今回は、PS4のゲーム「DEATH・STRANDING」のプレイ感想や、良い点、悪い点をまとめていこう。
メタルギアソリッドで有名な小島監督が個人会社を設立してからの初作品。発売当時は全世界で大注目されていた。しかし、プレイした人の感想を聞くと、賛否両論が渦巻くちょっとした問題作となってしまった。
今更ながらそんな話題作をプレイ!早速私個人の感想を書いていこう。
◆個人的評価
総評
個人的には「否」の意見を持ってしまったかなぁ…
予算と開発期間をかけ、非常に丁寧に作られたことは十分伝わるのだが、わざわざゲームとしてユーザーの時間をかけて遊ぶ必要があるのか、と言われると、疑問を持たざるを得なかった。
ストーリーも、中盤にかけては面白かったものの、終盤は十分な説明がされず消化不良のまま終わる、といった感じ。なんとか意地で最後までプレイしたような感じだった。
手放しでお勧めできる作品ではない。購入を検討する人は、ネタバレしない程度にゲームの雰囲気を確認し、納得できたら購入するようにしよう。
どんな人にオススメ?
- 考察系ストーリー大好き
- サバイバルゲームが大好き
という人には合うだろう。逆に、
- ゲームは操作性命!
- 戦闘要素やアクション要素が欲しい
- 分かりやすいストーリーがいい
という人には合わないだろう。
◆このゲームの特徴
「配達」に重きを置いたオープンワールドゲーム
本作は、これまでのどのゲームにもなかった「配達」にターゲットを当てたオープンワールドゲームである。
配達地点で受け取った荷物を、目的地点まで運んで納品、を繰り返す。中には、指定荷物を自分で集めてくる、という依頼もこなす。
運ぶ荷物も様々で、
- 重いもの
- 壊れやすいもの
- 水につけてはダメなもの
- 冷凍保存しないと傷むもの
- 生きている人
- 爆弾
など、道中の取り扱いに注意しないといけない荷物もある。こういった荷物を、なるべく短い時間で、なるべく高品質で目的地に届けることを繰り返すのだ。
運べる量は限られており、多く運べばそれだけ転倒のリスクが上がり、走る速度も遅くなる。目的地と運ぶ荷物の量、道中の道路状況をもとに、どう動けば早く安全に配達できるか、を考える必要があるのだ。
ゲームが進むほど、バイクやトラックといった徒歩以外の移動手段が確保できたり、脚力を強化するアイテムを入手できたりと、一度に配送できる量がどんどん大きくなる。これにより、より条件の難しい配達もこなせるようになっていく。
「建築」による搬送効率向上システム
道中の配達環境は決して良いものではない。とある事情により道路は破壊されており、荒れた大地や過酷な雪山、川が沢山流れる水流地帯などの過酷な環境がプレイヤーを待ち構える。
そんな過酷な環境を切り抜けるため、本作では「建築」というシステムがある。
はしごやロープを設置して崖を上り下りしたり、川にかけて簡易的な橋を作ることができるのだ。規模の大きなものだと、鉄製の橋や、高速移動できるジップライン、はたまた高速道路まで建設できる。
ただし、建設できる量にも限りがあるので、地形や配送施設を含め、全体効率を考えた建設を行う必要がある。そういったポイントも本作の醍醐味だろう。
非常に濃厚で奥深いストーリー
本作のストーリーは、近未来の現実世界を舞台に、SF要素を織り交ぜたストーリーが繰り広げられる。
本作の舞台は、「デス・ストランディング」という出来事をきっかけに荒廃してしまった北アメリカである。街は崩壊し、人々はシェルターや地下施設を中心に暮らすようになってしまった。
また、道中には「BT」と呼ばれる姿の見えない霊体がうろついている。これに飲み込まれると「対消滅(ヴォイドアウト)」と呼ばれる爆発が生じ、周囲一帯を進入不可能な巨大クレーターへと変えてしまうため、迂闊に外を彷徨くこともできない。
これにより、人々は孤立して生活することを余儀なくされた。そんな彼らに物資を届けるべく、物資を運ぶ「配達人」が重要な仕事人として存在する。
