今回は、PS5版の「Alan Wake 2」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。
(本記事は2024/1/31時点の情報をもとにしている)
2023/10/27に、ダウンロード専用として発売された本作。2013年発売の「Alan Wake」の続編にあたる。発売直後から海外ではかなりの高評価を受けており、ゲームオブザイヤーへのノミネートもされた作品である。
この情報を耳にした筆者も、気になってさっそくプレイ。クリアした感想をまとめてみたので、購入を迷っている人は参考にして見てほしい。
なお、筆者は前作未プレイのため、その上での感想となることを認識いただきたい。
◆個人的感想
総評
ホラー演出は一級品だ。常に暗く重々しい雰囲気と超美麗なグラフィック、実写映像とゲーム映像の見事な掛け合いも相まって、「この先で何か起きそうだな…」という恐怖感を常に味わえる。ホラー作品で1番重要とも言える「雰囲気」はしっかり出せていた。
ただ、それ以外の戦闘面、探索面、育成面、ストーリー面などは、他のホラーアクションゲームと比べると劣る部分が多い。色んな部分に対して「こうであってくれればいいのに」という不満が募る。
正に「雰囲気ゲー」そのものであり、総合的には普通ゲー、人によってはクソゲーとも捉えかねないとも感じた。
どんな人におすすめ?
- ホラー要素がしっかり詰め込まれた作品がやりたい
- 隅から隅まで探索するのが好き
といった人にはオススメできる。逆に、
- シューティングアクションとして本作を楽しみたい
- 移動面の快適性が無いとやる気を失う
- ホラーは苦手
- 育成を楽しみたい
- 背景まで含めて理解しやすい物語がいい
といった人には合わない可能性が高いため、注意して欲しい。
◆このゲームの特徴
現実世界と闇の世界を行き来するシングル専用TPSアクション
本作では、現実世界と闇の世界という2つの世界を舞台に、2人の主人公を任意に入れ替えながらストーリーを進めていく、一人プレイ用のTPSアクションゲームである。
比較的小さめな構造をしたステージが複数種類用意されており、それらを何度もいったり来たりして、襲ってくる敵を倒しながら、目的達成を目指していく。
戦闘時は、主に銃を使って敵を攻撃する。他にも、強烈な光を放つ閃光手榴弾や、設定個所に銃撃することで周囲を爆発させる爆弾も利用できる。
銃はハンドガンにショットガン、ライフルなどのよく見る銃が登場。初期に使えるのはハンドガンのみだが、マップ探索する中で、新たな銃を入手できる。
手に入れた銃やアイテムを十字キーに設定すれば、対応するボタンを押すだけで素早く切り替えられる。ショットガンで近距離の敵を倒した直後にライフルに持ち替えて遠距離の敵を攻撃したり、弾切れした直後に別の武器に持ち替えてすぐに戦闘を開始したり、といった使い分けが可能になる。回復薬を使用する際も、十字キーに設定すれば、いちいち鞄を開いてアイテム使用ボタンを選ぶ必要が無い。
本作では、「敵を見つけたから」とすぐに攻撃してもダメージを与えられない。すべての敵は、体に闇のオーラを纏っており、手に持つフラッシュライトで一定時間照らして闇を払わないとダメージが通らない。
フラッシュライトはゲーム序盤から使用できるが、電池残量が設定されているため、乱用はできない。使いどころは選ぶ必要がある。
数少ないアイテムを管理し、戦況を見極め、その場を切り抜けるサバイバル要素
本作では、銃も弾丸も、回復薬も、全てが現地調達だ。引き出しやロッカーの中等、様々な場所にアイテムが落ちているため、それらをかき集め、戦闘準備を整えていく。
ただし、入手できる数には限りがある。無駄使いしようものなら、本当に必要なタイミングで弾や回復薬が尽きてしまい、地獄を見ることになる。襲ってくる敵も、数は多くないが、どれも強く、厄介な能力を持っている。
- 敵のどこを狙って撃つか?
- どの武器で戦うか?ハンドガンか?ショットガンか?
- そもそも戦うのか?逃げるのか?
- 無理やり通り抜けて先に進むのか?
