今回は、PS5版の「DIABLO Ⅳ」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(2023/7/21時点の情報である)
2023/6/5に発売された「DIABLO Ⅳ」。世界的には非常に人気のあるゲームで、ボリューム抜群と聞いていたこともあり、発売前からずっと気になっていた。
発売後、満を持して本作を購入!難易度「ナイトメア」への到達と、その後に解放される専用の高難易度ダンジョンをいくつかクリアするところまでやってみたため、本作がどんなゲームなのか、面白いのかどうなのか、レビューしてみたいと思う。
※筆者は過去の「DIABLO」シリーズは未プレイである。その前提での感想としてみてほしい。
※難易度「ナイトメア」到達、およびその難易度での戦闘は、まだ本作の総ボリュームの内の半分程だと認識している。その段階でのレビューとして見ていただきたい。
◆個人的感想
総評
ゲームをする人のプレイングスキルよりも、
- 何十時間にもわたる基盤作りの単純作業を切り抜ける力
- 膨大な情報収集力
- 最後まで同じことの繰り返しであっても、楽しみを見出せる力
といった面を求められる要素が強い。これらが無い筆者には、本作はあまり合わなかった。
ただ、自分で考えたビルドで高難易度ダンジョンを突破できたり、高レアリティ武具をランダム入手できるという「ソシャゲのガチャでSSRを引き当てた時のような脳汁ドバドバ感」を得られるようになれば、それこそ「永遠」に楽しんでいられる作品であることは間違いなかった。
「人を選ぶ作品」なのは間違いないので、このゲームの特徴をよく理解し、買うか買わないか、決めた方がよいだろう。
どんな人にオススメ?
- 単純作業が苦では無い
- ソシャゲでSSRを引くことに大きな快感を覚える
- フレンドと一緒に本作を遊べる
- 超絶ボリュームゲームがやりたい
という人にはオススメできる。逆に
- アクションゲーム性がしっかりほしい
- 過去作のストーリーを追ったことがない
- 色んなゲームをプレイしたい
という人は、避けた方がいいだろう。
◆このゲームの特徴
超王道の見下ろし方ハック&スラッシュアクションゲーム
本作は、1作目が1996/12/31に発売されて以降、「ハクスラゲームの金字塔」として世界的に有名な作品「DIABLOシリーズ」の4作目である。
ハクスラゲームは「ハック&スラッシュ」の略称。武器や防具などの装備品にランダムな性能が付いており、これらを組み合わせて自身が理想とするステータス構築(通称ビルド)を行って、より難易度の高いダンジョンへと挑んでいくことを繰り返すゲームのことだ。
本作は見下ろし方のハクスラアクションゲームであり、四方八方から襲ってくる大量の敵を、様々なスキルを駆使して倒していき、ダンジョンの先へと進んでいく。
スキルには、
- 能力が低いもののコスト無しで使用できる「基本スキル」
- MPのようなゲージを一定数消費し、比較的火力の高い攻撃を叩きだせる「コアスキル」
- 強力な効果を持つものの、使用後は一定時間のリチャージが必要な「奥義」
など、いくつかの種類が存在し、どのスキルを持ち込むのか、はプレイヤーで自由に決めることができる。低下力ながらも燃費のよいスキルばかりを入れたり、連発はできないものの、1回で大きなダメージを与えられるようなスキルを沢山持ち込んだりなども可能だ。
敵は小型の雑魚敵から、体力が多い中型の敵、特殊な能力を持った硬いエリートという敵が、あちこちに大量に配置されている。その敵の大群を、自らが考え抜いたスキルで倒し、ステージの最奥にいるボスを倒すことでステージクリア。クリア後に入手できるアイテムを回収し、ビルドを整え、また別のダンジョンを目指す、というゲーム性をしている。
種族、武具、スキルセット等、沢山のビルド要素
ゲーム開始後、プレイヤーは5種類ある種族の中から、自分が利用したい種族を1つ選ぶ。用意されている種族は、
- 近接攻撃が得意で、耐久力もある「バーバリアン」
- 大量のミニオンを召喚し、数にものを言わせて戦う「ネクロマンサー」
- 素早い身のこなしと罠を駆使して敵を翻弄しながら戦う「ローグ」
など、ステータス面から使用できるスキルまで、それぞれが全く異なっている。どの種族を選んでも、最終的には強いユニットに育て上げることは可能だ。
