秋吉ブログ

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【砂の国の宮廷鍛冶屋】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switchの「砂の国の宮廷鍛冶屋」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事は2024/5/31時点の情報をもとにしている)

 

 

◆個人的感想

総評

「超絶作り込んだスマホゲーム」といった感じの作品。

  • 無料スマホゲーだったら超高クオリティな作品
  • ハーフプライス以上ならちょっと高すぎ

と思うような出来だった。本作の値段は1500円ちょっとなので、その価格帯で見ると合格点以上のクオリティだったと感じる。

ゲームボリューム自体は意外と多く、細かくやり尽くしたら結構な時間を遊べる。各ステージのボス戦は意外と難しく、考えながらプレイしないと負けてしまう場面があったりと、やりごたえがある。

が、繰り返しや作業ゲーム要素も多分に含んでおり、それらの要素に文句がちらほらとは出てくる。ボス戦以外にのめり込めるようなゲーム性があまりなく、それらに対して不満な要素は色々目立った印象。

「手軽に遊べ、安価であり、意外にボリュームがあるゲーム」という心持ちでプレイするのが大事。その意識でプレイすれば、良ゲーとして楽しめるはずだ。

 

どんな人におすすめ?

  • サクサク遊べるゲームが欲しい
  • 安価だがボリュームのあるゲームがやりたい
  • 経営ゲームもRPGも好き

といった人にはオススメできる。逆に、

  • 腰を据えて、色々考えながらやり込めるゲームがやりたい
  • グラフィックに拘りたい
  • 単調作業や同じことの繰り返しは嫌だ

といった人には合わない可能性が高いため、注意して欲しい。

 

◆このゲームの特徴

素材集め、武具作成、店舗販売を繰り返す経営系コマンドRPG

本作は、武具作成、店舗経営、コマンドバトルの各要素が織り混ざった、アトリエ系のRPGである。

拠点となる街には、自分の経営する工房と店舗が存在している。ダンジョンを探索して手に入った素材を利用し、武器や防具、生活用品を開発したら、それらに対して価格を設定し、店舗で売り出すことができる。売れればそれが現金となり、アイテム購入や体力回復、キャラのスキル強化などの、冒険に役立つ要素へと還元されていく。使った武具は自分で装備することも可能だ。

ダンジョン探索で入手した素材を消費し、武具を作成

作った武具を販売して、お金を入手し、また新たな武具作成に活かす経営要素を含んだゲーム

ダンジョンには、素材を回収できるポイントが各地に存在している。素材回収ポイントにアクセスすることで、鉄鉱石や木材など、鍛治に利用するアイテムが入手できる。

ダンジョン内の最終ポイントにアクセスし、素材を入手

素材回収ポイント以外にも、プレイヤーを見つけると追いかけてくる敵もうろついている。敵のシンボルに触れると戦闘が開始し、そこからは、3×3のマス目をフィールドとしたコマンドRPGへと移行する。

戦闘では、攻撃や特技、アイテムなどのコマンドの中から、各キャラごとにやりたいものを選び、以降は敵味方の中から素早さの速い順に行動が行われていく。敵を全て倒せば戦闘が終了し、敵からのみ手に入るアイテムを回収し、また探索を進めていくことを繰り返す。

ダンジョンには敵が徘徊している。触れると戦闘へ移行する

戦闘は9×9のマス目を舞台に戦うコマンドRPG

 

ギルドで依頼を請け負い、経営で店舗を拡大することで進むゲームシステム

本作では、冒険者ギルドにて依頼を受注し、達成することでストーリーが進んでいく形式をとっている。ストーリーに直接関係しないサブ依頼も多数取り揃えられている。

依頼内容は、

  • 特定エリアまでの到達
  • ボスの撃破
  • 指定した敵の一定数撃破
  • 指定武具や用品、素材の納品

のいずれか。依頼を達成すれば、お金やアイテムを受け取れる他、冒険で役立つ様々なことが解放されていく。

ギルドで依頼を受注。達成するとお金とその他報酬が手に入る

店舗経営では、店の売り上げやお客の満足度を一定数まで上げることで、更に店舗を大きくし、これまでは作れなかった新たな武具を作成できるようになる。売り上げを上げるには沢山武具を作る必要があり、その為には素材が必要になるので、ダンジョンに潜って素材集めをする、ということを繰り返し、発展させていく。

