今回は、PS5版の「龍が如く7 外伝 名を消した男」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事は2023/12/17時点の情報をもとにしている)
前作「龍が如く7」では主人公が「桐生一馬」から「春日一番」へと変更され、前々作「龍が如く6」以降の「桐生一馬」の行動が見えなくなっていたところ、外伝として本作が発売した。
龍が如くシリーズはほぼ全てやってきた筆者も早速プレイ!クリアまでプレイしてみたため、本作がどんな作品なのか、感想をまとめていきたい。
◆個人的感想
総評
ストーリーも、グラフィックも、ボリュームも、ゲームシステムも、値段も、全てが非常に高いクオリティでまとまっている。
古臭い戦闘システムや、過去作をやってない人は殆ど置いてけぼりなストーリー展開はあれど、それ以外の要素が非常に良く、まさに「神ゲー」に相応しいといえる作品だった。
過去作の龍が如くシリーズをやっている人は是非ともプレイして欲しい作品だ。過去作をやってない人は、これを機に過去作をプレイし、「桐生一馬」を描く壮大なストーリーを味わってほしい。
どんな人にオススメ?
- 龍が如くシリーズを一通りやっている
- 比較的コンパクトに収まったゲームがやりたい
- 色んなサブゲーム要素を楽しみたい!
- ゲームにはストーリーを求める!
という人にはオススメできる。逆に、
- 超ボリュームのゲームが好き
- 過去作の龍が如くシリーズをやったことがない
- ゲームにはアクション操作の快適性を求める
という人にはちょっとおすすめはできないかもしれない。
◆このゲームの特徴
「蒼天堀」を舞台にした小型のオープンワールドアクションゲーム
本作の元作品である「龍が如く」作品は、歌舞伎町をモチーフにした架空の町「神室町」で繰り広げられる事件を解決しながら、様々なクエストをクリアしていく、箱庭型の半オープンワールドゲームである。本作にもその制度はそのまま踏襲されているものの、過去作には毎回出てきた「神室町」が登場せず、代わりに「龍が如く0」等の幾つかの作品の舞台にもなった、大阪の道頓堀周辺をモチーフにした「蒼天堀」、および横浜を舞台にした「異人町」が舞台となる。現実の街並みを再現したような街並みや、周辺に実在する施設に類似した施設が出てたりと、本当に街そのものを舞台にゲームを遊んでいるような、リアルな街並みが描かれている。施設の多くは、実際に中に入ることも可能だ。
本作のメイン要素は、過去作から続いている、何でもアリなリアルタイムアクション型のストリートファイトだ。□ボタンで弱攻撃、△ボタンで強攻撃、✖️ボタンで回避、といった操作を駆使して、多くの敵を薙ぎ倒していく。ストリートファイトのため、落ちている看板やコーンなども武器として使用可能。どんな手を使ってでも、その場を切り抜ける力が必要になる。
2つの戦闘スタイルを切り替え戦うアクション
街中には、多数のゴロツキや半グレなどが蔓延っており、プレイヤーを見つけると襲いかかってくる。それらを相手に、「龍が如く」作品ならではの「誰でも、簡単に、カッコいいアクションバトル」をコンセプトにした戦いをすることができる。
戦闘時は、
- 様々なガジェットと格闘術を組み合わせた「エージェント」
- 強力な一発を与えることを主体にした「応龍」
という2つのバトルスタイルを、戦況に応じて任意に切り替えて戦う。
特に「エージェント」は、これまでの龍が如くシリーズの戦闘とは全く異なり、ワイヤーやドローン、小型爆弾を使用するなど、対集団、対個人いずれにも臨機応変に対応できる特殊なスタイルである。
バトル中に攻撃したり、専用アイテムを使用したりすることで、「闘気ゲージ」というゲージが溜まっていく。これを使用することで、「ヒートアクション」または「アルティメットヒートモード」という強力な技を繰り出すことができる。
「ヒートアクション」は、特定状況化で「闘気ゲージ」を消費することで使用できる、大ダメージを与える攻撃技。雑魚敵であればほぼ1発、ボスであっても体力メーターの半分以上を削り切る強力な技が出せる。
「アルティメットヒートモード」は、溜まっている闘気ゲージを消費し続けることで、その間のプレイヤーの身体能力を飛躍的に強化する。バトルスタイルごとに特徴が異なっており、「エージェント」であれば周囲を飛び回りながら高速で攻撃でき、「応龍」なら敵の攻撃では怯まなくなり、専用の高火力技が出せるようになる。
依頼、ZIGOKU ARENA、プレイスポット等のやり込み要素
メインとなるストーリー要素以外にも、本作には様々なサブクエストや、ミニゲームをプレイできる。
まずは「赤目ネットワーク」。いわゆる「サブストーリー」に当たるもので、メインストーリーとは直接の関係はない、個別の話が展開されていく。
内容は、特定の相手を倒したり、お金を集めてきたりなど、幾つかバリエーションが用意されている。
