今回は、PS5版の「XDefiant」をプレイした感想をまとめていこう。
(本記事は2024/5/26時点の情報をもとにしている)
2024/5/22にリリースされた、基本無料のチームシューター「XDefiant」。「Call of Duty(以下CoD)」という有名なチームシューターFPS作品に携わっていたメンバーが開発しており、PV公開時も「CoDに非常に似ている」として話題になっていた。
数々のリリース延期を繰り返し、ようやく製品版がリリース!CoD大好きな筆者も、もちろん配信初日からプレイした。ある程度やり込んだ上で感じた感想をまとめてみたため、気になっている人はぜひ参考にして欲しい。
◆総評
正に「無料版CoD」そのもの。特に、比較的硬く、アビリティを駆使しながら素早い移動で地上戦をしていた「CoDBO4」に非常に近い作風となっている。
無料ゲームではあるものの、品質は比較的高く、色々と作り込まれている。昨今のCoDは失ってしまった、「シンプルマップでスピード感を持って戦う」という要素を大事にしていることが感じられ、スポーツタイプの命軽い系FPSとして十分に楽しめる。
コンテンツの少なさや、エイム周りの操作性の悪さ、所々見られるバグ等、「ちょっとな…」と思う部分はあれど、無料でここまで作り込んでいるのであれば十分だろう。これらのマイナス点は、今後のアプデでより良くなっていくことが期待できるし、更にはシーズンが進むとランクマッチも用意してくれるようで、より対戦ゲームとしての面白さを拡張してくれると感じている。
無料だから、合わないならさっさとやめることだってしやすい。いい作品なので、まずは本作をDLして、触れてみてほしい。きっと楽しめるだろう。CoD好きの筆者としては、今後も本作を続けてプレイしていきたい。
どんな人におすすめ?
- CoDやカウンターストライク等の命軽い系チームシューターが好き
- スピード感のあるチームシューターがやりたい
- アビリティを駆使したバトルが好き
という人にはおすすめできる。逆に
- コンテンツが色々揃った作品がやりたい
- 操作性第一!ちょっとでも使いにくい部分があるとゲンナリする…
- ちょっとのバグや不具合も嫌だ、改善まで待てない
- 長時間にわたってゲームをやる時間が取れない
という人には、本作は向かないだろう。が、無料だし、ちょっとだけでもやってみてほしい。
◆XDefiantの特徴
現代を舞台にしたリアル重視FPS
本作は、現代戦が舞台の6vs6マルチプレイ型チームシューターFPSである。基本プレイは無料で、キャラや武器のスキンなどに課金していくタイプのゲームだ。
登場するキャラは、「ファークライ6」や「ウォッチドックスⅡ」等、全てUbisoftの過去作に登場したキャラがメインとなる。キャラ毎に使用できるアビリティが異なり、銃器を使用した銃撃に加え、アビリティを駆使して戦う、スペシャリスト制度をベースとしたFPSとなっている。
発砲時のミニマップ赤点表示や、ダッシュ時の足音等、CoD作品やBF作品等に用意されている索敵要素も存在しており、これらの作品をプレイしたことがある人であればすんなりと入り込むことができるつくりをしている。
ゲームルールは、チームシューターによくあるオブジェクト系ルールが多数揃う。
- 3つの拠点を奪取しあい、一定値まで先に到達したチームが勝利する「ドミネーション」
- 近づくと自動で進んでいくパッケージを運搬するチームと、それを妨害するチームに分かれて戦う「エスコート」
- 拠点確保を目指す攻撃側と、その妨害をする防衛側とで分かれ、最奥ポイント確保までの時間を競う「ゾーンコントロール」
- 順番に入れ替わる拠点に入るとポイントが加算され、先に250ポイントに到達したチームが勝利となる「オキュパイ」
- 敵を倒すとその場にタグが落ち、タグを獲得すると自チームに1点が追加され、規定値に先に到達したチームが勝利となる「ホットショット」
のゲームモードを遊ぶことができる。これらのモードは、いずれもキルされた際のリスポーン数に制限はない。今後のアプデにより、ルールが追加されていることも発表されている。なお、チームシューター作品によくある「チームデスマッチ」は存在していない。
試合が終了すると、勝敗に加え、各個人の表彰が行われる。戦績に応じて、KD率やSPM、プレイスキルが点数化され、自身のステータスとして記録される。なおこれらのステータスは、直近10回分の平均値しか算出されない仕様になっている。
勢力と武器を組み合わせるロードアウトシステム
ゲーム開始時、プレイヤーは全部で5個存在する勢力の中から1つの勢力を選ぶ。勢力ごとに、
