今回は、PS5版の「Lords of the Fallen」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事の情報は2024/9/5時点を元にしている)
2023年10月13日に発売されたアクションゲーム「Lords of the Fallen」。注目されてはいたものの、発売直後の評価は賛否両論だった。その後、運営の手で大きなアプデが行われ、発売当時とは違う要素を色々取り入れている。
筆者は、本作の発売が発表されてから、気にはなっていたものの、他ゲーをプレイすることに追われ、ずっと手を出せていなかった。発売からかなりの時間を立って購入!エンディングまでプレイしてみたため、どんなゲームなのか、神ゲー、クソゲーのどちらだったのか、まとめてみたいと思う。
◆個人的感想
総評
素材は非常に良いのに、その料理の仕方が粗い。非常に勿体無い作品だった。面白い要素とストレスな要素が二極化し、色々残念な気持ちになってきてしまった。
ダークな世界観、沢山の武器や防具、数多くの楽しいボス戦という、ソウルライク作品で求められている要素に加え、2面世界の冒険というオリジナリティまで待ち、楽しく無いわけがない…はずなのだが、それらが上手く活かし切れず、ただイライラしたり、退屈したりする場面が多い。ソウルライク作品がなぜ人気なのか、開発陣があとちょっと調べて作り込んでいれば神ゲーになったかもしれないのに…
総じて70点位の作品。おすすめはしないが、お金や時間に余裕があるなら、やってみても良いのでは無いか。
どんな人にオススメ?
- ダークな世界観のゲームが好き
- 探索するゲームが好き
- 理不尽さがあってもやり切れる
という人にはオススメできる。逆に
- ソウルライク作品に探索要素はあまり求めない
- 分かりやすいストーリーがいい
- 昨今のソウルライクに慣れてしまった
という人は、本作は合わないため、オススメしない。
◆このゲームの特徴
基本一本道のソロ向け高難易度アクションゲーム
本作は、ダークな世界の中で、数多くの分岐ルートを探索しながら、奥にいるボスの撃破を目指していくアクションゲームである。
本作はアクションゲームながら、取れるアクション数は他ゲーと比べても比較的少なく、少しプレイすれば操作方法を理解できる。「では簡単なゲームなのか」というとそんなことはない。雑魚敵からでも受けるダメージ量は高く、油断すると一気に体力が無くなってゲームオーバーとなる。また、攻撃モーションも少し重く、闇雲に攻撃すると大きな隙を晒してしまう。ちゃんと敵の攻撃を見極め、回避し、隙をついて攻撃してまた引く、といった堅実な戦いが求められる。
ボス戦となると、急接近しての攻撃や、広範囲にわたる攻撃をいくつも出してくるため、より難易度が上がる。敵の攻撃パターンを見分け、どこで攻撃すれば良いか、どのタイミングでどの方向に回避すれば良いか、などの試行錯誤を何度も繰り返しながら、クリアを目指していくゲーム性となっている。
体力が0となりゲームオーバーになると、直前のチェックポイントである「痕跡」からやり直しとなる。何度も何度もやられては挑みなおし、敵の攻撃のクセや隙がどこにあるのか知識を増やしながら、的確に攻撃を与えて体力を削っていく戦いが求められる。まさにプレイヤー自身の発見と成長をいくつも繋げながらクリアを目指すゲームだ。
スタミナを意識しながら、攻撃、回避、ガードを駆使する戦闘システム
攻撃や回避、ダッシュなどのあらゆるアクションには、一定数のスタミナを消費する。スタミナが0になるとガードが弾かれ、大きな隙を晒すことになるだけでなく、それ以上の攻撃や回避もできない。スタミナ管理をしながら、攻撃、回避を駆使する戦いが必要となる。
攻撃では、弱攻撃、強攻撃の2種類を使い分けて戦う。更に、片手持ちと両手持ちという持ち方によるモーションや火力の違いもある。
片手持ちの場合は、左手に持つサブ武器も合わせて利用した攻撃が可能。盾を装備しているのであれば、ガード時の性能を上げることができるし、武器をもう一つ持っているなら、左右両方の武器を使用した双剣攻撃が可能となる。
両手持ちの場合は、メイン武器のみを持ち、大振りなモーションで攻撃するようになる。片手持ちよりもわずかに火力が上がるが、ガード性能が下がる等のデメリットがある。
敵の攻撃への対処方法には、回避とガードの2つがある。
回避は素早いステップや、中距離を一気に移動できるローリングなど、状況に応じて使い分けられる要素が揃う。
