今回は、「星のカービィ ディスカバリー」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
2022/3/25に発売されたゲーム「星のカービィ ディスカバリー」。
「カービィがまさかの3Dアクションになった!」ということで、発売前からかなり話題になっていた本作。普段は中高生向けや大人向けのゲームばかりやる筆者も、その話題性の高さから気になって購入してみた。
ラスボスクリアまで遊んでみたため、このゲームは面白いのか、どんな人にはオススメできるのか、まとめてみたので参考にしてほしい。
◆個人的感想
総評
文字通り、老若男女誰でも楽しめる、まさに神ゲーの名に相応しいゲームだった。
グラフィック、音楽、ゲームバランス、ボリューム、ストーリー…どれを取ってもかなりの高水準で作られている。「これは非常にお金がかかってそうだな」と思えるような場面が、ゲーム内の様々な場面で見られ、それのおかげかストレスは全く感じず、飽きることもなく最後までプレイしてしまった。
高性能ハードでしか出来ないような、スタイリッシュアクションや超大ボリームのオープンワールドゲームが好きな人には合わないだろうが、それでも、Nintendo Switchを持っているなら間違いなく買ったほうがいい作品の一つだ、と言いきれるほどであった。
◆このゲームの特徴
まさに「スーパーマリオ64」のカービィ版
「スーパーマリオ64」というゲームを御存じだろうか。1996年に発売された家庭用ゲーム機「Nintendo 64」にあったゲームソフトの1作である。この作品では、これまで全て横スクロールの2Dアクションゲームだったマリオ作品を初めて3D化させ、より立体的なステージを舞台にゲームを楽しめるようになった。正に革新的な作品だと言える。
本作「星のカービィ ディスカバリー」は、まさにこの「スーパーマリオ64」の再来、といった感じの作品だ。星のカービィシリーズも、マリオ作品と同じく横スクロールの2Dアクションが基本のゲームで、直近に発売された「星のカービィ スターアライズ」でもこの方針は変わっていなかった。しかし、本作からは3Dとなり、奥行きのある、よりアクション性を重視した作品となっている。
本作の目的は、ビースト軍団という動物たちに連れ去られたワドルディたちを探し、救出すること。ワドルディはステージ内の様々な場所に閉じ込められており、ステージの仕掛けを解いたり、エリアの最後にいるボスを倒したりして、少しずつ解放していくことができる。
このシステムも、「スーパーマリオ64」にあったスター集めのシステムにすごく似ている。「スーパーマリオ64」を遊んだことがあるプレイヤーは、その時と同じような感覚で本作を遊ぶことができる。
もちろん、カービィシリーズには鉄板の「コピー能力」も健在。ソードカービィやファイアカービィ、カッターカービィ等のお馴染みの能力から、レンジャーカービィやドリルカービィといった本作から初登場のコピー能力も存在する。コピー能力を活かし、奥行きを手に入れたステージを舞台に、縦横無尽に動き回る大冒険を楽しむことができる。
新たなコピー能力「ほおばりヘンケイ」
本作で新たに追加されたコピー能力「ほおばりヘンケイ」。
マップの各所には、現実世界にもあるようなクルマや自販機、三角コーン等が置かれている。それを吸い込むことで、吸い込んだ物体の能力を用いた様々なアクションができるようになっている。
クルマを吸い込んだら高速で移動できたり、自販機を吸い込んだら口からジュース缶を発射してダメージを与えたり…これまでのカービィ作品には無かった、まったく新しいコピー能力を駆使して、ステージギミックを突破していくことが求められる。
カービィたちの拠点「ワドルディの町」
カービィ作品では本作で初めて追加された拠点システム「ワドルディの町」。ここでは、ステージ攻略に役立つ施設や、やり込み要素系の施設を作ることができる。
施設の一つ「ワドルディのぶき屋」は、専用の設計図と入手したコインを消費し、コピー能力をより強化してくれる。強化すれば攻撃力や攻撃範囲などの性能が上がり、よりステージクリアが容易になる。
「ワドルディカフェ」「ワドルディのどうぐ屋」では、一定時間カービィの体力や攻撃力、移動速度を増加させるお助けアイテムや、マキシムトマトなどの回復アイテムを購入できる。各アイテムはステージに1つだけ持ち込めるため、難しいステージでも、ここでお役立ちアイテムを購入しておけば、よりクリアしやすくなる。
「コロシアム」は、本作に登場するボスたちと連戦、己の腕を試せる戦闘モード。より難しい難易度に挑み、自らの腕前を鍛えることができる。中には「コロシアム」にしか出てこないボスも登場する…
その他にも様々な施設を開放可能。解放すればするほど、より本作を楽しむことができるようになる。
Switch1台で2人プレイ可能!
