今回は、PS5版の「Marvel's Guardians of the Galaxy」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。
(本記事は2024/3/17時点の情報をもとにしている)
ヒーロー作品を多く輩出しているマーベル作品の中でも、かなり異端なヒーロー達の活躍を描いている「Guardians of the Galaxy」。過去に3作が映画で公開され、日本でも大ヒットした。筆者も3作品全てを視聴済みだ。
そんな「Guardians of the Galaxy」を主人公に添えたゲームが出ているということで、気になってプレイ!エンディングまで到達した上での本作の率直な感想を書いていきたい。
◆個人的感想
総評
映画に登場するキャラが、そのままゲームの世界に再現されている。宇宙を舞台にどんちゃん騒ぎしながら事件を解決していく様子も、文句をお互いに垂れ流しながらもなんだかんだで協力して戦っていく感じも、正に映画の世界に入り込んでいるかのような没入感があった。
アクションも爽快で、仲間に支持を出しながらの華麗な攻撃が手軽に出せるため、やっていて気持ちがいい。
ムービーシーンもしっかりと作り込まれている。ボリュームだけ積み重ねたオープンワールドゲームのムービーとは比較にならない。
プレイ後に思い返してみると、悪い点が色々挙がっては来るが、メインストーリーの作り込みやアクション性の高さから、それすら忘れさせてくれるほどにのめり込める。
正に「プレイする映画」といった感じで、「Guardians of the Galaxy」を好きな人であれば是非ともやってみてほしい。
どんな人におすすめ?
- 「Guardians of the Galaxy」の物語が好き
- メインストーリーを作り込んだ作品がやりたい
- フルボイス、フルムービーな作品がいい
- サクッと終わるゲームがやりたい
といった人にはオススメできる。逆に、
- サブクエ要素や探索要素がほしい
- 「Guardians of the Galaxy」の映画も見たことがない
- ボリュームの多いゲームがやりたい
といった人には合わないかもしれない。
◆このゲームの特徴
でこぼこヒーローチーム「Guardians of the Galaxy」を主人公にしたTPS!
本作はマーベル・エンターテインメントにて展開されている「Guardians of the Galaxy」というヒーローチームにターゲットを当てて作成された、シングル専用のTPSゲームである。
プレイヤーは、「Guardians of the Galaxy」のリーダーである「ピーター・クイル」を操作し、遅い来る敵を倒しながら、ステージの奥へと進んでいく。奥に待ち構えるボスを倒したり、目的を達成して脱出すればそのステージはクリアとなり、次のステージへと進んでいくリニア形式の作品となっている。
仲間や特殊弾を使用して行う謎解き要素
道中では、高い壁がそり立っていたり、足場が欠落していたりして、先に進めない場所が現れることがある。そのような場合は、味方の力を活用することで、状況を打開し、先に進むことができる。
仲間の力でもどうにもできない場面では、「ピーター・クイル」のレーザー銃が持つ特殊弾が役に立つ。氷属性の弾を撃てば、水場を凍らせて足場を作れるし、電気が通っていない配電盤がある場面では、雷属性の弾を当てて通電させることができる。
誰の味方の力を借りるのか、特殊弾で切り抜けるのか、どれが正解なのかはプレイヤー自身で考える必要がある。
自身だけでなく、仲間に指示を出して戦う戦闘システム!
