今回は、「ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(2022/7/5時点の情報である)
20223/5/12に発売された「ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom」。
世界各国で大絶賛を受け、神ゲーと名高い前作「ゼルダの伝説 Bless of the Wild」をも凌ぐ人気を出している、と言っても過言では無い。
Wii版の「ゼルダの伝説 twilightPrincess」以降、長らくゼルダシリーズを遊んでなかった筆者だが、高評価の噂を聞きつけ、久しぶりにプレイ!ゲームクリアまで遊んでみたため、このゲームは世間評価通りの神ゲーなのか、どんな人にはオススメできるのか、まとめてみたので参考にしてほしい。
なお、筆者は前作「ゼルダの伝説 Bless of the Wild」は未プレイである。その前提で執筆する。
◆個人的感想
総評
やり終わって感じるのは、「もの凄く高品質な作品だ」という感心だった。ここまで大ボリュームで、かつユーザーがやりたい放題できるゲームシステムなら、バグの温床になりそうなのに、それらが一切無かったのは、製作陣の気合いの高さを感じられ、『神ゲー』と名高いだけの理由が理解できた。
ただ、筆者の感想としては、神ゲーまでは行かず「良ゲー」な印象だった。
- 他のオープンワールドゲームをやり過ぎていて、「オープンワールド」というジャンルに飽き始めている
- 本作の1番の良さである「自由な工作要素」が、自分の中で「ただストーリーを前に進めるための作業」になってしまった
というのが理由だ。
これは筆者だけの特殊感想だと思っているので、他プレイヤーは気にせず本作を購入してしまって良い。多くのプレイヤーがハマれる神要素が詰まってるのは間違いないからだ。もし筆者と同じような気持ちを抱く可能性がありそうな人は、そこだけ注意してほしい。
どんな人にオススメ?
- プレイヤーができることの幅が広い作品をやりたい
- ボリューム満点のゲームがやりたい
- アクションゲームは好きだけど、コンボとかは苦手…
という人にはオススメできる。逆に
- ゲームする際は攻略サイトは全く見ないで進める!
- サブクエ要素はストーリーが終わってから楽しむ!
- マイクラやARKみたいな工作要素にあまり楽しみを見出さない
というのに当てはまる場合、本作を楽しむことはできるが、少し注意が必要だ、と感じた。
◆このゲームの特徴
謎解きとアクションを両立したオープンワールドゲーム
「ゼルダの伝説」シリーズといえば、謎解きと戦闘アクションとが融合したゲーム性が特徴的。本作もその要素をしっかりと踏襲し、かつフィールドをオープンワールド化することで、大規模な進化を果たしている。(ここは前作「ブレスオブザワイルド」も同様ではある)
オープンワールドらしく、敵はフィールドのあちこちに存在しており、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくる。武器を振ることで敵にダメージを与え、敵の攻撃は盾で防ぎながら、敵の殲滅を目指していく。
数多くのボタンを組み合わせてコンボを決める必要はなく、特定のボタンの連打だけでなんとかなる、比較的シンプルなアクション性をしている。
武器や盾、防具は、フィールドから拾ったり、宝箱を開けたり、お店で購入したり、敵を倒して奪取したりと、様々な入手方法がある。武器と盾には耐久値が用意されており、使い続けるとそのうち壊れ、2度と使えなくなる。
また、武器の中には、剣、槍、大剣の3種類が存在し、それぞれ攻撃速度や威力、武器の振り方が異なっている。同じジャンルの武器でも、特定条件下で威力が上がったり、溜め攻撃の速度が上がったり、耐久値が高かったりと、それぞれ違いがある。中にはおたまや木の棒など、武器と言えるのか怪しいものも拾って武器として使うことができる。
