今回は、「Bright Memory Infinite」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
中国の個人インディーゲームデベロッパー「FYQD-Studio」が作成した「Bright Memory: Infinite」。もともとPC版が2021/11/12に配信されていたが、2022/7/21にPS5版が発売された。
YouTubeで「美少女が戦うFPS作品」ということは事前に聞いていたため、どんなものか気になっていたが、PS5で発売されたということでさっそく購入!
トロコンするまでやり込んだため、本作の特徴や良い点、悪い点をまとめていきたいと思う。
なお、本作は「Bright Memory」という過去作が存在するが、筆者は過去作はやっていない。その前提での評価となっていることをご了承いただきたい。
◆個人的感想
総評
綺麗なグラフィックに、銃、光刃、気功を駆使した快適でスタイリッシュな戦い、それらのパフォーマンスを安定して発揮できるのになんと2000円とお手頃な価格!と、全体的に非常に出来の良い作品となっていると思えた。
ゲームは1周だけ遊んで終わり!という人はボリューム不足を感じるだろうが、より高難易度のクリアを目指して繰り返しプレイするタイプのプレイヤーであれば、値段以上に楽しめる。
そして何より、主人公が可愛い。かなり可愛い。美少女が銃や剣を使って多くの敵をバンバン倒していくことに爽快さを覚える人であれば、ドはまりできるはずだ。
インディーズゲームということで、細かな不具合が出ることもあるが、それでも値段以上に楽しめる、オススメできる作品といえよう。
こんな人にオススメ!
- オフラインのキャンペーンゲームが好き!
- 銃や剣などを使ってかっこいいアクションができるゲームが好き!
- あまりゲームにお金がかけられない…
- 美少女好き!
という人にはオススメできる。逆に
- FPSやるならマルチプレイがしたい
- AAAタイトルレベルにボリュームがある作品がやりたい
- ストーリーがしっかりとした作品がやりたい
- FPS慣れしていて歯応えある作品がやりたい
という人は購入を止めた方がいいだろう。
◆このゲームの特徴
キャンペーンモードのみのFPS
本作は、昨今のFPSにしては珍しく、キャンペーンモードのみが用意されたFPSである。しかも、サブクエストが色々用意されているオープンワールドというわけでも、ゲーム中に登場する選択肢によってストーリーが変わるマルチエンディングというわけでもなく、登場する敵を次々に倒し、最後に待ち構えるボスを倒して次のステージへいく、という、昔からよくある1本道の王道キャンペーンだ。
銃で敵と戦うPhはもちろん、FPSのキャンペーンにはよくあるステルスチャプターや、まさかのカーチェイスを行うチャプターもあるなど、場面場面のステージ展開もしっかり作り込まれていた。
銃・光刃・気功を扱うアクション
本作の戦闘アクションは、銃、光刃(いわゆる剣)、気功の3種類を駆使して戦う、あまり例を見ないタイプのアクションを採用している。
銃アクション
本作に登場する銃は、
- 連射が効き、安定性のあるアサルトライフル
- 近距離へのダメージが大きいショットガン
- 弾が反射して付近にいる別の敵も攻撃できるハンドガン
- 連射力はないものの、強力な火力を持つスナイパーライフル
の4種類。それぞれの銃を、戦況に合わせて適宜切り替えて戦っていく。
また、各武器に1種類「特殊弾」という強力な弾が用意されている。例えばショットガンであれば、弾が当たった敵を炎上させ、炎ダメージを与えられたり、ハンドガンであれば弾速が非常に遅く当てづらいものの、非常に強力なダメージを与えられる。
各武器の弾薬や特殊弾は、マップの各所に落ちているため、道中でそれらを集めていく必要がある。
光刃アクション
光刃という剣を用いたアクションも初めから使用可能。近距離限定ではあるものの、スタミナの許す限り、素早く連続して切りかかることができる。
威力はかなり高く、雑魚敵であれば1発で仕留められるほど。スタン性能も高いため、敵の動きを一時的に止めることもできる。
溜め切りすることで敵を宙に打ち上げる踏み込み斬を放てたり、後述するスキルを習得すれば遠距離まで届く斬撃を飛ばせたりと、銃にも負けず劣らずの性能を持てる。
更に、光刃を用いたガードやパリィも可能。敵の攻撃前にR1ボタンを押せば、大体の敵の攻撃をガードしてやり過ごせる。敵の攻撃が当たる直前にR1ボタンを押せばパリィが発生し、近距離攻撃に対してのパリィであれば敵のシールドを壊せたり、敵を大きくひるませたりすることが可能。遠距離攻撃に対してのパリィであれば、飛んできた攻撃をそのまま相手に跳ね返せる。
