今回は、「デモンズソウル」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事の情報は2021/7/10時点を元にしている)
PS3時代にフロムソフトウェアより発売された本作。ダークソウルや仁王などのような高難易度ゲームの礎を築いた作品である。
そんな稀代の名作が、PS5向けにリマスターされて発売!PS5を持っているゲーマーとしては、これはやらない訳にはいかない!…ということで購入!ラスボスクリアまでプレイした感想をまとめていきたい。
ちなみに筆者はPS3版はやったことがない状態でプレイした、いわゆる初見プレイだ。その前提で本記事を読んでほしい。
◆個人的感想
総評
高難易度ゲームの元祖にふさわしい、非常に難しいゲームだった…特に序盤はひたすらに辛く、泣きそうになったほど…
ただ、頑張れば絶対クリアできる絶妙な難易度はさすがである!「もうやりたくない!」と投げだしそうになった時も、「でもこういう戦い方をしたら勝てるのかな…」と思わず手を伸ばしてしまう中毒性があった。
一部理不尽でイライラする要素もあったり、「リマスター」という過去作を現代ハードに最適化したのみで、コンテンツの全体量は昨今のゲームにしては少な目だが、そこを差し引いても非常にやりごたえのある良作と言えること間違い無しだ。
◆このゲームの特徴
基本一本道の高難易度アクションゲーム
本作は、「禊の神殿」という拠点を中心に、様々なマップに向かい、雑魚敵を倒しながらマップのボス攻略を目指す、基本一本道のアクションゲームである。
オープンワールドゲームでは無いので、行ける範囲は限られているし、サイドクエストも無い(一応、特定条件を達成することで会える専用NPCがいるため、それをサイドクエストというなら多少はあるが…昨今のゲームのサイドクエスト量には圧倒的に及ばない)。また、アクションゲームと言えど、昨今のゲームと比べるとコマンドの種類が少なく、できる行動範囲は狭め。何回か操作すればすぐに覚えられるだろう。
「そんな一本道でアクション少な目なゲームなら、クリアなんて余裕じゃん」なんて思うことなかれ。本作は雑魚敵であっても気が抜けないレベルで強力で、囲まれれば一瞬で体力を削られるし、1発食らうだけで体力を半分削って来る雑魚敵もいる。ボス戦はもっと鬼畜で、広範囲にわたって高火力の攻撃をいくつもぶつけて来るため、基本は負けること前提の難易度だ。何度も挑み、敵の癖を見抜き、発見と成長に繋げながらクリアを目指すゲームなのである。
キャラレベルを上げ、武器を鍛え、新たな魔法を取得し、更なる強敵へ挑む
ボスはもちろん、雑魚敵すら強い本作で攻略の鍵となるのは、キャラのレベル上げ、武器の強化、新たな魔法の習得にある。これには、敵を倒したり、専用アイテムを使用して入手できる「ソウル」を用いる必要がある。
まずはキャラのレベル上げだ。キャラのステータスは、体力、知力、頑強、筋力、技量、魔力、信仰、運の8つのジャンルに分けられている。どれを強化しても必要なソウル量は変わらないが、レベルを上げるほど必要なソウル量も上がってくるので、どんな方向で強化したいか、事前に考えながら強化していく必要がある。また、ゲーム起動時に選択する「生まれ」も重要。貴族や戦士など、「生まれ」の種類は全部で10個。それぞれ初期ステータスが違うので、ここでどの「生まれ」を選ぶかによって、今後の成長の方向も大きく左右される。
続いて武具の強化。こちらはソウルだけでなく、専用の強化素材も必要になる。強化素材は敵を倒すことで入手可能だ。武器によっては、途中から別の武器に派生するものもある。単純に攻撃力を上げたい場合は、ステータス強化よりも武器強化の方がより効果的だ。
最後に魔法の習得(厳密には奇跡と魔法でジャンルが違う)。MPを消費して体力回復や毒の治療などを行う。アイテムが枯渇した時の救世主になってくれること間違い無しだ。
オンラインで他プレイヤーと協力、戦闘が可能
マップを歩くと、至る所に赤い印が付いている。これは他プレイヤーが残したメッセージだ。「この先はこんな危険があるよ」といったようなお役立ち情報から「がんばれ」などの励ましまで様々なメッセージが残されている。それを読めば、警戒すべき場所を事前に把握できたり、貴重なアイテムを入手できたり、攻略する上で非常に重要な情報源となる。
