秋吉ブログ

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【サイレントヒルf】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、PS5版の「SILENT HILL f」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事の情報は2025/10/2時点である)

2025/9/25に発売された「SILENT HILL f」。2000年前後に絶大な人気を誇っていた「サイレントヒルシリーズ」の正当続編だ。これまではアメリカの架空の街「サイレントヒル」が舞台だったが、本作では一転、日本を舞台にした作品に仕上がっている。

筆者は「サイレントヒルシリーズ」は、リメイク版の「サイレントヒル2」を遊んだことがあるのみ。そんな筆者だが、発売前の宣伝内容に物凄く惹かれ、デラックスエディションを購入して48時間の先行プレイ権まで駆使して遊んだ。全エンディング到達まで遊んでみたため、本作に関する感想をまとめていきたい。

 

総評

細かな部分で思うところはあるが、個人的には神ゲーだった。

  • 暗闇やジャンプスケアに頼らずとも醸し出せる恐怖感
  • 考察要素は残しつつも、綿密に描き込まれたストーリー展開
  • 探索しがいのあるマップ
  • 洗練された周回要素の数々

と、多くの要素が実に優れており、プレイしていて常に楽しかった。ここまで作りこまれた作品は、ホラーゲームの垣根を越えて比べてみても、そうそう出会えるものではないと思う。

「サイレントヒルシリーズ」としてみると、本作はちょっと異質な毛色の作品ではあるが、だからと言って毛嫌いしてプレイしないのは非常にもったいない。ホラーゲームファンや考察マニアなどをはじめとした多くのプレイヤーに、是非とも遊んでみてほしいと思える作品だった。

 

どんな人におすすめ?

  • 謎解き型サイコホラーゲームが好き!
  • 考察し甲斐のある作品が好き!
  • やりごたえのあるアクションゲームがやりたい!
  • 周回要素が欲しい!

といった人にはオススメできる。逆に、

  • 周回要素は遊ばない
  • 考察要素は少なめで、わかりやすいストーリーが見たい
  • 「サイレントヒルシリーズとはこういうもの」という拘りがある
  • 近接主体アクションを遊んだことがない

といった人には合わない可能性があるため、注意してほしい。

 

このゲームの特徴

霧に包まれた田舎町と無機質で暗い神社を探索する謎解き×ホラーアクション

本作は、奇妙なクリーチャーからの襲撃を切り抜けながら、各地に散らばった謎を解いて物語を進めていく謎解き×ホラーアクションのゲームである。

本作の舞台は、田んぼや無造作に作られた建物が立ち並んだ田舎町である「戎ヶ丘」と、暗闇に包まれた日本庭園や神社のような施設の2つを切り替えながら探索する。「戎ヶ丘」は町中が深い霧に包まれており、人の姿も見当たらず、不気味な雰囲気が醸し出されており、寺院では全体的に暗く、無機質な空間が続くため、美しくもどこか不安な感覚を覚える。

深い霧に覆われた古い田舎街「戎ヶ丘」が本作の舞台

暗く、無機質な空間が広がる謎めいた神社も物語の舞台だ

各地には、鍵のかかった部屋や、道を塞ぐ謎めいたオブジェクトなどが散りばめられており、いわゆる「謎解き」が必要な場面が登場する。謎を解くためのヒントを片手に、プレイヤー自身で突破する方法を模索していく。

道中で手に入れる鍵で、これまで入れなかった場所に入ることができる

各所で用意される謎解きパートを攻略することで、キーアイテムを入手していく

 

近接武器を振り回し、敵の攻撃を回避して戦うアクション

町中には異形の怪物が徘徊しており、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくるので、近接武器を使って戦闘をしていく。武器は鉄パイプ、包丁、斧など複数種類が存在し、武器によって火力やリーチ、攻撃モーションなどが異なる。どの武器にも耐久力が設定されており、敵を攻撃すると耐久値が減って、ゼロになると武器が壊れてしまうので、戦うのか、逃げるのか、といった選択が重要になってくる。武器は道中に落ちており、最大3つまでストックが可能で、臨機応変に持ち替え可能だ。

