今回は、PS5版の「GUNDAM BREAKER4」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(2024/9/23時点の情報である)
2024/8/29に発売された「GUNDAM BREAKER4」。過去に、ガンダムブレイカー1〜3、およびNEW ガンダムブレイカーという黒歴史を経て、PS5といった次世代機も込みで発売された作品であり、期待に胸を膨らませるファンも多くいた印象の作品だ。
筆者はこれまでガンダムブレイカーシリーズはやったことは無く、本作が初プレイである。ストーリークリアと、最高難易度である「ニュータイプ」でのミッションをある程度クリアする所までやってみたため、本作がどんなゲームなのか、レビューをしていきたいと思う。
◆個人的感想
総評
アクションゲームというより、「マインクラフト」のような創作系ゲームの印象が強い。
アクションはちゃんとしているのだが、敵が強くない為、レベル差があっても苦戦せずに最高スコアを出せてしまう。レベルを上げてしまえば、最高難易度でも簡単に突破でき、「アクションゲームとしてのやりごたえ」がない。
ただ、このゲームの根幹である「俺ガンプラ」を楽しむ要素は素晴らしい。新要素の「ジオラマ」は、プレイヤーの思い思いの戦場や風景を作り、オンライン上に共有して沢山の「GOOD BUILD!」を貰うことで、デザイナーとしての楽しみを存分に味わえる。
アクション要素を求めるなら普通ゲー、創作要素を求めるなら神ゲーになる作品で、プレイヤー自身の考え方で評価が別れる。筆者はアクション性を求めて購入したため、ちょっと物足りなかった。
どんな人にオススメ?
- 単純作業が苦では無い
- ガンプラが好き
- 創作作業が好き
- 収集要素が好き
という人にはオススメできる。逆に
- アクションゲームとしてのやりごたえが欲しい
- 濃厚なストーリーを味わいたい
- 洗練された他のハクスラゲームに慣れている
という人は、本作を遊ぶのは避けた方がいいだろう。
◆このゲームの特徴
ガンプラをモチーフにしたハック&スラッシュアクションゲーム
本作は、ガンダムの頭にザクの体など、ガンプラパーツを自在に組み合わせた「俺ガンプラ」を作成、操作して戦うアクションゲームである。
登場するガンダムシリーズのプラモデルは250体以上。各ガンダムは、頭、体、足などのパーツで構成されており、手に入れたパーツをプレイヤーの手で自由に組み合わせることでオリジナルの機体を作り、ミッションへと出撃する。
ミッションは大半が3wave構成。ミッションの内容は
- 敵の殲滅
- HVTの防衛
- PGガンダムの撃破
などが存在し、wave毎に目的が変わっていく。目的を達成するとそのwaveはクリアとなり、次のエリアへ自動で移動する。
wave毎に、クリアまでの時間と、連続敵機破壊数の2軸を元に、CからSまでの評価が下される。評価が良いほど、ミッションクリア時に貰える報酬も豪華になる。
ゲームモードは、
- 本作のメインストーリーを追っていく「ストーリー」
- 多数に用意されたミッションを自由に遊ぶ「クエスト」
- オンライン上の他プレイヤーが作った俺ガンダム3体を選び、PvEの3vs3戦闘を行う「バウンティハンター」
- 最大50waveある道をどこまで生き残れるか試す「サバイバル」
の4種類が用意されている。
「ストーリー」と「クエスト」は全部で5段階の難易度をプレイヤーの好きに難易度できる。高難易度になるほど、獲得するパーツのレアリティやレベルが上がっていく。
「バウンティハンター」と「サバイバル」は少し特殊。「バウンティハンター」はプレイヤーにて対戦相手を3体選んで3vs3のガンプラバトルを行い、敵を3体を倒せばゲーム終了となる。敵となるガンプラは、オンライン上で他プレイヤーが作ったガンプラが展示される為、他プレイヤーとの擬似的な対人戦を楽しめる。「サバイバル」は、段々と強くなっていく敵を相手に、50回分のミッションを連続達成すれば完全クリアとなる生き残り戦である。
多数のパーツを組み合わせ、好きな塗装も自在のアセンブル要素
本作では、合計11種類のパーツを自在に組み合わせ、自分なりの機体を作っていく。
頭やボディ、足等は、機体の耐久力や機動力などの身体ステータスに寄与する。
