秋吉ブログ

20年以上にわたり様々なゲームをやりまくっている、ゲーム大好きな管理人「秋吉」が書くブログです。ゲーム情報を盛り沢山出していきます。ゲーム以外の情報も時々…

【Papers,Please】プレイした感想、良い点、悪い点をレビューしてみた!

今回は、「Papers,Please(スマホ版)」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。

もとはPCゲームとして発売されていた「Paper,Please」。PCゲームの評価はかなり高く、おすすめゲームとして表彰されるほどであった。

それをスマホ版へと形を変え、2022/8/5にリリース。筆者はPC版のプレイ映像をYouTubeで見たことがあり、前々から気になっていたため、早速購入してみた。

ストーリークリアまでやってみたため、本作の感想をまとめていきたいと思う。

 

 

◆個人的感想

総評

たかが入国審査の作業ゲームと思うことなかれ!

「入国審査室」という小さく限られた空間の中で、様々な思いを掲げて入国しようとする人達と直に向き合い、それでも自分の職務を全うしていくのか、同情して願いを叶えてあげるのか、といった、実に人間味溢れたゲーム体験ができる作品となっていた。マルチエンディングが採用され、自分が取った行動が、最終的にどんな結末を迎えるのか、ワクワクしながらゲームを楽しむこともできた。

入国審査業務は「間違い探し」という単純作業ではあるものの、常に変わるルールに振り回されるため、決して簡単などではなく、かなりの集中力を有する為、やりごたえ大!

安価にも関わらずエンドコンテンツまで存在しており、値段以上に楽しめる作品であることは間違いない。

スマホ版にしたことで、PC版とくらべ若干UIが悪い点はあるものの、しばらく遊んでいけばそこも段々慣れてくる。

さすが、PC版がゲームの賞を獲得しただけのことはある、非常に楽しいゲームとなっていた。

 

こんな人にオススメ!

  • 1人でやる作業ゲー大好き!
  • マルチエンディング大好き!
  • 隙間時間にやれるゲームが欲しい
  • シンプルながらも奥深いゲームがやりたい。

という人にはオススメできる。逆に

  • RPGとかアクションとかが好き
  • スマホでも高グラフィックゲームがやりたい
  • みんなで通信プレイしたい

という人は購入を止めた方がいいだろう。

 

◆このゲームの特徴

入国検査官に焦点を当てた間違い探しゲーム

本作は空港でよく見かける入国検査官になり、入力してくる人から受け取る書類と、入局の決まりとを比較し、入国して良いか否か、を判断していく、完全1人プレイ用の間違い探しゲームである。

入国審査時にはもちろん必要となるパスポートの他、国内や近隣国家の情勢によって必要書類の増減や確認項目の増減が発生していくため、その分間違い探しの難易度は上がっていく。それらを限られた時間のなかで、如何に的確に見抜いていくか、かなりの集中力が問われてくる。

パスポートや入国許可証、入国手続きのルールブック等を突き合わせ、旅行者が入国しても問題ないのか確認していく

書類に1つでも不備があるなら入国は許可できない。不備が無いか、間違い探しがメインのゲーム

中にはパスポートなどの必要書類を偽装したり、体のどこかに危険物を隠し持った状態で入国しようとする不届き者がいる。そのような場合は、入国拒否でもない「拘束」を選択する必要まで出てくる。

資料上は問題なくても、体重計と書類上の体重に差異が…こういうところにも不正がある

怪しい人には指紋採取の依頼をすることも

1日の業務が終わると、その日にさばいた人数や、拘束した人数に応じて、給与が手渡される。プレイヤー自身、およびその家族が住む住居や食費、光熱費などもその稼いだお金から差し引いていくことになるため、生きるためには一生懸命入国審査官の仕事に従事する必要がある。

入国審査時に誤った判断を同日に3回以上下してしまった場合、その数分給料から天引きされてしまうため、生きていくためには仕事の手を抜くことも許されない。

もし見間違いがあるまま入国許可してしまうと、このような警告文が出る。3回間違えると減給だ…

仕事終わり。稼いだお金から食費や光熱費が引かれていく。収入は少ないため、生きていくだけでも精一杯…

 

遊べるモードはストーリーとエンドレスの2種

本作では、1人の入国審査官として、国家の情勢に左右されながらも仕事を行っていくストーリーモードと、決まったテーマに沿って入国審査をやり続けるエンドレスモードの2種を遊ぶことができる。