ガードは、敵の攻撃を受け止めるものの、ガードするだけではダメージを受けてしまう。そこで、敵の攻撃が当たるタイミングに合わせてガードするジャストガードを発生させることで、受けるダメージを大きく減らすことができる。なお、ガードで受けたダメージは、敵を攻撃することで回復できる。
攻撃やジャストガードを使用することで、敵の体制ゲージを削ることが可能。体勢ゲージをゼロにすると、敵が一時行動不能になるだけでなく、敵に対して大ダメージを与えられる特殊攻撃ができるようになる。
生の世界と死の世界を行き来する探索要素
本作では、同じマップでも、生者の世界と死者の世界の2つの世界が用意されている。
生者の世界は、ダークな世界観ではありながらも、特殊ギミック等もなく、シンプルなマップとなっている。
死者の世界は、生者の世界の世界をベースに、全体的に禍々しい雰囲気が漂う。また、生者の世界では水が張っていて通れなかったり、崖で通れなかった場所に対して、新たな道が作られ、先へ進むことができるようになる。
また、死者の世界特有の要素として、
- 登場する敵の数や種類が増える
- 敵が無限に沸き続ける
- 体力回復時の回復量が半分になる
という修羅要素が存在し、常にピンチな状況に陥りやすい。戦闘の難易度が飛躍的に上がるが、その反面、後述する「活力」が多く手に入る利点もある。
生者の世界から死者の世界へはいつでも移動できるが、その逆は特定のポイントにアクセスしないと移動できない。また、生者の世界で体力が尽きると死者の世界に移動するが、死者の世界で力尽きるとゲームオーバーとなる。どのタイミングで世界を跨ぐのか、その選択が大事になる。
レベル上げ、武具の装備や強化による育成要素
本作では、
- キャラのレベル上げ
- 武具の育成
を繰り返して強化をはかっていく。
敵を倒したり、専用のアイテムを使用したりすると、「活力」という、いわゆる経験値を獲得できる。この「活力」は、プレイヤーのレベル上げだけでなく、ショップで商品を購入したり、武具を鍛えたりするのにも使用する。
キャラのステータスは、
- 筋力
- 俊敏
- 持久力
- 生命力
- 光
- 灼熱
の6つのジャンルに分けられており、それぞれの数値を上げることで、対応するステータスが上昇する。どのステータスを優先的に上げるか、はプレイヤーが好きに決められる。レベルを上げるほど、レベルアップに必要な「活力」の量も上がってくる為、計画的な育成が求められる。
プレイヤーが身に着けることのできる装備品は、
本作には、ハンマーや槍、扇子、鉤爪などの武器が全部で9種類用意されており、ショップで購入したり、フィールド内の宝箱から入手したりすることで獲得できる。突きや縦振りを中心としたリーチの長さを主体とする攻撃から、横振りを繰り返す範囲攻撃など、 武器ごとに攻撃モーションが異なっている。
拠点にいる鍛冶屋に頼めば、専用の素材と「活力」を消費することで武器の強化ができる。強化素材は、敵を倒したり、道中で拾ったり、ショップから購入することで入手可能だ。
サイドクエストと周回要素
冒険の拠点となるエリアには、主人公の他にも何人かの住人がいる。彼らはそれぞれ悩みを抱えており、何かしらのアイテムを集めてきてほしい旨の依頼をしてくる。世界のどこかにある依頼品を集め、渡すことで、特別なアイテム等が手に入る。
ラスボスを倒し、クリアしたあとは、自由に探索するか、もう一度ストーリーを周回するか、選ぶことができる。周回を選択すると、 これまでのステータスや装備を全て引き継いて、ゲームの開始時点から再スタートし、倒したボスも全て復活する。周回するほど敵のステータスが高くなって難しくなるが、その分、もらえる「活力」の量も増え、レベルアップがしやすくなる。
更に、周回時には痕跡の数が少なくなる要素や、敵の配置場所がランダムになったり等、より攻略難易度を上げる縛り要素も発生してくる。
インターネットを使用した共闘、対戦要素
インターネットに接続することで、一緒にこのゲームをプレイしている他プレイヤーとの共闘や対戦ができる。
共闘は、自分の世界に他プレイヤーが来てもらうか、他プレイヤーの世界に自分が訪れるか、どちらかを行う。参加したプレイヤーは、ホストプレイヤーと足並みを合わせて一緒のマップを遊んでも良いし、自分の思い思いの場所に移動して遊んでもよい。ホストとなるプレイヤーの世界を冒険するため、ホストとなったプレイヤーのストーリーのみ進行する点は注意。
フレンドを指定して、フレンドとだけ冒険することも可能だ。
戦闘は、他プレイヤーが冒険している世界に入り込み、1対1での戦闘を行う。ホストプレイヤーが敗北した場合は、通常のゲームオーバーと同様、「活力」を落とした上でチェックポイントからリスタートとなる。侵入プレイヤーが敗北した場合は、元の世界に戻される。
