今回は、「Marvel's Spider-Man Miles Morales」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(2022/6/7時点の情報である)
2020/11/12にリリースされた「Marvel's Spider-Man Miles Morales」。前作である「Marvel's Spider-Man」が神ゲーと称される作品であり、本作はその続編にあたる。筆者も前作をプレイし、その出来の素晴らしさに感動したものだ。
全体の6割ほどのサブミッションとコレクション収集をし、ストーリークリアまで実施した為、本作の感想をまとめていきたい。
◆個人的感想
総評
神ゲーだった前作の要素をそのままに、新たな要素が追加された正式な続編。蜘蛛の糸を駆使した爽快な移動、ガジェットや新要素「ヴェノム・パワー」を駆使した攻撃など、どこをとっても最高な要素が詰まっている。
一部の新規アクションがちょっとバランスブレイカーだったり、オープンワールドにしてはボリュームが少なかったりといった残念ポイントはあるものの、それでも一度始めてしまったら、やめ時を失う位のめり込んでプレイしてしまったほどに面白かった。
スパイダーマン好きは勿論、アクションゲーム好きなら是非ともオススメする。
◆このゲームの特徴
スパイダーパワーで街を移動するオープンワールドゲーム
本作のゲームジャンルは「オープンワールドゲーム」に該当する。これは、ダンジョンや街に入るたびにロードを挟んでフィールドが切り替わるのではなく、シームレスに繋がった広大なフィールドを、プレイヤーの好きなように、縦横無尽に動き回れるゲームジャンルである。
オープンワールドゲームの大きな特徴は、プレイヤーの行きたいところに自由に移動できる点だ。また、メインストーリー以外にも、世界観や登場人物をより深く知ることのできるサイドクエストがあるのも特徴。これらは攻略順序というものはなく、プレイヤーのやりたいように攻略することができる。
本作の舞台は、前作「マーベル スパイダーマン」と同じ大都会ニューヨーク。ニューヨークの街中では、至る所で事件やクエストが起きている。メインストーリーに合わせ、町中で起きるトラブルを、プレイヤーの好きな順に攻略していく。
様々なミッションをクリアすることで、経験値を獲得してプレイヤーがより強くなったり、自身の強化に使えるアイテムが手に入ったりする。メインストーリーを進めるためにも、その他のクエストをクリアしていくことも大切である。
ステルスアクションや戦闘アクションで敵を薙ぎ払う
スパイダーマンと言えば、蜘蛛の能力を駆使したステルス、および爽快な戦闘アクションだ。本作では、これらのスパイディー能力を使って、敵を倒していくこととなる。
まずはステルス部分。敵に発見されずに近付くと、敵を蜘蛛の糸で拘束し、無力化することができる。
それ以外にも、敵に一気に接近し、敵を一発でノックアウトできる。この拘束能力と急接近を活かし、敵を次々に撃破していくことができる。
敵を倒そうにも、目的の敵のそばまですぐ移動したり、バレないうちに別の場所に移動できたりしないと、ステルスでの撃破は中々難しい。そんな状況でも、スパイダーマンの力があれば、遠くの目的地まで一気に移動できるため、
- 敵のすぐそばまで急接近
- 敵に一気に近づいて撃破
- そのまま高所へ一気に移動
といった、まるで忍者のようなプレイが実際にできてしまう。
また、本作から登場した新要素「カモフラージュ」も、ステルス行動の役に立つ。「カモフラージュ」を利用すると、効果適用中は敵の目の前を通っても気付かれない。敵に気付かれても、「カモフラージュ」で姿を消してその場から離脱すれば、敵はこちらを見失い、再びステルス行動へと移ることができる。
「カモフラージュ」の利用には専用のゲージが溜まっている必要があり、ゲージが切れると効果が無くなる。リチャージされるまでは再利用できないため、このメーターにも注意する必要がある。
敵に気付かれれば戦闘開始。
敵目掛けて◻︎ボタンを連続で押してパンチが可能。遠い敵には、△ボタンで蜘蛛の糸を放出し、一気に接近できる。その他、街中に落ちているゴミ箱などのオブジェクトを掴み、敵目掛けて投げつけたりと、スパイダーマンの能力を駆使した戦いがワンタッチでできる。敵の攻撃が来る時は、頭上に現れる攻撃サインを見て回避すると、簡単にジャスト回避ができる。