剣や弓だけで無く、フィールドで手に入る植物などのアイテムも、戦闘では大きな手助けとなる。投げると周囲に強烈な光を発し、敵の目をくらませる「カガヤキの実」や、壊れやすい反面、矢と組み合わせると高い威力を発揮できる「ギブドの骨」、周囲を照らす灯りとなる「アカリバナ」など、各アイテムの有効活用が大切になる。
謎解きでは、スイッチを押してドアを開いたり、アイテムを組み合わせて通路を作ったり、などの簡単なものから、多くのアイテムを配置して、ピタゴラスイッチのように目的地まで移動する、かなり頭をひねるようなものまで存在している。
謎解きの大半は、本作の新機能である「ウルトラハンド」や「モドレコ」といった能力を駆使する。これらの能力を用いて、状況を打破する方法を考えていく。
理不尽過ぎる難易度の謎解きはないため、じっくり考え、あれこれと試行錯誤すればクリアはできるようにはなっている。
ユーザの創造性を発揮させる新特殊能力たち
ゲームを始めて少しすると、4つの特殊能力を身に着けることになる。これが、他ゲームでは見たことが無いほど、ユーザの創造性を発揮させてくれる。
まずは「ウルトラハンド」。岩や板、球体、武器など、フィールドに転がる様々なものを、自由な角度から大量に張り付けることができる。更に、「ウルトラハンド」で掴んだ物体は、自由に空中を移動させたり、上下左右に回転させたりできる。
板を複数枚繋いで即席の橋を作るなど、プレイヤーのアイデア次第で様々なアイテムを作成することができる。
続いて「スクラビルド」。先述の「ウルトラハンド」に似ているが、こちらは武器や盾限定の能力。武器や盾に素材を1つくっつけることで、武器の威力を増加させたり、特殊能力を持った武器を作ったり、炎や風を起こせる盾を作れたりする。
くっつけられる対象はほぼ全てのオブジェクト。手に入れた武器を色々組み合わせることで、新たな武器を創造することができる。
更に「モドレコ」。指定した物体の移動を逆再生することができる。
回転している水車を逆回転させたり、川に流れている物体を逆流させることができる他、「ウルトラハンド」で空中を移動させた物体を逆再生させることで、即席の空中エスカレーターを作成することまでできたりする。
最後に「トーレルーフ」。天井がある場所で使用すると、天井を通過し、その上まで通り抜けることができる。洞窟内で使用すれば地上に脱出できたり、登れる壁が無いような場面でも、上部にある屋根上に登ることができたりと、探索の幅を大きく広げる要素となる。
これ以外にも、ストーリーを進めていけば追加の能力を獲得可能。どれもこれも、プレイヤー自身の創造性を発揮させるような、非常に特殊な効果を持っている。
天空、地上、地中の広大な3ステージを冒険
本作では、天空、地上、地中の3つのフィールドが用意されており、それらがシームレスにつながっている。
メイン舞台である地上では、草原、砂漠、雪山、火山など、様々な特徴を持ったフィールドが、世界のあちこちに存在している。寒いエリアでは防寒対策、暑いエリアでは防熱対策をしないと、どんどん体力が削られていくため、訪れる場所の状況に合わせて専用の対策を講じていくことになる。
また、各地にはハイリアの大地で生活する様々な部族がおり、彼らの生活の様子を見たり、悩みを解決したり、といった交流をすることができる。
続いて天空。こちらは小さな島が空に転々と存在しているような配置になっている。基本的には天候は一定で落ち着いているものの、「ゾナウギア」を駆使した空中移動の手段を確立しないと別島に移動できない。
また、天空にある島には様々なアイテムやダンジョンなどが配置されているため、探索することで自身の冒険の手助けとなる。
最後に地中。地上と同じく広大なフィールドが地続きでつながっているが、基本的に周囲に明かりが無く、常に真っ暗な中を進むことになる。周囲を明るく照らす手段が無い状態での移動は、かなりの苦労を要するのだ。