赤い印は他にもある。道中に意味深に置かれた血痕…これに触れると、その付近でやられた他プレイヤーの動きを映像表示してくれる。
これらはマップ上に印をつけるだけだが、これ以外にも、オンラインで繋がった他プレイヤーと実際に協力したり、対戦したりも可能だ。専用のアイテムが必要になるが、基本シングルプレイとなる本作でPvPのオンライン要素を楽しめる唯一の方法である。
濃霧に包まれた世界を救う物語
ストーリーの舞台は、「ボーレタリア城」という城を持つ大国「ボーレタリア王国」である。ボーレタリアの王「オーランド」が解放した古の獣により、正体不明の濃霧が世界中に広がり、その濃霧に飲まれた人間は狂暴化し、周囲の人間を襲うようになった。濃霧は世界中に広まり、世界がどんどん崩落へと向かう中、数々の戦士が問題解決のために濃霧の中に足を踏み入れたが、一人として生還したものはいなかった。
主人公も、濃霧へと向かう戦士の一人。迫りくる大量の狂暴化したボーレタリア兵を倒しながら先へ進んでいくが、突如現れた強力な敵に負けてしまう。「負けてしまった…自分も生還できないのか…」。そう思った最中、見ず知らずの神殿で主人公は目を覚ます。すぐそばには、黒いローブをまとった謎の女性が立ち尽くしていた。一体この女性は何者なのか、ここはどこなのか、なぜ自分は生きているのか…訳も分からないまま、謎の女性から使命を与えられた主人公は、再び霧に包まれたボーレタリア城へと足を進めていく…
◆このゲームの良い点
「クリアなんて無理!」と思うような敵でもクリアできる絶妙な難易度!
このゲームの一番の良い点はまさにここ。他のサブ要素は少ないながらも、この部分の出来栄えが非常に良く、ここを遊ぶだけでも、本作を大きく楽しむことができる。
最初のボスを倒すまでは、どのプレイヤーでも比較的順調に進める。だが、それ以降登場するボスはどれも超強く、脳筋オラオラで勝てるほど簡単ではない。
やたらと広い攻撃範囲、無駄に速い動き、いつが攻撃の止め時なのかわかりずらい連撃など、挙げたらきりがない。中には理不尽とも思える戦いを強いられることもある。高難易度ゲームに慣れていない人は、「こんなのどうやったらクリアできるんだよ!」と投げ出したくなってしまうだろう。筆者も、各ボス相手に、基本的には5回はゲームオーバーになっていた。ボスによってはあっさり倒せるものもいるが、苦戦したボスはそれこそ20回はやり直した。
でも、何度も挑戦し、敵の攻撃をじっと見ているうち、敵の攻撃パターンやリーチの長さ、隙などが見えて来る。
- 連撃は3回までで、3回目が終わったら弱攻撃2発だけできる隙があるな
- この攻撃、こっち方向に回避すると必ず攻撃が当たらないな
- この構えの時は回避、この構えの時は走ってスルーするのがいい回避方法だな
などといった、対応方法に気付けるポイントがある。そこを突いて確実にダメージを与えていけば、必ずクリアできるようになっている。
この絶妙なバランスは「さすが!」としか言いようがない。苦労してボスを倒した時の達成感は、何者にも変え難い感動を与えてくれること間違い無しだ!
エンディングを迎えた後は、周回プレイが可能になる。雑魚敵もボスも、全員のステータスが飛躍的に上がるため、更なるレベル上げやプレイング力向上を求めていくやり込みができた。
PS5のスペックをフルに活かした美麗なグラフィックと早いローディング!
もとはPS3時代に発売された作品を、最新ハードであるPS5向けにフルリマスターした本作には、その良さをしっかりと受け継いでいる。
まずはなんといってもグラフィックの良さ。パフォーマンス優先モードの画質にしても、敵の肌感や武器の光沢など、細部にわたって綺麗に描かれており、PS5のスペックを遺憾なく発揮している。グラフィック重視にした場合はさらに綺麗な映像に囲まれたプレイでき、まさに「実際に自分がその場にいるよう」だ。もちろん、グラフィック重視にしてもゲームプレイには何の影響も出ない。
加えて、ロードの速さも魅力。ゲーム起動時、マップ移動時、ゲームオーバーになってリスタート時、どの場面でも数秒のロードを挟むだけですぐさまゲームプレイできる。何度も負けて再挑戦を繰り返すスタンスの本作では、ロード時間の短さは非常に重要な要素だが、その点は一切の不満なくプレイできた。
ビルド構築の幅の広さ!人によって多様な戦い方ができる!