更に本作からは、過去作になかった新要素として、生体電気を駆使した「ヴェノム・パワー」というものがある。戦闘していく中で溜まっていくゲージを消費し、ガードを無視して莫大な攻撃を与えられるパンチや、周囲の敵を吹き飛ばす衝撃波を放つことができる。通常攻撃や接近攻撃と組み合わせて使うと、格ゲーでコンボを決めた時さながらの気持ちよさがある。
スーツ、ガジェット等の装備を駆使して戦う
過去作にも存在したスーツの着替えシステムとガジェット装備。本作も踏襲されている。
スーツを着替えると、見た目が変わるだけでなく、個別の追加効果を身に付けることができる。
また、スーツにはそれぞれ、身体能力などの要素を強化するアタッチメントを装備できる。自分が挑みたいミッションに合わせ、スーツを着替えたり、アタッチメントを付け替えることで、より戦いを有利に進めていける。
スーツやアタッチメントは、街中にある専用のクラフトアイテムや、サブミッションクリアで入手できる専用アイテムを消費することで開発できる。スーツ解放の為にも、マップを歩き回る楽しみが増える。
続いてガジェット。本作に登場するガジェットは、敵を拘束できる「ウェブシューター」や、周囲の敵を痺れさせる「リモートマイン」など、全部で4種類。使用するガジェットは、戦闘中に任意に変更できる。戦闘中では、◻︎ボタンでのパンチだけでなく、ガジェットを使い分けて戦うことで、より戦闘を有利に運べる。
スーツ同様、ガジェットも専用アイテムを消費して強化が可能。リチャージ時間が短くなったり、所持できる数が増えたりする。
スキルポイントを消費してスキル解放
経験値を獲得しレベルアップすると、スキル・ポイントを一定数取得できる。取得したスキル・ポイントをスキルツリーに割り振り、新たなスキルを獲得できる。
スキル・ポイント消費以外にも、町中で受注できるチャレンジをクリアすることで開放されるスキルも存在する。
新スパイダーマン「マイルズモラレス」がニューヨークを守る物語
本作の主人公は、前作「Marvel’s Spider-Man」にも登場した青年「マイルズ・モラレス」である。登場当時は、特定のパートでちょっとだけ操作できる、スパイダーマンに憧れたモブキャラ的な立ち位置だったが、前作の終盤でスパイダーマン化の要因となる遺伝子操作された蜘蛛に噛まれる衝撃的な終わりを迎えた。
それから月日がたち、高校生となった「マイルズ・モラレス」は、新居であるハーレムの街で過ごしながらも、「ピーター・パーカー」に次ぐ第二のスパイダーマンとして、ニューヨークの治安を守る活動をしていた。
ある日、「ピーター・パーカー」はパートナーである「M・J」からの依頼により、数週間ニューヨークを離れることになる。その為、「マイルズ・モラレス」は一人でニューヨークを守ることになった。
その後、「ピーター・パーカー」がニューヨークを離れて間もなく、「アンダーグラウンド」という謎の組織が街で暴れる現場を目撃する。一体彼らの目的は何なのか?無事にニューヨークの街を守ることができるのか?
第二のスパイダーマン「マイルズ・モラレス」の戦いが切って落とされる。
◆このゲームの良い点
移動が超楽しい!戦闘も爽快!
本作の一番のウリは、なんといっても移動の爽快さ。スパイディー能力を駆使し、ニューヨークの街中を、それこそ「思った通り」「自由に」移動できる。高い壁があろうとも一気に駆け上れるし、高い場所から飛び降りてもダメージ一つ受けない。
移動に慣れてくれば、ただスイングするだけでなく、建物の屋上に一気に詰め、そこから高速ジャンプしたり、地面についてそのまま高くジャンプしなおしたり、と、何かのオリンピック競技でもやっているかのような楽しさがある。
オープンワールドゲームは移動が面倒になりがちだが、この移動要素を気持ちいい要素に昇華した本作は、流石だといえた。
もちろん、ただの移動だけでなく、戦闘面も非常に爽快。格闘攻撃、糸を使った移動や掴み攻撃、ヴェノム・パワーなどを好きなタイミングで好きなように切り替えられる為、思ったような攻撃が展開できるのは非常に爽快だった。
敵を蹴り飛ばして壁にぶつけ、それに合わせて蜘蛛の糸を出して敵を壁に拘束、続けて別の敵に蜘蛛の糸で一気に近付き、ヴェノムパンチで吹き飛ばす、と言った行動ができると、まさにスーパーヒーローになったようだった。
ただし、本作の戦闘は、基本複数人を相手にすることが多い。どの敵にどの攻撃を放つべきか、スティック操作で切り替えていかないといけない為、アクションゲームに慣れてない人は、難易度ノーマルでも難しいと感じるかもしれない。
難しかったら、難易度を最低まで下げておこう。
まるでプレイする映画!自分が映画の世界に入ったかのような体験ができる!