主人公である「サム」も、そんな配達人の一人だ。もともと「接触恐怖症」という、人と握手すらできない症状を持ち、他人と距離を置きながら配達業を勤しんでいたサムは、ある日アメリカ全土を繋ぐ通信網の開通を1人で行うことを命じられる。
嫌々ながらもそれを引き受けたサムは、BTを検知できる赤ちゃん、通称「BB」や様々な協力者の力を得ながら旅を続ける中で、暮らす人々の心情に触れ、この世界の背景を理解していく。
というストーリーだ。
さすがメタルギアソリッドシリーズを監督した小島監督!というような濃厚壮大なストーリーとなっていた。
他プレイヤーと設備やアイテムを共有できる半オンラインシステム
本作は基本的にはソロプレイ作品だが、オンラインにつなげることで、他プレイヤーの配置した建設物や、他プレイヤーがわけてくれたアイテムを使うことができるようになる。配置される建設物やアイテムの量は、ゲームが進むほど増えてくるため、やればやるほど自然と配達がしやすい環境になっていく。「ここに橋があると移動がすごい便利なのになぁ」という場所に、他プレイヤーが橋を建設してくれていると、心の底から「ありがとー!」と思えるだろう。
勿論、自分が配置した建設物やアイテムも他プレイヤーのフィールドに表示される。自分が苦労して建てた建設物を他プレイヤーに使ってもらうと、その数分「いいね!」が送られてくる。ちょっとしたSNSだ。
「他プレイヤーの設備が使えたら、ゲームが簡単になっちゃうのでは?」と思うだろうが、そこは大丈夫。他プレイヤーの資材を共有するには、マップに用意された各拠点に、プレイヤー自身で通信を繋ぐ必要がある。通信を繋ぐまでは、近場のエリア一帯には他プレイヤーの設備は出てこないため、自分で移動方法を考え、必要装備を用意して移動する必要がある。また、「カイラル通信」を繋いだとしても、共有される他プレイヤー建設物の量には限りがあるため、そこかしこに設備が整ってしまう、ということはない。
◆このゲームの良い点
非常に高画質でフルボイス!ここは最高!
メタルギアソリッドの時代から、とにかく妥協なくこだわりぬく、と噂されていた小島監督らしく、本作の映像や音声は一貫して手抜きが感じられなかった。
かなり広いオープンワールド作品だが、旧PS4であっても、
- マップ読み込みによるテクスチャの粗さは一切なし
- 会話という会話は、全て有名声優によるフルボイス
- 流れるBGMは全てお洒落
という最高品質を常に貫いていた。
プレイヤー操作画面でも、ムービーと変わらない美しさを誇っており、驚かされた。主人公「サム」の吐息まで再現されているのはびっくりだ。
ゲームに音楽性や画質、フルボイスなどを求めているのであれば、本作に並ぶ作品はほとんどない、といって良い。
自分が建てた建設物に「イイね!」が付く嬉しさ
自分が立てた建設物を、オンライン上の他プレイヤーが使ってくれると、その人数分「イイね!」が連携されてくる。苦労して建設した橋や梯子を、他の沢山のプレイヤーが使ってくれ、沢山の「イイね!」がつくと、頑張った甲斐が感じられる点は良かった。
◆このゲームの悪い点
どうしても「単調」になりがちで飽きやすい
本作のメインは「配達」という移動行為。山道だろうと平野だろうと、結局やっていることは移動だけなので、どうしても単調になる。
特に、建設物が整っていない序盤では、悪い操作性の中、ただ広い平原を歩くだけとなり、非常に退屈だった。また、依頼の中には、頑張って移動した距離をまた歩いて戻らなくてはいけない、というものもあり、心が折れそうになったこともちらほら…
ルートを考慮し、BTの驚異も回避し、なんとか転ばないように苦労して配達しきったとして、感じるのは達成感よりも「やっと終わった」という方が多かった。
建築可能なものが増えていけば、その分移動も楽になっていき、配達もしやすくなる。こうなれば、「苦労して建設物を建てた甲斐があった」という気持ちも少しであるが芽生えた。まさにサバイバルゲームによくある、不便な環境を自分の力で開拓し、どんどん便利にしていくことに喜びを感じる!という部分に通ずるところがある。これが好きなプレイヤーはどハマりするシステムかもしれない。