様々なクリーチャーが徘徊し、襲い掛かってくるため、近接武器を使用して戦う

攻撃は弱攻撃、強攻撃という大きく二つの手段が存在する。また、「精神力」という専用ゲージを消費したチャージ攻撃も可能で、発動には時間がかかるものの、非常に高い火力で攻撃ができる。

また、戦闘時のあらゆる行動にはスタミナを消費し、0になると一定時間行動不能となるため、スタミナ残量を確認しながら戦っていく管理要素も存在する。

近接武器を振り回して攻撃。弱攻撃、強攻撃などのコンボをつなげていく

敵の攻撃の直前に体が赤く光る時がある。その際に強攻撃を行うと「見切り反撃」ができる。高火力、かつ確実に敵の攻撃を止めることができるため、リスクに見合った非常に有効な攻撃手段だ。

敵の体が赤く光った時に強攻撃をすると、強力な「見切り反撃」が実施できる

◯ボタンを押すと、任意のタイミングで回避行動が出せる。スティックを倒した方向に素早くステップ回避できるため、ホラーゲームとは思えないスタイリッシュなアクションを繰り出せる。敵の攻撃が当たるタイミングに回避するとジャスト回避が発生し、消費したスタミナを全回復できる。

敵の攻撃に合わせて回避するとジャスト回避が発生。スローモーションになるのと合わせ、スタミナが全回復する

 

功徳をやり繰りする強化要素

フィールド上では、ようかんや干菓子といったアイテムを入手できる。これらを使うと体力や精神力が回復できるが、それだけでなく、セーブポイントで奉納することで「功徳(くどく)」を一定数入手できる。手に入れた功徳は、プレイヤーを強化するための様々な要素に利用していく。

探索中に入手したアイテムを奉納することで「功徳」を入手できる

まずはプレイヤーのステータス強化だ。功徳と専用アイテム「祈願絵馬」を消費し、体力、精神力、スタミナ、お守り保持数のいずれかのステータスを増加できる。ステータスは複数回強化が可能で、複数回強化することでより強化されていくが、必要な功徳の量も上がってくる。1周で入手できる功徳や祈願絵馬の量には限りがあるので、どのステータスを主体にしてあげていくか、考えながら強化していくこととなる。

「功徳」を消費して、プレイヤーのステータスをアップできる

もう一つは、新お守りの入手だ。功徳を消費して「おみくじ」を引くことで入手できるお守りには「最大体力増加」「特定条件下での攻撃力増加」「敵に気付かれにくくなる」など、戦闘や探索に役立つ効果を持っている。

入手したお守りは、装備画面で適宜付け替えが可能だ。前述の「功徳」消費によるステータス強化で、所持できるお守りの量を増やすこともできる。

「功徳」を消費して、新たなお守りを入手できる

お守りごとに特殊なバフ効果を得ることが可能だ

お守りは装備画面で適宜付け替えることが可能

また、特定の難易度では「精神力」を回復させるために「功徳」を使用することもある。「精神力」はチャージ攻撃に使用したり、見切り反撃を行いやすくするために使用したりするため、戦闘では使用機会が多いので、「功徳」で回復することも立派な戦術である。

 

ユーザに合ったゲームプレイ設定

本作では、敵の強さを全3段階から選ぶことができる。一番下の難易度「物語重視」は、過去のサイレントヒルシリーズ相当のアクション難易度に収まるため、多くのプレイヤーが遊びやすい難易度となる。戦闘難易度はゲーム中いつでも変えることができるため、ゲームを遊んでいる中で「勝てないな」と思うなら、難易度を下げてゲームを楽しむことができる。

 

