今回は、「Horizon Forbidden West」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
2022/4/29にリリースされた「Horizon Forbidden West」。前作にあたる「Horizon Zoro Down」をトロコンするまでやり込んだ筆者としては、この作品はやらない訳にはいかなかった。
購入し、いくつかのサイドクエストをクリアの上、エンディングまで達成したため、本作はどういった作品なのか、おすすめできるのか、について書いていきたい。
◆個人的感想
総評
グラフィック、ボリューム、操作感など、前作からあらゆる面が正統進化している。オープンワールド特有のストレス感も、バグというバグもほぼ無いのはありがたい。各方面のレビューで高評価が多く付いているのも納得はできる。
ただ、筆者が色んなオープンワールドゲームをやり過ぎたせいか、ゲームシステムの各ポイントに既知感を感じてしまい、「面白い!」と惹かれる要素が薄く感じてしまった。また、前作では好評だったストーリーも、前作と比べ「謎を明らかにしていく中で感じる物語上の深み」というものが無く、ありきたりで終わってしまった印象もある。
言い換えるなら、全体的によい成績を出せているが、どこか抜きん出た所がない「優等生タイプ」なゲーム。
決して駄作ではなく、むしろ多くの人にオススメできる「良ゲー」なのだが、数多くのオープンワールドゲームをやりまくった人ほど、「良い作品なんだけど、なんかハマれないな…」といった感覚に陥ってしまうかもしれない。
◆このゲームの特徴
巨大なアメリカ大陸西側を舞台にしたオープンワールドゲーム
本作のゲームジャンルは「オープンワールドゲーム」に該当する。これは、ダンジョンや街に入るたびにロードを挟んでフィールドが切り替わるのではなく、シームレスに繋がった広大なフィールドを、プレイヤーの好きなように、縦横無尽に動き回れるゲームジャンルである。
オープンワールドゲームの大きな特徴は、プレイヤーの行きたいところに自由に移動できる点だ。また、メインストーリー以外にも、世界観や登場人物をより深く知ることのできるサイドクエストがあるのも特徴。これらは攻略順序というものはなく、プレイヤーのやりたいように攻略することができる。
前作「ホライゾンゼロドーン」は新規IPであったものの、オープンワールドゲームとしての仕上がりの良さから「神ゲー」と称された逸品であった。本作も前作のシステムはしっかりと踏襲し、かつより広大なフィールドを駆け回ることができるようになっている。
壁だらけで先に進めないように見える場所でも、どこかに手で掴める場所があり、それらを転々と跨いでいけば、断崖絶壁を乗り越え、山や丘の山頂に行くこともできる。また、通常であれば届かないような距離にあるような足場にも、「プルキャスター」というアイテムを使用して、まるでグラップルフックのような移動ができる。
また、本作からは水中も自由に泳げるように進化。水の中にしかない、神秘的な遺跡を散策することができる。
隠密、射撃、近接攻撃を使い分けるハンティングアクション
今作のバトルシステムは、オープンワールドの世界を散策しながら、道中を彷徨く機械や逆賊を倒していくのが基本となる。
敵との戦い方は、
- 隠密で近づいてからバックスタブを決める
- 弓で遠距離から弱点を突く
- 槍を担いで近接攻撃を仕掛ける
- 通り道に罠を仕掛けてハメる
など様々。ピンチであれば、戦わずに逃げることもOKだ。
登場する武器も数多い。遠距離攻撃ができる弓でも、
- クセがなく使いやすい狩人の弓
- 取り回しが悪いものの、高火力が出る長弓
- 威力は低いが連射が可能な戦弓
と3種類。その他にも、ワイヤーを仕掛けて通りかかった敵を爆発させるワイヤートラップや、爆弾を飛ばすパチンコであるスリンガー、敵を地面に拘束するワイヤーロープなど、戦闘に役立つ武器が数多く用意されている。
さらに、機械獣には弱点となる属性が個別に存在しており、弱点属性で攻撃して状態異常を引き起こせば、戦闘がより有利に運ぶ。
敵を倒すと、その敵から武器の強化や売買に使用する素材を入手できる。これを消費することで、武器や防具を強化したり、売人から強力なアイテムや武具が購入できる。
この「フィールドで素材を集め、それを使用して装備を揃えていく」というのは、感覚的にはモンハンに近い。まさにこのゲームは、オープンワールドでモンハンをやるようなゲームなのだ。
スキルポイントを消費する育成要素
