今回は、「Subnautica Below Zero」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
パソコン版のゲーム購入サイト「Steam」で非常に高評価として有名な本作。そこまで値段も高くなく、購入の敷居が低かったこともあり、PS5版を購入!
一通り遊んでみたため、本作がどんなゲームなのか、まとめていきたいと思う。
ちなみに筆者は前作「Subnautica」は未プレイだ。今作から始めて「Subnautica」シリーズを遊んだ上でのレビューとして読んでほしい。
◆個人的感想
総評
「海の中でサバイバルをしたい!」というプレイヤーの欲求、ただそれのみにストレートに答えた作品、といったような作品。実際、広大な海が広がる未知の惑星を、酸素残量や飢え、更には襲い来る深海生物に気を配りながら探索する感覚は、他のサバイバルゲームには存在しない、神秘的ながらも恐ろしい、唯一無二の特別なものであった。
ただし、「海の中でサバイバル」ということ以外は、他のサバイバルゲームと比較しても不便な点があったり、楽しみの1つであるクラフトの幅が狭かったりと、どちらかというと低印象を持ってしまうことの方が多い。
更に、「海の中」を推している割には地上での探索パートが思ったより多いのも少々評価を下げるポイント。
ただただ「新鮮さ」という要素が全面に押し出された作品であり、これを味わうためだけでプレイしてみる価値はあるが、サバイバルゲームとして面白くオススメできるか、と言われると首を縦には振れない、というゲームであった。
こんな人にオススメ!
- 海の中を自由に冒険してみたい!
- 未知なる世界に触れる体験がしたい!
- ゲームの世界を隅から隅まで探求してみたい!
という人にはオススメできる。逆に
- 海の中特有のホラー感が欲しい
- 親切なチュートリアルが欲しい
- クラフトで色んな設備を作って、生活の発展を実感したい!
という人は購入を止めた方がいいだろう。
◆このゲームの特徴
氷海を舞台にしたサバイバルアクション
本作は、空腹や渇きに耐えながら資源を集め、拠点を作成し、広大なフィールドを散策するサバイバルアクションゲームである。マインクラフトやARKシリーズと同じジャンルのゲームだ。
そんな数あるサバイバルゲームの中でも、本作のみに存在する大きな特徴は、メインとなる舞台が地上ではなく水中であること。そのため、重力の影響を受けず、前後左右に加え、自由に上下にも移動することが可能だ。
水中である以上、空気はもちろんない。主人公は人間であるため、水中にずっと居続けることは不可能。そのため、定期的に地上に上がったり、拠点となるシェルターに戻り、空気を補充する必要がある。
また、生きている以上、食糧と水は必要不可欠。食料は自由に泳ぐ魚を捕まえて拠点で調理すればすぐに確保できるが、水は難しい。なにせ周りにあるのは海水のため、そのまま飲むことはできず、湖のような飲み水確保地点も存在しない。特定の素材を入手し、組み合わせることで初めて飲み水が確保できるシビアな仕様だ。
また、広大な海の中では、無害な魚や海水だけでなく、サメなどの狂暴で攻撃的な生き物も存在する。冒険時は、そのような危険な野生生物から身を隠しながら冒険していくこととなる。
時には水中だけでなく、氷や雪だらけの地表を移動する場面もある。