エンドレスモードでは、

  • 10分間の間に何人をさばくことができるか競う「時間制限」
  • ミスしたら即ゲーム終了で、最大何ポイントまで稼げるか競う「制度」
  • 正解するとポイントが加算、失敗すると減算され、持ち点がマイナスになるまで続ける「耐久」

の3種類が用意されている。

エンドレスモードは、ストーリーモードのとあるエンディングを迎えないと解放されないため、ストーリーモードが終わった後のやり込み要素に当たる。

 

共産主義国の入国審査官に選ばれたとある男性の物語

ゲームの舞台は、隣国「コレチア」と6年間にわたる戦争が終わり、国交を再開することになった共産主義国「アルストツカ」。プレイヤーはその「アルストツカ」の入国審査官となり、アルストツカへの入国者を審査していく。

主人公となる男性は、妻と子供たち、両親の3世帯で共に暮らしているごく普通の家庭。生きていくためにはお金を稼ぎ、食費や住居費などを払っていく必要があるが、給料自体は非常に微々たるもので、貯金など中々できない。

それでも家族のために真面目に働く主人公のもとに現れる、様々な背景を抱えた旅行客。中には他国への亡命を進めるものまで存在する。

入国審査官としての仕事をこなしながら、「アルストツカ」で最後まで生き抜くか、他の代替手段を使って別の人生を生きていくか…プレイヤーごとに異なる物語が描かれていく。

共産主義国「アルストツカ」にて入国審査官に命じられてしまった主人公。無事家族を養い、仕事を全うすることができるのか…

 

◆このゲームの良い点

意外と大変!単純作業の中にもやりごたえ有り!

パスポートや入国許可証の有無や、そこに記載されている内容の正しさを見るのみの本作。「めちゃめちゃ簡単そう」と思えるだろうが、そんなことは一切ない。

序盤は確かに簡単。パスポートの所持確認や、パスポートが有効期限切れしていないかレベルで確認が済むため、1人に書ける時間は十秒も必要ない。

が、日にちが進むにつれ、アルストツカや近隣国家で様々な事件が起こることに伴い、

  • アルストツカ人ならIDカードの提示が必要
  • 他国からの入国なら入国許可証、働きに来たなら加えて労働許可証が必要
  • 指名手配犯なら問答無用で拘束
  • 特定の地域から来た観光客はパスポートを押収

など、必要な申請書類や、確認すべき項目がどんどん増えてくる。もちろん、その1つでも間違えてはいけないため、念入りにチェックしていきたいところだが、時間をかけすぎると1日で捌ける人数が減ってしまい、給料に影響が出てくる…

「なんでそんなにコロコロルールが変わるんだよ!」と国に文句を言いたくなるところだが、そんなわけにもいかず、ただの1作業者であるプレイヤーは黙々と従うしかない。

意外としっかりとしたやりごたえは、気付いたら多くの時間を本作のプレイに使ってしまうほど、没頭してしまうものであった。

ルールは常に変わる…これらに適応しながら間違い探しを続けるのは中々に大変…

 

入国審査の中にもドラマ有り!プレイヤーの選択で小さな未来も変わっていく!

入国審査の仕事をしていると、ただ入国しようとする人だけでなく、国家転覆のような何か良からぬことをたくらみ、その協力をプレイヤーに依頼してくる人物もいる。また、必要書類が人数分用意できず、「お願いだからもう一人も入れてほしい」と懇願されることもある。

そのような様々な気持ちを抱いた入国希望者に対し、ただ機械のように、従順にルールを守るプレイをしてもよし。依頼者に協力、同情し、入国の許可や不許可を自由に変えてしまっても良し、ひたすらにお金を溜め、最後は自分のためだけに、とある行動をとっても良し…それこそ、選択肢は大量に用意されている。入国審査室で繰り広げられる様々な思惑に、プレイヤー自身が直接関与できる点は素晴らしいの一言。

必要書類は不足しているが、旅行者からの魂の訴えに加えて賄賂を渡される…これを見て通してあげるか、厳格に断るか…

中には手で作ったパスポートを堂々と出してくる輩も…

見るからに怪しい見た目をした人物から、謎の手紙を渡される…この手紙にある指示に従い、「アルストツカ」を裏切ることも可能

また、前に通した旅行客から貰った名刺や資料を、後に来た旅行客に渡すと、何かしらの反応を示してくれる細かな変化も面白い。「この人にこれを渡してみると、どんな反応をするのかな…?」と試してみたくなること間違い無しだ。

 

値段以上のやりごたえあり!

