今回は、PS5版の「A Quiet Place The Road Ahead」をプレイした感想と、このゲームの良い点、悪い点をまとめていこう。
(本記事の情報は2026/3/23時点のものである)

2024/10/17に発売した「A Quiet Place The Road Ahead」。映画「A Quiet Place」が原作となっており、「音を出したら最後」という映画のキャッチコピーがそのままゲームの世界に落とし込まれた作品だ。
筆者は原作映画を見たことはないが、タイトルと概要だけは知っていた。そんなある日、映画を原作としたゲームが出ているという情報を聞きつけ、気になってプレイしてみた。ゲームクリアまでプレイしてみた感想をまとめたため、本作を購入するか迷っている人の参考になるとありがたい。
個人的感想
総評
原作の世界観を上手くゲームに落とし込み、大きな没入感を感じられる点は評価できるが、体験型媒体である「ゲーム」としてはちょっと微妙で、全体的通して「あまり面白くはない」という評価だった。
画面上の変化が少なく、攻略内容や展開も一辺倒で飽きやすいシステム設計であり、筆者はやり始めて数時間してから飽きがきて、他ゲームで箸休めしながらクリアできた、という感じだった。
呪いやお化け、ジャンプスケアといった類のホラー要素は一切ないものの、ゲーム内で発生する効果音が無駄にプレイヤーを驚かせる音量で、本来の怖さとは違う怖さになっている点も残念。
ステージ走破型ではなく、サバイバルゲーム型にすれば、世界観ともマッチして面白いゲームになる気がするだけに、もったいない作品であった。
このゲームの特徴
「音をだしたら最後」という異質なホラーゲーム
本作は、「A Quiet Place」という映画が原作のホラーゲーム。突如宇宙から飛来した地球外生命体は、視力を持たないものの脅威的な聴力と耐久力を持っており、人類はなす術なく敗北、僅かな生き残りである人々は、怪物の脅威に晒されながらも、音をなるべく出さず、静かに懸命に生きていく、というストーリーだ。
この「音を出したら終わり」という設定を原作から引き継いだのが本作。歩く、ドアを開けるなどといった様々な行動に音が発生するため、そのような音を出さないよう注意しながら、目的地への到達を目指す、一人称ゲームである。


襲い来る怪物を撃退する方法はなく、常に逃げる必要がある。ただし、音を出すと一瞬でやられるので、しゃがみ状態で、かつゆっくりと動き、周囲のオブジェクトに気を配りながら移動していく。
歩く場所は、アスファルトや水たまり、枯れ草が生い茂る地面に砂場など様々。地面ごとに音の出やすさが変わるので、音が出やすい場所を歩くときにはより慎重にならなければならない。

喘息と闘い、ガジェットを駆使しながら、目的地を目指して移動する
本作の主人公は喘息持ちで、段差の上り下りや荷物の運搬をするたびに発作が蓄積していく。また、怪物がすぐそばにいるだけで喘息が悪化していく。
発作が起きてしまうと咳き込んでしまうので、居場所が怪物にすぐにバレてしまい危険だ。発作が起きそうな時は、吸入機を用いて一時的に発作を抑える必要があるが、吸入機は使い捨てな上、道中で拾わないといけないため、計画的な運用が必要となる。また、吸入機を使う音も周囲に響くので、怪物が近くにいる場合は位置がバレてしまう。

そのような病弱な主人公が、無事目的地へ到達する為のツールとして、
- 懐中電灯
- 音響感知器
などが用意されている。また、怪物の気を引くためのレンガや空き瓶も道中で入手できる。
永久に利用できるのは「音響感知器」のみで、他は使い捨てだったり、使用時に音を発するものばかり。必要最低限の量だけを計画的に使っていく必要がある。


ゲーム内アイテムの収集要素
ステージには、スペースシャトルの形をしたおもちゃが各地に配置されており、これらを回収すると「CR」というポイントを獲得できる。集めたCRは、タイトル画面から移動できる「エクストラ」というところで、コンセプトアートやキャラクター絵と交換できる。


CP以外にも、カセットテープも落ちていることがある。これらを集めることで、

その他、ステージ各地に生存者が書いたドキュメントが落ちている。これを回収することで、そのステージを攻略するためのヒントを得られたり、怪物から必死に逃れようとしている人々の心境がわかるなど、物語への没入感を深めることができる。