地上では体温を気にしないといけない。ずっと外に出続けていると体温がどんどん下がり、最後は低体温症でダウンしてしまうため、休憩して体温をもとに戻せるエリアを見つけながら進んでいく必要がある。地上でも、もちろん飢えと渇きは襲ってくるため、食糧と水の事前準備は怠ってはいけない。
必要な道具、生活拠点はクラフトして入手
行動の幅を広げていくには、食糧や水以外にも、
- 水中にいられる時間を増加させる酸素ボンベ
- 水中での移動速度が早くなるフィン
- 傷ついたアイテムを回復させるリペアツール
- 結合した扉や宝箱を開封するレーザーカッター
など、様々な道具を作成していく必要がある。
道具を作るには専用の素材が必要になる。素材は海中や陸上にある鉱物や海藻のため、海の中を探索して都度回収していく。中には基本となる素材を組み合わせて初めて用意できる上位素材も存在し、これを使わないと作成できない高性能な道具もある。
素材はもちろん使い捨て。また必要になった場合は、広い海を探索して探していく必要があるため、どの道具を作りたいか、優先度を考える必要がある。
道具「ビルダー」を作成すれば、地上や海の中に生活拠点を作成できるようになる。適度な大きさの小部屋から、大きな空間を用意できる大部屋、周囲に素材があるか単位できる専用ルームなど、必要に応じて様々な部屋を作成できる。
部屋以外にも、捕まえた魚を入れられる水槽や、電力を拠点に供給するための発電設備、ベッドや机などの生活用品、部屋の内装をよくするための額縁や観葉植物など、様々な小物も作成可能だ。
部屋や小物は、広大な海を探索する中で見つけた、先住人の残骸をスキャンすることで、初めてレシピが入手できる。レシピを手に入れ、専用の素材を集め、「ビルダー」を使用してようやく、生活拠点を準備することができるのだ。
ユーザの遊び方に沿った様々なゲームモード
本作では
- 最もメインなゲームモード「サバイバル」
- 飢えや渇きが無い、ライト層向けの「フリーダム」
- 一度命が尽きると最初からやり直しとなる「ハードコア」
- ストーリーが無く、自由にクリエイト作業が可能な「クリエイティブ」
- 自分だけのルールを作成して遊べる「カスタム」
という、ユーザの遊び方に合わせた幅広いモードを選択できる。
「クリエイティブ」では、酸素量や飢え、渇きなどのサバイバル要素が無くなり、自由に海の中を泳いだり、建てたい場所に建てたい建物を自由に配置したりなど、プレイヤーのやりたいことが自由に実現できる。
「カスタム」では、天気の影響を受けなくしたり、凶暴な海中生物からのダメージをほぼ受けなくしたりなど、「フリーダム」よりももっとライトなゲーム設定にしてストーリーを遊ぶことができる。逆に、受けるダメージを倍増させたり、夜の時間を長くして暗闇の世界にしたり、魚を食糧として接種できなくしたりなど、「ハードコア」よりももっと難しい設定にすることも可能だ。
惑星「4546B」の北極圏に起きた事件を探求する物語
本作の舞台となる惑星「4546B」は、前作の舞台にもなった惑星。その惑星にて、主人公の姉「サム」は、とある研究を行うために、主人公よりも前に居住し、生活をしていた。
しかしある時、主人公の元に「サム」が亡くなったことを通知するメッセージが届く。主人公は姉に何があったのか確かめるべく、単身「4546B」の北極圏へと向かう。
到着した「4546B」の一帯には、放置された研究ステーションが散在しており、生存者の姿はない。また、人間では作れない未知の文明の痕らしきものまで存在していた。
姉の身に何が起きたのか?この惑星にいた謎の文明を持つ生物とは何者で、一体なぜやってきたのか?
