秋吉ブログ

20年以上にわたり様々なゲームをやりまくっている、ゲーム大好きな管理人「秋吉」が書くブログです。ゲーム情報を盛り沢山出していきます。ゲーム以外の情報も時々…

【東京サイコデミック】神ゲー?クソゲー?プレイレビュー・評価まとめをしてみた!

今回は、Nintendo Switch版の「東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~」について、このゲームの特徴や良い点、悪い点をまとめていきたい。

(本記事は2024/6/11時点の情報をもとにしている)

2024/5/30に発売された本作。「面白そうなゲームはないかな~」と散策している中で、科学操作をベースにしたアドベンチャーゲームが売り出される、という記事を見つけ、普段はアドベンチャーゲームなどほとんどやらない筆者ですら、気になってしまう程魅力的に映った。

いざ、発売日に購入!ゲームクリアまでプレイしたため、遊んだ感想をまとめていきたい。

 

 

◆個人的感想

総評

正直微妙。フルプライスで買うようなゲームではない。

ゲームの要である「科学技術を利用した捜査」は、雰囲気がしっかりあって楽しめたものの、実際の推理プロセスはわかりやすいヒントがずっと提示されていくため、そこまで悩むことがなく、推理している感じは薄い。それでいて、所々で回答に困る質問が飛んできて理不尽さを覚えるなど、謎解きのバランス感は取れてない。

ボリュームも短くてすぐ終わってしまうし、アドベンチャーゲームにはデフォルト実装されている様々な要素も実装できてないなど、不便さも目立つ。

中古で買って楽しむのが1番正しい遊び方に思えるゲームだった。

 

どんな人におすすめ?

  • 鑑識みたいなことをやってみたい

といった人にはオススメできる。逆に、

  • アドベンチャーゲームを良くやっている
  • やりごたえのある作品がやりたい
  • ボリュームが欲しい

といった人には合わない。

 

◆このゲームの特徴

不可解な事件を、科学的操作で究明する謎解きアドベンチャー

本作は、発生する様々な事件を、物証をもとに検証し、事件の真実を見つけていく謎解き型のアドベンチャーである。

 

事件が起こると、防犯カメラ映像や音声データ、取り調べ調書などの、事件に関する資料が送られてくる。これらを資料に対して、画像解析ツールや音声解析ソフトにかけて、人相や声紋の一致を確認したり、文書にあるキーワードを見つけ、解決のキーとなる情報を入手したりしながら、事件の真相を突き詰めていく。

捜査開始前は、時間に関する多くの資料を受け取る

資料にある映像や写真をもとに、人相が一致しているか、などの調査を行う

様々な文書も、書かれている文言を注視することで…

事件の謎を解くキーワードを入手できる

解析ツールや文書の読み込み以外にも、協力者に意見を仰いで新たな物証をもらうこともある。機械に詳しいメカニックや、医療に詳しいバーテンダー等の、特定分野に詳しい人物が協力者として存在しており、見つけた専門用語や怪しい画像データを送ることで、解析をしてもらったり、別の動画や画像などを連携してもらうことがある。これが新たな証拠と繋がることもある、

プレイヤーに協力してくれるメンバーから追加情報を入手し、操作に役立てる

証拠を集めたら、エビデンスボードにそれらを張り付け、事件を整理していく。エビデンスボードにどの物証を張り付けるかはプレイヤーの自由。生じた疑問点に対する適切な物証を選ぶことで、次の疑問が浮かび、再び捜査を進めていくことを繰り返す。

エビデンスボードに物証を張り付けて、関連性を整理し、事件の真相を暴いていく

すべての整理が終わったら、事件の真相をまとめた報告書を作成する。報告書では、事件解決のキーとなる質問が用意されており、それらに対する適切な回答を、手に入れた物証の中から最適な証跡を選んで提示し、作成する。