「赤目ネットワーク」を攻略することで、お金の獲得に加え、「赤目ポイント」という専用のポイントを手に入れることができる。また、メインストーリーを遊ぶだけでは体験できないストーリーや、出会うことの出来ない仲間、アイテムなどを手に入れることができる。
「赤目ネットワーク」ほど内容の濃いものではない、「依頼」もある。これは街中の人から受注できる小さな依頼で、達成条件も、絡まれている厄介者を追い払ったり、飛んでいってしまった道具を集めてきたりと、比較的緩いものが多い。クリアすれば、少額のお金と赤目ポイントを手に入れられる。
各種依頼によって集めた赤目ポイントは、赤目ネットワークの拡張や、赤目ショップで他アイテムと交換することが可能だ。赤目ネットワークを拡張すれば、手に入る経験値やお金が増えたり、赤目ショップの品揃えがより充実したりと、冒険の役に立つものが増えていく。赤目ショップでは、ここでしか手に入らない装備品や、後述するプレイスポットで使用できる特別なアイテムを入手できる。
続いて、オトナのアミューズメントパーク「キャッスル」にて遊ぶことができる「ZIGOKU ARENA」。用意されている競技種目は4つで、
- 1vs1のタイマンバトルを行う「TOURNAMENT」
- 1人を操作し、複数の敵を同時に相手にする「ZIGOKU RUMBLE」
- 不定期開催される特別ルールである「SPECIAL EVENT MATCH」
- チームを結成し、多vs多の乱闘をする「ZIGOKU TEAM RUMBLE」
と、様々なタイプのイベントが設けられている。低ランクの階級をクリアすると、次の階級へとランクアップし、より強い敵と戦えるだけでなく、「キャッスル」内で行ける場所が広がり、購入できるアイテムが増えたりと、良い事が色々と待っている。
チーム戦となる「ZIGOKU TEAM RUMBLE」では、一緒に戦う仲間の強化も必要不可欠。配下メンバーそれぞれにしっかりと育成要素が用意されている。試合に出たり、専用のトレーニングを行ったりすることで経験値を溜め、より強化していくことが可能だ。
メンバーはそれぞれ
- 体力の多いタンク役
- 攻撃力の高い攻撃役
- 味方を補佐する能力に優れたサポート役
のいずれかに割り振られている。それぞれのキャラの特徴を理解し、メンバー選択や配置を行うことで、より戦略的に戦うことができる。
最後に「プレイスポット」。麻雀や将棋などのボードゲームから、ゲームセンター、ゴルフ場、ミニ四駆を模した「ポケットサーキット」など、数多くの遊びスポットが用意されており、かつそのどれもしっかりと作り込まれている。戦闘に疲れた時の息抜きにぴったりだ。
特に大きな進化を遂げたのがキャバクラだ。これまでは有名人の顔をベースにCG上に再現する形をとっていたが、本作ではなんと「実写」での会話を楽しむことができる。キャストとの仲を深めていくと、専用のムービーを見ることが可能になるため、是非仲良くなっていきたい。
お金を消費して商人獲得、施設利用、キャラ強化を実施
本作では、ありとあらゆる場面でお金が必要となる。店舗での商品購入にも、街の施設の利用にも、キャラクターの性能向上にもだ。
街の中には、コンビニをはじめとして、質屋や料理店、裏の武器商人等、様々なアイテム購入設備がある。手に入れた装備品を装備し、ステータスの底上げをすることができる。
キャラのステータス向上は、体力や攻撃力などのスタータス面に関わる部分から、ガジェットの性能を上げるもの、ヒートアクションや戦闘時に使える技を増やすもの、街の施設利用時に効果を発揮するもの等、様々なジャンルが用意されている。高スペックなものほど多額のお金が要求されるため、しっかりとお金を稼いでから、キャラ強化を行うこととなる。
その他、ギャンブルやキャバクラ等の施設を利用するのにも、お金が必要となる。
お金の入手機会はかなり多い。街中のゴロツキを倒したり、ギャンブルや各種イベントで勝利したり、依頼を達成したりすれば、少ない金額で数千円、大きい金額だと100万円ほどもらうことができる。
世の中から存在を消した「桐生一馬」のその後を描くストーリー
前作「龍が如く6」で、関係者の身を護るため、自身を「死んだこと」として処理するよう提案した主人公「桐生一馬」。その後、名を「浄龍」という別名に変え、大物政治家である「大道寺一派」のもとでエージェントとして様々な仕事を請け負う生活を送っていた。
そんなある日、横浜の港で金塊密輸取引が行われるという情報を入手した大道寺一派は、その護衛のため、「桐生一馬」を含め多数のエージェントを送り込んだ。しかし、実際に港に現れたのは金塊密輸業者ではなく、謎のお面を被り、エージェントたちに次々と暴行を加えていく集団だった。
持ち前のパワーを活かし、なんとか集団を追い払う「桐生一馬」だったが、その際に「桐生一馬」が生きていることが、襲ってきた集団にバレてしまう。
それ以降、裏社会から身を引いていたはずの「桐生一馬」が、再び裏社会を取り巻くとある計画に巻き込まれていくこととなる…
◆このゲームの良い点
ストーリーへの引き込まれ方が尋常ではない!