インターネットに接続していると、自分の世界に他プレイヤーに勝手に侵入してきて、想定外の戦闘に巻き込まれる可能性がある。他プレイヤーから侵入されたくない場合は、インターネット接続をオフにしてプレイしよう。
凶悪な魔神に支配された世界の解放を目指すストーリー
本作の舞台である「モーンステッド」は、かつて魔神「アディール」と呼ばれる凶悪な悪魔により世界を支配されていた。それに耐えかねた人類は、長きにわたる戦争の結果、「アディール」に勝利し、平和な世界を取り戻した。
しかし、実は「アディール」は完全にはやられていなかった。「アディール」は配下の悪魔を地上に放ち、世界を再び混乱状態へと陥れ、自分はずっと復活の機会をずっと窺っていた。ついに「アディール」の復活が目の前に迫り、戦う戦士たちも次々とやられ、人類は再び絶望的な状況へ追いやられることとなる。
最後の希望は、「アディール」の宿敵であるオリウス神を崇拝する教団の騎士たちだけだった。彼らは生者と死者の世界を行き来できる特別なランプ「アンブラル・ランプ」をを保持しており、これを駆使して「アディール」の軍勢を倒すことを誓う。
なお、本作はマルチエンディングシステムを採用しており、道中でプレイヤーが取った行動によってストーリーが変わる。
◆このゲームの良い点
数多くの良ボス達との戦闘が楽しい!
ソウルライク作品の一番の楽しい部分は、手に汗握るボス戦だと思っている。本作のボス戦はどれもこれも理不尽と思える要素が少なく、やりごたえ抜群の、やっていて楽しいボスだらけだった点は高評価だ。
近距離で剣を振り回すボスから、遠距離と近距離を組み合わせるトリッキーなボス、獣のような動きで翻弄してくるボスなど、一筋縄ではいかないボスが揃う。一見すると「どうやって対処するの?」と思うような技を出してくる敵もいる。
しかし、それぞれの攻撃パターンには必ず癖があり、
- この攻撃は回避必須
- この攻撃のテンポはここ
- この攻撃は絶対3回しか連続攻撃しない
などが自然と見えてくる。何度もプレイし、癖を掴み、そこから生まれる隙をつく攻撃を積み重ねて撃破できた時は、ソウルライク作品特有の「やってやったぜ!」感が凄まじい。
多くのボスが、この開放感を得やすい楽しいボスだったため、これだけでもやる価値はある作品だと思った。
やりごたえのある探索要素!
マップが入りくんでいることに加え、生者の世界と死者の世界という2つの世界を冒険できる点から、想像以上にフィールドが大きく感じた。
フィールドを進んでいくと、鍵のかかった扉が色々なところに用意されており、それらは道中で手に入れた鍵を使って開くことができるため、新たな鍵を手に入れた際に「これはどこで使えるのかな?」というようなワクワク感があった。
そうして開いた扉の先は、また新たな空間へと広がっており、その途中に武器や防具が詰まった宝箱や、隠しボス的な存在がいたり等、探索することによる成功報酬のようなものが用意されている場面が多かった。
探索が好きなプレイヤーに取っては、本作の探索要素は非常に魅力的に映る部分が多く、楽しくプレイできるに違いなかった。
◆このゲームの悪い点
進むべき道が分かりにくすぎる…
本作の大きな要素である、2つの世界を行き来する要素。「探索」という面で見れば楽しいのだが、高難易度ゲームとして見ると残念な要素だったと感じられた。
入り組んだ構造をしたマップは、次の目的地がどこなのか、自分がどのあたりにいるのか、全く分からず、プレイヤーを常に迷わせる。分かりやすい道標などもちろん無い。更には、死者の世界にしかないギミックや隠し通路があるため、同じ道を2回通って探索しないといけない場面もよく出てくる。
迷って辿り着いた先にも、勿論敵がうろついている。その戦闘でダメージを受け、回復薬が足りずじり貧状態となり、ゲームオーバーとならないように来た道を戻る、ということを繰り返しがちだった。更に、死者の世界に長時間いると、超強力な敵から追われ続ける、という時間制限要素まで付いているため、思うように探索ができない。「ソウルライク作品」という高難易度要素と、迷う程に入り組んだ探索要素という掛け合わせは、明らかに合ってないように感じた。
それでもマップがあれば何とかなるのだが、本作のマップは「マップ」としての役割を全く満たしていない。非常に使いにくい(というかほぼ使えない)のも良くないポイントだ。
メインボスの攻略だけを目指しても、目的地がわからず、必要以上に探索する無駄な時間を、プレイ全体の内の5時間位はやっていたと感じる。中には本当に道がわからず、攻略動画に頼る場面もあった。このわかりにくさは流石になんとかした方がいいと感じた。
