今回は、PS5版の「A Space for the Unbound 心に咲く花」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事の情報は2026/3/23時点のものである)

2023年1月19日に発売した「A Space for the Unbound」。有名アドベンチャーゲーム「コーヒートーク」シリーズで知られる「Toge Productions」氏がパブリッシングを務め、インドネシアを拠点とする「Mojiken Studio」が開発したゲームである。
筆者はアドベンチャーゲームは殆ど遊んだことが無い(戦闘や育成が無い読み物であれば本を買って読んだ方がよくね?というスタンスなので)が、本作の評価が良いのを見かけ、思い切って購入。ゲームクリアまで遊んでみたので、本作がどういうゲームなのか、情報をまとめて見たいと思う。
個人的感想
総評
素晴らしいストーリー。終わった後も余韻や数々の考察が自分の頭の中で繰り広げられ、しばらくは忘れられない作品になっていた。映像はあまり綺麗ではないが、そんなのが気にならない程に楽しく遊ぶことができた。間違いなく良作と言えるものとなっている。
アドベンチャーゲームにも関わらず、アクションゲーム的要素で難易度が高い部分があるのは少し気になる要素。ただ「アクションゲームは星のカービィシリーズですらできない」というレベルの人でなければクリアできないものではないし、そこさえ突破できれば、非常に満足のいくストーリー体験を味わうことができる。
是非とも本作を購入して遊んでみて欲しいと感じた.
このゲームの特徴
2D横スクロールのアドベンチャーゲーム
本作はピクセルアートで描かれた2D世界を移動し、物語を進めていくアドベンチャーゲームだ。目的地まで実際に足を運んだり、人々から話を聞いて情報を収集したりしながら、テキストベースで語られ展開されるストーリーを読み進めていく。アドベンチャーゲームなので、戦闘や育成といった要素はまるで出てこず、比較的単純な操作で進めていけるゲームとなっている。


スペースダイヴを駆使した謎解き
本作の大きな特徴として、魔法の赤本を使用した「スペースダイヴ」というものがある。特定の条件を満たした人間の意識の中に入り込み、その人間の深層心理を変更して、人々の動きを変えていく。


人の意識を変えるには、物の配置を変えたり、何かを追加したりしていく必要がある。意識世界の中で全て解決する場合もあれば、現実世界からアイテムを持ち込んで、それを使って解決する場合もある。また、何かしらのミニゲームをクリアする必要が生じることも。これらの謎解きやミニゲームを適宜突破することで、ストーリーを前へ進めていくことができる。



インドネシアの田舎街にて行われる暖かくも切ない物語
本作の舞台はインドネシアの田舎街の高校だ。主人公の「アトマ」は、友達である「ニルマラ」と共に、「星のお姫様」という物語を共同で制作していた。「ニルマラ」は物語を書くことを楽しんでいながらも、結末だけが書ききれず、「アトマ」と相談を繰り返していた。


ある日、大雨により街の川が氾濫、濁流にのみ込まれそうになった「ニルマラ」を、「アトマ」は必至で救出しようとするが失敗し、流されて意識を失ってしまう。「アトマ」の意識が目覚めると、そこは自身が通っている高校であり、目の前には「アトマ」の彼女「ラヤ」がいた。