本作に用意されているエンディングの種類は実に20種類!筆者は4時間半プレイし、全部で3つのエンディングを見ることしか出来なかったため、全部のエンディングを見ようとすれば、それこそ15時間は遊べるボリュームはありそうだった。

また、エンドレスモードは「自分自身がどこまで腕を磨いていけるか」という自分との戦いを楽しめる要素があり、ストーリーが全部終わった後も、引き続きゲームプレイして楽しめるボリュームは相当だと感じた。

これで買い切り1000円も行かないのだから、値段以上に楽しめることは間違いないと言える。

 

隙間時間にサクッとやれるテンポの良さ!

本作は、ストーリーモードであれば1日単位でオートセーブがされる。1日の勤務時間はおよそ5分ほどの為、ちょっと空いた時間に本作をプレイして1日分のストーリーを進め、ほかにやることができたら中断する、という遊び方が可能。

また、セーブやロードも非常に早く、待ち時間も発生しない。「やりたいな」と思った時に即起動し、「やめたいな」と思った時に好きにやめられる。

スマホゲームという、隙間時間にちょっとやる、という遊び方が多いデバイスにピッタリなゲーム性であると感じた。

 

◆このゲームの悪い点

画質が粗く見辛い…

本作は1980年代の世界観を描いているためか、何故かゲームのグラフィックもかなり粗い。資料を見比べるだけなので、正直そこまでグラフィックが求められるようなゲームではないにしても、資料に書かれた文字が読み取りづらかったりする場面が時々見られ、そうなると正しい審査が行えなくなってしまう。

もともとPCゲームだったものをスマホ版に移植したためか、スマホ画面に収まるよう、かなり小さな文字で無理やり詰めたような場面もあり、そうなると本当に何が書いてあるか読めない。

人物の表情や背景はともかく、文字はもう少し綺麗に描いてほしいものだった。

 

ときどき理不尽な理由でNGを食らう…

入国のOK、NGは、大方は必要書類の有無や書いている日付や人物名、体重の矛盾点などで正しい判断が付けられるため、ちゃんとチェックすれば誤った判断を下すことは無い。

しかし、「性別」と「身長」は別だ。入国審査書類の確認内容の中には「性別」と「身長」も含まれるが、パスポート上は「女」と書いてあり、見た目もちょっとぼさぼさ頭のおばさんに見えるので問題なしかな?と思っても、いざ入国許可してみると「性別の不一致でNG」を指摘されたり、そもそもスマホ画面上で身長の高低差を見ることができないのに、資料に記載した身長が身体的特徴と噛み合っていない、など、「そんなの誰がどう見てもわからないんですけど…」というような理由でNGを食らう場合がある。

これで承認後に「誤ってます」と言及された暁には、さすがにイラッと来た。

 

書類は一枚のデスク上に自由に配置できるようにしてほしい…

もともとはPCゲームだった本作。PC版では、作業デスクがしっかり用意され、パスポートや必要書類などを、プレイヤーの好きな場所に配置できた。

が、そのような臨機応変な資料配置はスマホ版ではできない。横長のデスクに資料が並べられ、左右にスライドさせて一つずつ見ていくことしかできない。

後半になってくると、旅行客の名前やパスポート番号が複数書類に分かれて書かれる場面が増えてくる。しばらく遊んでいれば慣れてくるが、それまでは資料比較がし辛く、「何とかならないものか…」という気持ちになってしまった。

 

多少のオンライン要素は欲しかった…

前述した通り、本作は完全オフラインのシングルゲーム。昨今では当たり前のオンライン通信したり、他プレイヤーと戦績比較するような要素は皆無だ。

ただ、完全オフラインは今のご時世にちょっと合ってないのではないかなぁ…と言うのが正直なところ。ストーリーモードは完全オフラインで良いと思うが、エンドレスモードはプレイヤー毎にスコア表や順位表を掲載するようなシステムがあっても良かったのかな、と感じた。

 

 

 

◆まとめ

一見するとただの作業ゲームながらも、奥深い人間模様や、プレイし甲斐のある濃厚なゲーム体験ができる良作である「Papers,Please」。

無料作品ではないが、10連ガチャ1回引くための課金額よりも安価なため、決して高い金額ではなく、値段以上のゲーム体験ができる作品であることは間違いなかった。

このゲームをプレイして、是非これを叫んでほしい。

「アルストツカに栄光あれ」

 

では!