また、謎解きにも全3段階の難易度設定が可能。謎解きはノーマル難易度である「困難」でも、結構考えないとわからないような歯ごたえがあるため、「謎解きが苦手だな」と思う人は、謎解き難易度を一番下である「物語重視」に下げることで、手軽に遊べるようになる。

 

1960年代の田舎町で、「女性」としての葛藤を描く物語

本作の主人公「深水雛子(しみずひなこ)」は、高圧的な父親と、それに対して従順に従う母親とともに暮らす女子高校生。「雛子」には唯一の理解ある姉もいたのだが、結婚と同時に家を去ってしまい、その後は嫌々ながら生活をしていた。

本作の主人公である女子高校生「深水雛子」

ある日、父親と喧嘩した「雛子」は家を飛び出し、友達とだべろうと駄菓子屋「千鶴屋」へ向かう。「千鶴屋」にて、「修」や「凛子」、「咲子」といった友達と談笑をしていると、突如として街に霧が立ち込め、それと同時に正体不明の怪物に追いかけまわされることとなる。その後「雛子」は、人の気配が消え、奇怪な怪物が蠢く「戎ヶ丘」を探索するうちに、自身の内面に湧き出る謎の気持ちを相手に葛藤していくこととなる。

友達と千鶴屋で談笑する「雛子」だったが…

突如として街が深い霧に包まれ、怪物に襲われるように

果たして「戎ヶ丘」はどうなってしまったのか、突如現れた、「雛子」を気遣う謎の狐面の男は何者なのか、そして「雛子」が抱えている心の闇とは何なのか…1960年代という古い時代に「女性」として向き合わなければならない選択に対する「雛子」の結論を見届ける、美しくも恐ろしい物語が幕を開ける。

ゲーム序盤から、「雛子」を常に気遣う狐面の男性。彼は一体何者なのか…

本作はストーリー道中でプレイヤーがとった行動によりエンディングが変化するマルチエンディングを採用している。また、周回プレイ前提のストーリーにもなっており、1周目は全プレイヤーが同じエンディングに到達するが、2周目以降はプレイヤーのとった選択によってストーリーが分岐するように作られている。

 

このゲームの良い点

精神をえぐってくる恐怖演出が素晴らしい!

筆者は本作を遊ぶ直前に「サイレントヒル2リメイク」を遊んだが、この作品は真っ暗な閉所をライト1つで探索する場面が非常に多く、ただ暗闇の押し付けによるホラーに頼り切っている印象で、「暗闇による恐怖」ではなく「暗闇による疲労」が色濃く残った印象だった。

(サイレントヒル2リメイクのレビュー記事は以下を参照してほしい)

www.akiyoshiblog.work

本作では、真っ暗なシーンは一切なく、必ず画面全体を照らす光が何かしらあるため、「暗闇による恐怖」は少ない。その代わり、精神を抉ってくるホラー描写が至る所に散りばめられており、「サイレントヒル2リメイク」よりもかなり怖い印象を受けた。暗闇演出に頼らず、ここまでホラー要素をしっかりと突き詰められるのはすごいな、と感心してしまった。

 

精神を追い詰めてくる音響

個人的に1番きつかった要素。探索中は常に不穏な音楽が鳴り続けており、不安感や、何か不吉なイベントが起こりそうな予感を掻き立ててくる。また、敢えてなのか敵の足音が非常に大きくなっており、突如として「ガシャガシャ」「ドタドタ」という音を立てて敵の走る音が背後から聞こえた時には、「やべ、バレた!?」という焦りが一気に押し寄せた。ヘッドホンをつけると、音の恐怖感がダイレクトに伝わり、背筋がゾッとするような恐ろしさを共にしながらプレイできるのでおすすめだ。

 

不気味なステージと敵の造形の数々
  • 日本人形が大量に並ぶ部屋
  • 子供が書いた可愛らしくも不気味な人物絵で覆われた部屋
  • 人気がなく薄暗い学校の廊下

