今回は、PS5版「Fate/Samurai Remnant」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
なお、ネタバレはしていないが、ストーリーの構築方法に関するコメントを僅かながらしているので、気になる人は総評だけ読むようにしてほしい。
(本記事の情報は2026/1/3時点である)

2023年9月28日にリリースされた「Fate/Samurai Remnant」。数多くの作品がリリースされているFateシリーズに新たなストーリーが加わる、ということで、注目を集めていた作品だった。筆者は当時、東京ゲームショウでこの作品の存在を知り、「やりたいな」とともいつつ、他の作品をやっていてずっと触れられていなかった。
ストーリークリアまでやり込んでみたため、本作がどういうゲームなのか、良い点、悪い点はどこなのか、まとめていきたい。
ちなみに筆者は、Fateシリーズは
- Fate/Zero(アニメ版)
- Fate/stay night(全年齢対象スマホゲーム版)
- Fate/stay night Unlimited Blade Works(映画版)
- Fate/stay night Heaven's Feel(映画版 第1部~3部)
を触れたことがあるのみ。「Fate/Grand Order」や「Fate/hollow ataraxia」は触れていない。
総評
手軽な戦闘操作にも関わらず派手な戦闘演出や、Fateシリーズ初心者向けに配慮された用語説明などはよく作りこまれているし、やり込み要素を頑張るなら、価格以上のゲームボリュームを楽しめる点は素晴らしかった。
しかし、無双ゲーや格ゲー、シミュレーションゲームなどの色んなゲームシステムが中途半端に練り込まれ「このゲームの面白さ、のめり込み要素」があまり無い。何かのシステムに絞った方が、もっと作品としてのインパクトを残せたはず。また、ストーリーそのものはよかったが、せっかく用意したストーリー分岐や、本作にだけ存在するストーリーギミックが練り込まれていない感じがしてしまい、「いいストーリーだけどFateってこんなもんだっけ?」という感想になってしまった。
総じて、減点方式だと良ゲー、加点方式だと普通ゲー、そんな作品。筆者的には普通ゲーで、遊んだ印象が薄かった作品だった。戦闘かストーリーか、どちらかでいいのでもう一歩作りこんでもらえると、もっと面白いと感じれた作品だったと思う。
どんな人にオススメ?
- Fateシリーズを初めて遊ぶ
- アクションゲームがあまり得意ではないがやってみたい
- やり込み要素の多いゲームがやりたい
という人にはオススメできる。逆に
- 濃いゲームシステムを持ったゲームがやりたい
- ノベルゲームのようなストーリー分岐展開を望む
- 無双ゲームだと思って本作を購入しようとしている
という人にはあまりオススメできない。
このゲームの特徴
新たなFateの物語を描くアクションゲーム
「Fate」シリーズは、TYPE-MOONが2004年に発売した「Fate/stay night」が原作のノベルゲームである。現在では、多数のアニメや漫画、ゲームなどにもメディア展開され、数多くの人に愛されるシリーズだ。

原作は2000年代の日本にある「冬木市」という街を舞台にしているが、本作はそれよりも更に過去の江戸時代を舞台にした、新たなFateシリーズとなっている。また、原作はノベルゲームだが、本作ではフィールドを歩きまわり、道中で出会う敵を倒しながらストーリーを進めていくアクションゲーム形式を取っている。


ゲーム進行は、
- 小規模フィールドを探索しながら目的地へ移動
- 道中出会う敵を撃破しながら敵の本距離を特定
- 霊地争奪戦を突破して敵の本拠地へ突入
- 最奥のボスをアクションバトルで撃破
という流れで行なっていく。
フィールドでは、露店で各種アイテムを購入したり、犬や猫と交流したり、神社巡りをしたり、といった戦闘準備、探索を行うことが可能。目的地への道筋はR3ボタンを押すことで表示される道筋に沿って進めばわかるようになっている。



霊地争奪戦は、江戸の街を舞台にした簡易的なシミュレーションゲーム。自軍の本拠地を守りながら、江戸の各地に存在する小霊地を掌握して勢力を広げ、敵の本拠地へ攻め込むことを目指す。霊地の掌握量に応じて敵の強さが変わるため、なるべく多くの霊地を掌握してから敵本陣へ攻め込みたいが、行動可能数には限りがあるので、全部を掌握することは基本的にできない。如何にして効果的に攻めていくか、考えながらコマを動かすことになる。

