今回は、PS5版の「LITTLE NIGHTMARES Ⅱ」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(2023/6/12時点の情報である)
2021/2/10に発売された作品である「LITTLE NIGHTMARES Ⅱ」。
ガンアクション以外のホラゲーはほとんどプレイしない筆者だが、評価が高いというのを聞き、気になって購入!一通りクリアした感想をまとめたので、このゲームの特徴や、良い点、悪い点をまとめていきたい。
なお、筆者は前作「LITTLE NIGHTMARES」は未プレイである。その前提での感想としてみてほしい。
◆個人的感想
総評
全体的にホラー要素が抑えられたライトな作りなものの、不気味なところ、ゾッとするところはしっかりと用意された、ホラゲー初心者向け、といった作品。
謎解きやアクション操作の難易度は若干高いが、それでもしっかりと考えぬき、かつ操作に慣れていけば、ゲームをあまりやらない人でもクリアはできる作りなのも良い。
ただ、欠点もそれなりに気になる。特にストーリーがわかりにくく、ユーザ自身での考察による補填ありきなため、イマイチすっきりとした終わり方ではなかった。
全体通して「欠点もありはせど出来の良い作品」となってはいるため、「良ゲー」という評価に落ち着くところだった。
どんな人にオススメ?
- あまり怖くないホラゲーがやりたい
- 考察し甲斐のあるゲームがやりたい
- 配信して喋りながらやりたい
- 謎解きゲームが好き
という人にはオススメできる。逆に
- ホラゲーには怖さを求める!
- ちゃんとストーリーが綺麗に完結していて欲しい
- ストーリーそのものにボリュームが欲しい
- 謎解きはかったるい!もっと「アクション」なゲームがいい!
という人は、避けた方がいいだろう。
◆このゲームの特徴
サイコホラーな世界を舞台にした謎解きホラーゲーム
本作は「ホラーゲーム」に分類される、三人称視点でのアクション作品である。ホラーゲームよろしく、全体的に薄暗く、現実ではありえないような情景に包まれた、サイコホラーな世界観がベースになっている。
マップ上には、プレイヤーを襲う敵や、プレイヤーを仕留めようとする罠があちこちに点在している。これらの危機を開始し、自身の目的達成のために、前に進んでいくこととなる。
ホラゲーらしく、主人公は非常に貧弱で、特定の場面を除き、基本的にはこちらから攻撃する手段はない。敵から攻撃されれば1発でゲームオーバーだし、チェイスシーン以外では敵に見つかれば逃げられない。緊迫感のある状況から、己の力だけで切り抜けることが求められてくる。
ホラゲーといえば登場するのが謎解き要素。
- 扉を開けるための鍵を探してくる
- エレベーターや物置などを利用して、違うフロアに移動する術を見つける
- 電流が流れてたり、敵が監視してたりして通れない状況を切り抜ける
などといった、様々な謎解きバリエーションが用意されている。その殆どがノーヒントのため、周囲の状況、置かれているアイテムなどを見て、自分で考えて解かねばならない。
帽子集め、ファントム集め、トロフィー収集等のやり込み要素
本作では、ストーリークリアだけでなく、「帽子集め」と「ファントム集め」という2つのアイテムの収集要素も存在している。帽子とファントムは、ステージ内のどこかに点在しているため、ステージを隅から隅まで歩き回り、開けられる限りの箱を開け、どこにあるのか探していくことになる。
更に、これはPS限定にはなるが、特定の行動を取ったり、特定条件を満たした上でステージクリアすることで、トロフィーを入手できるようにもなっている。
謎世界に迷い込んだ2人の子供達が織り成す言葉無しの脱出劇
本作の主人公は、ダンボールを被った少年「モノ」と、何故か監禁されていた少女「シックス」の2人である。プレイヤーは「モノ」を操作し、必要に応じて「シックス」の助力を借りながら先へ進んでいく。
物語の舞台は、謎の電波塔から発する怪電波によって支配された世界。この世界は、どこへ行こうとも薄暗く、かつ森林や学校、病院等、気味の悪い要素が重なった場所ばかり。また、登場する人物も、銃を片手に徘徊するハンターや、天井を這いずり回る太ったドクターなど、全体的にサイコホラーな世界観をベースにしている。
この狂気に満ちた世界で、プレイヤーは真実を突き止め、世界の解放と脱出を目指していくこととなる。
なお、本作はマルチエンディングを採用しており、ある条件を満たすことで真エンディングを見ることができる。
◆このゲームの良い点
ホラーゲームだけどライトな作りで取っ付き易い!