など、日本人であれば誰もが聞いたり見たりしたホラー演出が散りばめられており、それらのそばを通るだけでもゾクっとする。また、イベント後に急に風景が赤黒い世界へ切り替わるなどの演出もあるので、サイコホラーとしての特徴をしっかり備えている点も良い。死体かと思わせておいて、イベント後に戻ってくると姿が消えている、と言ったゾンビゲームあるあるな展開も忘れてはいなかった。

何もなかった壁を振り返ると、急に首のない日本絵画と「奴を信じるな」という文字…急に現れる恐怖演出で「ヒヤッ」とさせられる

敵の造形はどれも恐ろしいが、特に一番戦闘機会が多い「カカシ」が怖い。人間に似た見た目ながら、顔は能面のようであり、動きも人形のようなカタカタとした動きなので、「不気味の谷」に落ちているような感覚がダイレクトに伝わってくる。演出の一環として、「カカシ」をじっと見ないといけないような場面もあり、その時は思わず画面から目をそむけたくなった。

「カカシ」のまじまじと見るような場面…思わず目をそむけたくなる…

 

敵の奇襲によるびっくり演出

敵の中には、天井や曲がり角などの様々な死角に、全く音を発さずに潜んでいる者もいる。側を通りかかると、急に怪しげな声を発して襲いかかってくるため、その度に非常にびっくりさせられた。また、部屋の襖を開けると目の前で敵が待っていた、という場面や、演出を見届けた直後に急に目の前に敵が現れた、というような要素も存在しており、常に気が抜けなかった。

「ジャンプスケア」という、爆音&恐怖映像を突如出して驚かす演出はなく、お化け屋敷でのびっくり演出に近い感じなので、ジャンプスケアが苦手なプレイヤーでも遊べるびっくり演出な点もよかった。

 

恐怖症、不快感を抉ってくるような演出

重合体恐怖症の人は見ていられなくなる演出やグロテスクな描写などを包み隠さず出してくるので、人によってはプレイ自体に大きなストレスがかかる可能性がある。ゲーム開始時に、本作の注意事項として「性差別」や「児童虐待」「いじめ」「薬物による幻覚」「拷問」「強い暴力表現」がある、と表記されるが、正にその通りの描写が容赦なく描かれているので、人の根本にある恐怖感、不快感をダイレクトに来るような演出はすごいと感じた。特にとある儀式のシーンは…これ以上はネタバレにもなるのでやめておこう。

 

「主人公がパワフルなので怖さを感じない」というレビューもあるが、それはホラー耐性のある人間のコメントだと思った方がいい。それでも気になるなら、筆者と同じく、ゲーム開始時の戦闘難易度を「困難」にして遊んでみることをオススメする。一気に緊張感が増し、その分ホラー演出による抉られ度合いが引き上がるはずだ。

 

考察し甲斐がある見事なストーリーテリング!

1周プレイするだけでは、本作のストーリーはよくわからない。そのため多くのプレイヤーが2周目をプレイすることになるのだが、周回時にどのルートを迎えるかによって、1周目での不明点に対する答えをそれぞれ用意してくれる。

  • 謎の狐面の男の正体
  • 「雛子」が服用している薬の正体
  • 「雛子」本人が持つ悩みと考え

など、明確に提示されていなかった謎がどんどんと明かされ、1周目に提示された謎解きの答え合わせをしているような達成感、気持ちよさが癖になった。そして、一番最後にトゥルーエンドを迎えた際、本作のストーリーのまとめ方に、大きな感動を覚えるまでになった。周回前提ゲームの中で、ここまで感動できるストーリーを描いた作品は、「ニーアオートマタ」と本作くらいだろう。

また、道中に拾える文書を読み込んでいくと、そこでもストーリーの裏を説明するような内容が書かれている。これを読み込むのも、ストーリー理解がよりでき、ストーリーの面白さを実感できた。