等、状況に応じて最適な選択が求められる。
手に入れた武器やアイテムは、全て手持ちの鞄に格納される。鞄は細かなマス目状をしており、アイテム毎に指定されるマス目の大きさを考慮して、最大量が格納できるようにプレイヤー自身で配置を考えていく。「バイオハザード4」に採用されているようなアイテム管理制度だ。
武器やアイテムは、セーブポイントにある靴箱へ格納できる。一度格納すれば、別の靴箱から任意で取り出すこともできる。
武器を沢山持ち込めば、その分戦闘時の対応力が増えるが、回復薬や弾薬などのサポートアイテムがあまり入れられない。反面、武器の数を絞れば沢山のサポートアイテムを入れられるが、特定の武器のみで切り抜ける必要がある。
聞き込みや資料整理での推理、現実改変でのマップ変更を駆使した謎解き
「サーガ編」では、街にいる人に聞き込みをしたり、マップの各地を歩き回って証拠を集めることで、事件の推理や、先に進むための情報を整理することになる。手に入れた情報を推理ボード上に並べ、どの情報にどの証拠が紐づくのか考え、実際に証拠をあてはめていく。事件や疑問点と証拠が綺麗に繋がれば推理が進み、新たな目的地が見えてくる。
マップの探索中に、鍵のかかったドアや、ヒューズの抜け落ちた電源等、そのままでは先に進めないような場面に出くわすことがある。そういう場面では、どこかでカードキーやヒューズなどのアイテムを手に入れ、使用することで先に進むことができる。中には、最初に訪れるだけでは突破できず、別マップで必要な道具を手に入れて戻ってくることもある。
「ウェイク編」では、大きく2つのアイテムを駆使し、文字通り「世界を変えて」先に進む道を見つけていくことになる。
マップの各地には、強い光を発する電灯が存在している。そこに行き、光を格納できる不思議な集光機をかざすことで、光を集光機に格納し、持ち歩ける。また、電灯のオンオフによって、周りの状況が大きく様変わりもする。この集光機を用いて、電灯の光を別の電灯へ移動させる、ということを繰り返して、これまでは存在しなかった道を新たに作りだしていく。
マップを探索すると、小説執筆のインプットとなるシーンを入手することがある。手に入れたシーンを物語に付け変えすることで、閉じていた通路が開けたり、何もなかった部屋が狂気に塗れた空間に変わったりなど、周囲の状況を一変させることができる。
ストーリー攻略以外にも、マップの各地に小さな謎解き要素が用意されている。クリアは任意だが、クリアすることで弾薬や回復薬などのアイテムが獲得できたり、新たな装備が入手できたりするため、攻略がより楽になる。
専用アイテムを消費してステータスを向上させる強化システム
マップの各地を探索すると、武器やキャラのステータスを増加させるのに必要な強化アイテムを入手できる。集めたアイテムを一定数消費し、性能を強化すれば、ストーリー攻略がより楽になっていく。
どの能力を強化したいか、はプレイヤーの好きに決められる。よく使う武器に集中的に強化をかけても良いし、分散して均等に育てていっても良い。
強化は「サーガ編」と「ウェイク編」でそれぞれ内容が異なっている。各物語でそれぞれ強化アイテムを見つけ、強化をかけていくこととなる。
2つの物語が同時並行で進むことで、真相が見えていくストーリー
本作では、現実世界で事件解決に動く「サーガ・アンダーソン」と、闇の世界からの脱出を目指す「アラン・ウェイク」という2人の人物を入れ替えながら、物語を進める形をとっている。
「サーガ・アンダーソン」は、これまで数々の難事件を解決してきた凄腕のFBI捜査官である。彼女は最近起きている複数の猟奇的事件の調査のために、太平洋岸北西部にある小さな町「ブライトフォールズ」へ向かうところから物語が始まる。調査を進める中で、この事件の裏には「樹木の教団」という奇妙な宗教団体がいることを突き止める。また、向かう先々で、まるで「サーガ」の未来を予知したような内容が書かれた原稿を見つける。