無双アクションをベースにした爽快戦闘
本作の戦闘は、◻︎ボタンの連続入力で弱攻撃コンボを繋げ、△ボタンで強攻撃と、無双ゲームと同じプレイングで操作していく。プレイヤーは基本的に人間である「宮本伊織」を操作し、防御に優れた「地の型」や、手数や素早さに優れた「水の型」など、全部で5つの型を状況に応じて切り替えて戦っていく。また、「魔石」というアイテムを消費し、自身にバフをかけたり、敵に火球を放ったり、といった魔術を行うこともできる。



敵の攻撃は回避ボタンで回避可能で、ジャスト回避すると敵の攻撃を中断できる反撃技「応刀」へと繋げられる。


「宮本伊織」のサーヴァントである「セイバー」も共に戦ってくれる。「セイバー」は、「宮本伊織」よりも圧倒的に高い火力を持つものの、CPUが勝手に動く方向や攻撃する敵を選択していくので、柔軟性は低い。ただし、戦闘中に溜まっていく専用ゲージが最大になると、短時間だがプレイヤーの手で「セイバー」を操作できるようになる。

また、同じく戦闘中に溜まっていく「共鳴ゲージ」を消費することで、「セイバー」と力を合わせて放つ「共鳴絶技」を使用できる。どれも火力や攻撃範囲に優れており、更には攻撃を受けた敵を一体時間行動不能にできる。

レベルアップ、スキル獲得、工房管理等の育成要素
戦闘に勝利し、経験値を獲得するとレベルアップが可能。体力最大値や攻撃力などの各種ステータスが上がっていく。

また、ゲームを進める中で手に入るスキルポイントを使用することで、ステータス増加や新たな魔術、特定能力の強化などのスキルを習得できる。スキルはスキルツリーをもとに、自分が欲しいスキルを優先して獲得可能だ。スキルは「宮本伊織」だけでなく、「セイバー」などのサーヴァントにも存在している。

装備品によるキャラの強化も可能。「鞘」「鐔」「柄巻」「目貫」という4種類の装備枠に対して、手に入れた装備品を当てはまることで、攻撃力や防御力などを強化できる。また、装備には
- 特定の型の火力増加
- 敵撃破時に体力回復
- 一定量のダメージを無効化
などのランダムなバフ効果が付与されている。この組み合わせ方によって、同じ武器でも異なる強さを発揮できるようになる。

拠点となる工房を改造すると、回復アイテムの効果が増えたり、霊地争奪戦時に追加のバフを得られたりと、戦闘に付随する効果を強化できる。それ以外にも、露店の売却価格を高くできたり、魔術使用で消費する「魔石」を作成できたりもする。工房強化にはお金と一定の素材が必要であり、素材は探索や戦闘勝利時の戦利品として獲得できる。

マスターやサーヴァントとの交流を描く「異傅」
物語の舞台となる江戸には、プレイヤー以外にも全部で6ペアのマスター及びサーヴァントがいる。更には、どのマスターにも従属しない存在である「逸れのサーヴァント」という存在もいる。彼らとはストーリー上で幾度となく戦闘、及び共闘することとなる。
そんなマスターやサーヴァントとの交流や、主人公達がいない時に別陣営がどんなことをしていたのか、という裏話的な要素として「異傅」がある。他ゲームでいうサブクエストだ。
クリアすると、サーヴァントの力を得ることができたり、仲間になるサーヴァントが増えたりなど、その後のストーリー攻略にも役立つ要素が解放される。

江戸の街を舞台にした新たな聖杯戦争を描く物語
本作の舞台は、徳川家が日本を統一し、安寧の時代となった江戸時代。大剣豪「宮本武蔵」の養子にして弟子である「宮本伊織」は、師匠から引き継いだ「二天一流」の剣術を駆使し、悪党退治などをして日銭を稼ぎながら、江戸の街である浅草で生活をしていた。

己の手の甲に見慣れぬ痣が浮かんでいるのに気付いた日の夜、「宮本伊織」は自身の住処である長屋を見知らぬ集団に襲撃される。持ち前の剣の腕で応戦していたものの、続けて現れた甲冑に身を纏った武人には歯が立たず、命を落とす寸前にまで陥ってしまう。

