今回は、Nintendo Switch2版「冒険家エリオットの千年物語」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事の情報は2026/6/27時点である)

2026/6/18にリリースされた「冒険家エリオットの千年物語」。HD-2Dグラフィックで描くアクションRPGという非常に珍しい作品だ。
筆者は無料体験版をプレイし、ゲームの雰囲気に魅了され、発売直後に購入してプレイ。ゲームクリアまでやりこんでみたので、本作がどういうゲームなのか、まとめていきたいと思う。
総評
筆者個人としては、思うところはありつつも結構楽しめた良ゲーだった。特に探索、ビルド構築、中盤のストーリーは神がかっており、ここは本当に凄かった。
しかし、人によっては重要視する箇所に微妙ポイントがあったのも事実。筆者は遊んでいる内にこの微妙ポイントに慣れてきたため、マイナス印象で終わることはなかったが、この微妙ポイントの気にならない度合い、すぐに慣れるかどうか、によって、評価が変わる作品である。本記事を読んで、自分に合うのかどうか確認した上で買うことをおススメする。
どんな人にオススメ?
- 操作がシンプルなゲームがやりたい
- 探索要素の強いゲームが好き
- タイムトラベル的なストーリーが好き
- ビルド構築を考えるゲームが好き
という人にはオススメできる。逆に
- ロードは数秒程度じゃないと耐えられない
- 謎解きにやりごたえが欲しい
- アクションRPGのように様々な敵と戦いたい
という人にはあまりオススメできない。
このゲームの特徴
見下ろし型の2Dアクション×探索ゲーム
本作は見下ろし型2Dアクションゲームに当たる。「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」に代表される、「2Dゼルダライク」な作品だ。
フィールド上には様々な敵が闊歩しており、プレイヤーを見つけ次第襲い掛かってくる。敵を全て倒して先に進むもよし、攻撃をかいくぐって素早く目的地に到達するもよし、「戦うかどうか」という選択も、プレイヤーの判断に大きくゆだねられている。


町やダンジョンが複数連なって構築された広大なフィールドを舞台に、ジャンプや泳ぎ、潜水といったアクションや、様々な魔法を駆使しながら、用意された謎を解いて先へと進んでいく。中には今できるアクションでは走破できず、別の場所で新アクションを手に入れてから戻ってくることで新たな発見ができるような場所も用意されている。

ダンジョンの最奥には大ボスが待ち構えている。クリアすることでストーリーが進行したり、隠し宝箱が入手出来たりする。

武器や魔法を駆使して戦う戦闘
主人公である「エリオット」は武器を使った攻撃を、パートナーである「フェイ」は魔法を使った攻撃が可能。両者を駆使して戦闘をしていくこととなる。
「エリオット」が保有する武器は、
- 幅広い範囲を素早く攻撃できる万能武器「剣」
- 遠距離を攻撃できるが矢の消費が必要な「弓」
- 起爆して周囲をまとめて攻撃できる「爆弾」
などの全7種類。一度に装備できる武器は2つまで。別途装備する盾を駆使すれば敵の攻撃をガードできるので、盾で敵の攻撃を捌き、自分の武器の特徴を見極めて適宜反撃する戦闘がメインとなる。
攻撃モーションは、ボタン短押しで出せる単発攻撃と、長押しで出せるチャージ攻撃の2種類のみだ。


「フェイ」が利用できる魔法は
- 燭台に火を灯したり、敵を燃焼状態にする「チャッカ」
- 周囲の敵や物体を一点に引き寄せる「キューイン」
など、全部で5種類存在。「エリオット」の攻撃に合わせて適切な魔法を駆使すると、幅広い闘い方ができるようになる。

魔石やアクセサリによる育成要素
本作にはレベルアップの概念はない。様々な強化用アイテムを獲得してステータスを上げることで強くなっていく育成スタイルだ。
本作特有の育成要素として「魔石」が存在する。「魔石」を各武器に設定することで、火力アップや攻撃範囲拡大、技に追加効果を発生させるなどの追加能力を付与できる。「魔石」は道中に入手した「魔石の欠片」を使用して生成できる。「魔石」には効果毎にコストが存在するので、コストの許す限り組み合わせてオリジナルの強化ができる。


