今回は、PS5版の「フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事は2024/11/4時点の情報をもとにしている)
2024/7/26に発売された本作。もともとPC向けには発売されており、PS5に移植したような作品だ。また、本作は「タワーハンター ~エルザの試練~」の続編にあたる2作品目であり、謎の塔の調査を行ってから2年後を描いている。
これまでメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルのゲームはあまり触れてこなかった筆者だが、非常に評価が高いのに、そこまで値段が高くない、ということで、どんな作品なのか気になり、購入してみた。
一通りやり込み要素を触ってみたため、本作の特徴や、良い点、気になった点などをまとめていく。購入の参考になるとありがたい。
◆個人的感想
総評
メトロイドヴァニアに、美少女達による爽快アクションとアニメーションを掛け合わせた、高クオリティな作品だった。
メトロイドヴァニアにも関わらず、探索要素が抑え目に作られている点は少し気にはなったが、迷いにくい親切設計により、「メトロイドヴァニア」というシリーズを遊んだことが無い人でもすんなり入っていける。アクションの難易度は、難易度ハードにしても「ちょっと難し目」というくらいで、多くのプレイヤーが遊べる難易度となるように配慮されている点もよい。比較的安価な作品にも関わらず、フルボイスやアニメーションをふんだんに取り入れてくれている点も高評価だ。
遊びやすく、映像美もよい作品を求めているメトロイドヴァニア初心者には、是非ともおすすめしたい作品だ。
どんな人にオススメ?
- 美少女が出てくるゲームが好き
- フルボイス、フルアニメゲームがやりたい
- メトロイドヴァニア初心者
という人にはオススメできる。逆に、
- 高グラフィックゲームがやりたい
- しっかり探索する本格メトロイドヴァニアがやりたい
という人にはおすすめはできない。
◆このゲームの特徴
探索型の2Dアクションゲーム
本作は、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるゲームジャンルに該当する、2D探索型のオフライン専用アクションRPGである。
マップはいくつかのエリアに分けられており、それらが地続きで繋がる構造をしている。マップの各所には、普通のジャンプでは届かない場所や、大きくそりたった壁などが点在しており、そういった場所はそのままでは先に進めず、別のエリアで新たなアクションを手に入れて行けるようになる、という仕組みをとっている。この「一度訪れたマップに、新アクションを得て再度訪れ、新たな探索エリアが増える」という要素が、「メトロイドヴァニア」と呼ばれるゲームの大きな特徴だ。
マップに散りばめられた敵やトラップをかいくぐり、進んでいった先には、様々なボスが待ち構えている。ボスを倒し、また新アクションを入手して先を目指し、またボスを倒して先に進んで、ということを繰り返すのが本作である。剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、プレイヤーの思うままに探索を進めていく。
新アクションを入手することで探索範囲が拡張
マップを探索して大型宝箱を開けたり、大型ボスを倒したりすると、新たな基本能力を身に着ける書物を入手することがある。これにより、空中ジャンプや水中移動、壁登りなど、マップ探索をする上で必要な新アクションが手に入れられる。
マップの先に進むには新アクションが求められる場面が多い。ステージを進む程、これまで入手した能力を複合的に利用し、マップを探索していくことが求められてくる。また、中には新アクションを入手してから戻ってくることで、初めて手に入れることができる宝箱が置かれたエリアなども存在しているため、探索の重要な要素にもなる。
