今回は、「遊戯王 MasterDuel」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
筆者は昔、まだTVアニメで武藤遊戯が神のカードを使って戦っていた時代は、めちゃめちゃ遊戯王をやり込んでいた。それ以降も、タッグフォースシリーズでエクシーズ召喚当たりまでは触れていたが、ペンデュラム召喚当たりからは完全に撤退してしまっていた、ある種復帰勢である。
そんな復帰勢である筆者が本作をプレイ!どんなゲームなのか、事前にスマホ向けリリースされている「遊戯王デュエルリンクス」とはどう違うのか、感想をまとめていきたい。
◆個人的感想
総評
これまで発売された買い切り型のゲームとほぼ同等のクオリテを持ち、オンラインでの対人プレイがいつでもどこでも楽しめるという、とてつもなく高クオリティのゲームであると感じた。遊戯王が好きな人であれば、遊ばない手はない、非常に良質な作品である。
新規参画者や遊戯王復帰者であっても問題なく遊べるよう、ルール説明や各デッキのコンボ説明、コンピュータを相手にした練習モードなども搭載されている。玄人向けにランクマッチも採用され、自分が組んだデッキで世界中のプレイヤー相手にどこまで戦えるのか腕試しすることもできる。
カードゲームであるため、お望みのカードが出るパックを引いていく課金要素はあるが、パックを引くための石も入手しやすく、かつ自分が欲しいカードを好きに生成することもできる点もありがたい。
ゲーム自体の出来は非常に良い。だが、復帰勢である筆者にとって、そもそもの「遊戯王」というカードゲームが抱える問題である「ルール・効果の複雑さ」が大きな壁となって立ちはだかった。ここはもう、ゲームの問題ではなく、各個人がどこまで頑張って遊戯王の世界に入り浸っていけるか、の問題な気がしている…
◆このゲームの特徴
遊戯王タッグフォースシリーズに代表される電子遊戯王の無料版
もうこれ。この一言に尽きる。
本アプリでは、「遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)/遊戯王トレーディングカードゲーム(遊戯王TCG)」のマスタールールで決められたルール上でデュエルを遊ぶことができる。カードプールも1万種類を超えており、OCGで使われているカードはほぼ使うことができる、と言っても過言ではない。
デッキ構築に必要な絞り込み機能、検索機能も一通り揃っており、望む通りのデッキもすぐ作れる。また、ネット上で他のプレイヤーが公開しているレシピをコピーすれば、そのデッキですぐに遊ぶこともできてしまう。
カードの入手は、ショップでジェムを消費してパックを購入し、ランダムにカードを入手するシステム。定期的に、特定のカードが出やすいパックが出たりするため、自分が欲しいテーマのパックが出ていたら、それらを集中して購入すれば比較的手に入れやすい。さらに、ゲームを始めたばかりの人向けに、構築済デッキである「ストラクチャーデッキ」も販売されている。
ジェムはログインボーナスやミッションクリアボーナスなどで定期的に手に入れられるため、「ジェムが溜まらずパックが全く剥けない」といった事態は起きにくい。もちろん、課金することで一気にジェムを大量入手することも可能だ。
このカードだけ欲しい!という場合、そのカードのレアリティに応じた専用のポイント「CP」を30ポイント消費すれば、どのカードでも入手可能。CPはゲームを何度もプレイしていけば溜まっていく上、パックで入手したカードにダブりが出た場合、そのカードを分解してCPを手に入れることもできる。
オンラインでのランクマッチ、フリーデュエルを実装
オンライン対戦要素は
- 他プレイヤーとデュエルの腕を競い、ランクを上げていくランクデュエル
- シンクロ召喚のみ、特定レアリティのみ、等の特定条件下で対戦する期間限定のイベントデュエル
- 友人と一緒に自由に対戦できるデュエルルーム
の全部で3種類。
ランクデュエルは、勝ち上がっていくことで、シーズン終わりの時のランクに応じた報酬を獲得できる。
イベントデュエルでは、限定のカードしか使用できなくなるものの、何回も参加することでお得な景品が入手できるようになる。
多くのゲームハードでプレイ可能
本作は、
- PS4
- PS5
- Nintendo Switch
- XBOX シリーズX/S
- XBOX ONE
- STEAM
- App Store
- Google Play
といった、世のゲーム作品を遊べるありとあらゆるハードでインストールできる。もちろん、各ハード同士でクロスプレイ対戦も可能だ。データ連携を行っておけば、家ではPS4、外ではiPhoneでプレイ、といったこともできる。
◆このゲームの良い点
ほぼ実際の紙版遊戯王と同じようにプレイできる!
本ゲームでは、デッキ上限数、可能な召喚方法、掲載されているカードリストとも紙版遊戯王とほぼ一緒。紙でやっている内容を、ほぼそのまま電子世界でプレイできる。
これまで買い切り型ゲームとしてソフトを購入しないと遊べなかった電子版遊戯王が、ここまでの充実度、再現度を誇った上で無料で遊べるとは、しかもPS4、switch、スマホなど、ありとあらゆるハードでプレイできるとは、なんとも素晴らしいゲームアプリであると感じた。
ゲーム進行もスムーズで快適!