龍が如くシリーズは、濃厚なストーリー展開がメインとなるゲーム。本作はメインシリーズと比べると伏線も少なく、抑え目なストーリー展開ではあるものの、それでもかなりの良ストーリーだった。個人的には、メインシリーズは『伏線多すぎ、話長すぎ』な印象だったので、本作位の方が好みだ。
龍が如く7をやった人であれば全員が驚いたであろう、東城会並びに近江連合の解散宣言、及び「桐生一馬」の登場シーン。本作のストーリーは、その場面に至るまでの裏側を、「桐生一馬」視点で描いている。
大道寺一派のエージェントとしてこき使われ、周囲には亡くなった人扱いされているという、「桐生一馬」とは思えない窮屈な生活を送っている中でも、これまでと変わらず自分の芯を貫き、恩義のある人は自分の身を差し出してでも守ろうとする「桐生一馬」の姿は、「やはりどんな境遇になっても桐生一馬は桐生一馬なんだな」としみじみとさせてくれる。ストーリーの最後のシーンは、これまで龍が如くシリーズをやってきた人であれば、涙無しには見れない名シーンだった。
最近の龍が如くシリーズでは賛否を生みやすいラスボスも、本作ではその心情含め、丁寧に、一貫性のあるように描かれていた点もよい。ラスボスの行動理由も非常に納得できるものとなっており、「桐生一馬も負けないで欲しいが、ラスボスの気持ちにも同情できるなぁ」と、これまた少ししんみりとしてしまった。
メインストーリーだけでなく、サブクエスト各種のストーリーも良かった。
郷田龍司の名を汚すような行動をするチンピラを「桐生一馬」自身が成敗し、彼の名をこれ以上汚さぬようにしたり、風間のおやっさんの心情を逆手に組んで暴れる人を成敗したり、「ジャッジアイズ」に出てきたキャラとお互いに悪態を吐きながら事件解決したり、過去の龍が如くシリーズをやってきた人であれば、どれも納得できるようなミニストーリーとなっていた。
ロードが早くて快適!戦闘中の描画も綺麗
これはPS5を使っていることによる部分が大きいだろう。
ファストトラベルをしたときや、ステージに入った時などの読み込みも、3秒ほど待つだけですぐに画面が切り替わる。無駄に待つことがなく、非常に快適にプレイできた。
戦闘などで画面がコロコロ入れ替わったり、ムービーとアクションパートが切り替わったとしても、処理落ちやテクスチャ乱れもなく、綺麗な画面でプレイし続けられたため、本作の世界観に常に没頭できる点は良かった。
値段以上のボリューム量!
ハーフプライス相当の値段で発売されている作品である本作だが、値段以上のボリュームを楽しむことができた。
1番の注目コンテンツであるキャッスルでは、上位のランクに行くことで専用の敵と戦えるようになるが、かなり手強く、全員を撃破しようとしっかりの育成をし、相手の動きのクセを理解して、適切な動かし方をしていかないと攻略できなかったほど。ミニゲームとは思えないやりごたえがある。
また、「龍が如く0」に続いて、ポケサー(ポケットサーキット)も復活。街の各地でパーツを手に入れ、自分で考え抜いたカスタムで勝利した時の気持ちよさは格別だ。グランプリの数もかなり多い。
筆者は、依頼関連は約7割、プレイスポット関連は約半分攻略した段階で、ゲームクリア時のプレイ時間は約18時間だった。残りの依頼やプレイスポットをやり込もうとすると、30時間~40時間は遊べるほどの十分なボリュームがあると感じた。
敵の強攻撃をカウンターできるようになった!