商品の販売価格は、プレイヤーの手である程度任意に決めることが可能。低価格に設定すれば、その分その商品の売れる個数が増えるが、薄利多売となる。高価格にすると売れ行きは落ちるが、利益は多数手に入る。また、その日に商品棚に並べる商品の組み合わせによって、来店するお客の人数も増減する。

売りに出す武具の販売価格を決めて商品棚に並べる。金額が高いと1個当たりの利益も多いが、需要が減る

一度に販売する商品の組み合わせによっては、来店するお客の数が増え、売上が増していく

お店の売り上げ総額と、お客の満足度が一定値まで到達すると、お店のレベルが上がり、新たな素材や武具を作成できるようになる。

売り上げや満足度などの条件を満たすことで、鍛冶屋のランクが上昇。もっと高級な武具を作成可能になる

 

職業、信仰、武具、陣形…多数の組み合わせで強くなる育成要素

本作では、主人公以外にも、ゲーム起動時に4人の仲間キャラを雇う。各キャラは、合計14種類の職業の中から、メイン職業とサブ職業を1つずつ選ぶ。職業によって、装備できる武具や、使用できる戦闘スキルが異なる。戦士と騎士を組み合わせて、前線を張れるタンクキャラにしたり、魔法使いと賢者を合わせ、回復と攻撃魔法を駆使する魔法使いになったりと、思い思いの構成を実現できる。更に、最大6スロットのパッシブスキル装着枠へは、他職業のパッシブスキルもセット可能なため、1キャラに対するスキルセット、装備セットの組み合わせは無限に近い。

14種類の特徴ある職業の中から、メイン職業とサブ職業を決める

スキルは購入することで獲得や強化が可能。強化すると、火力が上がったり、スキル使用に必要なMP値が減少したりする

更に、キャラに一つ「信仰」を設定することで、プラスアルファのステータス強化が可能。「信仰」は拠点内であればいつでも好きに付け替えることができる。

キャラ毎に、数多く用意された信仰の中から一つを選ぶ。信仰の種類毎に、強化される内容が異なる

各キャラにはレベルが用意されている。経験値を一定数手に入れればレベルが上がり、体力や攻撃力などのステータスが強化される。経験値は戦闘で敵を倒して入手する他、拠点内の酒場で料理を食べることでも獲得できる。

敵を倒して経験値を獲得する王道レベルアップシステム

酒場で1日に1回料理を食べることでも経験値が上がる

キャラが装備する武具は、全て工房にて自作する。ショップで購入したり、ダンジョン探索で拾ったり、ということはない。

また、全ての武具には「装備熟練度」というメーターが用意されている。同じ武具の生成を何度も行ったり、武具を装備して何度も戦闘をしたりすることで「装備熟練度」が上昇していき、上限まで到達すれば、その武器のステータスが引き上がる他、新たな武具レシピの解放や、新特技の獲得ができる。

武器熟練度が100%に到達すると、武器そのもののステータスか向上したり、派生の別武器のレシピが閃いたりする

また、武具にはルーン石と呼ばれる鉱石をはめ込む枠が用意されている。ルーン石は、体力最大値増加や攻撃力増加、獲得経験値増加など、様々な効果が付与されている。武具にある枠に、手に入れたルーン石を任意にはめ込むことで、武具性能を更に強化できる。 

武具にルーン石を好きにはめ込み、武具の性能を更に増すことができる

職業やスキル、装備の組み合わせを決めたら、次は「陣形」の設定が必要。「陣形」は、3×3のマス上にキャラを配置し、配置した場所に沿った専用のバフ効果がついていくシステム。「陣形」の内容によって、攻撃力の増加や俊敏性の増加等、上昇するステータスが異なる上、同じ陣形でもキャラの配置場所によって、上昇効果の内容が異なる。キャラの育成方針に合わせ、適切な配置先を選ぶこととなる。