魔石の入手はいわゆるガチャ。フィールドで「魔石の欠片」を入手し、拠点で消費してガチャを回してランダムで入手する。


別の装備品として「アクセサリ」も存在。盾の耐久力が増加したり、敵がアイテムを落としやすくなったりなど、「魔石」ではタッチできない部分を強化できる。

その他、お店で防御力や攻撃力を一定時間強化できる薬も売っているので、敵が強いのであればそれらアイテムを追加使用することも可能だ。
サブクエストや猫集め、魔法レッスンなどのサブ要素
本作にはメインストーリー以外にも多くのサブクエストが用意されている。
サブクエストは世界各地にいる人に話しかけることで受注できる。クリアするとお金や強化アイテム等の冒険に役立つアイテムを獲得できる。

世界の様々な場所にいるネコを保護する「ネコあつめ」では、保護した数に応じて、街にいるネコ好きの旅人から様々な報酬を入手できる。 また、保護したネコのお世話をしたり、遊んだりすることもできる。


「フェイ」が新しい魔法を覚えると、「フェイの魔法レッスン」というミニゲームを遊ぶことができる。覚えた魔法を駆使してステージを突破していき、クリア時のスコアに応じ、ゲーム内BGMを鑑賞できる「レコード」がもらえる。


複数の時代を跨ぎ、世界を救う冒険家の物語
物語の舞台は、魔物や蛮族がはびこる世界「フィレビルディア」。人間たちはこの世界の一角に「ヒューザー王国」という国を設け、王女「ヒューリア」による加護の魔法の結果によって外敵の脅威を退けることで、繁栄を保っていた。主人公「エリオット」は、冒険家として町の人から依頼を受け、「ヒューザー王国」の外の世界にまで足を運ぶことを繰り返し、依頼達成の報酬で生計を立てていた。

ある時、「ヒューザー王国」そばの森の中に未知の遺跡がある事が発覚する。国王より依頼を受けた「エリオット」が調査したところ、そこにはタイムトラベルが可能な「時の扉」が存在していた。

「エリオット」からその報告を聞いた国王とその側近が混乱に包まれる中、王国の大臣「カイフリード」が「時の扉」を無断でくぐり、過去の時代から世界を塗り替えようと動き始める。果たして「エリオット」は「カイフリード」を止め、この世界を救うことができるのか。そして「時の扉」は誰が何のために作成したのか…千年もの時を渡る壮大な物語が幕を開ける。
このゲームの良い点
探索の面白さは圧倒的!
そもそものマップ全体が結構大きい。それでいて、各地にダンジョンや祠等の探索ポイントが設けられているので、「ここにはどんなアイテムがあるんだろう」という興味をそそり、ストーリーそっちのけで探索してしまうほどのしがいがある。ここは本作の大きな強みだ。
4つの時代のマップ構造が全てほぼ一緒で代わり映えがないのはちょっと微妙ではあるが、とある時代には何も無かった場所に、別の時代では強化用の祠が置いてあったり、とある時代では封鎖されていたダンジョンが、別の時代では通れるようになっていたりと、同じ風景の中にも探索報酬が細かく用意されているので、探索の楽しみは色あせなかった。
メインストーリーでは訪れないエリアにも色々なダンジョンやルートがある。時間をかけてでも探索してみて、ストーリー攻略に役立つ魔石やアイテムを入手した時は、「探索頑張ってよかったな」という恩恵を感じられてよかった。