本作はホラーゲームなものの、キャラ全体が人形劇のような見た目をしており、ガチなホラゲーよりも嫌悪感のようなものは緩和されている。また、三人称視点でプレイすることで、画面全体で他キャラの動きや周りの景色を俯瞰して見れるため、一人称視点でのプレイと比べ、かなり落ち着いてプレイできる。ホラゲーによくあるびっくり系演出が殆ど無いのも好印象だ。
筆者は、バイオシリーズやサイコブレイクシリーズのような、ガンアクション主体のホラゲーであればプレイするものの、ただ襲い来る敵から逃げるタイプの本格ホラゲーは苦手な方。そんな筆者でも普通にプレイできるほど、全体的にライトなホラゲー、といった作りになっているため、ホラーが苦手な人でもプレイし易い作品になっているな、と感じた。
じゃあ全く怖くないのか?というとそんなことは無い。真っ暗闇の中を、懐中電灯一つで進むステージでは、先が見えない中、どこから敵がやってくるのかわからない…という恐怖が常に付き纏い、手に汗握るプレイをすることができた。
また、某有名ホラー映画のオマージュのような場面では、ゾッとする感覚が体を襲ってきた。思わず「おいおいおいおい!」と言いながら逃げ回ってしまったものだった。
絶妙な難しさの謎解きは意外とやりごたえあり!
1ステージの中で登場する謎解きの数は結構多く、かつ簡単なものから、かなり頭をひねるものまで、様々なバリエーションが用意されていた。難しいものの中には、解くまでに2、30分程かかるような謎解きもあったが、それでも必死に考えてクリアできた時は、ホラゲーではあまり感じないような、大きな達成感を味わうことができた。
どれだけ難しい謎解きでも、「これは理不尽だろ!」と言いたくなるような酷い解法はなく、全て納得がいく形になっているのもよい。
人によっては難しく感じる場面もあるだろうが、是非最後まで己の力だけで謎を解き、進んでみてほしい。
登場キャラは怖いながらも魅力的!
本作に登場するキャラの大半は、得体の知れない人外的な存在であり、行動内容だけでなく、見た目も恐ろしい。
ただ、ストレートに嫌悪感をもたらすようなものではなく、人形劇的な形でデフォルメされており、怖いだけではない、どことなく「かわいい」といった印象を持った。
ゲームの面白さと直接的に繋がる訳ではないが、キャラ要素という面では、どの敵も印象に残る魅力的なキャラだったと感じた。
頻繁に起きるオートセーブとロード時間の速さが快適!