武器は、近距離武器、遠距離武器を左右に2つずつ、合計4つを装備可能だ。近距離攻撃は、左右の武器で違う武器を駆使したコンボ攻撃を繰り出せる。ビームソードは素早い連撃を繰り出せるし、アックスは重たいが強力な一撃を繰り出せる。
遠距離武器は、ビームライフル、スナイパーライフル、マシンガン等の種類が存在。左右の銃器を交互に利用して断続的な攻撃をすることも、両方から同時に射撃して火力を上げることもできる。
各パーツには、ランダムでアビリティが付与されている。アビリティには
- 耐久力を増やすもの
- 移動速度を増やすもの
- 特定攻撃の火力を上げるもの
など、様々なバリエーションがある。また、パーツ毎にレアリティが設定されており、レアリティが上がることで、付与できるアビリティ数が増える。
また、不要なパーツや専用アイテムを消費して、パーツのレベルを上昇可能。レベルは最大50まであり、レベルを上げていくことで耐久力や火力が向上し、強い敵との戦いもやりやすくなっていく。
レアリティを上げる専用アイテムも存在し、これを消費することでレアリティを向上させ、付与できるアビリティ数を増加できる。
性能向上だけでなく、パーツの配置場所を弄ったり、パーツの大きさを変更したりして、規格外の「俺ガンプラ」を作成可能。また、カラーリング変更やダメージ加工などの塗装も自在に変更できる。
思い思いの画面を作って表現できる「ジオラマモード」
「ジオラマモード」は、本作から追加された新要素。
山岳地帯や市街地などのロケーションを選び、その上に既成のガンプラや、自作した俺ガンダムを好きに配置し、ポージングやエフェクトをつけて、様々なシーンを再現できる。
アニメの一場面を自作して作り上げたり、ネタに振り切った舞台を作ったり、プレイヤーの思い思いにジオラマを作成可能だ。
作成したジオラマは、インターネットを通じて世界中のプレイヤーに公開できる。他プレイヤーから評価されれば「GOOD BUILD!」が貰え、沢山獲得することで、優秀なジオラマとして他プレイヤーに優先表示されるようになる。
他プレイヤーと共闘して戦うクランシステム
本作では、インターネットに接続することで、最大3人でチームを組み、ストーリーやクエストを楽しめるようになる。
また、クランを作ったり、他プレイヤーのクランに参加することで、クランに参加している他プレイヤーとの交流がしやすくなったり、不要になったパーツを交換しあうなど、ゲーム上での交流を更に深められる。
他プレイヤーと協力プレイをするためには、オンライン公開しているマルチプレイロビーに入る必要がある。どのようなロビーに入りたいか、は、マルチプレイ参加時にプレイヤー自身で検索指定できるため、望む難易度や内容のミッションに参加できる。
オンラインゲーム「GBBBB」を取り巻く事件を描くストーリー
「俺ガンダム」を作成し、用意された様々なミッションを攻略していくオンラインゲーム「ガンプラバトルシミュレータ」は 、「GUNPLA Battle Blaze:Beyond Borders(ガンプラ・バトルブレイズ:ビヨンドボーダーズ)」、通称「GBBBB(ジービーフォー)」として名称を改め、正式サービス開始に向けたβテストの実施が決定、ミッション攻略だけでなく、ガンプラをアバターとしたクラン交流などの新たな楽しみを提供するなど、幅広いユーザーが楽しめるサービスへと進化していった。
主人公は、「GBBBB」のβテストに参加した1人のプレイヤーだ。ログインしてまもなく、知識は豊富だが腕は未熟な「タオ」や、負けず嫌いのガンプラ初心者「リン」と出会い、3人でクランを結成することになる。様々なミッションをこなす中で、新たな仲間やライバルと出会い、成長していく主人公一行は、やがて周囲からも一目置かれる存在となっていた。
そんなある時、数多くのクランが参加し、最強を目指す巨大イベント「バトルトーナメント」の開催が決定する。意気揚々と参加する主人公達は、その裏に存在するとある陰謀に巻き込まれていくこととなる。
果たして主人公たちは、ガンプラバトルの頂点に君臨することができるのか、そして未だβ版にも関わらず不穏な空気が流れる「GBBBB」は、正式リリースを迎えることができるのか。オンラインゲーム上で繰り広げられる激闘の幕が上がる。
◆このゲームの良い点
ガンプラのバリエーション量が多い!強化もしやすい!