文書を読み込むことで、物語の裏までしっかりと理解でき、より本作への理解が進む

これから遊ぶ人は、ぜひ順番にストーリーを攻略し、4周分プレイして、トゥルーエンドを迎えてほしい。本作のストーリーの作り込みの高さに感動できること間違いなしだ。1周クリアに約10時間あればクリアできるし、4周クリアにかかる時間は約30時間と、ボリュームとしてもちょうど良い。そのあとは文書を集めたり読み込んだり、マップを隅々まで見てみて考察したりして、よりストーリーへの没入感が増すことこの上なしだ。

 

洗練された周回プレイ向け要素!

周回前提のデザインをしている為か、周回プレイ時にストレスや不満がたまらないような要素がいくつも用意されているのは好印象だった。

 

ストーリーでの会話や文書の変化

本作では、1周目と周回時で各所で見られるムービーの一部が変わっており、これらを含めて見てストーリーの全容がわかるように作られている。また、手に入れる文書も、1周目と周回時で内容が異なっているし、1周目では入る事のできなかった部屋が解放されていたりもする。周回プレイ前提のゲームにあるような、「エンディング辺りの演出が変わるだけで、ストーリーの大部分は変わらず、同じ場面を繰り返し見るだけでなのでつまらない」といった既知感が生じにくくなっているのは素晴らしかった。

 

手軽な謎解き要素

本作の謎解きは、リニア形式でステージをクリアし、順番に手に入れたキーアイテムを使って、最後のエリアで謎解きをする、というシンプルな構造をしている。各ステージのサイズも、一部エリアを除いて小さめなうえ、答えが解っていれば途中過程をすっ飛ばして先に進める場面もあるので、慣れればサッと突破できる量だ。

他の謎解き型ゲームにあるような、中規模サイズのマップを、答えがわかっていたとしてもキーアイテムを入手すべく右往左往して、という要素は極力削られているので、周回プレイ時のだるさを感じにくくなっているのは見事だった。

 

各種能力やお守りの継続

周回する際には、前回までに強化していたステータスや、手に入れていたお守りは続投されるので、1周目よりも戦闘がやりやすくなり、よりサクサクと進められるようになる点はよかった。戦闘難易度を上げてプレイする際も、事前に能力強化できた状態で遊べるので、いきなりプレイする際よりも圧倒的に遊びやすくなった。

 

他エンディングの到達条件の提示

本作はマルチエンディングなので、周回プレイ時には他のエンディングを見るように務めると思うが、どうすれば他のエンディングに到達できるのか分からず困る場面が多い。

本作では、ゲーム機動画面からストーリー文化の起点となる出来事をまとめてくれているので、攻略情報を見ずともある程度は分岐方法を理解して進められるようになっているのは良い点だった。

 

ユーザーフレンドリーなゲーム設計!

複雑なマップを探索することになるので、プレイ中は頻繁にマップを開き、自分がいる位置や目的地を比較していくのだが、その際のマップ表現が実に優れている。

  • 鍵がかかったドア、開通しているドアはどこか
  • 謎解きが必要なオブジェクトがあった場所がどこか
  • 謎解きのヒントとなるワードは何か

など、探索し続けていると忘れてしまう要素を勝手にマップに書き込んでくれるので、後になって見直しがしやすい。これは探索メインの他のゲームでも積極採用してほしい要素だと感じた。

また、周回プレイ時に見るムービーはいつでもスキップができるが、新しい要素が取り入れられたムービーは、スキップしようとした際に「新規内容をスキップする」と画面表示されるので、変更点があるのかどうか一目でわかりやすい点もよかった。

 

