秋吉ブログ

20年以上にわたり様々なゲームをやりまくっている、ゲーム大好きな管理人「秋吉」が書くブログです。ゲーム情報を盛り沢山出していきます。ゲーム以外の情報も時々…

【ファイアーエムブレム エンゲージ】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、「Fire Emblem Engage」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

(本記事の情報は2023/3/8時点を元にしている)

2023/1/20にリリースされた「Fire Emblem Engage」。筆者は昔、リンが登場するGBA版の作品と、アイクが登場するゲームキューブ版の作品の2つをやったのみで、直近の作品には一切触れていなかった。また、やったことのある2作品も、ゲームの難易度が高く、当時の私ではラスボスクリアまで至ることができなかった…

そんなファイアーエムブレム作品の最新作がSwitchで発売される、ということで、「今度こそちゃんとクリアしよう!」と購入。難易度「ノーマル」でのゲームクリア、および最高難易度「ルナティック」で序盤の6章クリアまで行ったため、そこまで遊んだ感想をまとめていきたいと思う。

 

 

◆個人的感想

総評

シミュレーションゲームのキモである「戦略面」「戦闘面」は非常に良い出来になっている。ユーザー自身の手で難しくも簡単にもできるゲームシステムは、シミュレーションゲームをやり込んでいる人からしても、新規に始める人でも、全員が満足できるシステムとなっていた。

また、グラフィックの高さも非常に完成されている。戦闘、ムービーなどの各場面で、ヌルヌル動く美麗なアニメを楽しみながらゲームプレイできるため、あらゆるシーンか見応え抜群であった。

ただ、ストーリー面は正直微妙といった出来映え。全体的に緊張感が無く、深みも薄く、サーっと終わってしまったような印象だ。筆者はプレイしていないのでわからないが、前作「風化雪月」のストーリーは非常に良かった、と聞いており、前作の良さを期待して本作を購入したプレイヤーは、がっかりしてしまうのではないか、と感じた。

 

大きく気になった点はストーリー面くらいで、他の要素は非常に良かったため、そのあたりだけ目を瞑れば、非常に高評価が付けられるゲームなのではないか、と感じた。

 

こんな人にオススメ!

  • やりごたえのあるシミュレーションゲームがやりたい!
  • ゲームにグラフィックを求める!
  • ボリュームの多いゲームがやりたい!

という人にはオススメできる。逆に、

  • ゲームではストーリーや、キャラとの交流を主に楽しみたい

という人は購入を止めた方がいいだろう。

 

◆このゲームの特徴

兵科ごとの強みを活かし、戦略を練るシミュレーションRPG

「ファイアーエムブレムシリーズ」は、シミュレーションRPGというジャンルに分類されるゲーム。広大なマップがマス目上に区切られ、各マスに敵、味方ユニットが存在しており、ユニットを動かして隣接する敵を攻撃したり、味方のカバーをしたりして、ゲームクリア条件の達成を目指していくゲームだ。

数多くの作品が発売されているシミュレーションRPGの中でも、ファイアーエムブレム作品はファミコン時代から存在する、非常に歴の長い作品である。

マス目上に区切られたフィールドで、自分のキャラを動かし、ゲームクリア条件を目指す、将棋のようなゲーム性のゲームだ

武器を選択し、武器の射程圏内にいる敵を選び、攻撃を選択すると戦闘がスタート

攻撃では、敵味方双方で1回ずつ攻撃を与え、体力が0になったユニットは消失する

各キャラは、

  • 剣の扱いに優れ、攻撃、回避能力の高いソードマスター
  • 耐久力は無いものの、強力な魔法攻撃ができるマージ
  • 近接攻撃の手段は持たないが、離れた場所からの一方的な攻撃を得意とするアーチャー
  • 回復能力と武術に優れたモンク

といった、様々に用意された兵種の中の一つに所属する。各兵種ごとに使える武器や特性が異なるため、兵種の特徴を抑えたうえで、最適なキャラ配置を考えながら戦う必要がある。

 

3すくみや、ユニットごとの得意不得意を管理するゲーム性

本作では、

  • 武術
  • 魔導書

という全部で6つの武器種が存在している。各武器種には、「剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い」といった3すくみの関係が用意されている。