それ以降「サーガ」は、一度も会ったことの無い人から「久しぶり!」と声かけされたり、元々「ブライトフォールズ」に住んでいることになっていたりなど、周囲と自分の認識に差異があることに気付く。また、突如として人間とは思えない動きや耐久力を持つ化け物に襲われるようになる。
不気味で奇妙なこの状況を、持ち前の推理力や度胸で切り抜けた先で、一連の出来事は「アラン・ウェイク」という人物に紐づいていることを見つけていく。
「アラン・ウェイク」は前作の主人公であり、2010年に行方不明となったベストセラー小説家である。前作では妻と共に休暇で向かった太平洋岸北西部で、超常現象である闇の力に巻き込まれてしまった。「ウェイク」は闇の存在と闘った末、「ブライトフォールズ」の外れの湖に存在する「闇の世界」へ追い出すことに成功し、妻を救い出すが、その代償として自身が「闇の世界」に捕らわれることとなってしまった。その後、「ウェイク」は13年間もの間、悪夢が辺りを包み、自分の書いた物語が現実となる奇妙な「闇の世界」から脱出する方法を懸命に探していたが、全て失敗に終わっていた。
そんな中、突如「サーガ・アンダーソン」という人物と、不安定ながらも交信することに成功する。彼女は彼女で、「ウェイク」に対して何か聞きたいことがある模様。「彼女が自分を闇の世界から救い出してくれるかもしれない」という思いの元、「ウェイク」は再度、脱出のために筆を進ませることになる。
事件の真相究明のため「ウェイク」を探す「サーガ・アンダーソン」、「サーガ」と協力しながら脱出を目指す「アラン・ウェイク」。2人の物語が進むにつれ、事件の裏に渦巻く恐怖の存在が見えてくる…
◆このゲームの良い点
ホラー雰囲気の演出力はピカイチ!
本作の最も良かった点は、サイコホラーの演出面だ。
常に暗く、どんよりとしており、ライトが無いと前すら見えない様がずっと続く為、常に「異形の世界」に入り込んでいるかのような、背筋がゾクっとするような感覚に襲われる。特に、「ウェイク編」のメイン舞台である「闇の世界」は、現実改変時に突如真っ赤な世界が現れたり、すぐ側に敵が現れたりするため、アクションを起こすことすら憚られるような雰囲気を味わえた。
ゲームを進める中で、「スケアリング」というびっくり演出が出てくることもあり、いつも気が抜けない。背景に流れる音楽もひたすら気味悪く、音を聞いているだけで、すぐそばから何か出てくるのでは?と感じてしまう。
視覚、聴覚の全てから恐怖を感じられる感覚は、サイコホラー作品として一級品と言えよう。
本作をやるなら、是非部屋を少し暗めにし、ヘッドフォンをつけてやってみてほしい。ゲーム開始時から終了時まで、奇妙な恐怖感を一貫して感じることができるはずだ。
グラフィックは非常に美麗!
キャラや風景などのグラフィックも良かった。顔の皺や表情などから、音声が無くても、今はどんな場面なのか、彼らの緊張感がどんなものなのか、事細かく把握することができた。荒れ果てた遊園地や映画館を訪れた際は、座席や壁紙のめくれ度合いのひどさで不穏な環境を認識できるし、逆に綺麗に整い過ぎていると不思議な不気味さを感じたりと、その美麗なグラフィックの良さを遺憾なく発揮し、恐怖感を与えることに成功していた。
また、本作は全体的に暗い場面が多い為、微細な光度の違いが、ゲームの見栄えに露骨に影響を与える。ここにも手を抜かず、僅かな影すらもしっかり表現している。プレイヤーの目に見えるもの一つ一つに対し、手を抜かずに描ききっている姿勢は非常に良かった。
ムービーシーンの各所に実写を入れ込んでいるのも好印象だ。CGではどうしても描ききれない細かな表情変化や光の違いが表現できる、という点はもちろん、実写を混ぜ込むことで「本当に自分がその世界にいる」という感覚を、プレイヤーに強く与えてくれる印象があった。
エイムアシストは非常に新設設計!