パリィをすることで、自動的に武器のリロードまでできてしまうため、銃と光刃とを組み合わせ、とめどない連撃を食らわせることもできる。
気功アクション
これは他のゲームでもあまり見ない要素だ。言い換えると超能力のようなもので、遠距離の敵を一気に引き寄せたり、遠距離まで届く強力なパンチを放てたり、地面を殴りつけて衝撃波を飛ばしたりと、光刃アクションの派生版のような技が出せる。
「玉璽」を消費して強化するスキル要素
本作には経験値という概念は存在しない。その代わり、フィールドに落ちている「玉璽」というアイテムを回収し、一定数消費することで、新たな剣/気功の技を獲得したり、各武器の持つ特殊弾の性能を引き上げたりできる。
どのスキルをどの順で開放していくかはプレイヤーにゆだねられているため、気功をよく使うなら気功系から、銃をよく使うなら特殊弾系から、自分のプレイスタイルに合わせて強化順を決めていく。
おしゃれなスキン要素
主人公や武器、光刃に対して、自由にスキン変更を行うことが可能。
主人公のスキンに至っては、色が変わるレベルではなく、水着になったりチャイナ服になったりと、もはやギャルゲーか?と思うほど格好が変わる。
主人公や武器のスキンは、ゲームプレイ中やムービーなどにもしっかりと反映されるため、お気に入りのスキンでゲームをプレイする楽しみがある。
美少女が世界を救う物語
本作の主人公は、「超自然科学研究機構(通称SRO)」に所属する超絶美少女隊員の「シア」という女性だ。こんな身なりをしているが、実際は戦闘力の高いトンデモ兵士で、並の兵士ならまず勝てない。空中ジャンプや壁走りだってお手の物だ。
そんな2036年のある日、世界各地の空に原因不明の異変が発生した。「SRO」は異変を調査するため、各地に調査員を派遣、メンバーの1人である「シア」も現地へ派遣される。
現地に到着した「シア」は、空に巨大なブラックホールが発生しているのを確認する。一体このブラックホールはなぜできたのか?一体世界はどうなってしまうのか?異変の裏に存在する、世界の存亡に関わる謎が明かされていく。
◆このゲームの良い点
スピーディかつ超爽快なゲーム性が楽しい!
銃で撃つモーション、光刃を振るモーション、気功を放つモーション、全てがぬるぬると動き、プレイヤーの思った通りの戦い方が瞬時にできる点は「爽快!」の一言。操作に慣れてしまえば、
- 近距離にいる敵をアサルトライフルで倒し、
- すぐそばにいる大型の敵を気功で吹き飛ばした上で、
- スナイパーライフルで遠距離の敵を撃ち抜く、
といった芸当だってできる。これらが決まると、正にスーパーヒーローになったかのような気分に浸れること、間違いなしだった。
登場する敵も、アサルトライフルやスナイパーライフルのような現代武器を持った敵、大型の近接武器を構えて力任せに振るってくるもの等、いくつかバリエーションが用意されている。
襲ってくる敵に対し、銃だけ使っていれば勝てるか、というとそんなことは無い。敵によってはシールドを構えており、シールドを削らないと銃では満足にダメージを与えられず、ズンズンとこちら目掛けて近づいて来るタイプもいる。そういう敵には、攻撃に合わせてパリィすれば一気にシールドを削ることができるため、安定して倒せるようになる。
パリィ以外にも、強化した光刃や気功を駆使すればシールドもろとも吹き飛ばすことができる場合もあるため、状況に応じて戦術を変えていく必要が生じ、銃撃一辺倒にならない楽しさがあった。
値段が安い!にも関わらず意外とボリューム有り!
本作の値段は、PS5版でなんと2000円と非常にお手頃!にも関わらず、本作のキャンペーンは結構しっかりとした作りをしており、順当に進んでも2時間はかかるボリュームはある。
更に本作の良さは、クリア後にこれまで確保したスキルや武器をそのまま引き継いで、より難易度の高いゲームモードに挑める点。難易度は
- 余暇(いわゆるイージー)
- 暴力(いわゆるノーマル)
- 復讐(いわゆるハード)
- 地獄(いわゆる最難関)
の4段階があり、地獄をプレイするにはハードのクリアが必須なため、最低でも2週が必要だ。そうなれば、4時間以上のボリュームを持ったスタイリッシュFPSアクションを2000円未満で遊べることとなり、非常にコスパの良い作品だと思えた。
その反面、1周のプレイ時間自体は短いため、周回プレイをやらない人にとってはボリューム不足に感じる。ここはプレイスタイルによって分かれるので注意してほしい。
FPS初心者でもプレイしやすい設計!