マーベルのアニメ映画のテイストで描かれている本作のアニメーションは、ムービーシーンであっても、ゲームプレイシーンであっても、その色合いや滑らかさが変わることは無い。常にその場でスパイダーマンのアニメが流れているような綺麗さがあり、まるで自分自身が映画の監督となり、スパイダーマンアニメを作っているかのような感覚になる。
戦闘シーンのカメラアングルも、映画のシーンを切り取ったかのような描写で、臨場感がある。通常のアクションゲームは、プレイヤーの負担にならないよう、なるべく早く画面表示は固定されているものだが、本作は攻撃する敵にカメラが一気に近付いたり、引くときには戦況全体が見えるようになったりと、映画の戦闘シーンのよう。かと言って見辛くなるようなこともなく、この加減は絶品だった。
あらゆる点でストレスフリーな親切設計!
本作のマップは、初めから全体マップが解放されており、マップを広げる為にわざわざ探索をする必要がない。
また、ファストトラベル機能も自由に利用可能。ファストトラベルの時も、はたまたストーリーアニメが挿入される時も、全くロードを挟まない快適さは素晴らしいのひと言。
前作にあった、ファストトラベル中にスパイダーマンが電車に乗っているシーンが見たい場合は、設定でオンオフを切り替えることができる為、それを見たいならオンにしておくのも面白い。
その他にも、バグというバグは全く無く、テクスチャ崩れも全く無く、快適にプレイできた。このストレスフリー感は、プレイする上での障害を全く感じさせず、プレイに没頭できるいい要素であった。
◆このゲームの悪い点
ボリュームはかなり小さい…
本作のボリュームは、オープンワールドゲームとしてはかなり小さい。筆者は収集物やサイドクエスト等を大体6割ほど消化した上でストーリークリアまででいったが、それでもストーリークリアまでで大体10時間ちょっとであった。サイドクエストや収集物を全部達成しようとしても、おそらく20時間~30時間もあれば全てクリアできてしまいそうだった。
ボリュームが少な目な分、値段は安めに設定されている。その為、新作というより、「前作の大型DLCだ」と言った方が適切なように感じた。単体のオープンワールドゲーム、としてみると、本作のボリュームは個人的には残念だった。
ストーリーは前作と繋がっている…
本作は前作の正当な続編となっている。そのため、登場人物の紹介や、前作で起きていた出来事については、ゲーム開始当初に軽く説明されるだけで、細かな解説は無い。
一応、可能な限り本作でストーリーが閉じるようにはなっているので、前作をやってないと何もわからない、ということは無い。ただ、ストーリー全体を理解したいなら、前作をやっていた方が良いのは確実だ。
一応、PS5限定で、前作と前作の全DLCと本作がセットになった商品もある。PS5を持っているのであれば、是非そっちを購入してみてほしい。
「カモフラージュ」は個人的には不要な気がした…
本作から新たに登場した「カモフラージュ」。敵に囲まれても、透明化することで即座に危機的状況を脱出できる、便利な能力であることは間違いない。
…が、「カモフラージュ」が使えるようになってからは、雑魚戦は異常なまでに簡単になる。ゲージさえ溜まっていればいつでも透明化できるし、透明化して建物の上まで移動してしまえば、敵はこちらを完全に見失ってくれる。そうなれば、無防備の敵をサイレントキルできるため、こっちはリスク0で敵をどんどん減らしていける。
「カモフラージュ」を使うためのゲージのチャージ速度もかなり早く、頻繁に使えるため、なおさら簡単になっている。この要素は正直いらなかったのかな、と思った。
◆まとめ
若干の不満点がありつつもの、様々な快適性がこれでもかと詰め込まれた神作である「Marvel's Spider-Man Miles Morales」。前作「Marvel's Spider-Man」とセットでプレイすれば、長時間にわたって楽しめること間違いなしだ。是非、この爽快さを味わってみてほしい。
では!