探索要素の多さはボリューム面にも寄与している。筆者は難易度「ハード」を中心にして遊び、全エンディング回収と全サブクエスト消化をし、クリアまでかかった時間は約30時間。ただこれでも、ダンジョン全体の探索率は6割ほどだし、「ネコあつめ」も完遂していない。これらの要素を全部遊び尽くそうと思うと、全部で40時間ほどは楽しめるだろう。値段から見ても満足いくボリュームだったと思う。
戦闘ビルドの幅広さが面白い!
攻撃バリエーションは2つだけと、アクションゲームとは思えない程薄いアクション。しかし、魔石の組み合わせ方と、「フェイ」の魔法の同時使用によって、実に多彩な戦闘ビルドを作れるようになり、戦闘の楽しさが飛躍的に向上する。
素の攻撃力と、クリティカル発生率、クリティカル威力をひたすらに持った単純強化ビルドにすると、一振りで絶大な火力が出せるようになり、敵の体力バーが一気に削れる爽快感がある。そのほかにも、チャージ攻撃を放つと周囲に落雷を大量に落とし、触れた敵を行動不能にできるような魔石を使うことも可能。これだけでも多彩なビルドが作れる。
これに「フェイ」の魔法を加えるともっと面白い。
- 「キューイン」の魔法で敵を集め、効果を盛りに盛った爆弾を起爆して爆散させる
- 「チャッカ」の魔法で敵を燃焼状態にした上で、状態異常の敵に大ダメージを与える魔石を組んだ武器で大ダメージを与える
- 「コピー」の魔法で自分を複製した上で、攻撃が複数の敵へ連鎖する魔石を組んだ弓矢を放ち、矢のパチンコ状態にする
等、更に多彩な戦いが可能となる。育成や操作技術が進めば、質素だった戦闘画面が一転し、育成が進んだローグライトゲームのような見栄えになってくれるため、非常に楽しめた。

幅広いプレイヤーが楽しめる難易度設計!
本作ではイージーからベリーハードまで合計4つの難易度が設けられている。ノーマル以下はそこまで難しくなく、多くのプレイヤーが楽しめるようなちょうどよい難易度をしている。ハードにすると一転、攻撃1発がかなり痛くなり、ベリーハードでは1発で致命傷になるレベルの火力を持った敵が襲い掛かってくるようになり。序盤から慎重な立ち回りが求められてくる。難易度は随所に存在するセーブポイントでいつでも変更が可能なので、ゲームを進めながら好みの難易度を見つけていくことができる。
アクションゲームが苦手で、イージーでもクリアできるか不安…という人でも安心。本作は体力が0になっても、一定金額を支払えばその場で蘇生できるので、最後まであきらめず戦えばいずれクリアできるはず。