また、地中には「瘴気」という、一定時間触れ続けると体力最大値が減少する、恐ろしいエリアが点在している。更に、地中に生活する敵から攻撃を受けた場合も、体力最大値が減少してしまう。瘴気に触れず、かつ明かりを灯しながら、安全に周囲を探索する必要がある。
その苦労の甲斐があってか、地中には高品質の武器やアイテムが落ちていることが多い。また、地中探索の中でしか手に入れることのできない重要なアイテムも手に入れることができる。
メイン、ミニ、エピソード、祠等の様々なチャレンジとフィールドボス
世界各地には、「チャレンジ」という、いわゆるクエスト要素が大量に用意されている。
「メインチャレンジ」は、その名の通り、ストーリーの中心的なイベントを追っていくタイプのクエスト。これをクリアすることで、ストーリーが進行していく。一気に複数の「メインチャレンジ」が登場することもあり、その場合はどの順でクリアしていくかはプレイヤーの手にゆだねられる。
「エピソードチャレンジ」は、ストーリーには関わらないものの、少し大きめなイベントが用意されているタイプのクエスト。特定の人物から受け、指定の敵を倒したり、アイテムを持ってきたり、仲間を集めてきたりと、様々な内容が用意されている。
クリアすると、冒険に役立つ設備が解放されたり、強力なアイテムを手に入れることができる。
「ミニチャレンジ」は、単発で終わる簡易的なサブクエスト。すぐ終わるタイプのものが多く、クリアすることで消耗品やお金といったアイテムを手に入れることができる。
最後に「祠チャレンジ」。マップの各地には「祠」という小さな謎解き施設があり、これをクリアすることで「祝福の光」を入手する。これを世界各地に存在する女神像にて4つ捧げることで、体力の最大値を増やす「ハートの器」か、スタミナの最大値を増やす「がんばりの器」のどちらかを入手することができる。更には、祠に到達してアクセスするだけで、そこがファストトラベルポイントになるため、広大なフィールドを行き来する際に役立つ。
ストーリーを進める上で、体力かスタミナの最大値の増加はかなりありがたい要素のため、積極的に探していきたい。
チャレンジ以外にも、世界の各地には「フィールドボス」というボスが歩き回っている。近づくことで戦闘が開始し、戦闘に勝利することで、ボスからしか手に入れられない素材や、ボスを倒すことで解除される宝箱を開けることができる。
中には、とんでもない強さを持ったフィールドボスもいる。勝てないと判断したら即撤退しよう。
ハイラルを覆う「瘴気」や天変地異の謎と、その背後に潜む恐怖へと挑むストーリー
本作は、前作「ゼルダの伝説 Breath of the Wild」の続編となる物語が展開される。
前作での戦い後、ハイラルでは戦いの傷跡からの復興が進んでいた。そんな中、主人公「リンク」とハイラルの姫「ゼルダ」は、ハイラル城の地下から禍々しいオーラである「瘴気」が出ていることを見つけ、その調査に向かう。
ハイラル地下に朽ちたミイラがいることを発見した直後、周囲から強力な瘴気が発生し、そのままハイラル城は空へと浮かび上がり始める。その衝撃で二人は落下、「ゼルダ」は地下深くへ落ちて姿を消し、リンクは謎の手によって引き上げられると同時に意識を失う。
「リンク」が目を覚ますと、そこはハイラル城の遥か上空に浮かぶ空島だった。果たしてあのミイラは何者なのか?なぜ急にハイラル城地下から瘴気が溢れ出したのか、ゼルダはどこへ行ってしまったのか…「リンク」は再び、世界を救うための冒険に出向くこととなる。
なお、前作とストーリー自体は繋がっているものの、前作知識は必須ではないように作られているため、前作未プレイのプレイヤーでも安心してプレイできる。
◆このゲームの良い点
冒険順序、謎解き、工作など、究極の自由度の高さは驚愕!
