今回は、PS5版の「GUNDAM EVOLUTION」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事は2023/1/17時点の情報をもとにしている)
◆個人的感想
総評
ガンダムを元に、本格的なチームシューターができる作品。
狭めのマップに、ブーストを活かしたスピード感のある戦いができ、退屈を感じることのない、手に汗握る戦いが常にできる点は非常にアツい。また、銃だけを使った泥臭い地上戦ではなく、機体毎に用意された様々なスキルや特徴を駆使して戦うことで、撃ち合い以外の部分でもチームへの貢献ができる点も嬉しい。機体の体力もほどほどに高く、初心者がすぐに倒されてしまうような自体にもなりにくい。
ただ、登場する機体や、パイロットの設定的に、ガンダムにする必要が無いように感じられる部分が多い。ゲームシステムも「しっかりとしたFPS」のため、FPSをやったことない人にとっては、「FPS」というそもそもが難しいゲーム性に根負けしてしまう部分もある。また、基本無料ゲームにも関わらず、課金機体の性能が高く、かつ無課金で全機体の開放はほぼ不可能なため、勝ちたかったらどうしても課金要素が求められる。
FPSもガンダムも好き、という人が何人か集まって、ワイワイしながら勝利を目指すキャラゲー、と言った印象で、万人に受ける作品ではないかも。決してつまらない作品ではないため、ハマる人はずっと楽しんでやれるような作品だと感じた。
どんな人にオススメ?
- ガンダム&FPSが好き、という人
- 一緒にプレイできるフレンドがいる人
- ブーストがあるようなスピード感のあるFPSが好きな人
- 基本無料のゲームにもある程度課金することはいとわない人
は本作をオススメできる。が、
- FPSには興味の無いガンダムファン
- ゲームは基本的に一人でする人
- 無料ゲームは基本的に課金しない人
は本作はあまりオススメできないと感じた。
◆このゲームの特徴
「ガンダム」をベースにしたチームシューターFPS
本作は、機動戦士ガンダムの作品に出てくる機体を操縦しながら、オンラインでのチーム対戦ができる、基本プレイ無料の6vs6チームシューターである。1人用のゲームモードは無く、オンラインでの対人戦に特化した作品だ。
ガンダムらしく、ブーストを活かした高速移動や高速回避、ホバリング等が実施でき、他の硬派なFPS作品には無い、スピーディーな戦いを実施することができる。
登場する機体は
- ガンダム
- サザビー
- ザク
- ガンタンク
など、「機動戦士ガンダム」シリーズに出てきた様々な機体が登場する。機体ごとに機動力がウリだったり、耐久性がウリだったり、味方の回復能力を持っていたりと、様々な特徴やスキル、武装を有している。また、一定時間が経過すると使用できる強力な技「Gマニューバ」を使うことで、戦況を大きく変えることができる。
チームで勝利をつかむには、仲間との連携が不可欠だ。搭乗する機体は試合中にも臨機応変に変更できるため、自分達のチームの機体配分を見て、どんな構成で挑み、どんな闘い方をすれば勝利に最も近付けるか、考えながらプレイすることとなる。
3種類のルールの中からランダムに選ばれるゲームモード
本作をプレイ時には、
- 攻撃側、防衛側に分かれ、2つのポイントの制圧及び防衛を行う「ポイントキャプチャー」
- 攻撃側、防衛側に分かれ、2つの爆破ポイントの爆破や、爆弾解除を行う「デストラクション」
- 一定周期で入れ替わるポイントを一定時間確保し続けた方が勝利となる「ドミネーション」
の3つのゲームルールの中の中から、どれかがランダムに選ばれ、2チームに分かれて勝敗を競うことになる。
