今回は、PS5版の「Man eater」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事は2024/5/10時点の情報をもとにしている)
PS5ローンチしてしばらくしてから発売された、「サメを操作する」という斬新な作品であった本作。他のゲームをやる機会が多かったため、筆者はずっと触れることが無かったが、ちょうどやれるタイミングができたため、気になってプレイ。エンディングまでやり切った上での感想をまとめてみたため、気になっている人の参考になればありがたい。
◆個人的感想
総評
「サメになって海を自由に動き、魚にも人にも自由に襲い掛かる」という点は確かに斬新で新鮮だったが、それ以外は2015年前後のオープンワールド黎明期の作品の方がもっといい作品があったと感じる程、全体的に退屈な作品だった。ボリュームも無く、プレイ内容も単調で、あまりやりごたえも無い。良い面と悪い面にいくつか項目を挙げているが、どれもこれも表裏一体だ。
オススメするような作品ではないので、本作を遊びたい、というならば、本作の特徴をしっかりと理解した上で、セール等で安くなったタイミングで購入するようにした方が良い。
どんな人にオススメ?
- プラチナトロフィーが簡単に取得できるゲームがやりたい
- アクションゲームやオープンワールドゲームを始めてやる
- GTAシリーズで暴れるのが好き
という人にはオススメできる。逆に、
- 戦闘が面白いゲームがやりたい
- ボリュームの多いゲームがやりたい
- オープンワールドと言えば圧倒的な自由度が欲しい
という人には、あまりおすすめはできないと感じた。
◆このゲームの特徴
川や海を舞台にしたオープンワールドゲーム
本作のゲームジャンルは「オープンワールドゲーム」に該当する。これは、ダンジョンや街に入るたびにロードを挟んで切り替わるのではなく、シームレスに繋がった広大なフィールドを、プレイヤーの好きなように、縦横無尽に動き回れるジャンルである。
オープンワールドゲームの大きな特徴は、プレイヤーの行きたいところに自由に移動できる点だ。また、メインストーリー以外にも、世界観や登場人物をより深く知ることのできるサイドクエストがあるのも特徴。これらは攻略順序というものはなく、プレイヤーのやりたいように攻略できるのだ。
本作ではサメが主人公の作品、ということで、海や川などの水場を縦横無尽に移動するオープンワールド作品となっている。エリアは全部で7種類存在しており、リゾート施設、産業地帯、沿岸地帯など、エリアごとに特徴がはっきりと分かれている。それぞれの水質も、ゴミが舞って水が濁っていたり、透明度が高かったり、海の深さを体感できるほど深く潜れる場所があったりなど、様々な特徴がある。
海の中にはカメやナマズ、ブダイ等の様々な海洋生物が漂っていたり、お宝が落ちていたりする。彼らを捕食し、収集物を集め、海の王者となるように成長することを目指す。
ビーチやプールには、人間たちが集まるエリアがある。もちろん、人間たちに襲い掛かり、食べることが可能。尾びれで叩きつけて吹き飛ばすこともできる。人間たちを食べれば彼らはもちろんパニックになるが、それを見ながら次々と食べていくと、なんだか不思議な感覚に苛まれる。まさに自分の操作で人々の運命を左右できる存在となれる。
栄養素を消費した育成や、各種パーツによるカスタマイズ
ゲームを始め、チュートリアルを終えると、噛みつき攻撃しかできない小さな赤ちゃんサメとしてストーリーを始める。池にいるアリゲーターはもちろん、多少気性の荒い魚にすら攻撃され、体力が無くなり、危機的状況に陥ってしまう程貧弱だ。
そんな時は、大人しい魚を次々と捕食して、様々な栄養素や経験値を手に入れ、成長をしていく。経験値が一定値まで到達するとレベルアップし、身体能力が強化されていく。そのままレベルアップし続けると、赤ちゃんから子供、大人と、着々とサメとしての成長を重ね、その分攻撃力や体力、移動スピードが上がっていき、これまで手が出なかった狂暴な海洋生物との戦闘にも勝てるようになっていく。
