今回は、「ポケポケ」の相性で親しまれている、スマートフォン版「Pokémon Trading Card Game Pocket」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(この記事は2024/12/27時点の情報である)
紙のポケモンカードであればちょくちょく遊んだことがある筆者。ゲームボーイ時代に出て以降、ずーっと電子版のポケモンカードゲームは発売されなかったが、ようやくスマホ版として発売された。
リリースされてから約2ヶ月、徹底的に遊びぬいた上での感想をまとめていきたい。
◆個人的感想
総評
紙のポケモンカードをスマホ向けに非常に上手く落とし込んだ、素晴らしいバランスのゲーム。公式から「カジュアル層へのリーチを大事にしたい」というコメントが出ている通り、運要素が多く絡むカードゲームになっており、初心者でも上級者に勝てる要素が詰まっている。
カードゲーマーにとっては、運の要素で理不尽に感じる部分もあるだろうが、プレイング次第ではそこをひっくり返すこともできなくはないバランスに仕上がっているのも高評価。
オンラインでの対戦部分も、ストレスフリーに作り込まれており、実に高クオリティ。コンピュータを相手にした1人用モードも搭載されており、ポケモンカードを始めたばかりの人でも、ステップを踏んでポケモンカードの本質を掴みながら遊べる。
課金要素も渋過ぎず、課金を優遇し過ぎてる要素もないため、課金勢、無課金勢全員が強くなりやすいバランス感覚も流石。
色んなプレイヤーに遊んで欲しい、非常におすすめなゲームに仕上がっていると感じた。
◆このゲームの特徴
スマホ向けに調整されたポケモンカードゲーム
本アプリでは、「ポケモンカードゲーム」をスマホで遊べる作品。 もうこれ。この一言に尽きる。
ポケモン、グッズ、サポートなどのカード種類や、たねポケモン、進化などもしっかり再現されている。更には、強力な能力を持った「EX」カードも収録され、プレイングの幅を持たせている。
ただし、紙のポケモンカードとは少し異なる部分が存在している。
デッキ枚数と同名カード制限
デッキ総数は20枚と、紙版の60枚より非常に少なく、同一カードは2枚までしか入れられない。が、EXと非ルールのカードは同名でも別カード扱いされる。ピカチュウEXとピカチュウでそれぞれ2枚ずつ、合計4枚入れることが可能だ。
エネルギーカード無し
紙版は60枚の中にエネルギーカードを好きなように混ぜ込み、手札の一つとして扱うが、本作ではエネルギーカードの存在そのものがなくなっている。代わりに、エネルギーゾーンという専用のゾーンが用意され、1ターンに一度、そのゾーンからエネルギーカードにあたるアイコンが一つ生成される。そのアイコンをポケモンにつけ、必要エネルギーを集めることで、わざを使用できる。ポケモンの体力が尽きて、トラッシュ(使用済みでその試合では今後再利用できないカードを置く場所)におかれる場合は、着いていたエネルギーは消失する。
2タイプ以上を駆使して戦う複合色デッキの場合は、どのエネルギーが出てくるかは完全ランダムだ。デッキ構築の段階で、複合タイプデッキであっても、どのエネルギーが出るようにするか設定ができる。
紙版と同名カードでも効果が変更される
「博士の研究」は、紙版の場合は「手札を全てトラッシュへおき、その後山札からカードを7枚ドローする」という効果だが、本作では「山札からカードを2枚ドローする」という効果に変更されている。その他にも、紙版と同じカードでも、効果が本作用に調整されているものが多い。
ベンチ、初期手札数、先行ターン制限が違う
紙版ではベンチに5枚までカードをおけるが、本作では3枚までと少ない。
また、ゲーム開始直後に配られる手札も、7枚ではなく5枚と少ない。
更に、先行プレイヤーはエネルギーがつけられないものの、サポートの使用ができる。
サイドがなく、3ポイント先取性で決着
紙版では山札からサイドを6枚おき、相手のポケモンを倒すたびにサイドを1枚取っていって、全てのサイドを先に取り切ったプレイヤーが勝利する、というルールだが、本作にはサイドがそもそもない。代わりに、相手ポケモンを倒すと1ポイント〜2ポイントを獲得でき、先に3ポイントを先取したプレイヤーが勝利するルールとなる。