多数の装備、魔法、装備を組み合わせるビルド要素
本作では、「エルザ」「シアラ」などの複数のキャラを任意に入れ替えながら操作していく。また、エルザであれば日本刀、槍、レイピア、鞭から2つを選んで装備でき、シアラであれば固定装備のブーツの他、マシンガン、スナイパー、ランチャーのいずれかの銃から1つを選んで装備したりなど、 キャラ毎に使える武器が大きく異なっている特徴があり、状況に合わせ、どのキャラで戦っていった方がいいか見極め、切り替えながら先を進んでいく。
メイン武器以外にも、
- 2つのアーキタイプ
- 1つの防具
- 2つのアクセサリ
をキャラ毎に装備できる。「アーキタイプ」は、MPを使用して放つ魔法のようなものであり、少ないMP消費で連発可能なものから、燃費は悪いが大ダメージを与えたり、敵を一定期間行動不能にするものなど、上手く使うことで戦闘を有利に有利に運べる。
各種装備品は、拠点の商店で購入したり、マップ内の宝箱から入手したり、ボスを倒して入手したりすることが可能だ。また、冒険中にレシピを入手すれば、拠点の商人に素材とお金を渡すことで、より強力な装備品を作ってくれる。
武器や防具、アクセサリには、敵が落とした「コア」というパーツを装着できる枠が用意されている。「コア」を装備することで、攻撃力、防御力が上がったり、特定属性へ耐性がついたり、特別な追加効果が発生したりするなど、武具の装備だけでは得られない特別な効果を身につけられる。「コア」毎に形状も異なっており、武具に用意された空きマスに対して効果的に「コア」がはまるよう、自分で配置していく。
セーブポイントとなるベンチでは、探索中に入手した料理素材を使用して料理を作れる。料理の効果に応じたステータスが一定時間向上するため、大ボス前等の強力な敵との戦闘を前にする際に重宝する。
スキル、奥義、仲間呼び出しを駆使して戦う戦闘システム
本作では、△や□ボタンを押して、該当するボタンに装備した武器を振り回して攻撃する。どの武器も攻撃は4連続まで出すことができ、連撃の途中で押すボタンを変えれば、もう一方の武器で連撃を続けて出すこともできる。
通常攻撃以外に、戦闘スキルを使用した攻撃も存在する。スキルを手に入れるには、ダンジョンの宝箱にある「戦闘スキル」が書かれた書物を入手する必要がある。一度戦闘スキルを手に入れれば、対応する武器を使用すれば、コマンド入力でいつでもスキルを利用できる。
更に、各キャラは最低1つ、奥義を習得している。発動にはMPに加え、戦闘中に溜まっていく怒りゲージを一定量消費する必要があるが、どれも強力な火力を誇っており、ボス戦を中心に、戦闘の大きな助けとなってくれる。
戦闘中に操作していないキャラを一定時間呼び出し、2人同時での戦闘も可能。呼び出したキャラはCPUが自動操作し、自分で回避や攻撃、スキルの使用などを考えて戦ってくれる。呼び出しにはコスト等は無く、他キャラが生存さえしていれば、無制限に呼び出していける。
未知のエリアを探索する帝国政府軍少佐「エルザ」が送る冒険ストーリー
本作の主人公は、帝国政府軍に所属する少佐「エルザ」。若いながらも戦力として非常に期待される彼女は、帝国の領土拡大戦略の組員として、帝国の開発した新たな航空機「フライングシップ」に乗り込む。領土拡大の為に、気流が激しい「グランドストーム」を抜け、新たな地域へと足を踏み入れた「エルザ」等帝国政府軍一向は、突入早々、魔物の襲来を受けてエンジンが破損し、航海不能となってしまう。エンジンの回復を待つ間、「エルザ」は仲間の「シアラ」と共に、周辺の探索へと向かうことに。
未開の地で彼女らを待つものは何なのか、そして「エルザ」の髪飾りとなっている「魔王」の正体はなんなのか。新たな冒険譚が幕を開ける。
◆このゲームの良い点
育成、戦闘、攻略全てが無理なくこなせるゲームデザイン
