今回は、PS5版の「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ -CRIMSON SiN-」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
なお、若干のネタバレが入るため、「少しでもネタバレしたくない!」という人は気を付けてほしい。
(本記事の情報は2023/12/5時点を元にしている)
◆個人的感想
総評
前作の時点で洗練されていた『アクション&コマンドを連結させた素晴らしい戦闘システム』はそのままに、追加アクションの導入を行う等して、RPGとしての出来を更に良いものへ押し上げていた。
更に、新ダンジョン「お伽の庭城」を筆頭に、多くのやり込み要素をひっさげ、ボリューム面でも満足いく作品となっていた。
前キャラに引き続き、新キャラ達も魅力が詰まっているのも尚のこと良い。
ただ、ストーリーが前作にも増して微妙になった印象。また、前作だけでなく、過去の軌跡シリーズの知識を知っている前提な展開が見られるようになり、前作だけをやっている人からしてもちょっとわかりにくい場面が多い。
過去の軌跡シリーズをやっている人なら楽しめはするが、そうでないなら、最低でも前作から遊ぶべきだ。
プラス面、マイナス面双方をとって、全体的には「良ゲー」といった印象だった。
こんな人にオススメ!
- 壮大なストーリーを味わいたい!
- コマンドRPGもアクションRPGもやりたい!
- 様々な成長システムや多くのやり込み要素が欲しい!
という人にはオススメできる。逆に
- 過去作をやってない
- ストーリーが完結して欲しい
- ストーリー進行はテンポ良く行きたい
- あまりに複雑なゲームシステムは苦手
という人はあまりオススメできない。
◆このゲームの特徴
コマンドとアクションを組み合わせた新たなRPG
「軌跡シリーズ」は、リニア形式のゲーム進行で、街で装備を整え、ダンジョンに挑み、ボスを撃破して先に進む、という、ドラクエやFFにあるようなコマンド型のRPGだ。
ただし、ドラクエなどと異なる点は、コマンド選択中にキャラを動かして、
- 敵の側面や背後を取ったり
- 攻撃範囲内に敵を収めるように調整したり
- 敵から物理的に距離を離してヘイトを買わないようにしたり
といった、ちょっとしたシミュレーションバトル要素も入ってるのが特徴だ。
コマンドバトルでは、通常攻撃、クラフト(特技)、アーツ(魔法)、アイテムといったコマンドを選択し、操作キャラの行動を決める。クラフトは攻撃方向によって発生する追加効果、アーツは炎や風などの属性を持つことによる弱点を突いた攻撃ができるため、指定方向からの攻撃や、敵の弱点を突く戦い方をすれば、格上の敵とも対等に戦える。
また、前回取った行動によってキャラの行動順が入れ替わるため、時間をかけてでも強力な技を出していくか、素早い技を連続して出していくか、という選択をしていくことになる。
また本作では、まるでアクションゲームの如く、フィールド上で敵とリアルタイムで戦う「フィールドバトル」というシステムも採用している。弱攻撃、強攻撃、回避など、アクションゲームには良く有る操作を採用し、敵の攻撃を回避しながらダメージを与え、倒すところまでできる。
更に前作からの新要素として、
- 簡易アーツ攻撃
- ジャスト回避時のカウンター攻撃
が採用され、よりアクションゲームらしさが強くなっている。
Xiphaを活用したカスタマイズ性のある強化システム
経験値を獲得することでのレベルアップと、高性能な武具を身に着けることによるステータスアップというRPGらしい強化方法の他に、本作特有の強化システムが大きく3つ存在している。
それはXipha(ザイファ)上での各種パーツ導入だ。各キャラは「ザイファ」という高性能スマートウォンを持っており、それを経由して
- アーツドライバ
- ホロウコア
- クォーツ
という各種キットを埋め込み、キャラの能力強化や使用可能アーツの体得をしていく。
アーツドライバは、戦闘中に使えるアーツを一定数まとめた装備品。アーツドライバの種類によって使えるアーツが変わるため、必要に応じて使用するアーツドライバを切り替えていくことで、難しいステージでもよりクリアしやすくなっていく。
ホロウコアは、戦闘時や装備編集時に喋りかけてくる音声AIのこと。ただ喋ってくれるだけでなく、ホロウコア毎に異なるステータス上昇効果を持っているため、キャラの特徴を考慮し、最適なホロウコアを選ぶことになる。更に、同じホロウコアを使い込むほど、ホロウコアのレベルが上昇し、より性能の高い追加効果を獲得できるようになる。
最後にクオーツ。キャラの体力や攻撃力、特定状況における戦闘能力向上等の様々なステータスを、レベルアップとは別に細かい単位で増加させるアイテムだ。手に入れたクオーツは、専用スロットにセットして効果を発揮する。