本作は、Switchと本作のソフトが1つずつあれば、最大2人まで一緒にプレイ可能。親子で一緒にゲームを楽しめてしまう。
メインプレイヤーではない方は強制的に「バンダナワドルディ」という、コピー能力を持たない別キャラに固定されてしまうが、「バンダナワドルディ」は十分使いやすい能力を持っており、足手まといになるといったことは無いので安心だ。
攫われたワドルディ達を救え!異世界で繰り広げられる新たな冒険!
いつも通り、平和な惑星「ポップスター」でのどかな日々を送っていたカービィとワドルディ。だが、突然現れた謎の薄黒い雲と、その裂け目から吹き荒れる強風に飲み込まれてしまう。
気が付くとそこは、コケや埃に覆われたクルマや電球、木々が生えたショッピングモールや遊園地など、過去に高度な文明があったと思われる不思議な惑星であった。また、ワドルディ達はビースト軍団と呼ばれる悪の組織に次々に捕まり、どこかへ連れ去られてしまう。
果たしてカービィは、連れ攫われたワドルディ達を救出することができるのか?そして、ビースト軍団の悪巧みを阻止できるのか?
新たな惑星での新たな冒険が幕を開ける。
◆このゲームの良い点
老若男女楽しめる超丁寧な作り!小さい子の考える力の育成にも!
本作はゲームが苦手な人でも、小学生から大人まで、おじいちゃんおばあちゃんでも楽しめる、非常に丁寧な作品だった。
まず何より、操作がシンプル!必要な操作が移動スティック、Aボタン、Bボタンの3つしかなく、ジョイコン片方があればプレイできてしまう。どんなにゲームが苦手な人でも、さすがにこれだけの操作量であれば、少しゲームすればすぐにできるようになるはずだ。
「それでも難しくてゲームがクリアできない」という人向けに、難易度設定も用意されている。通常難易度である「ワイルドモード」でも十分プレイできるが、より難易度を落とした「はるかぜモード」であれば、それこそ「ゲームに触るのが本作が始めて」という人でも、問題なくゲームを遊べるはずだ。
ゲームを進める中で、ただ闇雲に先に進み、敵を倒すだけではダメな部分が出てくる。ゲームの仕組みを理解し、画面に映る状況から、「ここではどういう操作、どういう能力、どういう移動をすれば目的達成できるんだろう?」と少し考える必要がある場面もあり、ゲームを通して小さい子が自ら考え、発見する経験を育むのにもちょうどよいソフトだと感じた。
ゲームの進行上のストレスも全くない。
マップ間の移動で発生するロードも5秒ほどしかかからず、まったくストレスを感じない。遊ぶマップの構造も、無駄に広くて移動がめんどくさい、ということは無く、一面が数分あれば一通り見て回れるちょうどいいサイズなのも高評価ポイントだ。
更に、昨今のゲームには付き物なバグが、本作には全くと言っていいほどない。エンディング後もやり込みコンテンツを少々遊んだりしたが、まったくバグに巡り合うことは無く、最後まで安定した環境でプレイすることができた。
文字通り、誰でもストレスなく最後まで遊べるような本作は、昨今のゲームの中ではかなり稀な存在だといえるだろう。
意外と大きいボリューム!
シンプルなゲーム、というと、ボリューム不足が気になるところ。実際に前作「星のカービィ スターアライズ」は、8時間もあればラスボスまで到達してしまうようなボリュームしかなく、値段の割に肩透かしを食らったような感覚があった。
しかし、本作はメインステージのボリュームがかなりあり、最終ステージまでクリアするのに13時間~15時間ほどかかった。また、メインステージ以外にもサブステージがいくつか用意されていたり、本作のメインテーマである「ワドルディの救出」を全マップで達成しようとしたら、それこそ25時間近くは遊べるボリュームはあった。
更に、やり込み要素の一つである「闘技場」や「バイト」、「釣り」などは、全世界中のプレイヤーの中で1番良いタイムやスコアが提示されるため、ミニゲームの世界一位を目指すように頑張ってみるのも面白い。
値段以上のボリュームで楽しめることは間違いなしだった。
とにかく曲がいい!
