手剣デビューし、その使いやすさ、強さに惹かれ、そのままラスボス撃破まで使い続けてしまうほどだ。自分が使いたい武器を選び、練習し、使い方を習得すれば、どんなモンスターでも対等に戦えるバランスが取れているのは魅力的だった。

ただ、ハンマーは唯一の弱武器なんだとか…筆者はハンマーを使ったことがないので知りません(←)

 

充実した豊富なキャラクリ要素!

過去作同様、本作にもキャラクタークリエイトが実装されているが、シリーズの中でも特に高い自由度を誇る。

メインキャラは顔の輪郭、目、鼻、口の形、髪型や髪色に加え、肌の質感や傷、タトゥーといったディテールまで反映可能。2つの質感を組み合わせることまでできてしまう。これにより、プレイヤーごとに個性あふれるキャラクターを作成する楽しさが広がっている。ネットを見ると、芸能人やアニメキャラを再現したようなクリエイトをしている人までおり、本作のキャラクリの自由度の高さがうかがえる。

カラーパレットを使った細かい色設定が可能。他にも、肌質感なども細かく変更できる

オトモのクリエイトも充実しており、オトモの毛並みや色、目の形、声などを自由に設定できる。今回のオトモは人語をしゃべるため、どのような声質にするのか、も設定可能だ。見た目の可愛さやカッコよさを追求するだけでなく、狩猟時のパートナーとしての個性を強調でき、キャラクリをより「相棒」感を感じれるようになる。

そのほか、新たに実装された騎乗生物「セクレト」のクリエイトや、防具の重ね着装備や色変更も実装されている。武器の重ね着だけ、今のところないのは残念だが、キャラクリ面ではここまで充実している作品はそうそうなかった。

 

ストーリーの作り込みや世界への没入感は圧倒的!

モンハンのストーリーは「おまけ」という要素が強い。が、本作はこの風習を取っ払い、ストーリーに重きを置かれた作品になっている。この部分は個人的にはかなり良かった。

ネット上では、

  • モンハンにストーリーはいらない!狩りをさせろ!
  • ムービー長すぎ!強制移動の場面多すぎ!
  • 「ナタ」がうざい!
  • 展開が急だったり、せっかく出会った他キャラクターとの関係が希薄でもったいない!

という、ストーリーへの反対意見をよく見る。確かに、ムービーはやたら長く、下位のプレイ時間の半分以上はムービーを見ていたし、ストーリー中の多くの場面で自由行動が許されず、誰かの後ろをゆっくりついて行くような場面が多かったのは気にはなった。

が、そんな要素は気にならないほど、ストーリー上のメインキャラ「ナタ」の心情の描き方が見事。自分の故郷を襲ったモンスターに復讐したい、しかしモンスターの背景を知ると、復讐することが果たして正解なのか悩む…「ナタ」がプレイヤー達と狩りに同伴する中で感じた気持ちと、その結果どう世界を救おうとするのか、心情変化とエンディングまでの繋がりに、モンハン作品では感じえない感動を得ることができた。

また、本作は、キャラクリした自キャラがストーリー上のムービーや会話パートで頻繁に登場し、様々な表情やボイスを通じて積極的に関わってくる。主人公はあくまで「ハンター」であり、ギルドから要請された仕事をこなす、ある意味「仕事人」的な立場なのだが、「ナタ」を取り巻く様々な不安を一緒に解決するよう助言したり、ピンチを救ってあげたりと、単なる傍観者ではなく、物語の中心人物として深く関与する作りとなっている。自分が作ったキャラが、「ナタ」の良い導き手となって、果敢にモンスターに挑む姿を見ると、なんだか胸にこみ上げるものがあった。