武器や防具は、全部で10個まで装備できる。装備一つ一つにランダムなバフ効果が付くため、どんなバフ効果に注目して装備品を集めていくか、によって、採用する装備内容も大きく異なる。
武具についているランダム効果は、専用施設でお金や「古文書」「化身」という専用アイテムを消費することで付け替えすることができる。大体の性能は満足しているけど、後少しだけ性能変えたいな…という時に、非常に役にたつ。
敵を倒したり、クエストをクリアしたりして経験値を入手することでレベルアップし、ステータスの向上だけでなく、スキルポイントを獲得できる。
手に入れたスキルポイントは、用意されたスキルボードの中から、プレイヤーの手で自由に解放個所を決め、スキルを獲得することができる。
この武具とスキルの組み合わせにより、同じ種族の中でも、戦い方に差が出てくる。このビルドこそが、本作の最も鍵となる要素だ。
他プレイヤーとの交流をしながらのゲームプレイ
本ゲームはオンライン必須のゲームであり、同じサーバー上に存在する他プレイヤーと、時々出会うことがある。たまたま向かった先の目的地が、オンライン上の他プレイヤーと同じであれば、共闘して敵を倒すこともできる。ドロップしたアイテムは、それぞれ各プレイヤーで個別に獲得でき、取り合いになることはない。
たまたまオンライン上で知り合うだけでなく、フレンドとパーティを組んで一緒にプレイすることも可能だ。その場合、ホストとなるプレイヤーの進行状況に左右される。
また、フィールド内の特定のエリアでは、CPUだけでなく、プレイヤーそのものと戦うことができる。自分の作ったビルドが、対プレイヤー相手にもどこまで通用するのか、試すことができる。
シリーズ初のオープンワールド性の導入による探索要素
これまでの「DIABLO」シリーズは、ちょっとサイズの大きい一本道を追っていき、その道中の所々で小さいダンジョンが用意されている、といった構造をしていた。本作ではここを一新し、全てが地続きのオープンワールド性を採用している。
ゲームを始めたばかりのころは、全体マップの大半が霧で隠されており、そこに何があるのかわからない。自分がそのエリアに足を運ぶことで、初めてどんな街やダンジョンが用意されているのか、がわかる。
街の中では、鍛冶屋やアイテム屋などの一般的な施設が置かれているだけでなく、サブクエストを受注することも可能。サブクエストの条件を達成すれば、経験値やお金、その他様々な素材を入手できる。
フィールド上には、クリアすることでアイテムが手に入る小さなイベントエリアや、敵が根城としており、解放すれば新たな街として機能する「拠点」、最奥にいるボスを倒すことで強化素材の「古文書」を入手できるダンジョンなどが点在している。フィールドを探索し、各地のイベントやダンジョンを突破して、自身を強化できる様々な素材や武具を手に入れていく。
マップの走破や、サブクエストの達成、「拠点」の解放、マップのどこかにある「リリスの石像」の解放などを行うことで、その達成量に応じて「実績」が蓄積されていき、一定量に到達すると報酬を手に入れられる。経験値の入手だけでなく、スキルポイントの獲得や、回復薬であるポーションの上限解放など、冒険に役立つ色々な要素を手に入れられるため、ゲームを有利に進めたいなら、マップの探索も必要となる。
サンクチュアリの創造者「リリス」の復活と、その野望を紐解くストーリー
本作の舞台は、「サンクチュアリ」と呼ばれる広大な大陸だ。「リリス」と「イナリウス」という天使と悪魔によって創設された世界だが、創造後に発生した「リリス」と「イナリウス」の争いから、世界各地が荒廃することとなり、敗北した「リリス」は封印されることとなってしまった。
そこからしばらくたったのち、「リリス」を崇拝する人物「エライアス」によって、「リリス」が復活、世界各地で信者を募り、何か不穏な動きを見せていた。
プレイヤーは、そんな「サンクチュアリ」を冒険する放浪者だ。ある時、ひょんなことから小さな村の危機を救った主人公は、お祝いと称して飲まされた飲み物の中に混ぜられた睡眠薬によって眠らされ、「リリスの血」を飲まされる。間一髪で村人たちの襲撃から逃れた主人公は、「ホラドリム」という魔術師の1人「ロラス」にである。
以降、「ロラス」から助言をもらいながら、「リリス」の抱える野望の真相究明や、「リリス」を復活させた「エライアス」の居場所を特定する冒険へと旅立っていくことになる。
◆このゲームの良い点
尋常ではないゲームボリューム!