ゲーム開始時に選んだ「生まれ」とソウルによるレベル上げによって、キャラの特徴は大きく変わる。近距離攻撃ゴリゴリの脳筋タイプにもできるし、魔法を極め、敵を近づかせず圧倒する魔法使いタイプにもできる。
このビルド構築の幅の広さも非常に良い点だった。一度クリアした後も、「次はこのビルドで進めてみようかな」と感じ、新たなキャラを作り直してしまうほどだ。
◆このゲームの悪い点
ステージ構成がひどい…敵よりもステージにイライラする…
本作のステージに登場する通路は全体的に狭く、道中の雑魚敵を避けるのが非常に難しい。マップによっては「落ちたらゲームオーバー」な崖の端をずっと進むところもあり、攻撃やガードをしたら崖下に落下してゲームオーバー、といったことがザラに起きた。
雑魚敵の強さも相まって、ボスよりもステージ構成にイライラすることが多く、この点は快適なプレイを損なっているように感じて残念だった。
説明不足がとにかく多い…初見プレイは攻略サイト必須…
本作に用意されているチュートリアルは、剣の振り方、走り方、回避の仕方くらいの、本当に最低限しかない。ソウルを何に使うのか、実体と霊体の違いは何なのか、黒傾向白傾向とは何なのか…といった、あらゆる要素の説明が無い。なので気付いた時には、大きな損失を負ってしまっていることもある。
特に不満だったのが、「ある行動を行うと、ステージの敵の強さが上がる」という説明が無いため、気付いたらやたらと敵がつよい、といった事態になったこと。一応、他のステージを進めてレベルや装備を強化しておけば攻略できたが、その説明が無くひたすらに苦行を強いられていたことを知った時は愕然とした…
ゲームを始めたばかりの人は、「何が何でも自分で何とかするんだ」という人でない限り、攻略サイトを確認し、どんなゲームシステムなのかを確認することを強く推奨する。
コマンド入力が遅れて反映されるのは致命的…
「敵から攻撃が来た!回避しよう!…あー、タイミングが合わずダメージを受けてしまった…」高難易度ゲームには良くある場面。そんな時、本作ではなぜか、ダメージを受けて起き上がると同時に、ボタンを押していないにも関わらず回避行動をとることがある。
おそらく、攻撃を受けて倒された時に回避コマンドを押した際、入力された情報がそのまま保持され続けているのだろうが、個人的に、これにはかなりイライラした。
アクションゲームである以上、何が何でも回避したい!と思った際に、ボタンを連打してしまうのはよくあること。回避するにもスタミナを使うし、何より硬直による隙ができる。1発食らうだけでピンチになりやすい本作で、このような自体が頻繁に発生するのは流石に厄介だった。
筆者が下手だ、と言われればそれまでだが…他にも本作のような高難易度ゲームは良くやってきて、ここまでローリング回避に苦戦する作品は無かったので、本作が特殊なのではないか、と感じた。
ストーリーは良くわからない…ただししっかり調べれば考察し甲斐あり!
本作のストーリーは…うん、イマイチよくわからない。「なんか世界がやばい状態になっていて、自分には世界を助ける役目があって、なんとかラスボスまで倒せましたね。」というレベルしかわからない。
ゲーム開始時は魅力的なストーリー導入に引き込まれたが、JRPGのような「壮大なエンディングに向かって様々な伏線を膨らましながら物語を紡いでいく」ということは一切ないので、ゲームにそういった部分を期待している場合は購入を見送ったほうが良い。
ただし、細かく目を凝らして情報を集めると、ストーリーを考察できるポイントが、マップ内、アイテム内、登場するとの会話などに張り巡らされている。それらの情報を一つ一つ集め、考察を深めていけば、普通にプレイするだけでは語られることの無い背景まで把握することができる。そういった「考察」を楽しいと感じる人であれば、ここは悪い点ではなく、寧ろいい点といえるだろう。
◆まとめ
高難易度ゲームの元祖である本作。PS5の機能をフルに活かし、爆速ロードと美麗なグラフィックに包まれながら、ぜひとも全ボスの攻略を目指してみてほしい!やりがい十分なアクションゲームがあなたを待っているぞ!
では!