本作の戦闘デザインは、いきなり難易度が上がることも、ずっと平坦で簡単に続くこともなく、プレイヤーがゲームを進めるのに合わせて難化していくバランスの良さが光っていた。
新エリアに到達すると、敵の強さがグッと上がる。初めのうちは敵を倒すのに苦労するが、経験値を貯めてレベルアップしたり、探索で手に入れた新武器を利用したりしていく内に、そのエリアの敵と対等に戦えるようになる。丁度良いバランスまで到達した所で大ボスが待ち構えており、クリアするとまた新しいエリアに挑戦できる…というように、目の前に来る課題をクリアして行くうちに、勝手に丁度よく強くなるバランスのため、常にストレスなく遊び尽くすことができた。
それでも敵が強くて倒せない人は、難易度を「イージー」に変更することで、もっと無理なく敵を倒せるようになり、アクションゲーム初心者でも立ち回っていけるようになる親切設計は良かった。
(…数体の大ボスは、いわゆる「ソウルライク」と読んでも差し支えないような強さの敵もいたのはちょっと気になったが…)
先に進むのに必要な新アクションも、大ボスを倒したり、道なりに進んで行った先にある見つけやすい宝箱を開けたりするだけで手に入る。使い所に迷うこともない為、ステージ攻略もしやすい。一部、謎解き要素があるが、ゼルダシリーズほど考える必要はなく、ちょっと考えればわかるようなシンプルなトリックばかり。
どこに行けばわからない、となってつまることもなく、敵が強くてクリアできない、ということもなく、実に親切な導線が引かれているため、昨今の親切設計が主体なゲームと比べても充分だと思った。
ストーリー、サブ要素と丁度良いボリューム感!
筆者はマップ全域の90%を探索した上でラスボスをクリアし、クリアにかかった時間は約20時間だった。個人的には短くもなく、長くもない、ちょうどよいストーリーボリュームだったと思う。
ゲーム中に戦うことになるボスの数は非常に多く、頻繁に手に汗握るボス戦を楽しむことができたため、20時間の間、淡泊な探索で終わってしまった、ということもない。
また、クリア後にもやり込み要素があるのも良い。
一つ目は隠しボス戦闘。探索済みマップの中に、新たなエリアに入ることができるワープポイントが設けられ、その先にいるボスを倒す要素が追加される。隠しボスを倒すことでしか入手できない強力な装備も存在するため、更にプレイヤー性能を強化する楽しさがある。
二つ目は、一度倒した敵との再戦要素。ただ再戦するだけでなく、敵のステータスを上げた状態で再戦したり、プレイヤーが利用できるキャラの数を3名から2名、ないしは1名に減らした状態で再戦したりと、難易度を更に上げて戦うことができるようになる。極めつけは、プレイヤーのレベルが1、アイテム利用禁止、利用可能キャラ数1名のみが組み合わさった、超絶難易度での再戦もあるので、徹底したやり込み要素が欲しい人にもピッタリだった。
魅力的なキャラを写す豊富なアニメーション とほぼフルボイス!
高価格のフルプライスゲームであっても、フルボイスではないゲームのある中、本作は低価格帯にも関わらず、多くの場面でフルボイスが採用されていた。声優陣はどれも演技力が高く、スッとキャラ同士の会話を聞いていられる。また、マップを探索中にキャラ同士の会話が行われることもあり、その多くがクスッと笑える会話ばかりで、声優陣のナチュラルな演技と合わさり、聞いていて和む。
ボイスだけでなく、ムービーが用意されているのも凄い。ストーリーが進む主要部分には必ずムービーがあり、物語へと入り込める動線が作られている点は良かった。
本作の主要キャラは、しっかり者の「エルザ」と、彼女にゾッコンで言動がおかしい「シアラ」の他、過去には強大な力を持っていたらしいが、今は何故か「エルザ」の髪飾りになっているお喋り魔王など、どれもキャラが立っていて面白い。彼女らを、良質なボイスを交えながら、アニメーション付きで始終楽しめる本作は、ここだけでも値段以上の良さを楽しめる要素だと感じた。
理解しやすく、冒険心をくすぐる良ストーリー!