ハクスラゲームと言えば、終わりが見えないまでの膨大なやり込み要素が大きな特徴だ。ハクスラゲームの金字塔である本作は、そのボリューム量が尋常ではないほど存在している。
まず、ストーリーをクリアするだけでは、まだゲームの総ボリュームの半分にも到達していない。ストーリークリア後には「ナイトメア」「トーメント」という2段階の難易度が用意されており、まずは「ナイトメア」を解放する為のダンジョン「キャップストーンダンジョン」の攻略に挑む。この攻略だけでも、レベル上げや武器集めといった育成要素を色々頑張る必要がある上、無事クリアできたとしても、「ナイトメア」難易度というより強化された敵との戦いが求められ、更なる育成が続いていくのだ。
ゲームプレイする中で、今のビルドに飽きたなら、全く異なるビルドをすぐに試すことも可能。使用したスキルポイントは、お金を払えば即座に買い戻しできるため、気軽に色んなビルドを楽しめる。
種族そのものに飽きたら、種族から変えて再プレイし直すことで、気分転換にもなる。
また、本作では3か月に1回の周期で「シーズン」というゲームプレイが用意されている。シーズンに参加すれば、新たなストーリーを見ることができるし、新たな武具を手に入れられるし、新たなダンジョンに挑むことができる。心機一転、新たな「DIABLO Ⅳ」を楽しむことができるのだ。シーズンは今後もずっと続くため、シーズンが変わるたびに、同じような楽しみ方がずっとできる。
もちろん、シーズンを無視して、ずっと1つのキャラを鍛え続けることも可能だ。
この「プレイヤーのやりたいことをいくつもやれる、終わりのないコンテンツ量」は、正に無限に遊べるゲームの代表格として、本作が君臨している理由を感じられた。
考えたビルドで高難易度ステージをクリアできた時の楽しさは物凄い!
高難易度コンテンツに足を踏み入れると、敵の耐久力、体力、火力等のすべてのステータスが向上する。更には、火炎や電撃を放つ物体を配置したり、遠距離からの攻撃を全て防ぐバリアを展開したり等、厄介な特殊能力を持ったエリートも当たり前に登場してくる。通常難易度のビルド感覚で挑むと、何もできずに蹂躙されてしまうことは間違いない。
そんな状況でも、
- 自分の使うキャラの強みは何なのか
- 自分の持っている武具の中から何ができるのか
- どういったスキルの組み合わせが一番火力が出るのか
など、色んなビルド構築要素を考え、不足要素を鍛冶屋や秘術師で強化し、スキルツリーの割り振りを見直していくと、全然勝てなかったダンジョンが、いとも簡単に攻略できるようになっていくのだ。
自分が工夫したビルドが刺さった場合の爽快感は確かに高く、「色々考えて集めた甲斐があった…」と、達成感を強く感じることができた。
高難易度化した状態で敵を倒すと、もっといいステータスの高い武器がポンポン落ちるようになる。そうなると、今までのビルド構築から一転し、どの武具を採用して、どんなビルドを作っていくのか、再び考え出すようになる。ここで自分が考えているビルドにぴったりな高レアリティ武具が出てくれた暁には、何か特別な脳汁のようなものが出る感覚に苛まれる。そして、手に入れた武具を身に着けて、また新しく、高難易度なステージへと挑んでいくことになるのだ…
◆このゲームの悪い点
アクション性は低く、プレイが退屈気味…
本作はアクションゲームに分類されているが、一般的に「アクションゲーム」と言われているゲーム達と比べると、アクション性は非常に低い。
- 移動
- スキル使用
- 回避
しかない。回避だって、5秒に1回相当しかできないし、ジャスト回避のような要素も無い。ジャンプだってない。
「アクションゲーム」というよりも、「リアルタイムストラテジーゲーム」のような、知識ゲームの要素が強い。どのようなスキルの組み合わせ、装備の組み合わせが強いのか、情報収集したり試してみたりして知識を増やし、敵の行動に合わせて覚えた内容の再現性を図っていく、という要素が強いのだ。
「様々なコマンドを駆使した、緊張感のあるアクションゲームが好き」という人がやっても、本作のようなボタンをポチポチ押していくのに集中するようなゲームは、退屈で飽きてしまう可能性が高い。実際筆者も、ストーリー途中からはかなり飽きが来てしまい、ゲームプレイするのが大変な時期もあったほどだ。
面白さを享受するまでに必要な下準備が長い…
本作を楽しむには、まずは高難易度ステージに挑めるようにする必要がなる。その条件の一つである「キャップストーンダンジョン」という高難易度ダンジョンのクリアに必要な下準備が異様なまでに多く、かつそれに対して面白みがないのが残念だった。
筆者はゲーム開始から、「キャップストーンダンジョン」クリアまででかかった時間が約30時間…正直、ここまで長い時間をかけて、ずっと単調な作業をやり続けるのはかなりきつかった…