遊戯王で良くある問題が、チェーンや効果発動タイミングの難しさ。紙のゲームだとちゃんと知っておいた上でプレイしないと、まともにゲームすら出来ないので非常に大変。(やるたびに、「せめてもう少し簡単なルールにしてくれよ…」と思うもの)
本アプリは電子ゲームなので、これらのタイミング計算は全てプログラムがやってくれる。当たり前なことではあるが、これが非常にありがたかった。
処理していく流れもスムーズで、どっかで処理落ちして止まってしまう、といったことは全く起きない。効果発動のためのコストを支払う時も、その選択をやめる時も、ちゃんと「どこを押したらやりたいことができるか」が直感的にわかるUIになっているため、プレイもしやすかった。
初心者や復帰勢に向けた解説向け1人プレイが丁寧!
本作から始めて遊戯王をプレイする、または久々に遊戯王に復帰した、という人向けにも、細かいルールを教えてくれるチュートリアルがちゃんとついており、フォローバッチリなのは非常によかった。
それだけでなく、コンピュータと対戦するソロモードでは、昨今の遊戯王に登場するテーマデッキ(似たような効果やコンボが集まって一つのデッキとなることを、ざっくりではあるが「テーマデッキ」という)について、
- どういう特徴があるのか
- どういう効果を使うと、そのテーマの強みとなるコンボができるのか
といった部分を教えてくれるので、「昨今のカードの使い方がわからない!」という人向けにも丁寧に解説しているのは良かった。
◆このゲームの悪い点
ルール・効果が意味が分からないくらい難しい…
これはもう、このゲームの問題ではなく、現代遊戯王そのものの問題、といった感じだ。
筆者が記事を書いている2022年4月時点で、遊戯王でモンスターを召喚する方法は
- 通常召喚
- アドバンス召喚
- 融合召喚
- 儀式召喚
- シンクロ召喚
- エクシーズ召喚
- ペンデュラム召喚
- リンク召喚
と全部で8種類!それぞれ専用の召喚ルールがあるので、初心者や復帰勢はまずこれを覚えるだけで一苦労…
これだけならマシな方。もっと大変なのは、カード1枚あたりに記載されている効果だ。文字数にして140文字前後にも及ぶ説明文が、昨今の環境で使われるほとんどのカードに記載されている。140文字というと、Twitterの掲載文字上限数だ。ざっくり計算で、1デッキに付き4000文字ほどの効果説明文章がある。これは原稿用紙約10枚分、朗読時間約10分ほどの文章量だ。これらを全て頭に入れ、どの効果でどのカードがどう動いたのか、を理解していく必要がある。
…いや…無理…自分と相手のデッキを加えたら8000文字…相当遊戯王をやり込み、各デッキの特徴、各カードの効果文を覚えていないと追いつけない…効果がわからないカードがあった場合、そのカードの効果を都度確認することはできるが、昨今の高速で展開される遊戯王環境で1つ1つを確認していく余裕もない。
それだけ効果量が多いということは、コンボのやり方もそれだけ複雑ということ。環境デッキはいずれも、初心者はまず扱えたものではないようなコンボ難易度を誇るが、これらのカードが使えないとゴールドランク以上では勝てないというと鬼畜ぶり…
「これ位みんな覚えているよ」という遊戯王プレイヤーの方、あなたたちは凄いです…誇っていいと思いますよ…原稿用紙10枚の文章量を誇るデッキを何十種類も頭に入れるのは相当大変なので…
諦めずに遊戯王をやり続けていけば自然と覚えられるのは間違いないので、気にせずゲームプレイし続ければ、ここは悪い点ではなくなるため、そこまで頑張れるか、ユーザの気合次第といえるだろう。
1ターン当たりの持ち時間が長過ぎて長時間化…
ココだけ、このゲームのちょっと残念であった点。
このゲームでプレイヤーに許される持ち時間は、毎ターン480秒。前述した召喚・効果の難しさ問題も重なり、低ランク帯でのデュエルの場合はお互いにカード効果を確認しまくったり、次の動きの最適解を考えたりする時間がかなり長くなり、試合時間が長時間化することが多かった。
ゴールド帯以上になってくると、カードの効果や回し方を知っているプレイヤーが多くなるので、動きは非常にスムーズになる。ランクマッチでゴールドランクに至るまでの問題ではあるが、ここは少々気になった。
◆まとめ
満を辞して登場した、紙のルールと全く同じルールで遊べるオンライン型DCG「遊戯王 マスターデュエル」。アプリの出来自体は素晴らしく、非常におすすめできるものと感じた。
遊戯王のルールそのものが難しすぎて新規勢が入りづらい、という問題点はあるものの、ここは何度も繰り返しプレイしていけば自然と覚えてくるため、やり込んでいけば問題点ではなくなるだろう。
筆者もこれから遊戯王の環境を少しづつ理解し、上位のランクに食い込めるよう頑張ろうと思う。
では!