今回は、「戦場のヴァルキュリア4」をプレイした感想をまとめていこう。
「戦場のヴァルキュリア」というシリーズ作品のメインシリーズ第4作品となる本作。筆者はこのシリーズは「戦場のヴァルキュリア3」しかやったことが無かったが、その作品が個人的にかなり楽しかったため、その続編ということで購入!
クリアまで遊んでみたので、「本作は買いなのか?」と気になっている人はぜひ参考にして欲しい。
◆総評
- よくあるシミュレーションゲームには飽きた
- しっかり考えながらプレイするゲームがやりたい
- 50時間以上遊べるボリュームあるゲームがやりたい
- フルボイスのキャラゲー好き
という人には向く。逆に
- 無双シリーズみたいなストレス発散ゲームがやりたい
- 1時間以上ゲームする時間が定期的に取れない
- 濃厚なストーリーを味わいたい
という人には向かないだろう。
筆者としては、UIやストーリーの終わり方に少し不満に感じるところはあったが、それを帳消しにできるほどゲーム全体のクオリティは高く、オススメできる良ゲーと感じた。
◆このゲームの特徴
アクション×タクティカルの珍しいジャンルのゲーム
通常「SRPG」というと、マス目上に区切られた戦場を舞台に、敵味方がマス上を動き、アクションを起こすことを繰り返すのが一般的。
だが、「戦場のヴァルキュリア」シリーズは、「BLiTZ(ブリッツ)」と呼ばれる、シミュレーションゲとアクションを融合した特殊なバトルシステムを採用している点が、他のSRPGとは一線を画している。
戦闘が始まると、まず「コマンドモード」と呼ばれる、地形や敵味方の位置が画面に表示される状態になる。この画面では、操作したいキャラを選んだり、部隊の増援依頼、撤退要請などを行う。
操作したいキャラを選択すると、そのキャラクターを実際に動かす「アクションモード」へと移行する。この「アクションモード」が本作の大きな特徴だ。
「アクションモード」では、左スティックを動かす事で、まるでアクションゲームをプレイしているかのように、選択したキャラクターを自由に動かせる。まっすぐ進むもよし、遮蔽物に身を隠しながら進むも良し、草むらに身を隠してカモフラージュしながら動くこともできる。
「アクションモード」で動けるのはプレイヤーが選択したキャラのみだが、敵の迎撃圏内に入れば、敵はこちら目掛けて攻撃してくる。体を晒しながら動けばハチの巣にされてしまうため、事前に「コマンドモード」で敵の配置を確認し、それを避ける形で進軍する必要がある。
「アクションモード」中にR1ボタンを押せば、画面が「ターゲットモード」に切り替わる。この画面では、敵に照準を合わせて引き金を引くことで、所持している武器に応じた攻撃を仕掛けることができる。
頭を狙えば大ダメージを与えられるが、その分ヒット範囲が小さくなる。頭を狙って確実に仕留めるか、胴体を狙って確実に体力を削っていくか、常に選択を迫られる。また、こちらの攻撃後、敵がまだ生き残っていれば反撃してくるため、これも加味して攻撃個所を選んでいく必要がある。
敵味方ともに、そのターンでの行動回数には限りがあり、回数を使い切ると相手のターンとなる。これを繰り返し、勝利条件達成を目指していく。
兵科、武器、ポテンシャル、オーダーを駆使してクリアを目指す
SRPGでは、キャラの能力差をもとに最適な動き方を考えることが大切。本作ではそれが「兵科」「武器」「ポテンシャル」という形で表されている。
「兵科」とは所謂「ジョブ」のようなもの。各キャラはどれかの兵科に必ず割り当てられる。登場する兵科は
- 偵察兵
- 突撃兵
- 支援兵
- 対戦車兵
- 狙撃兵
- 擲弾兵(てきだんへい)
の全6種類。これ以外にも、「戦車」や「装甲車」といった、防御力、攻撃力双方が高く、壁にもなってくれる「車輌」や、敵だけが持つ特別な兵科も存在する。
兵科毎に得意不得意は異なる。例えば、「偵察兵」は移動可能距離が長く、移動速度も速いため、未開拓の場所を進む際には重宝するが、攻撃力や防御力が低いため、正面戦闘には向かない。反面、「突撃兵」は機動力はそこそこだが攻撃力、防御力共に高く、多少無理やりにでも道を切り開くことができる。また、本作から追加された新兵科「擲弾兵」は、機動力は低いものの、放射上に爆弾を飛ばせるため、壁越しでも攻撃でき、より戦略の幅が広がっている。