様々な謎を探求すべく、雪と氷に覆われた過酷な環境を生き抜きながら、深い海の底へと足を踏み入れることとなる…
◆このゲームの良い点
海の中の冒険は新鮮で恐ろしい…!でもそれが楽しい
浅瀬では可愛らしいペンギンの家族や、悪戯好きなシーモンキーなど、ほのぼのとした雰囲気の中を冒険する。海に行ってシュノーケルをつけて自由に海を泳いだ経験のある人なら、あの時の気持ちよさを実感しながら冒険できる、といえばイメージがつくだろうか。
少し深い、水深50mくらいまで潜ると、綺麗に輝くアーチ状の岩や巨大海藻が姿を現し、海の中の神秘を徐々に味わうことができる。まだ危険生物はおらず、沢山の魚や海洋植物の間を縫って進んでいく感覚は、正にダイビングで海の中を自由に泳ぎ回る快適さのそれだった。筆者もダイビング経験者で、30m弱位まで潜ったことが一度だけあったが、周囲が青く光り、多くの魚に囲まれ、ほぼ無音かつ無重力のような環境の中をゆったり泳いだのは、実に神秘的な体験だったことを記憶している。
では水深100mを超えてくるとどうか。徐々にサメのような狂暴な生物が姿を現しはじめ、プレイヤーを見つけると襲いかかってくる。もちろんこちらは生身の人間の為、襲い来るサメからそう簡単には逃げられない。
なので、このあたりから、周囲の生き物に気を払いながら散策を進めていくようになる。中にはストーリー進行上進まないといけないエリアに、巨大な生き物の姿を見ることがあり、「いや、こんなところ進みたくないよ…」という弱音が思わず出てしまう場面も。
そして、なんとか危険を乗り越えて到達した先には、これまで見たことの無い新しい素材や神秘的な建物があったりと、「来てよかった!」と思える世界が広がっている。
「海の中」という、人間では無力な世界を探索すること、その中で新たなエリアに足を踏み入れることが、ここまでワクワクでき、かつ恐ろしいものなのだな…と、ゲームをプレイする中でリアルに感じられた。
バグというバグもなく快適にプレイ可能
ゲームクリアまで一通りゲームプレイしてみたが、特に目立ったバグは無かった。また、ラグが多く発生したり、テクスチャが崩れたり、というような点も無く、最後まで快適にプレイできた。更に、ロードもゲーム開始時の約15秒くらいしかなく、「何も操作しない」という暇時間が発生しない点も良かった。
海外メーカーのサバイバルゲームでは、処理落ちやバグなどがちょくちょく発生するものではあったが、その点がほぼ無かったのはかなり好印象であった。
収集欲を満たすコレクション要素!
道具「スキャナー」を使用すれば、生き物や海藻、オブジェクトなどをスキャンし、生き物の生態や、オブジェクトが作られた時代の背景などを読み物として読むことができる。
また、マップのどこかに落ちている「PDA」という通信端末を集めることで、先住人が残した記録を読み、過去にこの惑星で何が起きたのか、時代背景をより深く理解できるようになる。
この収集要素や、収集系が好きなプレイヤーに取っては、非常にやりごたえのある、魅力的なゲームになっていると感じた。
「収集が面倒」という人でも大丈夫。スキャンやPDA回収をせずとも、ある程度はストーリーが進行してくれる。ユーザごとのプレイスタイルに合わせた探索欲、収集欲が設定されている点は高印象だった。
◆このゲームの悪い点
「深海の恐怖」というようなものはそこまで無い…
海の中が舞台、というと、「得体のしれない生物がいそうな真っ暗闇の中を進んでいく…」というホラーテイストな部分を期待する人もいるかもしれない。
しかし、本作はあまり真っ暗な場所を進んでいく、という描写が無く、また暗闇の先に得体のしれない生物がいる、という場面もそこまで多くはなかった。「深海の恐怖」という要素を求めて購入すると、肩透かしを食らってしまうだろう。
ただ、「ホラーは怖いからいらない」という人にとっては、ここは逆に嬉しいポイントかもしれない。
また、ストーリーを攻略後に、一番深いところまで潜っていける最高装備を獲得し、ストーリー上では足を踏み入れることの無い場所まで行けば、真っ暗で辺りの見えない深海を進むことも可能である。ストーリー攻略上は無縁の場所であるが、「深海の恐怖」を体験したいなら、専用の楽しみ方をしよう。
道具使用までのフローが不親切…
道具を使用するためには、ショートカットキーに道具を設定し、十字キーで使用する道具を選択していく必要がある。