このゲームの悪い点

戦闘バランス設計がイマイチ…

ソウルライク作品経験者かどうかで、本作の戦闘難易度に対する感じ方が違う上、どっちにも寄り添い切れていないイマイチなバランス設計なのは気になった。

登場する敵の多くの攻撃には予備動作がほぼないので、今は回避すべきか、攻撃してよいのかがわかりにくい。また、見切り反撃ができる攻撃とできない攻撃の予備動作にも違いがあまりないので、全攻撃に対してとりあえず回避してしまい、見切り攻撃の機会を逃すことが多い。更に、連続攻撃や長距離を移動する攻撃も持っており、距離をとっり回避したりしたつもりでも、一気に詰められてダメージを受ける場面も多い。

明らかにソウルライク作品に慣れた人向けの戦闘設計であり、これで「本作をソウルライクと言うな」は無理がある。少なくとも、近接主体のアクションゲーム経験がないプレイヤーは、最低難易度でも苦戦する可能性があるので注意してほしい。

ではソウルライク作品経験者にはどうかというと、最低難易度では敵の火力が少な目なうえ、セーブポイントに行けば無償で一定量の体力を回復できるので、簡単に感じる戦闘バランスなのは気になる。かといって1つ上の難易度である「困難」にすると、敵の火力が2倍ほど増加し、他ソウルライク作品と同等かそれ以上に難しいので、「これはホラーゲームなのか?」と疑問に感じる場面が目立つ。筆者は1周目から難易度「困難」で挑み、途中で難易度を下げず何とかクリアしたが、ゲームオーバー回数はホラーゲームとは思えない程にあった。

「物語重視」と「困難」の間に収まる難易度があると、ちょうどいい緊張感で遊べた気がするだけに、難易度設計の悪さは残念でならなかった。

まあ、戦闘難易度「困難」で遊ぶと、敵の足音が聞こえる度にとてつもない恐怖感が襲ってくるので、逆にちょうどいいのかもしれないが…

 

一部謎解きの理不尽さは異常…

謎解きは全体的にコンパクトで遊びやすく、それでいて頭を捻る必要のある謎解きが多いので、基本的には好印象だった。しかし、特定の謎解きは理不尽とも思える難しさなのは気になった。特に物語終盤で挑む謎解きは、謎解き難易度最低の「物語重視」であっても、突破するのに30分は時間を要した。

謎解きのヒントがわかりにくいだけでなく、そもそもヒントにすらなっていないものまであるので、それが攻略難易度を跳ね上げている。正解がわかってもイマイチ釈然としなかった。謎解きに対して爽快さを求める人は、ちょっと首をかしげる要素があるのは気に留めておいてほしい。

 

男性声優の演技力には疑問が残る…

本作に登場する主要な男性キャラ3人について、日本語版声優の演技力は少々気になった。鼻にかかった、少し濁った声質をしており、そのせいか棒読みに感じてしまうのだ。女性キャラの演技は全員非常に良かったため、より男性陣の演技力の残念さが目立ってしまっていた。筆者は演技に対して非常に思いがあるような人ではないが、そんな筆者でも気になったレベルなので、おそらく多くのプレイヤーが引っかかる部分だと思われる。

それでも、「修」と「狐面の男」の2名は、遊んでいる内に慣れてくる。しかし主人公「雛子」の父親の演技は結構どうしようもない。「亭主関白で、家族に怒鳴りかかってくるひどい父親」というキャラ設定なのだが、声優の演技を聞いた感じ、「大人しい人が『怒っている演技をして』という指示を受けて頑張って怒っている」という感じで、正直全然恐くない。一応、本作を進めていくと、その理由も少し説明されるパートはあるが、それでもなんか違うと感じた。ここだけでももう少しマシな演技をしてほしかった。

 

まとめ

サイコホラーとして、これ以上ないほどの見事なホラー演出とストーリーテリングを兼ね備えた、正に神ゲーといっても良い作品だった「SILENT HILL f」。とにかく本作の考え抜かれたストーリーとホラーを是非とも多くのプレイヤーに体感してほしいので、「ホラーが苦手」という人でも本作をあそんでほしいところだ。

 

では!

 

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