「偵察兵」にはライフル、「突撃兵」にはマシンガンと、兵科ごとに使える武器が限定されている。ただし、同じ武器種の中でも
- 威力が高いもの
- 命中精度が高いもの
- 車輌に限り大ダメージを与えられるもの
など特徴がある。
特に、敵のエリート兵を倒すことでのみ入手できる「鹵獲武器」はどれも尖った性能をしており、特定場面では非常に強力な武器となる。
これらの武器や兵科は、ミッションクリア時に手に入る経験値やお金を消費し、「訓練所」という施設で強化できる。兵科は強化すると特別な能力を開花できるようになり、より戦略の幅が広がっていく。
武器や兵科以外にも、キャラ毎に用意された「ポテンシャル」も重要な要素。
「ポテンシャル」とは、キャラや兵科ごとに定められている特殊スキル。発動条件を満たした時にランダムで発動し、特定ステータスが上昇する。ただし、中にはステータスを下げる「ポテンシャル」もあるため、如何に悪いポテンシャルは発動させず、良いポテンシャルだけを引き出していくか、場面に応じたキャラ選択が重要になる。
最後には、本作の主人公「クロード」だけが使用できる「オーダー」。行動権を指定数分消費することで、キャラの体力を回復したり、攻撃力や防御力を上げたりと、戦闘をより有利に進められる。
また、ストーリーが進むと、使用回数が限られているぶん強力な効果を持った「シップオーダー」が使用可能になる。これらを駆使し、より安全に、確実に、効率良くミッションクリアを目指していく。
メインストーリー以外にも様々なキャラストーリーが存在
本作には、主人公キャラ以外にも、多くのサブキャラクターが存在する。そのサブキャラクターにも、ちゃんとサイドストーリーやサイドミッションが、「隊員断章」という形で用意されている。
全ての「隊員断章」をプレイすれば、登場するキャラクター全員の背景がわかり、より感情移入しながらゲームをプレイすることができる。
「守りたいものを守る」を掲げたレンジャー小隊の活躍を描くストーリー
本作の舞台は、1935年の欧州。架空の連合国「連邦軍」と、北方の幅広い領土を占領する「帝国軍」との間で争いを繰り広げていた。様々な面で軍事的に優れている「帝国軍」により、劣勢を強いられている「連邦軍」は、帝国への一大反攻作戦「ノーザンクロス作戦」を立案、実行しようと考えていた。
主人公である「クロード・ウォレス」は、「連邦国」のレンジャー小隊「E小隊」の小隊長である。「クロード」は同じ班に所属する幼なじみの「ラズ」や「カイ」などと共に、「ノーザンクロス作戦」に参加し、戦争勝利を目指していた。
いくつもの危機的状況をくぐり抜けてきたE小隊は、やがて「連邦国」内でも秘密裏に計画されていた重要な任務に就くことになる。
無事戦争を終結させることができるのか…その結末は、是非ゲームをプレイしてみてほしい。
なお、本作のストーリーはこれまでの「戦場のヴァルキュリア」シリーズとは繋がりはないため、過去作をプレイしていなくても問題なく理解できる。もちろん、知っていた方がより深くわかるところもいくつかあるため、そういった点まですべて把握したいという人は、過去作もやってみよう。
◆このゲームの良い点
難しすぎもせず、簡単でもない絶妙なゲームバランス!
タクティカルゲームというと、色々考えることの多い、力押しの効かない難しいゲーム、という印象が強い。
本作も力押しですべて行けるようなものではないが、敵の兵科や位置をもとに、使うキャラや配置をある程度考えていけば、決してクリアできない難易度ではない。
特に、攻撃力、防御力に優れ、迎撃もできる車輌と、弱点を突けば遠距離から1発で敵を倒せる狙撃兵が大事!この2種をしっかりと活かして動けば、SRPGが多少苦手でもクリア可能だ。
「それでもクリアできない」という人は、難易度を「イージー」にすれば敵から受けるダメージをかなり減らせるため、倒されてしまう恐れが減る。
このゲームバランスは非常に良かった。
やりごたえ十分な超ボリューム作品!
筆者はあまりサイドストーリーはやらず、メインストーリーを難易度ノーマルでクリアしていったが、それでもエンディングまで約33時間を要した。サイドストーリーも含めたら、50時間は遊べるボリュームはある。
更に、ミッションクリア時の成績を、すべて最高ランク「S」にしようものなら、もっと多くの時間を必要とする。
- どこにどの敵が構えているのか?