この道具使用作業が非常にめんどくさい。たった1回使うだけの道具や、「このタイミングだけでちょっと使いたい」というような限られた場面で使うような道具でさえ、使用時にはいちいちショートカットキーに設定する必要があり、切り替えが非常におっくうだった。
ショートカットキーも最大で5個までしか枠がなく、それ以上増えることが無いため、よく使うショートカットキー設定をいちいち崩さないといけない。せめてショートカット設定のロードアウト的なものが存在すれば、このストレスもだいぶ緩和されるのだが、それも無い。
この仕組みはゲームテンポを大きく削ぐ要素になっており、だいぶ印象が悪かった。
地上パートが思ったより多くて微妙…
本作は海を舞台にしたゲーム。そのため、地上にいることを意図したゲーム設計にはなっておらず、地上がメインの他サバイバルゲームと比較すると、地上パートのゲームプレイは妙にあっさりしている。
それにも関わらず、本作ではなんだかんだ地上を散策するパートが多く存在した。地上でできる専用アクションがあるのか、というと、そんなことは一切ない。生き物を味方にして使役することもなければ、トロッコを引いたり、剣や弓矢を持って洞窟を探検していく、ということもない。あるのはただ広い雪原を、体温を気にしながら走る、というただそれだけだ。
そうなると、完全に他サバイバルゲームの劣化版にしかならない。このような地上探索パートが、ストーリーの3割ほどを占めているため、「ダルいな…」という感覚を多く持ってしまった。
クラフト要素は正直薄味…
サバイバルゲームの根幹を作る要素であるクラフト。本作でも探索を広げるための道具のクラフトや、居住エリアを作成するためのビルダー要素など、一通りの要素は揃ってはいるものの、他のサバイバルゲームとして有名なマインクラフトやAKRなどと比べると、クラフトできる道具の要素が少なかった。
放牧場のような食糧量産施設を作れるわけでも無ければ、周囲の動植物や鉱石を一気に捕まえて採集を楽にできるわけでもなければ、様々な武装装備が手に入るわけでもない(戦闘装備は一応手に入りはするものの、他サバイバルゲームと比べると明らかに種類が少ない)。
道具や施設をクラフトして、「生活がマジで便利になった!」という実感も薄く、ただ「ストーリー進行のために必要になるから作った」というような要素が強い印象。ここはサバイバルゲームとしては痛手なポイントだった。
不親切な点が多い…
洋ゲーあるあるだが、本作にはチュートリアルがほとんどない。操作方法、画面上のアイコンの意味、道具やアイテムの使い方やインベントリの開き方など、何から何まで自分でボタンをガチャガチャ弄ってみて理解していくしかない。生き抜くことがメインのシビアなゲームにも関わらず、そもそもの操作方法がわからない、というのは、ゲームに慣れるまでは中々辛かった。
また、目的地関連のUIの悪さも欠点だった。
ストーリーの進めていくと、次に行くべき場所がある程度は表示されるものの、まとめて一気に表示されるため、どこをどの順で探索すればよいかわからない。また、途中からは進むべき場所が表示されなくなり、そうなったら攻略サイトを見ないと先に進むことは不可能だった。
自分が一度行った場所への目印をつけるシステムが少ないもの気になった。一応、「ビーコン」という道具で目印代わりにできるものの、ビーコンを作成するのにかかる素材も大量生産できるものではないため、作成数には限りが出てくる。マップ上に自由に目印を付けられるようにしたり、「ビーコン」作成に必要な素材をもう少し入手しやすいようにしてくれると良かったな、と強く感じた。
次に行くべき目的地がどこなのか、一度自分が行った場所がどこなのか、といった情報が不足しているのも気になる。
ボリュームは少な目…
筆者は難易度「サバイバル」で最後までプレイしたが、クリアまでにかかった時間は約15時間。ゲーム価格から見れば妥当なボリュームだろうが、サバイバルゲームというゲームジャンルを考えると、少し少ないと感じた。
◆まとめ
「海の中」という神秘的な空間を舞台にサバイバル体験ができる希少なゲームである「Subnautica Below Zero」。不満点は色々あり、神ゲーか、とは言えないものの、やはりこのゲームだけでしか味わえない独特さがあったのは間違いなかった。
では!