敵の持っている武器の得意武器を持って攻撃を行うと、攻撃された側は、そのターン中の反撃が一切できなくなる「BREAK状態」となる。如何に敵の弱点武器で攻撃できるか、逆に敵から弱点武器で攻撃されないように配置するか、といったことを考える必要がある。

斧の弱点武器である剣で攻撃すれば、そのユニットをBREAK状態にでき、そのターンは反撃できなくなる

また、特定の武器には、特定兵種を対象に攻撃すると火力が跳ね上がるものが存在する。例えば弓は、ペガサスやドラゴン等にまたがった飛行ユニットを攻撃した場合、通常時よりも火力が跳ね上がる。その他にも魔導書は、重装甲兵に対しては大量のダメージを与えられる。

 

これら有利不利の関係から、どれだけユニットのレベルを上げ、強力な武具を持たせても、相性の悪い相手と戦った場合は、なす術もなく倒される場合がある。如何に各ユニット同士を有利に戦わせるかが、が非常に重要となる。

 

本作から登場した新要素「紋章士の指輪」

本作から新たに追加された要素である「紋章士の指輪」。各指輪には、紋章士と呼ばれる英雄の魂が眠っており、身に着けた人物に対して、紋章士ごとに持つ特徴を色濃く反映した能力を付与させることができる。

様々な力を持った英雄「紋章士」が本作には登場

紋章士の力を込めた「紋章士の指輪」を装着すると、基礎ステータスが増加し、紋章士ごとの個別スキルを習得できる

装備するだけで、そのユニットの基礎ステータスが向上し、専用のスキルを習得することができる。更には、紋章士と3ターンの間、一心同体の状態になることができる「エンゲージ」を使用すれば、エンゲージ状態でしか使えない武器やスキルを使えるだけでなく、1試合に一度だけ使用できる「エンゲージ技」という専用技も使えるようになる。

画像はエンゲージ技「流星群」の使用場面。使用キャラは画面の右上にいるのに、攻撃先は画面最下部の敵と、長射程を持った技を使える

使用回数が一度切りなため、非常に強力な性能を持っている。体力MAXの敵を一気に体力切れまで持っていく力を持つ

「紋章士の指輪」は、自ユニットの誰にでも、どの指輪でも持たせることが可能。新たな指輪を手に入れたら、どのユニットに装備させた方が最も活躍できそうか考えよう。

 

紋章士の指輪を装備し、一定回数の戦闘をこなしていくと、その紋章士との間で「絆レベル」を上げることができる。「絆レベル」が上がることで、新たなスキルや専用武器を使用できるようになったり、指輪装備時のステータス増加度合いが大きくなったりと、より装備キャラの強さが引きあがっていく。

紋章士の指輪を装備させて戦闘を行うと、装備した紋章士との絆レベルが上がる。これにより、指輪装備時に更に強力なステータスを獲得できる

また、紋章士の指輪を装備して手に入れたスキルは、「SP(スキルポイント)」という専用のスキルを消費して体得することで、指輪を外した状態でも紋章士のスキルを使用できるようになる。

 

レベルアップ、武器装備、クラスチェンジ等の様々な育成要素

本作には「RPG」に分類される作品のため、作戦完遂には欠かせない様々な育成要素が用意されている。

まずはレベルアップ。戦闘で敵を攻撃したり撃破したりすることで経験値を獲得し、一定量を獲得するとレベルが上がり、「力」「守備」「速さ」といった各種ステータスが上昇する。例えば、「力」が1つ上がれば相手に与えるダメージが1つ増え、「守備」が1つ上がれば受けるダメージが1つ減るのだ。

なお、数十体と存在するキャラそれぞれに、特異な武器種や、伸びやすいステータスが異なっている。どのキャラにどの兵種を当てはめるか、といった点も、攻略の上では非常に大切になる。

経験値を溜めることでレベルアップ!ゲームを進めるためには、ユニットのレベルア上げは避けて通れない

続いて武器の装備。ゲーム序盤では、「ほそみの槍」や「てつの剣」といった低ステータスの武器しか手に入れられないが、ゲームが進むにつれ「ぎんの弓」等の強力な武具が手に入る。更には、こちらから攻撃した時に必ず2回攻撃ができる斧「勇者の斧」や、騎兵に対するダメージが大きい槍「ナイトキラー」など、特定の効果を持った武器も手に入れることができるようになる。