本作のエイムアシストはかなり強力に設定されていた。
敵の近くまで照準を持ってきた状態で構えボタンを押せば、自動で敵の体の中心に銃口が向かってくれる。更に、敵が少し動くくらいなら、銃口が勝手に敵を追ってくれる。前者が搭載されているゲームは多いが、後者まで付いているゲームは数少ない印象だ。
ある意味、難易度が下がってしまう要素にもなるが、ガンシューティングが苦手な人にも配慮した新設設計なのは良かったと思う。
…が、それでも戦闘難易度は理不尽と感じるほどに高い…この詳細は「◆このゲームの悪い点」にまとめた。
◆このゲームの悪い点
移動関連が使いにくい…
本作のキャラの移動速度は、アクションゲームとは思えないほどに遅い。ダッシュしても遅い。ダッシュ中に段差に引っかかったり、背後を振り返ったりしたら、それだけでダッシュモーションが終了してしまうのも微妙。
探索が重要なゲームなため、マップ内の各地を歩き回るのだが、その際にこの移動速度の遅さはかなりストレスだった。
それなのに、本作にはマップ間のファストトラベル機能がない。別のマップに行く時は、遅い移動速度で時間をかけて目的地まで歩かなくてはならない。
オープンワールドゲームなど、ファストトラベルが充実したゲームでさえ「移動が面倒」と感じることがあるが、それと比べても本作の移動面は不親切で使いにくかった。
ミニマップ無し、ピンも無し、探索しにくい…
映像への没入感を増すためか、本作にはミニマップが存在しない。それどころか、マップ上にピンを打って目的地をわかりやすくすることもできない。
その為、移動時には頻繁に全体マップを開くことになる。操作画面と全体マップ画面の切り替えはワンタッチで行えるものの、マップ構造を覚えるまでは、全体マップを表示してまた戻って、を繰り返すことが多く煩わしい。この要素はなんとかして欲しかった。
武器改造やステータス向上が殆どできない…
各種ステータスを増やすための強化アイテムは、マップを見るだけでは場所がわからない。またストーリーを進めていけば勝手に手に入るものでもない。言葉通り、自分で「隅から隅まで」マップを歩き回って探さないと見つからない。
また、強化に求められる素材数が非常に多いため、一つや二つ見つけるだけでは足りない。
難易度ノーマルまでであれば、強化をしなくてもクリアは可能だ。実際筆者も、難易度ノーマルは未強化状態でクリアした。ただ、アクションゲームの楽しみの1つである「強化」が用意されているのに全然できないのは、大分楽しみが減ったように感じた。
中盤以降の戦闘難易度は理不尽…
本作の戦闘難易度は、筆者が過去にやってきたホラーガンアクションゲームの中でも上位に入るレベルで難しい。難易度ノーマルですら難しい。いや、難しいというより、理不尽といった方が近いかもしれない。
以下、理不尽ポイントをまとめる。
敵が硬い上、攻撃前の事前準備が必要という嫌らしさ
本作の敵は序盤からかなり硬い。ハンドガンなら、最低でもヘッドショット3、4発を当てないと倒せない。胴体を撃ったらその分弾数は増える。近距離最強のショットガンですら、胴体狙いなら1発では倒せない。ステルスキルもないため、弾の消費を抑えるようなプレイングもできない。
これだけならまだ良い方。今作特有の「敵に光を当てて闇を払わないとダメージを与えられない」という厄介な手順のせいで、攻撃準備に時間がかかる。ゲームが進むほど敵が複数体同時に出てくるため、他の敵の動きを気にしながらこれらを全て行なっていくことになる。複数の敵を一気に実体化できるアイテムもあるが、数が非常に少なく使用ポイントが限られる上、投げる場所やタイミングをミスったら無駄となるシビアさだ。
実体化作業、及び大量の弾薬を使用した攻撃の両方が必要、というのは、戦闘難易度を理不尽と言えるレベルにまで引き上げていると言える。
敵の行動の一部がチート級で火力も高い
物語中盤になると、瞬間移動する敵が当たり前のように登場する。遠くから一気に近付いて殴りかかってくるし、攻撃を避けたら避けた先にワープしてまた殴りかかってくる。高速移動で距離を取り、やたら命中精度の良い遠距離攻撃をしてくる敵もいる。
火力も高く、1発でも攻撃を喰らうと、体力の20%〜25%程が削られる。複数の敵に囲まれ、近接攻撃と遠距離攻撃のコンボをされた暁には発狂不可避だった。