入手した「陣形」の中から1つを指定。どこに何のキャラを配置するか、キャラのビルドをインプットにして事前に考えておく必要がある

 

鍛冶屋の息子が、冒険者且つ鍛冶屋として成長するストーリー

本作の主人公は、王都「ムスペルヘイム」にて鍛冶屋を営む店主の息子だ。他国との戦争の最前線に鍛冶屋として向かい、命を落とした父親の意思を継ぎ、鍛冶屋を大きくしていくことを誓う。また、冒険家としてギルドにも所属し、自身が直接国の困り事を解決しに動くようにもなる。

果たして彼は、自身の工房を発展させ、王宮と直接やり取りをする宮廷鍛冶屋の地位を獲得することができるのか。新米鍛冶屋の冒険が幕を開ける。

砂漠に覆われた国「ムスペルヘイム」が舞台

戦争で父を亡くした鍛冶屋の息子が、冒険者兼鍛冶屋として成長する様を描くストーリー

 

◆このゲームの良い点

値段以上にボリューミーな内容が楽しめる!

1500円程という低価格帯でありながら、クリアまでのボリュームは結構多かった。マップ一つ一つはそこまで大きくはないが、大量の依頼の数と、対象の作成可能武具により、ゲームボリューム全体が底上げされて多くなっていた印象だ。

依頼関連以外にも、街中にある闘技場を全てクリアする楽しみもある。闘技場をクリアすれば、敵を倒すことでしか手に入らない素材を素早く入手できるため、やり込みだけでなく、武具作成にも役に立つ。

街に用意されている専用のやり込み要素「闘技場」

敵や武具の図鑑やトロフィー要素も存在しているため、これらを全て埋めるようにやり込みする楽しみもある。

図鑑埋めもやり込み要素の一つ。出会うだけではだめで、職業「盗賊」しか持っていないスキル「盗む」を使用しないと埋まらない項目もある

筆者はゲームクリアまでに登場するサブクエスト、闘技場を全てクリアし、ストーリークリアまでにかかった時間は約19時間であった。更に、クリア後にもお楽しみがあり、それらをクリアしようとしたら、25時間ほどは遊べた。

この値段でここまで楽しめるのは正直嬉しい。ボリュームには満足できるはずだ。

 

UIやレスポンスは非常に良好!

メインメニューへの切り替えや、戦闘開始、終了時のロードなどは非常に速かった。プレイ中に頻繁に行う操作や、都度発生するイベント事で違和感を感じることは一切なく、サクサクできた。

また、戦闘は倍速進行や完全オート進行が可能。長い攻撃モーションを見続ける必要はないし、雑魚敵相手にいちいち行動を選ばなくとも、事前に決めた行動方針にしたがって自由に動いてくれるため、通常戦闘時にストレスを感じるようなこともなかった。

 

頻繁に使用する工房では、武具の種類毎に作りたい武器を選択できるし、指定した素材を原料とする武具のみ表示することもできる。更には、武具の成長ツリーを見ながら、作りたい武具や量産したい武具を指定することも可能。今ある素材のみで作成できる武具に絞って表示する絞り込み機能も具備されており、工房使用時のストレスは全くない。

武具の強化ツリーが一目でわかるため、どの武具を優先的に強化していくか決める、ということもやりやすい

ここまで考え尽くされたUIやレスポンスの高さは、プレイ中のストレスを大きく軽減してくれるので嬉しかった。

 

ボス戦闘は難易度があって楽しい!

