今回は、「Far Cry NewDawn」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
なお、前作「Far Cry 5」のネタバレを一部含むので、前作未プレイの人は総評だけ読むことをオススメする。
◆個人的感想
総評
前作「FarCry5」の大型DLCといっても差し支えないな、というのが第一感想。
前作にはなかったクラフトや拠点強化、探索という新要素がありはせど、マップや基本システムは前作とほとんど変わらない。寧ろ、前作まではあった「オープンワールド」というゲームシステムの利点を悪化させてしまっているといえる点もちらほら…
また、武器や敵にランク制度が設けられてしまったため、RPGにあるレベル上げの如く、いろんなミッションをクリアして素材を集め、着実に武器を強化していかないと、どんなに頑張ってステルス行動しても敵を倒しきれず、バレてしまい、そのままハチの巣にされてしまう。
ストーリーも前作の完全続編で、新規プレイヤーでも分からなくは無いが、前作をやった人でないと思ったほど楽しめない点もマイナス印象。
値段はそこまで高くはないうえ、最近は「FarCry5」とセットで発売されることも多い為、「FarCry5」をやった人は遊んでも楽しめるだろうが、
- 前作をやってない人
- オープンワールドにRPG的要素を取り入れられるのが嫌いな人
がいきなり本作をやるのはオススメしない。
◆このゲームの特徴
どこに行くのも、何をするのも自由!ザ・オープンワールドFPS!
本ゲームは「GTA」や「ホライゾンゼロドーン」のようなオープンワールドのFPSゲームだ。広大なフィールドを舞台に、様々な施設を回りながらミッションをクリアしていく。
ミッションには、ストーリーに関わるストーリーミッションと、ストーリーには直接関係しないサイドミッションがあるが、どのミッションをどの順番で攻略していくかはプレイヤーの手にゆだねられている。順番にミッションをクリアするもよし、重装工兵がいるような難しい場所から進めていくもよし、サイドミッションを徹底的にクリアしてからストーリーを進めるもよしだ。各ミッションを指定数クリアすると、ストーリーが自動的に進んでいくシステムとなっている。
チャレンジを達成してパークを解放する成長システム
最近のゲームの多くに搭載されているパーク解放システム。本作にももちろん存在する。
PEAKは、「チャレンジ」という特定条件を達成することで入手できるPEAKポイントを消費して解放する。PEAKには、グラップルやウイングスーツなどの移動力を増すものや、チェーンテイクダウン等の敵を倒す手段を増やすもの、最大体力増加や移動速度増加などの身体能力を強化するものなど豊富に存在する。どれをどの順で解放するかはプレイヤー次第である。
新たなシステム「クラフト」&「プライオリティ拡張」&「探索」
本作には、前作には無い「クラフト」「プライオリティ強化」「探索」という新要素が存在する。
「クラフト」では、武器や爆弾、回復薬を始め、車やヘリなどの攻略に必要なあらゆるアイテム、乗り物を作ることができる。過去作ではクレジットを消費して購入、強化する必要があったが、核戦争で荒廃した世界ではクレジットが意味をなさないのだろう。アイテム制作には「ダクトテープ」や「電導コイル」などの素材が必要で、これらはミッション報酬やマップ上の宝箱などから集められる。
また、同じ武器、乗り物でも「ランク」という性能差が設定されている。ランクⅠ~ランクⅢまで存在しており、高ランクになるほど必要素材も膨大になる反面、強力な性能を持っている。敵にもランクが設定されており、高ランクの敵と戦う機会が増えるほど、高ランクの武器が必要になってくる。
続いて「プライオリティ強化」。言い換えれば「拠点強化」だ。
本作では「FarCry5」とは違い、プレイヤーやその仲間が住む拠点がある。拠点には、前述したクラフトをするための作業台や、薬草を自動で育ててくれる農園、プレイヤーの体力を上げてくれる医療施設など、様々な施設が存在している。