各ラウンドには制限時間が設けられており、ラウンド内で攻撃側がどこまで目的達成できたか、その進行度合いで勝敗が決定する仕組みになっている。例え攻撃側に大幅な侵攻をされたとしても、返しの攻撃でそれ以上まで侵攻できれば、逆転勝利ができる。
ランク、カジュアルの2つのゲームモード
本作には、ランクマッチ、カジュアルマッチの2つのゲームモードが用意されている。
ランクマッチは、キャラランク20になることで参加できるようになる、本作のメインモード。勝敗結果に応じて、個人の強さを示す「レート」が増減し、その値によって、7つに分けられた「ランク」と、同一ランク内で細かく仕切られている「ティア」が決定する。
約2ヶ月で1シーズンとするシーズン制を採用しており、シーズン終了時には最終レートに応じた報酬として「称号」を獲得できる。シーズン終わりまで、自身の最高ランクの更新を目指して頑張っていくこととなる。
最上位ランクである「ニュータイプ」は、マスターランクに到達したプレイヤーのうち、プラットフォーム毎の上位600名に与えられる特別なランク。ここに到達できたプレイヤーは、まさに「ニュータイプ」の名前に相応しい、最高峰の腕前を持ったプレイヤーだ。
カジュアルマッチは、全プレイヤーが最初からプレイできる気楽なゲームモード。ランクマッチとは異なり、勝敗結果が個人の強さを示す「レート」に影響することはない。
ゲームに慣れてない状態でも、気楽にゲームを楽しみ、本作の特徴を抑えていくことができる。
なお、PC版のみ、好きなプレイヤー同士が好きなマップで自由に対戦できる「カスタムマッチ」を遊ぶことが可能。PS版ではこの記事を書いているシーズン2時点では遊ぶことはできない。
遊ぶことができるようになれば、好きな人同士で練習したり、大会を開いたり、検証をしたりなど、思い思いの遊び方ができるようになるだろう。
スキン要素有り。ガチャでのスキン開放も
本作では、操作する機体や武装の見た目やスキンをカスタマイズできるユニットカスタマイズが可能。
これらのカスタマイズ素材は、ゲームを遊び続けることで手に入るチケットなどの専用アイテムを消費し、サプライポッドというガチャを回すことで入手可能だ。なにが手に入るかは完全ランダムのため、高レアリティなスキンほど手に入れる難易度は高い。
自分が欲しいスキンが手に入らない場合は、課金してゲーム内コイン「EVOコイン」を消費したり、ガチャを回す中で重複スキンが手に入った時に変換される「キャピタル」というアイテムなどを消費することで入手できる。
「EVOコイン」などの課金アイテムは、新機体のアンロックにも使用することになる。新機体を早く使いたいのであれば、課金していく必要がある。
◆このゲームの良い点
撃ち合いが頻発し、スピーディな爽快FPS!
本作のマップは全体的に狭めで、10秒も進めば必ず敵に遭遇する。そのため、バトロワ作品によくあるような、敵に全く出会わず、ただ走って終わる、という事態は起こらない。
また、機体の体力は少し高めに設定されており、マシンガンのような連射系武器の場合は15~25発、エイム力のいる単発銃の場合は3,4発は当てないと倒せない。そのため、1人孤立して動くようなことをしなければ、敵の場所がわからないまま、何もできずに倒される、ということは無い。
試合全体を通して撃ち合いが頻発するため、FPSの醍醐味である撃ち合いを、これでもかと味わえるのは非常に良かった。
また、ブーストシステムがあるため、素早いステップで敵の攻撃を回避したり、上空に停滞した状態から地上目掛けて爆弾をぶっ放したりと、他のFPSにはない、スピーディーで独特な戦いができる点も、他のチームシューターには無い斬新なシステムで非常に楽しかった。
ロールに縛られ過ぎない要素が良い!