上昇する能力や上昇量はクオーツの種類によって異なり、どのクオーツをどこに埋め込むか、によって、体力を大きく増加したタンクキャラにしたり、素早さと回避力を上げた忍者スタイルにしたりと、キャラの性能が変わってくる。
街中にはびこる悩みを解決する「4spg」
本作ではサイドクエストとして、「4spg」というものが存在する。
「4spg」は、各街の掲示板から受領する、人々からのお悩み解決依頼だ。受注後は指定の人物と会話したり、指定のボスを倒したりすることでクリアとなる。
4spgの進行中に、選択肢が現れることがある。その際に選んだ選択肢によって、「LGCアライメント」という3種類の行動属性値が変動する。この属性の値に応じて、ゲーム終盤でとあるおまけが手に入るようになっている。
大規模なやり込みダンジョン「お伽の庭城」
本作から実装された「お伽の庭城」は、パーティ内から参加キャラを自由に編成し、仮想空間上に再現された探索エリアを攻略するやり込みダンジョンである。
各区画で指定されるミッションを達成して次の区画へと移動し、最後の区画に待ち構えるボスを倒すことでクリアとなる。各区画のミッションをクリアしたり、ボスを倒したりすれば、冒険に役立つ様々なアイテムが獲得できるようになっている。
また、「お伽の庭城」内で「シャードトークン」という特別なアイテムを入手できる。これを一定数集めれば、「ミスティックキューブ」という、いわゆるゲーム内ガチャを回すことができる。ここでは、戦闘に役立つアイテムだけでなく、キャラの服装やBGMの素材や、各キャラのクラフト性能を強化できる専用アイテムが手に入る。
その他、各種ショップの活用や、ミニゲームのプレイ、BGMやキャラ衣装の変更など、ゲームをより深く楽しむためのショップにも立ち寄ることができる。
最後のゲネシスを巡り、謎の勢力との戦いを描く壮大な物語
物語の舞台は、ゼムリア大陸中心に位置する国「カルバード共和国」。優秀な政治手腕を持った大統領の元で、かつてない好景気を迎えている大きな国だ。
本作の主人公は、そんな「カルバード共和国」にて、「裏解決屋(スプリガン)」という、表の世界にも裏の世界にも属さない曖昧な立場で仕事を請け負う青年「ヴァン」。町の治安維持活動に始まり、警察やギルドにも相談できない悩みの解決、裏社会に生きる人間からの依頼など、依頼相手の立場は気にせず、彼の流儀に沿った依頼であればなんでも受け付ける、正に「何でも屋」だ。
「アークライド解決事務所」の看板を掲げ、前作から事務所のバイトとして一緒に仕事をこなす少女「アニエス」やその他の仲間と共に、「裏解決屋」としての仕事をこなす「ヴァン」は、幼馴染で剣の腕に優れた女性「エレイン」から、とある依頼を受ける。
それは、最近になって国の首都で発生するようになった猟奇事件の解決に乗り出して欲しい、というものだった。なんと「ヴァン」も容疑者の候補に挙がっているとのこと。
しぶしぶ調査へと乗り出す「ヴァン」。そこから、「カルバード共和国」全土を巻き込む壮大な陰謀に巻き込まれていくこととなる。
◆このゲームの良い点
「アクション&コマンドRPG」というシステムは革新的!
前作からある「アクションとコマンドが両方一度にできるRPG」は、筆者的には過去に見たことがない、斬新で素晴らしいシステムだった。
コマンドRPGの欠点である、キャラのコマンドを選び、敵のターンを迎えて…という繰り返しにより生じる戦闘テンポの悪さは、アクションバトルで簡単処理できるようになり、雑魚敵との戦いやレベリングがサクッと終わられられる、テンポの良さを実現できていた。特徴に上げたプラスアルファのアクション要素も使い勝手が良く、アクションゲームとしての楽しさが更に洗練されているように感じた。このゲームをプレイした後、他のRPGをプレイすると、戦闘テンポの悪さにやきもきしてしまうのでは?と感じてしまうほどだ。
アクションは苦手、と言う人でも大丈夫。アクションバトルでやれる行動は、移動、弱攻撃、溜め攻撃、回避、操作キャラ変更と、本作から追加された簡易アーツ攻撃の7つしかないため、そこまで複雑な操作は要求されない。少しゲームをプレイしていけば、アクションゲームが苦手な人でもすぐになじめるはずだ。
じゃあアクションバトルばかりやれば良いのでは?というとそんなことはない。アクションバトルで与えるダメージと、コマンドバトルで与えるダメージとでは、体感2倍~3倍の違いがある。中ボス的な強さの敵を相手にした場合は、アクションバトルだけではなかなか倒せない。
なので、基本的にはアクションバトルで敵の体力を減らし、その後にコマンドバトルへと切り替えて一気に倒す、という流れが主軸になってくる。アクション一辺倒にならず、必要に応じて両者を切りかえて戦うバランス感も実に見事であった。
「お伽の庭城」を筆頭に、多くのやり込み要素が実装!