敵の視認性が悪い
本作のステージが常に暗く、フラッシュライトで照らした先位しか状況把握ができない為、TPSにも関わらず、FPSよりも視認範囲が狭い。そんな状況で複数人に襲われれば、状況理解ができないままやられてしまう。
更に、「ウェイク編」の敵は真っ暗い影を纏ってる為、ぱっと見では敵の位置が把握できない。光を当てて実体化しても、体全体に靄がかかり、ヘッドラインがどこなのか、敵が今歩いているのか怯んでいるのか、サッと理解できない。
ゾンビゲーの一種ででここまで視認性の悪いシューティングゲームはやったことがなく、かなりストレスだった。
自キャラの操作性が非常に悪い
敵の攻撃を避けようとしても、
- 回避の効果時間がそこまで長くは無い
- 回避距離も短い
- 敵の視認性が悪い
- 瞬間移動を用いたトリッキーな攻撃をしてくる
- 敵の攻撃を1発食らうと硬直が発生し、すぐに回避に移れない
という要素が重なり、想像以上に回避が難しい。2、3回連続で攻撃してくる敵もおり、1発目を喰らうと、そのまま泣き崩し的に連続ダメージを受けてしまうことも。
せっかく回避できても、敵が非常に硬く、1体倒すのに何度も銃撃することになる為、倒しきる前にまた回避が求められることも。マガジン切れ時のリロード時間もやたら長く、ハンドガンですら完了に2秒ちょっとかかる上、リロード中に回避するとリロード行為がキャンセルされてしまう為、思ったような攻撃ができないこともしばしば。
上記の回避能力やリロード性能は、ステータス強化で改善はできるものの、前述の通り探索がかなりやりにくいため、必要数の素材が集まらず、中々強化できない。
他のホラーシューティングと比べても、本作の戦闘操作性はかなり悪いため、勝手に戦闘難易度が上がってしまうのだ。
物語の背景描写は曖昧で説明不足…
本作の物語は、全体を大雑把に捉えると、比較的良い物語ではあった。しかし、
- 「闇の世界」て結局何なの?
- ウェイクは何故現実改変する力を持っているの?
- ラスボスは結局何がしたかったの?
- 物語上のキーアイテムは何故そんな不思議な力を持ってるの?
- 道中に出てくる人々は何故闇の力に飲み込まれたの?
など、要素要素の背景を気にし始めると、説明不足がかなり目立つ。一応、プレイ中に手に入る文書を読んだり、ウェイク本人から口頭で説明が入ったりするが、内容が妙に文学的で、すっと理解できない。せめて映像で情報補填してくれればいいが、それすらない。プレイ中にどうしてもこういう要素が気になってしまい、いまいち物語全体を理解し切ることができなかった。
更に、キーパーソンとなるような登場人物の説明もかなり少ない。前作に出てきたキャラが多いため、何者か知ってる前提で話が進む点や、別ゲームである「CONTROL」に登場したキャラが出てくるなどしているためだ。
「続編だから仕方がない」といえばそれまでだが、それならもう少し、前作に対する事前説明があってくれても良いものだ。
また、物語の結末も、1週目は非常に不完全燃焼な終わり方だ。2週目をプレイすれば真エンディングが出るが、それまでは全く同じプレイを20時間近く求められる。2週プレイが求められるなら、1週目は「サーガ編」のみプレイし、2週目で「ウェイク編」が解放され、両方クリアしたら真エンディングに到達する、みたいな作りの方が圧倒的に良い。
本作と似たようなサイコホラーゲーム「サイコブレイク」では、
- 謎の世界「STEM」は何なのか
- 敵である「ルヴィク」の目的は何か
- 主人公達は何故巻き込まれたのか
などの説明がされる為、物語にしっかり集中できる。だからこそ、エンディングにあった『レスリーの謎行動』が、考察を与える余地をプレイヤーへ持たせ、作品への深みを作ってくれた。せめてこういうストーリーテリングにしてくれれば、本作のストーリー面の評価はもっと上がったのに…実に勿体無い。
◆まとめ
ホラーの雰囲気は非常に良いが、他は残念だった「Alan Wake 2」。メタスコアは高評価だが、これはおそらく本作を「ホラーゲーム」として見た評価が下されているのだろう。「シューティングアクション」として見た場合は、残念な要素が多い印象だ。
どっちを大事にしたいか、自分の中で考えてから購入することをオススメする。
では!