本作に登場する機体には、
- 攻撃能力に長けている機体
- 回復や支援に長けている機体
- タンク性能に長けている機体
といった機体ごとの特徴がある。このようなロール(役割)が決められているゲームでは、ある種フォーマット化されたチーム編成を組み、自身のロールに沿った立ち回り方ができないと、試合にならない場面がよく見られる。
また、支援系やタンク系のロールは、攻撃性能はそこまで優れておらず、敵を倒していく爽快感が得にくいことも多い。
しかし本作では、ある程度のロールが割り振られているだけで、全機体が攻撃性能をしっかり持っており、敵を倒す楽しさを味わえるようになっていた。また、チームのキャラ構成を常に気にして機体を選ぶ、ということをしなくても、自分の好きな機体を単純に選んで戦ったとしても、試合に勝てる可能性が十分にあるシンプルさは、「攻撃して敵を倒すFPSが好き」な筆者的には非常に良かった。
マッチング速度は早く、人はまだ多い!
筆者はPS5版でプレイしているが、カジュアル、ランク両方とも、30秒も待てば確実にマッチングする程に人口はいる。
ランクマッチは、自分のランクよりも少し上のランクの人ともマッチする点は気になるが、ずっとマッチングせずに放置される、といった事態は発生しないため、人口不足に悩まされることは、記事執筆時点ではないように感じた。
初心者配慮でスコアボードなし
オンラインの対戦ゲームとなると、FPS初心者にとっては、「自分が足手まといになってしまっているのではないか」という恐怖感にさいなまれることが多いだろう。ほとんどのFPSは、試合終了後にチームメンバーのキル数やデス数などの貢献度合いが開示されるため、全然活躍できていないような場合は、ただのさらし者になってしまう。
そこを配慮してか、本作では自身の戦績がチームメンバーに開示されないようになっている。わかるのは自分だけだ。
FPS初心者への配慮ができている点は、安心してFPSをプレイできるため、非常に良いのではないかと感じる。
一人でもプレイできるような支援制度有り
一人でプレイすると、やはり味方との意思疎通を取るのが難しい。
が、本作ではボタン1つで意思疎通が取れるよう、「ここに行こう」「敵がここにいる」といったピン立てができるようになっている。また、ボタン長押しと方向キーを駆使することで、攻撃しよう、集合しようといったコマンドも出すことができる。
これにより、一人プレイするような場面でも、ある程度はチームと意識を合わせて動くことができるようになっているのは良かった。
…が、これも万能ではない。どちらかというと、「ないよりはまし」という位。この部分の詳細は「◆このゲームの悪い点」で挙げようと思う。
◆このゲームの悪い点
ガンダムである必要は正直無い…
筆者はガンダム作品は全然見たことは無いが、それでも百式、Zガンダム、ZZガンダム、デスティニーガンダム、ストライクフリーダムなど、ある程度の有名どころの機体は知っているつもりだ。
だが本作は、筆者のようなガンダムをほぼ知らない人でも聞き覚えのある機体があまり出てこない。一応、ユニコーンガンダムやガンダムエクシア、νガンダム等の有名機体がアップデートで増えており、この後も追加されるかもしれないが…
機体はまだいい方。「アムロ」や「シャア」などといった「ガンダム」に登場するパイロットが出てくる要素は、プレイヤーバナーに画像として設定できるくらいで、声の収録などは一切ない。収録されているボイスは全て、本作用に登録された架空のキャラの声であり、実在のキャラの音声に囲まれながら戦うことはできなくなっている。
それでもせめて、ガンダムのコックピットに乗ったパイロットの視点で操作できれば、まだガンダムの世界に没入できたような楽しみが生まれるが、そういうこともない。いわゆる普通のFPS視点しかない。
そうなると、もはやガンダムを基準にする必要があるとは思えない。オリジナルのロボットFPSとして生み出しても全く問題ないのでは?と思ってしまうほどだ。ガンダムという有名作品の名前に乗っかって売り出すことで、ユーザの購買意欲を上げようと考えているのではないか、という制作者サイドの意図が透けて見える…