クエストをクリアしたり、敵を倒して経験値を入手し、レベルアップしたりすることで、「スキルポイント」を入手できる。用意されたスキルツリーの中から、プレイヤーの好きなようにスキルポイントを割り振ることで、新たなスキルを習得できる。
スキルツリーは
- 接近戦闘系能力を強化する
- 罠を扱う能力を強化する
- 体力が低くなった時に生き残りやすくする能力
- 射撃性能を強化する
- 隠密性能を強化する
- 機械を扱う能力を強化する
と、全部で6種類と豊富に存在する。
特に攻撃系のスキルは、槍による近接攻撃のバリエーションを大きく増やしてくれるものが多く、戦い方のバリエーション増加に一役買ってくれる。
また、本作から新たに追加されたスキル要素として、「特殊攻撃」と「勇技」が存在する。
「特殊攻撃」は簡単に言えば武器固有の特殊技だ。複数の矢を一気に放ったり、地面に刺さったまま地雷として残置するようになったり、溜め時間が大幅圧縮されたりと、より戦闘を楽しくさせる要素となっている。「特殊攻撃」の習得には、スキルポイントを消費する必要がある。
「勇技」はプレイヤー自身を一定時間強化できる特殊能力。一定時間、クリティカルヒット率を上げたり、敵から一切視認されなくなったりなど、状況に応じて使い分けることで、より有利に戦闘を進めることができる。「勇技」の習得には、スキルツリー上で隣接する3つのスキルを解放することで自動習得できる。
機械を操作するオーバーライド
人間にとって脅威となる機械。これを味方にできる「オーバーライド」も本作には実装されている。
機械獣をオーバーライドすれば、プレイヤーの味方AIとして、自動で敵と戦闘してくれる。多勢に無勢な状況でも、機械一体をオーバーライドするだけで、戦いやすさが全然変わってくる。
また、オーバーライドすると馬のように跨って高速移動できる機械も存在する。広大なフィールドを素早く駆け回れる機械獣に跨がれば、移動もより快適になる。
更に本作からは、新たに空を飛べる機械に乗ることもできるようになり、移動の幅が広がった。
前作の主人公アーロイが、世界全体を救うストーリー
本作は、前作の正式な続編に当たるため、ストーリーも前作の要素を色濃く残したうえで、新たにアメリカ大陸西側を舞台とした物語が展開される。
主人公の少女「アーロイ」たちの住む世界は、高度な文明があったと思われる遺跡が世界各地に点在し、かつそこら中を機械でできた生命体が闊歩する、非常に不思議な世界。そのような世界で人類は、槍や弓などの原始的な装備を使用し、狩りをしながら生活をしていた。
そんな中、突如として訪れた機械たちの暴走、及び謎の組織「イクリプス」により、「アーロイ」達の住む地域「メリディアン」が崩壊の危機を迎えてしまう。しかし「アーロイ」は持ち前の勇気と知略で見事に危機を脱し、それを見ていた人々は彼女のことを「メリディアンの英雄」と呼び、讃えていた。
しかし、メリディアン救済を祝う式典の最中、「アーロイ」は突如として姿を消してしまう。彼女曰く、大地がどんどんと赤く腐敗していく様を目撃し、このままでは世界が崩壊してしまうことを危惧しているとのこと。どうすればこの腐敗を止めることができるのか、「アーロイ」は一人で世界中を旅していた。
そんな中、前作から因縁の繋がりがあり、「アーロイ」をよく知る人物「サイレンス」より、アメリカ大陸の西に、世界を救う重要なヒントが隠されているとの情報を受けた「アーロイ」は、好戦的で危険な部族と言われる「テナークス族」が住むアメリカ大陸西側に向け、冒険に出かける。
果たして「アーロイ」は腐敗を止め、世界を救うことができるのか、新たな物語が幕を開ける。
◆このゲームの良い点
どこまでも行ける美麗なグラフィック!
本作の魅力は、やはり超美麗なグラフィック。ムービーシーンでもプレイアブルシーンでも、画質の粗さが変わることは無く、シームレスに切り替わり、かつ水の反射や光の影等、細部にわたってこだわり抜かれた美麗なグラフィックは、本作の最大の強みといっても過言ではない。筆者がプレイしたPS5版ともなると、本当に実写のように、まるでその場にその人やその景色があるかのような没入感がある。
ゲームの世界に登場する舞台も、一面砂だらけの砂漠や、巨大な木々に覆われた森林、吹雪が吹き荒れる雪山など、実にさまざまな光景が広がっている。フィールドを旅して回るだけでも、小旅行をしているかのような気分を味わえた。
また、オープンワールドの強みである「移動範囲の自由度の高さ」も健在。基本的に「行けない場所はない」と言っても過言では無いため、岩壁を上り下りして行けば、自分の思った通りの場所まで足を運べる探索性の高さは良かった。
膨大なやり込みと丁寧な作り込み!