登場機体数が250機以上、それぞれに11種類のパーツがあるため、その組み合わせ数は尋常じゃない。更に、パーツの大きさや色、位置を変えたりすることで、ガンプラをただ組み合わせだけでは表現できない機体を作り上げられる。
機体に依存しない外部パーツも存在し、腕の前後のどこに着けるか、背中の上部、下部のどこに着けるか、等、細かな場所を選んで設置できる使用も面白い。この外部パーツも、大きさ、色の変更が可能なため、大きくて邪魔なパーツも、好きなように形を変え、見栄えのよい俺ガンプラを作っていける。
このガンプラの組み合わせのバリエーションの多さは、「自分好みのガンプラを作りたい!表現したい!」という人の要望を、希望以上に叶えてくれることは間違いなかった。
折角欲しいガンプラパーツを入手しても、レベルやレアリティが高くないと戦闘で活躍できない。しかし、本作はミッションクリア時に手に入るガンプラパーツや、強化アイテムの入手数が多いため、パーツのレベルを上げやすい。ミッション開始前にブースターを使用すれば、パーツや強化アイテムを更に入手できる。
また、パーツ事に存在するOP-SKILLやEX-SKILLも、パーツのレアリティを最大まで強化することで、該当パーツを装備しなくても使うことができるようになるため、使いたいOP-SKILLやEX-SKILLによってパーツ制限がかかることもない。
全体的に育成がしやすい仕様のため、「このパーツ使いたいけど、弱いから使えないんだよね」という悩みも解決しやすい点は非常に良かった。
オンラインでのガンプラ、ジオラマの共有が楽しい!
自分で作ったガンプラや、手をかけて作ったジオラマをインターネットにアップし、皆んなに見てもらってグッドを押してもらう…まるでSNSだ。頑張って作ったものが評価されたら嬉しいし、「またみんなが見たことないようなガンプラやジオラマを作ろう!」と、さらなるやる気が引き出されてくる。
他プレイヤーが作ったガンプラやジオラマを見るのも楽しい。作り込まれたものを見たら、「こんなものが作れるんだ!」という感動が押し寄せてくる。思わず「GOOD BUILD!」してしまうのは間違いない。
他プレイヤーから多くの「GOOD BUILD!」を貰うと、優秀な作品として、他プレイヤーの目に止まりやすくなる。この要素も、プレイヤー達に更なるやる気を引き出させてくれることは間違いなかった。
爽快感のある戦闘が気持ちいい!
ダッシュ、回避、ブースト、ホバリングなど、メカアクションに求められる要素は一通り揃っており、かつ連続して何回も使用できる。使用限界はありはするものの、ずっと空をホバリングし続けたりでもしない限りはガス欠にはならないほどだ。
近接攻撃は、強攻撃と弱攻撃を組み合わせて戦い、どれも攻撃速度は早い。コンボの途中に遠距離攻撃やOP-SKILLなどの他の技を挟んでもスムーズに移行するため、システム的な制約によるコンボミスは起きにくい(一部、謎の無敵時間が敵に発生するのは意味がわからないが…)。
敵との距離が離れている時に近接攻撃をした時は、ある程度までは自動で距離を詰めて攻撃してくれるため、距離感を測り間違えてからぶる、ということも起きにくい。
移動も攻撃も、コンボ性も、全体的にきびきびと動くように作られており、スタイリッシュなアクションがしやすい点は評価できた。
◆このゲームの悪い点
作業感の強いミッション…
本作に登場する敵は、いやらしい行動や見切りの難しい行動といった動きは全くしてこない。そのため、こちらはガードや回避はほぼせず、連続攻撃を放ち、敵を追い、また攻撃する、というループがセオリーな戦い方となり、段々と作業感が増していく。
また、敵の動きが単調なせいで、レベル差があるような敵を相手にしてもゴリ押しで十分勝ててしまう。ただただ敵が硬くて倒すのに時間がかかるだけだ。
PGガンダムは、画面外から攻撃してまた画面外へいく、という面倒臭い攻撃を繰り返すことが多く、戦っていて面白くはない。
最高難易度「ニュータイプ」にすると、敵からの被弾ダメージが飛躍的に上がり、緊張感が増すが、パーツレベルやレアリティを上げ、火力や耐久力系アビリティを積めば、簡単にSランクが取れてしまうため、最高難易度の意味が無い。オンラインマルチプレイをしようものなら、最高難易度「ニュータイプ」ですら、難易度ノーマルにも満たない程の簡単さだ。
こうなると、ただレアリティの高いパーツを集めるだけの作業ゲーとなってしまう。本作の主体は「俺ガンダムを作ること」なので、アクション要素がそこまで高くなくても良い、という判断が行われているのかも知らないが、もう少しガンダムアクションとしてのやりごたえが欲しい、と思ってしまった。
