今回は、「Tales of Berseria」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
2016年8月18日にバンダイナムコより発売されたテイルズシリーズのマザーシップタイトル第16作品目である「Tales of Berseria」。数多く発売されているテイルズシリーズの中でも人気上位に食い込む評判のある作品である。一体どんなストーリーが用意されているのか、実際に購入し、エンディングまでプレイしてみたため、感想と、感じた良い点、悪い点をまとめていく。
ちなみに、参考までに私が遊んだ過去作のテイルズは以下の通り。(後半作品全然やってないなぁ…)
- Tales of Phantasia
- Tales of Destiny
- Tales of Eternia
- Tales of Destiny 2
- Tales of Symphonia
- Tales of Rebirth
- Tales of The Abyss
- Tales of Innocence
◆個人的感想
総評
PS3&PS4の縦マルチ展開をした為か、グラフィック面ではPS4の作品とは思えないほど低クオリティ。しかし、ボイス、やり込み要素、アクション性、ストーリーなど、グラフィック以外のあらゆる作りが全体的に非常に高い。一番やり込み要素を多く詰め込んだテイルズ作品ではないか、と思えるほどのボリュームを誇っていた。
やり込み要素の豊富な良作JRPGをやりたい、というのであれば、絶対にやるべき作品といえるだろう。
◆このゲームの特徴
キャラ毎の特徴が目立つ爽快感のあるアクション
テイルズシリーズは、アクションRPGに分類されるゲームだ。
フィールド上に現れる敵のアイコンに触れるとバトル画面に移動し、決められたフィールドの中でキャラを動かしながら、各ボタンに割り当てられた技をコンボよく出して戦闘する。テイルズシリーズの中では、「リニアモーションバトルシステム(LMBS)」と呼ばれており、第1作品目から続く伝統的なシステムだ。
これまでのテイルズシリーズでは、通常攻撃と特技攻撃という2種類の攻撃手段が用意されており、コンボを決める時は
「通常攻撃」→「特技」→「より上位の特技」
という決められた組み合わせで技を出していくしかなかった。本作ではこの概念を撤廃。そもそも「通常攻撃」が存在せず、「特技」しかない。各ボタンに任意の特技を設定し、該当するボタンを押してその特技を順番に発動していく、これまでのテイルズにはない斬新なシステムを取っている。(一応、「Tales of Destiny」という過去作のリマスター版で似たようなシステムがあったが…)
「じゃあ強力な特技をいっぱい設定して出しまくればいいじゃん!」と思うだろうが、もちろんそう簡単にはできない。攻撃を出すには、「ソウル」という専用のゲージを消費する必要がある。この「ソウル」は、敵を倒したりひるませたりすれば増やすことができ、最大まで溜めれば強力な特技を連続して出せるようになる。ただし、逆にこちらがやられれば「ソウル」を失ってしまう。如何にこちらの「ソウル」を減らさず、敵から「ソウル」を奪って戦うか、が戦闘のミソなのだ。
また、攻撃手段は特技以外にも2つ用意されている。
まずは、キャラごとに設定された専用技「ブレイクソウル」。「ソウル」を1つ減らす代わりに、キャラごとの専用技を出すことができる。「特技」と組み合わせて使えば、大量のコンボを途切れることなく繰り出し続けられる。
続いて、控えキャラとの交代に合わせて攻撃を繰り出す「スイッチブラスト」。「ソウル」とは別のゲージ「BG(ブラストゲージ)」を消費し、控えにいるキャラと即座にキャラを交換し、交換時に専用の攻撃を出す。こちらも他のコンボと合わせて出すことが可能だ。
ハクスラ要素も存在するキャラ育成要素
RPGと言えばはやりレベル上げ!本作はJRPGらしく、敵を倒して経験値を溜めればレベルアップし、最大体力や攻撃力が上がっていく。ストーリーが進むごとに登場する敵も強くなってくるため、「勝てないな」と思ったらひとつ前のマップで雑魚敵を沢山倒してレベルアップしていく。
武器を装備すれば、レベル上げとは別にステータス強化が可能だ。武器の入手は、商品から購入したり、敵を倒したり、道中の宝箱を開けたり…こちらもJRPGではよくある要素。しかし、他のJRPGには存在しない要素として、「武器ごとにランダムに付与されるスキルの存在による育成要素」が盛り込まれている。
武具には攻撃力、防御力といった基礎ステータスの他に、体力や命中率を増加させたり、特定の敵に与えるダメージを増加させたり、といった「スキル」が付与されている。どのスキルが付くのかは完全ランダムなので、多くの武器を入手し、自分に合ったスキルを持った武器を見つけていく。このスキルは、ストーリーを進めたり、特定の条件を満たして「摩水晶」を入手したりすることで、付与されるスキルのバリエーションが増えていく。
更に、武具は専用強化素材を消費して強化することが可能だ。「スキルはいいんだけど、基礎ステータスが低いんだよね…」という武器でも、強化していけばストーリー終盤まで十分使える武器になってくれる。専用強化素材はフィールドから拾ったり、不要な武器を商人で解体してもらえば入手できる。
ワンダリングエネミー、異界探索、天への階梯…豊富なやり込み要素!