また、ゲームを進めることで使用できるようになる武器の錬成では、必要数の素材とお金を消費して、武器の性能を引き上げることが可能。強化を重ねていけば、同じ武器でも破格の性能を発揮できるようになる。

同じ「はがねの剣」でも、強化を重ねていくことで、上位武器にも負けない強さを発揮できる

続いてクラスチェンジ。兵種には基本兵種と上級兵種が存在しており、基本兵種がレベル10以上になった上で専用アイテムを使用することで、より高い能力を持った上級兵種にクラスチェンジできる。クラスチェンジ後はレベル1となるが、クラスチェンジ前のステータスやスキルは引き継いだまま、新しい兵種に変更することができるため、様々な兵種を経験しながらレベルを上げることで、最強のユニットを作り上げることができるようになる。

専用のアイテムを消費して、より高い性能を持つクラスへと変化できる「クラスチェンジ」

最後にユニット同士の支援レベル増加に伴う支援だ。味方ユニットは、他ユニットとの間に「支援レベル」という専用のレベルを持っており、戦闘や回復を行ったり、拠点で訓練をしたりして「支援値」を増加させることで発生する「支援会話」を見ることで上げることができる。

「支援レベル」が高い味方同士が隣接していると、何らかの能力が上昇する「支援効果」が発生し、一時的に味方ユニットを強化できる。「支援レベル」が高い味方同士ほど高い効果を受けることができるため、積極的に味方同士の絆を深めれば、戦闘をより有利に運べるようになる。

味方陣営のキャラ達で会話することで、お互いの支援レベルを上げることができる

 

オンラインで他プレイヤーと交流できる「試練の離れ」

本作では、フィールドで戦う通常のバトルとは別に、オフラインで強化素材を入手したり、オンラインで他プレイヤーと協力、対戦ができたりする、3つのゲームモードが楽しめる「試練の離れ」が存在する。

 

まずは「連戦の試練」。ここはオフライン専用のモードだ。プレイヤーの手で難易度を設定することが可能で、クリア後に追加される難易度は、ユニットのステータスがカンストしている前提とな程、敵が強くなる。

続いて「繋戦の試練」。こちらはオンライン専用のモードであり、他プレイヤーと協力して、1つのマップを交代でプレイしながらクリアを目指すモードである。

最後に「異界の試練」。こちらもオンライン専用のモードであるが、協力ではなく、対戦するもモード。自分でマップを制作&ユニットの配置&ユニットの行動方針を設定し、オンライン上に開示することで、他プレイヤーに自分の作ったマップ、ユニットたちと対戦してもらうことができる。もちろん、自分が他プレイヤーの作成したマップに挑むことも可能だ。

こちらは「異界の試練」のマップエディタ画面。自分で好きにマップを作成できる

なお、ステージクリア時には、遊んだゲームモードによって、エンゲージした際に使用できる「エンゲージ武器」の強化素材や贈り物、食材などの報酬を入手できる。

 

神龍の大地と4つの王国に散らばる12の指輪を巡る壮大な物語

物語の舞台は、竜と人間が生きる世界「エレオス大陸」。そこでは「フィレネ」「ブロリア」「ソルム」「イルシオン」という4つの大国と、神龍と呼ばれる特別な竜の一族が住まう土地である「リトス」が存在していた。

千年前のある日、「邪竜」と呼ばれる、世界を滅ぼそうと企む竜との戦争が勃発し、各国に住まう人々は、「紋章士(エムブレム)」という特別な英雄の力を借りながら戦うことで、邪竜の封印に成功。世界は平和を取り戻した。

1000年前の大戦時、紋章士「マルス」の力を借り、主人公達は邪竜ソンブルの封印に成功した

そこから1000年。「リトス」の土地では、1000年前の戦争以降、ずっと眠り続けている主人公の目覚めを、各国の人々は今か今かと待ち望んでいた。ある日、主人公は突如として眠りから目覚め、人々が喜びに包まれたのもつかの間、「リトス」に大量の怪物「異形兵」が押し寄せる。

それはまさに「邪竜」復活の兆しを意味していた。主人公の母である神竜「ルミエル」の願いを受け継いだ主人公は、1000年前の戦争時にも使用し、全てを集めることで強大な力を手に入れることができる、12個の紋章士の指輪を集める旅に出るのだった。

1000年前の大戦でも驚異的な存在であった「邪竜ソンブル」。その復活の兆しが見えていた…

紋章士の指輪の力を借り、主人公は再び「邪竜」の封印を目指す旅に出る

 

◆このゲームの良い点

戦闘のやりごたえはしっかりしていて楽しい!