事件の謎を解く鍵が揃ったら、最後に報告書を作成する

報告書にあらかじめ用意された質問に回答できる証拠を添付し、報告書が完成する

作成した報告書の出来に応じて、事件の結末として流れるニュース映像の内容が変わっていく。

報告書の出来によって、最後に流れるニュース映像が変わる

 

様々な人物と交流しながら事件の真相を暴いていく

本作には、一緒に事件解決を目指す「秋葉」や、協力者である技術者や医者を始め、刑事の「清原」や公安の「杵島」など、様々な人物が登場する。ゲーム中では、捜査室から出て、彼らと購入する場面がある。彼らと会話をすることで、事件のヒントとなる言葉を入手することができる。

公安の優秀な人物である「杵島」。彼女から事件の情報をまず入手することが多い

 

数々の奇妙な事件の裏に潜む「異能教団」を追い詰めるストーリー

2019年12月、東京都で未知のウィルスが発生した。非常に高い致死率を誇るウイルスを恐れた政府は、海外への出入国を制限するだけで無く、特に感染者の多い東京都へと続く幹線道路を封鎖(ロックダウン)する方針をとった。 それでも大規模感染は留まることを知らず、遂には内閣総理大臣や官房長官など、国家の中枢を担う主要官僚にまで感染し、帰らぬ人となった。

東京で発生した未知のウイルスは瞬く間に拡がり、遂に東京はロックダウンを余儀なくされた

しかし、 元感染症の専門医だったとある人物が、ウイルスの特効薬を発見し、次第に感染は収束傾向を見せた。そんな中発足した新政府の内閣総理大臣には、この元ウイルス専門医が着任し、その後も次々と新型感染症への対策と経済対策を打ち出して成果を上げていった。そして、猛威を振るった新型感染症は終息した。

 

岩井探偵事務所の社長である「岩井」と、その部下である「秋葉」、及び彼らに情報提供を行っていた主人公は、新型感染症が収束した後に話題となった、数々の誘拐や人体実験などを行っているとされる怪しい教団「異能教団」を調査していた。教団トップの「山野井」をあと一歩まで追い詰めるも、「岩井」は罠にかけられ、「異能教団を率いてテロを画策した主要人物」として警察に逮捕されてしまう。その隙をつき、「山野井」は姿をくらました。

部下の「秋葉」は、「岩井」が逮捕されても諦めることなく、「山野井」の行方を追うため、「異能教団」が絡んでいそうな、非現実的な怪奇事件を、持ち前の推理力と科学捜査で解決しようと動く。果たして「山野井」を見つけ、「岩井」の無実を晴らすことができるのか。

新型感染症の事件が終息したのちに発生した「異能教団」によるテロ事件が発生していた

主人公と主に事件を操作する「秋葉」。芯のある、正義感の高さが魅力的な人物だ

 

◆このゲームの良い点

実写を混ぜ合わせた操作パートは楽しい!

画像解析、映像解析、音声解析を使い分け、写真や他音声と照合して同じか見分け、文書を読み込んで気になるワードをピックしていく。。。ゲームの根幹を担っている科学捜査パートは、雰囲気がしっかり出ていて楽しかった。防犯カメラの映像をただ見る時間や、沢山の文字が書かれているドキュメントをじっと見ていくのは、退屈な部分も無いことはないが、その中にふと「ん?なんだこれ?」と思う瞬間がしっかりおさめられており、それが事件解決のキーになるなど、自分で捜査を進めている感がしっかり出ていた。

また、物証となる映像や写真はほぼ全て実写を採用していることも、推理ドラマの主人公になったような臨場感をプレイヤーへ大きく与えてくれており、非常に評価できた。

事件現場の写真や映像の多くは実写だ。本当に刑事になったような気持ちで鑑定や推理ができたのは面白い

中にはソナー映像を見て、怪しい点を探すことも

 