プレイヤーは、2丁のレーザー銃を使用し、遠距離から敵を射撃しながら戦うのがメインとなる。近距離の敵には、パンチやキックなどの近接戦闘も可能だ。それ以外にも、道中の謎解きにも使用した特殊弾を使っての攻撃も可能。氷属性の弾を当てて凍らせて動きを止めたり、風族性の弾の力で離れた敵を一気に引き寄せたりと、特殊な戦い方ができるようになる。
更に、一定時間のリチャージを要する反面、しばらくのあいだ空を飛んだり、機関銃の様にレーザーをばら撒いたり等、強力な効果を持ったアビリティを使用することもできる。
「ピーター・クイル」以外の仲間達は、自分の意思で攻撃対象を決め、プレイヤーと一緒に戦ってくれる。また、彼ら自身もアビリティを有しており、プレイヤーの手で利用するアビリティや攻撃する敵を任意に決めることができる。
仲間のアビリティには、与ダメージに特化したもの、相手のシールドをはがすことに長けたもの、敵の動きを拘束するものなど、いくつかのバリエーションが用意されている。状況に合わせ、適切なアビリティを駆使することで、大群や強敵を相手にした時にも、こちらに有利となるような戦いを展開できる。
その他、周囲の環境オブジェクトを指定して、その環境を利用した攻撃を味方に実施してもらうこともできる。
しばらく戦闘をし続けると、戦闘を一時中断し、味方を集めて励まし合う「パドル」を利用できる。パドル中には会話の選択肢が2つ表示され、正しい方を選ぶとチーム全員の体力回復と、一定時間アビリティの無限使用が可能になる。
新たなアビリティ獲得と、素材を消費してのパーク獲得による育成
様々な攻撃方法で敵を攻撃したり、連続で倒し続けたりすると、戦闘評価値が上がっていく。戦闘終了時の評価に応じて経験値を入手でき、一定量貯めるとアビリティポイントを獲得できる。
手に入れたアビリティポイントは、5人いる「Guardians of the Galaxy」のメンバーのアビリティ獲得に利用できる。
ステージを探索すると、道中で素材を入手できる。素材を一定数集めて作業台にアクセスすることで、「ピーター・クイル」自身の専用パークを獲得できる。
文書回収やコスチューム集めなどの収集要素
ステージの途中には、チームメンバーに関係するガーディアン・コレクション・アイテムが落ちていることがある。それを持ち替えると、パーティメンバーのことをより深く知ることのできる交流会話を行うことができる。
それ以外にも、探索する中で各キャラのコスチュームを手に入れることもある。手に入れたコスチュームは自由に着せ替え可能だ。
宇宙全域を襲う驚異から皆を守るオリジナルストーリー
本作のストーリーは、原作にも映画にも登場しない、ゲームオリジナルのストーリーとなっている。
ある日、「Guardians of the Galaxy」一行は、主人公「ピーター・クイル」がナンパした女性から、封鎖区域内に未知の生物がいる噂を聞き、メンバーと共に調査に向かう。しかし、その行動が、宇宙警察である「ノヴァ軍警察」に見つかり、拘束されてしまう。留置所に連行されそうになったまさにその時、ノヴァ軍艦隊が突如何者かに攻撃される。なんとか窮地を脱した「Guardians of the Galaxy」一行だが、実はその出来事の裏では、宇宙全土を巻き込む凶悪な出来事が起ころうとしていた。
果たして彼らは、銀河を守る守護者、正に「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」として、この凶悪な事件を解決することができるのか。統率も取れてないでこぼこチームである彼らの新たな冒険が幕を開ける。
◆このゲームの良い点
正に映画がゲームになった様な雰囲気が最高!
「Guardians of the Galaxy」といえば、
- 軽口を叩き、どこか頼りないが決める時は決めるリーダー「ピーター・クイル」
- 戦闘力が飛び抜けて高く、チームの中では1番常識人な「ガモーラ」
- 冗談が通じず、マジレスしかしない怪力野郎の「ドラックス」
- いつも喧嘩ごしで、機会に対する圧倒的な知識を保有する「ロケット」
- 「私はグルート」だけで全ての会話を完結させる「グルート」
という、かなり際立ったキャラ5人が冒険する作品である。本作に登場する彼らは、原作のままの特徴をもってゲームに落とし込まれており、原作のイメージを崩していない。
「ドラックス」はずっとマジレスしているか、「名誉ある戦いを!」と避けんで突っ込んでいるし、「ロケット」はやることなすこと全てに懐疑的で、文句をたらしながらも最後は手伝ってくれる。そんな彼らを、「ピーター・クイル」が「頼むよ~」と言いつつ、苦労しながらまとめている様子は、その会話を聞いているだけでも非常に楽しめた。
また、「Guardians of the Galaxy」のメンバー全員かなりのお喋りなのも特徴で、本作でもその言葉の通り、「途切れることなく」会話が行われている。マップを歩く間も、戦闘中も、いっつも違う内容の会話をし続けていて騒がしい。会話の途中では、プレイヤー自身で会話に対してどういう回答を返すか選択することもあり、正に「Guardians of the Galaxyのメンバーとして一緒に冒険している」という感覚を与えてくれた。
爽快なアクションと戦闘演出へ引き込まれる!