本作のストーリーは、無駄な伏線が散りばめられて理解に苦しむことも、展開が見え見えで退屈になることもない、丁度良い良ストーリーだと感じた。
ストーリーの流れは実にわかりやすい。領土拡大の為に未知なる場所へ訪れ、そこで起きたトラブルを解消しながら、この地に蔓延っているトラブルを解決していく、というものだ。ただ、そのストーリーアウトラインの中に、
- この地域が崩壊してしまった理由は何なのか
- その原因を作り出した主要人物は誰なのか
- ずっと意味深なコメントをしてくる髪飾りの「魔王」は一体何者なのか
といった要素を、ストーリーテリングの中にちゃんと残してくれており、プレイしていて続きが気になるような作りになっていた。
また、続編の為、キャラ同士の関係性をあまり説明せずにストーリーが進んでいくものの、そもそも主要キャラの数が少ない為、聞いてるうちに関係性はすぐに理解できた。更に、キャラ背景やゲーム内用語の説明文まで用意しており、いつでも見返せるようになっているため、新規ユーザーでも入りやすい考慮がされている点も良かった。
AAA級のゲームほど、キャラ1人1人への深堀がされたり、思わぬ伏線回収がされたり、といった濃厚さはないが、それでも十分満足できるストーリーにはなっていたため、不満は感じなかった。
◆このゲームの悪い点
細かなバグや、少々雑なアニメ作りが気になる…
少し安価なゲームであるためか、細かなバグは結構目立つ。高品質なAAAタイトルゲームと比べるのは止めた方がよい。
キャラの会話は、ボイスに合わせてフルテロップで画面に文字表示されるが、時折、字幕表示と、ボイスで喋ってる内容が合ってない場面がある。意味は一緒なので、大きく困ることはないが、気になる人は気になってしまう要素だった。
また、テロップの改行箇所が考えられてない点も気になる。会話の中途半端な箇所で画面表示が途切れてしまうため、テロップを読んでいると「もうちょいなんとかならんか?」と気になってしまった。
一番困ったのは、戦闘中に仲間キャラを呼び出した際、せっかく呼び出したのに何も動かなくなるバグがある点だ。呼び出した味方は無敵ではないので、敵の攻撃を受けるとしっかりダメージを受けてしまうが、回避も何もせず、ただ棒立ちでダメージを受けるだけなので、呼び出し損になってしまうのはいただけない。個人的に、スナイパーを持たせた「シアラ」を呼び出した際に頻発する気がしたので、呼び出す時は注意してほしい。
メトロイドヴァニアにした意義があまりない…
メトロイドヴァニアの一番の楽しい部分といえるのが、探索要素だろう。一度訪れただけでは到達できない場所も、新アクションを引っ提げて戻ってくると先に進めるようになり、新たなボスや、新たなアイテムが手に入る、というのが、メトロイドヴァニアを遊んでいて1番楽しさを感じる要素だと思う。
本作は、マップ一つ一つのスケールは小さめに作られており、かつストーリーをまっすぐ進めていくだけで9割は探索が済んでしまう程の単純構造なため、戻ってこないと探索できない秘境だったり、隠れボス的な敵がいたりするような場面が数えるほどしか無いのは残念だった。
メトロイドヴァニアというより、純粋な2Dアクションゲームといった方が、ゲームジャンルとしては近いのではないか、と感じるほど。他の有名メトロイドヴァニアと比べると肩透かしを食らうため、注意した方がよい。
◆まとめ
美少女&メトロイドヴァニアという、あまり例を見ない新たな作品であった「フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~」。ただの美少女ゲームでは終わらない作り込まれた要素が多く含まれており、値段と見た目以上に満足してゲームをプレイすることができた。
パッと見てギャルゲーっぽく見えて避けてるようなアクションゲーム好きプレイヤーこそ、是非このゲームを手に取って遊んでみてほしい。本作の楽しさにのめり込んでプレイできるはずだ。
では!