そんな時、手の甲の痣が光り、「宮本伊織」の目の前に剣を携えた小柄な人物が現れた。

「―察するに、きみが私の喚び人か」
こうして「宮本伊織」は、万物の願望機たる「盈月(えいげつ)」を巡る「盈月の儀」に参加することとなる。7人のマスターと7騎のサーヴァントによる全面戦争の末、「宮本伊織」を待ち受ける結末とはなんなのか?江戸を舞台にした新たな聖杯戦争の幕が切って落とされる。
なお、本作では道中に登場する選択肢に何を選ぶか、によって、物語が分岐するように作られている。
このゲームの良い点
手軽な操作&痛快な戦闘演出による爽快さ!
無双ゲームでは、◻︎ボタンと△ボタンの組み合わせによるボタン連打だけで、爽快なアクションを楽しめるのが特徴だ。本作もその面白さは現在で、攻撃エフェクトの派手さもあり、手軽にかっこいい攻撃ができる爽快さは非常に楽しかった。サーヴァントは人間よりも圧倒的な力を持つため、火力が高く、攻撃範囲から何から非常に派手なため、より盛り上がる三國無双をやっているような感じで、爽快感がなおのこと増していた。
ゲームを進めていくと、使える魔術や「共鳴絶技」が増えたり、使役するサーヴァントを切り替えられたりと、できるアクションが増えていく。それらのアクションを使う時には、R1ボタンがL1ボタンを押しっぱなしにすれば時間が止まってくれるので、自分がやりたい操作を冷静に考える余裕が用意されている。
更に、できることが増えるたびに順次チュートリアルが入って練習もさせてくれるし、後でTipsとして見直すことも可能だ。
魔術やサーヴァント協力技などを使わず、◻︎ボタンと△ボタンと回避のみでもなんとかなるアクション性なので、「どうにも操作が理解できない」という人でも気にすることなく楽しめるはずだ。
多数のサーヴァントを操作できるお祭り感が面白い
ゲームを進めていくと、「セイバー」以外にも多くのサーヴァントを操作する機会が増える。サーヴァントごとに技にも個性があるので、新たなサーヴァントが仲間になるたびに、「このサーヴァントはどんな技を持っているんだろう」と、操作するのが楽しみになった。


また、原作や、他のFateシリーズを遊んでいた人にはニヤリとするような要素があるのもうれしいポイント。それでいて、原作未プレイの人がやっても、「何のこと?」とならないよう、必要最低限な要素だけ詰め込んでいるバランス感もさすがだった。


相応のボリュームに、多量の収集要素!
筆者は難易度ノーマルで、異傅を6割ほど消化し、一周クリアにかかった時間は約33時間だった。その後、ストーリーの分岐要素や、2周目になってから解放される異傅を見るように再プレイして、全部で約46時間と相当なボリュームを遊ぶことができた。これだけでも値段相応に楽しめる。
更に、収集癖のあるプレイヤーにも満足できるやり込み要素も充実。特定の敵を何人倒した、露店で何円使った、など、ゲームを遊んでいる中で達成した実績を報告する「大江戸稼業」がある。用意されている実績数はかなりの数で、これらを全部達成するのにもかなりのやり込みが必要だった。値段以上のやり込み要素を備えているのは間違いない。

Fateシリーズを知らない人にも配慮された各種説明!
Fateには、マスターやサーヴァントの他、魔術師、英霊、クラスなどの共通的な専用用語が登場する。ゲーム中にはこれらの単語が当たり前に出てくるので、Fateシリーズをやったことが無い人にとっては、ついていけるのか不安になるかもしれない。
しかし、そんな新規プレイヤーでも大丈夫。主人公である「宮本伊織」自身が、聖杯戦争に関する知識がない状態なため、物語中で多くのキャラが聖杯戦争に関する説明をしてくれる。「宮本伊織」と一緒にその解説を聞けば、Fateを触ったことが無い人でも、安心して聖杯戦争の世界に飛び込んでいけるよう作られていた。

また、後で専門用語を見返せる用語集も用意されている。これらはゲームが進むにつれて順次追加、追記されていくので、わからなくなってもこれを見返すことで物語の理解ができるようになっている点はよかった。

このゲームの悪い点
色々中途半端で強みのないゲームシステム…
無双ゲームかと思いきや、1戦闘で出てくる雑魚敵の数は大して多くない上、やたら硬い敵も多いので、一騎当千感は薄い。格ゲーとしてみても、コンボが□ボタンと△ボタンの連打とチープで単調であり、戦術を巡らせる場面はさしてない。
シミュレーション要素である霊地争奪戦も微妙だ。あまり考えることなく、自軍の本拠地に向かってくる敵を倒しながら敵拠点に攻め入るだけで勝ててしまい、戦略性はほぼない。
ゲームプレイの中心となる探索も、目的地マーカーを追いながら似たような街並みをただ進んでいくだけの作業ゲー感が強い。
色んなゲームをつまみ食いして作り上げたような中途半端なゲームシステムなので、筆者のような多くのゲームをやるゲーマーだと「作品としての強みがなく、夢中になりきれない少々退屈なゲーム」といった感想が拭えなかった。
「盈月の儀は霊地の争奪戦である」というなら、コーエーテクモの得意分野である「三国無双」系のゲーム運び(※)にした方がよっぽど面白いと感じる。探索も下手に用意せず、拠点からクエストを受注するスタイルでも、テキストアドベンチャー出のゲームと考えれば問題ないだろう。または格ゲーに特化し、マスター&サーヴァントの2v2バトルをメインにしたゲーム性にした方が、やりごたえがあると感じた。
※中規模マップに敵軍本拠地、自軍本拠地が一つずつおかれ、間に複数の小拠点を配置。襲い来る敵をリアルタイムで倒しながら、小拠点を順に制圧し、最後に敵本拠点を制圧を目指す