プレイヤーには複数の攻撃バリエーションが用意されているが、それぞれの単発火力は高くはない。プレイヤーの力だけで敵を倒そうとすると、大群を相手にした時や、強敵を相手にした時に、苦労することは間違いない。
そんな危機的な状況であっても、味方のアビリティを使えば一気に状況を打開できる。敵に囲まれた時に、「ドラックス」の爆撃アビリティや、「グルート」の枝攻撃を当てて一気に倒した際は、無双ゲームに似た爽快感を味わえるし、シールド待ちでダメージが入らない敵に、「ドラックス」の掴みアビリティを当ててシールドをはがし、よろめいているところに「ガモーラ」の超火力攻撃を当てれば、一気に体力を削って「俺つえー」できる。
アビリティを使う際も、全部で3つのボタンを交互に押していくだけでOKなため、ある程度操作方法が定型化されているのも良心的だ。アクションゲームが苦手でも、少し練習すれば使えるようになるはずだ。
味方の力を使った爽快な攻撃が簡単に出せるため、このアクション性の高さは非常に良かったと感じた。
戦闘以外にも、音楽要素も優れている。「Guardians of the Galaxy」の映画の特徴として、実在する80年代のヒット洋楽が、至る場面で流れてくることが挙げられる。本作にも、なんと30曲以上も洋楽が収録されており、拠点となる「ミラノ」では好きに聞くことができる。
更に、「パドル」使用後は、30曲以上の洋楽の中からランダムで曲が再生されるため、能力強化されたプレイヤー自身のプレイングと合わせて、ヒーローになった様な没入感を持ってプレイできた。
本作に向けて書き下ろしたオリジナルの楽曲も多くあり、それも非常に格好良かった。
自分好みにゲーム性を変えられる!
本作では、
- イージー
- ノーマル
- ハード
という難易度設定だけでなく、
- 敵から受けるダメージ、与えるダメージの変更
- パドル」使用時の正解の提示
- アビリティのリチャージ時間の変更
といった細かなゲーム設定を、プレイヤー自身で任意に変更できる。
アクションが本当に苦手なら、与えるダメージを最高に、受けるダメージを最低にし、アビリティのリチャージ速度を上げておけばいいし、得意な人なら逆に敵を圧倒的に強くするマゾプレイもできる。
筆者は、与えるダメージも、受けるダメージも両方高くし、敵をサクッと倒せるが、油断するとピンチになるような設定にして、緊張感と爽快感の両立をすることで、最後まで楽しんでプレイできた。
ぶっ飛んでながらも見応えあるストーリー!
主人公たちが、気付かぬうちに銀河全体を救うためのキーパーソンとなっていったり、バラバラだったメンバー達が、数々の困難を乗り越える中で結束力を増し、最後にはチーム一丸となって黒幕へ戦いを挑んでいったりする展開は、非常に胸を熱くさせるものがあった。
ストーリー展開も、無駄な要素が無く、起承転結がしっかりしていて、プレイヤーへダイレクトに伝わるようになっている点も、ストーリーへの没頭度合いをイイ感じに助長してくれている。
多少強引な展開はありながらも、生じたイベントそれぞれにキャラ達が皮肉を言ったり、軽く受け流したり、ちょっとメタ的な発言をしたり等することで、クスっと笑えてしまう。
最初から最後まで非常に面白いストーリーに仕上がっており、このストーリーをベースにマーベル映画を一本作っても全然OKなくらい良質だった。
◆このゲームの悪い点
視点関連の操作性が悪い…
本作の感度(キャラの視点を動かす速度)は、最大設定してもかなり遅い。そのせいで、探索面や戦闘面でストレスになることが多かった。
探索面では、次に進む場所や、周囲にある回収品を探す際に、視点移動に時間を要してイラついた。戦闘面では、混戦時に別の敵目掛けて振り向きにくく、思ったようなプレイングができない。
せっかく爽快なアクションが、これのせいで印象悪くしている感は否めない。アクションゲームの操作性が良く無いと、一気に面白くなくなる、という人は、本作を遊ぶ際には注意してほしい。