オープンワールドと言えば、メインクエスト以外にも様々なサブクエストやミニゲームが用意されている大ボリューム作であることで有名。もちろん本作でも、それらの要素は引き継がれていた。
ストーリーに出てくる登場人物をより掘り下げたり、その地域で起きている問題を深くまで理解できる「サイドクエスト」や、比較的早く終わり、経験値稼ぎや素材稼ぎ等がやりやすい「サブクエスト」は、前作よりもボリュームが増えた。また、各地に点在する遺跡で収集物を集めたりする収集要素も関西。サイドクエスト関連全クリ、収集物全クリをしようものなら、それこそ50〜60時間以上は遊べてしまう。
続いては、本作から新たに追加されたミニゲームである「ストライク」。駒ごとに移動力、攻撃力、体力、特殊能力が異なっており、相手の駒の内容や配置、盤面の地形を読みながら、最適な一手を出していく、まるでチェスのようなゲームだ。
駒は商店で購入できたり、サブクエストをクリアして入手したりできる。世界には強力なストライクプレイヤーがいるため、全員を倒すようやり込むのも楽しい。
その他にも、前作からあった、ハンティングの腕前を試す「狩場」や、強力な機械と戦って勝利する事で特別な装備をもらえる「闘技場」、対人間を想定したコンボ練習や、強力な戦闘能力を持つ師範達と戦う「訓練場」など、ボリューム満点だった前作をも超える量のコンテンツが用意されている。これ1本買うだけで、1ヶ月近くは遊べると言っても良いだろう。
また、オープンワールドでは頻繁に利用するファストトラベルについては、ロードの速さも凄かった。筆者はPS5版でプレイしたが、1秒かかるかどうか、位でファストトラベルが完了するため、ロードに悩まされることはなかった。
他にも、ゲームが崩壊するようなバグも一切無かった点は高評価できる。ムービー中に表示される字幕に黒帯がつき、ちょっと見辛くなる瞬間があったことや、倒した機械に埋まる形でNPCが入り込んでしまう現象が一回起きたのが気になったのみで、それ以外では何も不具合は起きず、快適にプレイできた。
あらゆる場面がフルボイス!
サイドクエストやサブクエストでの会話はもちろんのこと、街にいるモブキャラにまで声が当てられている点は、流石としかいいようがない。立ち話している内容を盗み聞きするだけでも、かなり面白い会話をしていることも多く、散策や会話が楽しかった。
プレイすればわかる、アーロイは綺麗だ!
本作のMVが発表されてから良く話題に上がっている、アーロイの見た目がブス問題。ただ、実際にプレイしてみると、そんな気になる場面はなく、かなり見た目の整った綺麗なキャラクターであると感じた。
そばかすやシミがあったりする描写はあるものの、そもそも原始的な生活を続けているような世界で、現代的な化粧や美容などを施されるはずも無く、更に過酷な戦いに身を置き続けているのがアーロイ、という点を考えると、そのような見た目も全く違和感には感じなかった。
SNSなどで拡散されている姿は、本当に一部の瞬間を切り取っただけに過ぎない。プレイキャラの見た目が気になるような人でも、まったく問題なくプレイできるはずだ。
◆このゲームの悪い点
目新しい要素は薄目…
良い点にも挙げた通り、本作はこれまでの多くのオープンワールドゲームの良い点を吸収し、かつ前作の要素を引き継いで丁寧に作られた良作と言える。
が、その反面、「こんなのは他作品では見たことがない!」といった目新しさや驚きが薄い。どんな要素も、必ずどこかのオープンワールドゲームで見たことある既知感を感じてしまう。
そのせいか、道中に頻発する壁登りがひたすらに退屈に感じてしまう。目的地に行くために、崖や建物の間を登る動作が頻繁に発生するが、物語終盤に近付くほど、その行動が億劫になっていくように感じた。
新要素であるプルキャスターと水中遊泳も、むしろ入れる必要があったのか?とも思える場面が多い。プルキャスターを使って機械を引きずり倒すことができるわけでもなく、遠い場所まで一気に移動できるわけでもない。ジャンプでちょっと届かない距離を移動できたり、通気口の蓋を開けたりできるだけだ。水中遊泳も、ただ泳げるだけで攻撃は全くできず、何か新しいコマンドがあるわけでもない。
オープンワールドをあまりやったことない人は、これらの要素は全く気にならず、むしろ「本作は神ゲーだ!」と思うだろうが、オープンワールドゲームをよくやっている人は、「何となくどこかの作品で見たことあるな…」という既知感にさいなまれ、退屈な印象を受けてしまうかもしれない。
…ただ、ここまでオープンワールドゲームが出尽くしている今、「もっと革新的な要素を入れろ!」というのも酷なのかもしないが…
ストーリー展開は不満あり…
前作「ホライゾンゼロドーン」は、その濃厚なストーリーも大きな評価ポイントだった。が、本作のストーリーは前作ほどの面白さは無かった。