テイルズシリーズと言えば、豊富なやり込み要素も魅力の一つ。本作にも沢山のやり込み要素が存在する。いくつか代表例を挙げよう。
まずはワンダリングエネミー。雑魚敵との戦闘後にランダムで乱入してくる強力な敵で、どれも一筋縄ではいかない強さを誇る。無事倒せれば、専用の「摩水晶」等を入手できるだけでなく、トロフィーも入手可能だ。
続いて異界探索。探索地点を指定すると、現実時間で30分待ったのち、未知のアイテムや財宝を入手してくれるモードだ。まるで基本無料のスマホゲームのよう。登場する探索地点の数は20地方にも及ぶ。もちろん、1回探索すれば全アイテム入手!なんて甘いものではないので、全探索完了するには相当な時間が必要になる。
最後に「天への階梯」。ゲームクリア後に解放されるエンドコンテンツである。マップごとに指定のクリア条件が用意されており、それらをすべて突破した上で、最後のステージに待ち構える、ラスボスを凌駕する強さを持つ敵を倒すことが目的だ。ラスボスを倒すよりも大変。これを倒すのが真のゲームクリアといっても過言ではない。
これ以外にも、「甲種狩り」「第四種管理区域」「ミニゲーム」など…多くのやり込み要素が用意されているため、遊び尽くそうと思えば、本作1本で100時間は遊べるといっても過言ではない。
全体的に重めながらも濃厚なストーリー
テイルズシリーズはファイナルファンタジーシリーズに似た「ちょっと大人なストーリー」が展開される作品が多い。本作はそんなテイルズシリーズの中でも、「復讐」という、頭一つ抜けて暗いお話が展開される。また、テイルズシリーズ初の女性キャラが主人公である。
以下、物語冒頭のあらすじだ。
物語の舞台「ミッドガンド聖導王国」では、「開門の日」と呼ばれる赤い月が空に満ちたある日以降、人を「業魔」という怪物に変えてしまう奇病「業魔病」が蔓延していた。「業魔」となった人間は二度と元には戻らず、目についた人間を襲う恐怖の存在であり、その「業魔」を撃退できるのは、「聖隷」という特殊な生命体を使役した「対魔士」だけであった。そんな混沌とした厳しい世界の中で、主人公「ベルベット」は、対魔士の兄「アルトリウス」と、病弱な弟「ライフィセット」と共に、温かく幸せな日々を送っていた。
しかし、「開門の日」と同じ赤い月が満ちたある日、故郷が業魔に襲われ壊滅状態となる。さらに「ベルベット」は、信頼していた兄「アルトリウス」が弟の「ライフィセット」を串刺しにする現場を目撃してしまう。兄の裏切りと、肉親を奪われた憎しみにとらわれた「ベルベット」は、謎の力に取り込まれ、左腕があらゆる生命の魂を喰い尽くす「業魔手」へと変貌した上、自身も業魔へと堕ちてしまう。
事件から3年後。世の中では、「アルトリウス」が「業魔」による被害から人間を守ってくれる救世主として、国王レベルにまで権力を持ち、民から尊敬される存在となっていた。一方「ベルベット」は、島全体が丸ごと監獄である「監獄島タイタニア」にて、次々に放り込まれてくる「業魔」を左腕で食べながら、地下深くに監禁されていた。そんな中、「アルトリウス」の聖隷である「シアリーズ」が突如として目の前に現れ、脱獄の手助けをしてくれることに。弟を亡き者にした「アルトリウス」に復讐することだけを胸に、業魔となった「ベルベット」は旅に出ることを決意する。
◆このゲームの良い点
スタイリッシュな戦闘がしやすい!決まると気持ちイイ!