ガンダムは好きだが、FPSは経験無し、いう人に寄り添ってない…
ガンダム作品が好きなユーザなら、全員が本作を楽しめるか、というと…筆者はそうは思えない。
そもそもFPSというゲーム自体、操作が難しいゲームジャンルだ。何度も何度もやられ、自分の悪かった点を見直し、改善を施してやっとまともに戦えるようになるゲームである。「ガンダムは好きだけどFPSはやったことが無い」という人は、思ったような操作が全くできない状態が長く続き、FPS慣れしているプレイヤーにボコボコにされて嫌になる可能性が高い。
せめてオフラインのストーリーモードでもあれば、FPS経験のない人でも楽しめるだろうが、そのようなモードは本作には無い。
また、いい点に上げた「ロールが明確に決まっておらず、どの機体でも敵を倒せる」というのは、あくまでFPSに慣れた人の視点の話だ。FPSに慣れてない人は、攻撃性能は低くても、超固い壁役や、完全支援役などがあるほうが良いと思うが、そのような機体も無い。(ただ、それはそれで「ロール」が明確化され、自身の役割を果たさないと戦犯になってしまうので、「初心者に絶対向いているか」というと微妙な気もするが…)
「ガンダム作品が好きでよく見ている」×「FPSをよく遊んでいる」という人でないと、本作を楽しめる人はいないのかな、というのが実感である。
一部の課金機体が非常に強い…
本作の配信当時から言われていた、課金キャラを使わないと全く勝てないという問題。CS版リリース後からこれまでの間にある程度の調整が行われ、初期から使用できる機体でも活躍できるようにはなってきたようだが、それでも一部の課金機体は非常に強く、ランクマッチで上位に行きたいなら、必須級だと感じるほどだった。
一応、本作をずっとやり込み続けていけば、課金しなくても2機体までは課金機体を解放できるが、流石にもう少し非課金機体の性能を上げるか、機体開放に必要なアイテム数を少なくして解放しやすくするなどの手は取って欲しいと感じた。
ソロプレイが勝ち抜くのはちょっと難しい…
本作にはミニマップが存在しないため、敵の位置はおろか、味方がどこにいるかも、自分のプレイ画面に映る部分しかわからない。
また、機体の体力が多く、1体を倒すのにそれなりな時間がかかるため、1人で複数の敵を一気に倒していく、といった行動もできない。
良い点に上げたピン立ても、狭めのマップで、合計12人ものプレイヤーが集まる中では、チーム内の全プレイヤーがピンの内容を把握して動くのは難しい。プリセットにある内容だけでは表現できないような細かな意思疎通が必要な部分もでてくると手にも追えない。
よって、ソロプレイで勝ち抜くのは中々に難しく、複数人でパーティを組んで戦うことが前提になっている部分が強いな…というように感じた。
コントローラーのエイムにクセがある…
本作をコントローラーで操作する際、視点移動しようとすると、最初はゆっくり動き、ちょっとしてから素早く視点が動く、というクセが強い動き方をする。
この特殊な視点移動は、何故か設定画面を色々弄ってみても、完全になくすことはできなかった。
他FPS作品ではこのような設定が無いものの方が多いため、非常に操作し辛く、なんとかして視点移動がすぐに反映されるようにしてほしいのだが、その設定ができないのは非常にイライラした。
※もしかすると、筆者がやり方を知らないだけな可能性もある。もしこの直し方を知っている人がいれば、コメントで教えてもらえると嬉しい。
◆まとめ
ガンダムである必要があったのかどうか、絶妙なラインを突いたFPSである「GUNDAM EVOLUTION」。課金が正義な部分や、ソロでは勝ち抜きにくいゲームシステムは気になったが、それでも狭いマップを縦横無尽に走りながら、すぐに倒されることもなく、沢山撃ち合いができるという点は、昨今のFPSには無い、魅力的な要素であると感じる。
基本無料ゲームのため、気楽にインストールし、遊んでみるといいだろう。
では!