敵の数が多過ぎる、かつ配置が嫌らしい…
発売当時から、レビューで「道中の雑魚敵が多すぎる」と言われていた敵数と配置問題。数々のアプデで調整したそうだが、それでもゲーム中盤の一部と最終盤のエリアは、数の暴力で襲いかかってくる理不尽場面を多く感じた。
特に、死者の世界ではそれが顕著になる。道中の雑魚敵を倒しても、10秒も経たない内にまた雑魚敵が生成されるため、終わりが無いウザさがある。体力の多い雑魚敵が紛れてようものなら、数の暴力に押されて敗北する場面が頻発した。
生者の世界であっても、複数の敵が嫌らしく配置されている場面が多い。火力も体力も多い敵の背後に、ホーミング性能の高い遠距離攻撃をしてくる敵や、爆発物を投げてくる敵がいることはザラだし、その敵を先に倒そうとしても、遠距離キャラにしてはやたら体力が多く排除に手間取る。
更には、敵の体力を回復し続ける寄生生物が付いている敵もおり、ランプを数秒かざして寄生生物を剥がさない限りまともなダメージが与えられないのもうざい。敵が複数いる中で、このような回復が続く敵も混ざっていると、もう戦いにならなかった。
開発陣の持つ「ソウルライク作品の難易度」という感覚が、世間一般とズレている感じがしてしまい、かなりストレスだった点は残念だ。
敵の種類や武器の種類が少ない…
雑魚敵の種類が多くなく、最初から最後までずっと、見たことがある敵が、体力や攻撃力だけ上がった状態で再登場してくる。流石にバリエーションが無さすぎて退屈を覚えた。
武器や防具は、登場する数自体は多い。しかし、ショートソード、ロングソードといった武器ジャンル毎に、武器のモーションは全く同じであり、固有戦技のようなものが無く、武器種で絞ってみると差別化ができていないため、「新しく手に入れた新武器を使ってみようかな」というワクワク感が薄い。
昨今のソウルライク作品は、武器一つをとっても、モーションや特殊技等で差別化をはかることが多いため、ステータス補正値や見た目が変動するだけでその他の違いが無い、というのはかなり残念だった。
チェックポイントの配置が微妙過ぎる…
本作では、各エリアの入り口に、回復やファストトラベル、キャラのレベルアップができる「痕跡」が用意されている。この「痕跡」は、入り口以外の道中には用意されておらず、代わりに「痕跡の苗」という専用のアイテムを使い、苗を設置可能なエリアに自分でチェックポイントを作る必要がある。
この「痕跡の苗」は、道中で手に入りはするものの、入手数はそこまで多くない。ショップで購入もできるが、相応の「活力」が必要になる。その為、どこに苗を植えるか考えないといけない。使い過ぎると、ボス戦の手前で設置できず、ゲームオーバー時に毎回長い距離を走らないといけなくなったりする。
沢山植えて、チェックポイントを増やすことで、冒険を楽にしよう、と思っても、配置できる苗の数は一つだけで、新たな苗を設置すると古いものは消えてしまう。探索し直したくて戻ろうとしても、また1から歩き直さないといけない。
「痕跡」同士はかなり距離が離れているため、どうしても苗を使わないといけない場面が出たくる。この点は正直かなり微妙だなと感じた。
ストーリーはよく分からない…
ソウルライク作品あるあるなのが、ムービーだけでは全容がわからないストーリーテリングだ。本作もその感じをしっかり踏襲しており、結局物語の全容がなんなのかよく分からず終わってしまった。
ここはサブキャラとの会話をしっかり読み返したり、アイテムに書かれているテキストを見直すなどすれば、他のソウルライク作品同様、段々とわかってくるのかもしれない。
が、ストーリーの革新的な部分が話されるラスボス戦は酷い。ラスボスの口から、物語の世界に関する事項が色々説明されるのだが、その説明に合わせて多数の敵が襲ってくるため、おちおち話を聞いていられない。字幕で日本語が書かれているが、読んでいる暇などなく、言語は全て英語なので、リスニングできない限り聞いて理解も不可能。せっかく重要なパートなのに、こんなにも蔑ろにされて終わってしまったのは非常に残念だった。
◆まとめ
世界観や、2つの世界を探索するという独自要素を持っていながらも、それらを上手く料理できず、残念な出来に収まってしまった「Loads of the Fallen」。一度、大アップデートによる作り直しが行われたにも関わらずこれということは、元Verはどれだけ酷かったのだろうか…
これをやるならば、素直に「ダークソウル」などの純正ソウルライク作品をやったほうがいいと思う。
では!