- 常に効果を発揮する「パッシブスキル」
- 一定時間が経過すると再利用できる特殊効果「アビリティ」
- リチャージに非常に時間がかかるものの、強力な力を持つ「ウルトラ」
というスキルが異なっており、プレイするゲームルールやチームの構成を見ながら、どの勢力がいいか選んでいく。勢力はゲーム中に好きなタイミングで変更できる。
武器は、メイン武器、サブ武器、投げ物の3種類を自由に組み合わせて持ち込む武器を選ぶ。
メイン武器は、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガン、スナイパーライフル等の王道の武器種が並び、それぞれの武器種に2~5種類の特徴の異なる武器が用意されている。
また、武器にはサイト、マズル、バレル、ストック等の複数存在するパーツの中から、全部で5つのアタッチメントを装着できる。アタッチメントごとにメリット効果、デメリット効果がそれぞれ用意されているため、自分の戦い方や、マップの特徴に合わせて、オリジナリティ溢れた武器を作っていく。アタッチメントは、試合で武器を使い込み、武器レベルを上げることで1つずつ解放されていくスタンスとなっている。
武器は、プレイヤーレベルを上げるか、武器チャレンジを達成することで開放される。武器チャレンジは、
- MRを使用してロングショットキルを15回達成
- LMGを使用して敵の装備へ5000ダメージを与える
など、武器ごとに特定の条件が設けられており、これを達成することで、新武器を開放することができる。
武器スキンやキャラスキンを獲得する課金要素
本作は基本無料で、全てのコンテンツを楽しむことが可能だ。課金要素は、各勢力のキャラのスキンや、武器のスキンのみとなる。
また、今後新勢力や新武器が追加された場合、素早く解除するためにも課金要素が必要となる可能性がある。
バトルパス制度も用意されている。ゲームをプレイし続ければバトルパスが進行し、一定値まで到達すると、バトルパス専用のスキンや、課金しないと獲得できないはずのゲーム内コインを入手できたりする。
◆プレイして良かった点
無料チームシューターとしてのクオリティは高い!
スピーディな撃ち合いが好きなプレイヤーに取っては、これほど待ち焦がれた作品はないといえるほど、スポーツ系のスピーディFPSへと仕上がっている。
どのキャラも機動力が高く、スライディングやジャンプなどの動作を行うと、それなりな距離を素早く移動できる。敵の視認性も高く、どこにいるかわからない敵に撃たれるストレスも感じにくい。中上級者が気にするキャラコンも、スライディングキャンセルやリロードキャンセル、ジャンプ撃ちやスライディング撃ち等も全て実施可能だ。操作中に動きが止まったり、あらぬ方向に移動したり、画面描画が追いつかなかったり、といった不具合も生じない。
戦闘は、火力が控えめでTTKが長く、何もできない間に撃たれて負けてしまう、ということも発生しにくい。武器バランスも全体的にとれており、正面からの純粋な撃ち合いを楽しみやすくなっている。(MRとSRのバランスがちょっと壊れ気味なような気がしなくもないが…)
勢力ごとに用意されているスキル各種は、一部の勢力が弱い印象があるが、どれもこれも使いこなせば非常に強力で、撃ち合いだけではない、ゲームへの良いアクセントになってくれている。
ここまでスピード感があり、ストレスが少なく、安定した戦闘ができるにも関わらず、無料で出してくれる、というのは、驚きの一言だった。これだけで、本作の出来はかなり高いと感じた。
どのマップも良マップ!マップ投票システムも実装!
登場するマップは、リリース開始時点から、有料作品に負けない位多数のマップが実装されているが、大半のマップがプレイしていて非常に楽しい良マップになっていた。
全体的に平坦で、2階3階といった上層階にある窓から撃たれる場面が少ない。また、遮蔽物が無く開放的なマップや、迷路のような複雑な構造のマップも無い。昔ながらのCoDにあるような3レーン構造がメインではあるが、各レーンに更に2,3ルートほどの細かなルートが作られており、リスハメされて抜け出せなくなる、というような場面も生じにくい。「シンプルな撃ち合いがしたい」というプレイヤーの思いをしっかりと叶えてくれたマップが揃っている。
更に、ゲームロビーでは、次のマッチで遊ぶマップをユーザの手で決めることができるマップ投票システムも実装。個人的に好きじゃないマップを避けてプレイが可能だ。
昨今のチームシューター作品の多くが、「マップが悪い」という理由で評価を下げている中、マップの良さを前面に押し出している本作は非常に好きな要素だった。
FPS作品として必要な操作設定が充実している!