本作から追加された「お伽の庭城」のボリュームが非常に多く、やりごたえがあったのは良かった。
ストーリー攻略位まででは、クリアできるステージ数はせいぜい半分ちょっと。多くのステージはストーリークリア後も育成し続ける必要があるほど、要求レベルが高い。それだけ、クリアに向けて頑張って鍛え上げていく楽しみが増えていく。
クリアすればするほど、冒険で役立つ様々なアイテムが手に入っていくのも、明確なクリア報酬が用意されている感じがしてよかった。
この要素だけでも、実に10時間以上は遊べるだろう。
その他にも、「釣り」で数多くの魚を手に入れていくイベントや、ゲーム内に用意されている料理を全て食べるようにしていくなど、収集要素もしっかり用意されている。かつ、これらの収集をするほど、キャラのステータスが底上げされていくため、ただの1要素で終わらせない工夫がされている点もよかった。
キャラが全員魅力的で際立っている!
前作同様、メインキャラから敵キャラ、サブキャラに至るまで、登場人物の多くに魅力が詰まっており、プレイヤー側を非常に楽しませてくれた点は良かった。
ドライな性格ながらも、スイーツとサウナと車が好物で、これらの話になると「オタク化」してしまう主人公「ヴァン」を始め、優等生ながらも意外と頑固な「アニエス」、戦闘技量はあるがちょっと世間知らずな少女「フェリ」等、前作に登場するキャラはいずれも変わらず魅力を残しつつ、本作から登場したキャラたちも、それらにいずれも負けず劣らずの魅力を持ち合わせている。特に、本作のサブ主人公的な立ち位置である「スウィン」と「ナーディア」は、この二人の掛け合いを見るだけでも、クスっと笑ってしまう人間性が見られ、非常に面白かった。
本作から初登場の敵キャラは、全体通してみんな「ヤバい人」といった、ある種一辺倒な印象ではあったが、それでも各キャラの個性が目立っており、彼ら無しでは物語が進展しなかっただろうな、というような魅力が詰まっていた。
また、前作から登場しながらも、あまり深堀がされなかった「レン」や、結社のメンツの力強さや、裏に潜むヤバさのようなものを改めて見れた点も、キャラの魅力を引き立ててくれてよかった。
バグもなく、快適なユーザビリティ性!
本ゲームの操作性は全体的に良好。マップ間のボタン一つでショートカットできたり、装備画面やステータス画面への移動も短い導線で行けたり、ストーリーの目的地とサイドクエストの目的地とが、マップ上できちんと色分け表示されたり、「不便」と感じる点は無いように設計されていた。
また、前作から実装されていた、戦闘中や移動中、ムービー中などのキャラの動きを早くできる「ハイスピードモード」が、本作にも搭載されている。これにより、マップ間の移動、戦闘が全て高速で行われるため、「コマンド選択して攻撃エフェクトを見て…」みたいな戦闘時間の長時間化に悩まされないのはありがたい。倍速度合いもフィールドバトルは1.0倍から2.0倍、コマンドバトルは2.0倍から4.0倍まで、個人の自由に設定できる点も良い。
ハイスピードモードと通常モードの切り替えは、ボタン一つでいつでも任意に切り替えられるのもありがたいところだ。
新規勢に向けた膨大な量の説明データがある!
一つの大きな大陸を舞台とした物語が進行する「軌跡シリーズ」。本作までに10本もの作品が作られており、かつその全てが繋がっているため、筆者のような過去作未経験の人にとっては、時代背景や用語が掴めず困ってしまう。
そんな人向けに、過去作で登場した人物や出来事、専門用語などを纏めた説明資料「PRESTORY」が実装されている。このボリュームがかなりのもので、物語を理解するのに最低限重要な要素は説明されていた。
更に、前作を遊んでいない、または昔に遊んでいてストーリーを忘れた、という人向けに、前作の概要をまとめた映像も作ってくれている。これを見るだけで、前作からのつながりが概ね理解できた。
新規でも『ある程度は』入りやすい仕組みを構築しているのは非常に良いと感じた。
昔ながらのアニメ調をベースにした美麗グラフィック!