シミュレーションRPGの特徴は、なんと言っても敵ユニットの種類や行動可能範囲などを見て、最適な箇所に最適なユニットを運び、最適な行動をするといった、先を見る力が必要な点だ。

本作では最低難易度である「ノーマル」でも、中盤以降の敵はそれなりに強い。最高難易度「ルナティック」の場合は、序盤のマップでもありえない位敵が強くなる。ファイアーエムブレムシリーズは昔から、体力が0になったユニットは、以降の全バトルに参加できなくなるというシビアなゲーム性のため、敵の動ける範囲や装備武具を事前にチェックして、どのユニットをどこまで進行させて、ユニットが倒されること無くクリアできるだろうか、といった戦略を考える度合いが、他のSRPGと比べても圧倒的に多く、非常にやりごたえがあって楽しかった。

 

戦闘の面白さの具体的を上げると、3すくみの関係を用意した点だろう。弱点武器でBREAK状態にさせられてしまうと、反撃すれば倒せる雑魚敵から集中砲火を受けて倒されるため、しっかりと敵の武器種を見て、考えて動く必要がある。逆に言えば、ボスクラスの敵も、弱点武器で攻撃してBREAK状態にしてしまえば、そのターン中は反撃されなくなるため、逆にボスをフルボッコにすることもできる。BREAK状態などを駆使ながら、考え抜いてユニットを動かした結果、戦略が綺麗に刺さった時の気持ちよさは、他ゲームにはない群を抜いたものがあった。

また、本作からの新要素である「紋章士の指輪」は、対戦の面白さをより大きく引き上げてくれている、重要な要素になっていると感じた。

紋章士の指輪は、装備するだけでユニットのステータスを大きく増加させるものの、同じ指輪は一人のユニットにしか装備できないため、「ユニット2体に同じ指輪を装備したいのに…」といった場面が度々生じる。そういう時は、SPを消費して該当紋章士のスキルだけでも習得させておく、といった育成をするだけでも、十分強力なユニットとして動かすことができる。

また、紋章士の指輪は味方だけでなく、ステージによっては敵側が装備して襲ってくることがある。そういう場合は、敵の持っている紋章士の指輪の性能を確認し、「こういった行動はとらないようにしよう」といった考えを膨らませる必要が出てくるのだ。

 

「そんな難しいゲームだと、クリアできるか不安…」という人でも大丈夫。本作では「クラシック」という、倒れたユニットは一度も復帰できないルール以外にも、「カジュアル」という、倒されてしまったユニットも、ステージクリア後にまた復活するシステムも用意されている。ゲーム開始後には途中でこれらを変更することはできないが、初めてやる人でも安心な設計なのはありがたい。

更に、「この行動ミスったな…」という時も、「竜の時水晶」というアイテムを入手すれば、自分の望むターンや望むポイントまで無制限に巻き戻すことができるため、誤った行動のリカバーもしやすい。ここは非常によいシステムだと思った。

「竜の時水晶」を使用すれば、任意の地点まで時間を戻せる

 

戦闘面でのユーザビリティは非常に良い!

戦闘の面白さを引き上げている大きな要素は、戦闘面でのユーザビリティ性の高さもあった。

Xボタンを押せば、敵ユニットの持つスキル効果や、装備している武器の強さなどを簡単に見ることができる。敵にアイコンを合わせてAボタンを押せば、その敵の攻撃可能範囲もわかるし、自ユニットを動かした際に、どの敵の攻撃圏内に入っているかも一目でわかるようになっている。

敵ユニットを選んでAボタンを押せば、そのユニットの攻撃範囲が赤い枠で可視化されるため、戦略を練る上で重要なインプットになる

演出が面倒であれば、オプションで演出スキップもでき、素早いゲームプレイが可能だ。

これらにより、ストレスなく戦闘に集中できるようになっているのは非常に良かった。

 

ストーリー、サブ要素など、十分なほどのボリューム!