FPS初心者だと、敵を狙うのにも一苦労になりがち。しかし、本作はエイムアシストが異常なまでに強力にかかっている。
- 敵の大体近くまでエイムを持っていけば、勝手に敵の体にエイムが向いてくれる
- エイムしたまま敵のそばを通過すると強烈なスローダウンが発生
と、FPSに慣れてない人でも問題なくプレイできるはずだ。
また、敵からダメージを受けても、一定時間経てば自動的に回復してくれる点も、初心者のやりやすさの助けとなる。「ヤバい!」となったらすぐに岩陰に隠れて少し待てば、すぐに体力回復して戦線に戻ることができるため、「遮蔽管理ができない…」という人でも、低難易度であればゲームオーバーにならずにクリアできる。
2000円とは思えない美麗グラフィック…
本作のグラフィックは全体的に暗めで見辛いところはあるものの、敵の表情や水のきらめき、各種エフェクト等が美麗に作られている。とても2000円で買えるゲームのグラフィックとは思えない。
テクスチャが崩れたりする場面が全くない、というわけではないが、それも一瞬変になる場面が現れるくらいで、そこまで気になるほどでもなかった。
◆このゲームの悪い点
FPS慣れしたプレイヤーには、ラスボス以外は簡単…
本作は、難易度によって敵の数や配置が変わる、といったことは無い。また、ボスはともかく、雑魚敵の体力や防御力も難易度変わらず一定のようだった。変わるのは、敵から受けるダメージの大きさが増加するくらいだ。
強烈なエイムアシストの存在も有り、FPS慣れしている人は、敵からダメージを受ける前に倒しきることができてしまい、かなり簡単にゲームを進められる。実際筆者も、難易度ハードでさえ、1回もやられること無くクリアすることができたほどだ。
ただし、ラスボスは話が違う。最高難易度「地獄」でのラスボスは非常に骨が折れる戦闘を迫られるため、そこだけはFPSプレイヤーでもやりごたえを感じるだろう。
(ただ、どっちかというと「ダルい」という印象の方が多かったような気がするが…)
QTEが少し不安定…
QTEとは、ムービーや戦闘の合間に突如として「このボタンを押せ!」という表示が現れ、その通りのボタンを決められた時間内に押さないと、ゲームオーバーになったりダメージを負ったりと、プレイヤーにとって不利な結果を生み出す要素。ゲームの世界にプレイヤーを引き込み、より一体感を得られるものとして、昔から存在する要素なのだが、ムービーを落ち着いて見たり、戦闘に集中したりすることができないため、筆者はあまり好きではない要素の1つだ。
本作では数こそ少ないが、場面場面でQTEが発生する。しかもそのその時の反応精度があまり良くない。画面に押すべきボタンが出てきてからすぐ押すと反応してくれず、現れてから少したってから押さないといけない。QTEの受付時間も結構短いので、押しているはずなのに反応せず、そのままゲームオーバーになることがちらほらあった。
ボタンを連打していれば一応クリアできるので、QTEが出現した時はボタン連打して乗り越えよう。(だったらこの要素自体消していいのでは?とも思うのだが…)
ストーリーはあっさりし過ぎてよくわからない…
本作のストーリーは、深みや伏線等は全くと言っていいほどない。それどころかあまりにもあっさりしていて、「なんか主人公が危機を救ったんだな」くらいしかわからない。
- 助力に来てくれる味方と主人公はどういう関係なのか?
- ちょいちょい登場する古代の兵士はなぜ復活したのか?
- ストーリー最後に登場する未知のアイテムは結局何なのか?
など、プレイしている中で色々疑問に思う場所を全く回収せずに終わる。
シングルキャンペーン限定のゲームなのだから、ストーリーにはもう少し気を使い、やっていて「引き込まれる!」「面白い!」と感じるようなストーリーを作って欲しかった。
◆まとめ
安価ながらも値段以上に楽しめる良作品であった「Bright Memory Infinite」。初心者でもやりやすい手軽なゲーム性で、綺麗なグラフィックと爽快なアクションを同時に得られるため、多くの人にオススメできる作品だと感じた。
サクッと遊べるので、是非とも購入をオススメしたい!
ちなみに、このゲームは、ストーリーやグラフィック、戦闘システムなど、ゲームシステムのほとんどをたった一人で作成したらしい。世の中にはとんでもない才能を持った人がいるようだ…
では!