レベルアップ以外にも、内臓やあご、ボディなどにパーツを取り付けることも可能だ。パーツには、攻撃時に電撃ダメージを追加で発生させたり、移動関連の性能を底上げしたり、魚を捕食した際に手に入る栄養素の量を増すことができたりなど、通常のレベルアップだけでは得られない特殊能力を身に着けられる。各パーツは、栄養素を消費してアップグレードもできる。
人間や狂暴な海洋生物との戦闘が可能
人間を襲っていると、「脅威」ゲージというゲージが上昇し、サメ駆除のエキスパートであるハンター達から命を狙われる。ハンター達はボートの上から多数の銃で攻撃してくるため、海深くに潜ったり、回避をしたりしながら、ハンターを追い返していく必要がある。場合によっては、彼らから逃げることも重要だ。
ハンターを倒し続けていくと、「悪名ポイント」が溜まっていく。一定数溜まると、人間側のボスが登場。彼らを倒すことで、更に悪名レベルが上がり、襲ってくるハンターの人数や、ハンターたちの設備が強くなっていく。
海の中にも、「アリゲーター」や「アオザメ」、「シャチ」等、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくる海洋生物がうようよしている。それ以外にも、「頂点捕食者」という強力な生物とバトルすることも。「頂点捕食者」は体力も攻撃力も、他の生物とは一線を画すため、しっかりとした育成と、戦闘時のプレイングを駆使していく必要がある。
探索、戦闘など、数多くのサブコンテンツ
オープンワールドのゲームらしく、本作には様々なサブ要素が搭載されている。
マップの各地には、メインミッションとなる所定の海洋生物の捕食や、特定の海洋生物の討伐が用意されている。人間が集まっている場所に襲い掛かり、一定数の人間を捕食するクエストも用意されている。
その他、ランドマークやナンバープレートといったコレクションを集めるサブクエも用意されている。コレクション関連のクエストは、コンプリートすることで、トロフィー獲得に加えて、新たなパーツを入手できる。
母親を殺された子サメと、サメハンターとの戦いを描くストーリー
本作は、サメハンターである「スケイリー・ピート」と、彼に母親を殺害された子ザメとのやり取りを、ドキュメンタリー番組風に描いたストーリーが展開される。
「ピート」は一流のサメハンターとして、夏休みで一時帰省していた大学生の息子と共に、サメ駆除を行っていた。巨大なサメを釣り上げた「ピート」はその腹を引き裂き、中に子ザメがいることを発見する。この子ザメが主人公だ。
子ザメは最後の力を振り絞って「ピート」の右腕を食いちぎり、そのまま水の中へと逃げ込む。それから、子ザメと「ピート」との、お互いがお互いを復讐する復讐劇が繰り広げられていく。果たして最後に勝つのはどちらなのか…?
◆このゲームの良い点
操作が非常にシンプル!アクションゲーム初心者でもやりやすい!
本作は、アクションゲームの中ではかなり操作がシンプル。複数の操作を組み合わせる必要に迫られるような場面はほぼ無く、コンボ攻撃を決めないといけない場面も無い。
また、オープンワールドゲームによくある、「あまりに広大なフィールドに放り込まれて、何をすればいいのかわからない」となるような場面も無い。各エリアは比較的コンパクトに作られ、どこに行けばストーリーを進めることができるのか、も非常にわかりやすくハイライト表示してくれるため、迷うことが無い。
オープンワールドゲーム、及びアクションゲーム初心者でも問題なく遊べる、正に初心者に配慮した作品になっている点は高印象だった。
トロコンが比較的容易!
本作では、各エリアに存在する収集物やターゲット撃破をするだけでトロコン達成ができる。1つのエリア自体もかなり小さく、かつどこに何があるかマップ上に表記されるため、探索にかかる時間も短い。ソナーによるサーチを使えば、周囲に何があるのか一発で探索できるため、詳細把握も簡単だ。
トロコン目的で動けば、20時間も無くプラチナトロフィーまで取得できる。トロコン収集目的の人にはかなりオススメできるゲームであろう。
人間側にもサメ側にも、どっちにも感情移入できるストーリー!