特技とソウルブレイク、スイッチブラストを組み合わせて戦う戦闘はとにかくスタイリッシュ!全てが綺麗に決まっていくと、もはや無限にコンボが続けられるといっても過言ではない。
4連続で特技を出して、ブレイクソウルで追加攻撃!ソウルが切れたらスイッチブラストで操作キャラを入れ替えて、入れ替え後のキャラでまた連続攻撃!最後に強力な秘奥義を発動してフィニッシュ!
…これらが自分の思った通りに発動できた時の楽しさと言ったらなかった。私自身、過去にテイルズシリーズを数多くプレイしてきたが、ここまでコンボが気持ちよくはまるテイルズ作品は初めてだと感じた。
ロードがサクサク!ストレスを感じることなくプレイ可能!
本作はとにかくロードが早い。戦闘画面への切り替え、マップの移動、ショートカット使用後の切り替え…どれを取っても1秒もかからない。なので、ゲームプレイには全く支障が出ていない。この点は非常に高評価だった。
他にも、アプリの強制終了やバグなど、ゲームプレイのやる気を削ぐような場面には1回も出くわすことは無かった。
莫大なボリュームでやりごたえ十分!
筆者はサブストーリーややり込み要素はちょっと触っただけで、道中でメインストーリーを進めることで出現するチャットはすべてちゃんと聞く、というプレイの仕方を取っていたが、それだけでもストーリークリアまで34時間ほどかかった。サブストーリーまで手を出していたら、いったいどれくらいかかったのか、想像もできない…
やるなら超ボリュームのゲームをやりたい!という人は、期待以上のやり込みをできること間違いなしだ。
フィールドの移動システムが一新され超快適!
JRPGといえば、広大なフィールドを、徒歩や船、飛行船を使ってまわるもの、というのが鉄板だろう。しかし、本作ではこの要素が一新されている。
「ミッドガンド聖導王国」は複数の大陸で形成されており、各大陸の移動は、船着き場にいる船員に話しかけて行きたい場所を指定し、勝手に移動していくスタイルをとる。大陸間を自分で航海したり、飛行船に乗って移動したり、といった要素は存在しないのだ。ただ、1つの大陸にはマップやダンジョンが2,3個用意されており、それらは全て歩いて目的地まで移動する必要があるので、動き回ることが全くない、というわけではない。
「フィールドの移動」という、ある意味めんどくさい要素を排除してくれており、個人的には非常に嬉しいシステムだった。ただ、人によっては、ゲームの世界を自分の手で冒険し、未開の土地を開拓して行くのが楽しい、という人もいるだろう。そういう人には、本作の要素はあまり合わないだろう。
続きが気になり、辞め時を失う魅力的なストーリー!
「復讐」という、テイルズシリーズの中でも重たいストーリーが展開される本作。そんな暗い内容がメインであるため、プレイヤー側が悪役で、敵側が正義、といった話が常に展開される。
主人公「ベルベット」は、弟の敵討ちのためだけに生きている業魔である。目的達成のためには、訪れた街で爆発事件や誘拐事件といった騒ぎを意図的に起こし、その騒ぎに乗って目的を達成する、といった、一般市民ですら文字通り「利用」する極悪非道っぷり。王道聖人ストーリーが多いテイルズシリーズとはとても思えない。
そんな主人公と一緒に行動する仲間たちも、どれも「仲間」ではなく、自分の達成したい目的のために協力するビジネスパートナー、といった人達ばかりで、各々自分勝手な行動をとる場面が多い。
そんな混沌とした「ベルベット」一行だが、ストーリーが進むにつれ、この世界の真相や、敵である「アルトリウス」の行動の謎など、大きな陰謀に巻き込まれていくことになる。このストーリーの流れが非常に魅力的で、「え?この後どうなるの?」と続きが気になり、思わず止め時を忘れてしまい5,6時間もぶっ続けでプレイしてしまうほどだった。ストーリーの結末は切なくも暖かい展開で、思わず涙が出てしまうほど。本作を購入し、是非プレイして、この濃厚なストーリーを体験してほしい。
ちなみに、本記事のタイトルにも入っているブラコン。「なんでブラコン?」と思ったそこのあなた!是非購入し、確認して下さい!(←)
◆このゲームの悪い点
戦闘の面白さを感じるまで時間がかかる…