本作をやってみて何より驚いたのは、「圧倒的な自由度の高さ」だった。
例えば冒険順序。他のオープンワールドは、自由にどこへも移動できる、とはいっても、メインストーリーのクリア順序はゲーム側から決められているものばかりだ。だが本作では、どの順番で攻略ルートを回っていくか、本来なら実施すべきイベントをスキップして別クエストに向かったらどうなるのか、等、ユーザ自身の思い思いの攻略順序をとっても、全て整合性が行くように作られている。こんなゲームはこれまで見たことが無い。
更に、特定のイベントをスキップしてストーリーをクリアした場合、それ専用の会話が用意されていたりなど、ゲーム側がユーザの取りうるあらゆる行動を事前に見越してストーリーを組んでいるのがすごかった。
謎解きもそうだ。祠や大型ダンジョンなどで謎解きが発生する本作では、その各場面で、必ずと言っていいほど本作の新要素をふんだんに使用する。
フィールドに用意されているアイテムを組み合わせて王道的な攻略の仕方をしてもいいし、「モドレコ」や「トーレルーフ」を使用して「絶対そんなクリア方法ではないよね…」と思えるような、多少強引なクリアの仕方もできる。新要素を使用することで、謎解きの攻略方法にも正解が複数あり、プレイヤーの手で様々なクリア方法を模索、実行することでクリアできる作りなのは、ただただ凄い。
また、自由度の高さは、ストーリー攻略や謎解きだけはない。「ウルトラハンド」を駆使すれば、空中まで自由自在に移動できる飛行手段を作ることもできるし、敵を一方的に攻撃できる専用戦車を作ることまでできてしまう。
「スクラビルド」を駆使すれば、遠距離まで攻撃を飛ばせる剣を作れるし、敵からの攻撃を防ぎながらも炎や氷の光線でダメージを与える盾を作れてしまう。
プレイヤー自身の「こういうアイテムを作ってみたいな」というありとあらゆる思いを、ゲーム側が許容してくれているため、創意工夫のし甲斐が非常にあった。
フィールド探索への誘導の仕方が一級品!
オープンワールドゲームでよくあるのが、目的地が都度マップ上にピンで示され、そこに行ってイベントをこなし、また次のピンへ移動して…という、
『ストーリー攻略がただの作業になってしまう問題』
があるだろう。プレイヤーが次に何をするのかわからなくなることが無いようにする、というゲーム制作側の配慮なのだろうが、行き過ぎるのは考え物だ。
ただ本作では、こういった問題が生じないよう、かつプレイヤー側が目的地に迷わないようにするための仕組みが非常に素晴らしい。
チャレンジを受注すると、いったんはマップ上に目的地がピンで表示される。ただし、ピンの場所に行くだけではストーリーはそこまで進まない。その代わり、ピンが立っているところに住んでいる住民や、置かれている文書を読むことで、「ここに行けばいいのか?」という、次の目的地らしいヒントを提示してくれるため、プレイヤーは自分で考えた目的地へ目掛け、勝手に探索するようになる。
このような「プレイヤー自身で勝手に探索しようと思える仕組み」のおかげにより、探索道中で謎の施設を見つけて「気になるから行ってみよう!」と思わせてくれたり、道中で別のイベントが起きて巻き込まれたりと、探索が「楽しい」と思え、よりゲームへの没入感が上がるつくりとなっていた。
十分過ぎるほどに詰め込まれたゲームボリューム!
筆者は、サブ要素である「エピソードチャレンジ」や「ミニチャレンジ」を多少クリアした状態でクリアしたが、それでも合計60時間とかなりのボリュームがあった。筆者が気付いていない「チャレンジ」の量はまだまだ沢山有りそうで、これを全部クリアしようと思ったなら、倍近い時間がかかりそうだ。
「チャレンジ」以外にも、「コログ」という特殊生物を見つけたり、モンスター、素材、武器等の図鑑埋め作業をしたりなどの収集要素も存在している。これらを全てクリアしようものなら、空、地上、地底の3世界を隅から隅まで探検する必要があるため、超ボリュームのゲーム体験を味わうことができる。
本作1本あれば、2、3か月ほど遊び続けれられるボリュームがあるのは間違いない。やりごたえ十分な作品で非常に嬉しかった。
ここまでの超ボリュームなのにバグが無い!