標準感度はもちろんのこと、エイムアシストのかかり方や、右スティックを倒した時の視点移動タイプ、エイム時感度等の細かな設定が可能。更に、視野角変更や、FPS値の変更、HUDの表示反映変更、段差の自動乗り越えオンオフ等、類似作である「CoD」に用意されている操作設定の大半は用意されている。
その為、プレイしている中で、自分のやりやすい操作設定を見つけやすい。無料ゲームだとこのあたりの設定バリエーションが少なく、思ったような操作ができないことがチラホラ見受けられるが、本作はそれが無く、ストレスない設定で遊ぶことができるのは嬉しかった。
◆プレイして残念な点
パッドのエイムの操作性が微妙…
パッド向けにほぼ必須で用意されている「エイムアシスト」が、本作ではずいぶん変わった形式になっている。そのせいで、エイムの操作性に違和感を感じる場面が多い。少し技術的な話になってしまうが、その詳細を書いていく。・
通常、エイムアシストは、敵の体に触れる少し手前からスローダウンがかかる。これにより、動きまわる敵を狙っても、エイムが吸い付くため狙いをつけやすい。
が、本作では、敵の体の中心までレティクルを持っていって初めてアシストがかかるため、他作品と比べてアシストの効果が発揮するタイミングが遅い。その為、左右に揺れながら動く敵や、中遠距離の敵を狙おうとすると、エイムが中々安定せず、意味の分からない場所を撃ってしまう場面がチラホラ見られた。
この部分は「CoD」の方が明らかに出来が良く、ストレスなく楽しめる。ここは本作で一番何とかしてほしいポイントだった。
コンテンツ量が少なめ…
本作に用意されているゲームモードは、6vs6の公開マッチか、4vs4のランクマッチ(しばらくは公開マッチと同様)、射撃練習場のみ。その他のモードは一切用意されていない。また、武器の量はメイン、サブ合わせても全部で30本も無く、使える勢力も5つしかないため、何度もやっていると代わり映えのしないプレイが展開され続けていく。
そうなると、飽きが来るのが早い。無料ゲームだから仕方がない、と言えばそれまでだが、もう少しコンテンツを多く持たせてほしいな、というのが実態だ。
ランクマッチが実装されれば、そちら頑張るだけでもかなり長時間遊べるコンテンツにはなるし、今後のアプデで武器や勢力が増えてくることは間違いないはずだ。それらを気長に待ちたいところだ。
細かなバグや、レスポンスの悪さがチラホラ…
Ubisoftのゲームである宿命か、本作には小さいものからそれなりに気になるものまで、様々なバグが混在している。
プレイ中に銃の姿が消えるバグや、マッチング開始時にゲームからはじかれてしまう不具合、ステージ構築完了時にゲーム起動画面に戻されてしまうバグは朝飯前。このレベルであればまだかわいい方だ。
個人的にきついのが、アビリティ使用できない不具合と、弾抜け不具合だ。
アビリティが利用可能な状態でアビリティボタンを押しても、何故かアビリティが発動できない場面が時々発生する。アビリティボタンを押し続けると反応してくれることが多いものの、混戦時、すぐにでもアビリティを使いたい、という場面で発動できないのはかなりイラっとする。
射撃時には、ヒット判定の精度が悪く、当たっているはずが外れたり、逃げたはずが弾が当たったり、といった場面が発生する。特に隠れたはずなのに弾が当たってキルされた時は、結構「え!?」と言いたくなる…
ここは無料ゲームかつリリースしたばかり、という部分もあるため、仕方がない面もあるが、もう少し何とかならないか、と思うところだ。
武器レベルの上昇量が少なすぎる…
本作は、十分な量のアタッチメントが解放できるまで、40レベル以上の武器レベル上げが必要になる。が、1回の試合で手に入る経験値の量は、並みの戦績では1レベル上げるのに必要な量の半分程度しか経験値が入手できず、トップの戦績を獲得してやっと1レベル上がるくらいである。あまりにも武器レベルが上がるのが遅い。
しかも、レベルを上げるには、上げたい武器を使用して敵をキルするか、アシストするかしか方法がない。拠点に入ったり、味方のサポートをしたり、といったことをしても、経験値が手に入らないのだ。
特にFPS初心者や、ゲームプレイ時間が限られている人は、キル総量自体が少なく、武器レベルが全然上がらない可能性がある。この仕様は早急に改善してほしいと感じた。少なくとも、今の2~3倍の量はデフォルトで欲しいところだ。
◆まとめ
アビリティベースの、スピード感あるチームシューターFPSである「XDefiant」。
細かな不具合は見られるものの、まだリリースされたばかりな上、そもそも無料ゲームだ。FPSという、比較的開発力が求められる作品を、無料でここまで作り込んできているのであれば、かなり上出来だといえるのではないか。
基本プレイ無料なので、FPSをやったことない人でも、FPS復帰勢でも、「ちょっと気になるけどお金かかるならやらないかな~」という人でも、どんな人でも初め易い。周囲の友達を連れて、是非とも本作をプレイしてみてほしい。
では!