本作の戦闘面で唯一といっていい改良点。ボスは時々、ガード不能の強烈な技を叩き込んでくることがある。本作では敵の攻撃に合わせて回避ボタンを押すとパリィ判定が発生し、そのまま◯ボタンを押すことで相手の攻撃を無効化し、逆に強力な一撃をお見舞いできるようになった。
これまでは、ボスの強攻撃はただただ必死に逃げるだけだったところを、自分の手で逆にこちらに有利な状況となるように転換できるのは、やっていて非常に高い爽快感があった。
◆このゲームの悪い点
戦闘システムが使いにくい…
本作のメイン部分と言えるアクションベースでの戦闘だが、他のアクションゲームと比較すると妙に使いにくく、戦いにくいのが残念だった。
まずはロックオンの使いにくさだ。R1ボタンを押すことで特定の敵をロックオンできるのだが、自分で任意にロックオン先を指定できない。自分がロックオンボタンを押した際、桐生一馬の目線の先にいる敵に照準が当たるようで、本来ロックオンしたい敵から少し目線がずれていると、別の敵にロックオンが当たってしまうだ。また、ロックオン後にロックオン先の変更ができないため、目的の敵をロックオンできなかったら、一度解除し、敵を見つけてからロックオンし直す、ということが必要になってしまう。
戦闘の大半は集団戦であり、その際に狙いたい敵をちゃんと狙えない、というのはかなりストレスだった。
さらに、ロックオンするとダッシュができなくなる点も辛い。敵の攻撃からダッシュで逃げたい時や、敵に囲まれた状態から抜け出したい時には、わざわざロックオンを解除して走る必要があるため、せっかく狙いたい敵をロックオンできても、またロックオンからやり直しになるため、非常に使い勝手が悪かった。
ロックオンせずとも、攻撃ボタンを押せば近くの敵をある程度自動で攻撃してくれるが、敵が密集していると攻撃先がコロコロ変わるため、コンボ中に違う敵にフォーカスが当たっていくことが多いのも残念だった。
続いて、武器を持った場合の攻撃モーションの使いにくさだ。ナイフやボールなどの軽い武器の場合、射程が短すぎて空振ることが多く、椅子や看板などの重たいものを持つと動きが遅くて袋叩きにされるなど、リーチの幅や動きの鈍感さに悩まされることがかなり多かった。
更に、ガードしながら動けないのも痛い。ガードは正面からの攻撃しか防げないため、敵の攻撃方向に合わせて臨機応変に向きや居場所を変えたいのだが、ガードしてしまうと動けないので、結局ガードよりも回避の方が使い勝手が良くなってしまう。今から10年前のアクションゲームでさえも、ガードしながら動くことくらいできるので、令和の時代になっても使いにくいガード性能をしているのはなんでだろう…と疑問に感じた。
その他、攻撃後の硬直が妙に長かったり、クイックターンが無かったり、技の大半がタイマン専用の為、集団戦で袋叩きにされやすかったりと、細々とした戦闘操作の不満点が上がってくる。
この旧世代的なアクションは流石に改善して欲しかった。
過去作を知らないと面白さが半減…
前章である「龍が如く0」を加えれば、メインストーリーだけで実に8作品も存在する龍が如くシリーズ。そのため仕方のないことではあるが、過去作との繋がりが非常に多い。
前作、前々作である「龍が如く7」「龍が如く6」はプレイしていることは当たり前、その他にも様々な場面で「龍が如く2」や「龍が如く3」、「龍が如く0」の要素が出てくるため、過去作をやってないと何のことだかわからないことが多い。
良い点に上げたストーリーの真逆を言うこととなるが、過去作をやってないと、本作のストーリーの半分も楽しむことができないと言い切れるため、本作からいきなりやろうとするのではなく、是非過去作をやってから、本作に手を出して貰いたい。
◆まとめ
これまでの正式ナンバリング作品よりもボリュームは抑え目だが、それでも十分過ぎるほど楽しむことのできた作品である「龍が如く7 外伝 名を消した男」。
アクション性には難ありだが、それ以外は素晴らしい作品であることは間違いない。
過去作をプレイしてない人は過去作をプレイし、是非とも「桐生一馬」の物語の総決算を味わってもらいたい!
では!