本作に登場する曲は、どれも耳に残る、非常に良い曲であふれていた。
まずはなんと言ってもゲームの主題歌。「これから未知なる冒険へ出かけよう!」というような、勇気の出る爽快な音楽となっており、聴くたびにこのゲームで冒険をしたくなると言っても過言ではない。
個人的には、特にラスボスで流れる曲が1番オススメ。PlayStationの超有名RPGで流れてそうな、雄大さの中に緊張感があるような曲で、「星のカービィ」というある種子供向けのゲームで流すものとは到底思えない、非常に聞きごたえのある音楽になっていた。
ゲーム本編をクリアすると、ゲーム中に流れた音楽を自由に選んで再生できる「街角ワドライブ」が解放される。ゲームをプレイせずとも、ただただ「街角ワドライブ」が奏でてくれるBGMを聞いているだけでも良いな…と感じてしまうほどだった。
トゥーン調ながらも美麗なグラフィック!
本作は「カービィ」というポップなキャラクターがメインの作品のため、全体的に絵本のようなグラフィックになっている。昨今のゲームにあるような、現実と区別がつかないほどの高グラフィックを実現!というものではない。
しかし、どれだけプレイしても、どれだけ敵が密集しても、全く処理落ちやテクスチャ崩れすることは無く、いつでも美麗なグラフィックに包まれてプレイできたのは、アクションゲームとしてはかなり高評価だ。
登場キャラクター1人1人も、雑魚敵に至るまで全て丁寧に、綺麗なフォルムで描かれており、まるで動く絵本の中で遊んでいるような感覚があった。
◆このゲームの悪い点
ヘビーゲーマーは退屈なシステム…
PlayStationやxbox、PCなどで昨今発売されているような、
- 膨大なやり込み度
- 爽快でスタイリッシュなアクション
- 現実と見分けがつかない程のグラフィック
- 終わりの無いオンライン対戦や協力プレイ
といった要素は、本作には存在していない。これらを期待するような、いわゆる「ヘビーゲーマー」という人には、本作は退屈と捉えられてしまうだろう。
…ただ、ヘビーゲーマーがカービィのゲームを買う事自体そもそもない気がするので、実際マイナス点かと言われると、そこまででもないかも知れない。
コピー能力の幅は過去作の中では一番少な目…
筆者が過去にやったことのある星のカービィ系のメイン作品は
- 星のカービィ 夢の泉デラックス
- 星のカービィ64
- 星のカービィ スターアライズ
といったところ。どの作品にも様々なコピー能力が登場し、見たことないコピー能力を手に入れた時は、ワクワクしながら使ったものだ。特に「星のカービィ64」の、コピー能力2つを組み合わせて新しい能力を作り出すシステムは、今でも感動しながらプレイしたのを覚えている。
本作に登場するコピー能力の数は、過去作と比べるとかなりバリエーションが少ないうえ、新登場した能力も少ない。一応、同じ能力でも、コピー能力の強化システムにより、これまでの作品には無いインパクトのある鮮やかな攻撃ができるようにはなっているが、「幅広い様々なコピー能力を使いこなすこと」がウリの1つであった星のカービィシリーズで、本作のコピー能力の少なさはちょっと残念に感じた。
ほおばりヘンケイも、特定のマップの、特定の状況のみで使える特殊能力、と言った感じで、いろんな場面でプレイヤーの好きに使えるわけではないのは残念だった。
ラストステージは流石に難しいのでは…?
「このゲームの良い点」で、「誰でも遊べる新設設計」という表現をしたが、ラストステージだけはちょっと話が違った。
筆者は「ワイルドモード」で最後までプレイしたが、ラストステージに登場するボスは、攻撃のタイミングがイマイチわかりづらいボスや、怒涛のように攻撃を繰り出してくるボスが相手となるので、アクションゲームをある程度やった経験があり、対応策が考えられる人でないと、クリアが難しいのではないか、と感じた。
一応、ゲーム全体の難易度をそもそも下げることができたり、「ワドルディの町」で攻撃力や体力を上げるアイテムを使った上でボスに挑んだりすれば攻略は可能だ。どうしてもクリアできなさそうなら、これらを試してみてほしい。
◆まとめ
満を辞して発売されたカービィの新作「星のカービィ ディスカバリー」。これまでのシリーズを大きく凌駕する出来、といっても過言ではないくらい、多くの良質コンテンツが詰め込まれた逸品となっている。
あなたも本作をプレイし、カービィの可愛さに癒されながら、冒険の旅に出かけよう!
では!