筆者は難易度「ノーマル」でストーリークリアまである程度一直線で遊んだものの、それでもクリアまでに約40時間を要するほどにボリュームがある。

更に、マップに点在するサイドストーリーを全部クリアしようとしたり、各ユニットの支援レベルを全て上げるようにしたり、といったサブ要素まで回収しきろうとすると、それこそ60、70時間近くは遊べるほどのボリュームを有していると言える。オンライン要素まで加えてしまえば、それこそ終わりがないほどに遊び尽くすことが可能だ。

ボリュームのあるゲームがやりたい、という人でも、十分満足できるボリューム感は有しているといえた。

 

歴代のファイアーエムブレム作品のオマージュ多し!

本作で新たに登場した「紋章士の指輪」に宿る紋章士はいずれも、過去作のファイアーエムブレム作品に登場した主人公達だ。筆者がプレイしたことのある2作品に登場した「リン」や「アイク」も登場するし、「大乱闘スマッシュブラザーズ」に搭乗していた「マルス」や「ロイ」も出てくる。

紋章士の指輪を装備することで手に入るスキルやエンゲージ武器は、彼らが登場した原作をベースにしたようなものが多く、「特徴を掴んでいるな」と感じる部分が多かった。

また、メインストーリーとは別に、紋章士たちとゆかりのある地を舞台としたサイドストーリーも存在している。そこでは、過去作の戦闘BGMがアレンジされて流れるため、これまた原作をやっている人からすると「お!?」と嬉しくなるような要素だ。

3DSで発売された「白夜王国/暗夜王国」の話をする、当該作の主人公である「カムイ」。過去作をやった人なら、思い出に浸れるような場面だ

「じゃあ過去作をやっていない人は、何が何だかわからなくてつまらないのか?」というと、そんなことは一切ない。本作のストーリーの大半には原作要素は登場してこず、あくまで「1人の紋章士」としての扱いしかされない。実際、筆者も「リン」と「アイク」の登場する作品以外は原作を触っていないが、それでも全く違和感なくゲームを楽しむことができた。

過去作のキャラを出すと、原作の内容を色濃く持ってきてしまい、新規をないがしろにするような作品が多い中、本作のような「それとなく」登場させる演出は、新規勢にも既存勢にも優しい仕様であると感じた。

 

グラフィックは全体的に美麗で見応えあり!

アニメ調をベースに、全体的に美麗なグラフィックで作られた本作は、ムービーシーンの見栄えは素晴らしいの一言!シリアスなシーンや感動的なシーンでも、一つのアニメを見ているような、引き込まれる魅力があった。

サブキャラ「ヴェイル」の涙無しでは見られないシーンも、非常に綺麗なグラフィックで描かれており、見応え十分

邪竜ソンブルのおどろおどろしい姿も実に見応えがある

ムービーシーンだけでなく、プレイ映像中の風景も全体的に非常に綺麗。実際、ムービーシーンと大差ない綺麗さだ。戦闘シーンはかなり細かく動きまわるのだが、それらも崩れることなく、綺麗にヌルヌル動いてくれるため、見応えが十分にある。

通常の会話シーンでも、まったく遜色ない綺麗なグラフィックで楽しむことができた

「自分はSwitchのゲームにもグラフィックを求めるんだ!」という人でも、文句なく楽しめるような作りになっていると感じた。

 

◆このゲームの悪い点

深みの無い、印象に残りにくいストーリー…

本作のストーリーは、ド王道な勧善懲悪ストーリーだ。多少は想定外な展開を入れたりしているものの、この後に何が起こるのか、大方先が読めてしまうし、主人公達の行動を見て感動したりするような展開も無い。「子供向けアニメのストーリー」という表現がしっかり来るだろう。

複雑な展開が無い分、誰がやってもわかるストーリーになっているし、伏線を張り過ぎて回収できない状態に陥ったりすることもない。よく言えば「綺麗にまとまっている」のだが、全体的に特徴が無く、クリア後の印象が残りにくいのは残念だった。

 