水増し感の強いボリューム…
本作は、ストーリークリアまでは15時間もあれば達成できる。ストーリークリア後は、
- 全てのミッションのSランク達成
- 全ガンプラパーツの獲得や育成
- サバイバルの50階層突破
など幾つかやり込み要素があるものの、1番のメインコンテンツである全ミッションのSランク到達が容易にできてしまう上、ミッション数も全部で60個位しかないため、ボリュームがあるか、というと微妙。また、どのミッションも、現れる敵をただ叩くだけで、ミッション毎に工夫が求められることもほぼ無い。
全体的に水増し感が強く、ボリュームがあるようで、あまりやり込みたいと思わせてはくれない内容だったのは残念だった。
壊れ武器と弱武器の格差が大きい…
本作では、同じ武器種でもモーションや使えるOP-SKILL、EX-SKILLが異なるなど、細かな違いが存在している点は評価できる。では全武器やスキルが実用的か、というとそんなことはなく、はっきりと差が生まれている。
同じパーツレベル、似たようなスキルを詰んでも、火力が大きく劣るスキルが多い。体感、全体の4割くらいは使えない側に割り振られていると感じた。
反対に、中にはぶっ壊れ性能と言えるものもある。「ガンダムバルバトス」の「メイス」は、発売当時から各方面で話題になるほどの強武器だ。高難易度を効率周回したいなら、これが必須といえる。
バランス調整が全体的に荒く、日の当たらないパーツが多く存在するのは、個人的には残念だった。
UI周りの使いにくさは異常…
ゲームを進めると、無数のパーツを手に入れ、それらの中から望むパーツを探し出してガンプラを作り上げていくようになる。そうなると、一括で素材化、売却などをすることで処分を楽にしたり、ガンダムシリーズ毎に素材整理しておくなどがやりたくなってくるが、これらのUIがあまりに使いにくい。
レアリティの高いパーツや、複数パーツを組み合わせることで発動するスキルが存在するパーツは、毎回「合成していいですか?」警告文が出てくるため、いちいちOKを押す作業が発生する。これをオフにするコンフィグはない。ゲームを進めると高レアパーツも大量に入手するため、それらを破棄する手間が異常なまでにかかる。
ソートや絞り込みも、ガンダムシリーズで絞り込む方法が無いため、パーツ毎にいちいち登場作品が何か確認する必要があり、非常にかったるい。OPやSP、アビリティで絞り込む要素も無いので、欲しい要素を持ったパーツだけ探す、ということもできない。
また、今作初登場の「ジオラマモード」も、CS機で操作するのは非常にやりにくい。ジオラマ全体の拡大縮小をするには、いちいち専用操作に切り替える必要があるし、カーソル移動も遅い。ガンプラの配置箇所や向きなどを間違えた場合に、一つ前の状態に戻すようなコマンドもない。カメラの配置の切り替えと、移動時に変な慣性がかかったり、細かなスティック操作が要求されたりなど、使いにくさが目立つ。
これまで4作品ものガンダムブレイカーシリーズを出しているのに、UI周りがここまで出来上がって無いのは非常に残念だった。
小学生向け漫画のようなチープなストーリー
本作のストーリーは非常にわかりやすい。それ自体は良いのだが、キャラ同士で交わされる会話や、ストーリーの展開に、深みと言えるものが一切ない。
ストーリーの前半は、ただ仲間同士で「GBBBB」のコンテンツを楽しんでいるだけのストーリーだ。後半も、現れた真ボスを、捻りも何も無いストーリーのまま倒して終わるだけだ。
ストーリーの合間に、仲間キャラの過去や心情を描くような展開もあるが、どれもご都合主義だったり、すぐに悩みが解決したりと、たいして感情移入するような要素がない。
まるでコロコロコミックに出てくる漫画を読んでいるようなストーリー展開。ガンダムゲームをプレイする人口は、比較的高年齢な方々が多いと思っているが、そのようなプレイヤーが望むようなストーリーにはなっていないため、非常に肩透かしで終わった印象だった。
◆まとめ
ガンプラ作成面は非常に優れているものの、肝心のバトル要素が残念な出来なため、おすすめできるユーザーが限られてしまっている印象の「ガンダムブレイカー4」。
オンライン要素があるものの、正直1人プレイでも問題なく楽しめるゲームな為、発売からある程度時間が経ち、値段が安くなってから買った方が、値段相当に楽しめる作品になると感じた。やりたい人は、値崩れするまで待ってから購入しよう。
ただし、トロフィーにオンライン要素があるため、トロフィー攻略をやりたい人は、買う時期には気をつけて欲しい。
では!