オープンワールド等のボリュームが多いゲームは、デバッグ作業が大変なため、往々にしてバグが生まれがち。それに加え、本作では「ウルトラハンド」「モドレコ」等で、ゲーム側が用意していないオブジェクトを自由に作れるため、普通ならバグだらけになってもおかしくない。
それにも関わらず、筆者はストーリークリアするまでにバグには一切遭遇しなかった。進行不能バグ等のひどいものはもちろん、テクスチャバグや音声消失バグ、ゲームの異常終了なども全くない。
ここまで制作サイドにとってデバッグが大変なシステムを採用しているにも関わずゲーム品質が高いのは、任天堂側の「最高のゲームを作りたい!」という並々ならぬ執念を感じる。他のゲーム製作会社にも見習ってほしいほどだ。
◆このゲームの悪い点
攻略サイトの有無で、ゲームの快適性が大きく変わる…
評価が高いだけあり、ものすごく高品質な作品となっている本作だが、「ゲームプレイする上での快適性」という面では、攻略サイトを見ないと辛いと感じる部分があった。
「ウルトラハンド」での工作を試行錯誤するのが好きだったり、受注したサブ要素を全てクリアしないと先に進みたくない性分のプレイヤーであれば、これから先に記載する問題は自力で解決できるかもしれない。そうでないプレイヤーは、もしかすると途中で面倒臭さや強く、いやになってくる可能性もあるだろう(実際筆者は、攻略サイトを一切見ないでゲーム終盤まで来たが、若干心が折れかけた)。
フィールド上の移動が面倒…
オープンワールドゲームでネックとなるのが「移動」だ。広大なフィールドを移動するだけで得られる楽しさには限界があるし、まししや移動に時間がかかるとなると尚更だ。
個人的には、本作もその例に漏れず、移動面のかったるさは拭えていない印象だ。特に本作のフィールドは高低差がある場所が多く、目的地が崖上なら大きく迂回するか、ゆっくりと時間をかけて崖を登るしかない。上方向への移動を便利にする「トーレルーフ」も、坂道ではその効果を発揮しない。馬を捕まえれば平地の移動は快適になるが、高低差のある場面ではむしろ歩いた方が快適だったりする。
実はこの移動問題、「ウルトラハンド」を使い、あるアイテムを特定の組み合わせ方で組んだ乗り物を作ると、かなり快適に移動できるようになる。
また、ゲームを進め、とあるクエストをクリアすれば、必要アイテムがその場に無くても、専用素材を消費するだけで、該当する乗り物をその場にすぐに生成できるようになる。
これの認知有無で、本作での移動の快適さが大きく変わるが、これらの情報が世界のどこで手に入るのか、ほとんどヒントが無い。攻略サイトを見ない限りは、かなり長時間に渡って、面倒な移動を繰り返すことになるのだ。
戦闘難易度の高さが異常…
本作に登場する雑魚敵の攻撃力は、ゲームが進むにつれてやたらと高くなってくる。1発受けるだけで、ライフ最大でも約5割~7割ほど食らう。筆者は過去にゼルダ作品をいくつかやってきたことがあるが、ここまで受けるダメージが大きい作品はやったことが無い。高難易度ゲームとして名高い「ソウルシリーズ」よりも高い割合のダメージを受けることもザラで、アクションゲームを頻繁にプレイする筆者でも、何回もゲームオーバーになった。
実はこれ、あるサブクエストを幾つかクリアして使えるようになる「防具強化」を活用すれば、装備品の防御力を増加できるため、ここまで悩むことにはならない。が、このような設備がどこに行けばあるのか、該当するサブクエストがどこで受けられるのか、ゲーム中でちゃんと教えてくれない。
筆者はラスボス手前まででいくつかサブチャレンジを達成してきたが、そのどれもが防具強化に繋がるものではなく、攻略サイトを見て始めて知ったほどだ。(もっと最初に知ってれば、ゲームオーバー数は十分の一以下に抑えられただろう…)
せめて防具強化イベントは、ストーリー内で絶対に出会うようなイベントにして欲しかった。攻略サイトを見ないと気付けないのに、物語進行には欠かせない、というのは個人的には微妙だった。
創作と収集作業を楽しめないと評価が落ちがち…
本作の新要素「ウルトラハンド」で、一番と言っていいほど使うアイテムが「ゾナウギア」だ。
「ゾナウギア」は、遥か昔、非常に高度な文明を築き上げたとされる「ゾナウ族」が使用していたもので、「扇風機」や「台座」、「ロケット」等、原始的な生活をしがちなゼルダ作品の中では異質なほど、近代的なアイテムが揃っている。「ゾナウギア」を組み合わせることで、爆撃機や自動砲台、トラックなど、斬新なアイテムを作り上げることができる。