- いつ、どこに敵が現れるのか?
といった内容をしっかり頭に入れておかないと、すべてSランク達成は難しい。
ボリュームを求めるやり込み勢にとっても、不満なくやれる作品であると感じた。
何から何まで、全てボイス有り!
メインストーリーはもちろんのこと、サイドストーリーの会話から、訓練施設に登場するサブキャラのセリフ一言にまで、全てにボイスが入っている。ここまでフルボイスな作品は、数多くのゲームをやってきた筆者でも見たことが無い。
それだけ大量のキャラクターがいても、決して棒読みなキャラクターはおらず、どれも本気で声を入れているな…と感じることができた。
キャラ毎に見た目や性格も大きく異なるため、中には自分のお気に入りキャラを見つけることもできるだろう。
淡いながらも美麗で無駄のないグラフィック!
昨今のゲームには高グラフィックな映像が求められている印象。そんな中、本作のグラフィックは、昨今のゲームにしては決して高い方ではない。
しかし、水彩画テイストで描かれる本作特有の映像表現「CANVAS(キャンバス)」は、淡い表現の中にも、登場人物の影や風景の違い、戦争の痕をくっきりと映し出しており、どれも非常に魅了されるような、美麗で無駄のないグラフィックであった。
高グラフィック過ぎない分、処理落ちや作画崩壊が起こることも一切なく、ずっと落ち着いた映像を見続けられたのは非常に高評価であった。
◆プレイして残念な点
1試合が非常に長くて疲れる…
本ゲームでは、1ミッションにかかる時間は順当に進んでも40分ほどと非常に長い。戦略を間違えたりすれば、それこそ1時間かかることもある。
また、ミッションに失敗すれば、そのミッションは最初からやり直し。お金や経験値を少しは分けてくれる、ということも一切ない。数十分かけて一生懸命進めたにも関わらず、ゲームオーバーとなればその時間がすべてパァだ。
これが中々に辛い。せめて中間チェックポイントのようなものを設け、そこに到達すればゲームオーバーしてもそこからやり直せる、といった作りだとありがたかった。
「じゃあ初めから敵を位置を慎重に見て、ミスしないように気を付ければいいじゃん」と感じたそこのあなた。そんな甘い作品ではない。
本ゲームでは、実際の戦場のように、キャラクターの視界に入っていない敵はマップに表示されない。そのため、建物の角を曲がった先にいきなり敵が待ち構えていたり、移動中に視界外の敵から迎撃の砲弾を食らったりすることがよくある。「初めから敵の位置をすべて把握して、そこから戦略を立てる」ということはそもそもできないのだ。
ゆっくりと周囲を確認していけばゲームオーバーにならないが、そんなことをしていたら1ミッションが1時間半ほどかかってしまう。
一応、ミッション途中でもセーブして中断することはできる。ただ、この異常なまでの長さは、腰を据えてゲームする時間が取れない人には向かないな、と感じた。
ストーリーの終わりはそこまでスッキリしない…
ゲーム前半のストーリーは「次が気になる…止め時がわからない…」となる場面が多い。しかし、物語の最後はちょっとあっけない感じがする終わり方だった…
ネタバレになるので詳しいことは言えないが、沢山の伏線がちりばめられ、それらが一気に回収されていくようなストーリーを期待するような人は、残念な気持ちで終わってしまう可能性があるので注意してほしい。
細かな部分のUIが悪い…
最後までクリアする中で、バグというバグには一切巡り合わなかったものの、全体的なUIが少し悪い部分が目立った印象だ。具体的には、
- ストーリー上で会話が多く発生するが、ほとんどがオート進行してくれず、自分でコマ送りしないといけない
- 訓練所や研究開発所、および部隊編成のたびに音声会話が発生し、テンポが悪い
- ストーリー進行が場面ごとに非常に細かく区切られており、いちいち「次のストーリーを読む」を選ばないと先に進めない
- 装備した武器の特徴やキャラのステータスを、戦闘画面で簡単表示する方法が無い(いちいち詳細画面を開かないといけないので面倒)
といった点。ゲーム開始直後は全く気にならないが、しばらくやり続けていくと不満に感じることが多かった。
◆まとめ
細かな不満点や気になる点はあるものの、全体通して非常に高評価な点が多い作品である「戦場のヴァルキュリア4」。今はBest版も発売され、低価格で購入できるので、「最近やりたいゲームが無いな…」という人は、購入してみるのをオススメする!
では!