喘息持ちの女子大学生による、怪物からの生還を目指すストーリー
本作の主人公は、歌が得意なものの喘息持ちの女子大生「アレックス」。

恋人である「マーティン」、および彼らの家族と楽しくバーベキューをして過ごしていたある日、突如空から無数の隕石が地球へ飛来するのを目撃する。隕石の中には、視力はないが優れた聴覚と、銃火器を物ともしない肉体を持った怪物が無数に入っており、たちまち人類は怪物によって蹂躙されてしまう。「アレックス」は「マーティン」と共になんとか街の病院へと逃げ込み、防音設備を整え、同じく病院に逃げ込んだ他の住民と共に数ヶ月物静かに暮らすこととなった。

ある日、物資調達のためにキャンプ場を訪れた「アレックス」は、探索の休憩中に「マーティン」に対して自身が妊娠したことを伝える。新たな命を授かったことに喜ぶ2人だったが、その帰り道にミスを犯し、「マーティン」は怪物に襲われ帰らぬ人となった。悲しみに暮れる「アレックス」だが、州軍の「野営地に安全キャンプを敷いている」というラジオを聞きつけ、その言葉を信じ1人病院を飛び出していく。
果たして「アレックス」は無事に州軍キャンプにたどり着くことはできるのか、そして彼女と彼女の中にいる小さな命は無事生き残ることはできるのか。静寂に包まれた世界でのサバイバル物語が幕を開ける。
このゲームの良い点
ゲームへの食い入り度、没入度は抜群!
「スティックを倒す強さや、自分が選んだ歩行ルートによって、鳴る音に違いがでる」というゲーム性のため、スティック捌きやルート選びに対してかなりの神経を注ぐ。「これ位で大丈夫かな?」「バレないかな?」「すぐ後ろから怪物が迫ってるけど走れない…でも急いで移動しなきゃ…」とヒヤヒヤしながら操作し続けるうちに、まるで自分が実際のゲームの世界でしゃがみ歩きをしながら移動しているかのような没入感を得られた。
通路には空き缶やドラム缶などが無造作に置かれており、誤って蹴ってしまうと大音量が出てしまう。その度に思わず「やべ!」と心の中で叫んでしまった。


更に、本作の世界に没入できるシステムとして、遊ぶ際にPS5のマイクと繋いでおくと、プレイヤーの喋り声や吐息がゲーム内の騒音として判定される要素がある。プレイヤーが何かに驚いて実際に声を出してしまったら、怪物にバレて即座にゲームオーバーになるのだ。このシステムも、ゲームへの没入度をより強くしてくれて、個人的には好印象だった。プレイしていてくしゃみや咳が出そうになった時にも、思わずグッと我慢して、「怪物がいなくなるまで我慢しろ自分…!」と自分自身に語りかけていた程だ(マイクを切ればどれだけ声を出しても関係ないが)。
本作を楽しむのであれば、是非ともマイクをオンにして遊んでみて欲しい。

親切設計が光っている!
一つのステージは細かい単位でエリアが区切られており、エリア毎に目的が異なる。ただ特定の場所に移動すればいいだけの場合もあれば、特定のアイテムを取得後、指定の場所にはめ込むことで、やっと次に進むべき場所が解放されたりする。これらの目的地がどこなのか、十字キー下を押せば常に画面表示してくれるので、迷うことがない。