フォトグラフィックなリアル志向グラフィック作品が多い中、本作はJRPGらしいアニメ調グラフィックをそのまま採用している。
アニメ調だから、と言って手を抜いているわけではなく、建物1つ1つの質感や、遠くまで見える風景など、実際にアニメの中に入ってキャラクターを操作しているかのような、没入感がある美麗グラフィックになっており、非常に見応えがあった。
戦闘中の描写も非常に綺麗。キャラクターが放つ技それぞれにしっかりとエフェクトが付けられ、カクツキも無くヌルヌルと動いてくれるため、戦闘画面にのめり込める臨場感があった。ハイスピードモードで流していてもテクスチャずれは起きず、常に迫力ある戦闘を楽しむことができた。
◆このゲームの悪い点
ストーリーが完全解決しない…
本作はストーリークリアまででもそれなりなボリュームがある。筆者はハイスピードモードを常に駆使し、4spgなどのサイドクエスト要素を9割以上、「お伽の庭城」を約半分ほど消化した上で、ストーリークリアに45時間ほどかかった。前作が約60時間ほどかかったので、総合で100時間超えの超大作ストーリーだ。
そこまでかけてゲームをしても、なんと本作のストーリーは完全解決しない。一応、ラスボスを倒し、解決したような描かれ方はするが、前作序盤からずっと意味深に描かれ続けている伏線のいくつかは明かされず、最後に謎を控えているような描写を残して終わってしまう。物語の最後には「まだ謎が残ってる」的な続編を匂わせるコメントもしっかりある。
前作も含めて多くの時間をかけてプレイしてきた筆者にとって、「まだ終わらないのか…」という感覚にはなってしまった。
が、軌跡シリーズは昔から、何作にも続いてストーリーを展開していくシステムを取る作品。本作から始まったストーリーテリングではない様だ。なので、「これはそういうもんだ」と割り切って遊んでいくしかないだろう。
物語中盤以降が冗長&ご都合主義過ぎ…
前作でも感じた、後半以降のストーリーの中だるみ感。今作はどうだったかというと…相変わらず、というか前作より劣化してしまった印象だった。物語前半までは良かったのだが、中盤以降はストーリー展開上で残念な点が目立ち、本作の1番良くない点となっていた。
その要因は大きく3つある。
1つは「タイムリープの乱用」だ。本作では、ストーリーの様々な場面で、タイムリープによるやり直しをさせられる。このタイムリープの発生回数が、中盤以降は異常なまでに多くなる。
タイムリープを前提とした複雑なシナリオがあるわけでもなく、「これでは上手くいかなかったのでこっちを採用してみよう」みたいなトライ&エラーを繰り返しているだけなのもよくない。
このせいで、ストーリー上で主人公たちが危機的な場面に至っても、「どうせタイムリープして別の案を試してみるんでしょ?」といった感覚に襲われ、緊張感がまるで生まれなかった。
せっかくタイムリープさせるなら、リープ先をプレイヤーに選ばせて、ちょっとした推理要素を入れれば良かったのだが、本作ではそれも無い。タイムリープ発生時には、どこまでリープすればよいのか、リープ後に正解ルートへ向かうためにはどうすればいいのか、全て丁寧に教えてくれる。これのせいで緊張感が削がれている節もあった。
2つ目は、「無意味なまでのボス戦の多さ」だ。前作でもそうだったのだが、本作ではその酷さが更に増しているように感じた。
ストーリー中盤以降、主人公達は様々な陣営との戦闘を余儀なくされる。対話もするが、それでもやっぱり戦闘になる。もはや拳で殴り合わないと理解できない関係なのでは?と疑ってしまうほどだ。主人公達と良好な関係を築いている人達もいるのだから、連続で戦い続ける必要もないだろ…と思った。
後半に差し掛かると、小さなセクション単位に切られたイベントが発生し、その終わり際にボス戦が、それこそ何回も発生する。大体の流れも全部一緒で、
- 敵の罠にかかる
- ゲームオーバーになってタイムリープする
- 過去経験をもとに罠を脱してボス戦になる
という連続だ。
中盤以降、ここまで多くのボス戦が発生すると、ただストーリーを長くするために多量のボスを採用しただけなのでは?と感じてしまうほどだった。
3つ目は、ラスボスが取ってつけた感があるところだ。ラスボスはかなり意外なキャラが出てくるのだが、正直出てくる理由にあまり納得が得られなかった。
正直、ラスボスが誰が匂わせるような展開が殆ど無いし(有るには有るがかなり強引な繋げ方だ)、ラスボスにあの人をわざわざ持ってくる必然性が無いし、ラスボスの取った行動(道中の主人公達を助けているにも関わらず、最後に戦って終わりにする)に一貫性が感じられない。