ゲーム性を高める為に追加された新要素のはずが、このせいで戦闘の面白さを感じるまでに時間がかかる仕様になっている。
技はざっくり4回まで連続して出せるが、4回出せるようになるには「ソウル」が最低でも4つ必要になる。戦闘開始時は通常3個から始まるため、戦闘開始してしばらくは3回までしか攻撃が繋がらず、なんか中途半端な感じで技が終わってしまう。雑魚的であれば結構簡単に「ソウル」が溜まるのであまり気にならないが、ボス戦ともなるとなかなか「ソウル」が貯まらず、消化不良な感じで戦い続けることが多かった。
また、強力な技を使えるようになるには、同じ技を何度も使い込む必要がある。なので、見栄えも良く強力な技が出せるようになるのは物語の中盤に入ってちょっと。それまでは「ソウル」が溜まっていても、なんかパッとしない戦闘で終わってしまうことが多く、ちょっと残念に感じた。
ハクスラシステムが中途半端で正直いらなかった…
武器ごとにランダムなスキルが付与され、お気に入りの武器を手に入れるまで繰り返し武器集めをする…通常であれば魅力的なハクスラシステムだが、正直いらないかな…と感じてしまった。
本作には、スキル毎のソート機能や、武器ごとの性能差(攻撃力がいくつ上がって、特殊ステータスがいくつ減るのか、など)の数値化など、他のハクスラゲームでは当たり前に存在するお助け機能が一切ない。攻撃力や防御力は、今よりも上がるか下がるか、が表示されるのみであり、かつ付与されるスキルと外れるスキルが一覧化される、といったことも無い。
なので、新たな武器や防具を入手しても、その武器がいい武器なのか、悪い武器なのか、実際に買ってみて装備画面を映してしてみないとわからないことが多く、ハクスラ要素を持つゲームとしては致命的なのでは…と感じた。これなら、素直に「攻撃力UP」「守備力UP」のみのシンプル武器でよかったのでは?とすら感じた。
会話フェーズの量があまりに多い…
本ゲームは、チャットやキャラ同士の音声込み会話の量が非常に多い。ゲーム時間の半分はコントローラーを置き、キャラの会話を聞いていたといっても過言ではないほどだ。ダンジョンを進み、階層を1つ進めるごとにチャットが最低1つ、多くて3つ発生する。それだけボリュームが多く作られている、ということの裏返しではあるのだが、さすがに多過ぎてゲームテンポを乱していると感じてしまった。
が、「ゲームに音声込みの会話は、物語への感情移入をするためにも重要な要素だ!」という人にとっては、ここはいい点ともいえるだろう。
映像のクオリティは正直低め…
ロード時間の速さや莫大なゲームボリュームに容量を割きすぎたのか、はたまたPS3という旧型機に合わせたせいなのか…詳細は分からないが、グラフィック面は正直PS4発売開始から数年たった後に出た作品とは思えないほど悪い。さすがに作画崩壊するレベルではないが、もう少し何とかならなかったものか…
また、テイルズシリーズではお決まりの、重要場面でちょくちょく挟まるアニメムービーも、過去作と比べ少ない方に感じる。2005年前後に発売されていた「テイルズオブジアビス」や「テイルズオブリバース」でも、もう少しアニメシーンはあったような気がするが…
ゲームに高グラフィックを求める人にとっては、ここは正直辛いところだろう。
配信機能無し…画面ピクチャ機能無し…
これは筆者のようなブロガーやユーチューバーなど、情報発信をやる人にしか関係しない点であるが…このゲームは起動時からずっと、画面キャプチャ機能や録画機能が制限されている。そう、だから本記事には画像が一切ないのだ!
画像を使って説明できれば、よりこのゲームの良さをダイレクトに伝えられるのだが、開発元のバンダイナムコ様が「ダメだ」というならもう仕方がない。このゲームの画像や録画を使って何かしたい、と考えている人はそれができないので注意しよう。(一応、専用のPCソフトを用意すればピクチャは可能だが…これを機に購入しようかな…)
◆まとめ
愛と復讐と理想がぶつかり合う濃厚なストーリーが展開される「テイルズオブベルセリア」。スタイリッシュな戦闘ができるのも大きな魅力だった。発売からかなり経っており、今ではセールで安く発売されることも多いため、「気になっているんだよな~」という人は是非とも購入してみてほしい。絶対後悔しないはずだ。
では!