(出典:https://www.gamecity.ne.jp/game/1436.html)
ボス戦のテンポの悪さは最悪…
サーヴァントや強力な怪異などのボスには、「外殻」というシールドが存在する。これのせいで、ボス戦の戦闘テンポが最悪になっていた。
「外殻」を削らないと敵に対してまともなダメージが通らないが、「宮本伊織」の攻撃だけで「外殻」を削りきるには、約1分もの間、攻撃を仕掛け続けないといけない。味方サーヴァントの攻撃であれば削りやすくなるが、それでも多少早くなるくらい。更には、ボスは全員スーパーアーマー持ちなうえ、こちらの攻撃を全て弾き飛ばす防御も持っているので、なおのこと技の通りが悪い。
それでいて、敵によっては回避タイミングがわかりにくい技を出したり、怒涛の連続攻撃を仕掛けてきたりするし、その火力もかなり高いので、すぐに体力を削られて回復アイテムに頼る、という場面が増えた。
スキルを積み重ねていくと、攻撃をはじかれなくするスキルや、「外郭ゲージ」を壊しやすくするスキルが手に入ったりするが、それらのスキルが手に入るのは中盤~後半にかけてとなる。それまでは非常に退屈な戦闘をずっとやらされ続けるので、プレイがかなりきつかった。

本作には難易度が3段階(1周目クリア後には更に上の難易度も解放される)用意されているので、ノーマル難易度でどうにも突破できないのであれば、難易度を下げて遊ぶことでストレスは軽減されるが、そうなると単純な作業ゲーになってしまうのも残念。もう少しボス戦の調整は吟味してほしかった。
ルート分岐の良さがあまり活かされていない…
まず前提として、本作のストーリー全体は非常に良かった。聖杯戦争や魔術師のことなど一切知らないただの浪人である「宮本伊織」が、突如として「盈月の儀」に巻き込まれ、その後は様々な陣営と共闘、敵対し、「宮本伊織」自身の根底にある願いは何なのか、を明かしていく物語展開自体は、新たなFateシリーズの幕開けともいえる見ごたえのあるストーリーだった。これがメインだけでなくサブストーリーまで含めてフルボイスなのだから、物語への没入感も高い。
しかし、原作のストーリー展開が面白かった人間として、本作はルート分岐によるストーリー変更の面白さがあまり活かせていない点は気になった。
原作(を全部やったわけではないが、テレビアニメ版、映画版のストーリー展開もおおむね原作に準拠しているはず)は、SN、UBW、HFという各ルートで、物語の序盤から、主人公の敵味方陣営や、どの陣営を誰が倒すか、が大きく異なってくる。また、ルートごとに、フューチャーする人物や深ぼっていく物語内容が異なるので、同じゲームにも関わらず全く異なる作品を遊んでいるように感じられた。
本作にもストーリーが分岐があるのはいいのだが、終章以外の変更点があまりないのが残念。また、「盈月の儀」という原作にない設定を用いたことで発生した特別な事象を、物語内にあまり落とし込めていない点も気になる。更には、とある陣営のサーヴァントがあまりにも注視されないので残念過ぎる(UBWのライダーレベルだ)。そのためか、2周目をプレイした際も、「新たなストーリーが展開されている!」というワクワク感のようなものがない。
せっかくルート分岐要素を入れるなら、敵同士だった陣営と共闘するルートとか、出番のなかった陣営のサーヴァントがとんでもないことをやってくれるとか、そういう演出が欲しかったところだ。その方が、周回プレイ時にずっと同じ展開を見る必要が無くなるのでありがたい。
まとめ
もう少し何かに特化したゲーム性にした方が、ゲーマーとしては「面白い」と感じれただけにちょっと残念だった作品である「Fate/Samurai Remnant」。ただ、1つ1つの要素は丁寧に作られているので、楽しんで遊べる方も多いはずだ。
Fateシリーズ初心者が本作を遊んでみて、「Fateのストーリーって面白いかも」と思えたなら、今はゲームだけでなくアニメや映画など様々な媒体が存在しているので、ぜひそちらにも足を踏み入れてみてほしい。
では!