キャラクリしたプレイヤーが、ムービー中にもしっかりフォーカスが当たり、活躍してくれる

「ナタ」の苦悩へ助言をする一面も。仕事人のような姿が非常にかっこよく、「作りこんでよかった…」という気分になる

ストーリー以外にも、「ハンターとしての生活」という没入感を感じられるシステムもよい。通常版PS5でも十分綺麗で滑らかに描かれるグラフィック描写と、一定サイクルで変動する季節や、朝昼夜と変化する時間システムによって、フィールドがただの狩場ではなく、「生態系が豊かに息づく場」として表現されている。

また、モンスターたちは単なる敵ではなく、生態系の一員として自然に溶け込んでいる。大型モンスター同士の縄張り争いや、小型モンスターが群れを成して行動する様子は、まるで自然ドキュメンタリーを見ているかのような臨場感がある。例えば、プレイヤーがターゲットを追跡している最中に、別のモンスターが突如として現れ、両者の激しい戦闘に巻き込まれるといった展開は、本作ならではの魅力だろう。

オープンワールド化して、拠点と狩場の垣根をなくしたことで、こういった「没入感」をさらに追及できていることから、ただの狩りゲーではない、ドキュメンタリーの世界で生きている体験ができる点はよかった。

道中にいるモンスターは、ただ生活しているのみで、プレイヤーを見ても基本は襲ってこない。生態観察のような楽しみ方もできる

モンスター同士の戦闘を横で見ることも…その迫力はけた違いだ

 

 

このゲームの悪い点

UI周りは微妙過ぎる…

細かい要素だが、UI周りの作りは微妙で、遊び続けていると残念に思う要素が多い。ざっと挙げるだけでもここまである。

  • アイテムポーチの形が変わったが、アイテム配置理由がわかりにくい
  • アイテムボックスにアクセスするために、いちいちハンターテントに入らないといけない
  • 全体マップの拡大は拡大し過ぎるし、縮小は縮小し過ぎて使いにくい
  • 全体マップ表示ボタンと、周知事項のスキップボタンが同じなため、周知が発生すると全体マップが開けない
  • 討伐したいモンスターをクエスト一覧から確実に選択できず、いちいち各エリアのマップを開き、目的のモンスターがいるか調べる必要がある
  • 食事効果がモンスターとの戦闘中に切れてしまう。事前周知も小さな文字で警告されるのみで気付かない
  • 拠点が複数あり、それぞれで設備が微妙に異なるので、どの拠点で何ができるのかわかりにくい。
  • 「セクレト」がちょっと離れたところにいることが多く、呼んでもすぐに来てくれない時がある
  • 集会所がなく、フレンドと遊ぶ方法がわかりにくい(公式から集会所は実装予定であることが周知あり)

1個1個は大きな要素ではないが、ここまで数が積み重なると、遊ぶたびに「ああ…」というため息が出てしまう。運営にはこのあたりの仕様は早急に見直しをしてほしい。

 

ゲーム価格に見合った体験が出ているか微妙…

約1万円という高額な価格に対し、ゲーム体験の充実度には微妙な点が多いと感じた。

真っ先に感じるのは、登場モンスターの少なさだ。新規モンスターは多いが、既存モンスターが不足気味な印象。モンスターの少なさを、同じモンスターの「歴戦個体」や「狂龍化個体」などのバリエーションで使い回している感が強い。結果、クエスト数も少なくなっており、筆者はサイドクエストをこなしつつも合計25時間(下位約12時間、上位約13時間)で全主要クエストをクリアしてしまった。

さらに、本作のウリである「オープンワールド」は正直モンハンと噛み合ってなかった。マップはシームレスにつながっているが、クエスト開始時には目的エリアへ自動移動するため、結局従来作と変わってない。オープンワールド特有の探索要素も乏しく、特別な採集地点がある程度で、フィールドを活かした冒険の楽しさは薄い。

加えて、開発陣がこだわったとインタビューでコメントしていた食事シーンも、最初は目新しいが、2回目以降はスキップするだけの存在となる。こうした不要な演出やオープンワールド化にかけた開発コストが価格を押し上げた結果、1万円という値段になったのであれば、この価格設定は妥当とは言い難い。価格に見合う内容を期待するなら、セールを待つのも賢明だろう。