工夫点の無い、面白みの無い戦闘要素
戦闘をメインにすえていない本作だが、一応ちゃんと戦闘要素は用意されている。「ミュール」や「テロリスト」という、プレイヤーに攻撃を仕掛けてくる人間と、霊体であるBTの2種が主な敵キャラだ。
本作の戦闘は、メタルギアソリッドのようなステルスを重視している。ただ、ぶっちゃけステルスで頑張る要素はほぼないと言って良い。
「ミュール」や「テロリスト」は、プレイヤーを検知するセンサーを広範囲に張り巡らせており、そのセンサー内に入ってしまえばすぐに居場所がバレる。ストーリー途中でセンサーを無力化する方法が手に入るが、その頃にはアサルトライフルやショットガンなどの武装が十分に整うため、わざわざステルスで敵を倒す必要がなくなる。
BTに対しては、ゲーム序盤は何も打つ手がなく、とにかくこちらの存在がバレないようにステルス移動する必要があるが、しばらくすればBTを一時的に撃退できる装備が手に入るため、バレる勢いで進み、見つかったらその武器を放って振り切ればよくなってしまう。
そのため、組み入れたステルス要素がほとんど意味を成していない、と感じた。
戦う時はTPS視点でのシューティングゲームとなるが、敵はまっすぐこちらに向かって突っ込んでくるだけ、かといってこちらも精度の悪い銃をずっと撃ち続けるだけと、さして戦闘に面白みもなかった。
完全リアル路線による操作性の悪さ
本作はあらゆるものが「リアル」を追求して作られている。荷物を持ち過ぎれば簡単にバランスを崩すし、急に止まったり曲がったりもできない。段差があれば躓くし、休憩せず走り続けたらスタミナ上限すら減っていく。
これは乗り物にも当てはまる。坂道を斜めに進もうものなら、登ることができずにずり落ちていくし、急カーブもできない。
初めのうちはそのリアルさに感動したものの、ゲームを進めるにつれ、荒れ果てた広大なマップを、かなり悪い操作性のまま進むのにイライラすることが多かった。
特にキツイのが戦闘時。ストーリーの都合、上強制的に戦闘となる機会が何度かあるのだが、この時に、
- 荷物を持っていると動作が遅くなり、素早く物陰に隠れられない
- 少しでも段差があると引っかかって転びそうになる
- 敵に殴られるとバランスを崩し、立ち直るまで攻撃もできない
など、戦闘に集中できない場面が多く、非常にストレスを感じた。
FPSゲームをよくプレイしている自分からすると、この操作性の悪さはかなりキツかった。
ストーリーが難しい…かつ長い…
今作はとにかく専門用語の数が多い。「ビーチ」「カイラル通信」「ネクローシス」「ヴォイドアウト」などなど…挙げたらキリがない。
一応、ストーリー内である程度は理解できる作りになっているが、それでもまだぼんやりとした疑問が残り続ける。
- なんでそんなことが可能なの?
- なんでこの人はそれをしようと思ったの?
- 結局これはなんだったの?
というような疑問が後を絶たないまま、エンディングを迎えてしまった。
ちゃんと理解するには、配達をこなす事で手に入る、100超の資料やメールを読む必要がある。だが、これを集めるのにも、読むのにも時間がかかるので中々辛い。「資料をかき集めて世界の裏側を知っていきたい!」というような考察好きプレイヤーには嬉しいシステムだが、私はそこまでする気力は湧かなかった…
また、あらゆるところでムービーが入る「ムービーゲー」なので、本作のストーリーはとにかく長い。事実、クリアまでのプレイ時間は合計38.5時間と非常に長かった。配達の大変さも相まって、1日にちょっとだけ遊ぶ、というようなプレイスタイルでは、一向にストーリーが進まないのは辛いところだ。
◆まとめ
「賛否両論」「人を選ぶ」などがよく言われた本作。購入にあたっては、事前に本作の特徴を十分に確認した上で購入することをおすすめする。
納得した上で購入すれば、むしろどハマりするような神ゲーと思えるだろう。
では!