また、エリア毎にオートセーブが行われるため、ゲームオーバー時のリスタートもやりやすい。同一エリア内に複数の目的がある場合は、目的達成のたびにオートセーブが入ってくれる。リスタート時のローディングも早い。ストレスが少ない作りになっている点は評価できた。
本作は難易度ノーマルでも、少し物音を立てるだけでゲームオーバーになってしまう。また、バッテリーや吸入器などの消耗品が無くなってしまうと、使いたいときに使えない。よって、全体通して難易度は高めなゲームである印象。そんな人でもクリアできるよう、イージー、ノーマル、ハードの3段階の難易度設定が存在する。イージーでは、
- 消費アイテムは豊富
- 音をある程度出しても怪物に気付かれにくい
- 怪物がいる場所を可視化できる「集中」という能力を使用可能
と、クリアがかなりしやすくなる。ゲームオーバー時には好きなタイミングで難易度を変更も可能だ。
逆に、極限の緊張感で遊びたいなら、難易度をハードにしたうえで、段差やハシゴなどのアクセスポイントの強調表示をなくし、よりリアリティを増した設定にすることも可能。ユーザーのプレイしたいスタイルにあった遊びができる点も良いと思った。
プレイ時間以上に多く感じられる体験ボリューム!
ホラーゲームらしく、一周のプレイ時間はそこまで長くはない。筆者は難易度ノーマルでプレイして、クリアまでにかかった時間は約10時間だった。しかし、ゲームプレイ中はゆっくりと慎重な操作が求められ続けるので、プレイ時間以上に遊んだような感覚になった。一度クリアしたステージは、難易度を変更した上でそのステージだけやり直せるので、PS5のトロフィーにある「どこどこのステージを何分以内にクリア」などのようなタイムアタックもやりやすい。
その他、CPを集めて収集物解放していったり、カセットテープを集めたり、ドキュメントを集めたりしていくやり込みも結構ボリュームがある。定価4000円という値段と比較すると、突き詰めれば結構遊び続けることができそうだった。
このゲームの悪い点
遊びのギミックパターンがもっと欲しい…
このゲームは最初から最後まで、足音が出ないようゆっくり歩き、様々な罠を避け、レンガや空き瓶で怪物の注意を逸らしながら道を進むことを繰り返すのみ。やることが常に一緒だ。謎解き要素もないので、2時間も遊んでいると飽きてくる。
恐らく、物資の乏しさと喘息によるタイムリミットで緊張感を持たせようとしているのだろうが、やることが一緒だと緊張感よりも飽きの方が強くなる。また、クリア方法がわからず探索し続けている時は、怪物がそばにいるだけで遮蔽物越しでも喘息が悪化する仕様のせいで、吸入機が足りなくなり詰んでしまう。この辺りの設計が今ひとつなのは残念だった。
個人的に、喘息の設定は削除していい。また、マップ設計を見直した上で怪物を複数体徘徊させたり、素材を集めてその場で必要なアイテムをクラフトする要素をいれたり、アイテムバリエーションに「少しの間足音を大きく減らす靴」や「一時的に怪物を撤退させる武器」を用意するなどした方が楽しめたと思う。
もしくは、サバイバルゲームとし、怪物が闊歩する外の世界へいかないと物資が足りなくなるとか、拠点内の人間関係トラブル解決をさせるとか、そっち路線へと作り直すかした方が面白かったと思う。
怪物よりも演出音の方が怖い…
プレイヤーが音を出す行為をすると、出した音の大きさに応じて、「ドーン」という効果音が発生する。この音がかなり大きく、かつ突発的に現れる。正直怪物よりもこの効果音の方が怖く、効果音が鳴るたびにビクッとして心臓に悪かった。
怪物にバレるレベルの音が出ていることは、わざわざ効果音を使わずとも、画面の外枠に何かモヤのような演出を入れるといった資格的対応でも伝えられるはず。音による恐怖感を演出したいなら、怪物の叫び声や、周囲の環境音などにもっと緩急をつけるなどした方が、ちゃんとしたホラーゲームになっただろう。
デッドゾーン設定は何とかしてほしい…
音を立ててはいけない、という点から、あらゆる行動を超スローで行う必要がある。せっかちなプレイヤーには耐えられないだろうが、「そういうコンセプトのゲームである」とみれば、この点は全然許容できた。
問題は、スティック操作のデッドゾーン設定が僅かにしかできず、ほんの僅かのスティック捌きを駆使して行かないと怪物に位置バレしてしまう点だ。特にドアの開閉はあまりにもシビア。明らかに繊細な操作がしやすいマウス向けだろう。頻繁に音がなってかなりストレスが強かったため、もう少しスティックを大きく倒してもなんとかなるような設定にして欲しかった。
そもそも怪物の設定が矛盾してない…?
本作の怪物の聴力は異常で、僅かにドアが軋む音や、枯れ草の上をしゃがんで歩く音だけでもプレイヤーの存在を察知できる。そこまで聴力が高いのであれば、風の音や鳥の音、動物の鳴き声といった自然界の音も大量に拾っているはず。怪物自身が歩いたことで周囲に反射した音なども拾っているだろう。そうなると、至る所から音が聞こえてきてしまい、人間が近くにいるかどうか、といった判断すらできないと思う。
にも関わらず、人間だけを的確に襲ってくる設定になっているのは違和感で、設定矛盾を起こしている気がしてならない。視力や嗅覚が優れている、というのならわかるのだが…
筆者が映画を見ていないからこういう感想が出てきている可能性もあるが、映画を観ずに本作だけやっているプレイヤーもいるはずなので、もう少し怪物に対する背景描写もゲーム内で詳しく描いて欲しかった。
まとめ
選ぶゲーム性を間違えているような気がするゲームであった「A Quiet Place The Road Ahead」。オススメは正直しないものの、他ゲームではあまり体験できない遊びができるゲームではある。本記事で書いた内容を読んで、面白そうだと思えたなら購入する、というような動きをしてみてほしい。
では!