まあ、この後追加コンテンツがいろいろ配信され、結果的に超ボリュームになるんだとは思うが。

 

「アーティア武器」という要素は不要か…

本作のエンドコンテンツである「アーティア武器作成」は、シリーズに変化をもたらしたものの、モンハンの面白さの根幹である「色んな素材を集めて装備を作る喜び」を大きく損なっているシステムだと思った。

これまでのモンハンシリーズは、モンスターごとの固有素材を集めてそれぞれ武具を作る、というサイクルが楽しみの核であった。例えば、

あのモンスターの素材で作った武器が欲しいので、クエストを周回しよう

→そのモンスターを効率よく倒せる属性武器を持っていないから、まずは属性武器を作る為に別モンスターを狩ろう

→目的達成したら別モンスターを相手に同じことを繰り返そう

という、素材収集プロセスがプレイヤーのモチベーションとなっていた。だが「アーティア武器の作成」では、この楽しみが完全に失われている。

「アーティア武器」を作るためのパーツは、「歴戦個体」と呼ばれる強モンスターを倒せば、モンスター種類によらず入手できる。その結果、どの武器種、どの属性、どのスキルを持った「アーティア武器」を作るにも、同じ特定モンスターを周回するだけで済んでしまい、様々なモンスターを狩る必要性が薄れ、狩猟そのものが作業になっていると感じた。

もちろん、従来のモンスター素材を元に作る武器も十分に強力であるものの、武器種の約半分は最終的にはアーティア武器の方が強くなってしまい、従来武器の存在感を薄れさせる要因を作っている。これなら、従来武器に対して、更なるスキル獲得や火力向上のためにアーティアパーツを使用する仕組みの方が、やりこみ要素としては優れていたと感じる。

 

既プレイ勢は簡単、新規勢は激ムズなゲームシステム…

本作の難易度について、「過去一簡単」という評価が並んでいる。遊んだ感じ、これは半分正解、半分間違いだと思う。これは、プレイヤーの経験値による差が大きく影響しているためだ。

シリーズ経験者にとっては、過去作から培ったシステム理解とプレイスキルを活かせるうえ、ハンターを有利にするアクションやシステムが数多く追加されたことで、効率的な立ち回りが可能となり、過去作と比較して簡単に感じる場面が多い。一方で、シリーズ未経験者にとっては、覚えるべきアクションやシステムの多さに圧倒されることになる。武器の操作は単純なボタン連打ではなく、R2ボタンやL2ボタンとの組み合わせ、さらには特定のボタンの同時押しによるコンボが必要となる。また、同じボタン操作でもタイミングによって技が変わるなど、アクションゲームの経験があるプレイヤーでも相応の時間の練習が必要になるほど複雑だ。

また、モンスターの動きの複雑さも、難易度を上げている要因だ。「モンスターハンターワールド」以降の作品から、モンスターは「振り向きながら攻撃する」「似た動作から異なる技を繰り出す」など、「生き物」を感じさせる、予測しにくい動きをするようになった。このため、初心者は攻撃の隙を見極めるのが難しく、回避や反撃のタイミングをつかむまでに苦労する。

このように、経験者には簡単に感じられる一方、初心者には高い学習コストが求められるゲームとなっている。フレンドと一緒に遊べるのであれば、協力して覚えていくことでどんどん楽しくなっていくと思うが、ソロプレイの場合は根気と時間が必要な作品であることを覚えておくべきだろう。

 

 

 

まとめ

アクションや没入感は最高だが、UIの使いづらさやボリューム不足が目立つゲームになっていた「Monster Hunter Wilds」。

モンハン作品では毎度のことながら、アップデート次第ではもっと化ける可能性は十分ある。セールで安くなってからからやり始めても追いつきはするが、気になるなら盛り上がっている今、購入してしまおう。

それでは、記事を書いている時間も勿体ない!一狩り行ってきます!

では!