あまりに緊張感の無い会話や展開に冷める…

前述した特徴の無いストーリーに付随する部分でもあるが、ユニット同士のやり取りがとにかく緊張感が無く、残念な感じが強い。

例えば、主人公に出会う人の多くは、主人公が神龍であることを知らない状態で出会う。なのに主人公から「私は神龍です」と名乗られるだけですぐに信じ、国の重要ポジションにいる人への謁見を許可したり、重要な紋章士の指輪の場所をペラペラしゃべったりする。「せめて何か神龍であることを示す証拠とか見せなくていいのかよ…」と、主人公が自己紹介するたびに思うほどだ。

主人公一行を襲ってきた敵を捕虜とした際も、特に縛ったり監視を付けたりすることなく同行を許可するし、「仲間にさせてほしい」という一言ですぐに信用するし…「今は世界が一大事になりつつあるのに、なんでそんなに緊張感がないんですか?」と突っ込みたくなる。

 

ストーリー以外にも、支援会話の内容のグダグダさも正直微妙。支援会話の内容は、世界の裏を描くような深いものでもないし、各ユニットの本性や生い立ちを深く追っていったりするようなものではない。たわいもない日常会話をただ垂れ流しているようなものが大半だ。それでいて、全味方ユニットに支援会話の組み合わせが用意されているため、会話のコンテンツ量だけは多い。

複数人をまとめて会話させるなどしてもっと数を減らしたり、もうちょっと世界全体を掘り下げるような深みのあるイベントにしないと、ひたすらに退屈な会話でしかないように感じた。

支援会話の1パート。よく分からないカード占いの話で盛り上がるだけの会話だ…

 

探索、ミニゲーム要素は正直いらない…ソラネルのレイアウトも微妙…

本作では、ステージをクリアした後や、拠点となるソラネルに行った時に、周囲を探索し、人々と会話したり、料理や武器強化の素材を集めたり、といったことができる。この要素、正直言って全くいらないと感じた。

探索する、と言っても、素材が置かれている場所はミニマップを一目見ればわかるため、ただそこに行ってAボタンを押すだけの作業になるし、人々と会話したところで、絆ポイントがもらえるだけで何もいい点はない。しかも絆ポイントは会話しなくても後でまとめて入手できるため、尚更会話する必要性を削いでいる。だったら初めから、ステージクリア時にまとめて素材や絆ポイントを手に入れられるようにしたり、ソラネル上のメインフロアで素材がまとめて手に入るポイントを作るようにした方がいい。

クリア後に毎回挿入される探索パート。ミニマップ上で光っている場所では素材が入手できるが、そこまで移動しないといけないため、非常にかったるい

また、筋トレや釣りなどのミニゲーム要素も正直言っていらない。一時的なステータス向上が得られたり、新たなアイテムをもらえたりといった要素はあるものの、「料理」というわかりやすくステータスを上げられる要素が別に存在しており、かつ入手した素材を消費するだけですぐに終わる手っ取り早さがあるため、わざわざ時間のかかる他ミニゲームをやるのがかったるく感じてくる。特段ミニゲームが面白い訳でもないため、ますますやる気にはならなかった。

 

更に、拠点となるソラネルのレイアウトもかなり微妙。前述した素材を入手できる地点がバラバラに存在するため、わざわざ広い拠点を歩き回らないと素材が入手できない。一応ショートカット機能はあるものの、使うたびに数秒ほどのロードが入る上、狙った場所に的確に移動できるわけでもない。

また、キャラの経験値を上げられる「鍛錬の間」、紋章士の指輪の性能を上げられる「紋章士の間」、主人公の部屋が、ソラネルのメインエリアとは別エリアとなっており、各エリアを移動する時は、これまた3秒~5秒ほどのロードが発生する。この部屋は頻繁に利用するため、部屋移動のたびにロードがいちいち発生するのは、段々と嫌気が指してきてしまった。

ミニゲームフロア等を全部消して、ソラネル全体をきゅっと小さくし、鍛錬の間や紋章士の間などを地続きで移動できるようにすれば、もっと快適なのにな…という点は残念だった。

 

 

 

◆まとめ

良い点と悪い点がはっきり分けられるようなゲームであった「Fire Emblem Engage」。一番大事なシミュレーションゲーム要素は神ゲーなクオリティではあったため、ストーリー進行やキャラへの感情移入さえなくせば、非常にクオリティの高い作品であることは間違いない。

「ストーリーなんて気にしないぜ!」という人は、是非遊んでみると良いだろう。非常に楽しんでプレイできるはずだ。

 

では!