(最後を除き)作りこまれた魅力的なストーリー!
序盤のストーリー進行は結構スローペース。悪者が出て、そいつを止めるために色んな時代に行き、色んな人の助力を借り、対策を蓄えていく、という感じで、他RPGにもあるようなド王道な展開だ。
だが、ストーリーが中盤に入った位から、これまで様々な時代や人物と出会ってきた経緯が絡まり合い、実に見事で面白いストーリーへとつながっていく。ただまっすぐストーリーを進めるだけでは明かされない謎が、過去の時代を探索することで次々と描かれ、伏線回収されることで、事件の背景や敵の正体、目的などの真相が徐々にわかっていくのだ。このストーリーテリングは小説として別途発売してもいいほどに面白く、スクエニ社のストーリー構成力の高さを改めて実感できた。
ゲームクリア後、改めて過去のイベントシーンを見てみると、随所にストーリーの設定に関するヒントが隠されていたことがわかる。これを見つける度に、本作の作り込みの高さを実感した。
ただ真エンドのエンディング、ここは正直微妙だった…この詳細は悪い点に記載する。
このゲームの悪い点
面白くなるまでに時間がかかる…
「フェイ」の初期魔法の習得は、まっすぐ進めて約2時間とちょっと。また魔法を習得したとしても、「フェイ」を操作して敵にポインタを持っていくだけでアクション性は薄い。魔石を使用したビルド構築も、望むビルドが構築できるまで、順当に進んでも8時間ほどはかかった(運が良かったりすればもっと早くできるかもだが)。
難易度やプレイスタイルにもよるが、総じて8時間から10時間ほど遊ばないと、前述した「ビルドの面白さ」を享受できず、その間は単調さをプレイヤーに与えてしまうシステムなのはちょっと残念な印象だった。
ロード関連は微妙…
建物に入る時、階層を跨ぐ時にすら、約3秒ほどのロードが発生する。ファストトラベルはもっと長く、同一時代内で6秒ほど、時代を跨ぐと10秒以上もロードが発生する。ファストトラベルを利用する機会がかなり多いので、このロード時間の長さはぶっちゃけストレス。遊び続けると自然と慣れて来るのだが、もう少し何とかなったのではないか…
試していないが、PS5版だとロードがもっと早い可能性があるので、上記のロード時間の長さを聞いて躊躇してしまった人は、PS5版を購入することをおススメする。
敵のバリエーションが少ない…
ゲーム序盤に出てくる敵が、最後の方のダンジョンにまで出てくる。また、草原地帯や雪山、火山といった様々なシードが登場するが、各シードで出てくる敵のバリエーションにもあまり差はない。更に大体の敵が、1種類のキャラの色違いといった感じで、真新しい見た目の敵が出てくることはあまりない(ドラクエでいうスライム、スライムベス、ホイミスライムみたいな感じ)。
本作はアクションRPG的な戦闘よりも「探索」に重きを置いている節があるので、敵のバリエーションはあまり追及していないのだと思われる。様々な敵を倒す楽しさを求めている人は注意した方がよい。
ゼルダ的な謎解き要素は薄い…
時代を跨いで同じ地域を探索していく、というと、「過去に起こした行動が未来に影響することで謎が解けていく」という謎解きを期待したくなる。が、本作にはそんな要素はほぼない。唯一あるのは、過去の世界で巨石を破壊すると、それ以降の時代には巨石が出現しなくなる、という点だけ。だがこれを謎解きとは正直言えない。もっとこう、なんかできなかったのだろうか…
ダンジョン内の謎解きも微妙。オマージュ元と思える2Dゼルダでは、「部屋Aでの行動が部屋Bに影響する」という、頭を捻る必要がある謎解きが多くて楽しかったが、本作では現フロア内の狭い領域だけで謎解きが完結するので、ダンジョン全体を使った試行錯誤感は薄い(唯一、「水の遺跡」だけは近いような謎解きがあり、結構楽しかった)。
2Dゼルダ的な謎解きを期待して本作を購入すると、思ったような手ごたえがなく、肩透かしとなる可能性があるので注意してほしい。
真エンディングの最後は正直微妙…
前述のとおり、中盤までのストーリーは本当に面白かったが、真エンディングの最後は正直微妙。「まさかこんなエンディングにはならないよね…?」と疑念を持っていたら本当にその通りになってしまい、中盤で大きく盛り上がった気持ちを折られてしまった感覚だ。
その原因は、ストーリー中盤の大ボスとラスボスとで、背景描写の描き込みの落差が非常に激しいためだ。ラスボスに関する情報はストーリー途中で大して言及されておらず、いざラスボスとして登場した際は、ポッと出感が非常に強くなってしまった。
また、物語序盤からずっと一緒にいる妖精「フェイ」の誕生話も微妙。中盤の作り込みの高さと比べると、どうしてもやっつけ感が否めない。というか「フェイ」の誕生話自体が、本作のストーリーに矛盾を起こしている気がするのだが…?
いっそのこと、「フェイ」の誕生話を変更した上で最後のストーリーを切って終えた方が、美しいストーリーになっていたと思う。
まとめ
面白いところは徹底して面白いが、微妙ポイントもいくつかある作品である「冒険家エリオットの千年物語」。筆者的には楽しめたし、微妙ポイントも(エンディングの作り込みを除き)慣れてしまえば何とかなる部分でもあるので、微妙ポイントの内容を把握したうえで購入してみてほしい。「見た目よりも実際は面白い」という部分は保証する。
では!