バトル場のポケモンがきぜつした際に、ベンチにポケモンがいないと負けになるルールは紙版と同じだ。
カード以外の様々なコレクション要素
手に入れたカードは、用意したファイルやカード立てに好きなように配置してコレクションできる。作ったコレクションをインターネットに公開し、他プレイヤーの目に留まり、「いいね」を押してもらえる。
また、カードを入れるスリーブやプレイマット、はたまたコインまで幾つか種類がある。これらは、イベントクリア時にもらえる専用ポイントを使用して入手したり、課金して特別に入手したりする。
3種類のカード入手方法
カードを入手する方法は3つ用意されている。
1つ目はパックを購入して入手する、最も一般的な方法だ。パックは12時間経つと一つ開けることができる。1パックには5枚のカードがランダムで入っている。専用のアイテムである「パック砂時計」を消費すれば、12時間経たずともパック購入ができる。
月額980円のプレミアムパスに入ると、12時間入手のパック以外に、24時間で1つ追加してパックを開けられる。
2つ目は、他プレイヤーが開けたパックの中から1枚をランダムで入手する「ゲットチャレンジ」だ。
挑戦したいパックを選び、専用のコストを支払って、5枚の中から欲しいカードを選んで入手する。確実に欲しいカードを入手できるわけではないが、それでも20%の確率で欲しいカードが入手できるのは大きい。レアリティが高いカードが含まれているパックを選ぶほど、挑戦に必要なコストが増える。ゲットチャレンジを行うための専用コストは、12時間経過すると一つ溜まるようになっている。
3つ目は、パックを開けた際にもらえる専用のポイントを消費し、好きなカードを入手する方法。 このカードだけ欲しい!という場合、そのカードのレアリティに応じたポイントをポイント消費すれば、どのカードでも入手できる。ポイントはパックを開けるたびに溜まっていくため、ゲームを遊び続けていれば、欲しいカードがそのうち必ず手に入る仕様になっている。
CPU戦とオンライン戦の2種類のバトルを実装
集めたカードを使っての対戦は、
- CPUと戦い、勝つことで報酬が手に入る「ひとりで」
- オンライン上の他プレイヤーと戦う「だれかと」
の2種類が用意されている。
また、それぞれのモードでは時折、特別な報酬が用意されたイベントが開催されることがある。「ひとりで」の場合は、CPUが操作するデッキと勝負して勝つことで、そのイベントでしか入手できないプロモカードが入手できるし、「だれかと」の場合は、イベント期間内に指定回数勝利することで、プロフィールに設定可能な特別なバッジを入手できる。
「ひとりで」の場合は、自分の操作も全てオートで進行するように設定も可能だ。
◆このゲームの良い点
手軽ながらもしっかりとポケモンカードを楽しめる!
カードゲームは1試合の時間が長くなりがちだが、本作はサイドが3枚しかないコンパクトルールの為、大体の試合が5分〜10分で終わるコンパクトサイズ。通勤時間やちょっとした待ち時間などの隙間時間にプレイするのに丁度良いサイズだ。 縦型の画面表示で、片手プレイができるのも、隙間時間のプレイしやすさに大きく影響している。
かと言って、ただ流れ作業のように終わる退屈ゲームなどではない。それぞれのデッキに存在するキーカードの動き方や、キーカードをサポートする周辺カードの使用状況、相手のデッキの構成や手札状況を見極め、
- 今はどのカードを出すべきか
- エネルギーは誰に貼るべきか
- 攻めるべきか引くべきか
を考えながら戦わないと勝ちにくい。しっかりとカードゲームとしての戦略要素も備えられていて、やりごたえがあった点は良かった。
ゲーム進行もスムーズで快適!
ゲーム中の処理の流れも、スタックしたりフリーズしたりするようなことは無く、スムーズに処理できている。効果発動のためのコストを支払う時も、その選択をやめる時も、ちゃんと「どこを押したらやりたいことができるか」が直感的にわかるUIになっているため、プレイもしやすかった。
スマホゲームをあまりやらない人でも、よくやる人でも、操作にストレスを感じることなくプレイできる品質の高さは「さすがポケモン!」と感じた。
初心者や復帰勢に向けた解説や、1人プレイモードが充実!