この「ゾナウギア」を使用するには、「ゾナウカプセル」というカプセルを入手する必要があるが、このカプセルの収集が結構めんどくさい。「ゾナウカプセル」は、世界各地に点在している専用のガチャガチャを回してランダム入手するため、求めているゾナウギアがどれくらい手に入るか、は運に任せられる。更に、このガチャガチャを回すには、これまた専用のアイテムを納品する必要があるため、沢山カプセルが欲しいなら、専用アイテムを沢山収集してくる必要がある。これが地味に面倒くさく、筆者は段々「ゾナウカプセル」を使用することが無くなり、「ウルトラハンド」による創作の楽しみを享受することが少なくなっていった。
更に、「ゾナウギア」を使用するには、専用のバッテリーを確保する必要がある。このバッテリー、最初は微々たる量しか容量が無い為、沢山の「ゾナウギア」を組み合わせて使うと一気に無くなる。バッテリー容量を増やすには、主に地下世界で手に入る専用鉱石を入手する必要があるが、これも一気に沢山手に入るわけではないため、いくつもの掘削地点を回って収集する必要がある。ある程度の「ゾナウギア」が動かせるだけのバッテリーを確保するには、掘削作業だけを最低でも3時間位はし続ける必要があるため、その間は他のチャレンジ関連が全く進まないのだ。
- 時間かけてでも良いから「ゾナウギア」関連のアイテムを沢山集めたい!
- それらを「ウルトラハンド」で組み合わせて新たなアイテムを自作したい!
という思いがあるなら、正に本作の神ゲー要素を徹底的に楽しめるだろうが、筆者のような「ちょっと面倒だからいいや…」と思ってしまうと、本作の一番の楽しみ要素が減ってしまうため、注意が必要だと感じた。
料理、戦闘時のロック等、細かな不満点がいくつか…
1つ1つは対したことは無いものの、ずっとやっていると不満に感じる点がいくつかあった。
料理がまとめて実施できない
フィールドで手に入れる食材を、火の突いた鍋に放り込むことで「料理」をすることができる。「料理」で作られるアイテムは、体力を大幅に回復させたり、一定時間特殊効果を付与することができたりと、本作での重要な回復手段および強化手段であり、かなりの頻度で使用することになる。
が、作る際には毎回1個ずつしか作成できないため、「レシピを選んで食材を鍋に投げ込んで1個作成、またレシピから選んで鍋に投げ込んで1個作成…」をずっと繰り返す必要があり、ちょっとかったるかった。まとめて実施する方法くらい、実装できても良さそうなものなのだが…
ロックオン先の敵の切り替えがない
複数の敵と戦闘になることがよくあるが、その際にロックオン先を任意に切り替えることができないのはマイナスポイントだった。いちいちロックオンを外し、自分が狙いたい敵のそばまで近付いてロックオンし直す行動を取らないといけなく、面倒と感じる場面が多かった。
味方の力を借りるのがスムーズにいかない
本作では、ゲームを進めると、主人公と一緒に行動し、必要に応じて戦闘へ参加してくれる仲間が手に入る。この仲間に近づいてAボタンを押すと、仲間ごとに固有のアクションを繰り出すことができる。
ただし、この「味方の力を借りる」という部分について、
- 力を借りたい仲間がうろちょろして全然近づけない
- 複数の味方が集まってしまい、欲しい能力を持つキャラを選択できない
といった問題点が結構目立った。
敵によっては、特定キャラの力を活用しないと攻撃できない敵もいるため、そういった敵を相手にする時には事故が起きやすく、かなりイライラした。
Switchのコントローラーには沢山のボタンが割り当てられているし、ボタン配置を見直したり、複数のボタンを組み合わせたりすることで、使いたい力をプレイヤーの任意に使い分けられるようにして欲しかった。
◆まとめ
やりごたえ抜群のオープンフィールド要素だけでなく、プレイヤー自身での創作性まで奮い立たせてくれる、物凄い作り込まれた作品となっていた「ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom」。
その前評判に負けない、素晴らしい作品だったと感じた。悪い点に上げたような要素は、あくまで個人的に微妙に思った点であり、ほぼ気にならない人もいるのかもしれない。気になっている人も、「特に注目してない」という人も、是非とも買うべきな作品であるように感じた。
では!