◆このゲームの悪い点

簡単と理不尽が大半の推理…

「推理もの」として発売されている本作。実際、事件によっては多量の資料を渡されて「え、これ全部使うの…?」と焦るようなものもあった。が、パートナーの「秋葉」が、場面場面の状況に合わせて、

  • これを証明する文書があったはず
  • この写真の中に問題の部分が写ってないか見てみよう

など、結構丁寧に導いてくれる為、思ったよりも推理は簡単だったのは拍子抜けだった。イメージとしてはセンター試験の理系科目問題の出題に近いかも(今はセンター試験って言わないが…しかも、そもそもセンター試験受けてない人はわからない例えだが…)。

勿論、何も考えずに解けるほど単純ではないが、ゲームに出てくる説明をちゃんと読んでれば大体わかる程の難易度だ。技術的に難しいかもしれないが、ゲーム内に検索エンジンを用意し、事件中に出てきた用語をユーザー自身で調べさせて考えさせる、とかがあっても良かった気がしている。

 

ただ、そんな比較的簡単な推理の中には、一部理不尽とも言えるものが混じっているのはいただけない。難しいではない、理不尽だ。

まず、事件に対する報告書を作る場面は、問われている質問へ口で回答はできるのだが、それに見合う証跡資料がどれなのかが分かりにくいことが多い。中には証跡を付けることが不正解な質問もある始末。事件のトリックはちゃんと言えるのに、ゲーム上の選択肢が分からなくて結局誤りになるのは、流石に質問の仕方を変えるべきだと感じた。

次に、協力者達に情報を渡すパートで、何の情報を渡すのか、がわかり難い点も残念。持っている写真や映像の中から、必要な部分を抜き出して渡すのかと思ったら、なんと文書をそのまま横流しすればよい、という場面がちらちらあり、その度に「言われた内容と正解がマッチしてなくない?」と感じた。特に、音声の中に隠された別音声を探すパートは、このせいで1時間近く悩まされた。

最後に、ストーリー最終盤に訪れる謎解きが1番あり得なかった。最後はこれまでの事件で扱った全ての証跡の中から、特定のキーワードを探してくるお題が出される。キーワードのイメージはヒントとして与えられるのだが、そのイメージをドキュメント上でどう体現しているのか全くわからず、それ以外のヒントもないため、謎解きの糸口が掴めず、ただただ総当たりで資料を提示して、正解かどうかを尋ねるだけのゲームに成り下がっていた。考えもしないただのボタンぽちぽち作業があまりに時間かかるため、途中で攻略サイトを見てクリアしてしまったほどだ(答えをみても正直あまり釈然としない…)。これまではちゃんと「科学的分析」をやって答えを出していたのに、最後の問いが「クイズ」や「ウォーリーを探せ」みたいなゲーム性になってるのは、そもそもゲームコンセプトとしてどうなんだろうか…

RPGでいう「レベリングデザイン」があまりできておらず、雑な印象なのは非常に残念だった。

 

そもそもボリュームがない…

筆者がゲームクリアにかかった時間は11時間だ。アドベンチャーゲームでこのボリュームは正直少なすぎる。(前述の通り、最後の謎は攻略サイトを見てしまったので、カウントしていいのか微妙だが…)

現実世界の映像や音声を用意する予算が無かったのかも知らないが、もう少し事件数を増やすとかしてほしかった。

 

ストーリーが全体的に微妙…

次々に起こる事件の解決と、その裏に潜む異能教団の影を追っていくような展開は、多少の粗はあれどまとまっていたとは思う。ただし、「良いストーリーだったのか」というとそんなことはなく、むしろ微妙な部類だ。

 

まず、ストーリーの起点となる「異能教団」と、所長である「岩井」との関係性や、両者の間で起きた事件を掘り下げるパートが無い。教団はどうやって「岩井」をハメたのか、「岩井」はどのように教団と戦っていたのか、など、ストーリーに入り込む起点となる要素が全てカットされ、口頭説明や簡単なドキュメントに纏められてるだけなため、プレイヤー側のストーリーへの入り込みが薄い。プロローグとして、これらの事件をプレイヤーにも遊ばせた方が、明らかに没入感が高いのに、それができてないのは残念だった。