製作者側は、どんでん返しな体験をしてもらおう、と思っていたのだろうが、何だか肩透かしな終わり方をしてしまった印象で、これでは失敗といった方がいい。
なお、前作では不満だった「ストーリーを進めるのに、4spgの一定数クリアが必須であること」というのがほとんど無くなった点だけは評価できた。
過去の軌跡シリーズとの繋がりが強い…
これはシリーズ物の宿命ではある。が、前作「黎の軌跡」が、過去の軌跡シリーズから脱却し、新規勢も取り込もうとしていた気概が感じられたのに対して、本作はそれすら忘れ、過去の軌跡シリーズ、特に「創の軌跡」をやっているプレイヤー向けの印象が強く感じられた点は残念だった。
前作「黎の軌跡」をやっていないと、主だった登場人物の関係性が分からないのはもちろんのこと、サブ主人公的なキャラである「スウィン」と「ナーディア」が、過去作「創の軌跡」に登場するキャラであるらしく、当時の出来事や、その時の彼らの心情、行動のようなものがちょくちょく出てくる。「創の軌跡」をやってない筆者からすると、イマイチ内容が理解しきれない。
前述の「PRESTORY」を全部読んで理解するのも、物量から見てかなり無理がある…
それ以外にも、ゲーム内に登場するいくつかの人物が、過去の軌跡シリーズに出てきたキャラ達を匂わせる場面が多数登場するため、そのたびに「昔にどんなことがあったのかわからないな~」といった感覚に襲われる。過去作との繋がりを大事にするのもわかるが、もう少し数を減らすことはできなかったのか…と感じた。
戦闘、育成、ストーリー等のあらゆる点で専門用語が多い…
長い間続いてきた「軌跡シリーズ」。その反動か、成長システムや、戦闘時に使用するコマンドの数、ストーリー上把握しておくべきことなど、とにかく専門用語が多く、覚えるべきことが非常に多い。
前述しただけでも、
- アーツ
- クラフト
- アーツドライバ
- ホロウコア
- クオーツ
- LGCアライメント
と続き、これ以外にも、
- Sブースト
- Sクラフト
- シャードスキル
- ATボーナス
- オーブメント
- CP
- EP
等々…あげていくときりがない。また戦闘、育成用語だけではなく、
- CID
- 結社
- 執行者
- D∵G教団
- ガーデン
- 黒月
- 守護騎士
などなど、ゲーム内に登場する組織や人物も大量に出てくる。多くは前作に登場したものだが、知ってる前提で話が進むため、どれがどれなのかちゃんと把握するにはかなり骨が折れる。
ゲームに慣れている人や、逐一用語を調べ回るような人でない限り、あまりに用語数が多く、理解しきれないのではないか?と心配になるほどであった。
バグ?仕様?…若干気になる問題点がチラホラ…
前作に引き続き、バグなのか仕様なのかわからないが、ちょいちょい気になる要素がある点が気になった。
キャラクターのボイス消失
本作はフルボイスではなく、ストーリーの要所要所で音声が吹き込まれるのみ。それだけなら特に問題は無いが、なぜかキャラ同士の会話の中で、特定のキャラは音声有りなのに、他のキャラは音声が無い、という場面が頻発する。
その発生条件に一貫性は無い。
- 主人公だけボイスが無く、新キャラおよび仲良くなった既存キャラだけ声が付いたり
- 主人公一行は全くボイスが無く、ぽっと出のキャラにボイスが付いていたり
- もともとボイス付きで話してたのに、何故か会話の途中で急にボイスが消えたり
と、どういう仕切りで音声有無のすみ分けがされているのか全く分からず、かなり気になった。
キャラクターが目を瞑ったまま喋る
本作では、キャラが話し始める時、目を閉じた状態から喋り始めるように作られている。しかも、そのキャラが1センテンス読み終わるまで、ずっと目を閉じたまま喋り続ける。
慣れてくればそこまで気にならないが、シリアスな場面でも、陽気な場面でも、キャラの表情が必ずこのように組まれるため、しばらくはかなり気になった。
◆まとめ
ゲームシステム面は更に洗練され、ストーリーは良くない印象が付いてしまう、という作品であった「英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ -CRIMSON SiN-」。
もう少しストーリーをよくして欲しかったのは否めない。が、100時間を超える壮大なシリーズを描いているゲームは中々存在しない。
前作も遊びやすい価格で発売されているため、前作とセットで、本作をやってみてほしい。
では!