レベル上げ
敵に勝つ根幹は、やはりレベル上げによるステータス向上だ。最初の「キャンプストーンダンジョン」を攻略するには、推奨レベルであるレベル50に到達する必要がある。さっさとレベル50に到達するためには、最低難易度で、幾つかのダンジョンをグルグル回ったり、サブクエストを消化したりすることが必要になる。
最低難易度という大した緊張感が無い中でのレベル上げ作業を、ただひたすらに繰り返すため、PRGのレベル上げよろしく、退屈な時間が待っている。実際、筆者がこの方法でレベル上げを行い、レベル50に到達するまで、ストーリークリア時間も合わせて約20時間が必要だった。
実績解放
広いフィールド内に点在しているファストトラベルポイントや拠点、リリスの石像、サブクエスト攻略などを、攻略サイトを見ながら解放する作業をしていく。実績を達成することで戦闘に役立つ効果を得ることができるため、相当レベル上げを頑張ったり、装備厳選をしたりしない限りは、実績開放をしておくのはかなり大切だ。全5地域で、最低でも実績2までの解放が必要であり、この解放作業で約5時間かかった。
「古文書」集め
武器に任意のバフ効果を付与できる「古文書」というアイテムは、フィールド上に点在する専用ダンジョンをクリアして手に入れられるため、ビルド構築のためにはこのダンジョンを淡々とクリアしていくことになる。初めからビルド構築方針が決まっていたとしても、最低で5,6個のダンジョンは回る必要があり、それだけで約1時間の時間がかかる。
装備集め
求めている効果を持ったレジェンダリー装備を探し、望むバフ効果を付与し、強化して性能を底上げする作業をして、初めて満足に戦えるようになる。どの武具が手に入るか、は完全ランダムで、すぐに手に入る場合もあれば、全然手に入らない場合もある。筆者の場合、自分のビルドに求めている性能を持った武器を一通り作成するのに、約5時間かかった。
新キャラは強制的に1から作り直し…
「1つ目のキャラを育成し終わり、別キャラを試したい…」となった時、なんとレベル1から鍛えなおす必要がある。高難易度コンテンツに挑むには、またレベル上げや武具集めを頑張らないといけないろ思うと、正直「もう1キャラを作ろう」という気にならない。
新シーズンに参加した場合も場合も同様だ。「よし、じゃあ自分が育成したキャラを持ち込んで、より高難易度なコンテンツに挑もう!」と思っても、シーズンに参加するには、こちらもまた1からレベル上げしないといけない…本作を遅れて購入した人でも、他プレイヤーと同様に楽しめる、という面で見ればいい要素な気もするが、毎回1から作り直しとなると、シーズンの度に相当なプレイ時間をかけないと、やり込みの入り口にも立てない状態になってしまう。
他ゲームにも、「シーズンごとにステータスを初期化してやり直し」というのはあるが、立ち直りにここまで時間がかかるゲームは見たこと無いため、個人的には辛い面だった。
少し擁護すると、一応、一回でもストーリーをクリアすれば、シーズン開始時にストーリー全スキップを選ぶことができるし、実績情報もある程度引き継げる。ただ、最も時間がかかる「レベル上げ」要素が全て無くなった状態からやり直しとなるのは…さすがに…辛い…
ストーリーは正直よくわからない…
本作は、一応壮大な世界感を描いているのだろうが、ストーリー全体を通して、深みが無く、退屈な感じで終わってしまった。
ストーリー自体は一応理解できる。だが、
- リリスはなぜ復活させられることになったのか
- リリスの真の目的はなんだったのか
- 道中に出てくるサブキャラたちはどういった人物なのか
- 道中で手に入れる特別なアイテムは一体何なのか
などの説明がほぼ無く、理解できないため、全体的に浅いストーリー展開で終わってしまった印象だ。
これはどうやら、クロスメディア戦略をとっていたり、過去の「DIABLOシリーズ」のストーリーをある程度知っている前提だったりするのが背景にある模様。このゲームしかプレイしていない筆者のようなプレイヤーは、ストーリーには全く入り込めず、退屈に感じてしまうだろう。
ただ、ハクスラゲームの本領発揮部分はストーリークリア後だ。正直、ストーリーはオマケ、とも捉えられるため、人によっては「特に気にしない」という場合もあるかと思う。
◆まとめ
世界的に人気なハクスラゲームである「DIABLO Ⅳ」。
実際にプレイしてみたものの、確かにやりごたえは抜群で、育成の面白さの鱗片を感じることはできたが、単純なアクション性や、レベリングに必要な時間が莫大な面などが少し筆者には合わなかった印象だ…
正に「人を選ぶ作品」であるが、この終わりのない育成要素は、ハマる人には間違いなくハマる作品なため、このゲームの特徴をしっかり理解した上で、それでも「ハマりそう!」と思うなら、購入してみるといいだろう。
では!