これらの設備は、強化しないと性能は低い。体力は上がらないし、マップに出ないと野草は取れないし、そもそもランクⅡ以上のアイテムがクラフトできないし、といった具合。強化するには「エタノール」という専用の強化素材が必要になるので、「エタノール」を集めてきて強化したい設備を選んで強化していく必要がある。
最後に「探索」。ゲームを進めていくとプレイできるようになる、メインストーリーとは異なる専用モードだ。イメージ的には、「メタルギアソリッド」シリーズをFPSで実現した、というのが一番近いだろう。
ミッションを開始すると、メインマップとは別の専用マップに移動し、「パッケージ」という物資の回収を命じられる。回収までの道筋はプレイヤー次第。ステルスプレイしてもよいし、「増援ドンと来い!」と正面から切り込んでいってもよい。
回収すると勝手に敵に位置がバレる。敵の猛攻をかいくぐりながら脱出地点を目指し、脱出地点でヘリコプターに乗り込んで脱出すればミッションクリアとなる。
味方と共にミッションクリアを目指すGFHシステム
本作では、NPCと一緒に行動できる「GFHシステム」がある。敵と遭遇すると、各キャラの攻撃手段に合致した攻撃手段を用いて、プレイヤーと共に敵と戦ってくれる頼もしい味方だ。
ただし、「FarCry5」と異なり、そこら辺を彷徨っているNPCを味方にすることはできない。前作でいう「スペシャリスト」にあたるキャラ1名のみ連れて行くことができる。
仲間には、
- 弓矢で静かに敵を仕留めるステルスキャラ
- 偵察力に優れ、敵を自動的にマーキングしてくれる犬
- ランチャーで敵を爆撃するキャラ
など、個性的なキャラが並ぶ。中には前作にも登場したキャラが味方になってくれたりもした。
オンラインでのCoop、マルチプレイ要素有り
本作にもFarCryシリーズお得意のcoopモードを搭載している。フレンドと共に「ホープカウンティ」内のミッションをクリアしていこう。
ただ、前作にはあった「アーケード」システムは撤廃されている。オンライン要素は本当に必要最低限だけ入れた、と言った感じだった。
核戦争で荒廃した世界を生き抜くサバイバルストーリー
本作の舞台は、前作「FarCry5」の舞台でもあった「ホープカウンティ」だ。
のどかな田舎町であった「ホープカウンティ」だが、前作のラストでラスボスである「ジョセフ・シード」を逮捕しようとした、まさにその時に起きた核戦争により、世界は一変。整備された道路は荒れ果て、建物は崩れ去り、妙に眩しい色に変わった木々が辺りを覆い、突然変異した動物が周囲を闊歩していた。
そんな状況でも、生き残った人々は新たな施設を作り、自給自足で今を生きる生活を送っていた。
しかし、突如として現れた野蛮なグループ、通称「ハイウェイマン」により、平和は奪われることとなる。荒廃した世界で、秩序を守るべく戦うことを強いられた主人公たちは、巨大な設備「プロスペリティ」を作り、ハイウェイマンとの戦いに挑むのであった。
◆このゲームの良い点
プロスペリティ強化やクラフトで自分が強くなったのが実感できる!
本作では、強くなるにはプロスペリティを強化したり、高ランクの武器をクラフトしたりする必要がある。初めは貧弱や設備しかなく、大した性能も持たない武器しか装備できないため、ちょっとでも強い敵に当たろうものならまず勝てなかった。
しかし、丹念に素材を集め、設備を強化し、武器をクラフトすれば、どんどん自分自身が強くなっていき、今まで倒せなかった敵も簡単に倒せるようになっていく。
シューティングというアクションゲームにも関わらず、RPG的要素を取り入れた本作では、この「強くなった感」を如実に感じられ、「頑張ったな…」という気分に浸れる点は良かった。
探索、拠点解放、狩り…ミッション以外のやり込み要素が楽しい
FarCryシリーズにはよくあるサイドミッション。本作にも存在するが、それ以外にも拠点解放や狩り、新要素の探索の徹底クリアなど、どちらかというとミッション以外のやり込み要素が数多く存在した。
それぞれ、難易度が高くなるごとに登場する敵がどんどん強くなってくる。先に紹介したプライオリティ強化やクラフトで自身のステータスや武器を強化し、攻め方を考え、やっとの思いでクリアできた時には非常に楽しかった。RPGの裏ボスを倒すために頑張って、クリアできた時に「やった!」となる感覚、というのが一番しっくりくるだろう。
◆このゲームの悪い点