「先ほど見た夢は何だったのか…」と不思議に思いつつ、「ラヤ」と共に映画を見にインドネシアの街を散歩する「アトマ」。その道中、「アトマ」は不思議な体験を多く経験する。どうやら「ラヤ」には、思ったことを具現化する特殊能力があるようだ。しかしその力には代償もあるようで…
「アトマ」が夢に見た「ニルマラ」との出来事は何だったのか、「ラヤ」はなぜ超能力をもっているのか…切なくも心温まる高校生活の物語が幕をあける。
このゲームの良い点
切なくも感動するストーリーは秀逸!
筆者は初め、本作を『超能力×高校生活』のほのぼのストーリーかと思っていたが、全然そんなことはなく、開始してまもなく、謎の超常現象を目の当たりにする。「この作品はパニックものの作品なの?」と思いきや、結局それも夢オチ。でも目覚めた後の世界は何かが変で、主人公の「アトマ」もといプレイヤーだけが、ここがおかしい世界であることに気付いている。そのような体験を繰り返すうち、「この物語は一体どんな話に帰着するんだろうか?」と、作品が織りなす展開に筆者の興味関心が強く惹き込まれた。
また、ストーリーのターニングポイントでは、冒頭に出会う「ニルマラ」との会話パートがはさまれる。「ニルマラ」は家庭環境や学校生活に悩みを持っていることを吐露するが、メインのゲーム体験となる高校生活ではそれっぽい人物はいないため、プレイヤーからすると「ニルマラ」が一体何者なのか始終わからない。
そうした疑問点ばかりが積み重なった物語終盤には、複数の疑問が結び付くことで、「これまでの謎めいた出来事やラヤが持つ超能力は、このように繋がっていくのか」という驚きへとつながっていく。そして最後、驚き、切なく、非常に感動した。このストーリーは、映像を駆使しないと、満足な表現は難しかったと思える。ゲームという体験型媒体を通して本作のような感動体験ができるのは非常に良かった。
1つ注意点を挙げるとすると、本作はストーリー分岐や周回要素と言った、有名ノベルゲームにあるような展開は用意されていない。そのような要素を期待して買うのは避けよう。
謎解きのやりごたえがしっかりあって楽しい!
序盤の謎解きはかなりシンプルなものが多く、淡々とクリアできるが、終盤になるほどに複数のアイテムを駆使したり、とあるエリアで起こしたイベントを別のエリアに反映させることで通過する道が開けたりと、考えないとクリアできない場面が多く、謎解きのやりごたえが増していく。かといって、理不尽といえる謎解きはひとつもなく、しっかり考えれば解けるものばかり。
この謎解きの難易度やボリュームはやっていて非常に楽しく、本作のゲーム体験をより豊かにしてくれていると感じた。
このゲームの悪い点
落ち物回避ミニゲームの難易度が異常に高い…
画面上部から落ちてくる物体を避けるミニゲームの難易度がやけに高いのは気になった。上から落ちてくる速度が非常に早く、相応の反応速度が求められるのだ。一応、落ちる前には事前に地面に落ちてくる場所がわかるようにはなっているが、後述するキャラ移動速度操作の難しさのせいで、「わかっているのに回避できない」という事態が頻発するのは気になる要素だ。
一応、失敗したとしても特にデスペナルティは無いためリスタートしやすいものの、クリアしない限りは先に進めない。難易度設定もないので、反射神経が遅かったり、細かなカーソル操作があまり得意でない人、「誰でもクリアできる」ことを目標に作っているとされる「星のカービィシリーズ」も操作できない位の人は、クリアできず詰んでしまう可能性もあるのでは?と不安になってしまうほどだった。
マップ、移動関連は改善してほしい…
インドネシアの街を行ったり来たりする場面が多いため、全体マップをよく見ることになるのだが、ワンタッチで全体マップを開けないのは地味に気になる。メニューを開くと必ずストーリーガイドの画面となり、全体マップ切り替えを都度やらないといけないのだ。その切り替えも非常に早いのであればまだ気にならないが、僅かではあるもののテンポが悪いので、ストレスが溜まる要素だったのは残念.
また、移動関連の使いにくさも目立つ。歩きは非常に遅いので使い物にならず、ダッシュ時はスティックを同じ方向に素早く2回倒さなければならない手間がかかる。通常の探索時であればそこまで気にはならないが、先述した落ち物回避ミニゲームでは、回避先地点まで素早く、かつ細かく位置調整するのが難しく、「回避したいのにできない」場面が頻発した。
パッケージ版の値段は高いだろ…
本作はダウンロード版とパッケージ版で値段が大きく異なる。ダウンロード版は2,860円だが、パッケージ版は4,378円だ。いくら素晴らしいストーリーやゲーム体験を提供してくれている作品だとしても、10時間程でクリアでき、映像もそこまで綺麗とは言えず、ボイスも一才無い作品でパッケージ版4,378円は流石に高いと思う。
ダウンロード版価格であれば満足度はあるので、本作を購入するならダウンロード版で買うことを強くお勧めする。
まとめ
素晴らしいストーリーを展開してくれた良作である「A Space for the Unbound 心に咲く花」。心温まる感動作品を遊びたいのであれば、本作は打って付けだ。是非購入し、遊んでみて欲しい。
では!