また、ターゲットロックを別の敵に切り替えられないのもストレス。他のアクションゲームであれば、エイム中にスティックか十字キーを左右に倒すことで、今自分がロックしている敵とは違う敵にロック先を切り替えることができるが、本作はそれができない。その為、別の敵を狙うなら、いちいちロックを解除し、狙いたい敵のそばまでエイムの中心を持ってきた上でまたターゲットロックをしないといけない。混戦時にはこれがかなりストレスだった。
価格の割にボリュームは少な目…
本作は完全リニアなゲーム進行をしており、昨今のゲームにはよくあるサブクエ的な要素は一切無い。探索要素はあるが、コスチューム集めと記事集めしかなく、そもそもマップ自体がほぼ一本道で探索したくなるような構築をしていないため、探索の楽しみも特にない。
また、クリア後のエンドコンテンツ要素も無い。クリア時のステータスを引き継いで、もう1周ステージをクリアする「NEW GAME+」があるくらいだ。その他の要素としても、前述のコスチューム集め等のために周回するくらいしかない。
筆者は、記事やコスチュームを4割程入手し、メインストーリーをクリアしたが、クリアまでにかかった時間は約14時間と結構短かかった。クリアしたら、このゲームに対するその他のお楽しみ要素はほぼ無いため、9000円近いフルプライス作品にしてはボリューム不足が目立った。
…といっても、すでに発売からかなりの時間が立っており、中古であれば4000円未満で購入できることも多いため、その価格帯で考えれば、お買い得な作品ではあった。
大なり小なりのバグが散見される…
本作は、大なり小なりのバグに遭遇することがあった。物語後半に行くほど、その量も増え、深刻度も増えた印象だ。
プレイ画面からムービーに移った際に、仲間の描画が追いついてなかったり、「ドラッグス」の音声だけが急に大きくなったり、キャラ同士の音声が同時再生されたり、といった小さいバグにはよく遭遇した。
ゲーム進行に影響するようなバグでは、オブジェクトの間に挟まって動けなくなったり、自分以外の全キャラが固まって何もできなくなったりすることもあった。
幸い、本作は短い頻度でチェックポイントが存在し、そのたびにオートセーブがされることから、進行不能バグに出会っても、少し前のチェックポイントからすぐにやり直せる為、そこまで深刻な影響は受けなかったが、イベントや戦闘で盛り上がっている時にこのようなバグに出くわすと、少し冷めてしまった。
ゲーム序盤の戦闘は退屈…
ゲームが進むほど、使用できるアビリティが増えたり、「ピーター・クイル」の使える特殊弾の種類が増えたりし、臨機応変な戦いを楽しめるが、序盤は味方のアビリティ数も1つだけ、「ピーター・クイル」のアビリティも、しばらく上空をホバリングするだけ、通常攻撃もノーマルな銃撃だけと、かなり退屈なプレイングを余儀なくされる。
プレイし始めて2時間位まではこの調子がずっと続くため、序盤でもう少しゲームとしての楽しみを得られないものかな…とは感じた。
その為、序盤はプレイヤー側の火力を上げるようカスタム設定し、さっさとクリアしてしまった方が、ストレスなく楽しめるはずだ。
映画だけだとストーリーの流れが一部わからない…
シリーズ作品のため仕方がないが、本作は「Guardians of the Galaxy」の知識を事前に知ってる前提で話が進む。主要メンバー5人の背景はもちろん、ゲーム中に出てくるサブキャラ達が誰なのか、彼らが過去に体験してきた出来事に関しても知ってる必要がある。映画の3部作を見たことがない人は、頭が「?」になることは間違いない。
更に、本作は映画とは別のストーリーを辿っているようで、映画と食い違う面が色々出てくる。「ロケット」と「マンティス」が初対面だし、「ドラックス」の家族を殺害したのが「ロナン」ではないし、「ガモーラ」の妹である「ネビュラ」も既に他界している。その他にも、様々な要素が映画とは異なっていた。原作を追っている人には分かるのかな…?
ある程度でも本作のストーリーを理解したいなら、映画3部作の鑑賞は必須なため、見てない人は必ず視聴してほしい。
◆まとめ
ストーリーと原作再現に徹底して力を注いだことで、非常に印象に残る面白い作品になった「Marvel's Guardians of the Galaxy」。
とても面白い作品に仕上がっていたため、是非ともプレイしてみてほしい。ストーリーに熱中すること間違いなしだ。
では!