ホラゲーというと、基本的には何度もゲームオーバーになりながらクリアを目指していくもの、と言った印象を筆者は持っている。そうなると、頻繁にやり直したり、その分ロードを挟んだり、といった事態が発生してくる。
本作では、エリアをひとつ跨ぐごとにオートセーブを行ってくれるため、ゲームオーバーになってしまったとしても、そのすぐ手前からやり直せる。また、PS5版であれば、1秒も経たずにロード完了するため、ゲームオーバーを繰り返しても、ロード面でのストレスが全然無かった。
Switch版では若干ロード時間がかかる、という意見を聞いたことがあるため、ロードを一切挟みたくないのであれば、PS5版を買うことをオススメする。
◆このゲームの悪い点
ストーリーボリュームは少ない…
「良い点」で紹介したトロフィー要素を除くと、本作にはサブクエストのようなものは無く、素直にストーリークリアを目指すことしかやることがない。トロフィーなんていらない!ストーリークリアしてゲーム終わり!という人は、6〜7時間程でクリアできるボリュームしかない。実際筆者も、ストーリークリアをメインにしてゲームした結果、クリア時間は約7時間ほどであった。
勿論、オンラインによる協力モードや対戦モードなどが実装されている訳でもない。本作はシングルプレイ専用のゲームだ。
ストーリーそのもののボリュームを求めている人は、かなりやりごたえの無さを感じてしまうに違いないので、注意が必要だ。
操作や画面表示が独特で慣れない…
本作の操作は、他ゲームにはあまりない設定が施されており、慣れるまでに時間がかかる。始めてから数時間は間違え続けたし、なんなら最後まで操作ミスによるゲームオーバーはよくあった。
1番特殊なのは、「崖に掴まったり、壁を登ったりするには、Rボタンを押し続けなくては行けない」というところだ、他のアクションゲームで、崖掴まりをするのにボタンを押さないといけないゲームは、これまで経験したことがない。崖を飛び越えるような場面では、頻繁にRボタンの押し忘れ、ないしは上り切る前にRボタンを離してしまう等し、そのまま落下してゲームオーバー、ということが起きてイラッときた。
特に、追ってくる敵から逃げる場面では、走るのに◻︎ボタン長押し、ジャンプするのに×ボタンを押した上で、更にジャンプした先が崖ならRボタン長押しまでしなくてはいけない。
所々で結構ガチガチなアクション操作を求められるため、アクションゲームに慣れてない人には難しい場面があるような気がした。
また、本作は基本、2Dの横スクロールアクション形式でゲームが進行していくが、完全な平面というわけではなく、ちゃんと奥行きもある3D構造をしている。他の3Dアクションゲームであれば、キャラの背面や前面にカメラを持っていくことで、空間全体の凹凸を把握できるようにしているが、本作はどこまでいってもずっと2D表記のため、他ゲーと比べて奥行きが分かりづらく、自分が進もうと思ってる場所とは違う場所に向かってしまっていることがよくあった。
特にキツいのは、細い通路を渡る時だ。歩く場所が少しズレるだけで下へ落下してしまうが、自キャラが前後のどこまで体を出しているのか分かりにくいため、ちょいちょい落下する事故が発生した。
奥行きを作るのはそれでもいいが、場面場面で完全2D操作にするなど、多少の見易さがあってもよいと感じた。
ストーリーは「自分で考えよう」任せ…
ここは人によって評価が分かれるところだろう。
本作のストーリーでは、言葉はおろか、文字すらも表示されない。キャラの心情や行動背景は、動きの様子や周囲の状況から自分で推察する必要がある。
じゃあ行動心理などが理解しやすいのか、というと、決してそんなことはない。
- なんで主人公「モノ」はこの世界にやってきたのか
- なんで「シックス」は牢屋に捕まってたのか
- この不気味な世界が生まれたのはなぜなのか
- 物語最後の行動理由は何なのか
など、ありとあらゆる部分がわからなかった。前述の通り説明もないため、「なんか、そういうもんなんですね」と自分に言い聞かせながら進めるしかなく、納得感があるか、というと浅い。
一通りクリアした後に、ネットに存在しているストーリー考察系の記事や動画などをいくつか見てみたが、結局「こうとも言える」というパターンがいくつもあるだけで、何が正解なのか、ボヤッとした大筋すらもわからなかった。
「マップを隅々まで探索し、プレイヤー自身で色々考察してみるのが好き」という人なら楽しめるだろうが、相当考え込まないと全容がわかりにくいため、「ストーリープレイだけで話をちゃんと理解したい」というような人は向かない。
唯一の良かった点は、「前作をプレイしていないくてもストーリー自体はわかる」というところか。ただ、主人公のパートナー「シックス」は前作「LITTLE NIGHTMARES」の主人公のため、前作とのつながりが無い訳ではないはず。前作をやっている人の方が、より楽しめるのは間違いないだろう。
◆まとめ
ライトなホラゲーで、比較的多くのプレイヤーにプレイする間口を広げたような作品である「LITTLE NIGHTMARES Ⅱ」。
良ゲーであることは間違いないため、気になってる人は、今すぐにでも購入してプレイしてしまって良いだろう。
では!