サメが主人公となり、人間とサメとの戦いを描くストーリー、というと、どんなストーリーとなるのか想像できなかった。が、いざやってみると、人間側とサメ側の双方に一応の感情移入ができる、なんとも言えないストーリーに仕上がっていた。
人間にとって、サメは非常に危険な生き物であり、怖い対象だ。筆者自身も、海水浴中に急にサメが現れたことを想像するとかなり怖い。が、サメ側はサメ側で、自分の母親が人間側に殺され、赤ちゃんの頃から自分ひとりだけの力で生き抜こうとしたかと思えば、人間側が相変わらず自分の命を狙っている、ということを考えると、少しサメ側にも感情移入できてしまった。これはサメに関わらず、熊なども同じなのだろう(それでも筆者は怖いので駆除はしてほしいが汗)
驚きの展開や、壮大な伏線が張り巡らされているような、一級品のストーリーと比較すると全然大したことは無い。ただ、ちょっとおふざけ気味なドキュメンタリー番組の中に、「自然界に生きる」ということの恐ろしさと、人間側のエゴを絶妙に描いた作品になっていると感じた。
◆このゲームの悪い点
シンプル過ぎて退屈な戦闘…
良い点に挙げたシンプルな戦闘だが、言い換えれば深みが無い。コンボ攻撃が全くなく、ただただ敵に噛みついたり、尻尾ではたいたりするだけで戦闘が終わる。2010年代以降に発売されたアクションゲームで、ここまでシンプルな作品は、安価なインディーズ作品やMMOゲームくらいしかないだろう。銃を持ったハンターとの戦闘や、巨大な海洋生物との戦闘も、ただボートや体にバクバク噛みついて時々回避するだけで、気付いたら終わってしまう。
唯一良かったのは、噛みついた状態で尾ヒレ攻撃をすると、加えた生き物を弾き飛ばして遠距離攻撃ができる、という点のみ…かな…
全体通して、戦闘に面白味を感じるのはかなり難しい。アクションゲームとしての楽しみをこの作品に見出すのは止めた方が良い。
ボリュームがかなり少な目…ミッション内容も退屈…
筆者はサブミッションを約6割程クリアした状態でエンディングまで到達し、クリアまでにかかった時間は約7時間と非常に短かった。やり込みの多さで有名なオープンワールドゲームにも関わらず、ここまでボリュームが短いゲームを筆者は見たことが無い。
ミッション内容も、
- 小魚を一定数食べる
- 大型魚と戦って討伐する
- 人間を一定数捕食する
- 収集物を集める
しかない。いずれもただ単純に印目掛けて移動して噛みつくだけで、深みも何もない。ボリューム数も少なく、内容も単純…「面白い」とは言えないクエスト内容で、退屈だった。
オープンワールドらしい自由度は非常に低い…
オープンワールドゲームというと、自分が望むエリアへ行きたい順番に移動できる点が強み。しかし、本作は順番にエリアが解放され、一通りのクエストをクリアし、最後にそのエリアのボスを倒して次のエリアに進む、を繰り返すだけの、半分リニア式のゲームシステムを取っている。
また、海の中を縦横無尽に動き回れる、と言っても、数百メートル下の光が届かない深海は出てこない。海中特有の、生物が群れを組んで移動する、というような神秘的な光景がみられるイベントも無い。大きな生簀内を泳いでいる、といった感覚が一番正しい。
これをオープンワールドと言っていいのかだいぶ怪しく、自由度を期待して本作を購入するのは避けた方が良い。
◆まとめ
ボリューム満点となるような作品が多いオープンワールド作品の中では、かなり大雑把な作品になっていた「Man eater」。
オススメできるような作品ではないが、奇抜さにだけ惹かれるなら、本作をプレイしてみてもいいのではないか。
では!