オープンワールドの良さがあまり無い…
オープンワールドゲームというと、メインミッションだけやってストーリーを楽しむもよし、サイドミッションを全てこなしてもよし、と、プレイヤーのやりたいようにやれる自由度の高さがウリのジャンルである。
にも関わらず、本作では敵や武器にランク制度を導入してしまったせいで、メインストーリーだけプレイしていると、使う武器のランクが低いまま敵のランクだけ上がっていき、行き詰まる場面が増える。なので、どこかのタイミングで、どうしても強い武器を作るためにサイドミッションや探索を強要されてしまうのだ。
RPGでいう「レベル上げ」に該当する行為を強要されてしまうような感覚。これにより、オープンワールドの良さである「プレイの自由度」が消えてしまっている印象だった。
序盤は移動要素がかなり制限され面倒くさい…
核戦争で崩壊した世界が舞台なためか、マップにビークルがほとんど落ちてない。大型の拠点にすら置いてないほどだ。自分で用意するにも、プロスペリティを強化し、ビークルをクラフトする為の素材を集めて来ないと用意すらできない。
また、ファストトラベル要素の改悪もなかなか辛い。前作「FarCry5」では、一度行ったことがある地点であればすぐにファストトラベル先に指定できたが、本作はプロスペリティで「探索」用の設備を強化しないと、そもそもファストトラベルが解禁されない。必要設備が揃うまでは、広大なマップを「プロスペリティ」からずっと徒歩で移動する必要があり、ひたすらにかったるかった…
水増し感が強く、純粋なコンテンツボリュームは少なめ…
本作の全ミッション数は全体的に少な目で、かつマップも前作の時よりも若干小さくなっている。さらに、前作ではDLCや強くてニューゲームなどのエンドコンテンツ要素があったが、本作にはそれもない。
また、登場する武器の種類も少なく、武器のカスタマイズ要素(サイトはどれを付けるか、サプレッサーは付けるか付けないか)も廃止され、武器ごとの性能が統一されてしまったため、いろんな武器を使ってお気に入りを見つけていく、と言った楽しみも無くなっている。
全体としてやりごたえやボリュームは前作よりも無くなっている印象だった。
かといってプレイ時間が短かったのか、というと、クリアまでの時間は約20時間ちょいと結構長い。ただこれは、プロスペリティ強化の為に物資集めを何度かこなしたり、マップを散策してクラフト素材を集めたりする時間がかかったことが大きな要因で、ミッションの量や質に引っ張られたわけでは無い。クラフトやプロスペリティ要素が無ければ、恐らく10時間もあれば終わってしまうレベルのボリュームだったと感じる。
前作ありきのストーリー…かつ終わりが…
本作のストーリーは完全に前作「FarCry5」の続きを描く作品である。登場人物も、出てくる単語も、すべて前作の踏襲だ。更に、それらの単語や背景を説明するような補足資料は存在しない。そのため、前作をやっていない人にとっては、
- 「このキャラはどうしてこんな行動をとっているの?」
- 「なんでこのキャラはこんなに怒っているの?」
- 「この物体はいったい何なの?」
といった疑問が頭を多くよぎること間違いない。前作をやらずに本作をやるなら、このことは念頭に入れてプレイしてほしい。
また、ネタバレとなるのであまり細かなことは言えないが、本作のラストはどうにもしっくりこない終わり方をする。FarCryシリーズあるあるの皮肉を込めた終わりをするわけでもなく、すっきり王道な終わりを迎えるわけでもなく…「え、これだけ?」という感想で終わってしまう。
ここも、前作をやっているプレイヤーであれば、「こういう終わりでもありなのかな…」と思える場面ではあるが、やっていない人には「何このストーリー…」となるだろう。
◆まとめ
ボリューム不足感がどうしても否めない「FarCry NewDawn」。単品の値段はFarCryシリーズにしては安めなので、「こういう作品なんだ」と理解した上で買う分にはいい作品だとは思う。
また、最近はセールとして前作「FarCry5」とセットになってPS STOREに並ぶことも多い。まとめて勝っても5000円レベルで売られている時もあるので、そういう時に買ってプレイしてみるのも良いだろう。
では!