その理由は大きく2つある。
まず一つは、前作を完全把握した上でのストーリー展開となっていること。続編である以上、ストーリーが繋がっていることは仕方がないが、前作の振り返りはほぼなく、前作のストーリー終わりからそのまま物語が繋がっている。前作をやっていないのであれば、
- 登場人物はいったいどんな立場の人間なのか
- この世界はどうしてこうなったのか
- 過去にどんな出来事があったのか
など、ストーリーを楽しむ上での前提知識がかけたままになるので、ストーリーにまったく付いていけないだろう。筆者は前作をプレイしたのは数年前だったので、登場人物の何人かは、「あれ、この人誰だったかな…?」というのがわからないまま、物語を見ていることが結構あった。
もう一つは、前作よりもストーリー自体の深みが薄いこと。前作はプレイヤー自身も、世界の謎やアーロイの出生の秘密が分からないまま、それらを解明するようにストーリーが展開されていく。そのため、「この先はどうなっていくのだろう?」という興味が大きく働き、ゲームの止め時がわからなかった。
しかし、本作はそれらの謎の多くが明らかになった上でのストーリーが展開されているため、過去作に比べて深みが無い。もちろんつまらない訳ではなく、「悪を倒すために、仲間と力を合わせて困難に立ち向かう」という王道RPG的なストーリーで、最後には胸アツな展開が待っていたのは良かった。しかし悪く言えば「ありきたりな展開」であり、前作にあった「深み」が無く、「早く次が知りたい!」というような感覚は薄かった。
戦闘はかなり大味…武具強化もやりづらい…
前作の戦闘と本作の戦闘を比べると、本作はかなり難易度が上がったように感じる。
対機械では、こちらが回避する先目掛けて攻撃を飛ばしてきたり、もはや回避が不可能とも思えるような広範囲技を連発してきたりと、理不尽とも思える技を使ってくるようになった。更に同じ機械の攻撃でも、技によってはすぐに攻撃が飛んできたり、ちょっと遅延をかけてきたりと、まるで高難易度で有名な「フロムソフトウェア社」のゲームをやっているかのような場面が頻繁に見られた。
対人間は機械よりも厄介。人間だけと戦闘になる場面はまずなく、かならず機械が1体か2体かは敵側に付いているため、強力な機械と数の暴力で押してくる人間とを同時に相手しなくてはいけない場面ばかりとなる。
また、弱点である頭にヘッドギアを付けている敵も多い印象。前作は遠距離から弓で頭を撃ち抜き、一人ずつ的確に減らしていく戦法が取れたが、今作は多くの敵がヘッドギアを付けているので、ヘッドショットしても倒しきれず、そのままこちらの居場所がバレてしまうことも頻発する。
正面戦闘になった後も大変。こちらは回避しかできないが、敵はガードにパリィ、ステップと様々な防衛コマンドを持っているため、中々思ったような近接攻撃を決められない。更に隊長クラスの敵になると、前面を覆い隠し、こちらの攻撃を全てガードするシールドを展開するようになるので、なおさら戦闘が長時間化しやすく、回復薬切れとなってジリ貧で負けてしまう場面も目立ってくる。
こういった敵と互角以上に戦うためには武具の強化が必要なのだが、このシステムもまたかなり大味。武具の強化には機械の特定個所からはぎ取れる素材が必要になる。その素材を手に入れるためには、該当の機械の生息地に出向き、切断能力の高い武器で、切り離すべき部分を的確に攻撃し続ける必要がある。が、1回攻撃したらすぐ切断できるわけはない。1回攻撃して位置バレして撤退、をずっと繰り返し、やっと1個獲得できる、という位。さすがに何度もこれをやっていると退屈な気分になってくる。
筆者は通常難易度である「ノーマル」でプレイしたが、それでもかなりの回数ゲームオーバーになった。前作経験済みで、アクションゲームも頻繁にやる筆者がノーマル難易度でやられまくったので、アクションゲーム経験の浅い人はクリアすら不可能なのではないか。
一応、難易度を一番下の「ストーリー」とすれば、敵から受ける攻撃もかなり少なくなる上、武具強化に必要な素材も入手しやすくなる。なので、難易度を一番下まで下げ、安全に素材を大量獲得して武具を強化し、徐々に難易度を上げていく、というやり方がが一番簡単なのだが、それを推奨するのもいかがなものか…とは感じた。
◆まとめ
全体通して良作品である「Horizon Forbidden West」。面白くない、惹かれない、というような辛辣なコメントを書いたが、オープンワールドをあまりやったことのない人には、非常におすすめできる作品であることは間違いない。機械を相手にオープンワールドでハンティングするのは、やはり本作にしか無い、面白いポイントといえよう。
迷っている位なら、買ってやってみても損はしないはずだ。
では!