本作から始めてポケモンカードをプレイする、または久々にポケモンカードに復帰した、という人向けにも、細かいルールを教えてくれるチュートリアルがついており、フォローバッチリなのは非常によかった。
コンピュータと対戦するモードである「ひとりで」には、様々なテーマを元にしたデッキが用意されており、強さも全部で4段階用意されている。最終段階である「エキスパート」までいくと、実戦レベルの凶悪なコンボをしてくることがザラであり、コンピュータといえど強力だ。
また、「ひとりで」の戦いには、
- 特定のレアリティのみのデッキで勝つこと
- 特定のタイプだけで作られたデッキで勝つこと
- 1ポイントも取られずに勝利すること
など、幾つかミッションが用意されている。これらをクリアするようにデッキ構築を考えていくのも面白い。クリアすれば、ショップでパック砂時計などに交換できるチケットが報酬で手に入るため、クリアするモチベーションにも繋がった。
カードイラストが綺麗!
紙のカードと同じく、本作にも、効果は同じだが絵柄が異なるカードがいくつか存在している。これらは完全にコレクション要素なため、同名カードでもレアリティの低いカードを手に入れれば、デッキの強さには影響しない。
が、この高レアリティカード、どれも絵柄が非常に綺麗で、「全カード揃えたい!」という気にさせてくれるものが揃っている。元々レアリティが高く、パックから出にくいEXカードだけで無く、通常カードでも絵柄が作り込まれたカードがいくつもある。コレクター勢からしても、パックをあけるのが楽しみになるようなゲームになっていると思った。
課金金額が控えめ!
スマホゲームで勝つ、と言えば、課金がほぼ必須になる。しかし本作ではその要素が比較的抑え目に作られている点は魅力的だった。
ポケモンEXを筆頭とした強力なカードは幾つか用意されているが、「カツラデッキ」を筆頭に、ノーマルカード中心に組んだデッキであっても、プレイングやカード運次第ではちゃんと勝てる。強力な高レアリティカードも、たった2枚手に入れればデッキとして十分機能するため、1枚はパックで、もう一枚はゲットチャレンジで入手するなどできれば、強力なデッキが無課金でも組める。
勿論、課金した方が強くはなりやすい。それでも、月額980円のプレミアムパックの購入だけでも十分だと感じる。
課金しなくても勝ちやすいデッキテーマが用意されている点は、他のスマホゲームと比べても、かなりユーザーフレンドリーなゲームであると感じた。
◆このゲームの悪い点
コイン投げを筆頭にした運ゲー要素が強い…
発売されたばかりでカードプールが少ない上、エネルギー加速手段や、ポケモンのサーチ手段が限られているため、どうしても、たねポケモンのEX、ないしは1進化のEXポケモンを使ったデッキが圧倒的に安定している。また、水タイプ必須の「カスミ」というぶっ壊れカードなど、コインを振って上振れればとんでもない火力が出るカードが色々用意されているのも欠点。着実にカード展開を積み重ねても、最後に相手のコインを振った結果で全てひっくり返ってしまう恐れがあるのは、ちょっとやる気を失う。
ここはまだリリースされたばかりな点や、そもそも「カジュアルなカードゲーム」を公式がうたってる以上、仕方がないところ。今後カードプールが追加されていくと変わる要素だと思うので、新段パックの誕生を待ちたいところだ。
ランクマッチが無い…
本作は今のところランクマッチが用意されていない。公式のコメントを見た限りでは、おそらく今後もランクマッチ相当のシステムは実装されないと思われる。これは対戦要素を持ったカードゲームとしては結構残念な要素だった。
ランクマッチ的なものがやりたいのであれば、自分で大会を探してエントリーする必要がある。筆者もどこかで大会に参加し、自分の考えたデッキでどこまでやれるのか、挑戦してみたいところだ。
◆まとめ
満を辞して登場したポケモンカードゲームである「Pokémon Trading Card Game Pocket」。スマホ向けに考えて作り込まれ、コレクション要素も存在する、幅広いユーザーが満足できる素晴らしいゲームに仕上がっていると感じた。
早めに始めた方が、カードプールを多く利用できるため、有利なのは間違いない。気になるなら是非本作をダウンロードして、パックをあけるだけでもやってみて欲しい。
では!