ゲーム中盤以降のボスは、どれもかなり厄介な技を使ってくることが多い。どういうパッシブスキルや陣形や職業を組んでおくか、武具は何を装備していくか、といったことを事前に考えるのはもちろん、戦闘中はどの順で誰を攻撃するか、どのバフ効果を誰にかけるか、といったことを考慮しないと、力押しでは勝つのが難しい設計になっている。

ゲームオーバーになると、もう一度戦闘開始時からやり直すか、ボスがいるフロアに到達した所からやり直すか、を自由に選べる。何度もトライ&エラーを繰り返し、ボスの攻略ポイントを見つけていくような、試行錯誤する楽しみは結構面白いと感じた。ボス戦は、ね…

なお、 専用アイテムである「ジュエル」を持ってるなら、ゲームオーバーになった際に、これまでの敵の状態を引き継いで復活することもできる。どうにもクリアできない、というなら、ジュエルを使ったゾンビ戦法も可能なので、ライトユーザーであっても、「難しい」という言葉にびびる必要はない。

 

ストーリーは並レベルではあるが、わかりやすい!

ストーリーは可もなく不可もなく、といった感じで、「良い点か」と言われると微妙だが、誰がプレイしてもわかりやすい作りは個人的にはグッドポイント。ストーリークリア後にも、事件の真相に更に迫っていくようなストーリー展開は、起承転結もしっかりできている。

重厚長大なストーリーを求めたら全然物足りないが、そもそものゲーム性がシンプルな作品なので、変に凝ったストーリーではなく、こういうわかりやすいストーリーでも問題ないと感じた。

 

◆このゲームの悪い点

依頼攻略に緊張感が無く、作業ゲーになりがち…

本作のクエストには、クリア期限というものが無い。敵が強かったら、時間をかけてレベル上げをし、お金を集めてスキルレベルを向上させ、復活アイテム「クォーツ」を沢山購入しておけば、どんな敵でも大体クリアできる。また雑魚戦は、オート戦闘で大体勝ててしまう程簡単だ。

探索中に体力が尽きてきて、回復アイテムもない、となったとしても、ノーコストで街まで帰還できるため、多少無理したプレイングをしても何ら問題ない。

これらのせいで、全体通してプレイに緊張感が無く、ボタンをポチポチ押すだけの作業ゲーと化してしまう。せっかく1日に行えるアクション数に限りを設けるようなシステムにしているなら、クエストに期限を設け、期限内にクリアできなければゲームオーバーになる、というシステムの方が、もっと考えながらプレイする場面が増え、やりごたえが増すのだが…

「誰でもできる簡単設計にしている」と言えば聞こえはいいが、ハードゲーマーからすると、このシステムは退屈に感じる部分が多い。

 

変わり映えしない依頼…

良い点にあげたボリュームの多さの要素として、「依頼数が多い」というのをあげたが、依頼の中身を見てみると同じような行動の繰り返しであるのが大半だ。キャラや世界の深掘りがあるようなものでもなく、本当にただ淡々と依頼をこなすだけだ。

安価なゲームな為、沢山用意されている依頼それぞれに深い意味を持たせるように求めるのは酷な気がするが、個人的にはもう少し依頼内容にやりようがあったんではないかなぁ、と思った。(鍛冶屋に住み着いてる妖精が結局何なのか、全然深掘りされないし、その辺りのストーリー補完しても良かったんではないだろうか…)

 

グラフィックやサウンド面は良くない…

本作のグラフィックは、ゲームボーイアドバンス時代によく見られた、ドット表記された4頭身キャラを斜め上から見下ろす形のグラフィックをしている。キャラ同士の会話も、2Dのアニメ絵が、音声も無く、動くことも無く、テキストの切り替えと共に表情を変えているのみだ。昨今の無料スマホゲームの方が、グラフィックやキャラボイスにはもっとこだわっているのに、有料ゲームでこれだと少し残念に感じる。

また、街や施設を訪れた時や、戦闘時に流れる音声も、一昔前のゲームにあるような、印象に残らない音楽しか流れない。

グラフィックやサウンド面をこのゲームに求めるのはお門違いと言えた。

 

 

 

◆まとめ

安価ながら意外と丁寧に、サボる要素も少なく作り込まれている良作だった「砂の国の宮廷鍛冶屋」。

ハードゲーマーには退屈ではあるが、ちょっとゲームをやるだけなライトゲーマーには、値段以上に楽しめることは間違いないため、そういう人は楽しめるはずだ。気になる人は購入してやってみてほしい。

 

では!