 

ストーリー進行も、真犯人が誰なのか、何と無く推測がしやすく、事実ほぼその通りになっていく。ストーリー終盤に意外性があると言えばあるが、これなら最早何でもありでは?と思ってしまう部分も。納得感、という部分はそこまでない。

 

更には、本作だけではストーリーが終わらず、明らかに次回作を匂わせるエンディングで終わる。「もっと物語の深みにまで入りたい」と思える展開なのであれば、次回作購入の布石になるが、そこまででもないので、これなら1作品できちっと完結させた方がよい。

 

ゲームボリュームも少ないし、もっとストーリーを繋げてしっかり作り切れば、ストーリー面は満足できたろうに…アドベンチャーゲームにも関わらず、ストーリーが微妙、というのは、流石になんとかならないものか、と感じた。

 

アドベンチャーゲームとしてあるべき要素が薄い…

筆者はアドベンチャーゲームは2、3作品くらいしかやったことはないが、それでも筆者がやってきたどのアドベンチャーゲームにも当たり前に入っていた要素が今作にはないのは残念だ。

 

会話のオート進行がない

会話パートは全てプレイヤー自身の手でボタンを押していかないと、次のセリフが出てこない。テキスト量はそれなりにあるので、毎回ボタンを押すのはかったるかった。

スマホのアドベンチャーゲームでもオート進行が実装されているのに…

(ここはどうやらアプデでできるように追加する予定らしい)

 

音声込みのパートが少ない

昨今のアドベンチャーゲームはフルボイスなのが当たり前だと思っている。アクションとか育成とかのゲームシステム面を割かなくて良い分、映像作品としての見栄えを増すために、フルボイスは必要な要素だ。

が、本作は捜査室での会話はボイスが全くない。操作室はゲーム内のメインパートであり、約半分の時間をそこで過ごすので、流石にボイスが無いはあり得なかった。

 

バッドエンド集が少ない

アドベンチャーゲームでは、誤った選択肢を選ぶと、専用の会話がある程度された後にバッドエンドに到達することが多い。それを見ていくのも、アドベンチャーゲームの楽しみといえる。

が、本作はバッドエンドが非常に少ない。そもそもストーリーの後半に差し掛かるまで、捜査が間違ってても、流れるムービーが少し変わるだけで、ストーリーは問題なく進んでしまう。用意されているバッドエンドも、数回の会話のやり取りがされるだけで、一瞬で終わってしまう。

バッドエンドになったあとは、何がいけなかったのか、を振り返るような解説が出るわけでも無く、ただ「ゲームオーバー」の表示が出るのみ。アドベンチャーゲームなら、バッドエンドルートも流石にもっと作り込んで欲しかった。

 

協力者の有能さに偏りが大き過ぎる…

ダークウェブ上で、プレイヤー達に協力してくれる協力者は全部で3人(リアルでも交流が多い公安の人物も入れると4人と言える)。彼らはいずれも事件解決に貢献してくれる頼もしい仲間だ。

が、ゲーム終盤まで、殆ど技術者の人しか活躍してない。オカルト好きの人は何か仕事をしたのだろうか?甚だ疑問だ。これなら凄腕技術者1人だけを仲間にして、その人との交流をもっと描くとかした方が、よっぽど仲間感があった。

 

 

 

◆まとめ

科学捜査パートの作り込みはかなり良かったものの、それ以外の要素は多くのパートで他ゲームよりも劣っている残念なゲームだった「東京サイコデミック」。

「このゲーム、購入しようか気になっている」という人でも、今はまだ買わず、もっと安くなったり、中古になってから勝った方が間違いなくよいため、そうなってから購入してほしい。

 

では!